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真珠しんじゅろう

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真珠しんじゅろう』(しんじゅろう、きゅう字体じたい眞珠しんじゅろう)は、横溝よこみぞ正史せいし長編ちょうへん探偵たんてい小説しょうせつで、探偵たんてい由利ゆり麟太郎りんたろう活躍かつやくする作品さくひんである。1936ねんから1937ねんにかけて雑誌ざっししん青年せいねん』に連載れんさいされた。

ほん作品さくひん原作げんさくとして、テレビドラマ3作品さくひん制作せいさくされている[ちゅう 1]

概要がいよう

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真珠しんじゅろう』は、だい世界せかい大戦たいせんまえ1936ねん10月から1937ねん2がつの5かいにわたって雑誌ざっししん青年せいねん』に連載れんさいされた作品さくひんである。ほん作品さくひん出版しゅっぱんたっては、谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう題字だいじ江戸川えどがわ乱歩らんぽ序文じょぶん松野まつの一夫かずお口絵くちえ水谷みずたにじゅん装幀そうていという豪華ごうかほんとなった[1]江戸川えどがわ乱歩らんぽ序文じょぶんで「作者さくしゃ従来じゅうらい名作めいさく鬼火おにび』『くらなかふるくは『面影おもかげ双紙ぞうし』などにはまったられなかったひとつの重大じゅうだい魅力みりょくくわわって、その完璧かんぺきさにおいて、横溝よこみぞ探偵たんてい小説しょうせつひとつの頂点ちょうてんすものかもれない」との賛辞さんじせている[2]

作者さくしゃは『週刊しゅうかんプレイボーイ1975ねん昭和しょうわ50ねん)10がつ28にちごうの“わたしの10さつ”の9番目ばんめほん作品さくひんげている[3]

ほん作品さくひんには原型げんけいとなった執筆しっぴつ作品さくひん存在そんざいする。『しん青年せいねん1933ねん昭和しょうわ8ねん)7がつごう巻頭かんとう作品さくひんとして掲載けいさいされる予定よていだった『こんしゃ』で、横溝よこみぞ執筆しっぴつちゅう喀血かっけつたおれてしまい、執筆しっぴつ不能ふのうになってしまった。このため、水谷みずたにじゅん編集へんしゅうちょう原稿げんこうとしてあずかっていた小栗おぐり虫太郎むしたろうの『完全かんぜん犯罪はんざい』が、急遽きゅうきょ代理だいり原稿げんこうとして掲載けいさいされることになる[ちゅう 2]。その、『こんしゃ』の材料ざいりょうをもとに、構想こうそうあらためて執筆しっぴつされたものがほん作品さくひん真珠しんじゅろう』である[ちゅう 3]

ほん作品さくひんは、作者さくしゃ従来じゅうらい耽美たんびてき作風さくふうをそのままに、怪奇かいきミステリのあじわいと本格ほんかく推理すいりなぞかいきとをたくみにブレンドした、作者さくしゃ戦前せんぜん活動かつどう代表だいひょうするいちへんであり、のち金田一きんだいちものへと発展はってんする作風さくふう原点げんてんとなる作品さくひんである[6]作者さくしゃ自身じしんは、前述ぜんじゅつのとおり喀血かっけつたおれたのち、2ねんにわたる病床びょうしょう生活せいかつあいだほん作品さくひん材料ざいりょうあたた[7]当時とうじえいべいなぞ論理ろんり本格ほんかく探偵たんてい小説しょうせつ意識いしきしてこころみた作品さくひんであるが、「なぞ論理ろんり本格ほんかく探偵たんてい小説しょうせつとしては、はなはだお粗末そまつなもので、わたし幼時ようじからもっているおどろおどろしき怪奇かいき趣味しゅみだけが、いやにきあがった作品さくひんになってしまった」「けっきょく、それらしき作品さくひんけるまでには、戦後せんごまでつよりほかにしかたがなかった」とべている[8]

ほん作品さくひんにおいてあつかわれる「くびのない死体したい」について、江戸川えどがわ乱歩らんぽ序文じょぶんほん作品さくひんからイーデン・フィルポッツの『赤毛あかげのレドメイン』を連想れんそうし、ほん作品さくひんが『赤毛あかげのレドメイン』に匹敵ひってきする作品さくひんであるとべているが[2]作者さくしゃ自身じしんほん作品さくひんについてエラリー・クイーンの『エジプト十字架じゅうじかなぞ』にヒントをいたものであるとべている[8]

あらすじ

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7がつはじめごろ、X大学だいがく講師こうしである椎名しいなこうすけは、夕暮ゆうぐれの雑木ざつぼくしにそらかぶ夕焼ゆうやくもサロメまえされたヨカナーンくびそっくりにえて、ぎょっとしてちすくむ。そこへとおりかかった同僚どうりょうおつこつさんよんろうこえをかけられた椎名しいなは、ゆうくもししてヨカナーンのくびえるというはなしをする。

7がつ15にちよる椎名しいなおつこつさそわれて2人ふたり信州しんしゅう旅行りょこうかける。そして旅行りょこうさき温泉おんせん宿やどで、めい2人ふたりらしのふじという医者いしゃがN湖畔こはんやしき一室いっしつ相手あいてさがしているというはなしき、そのやしきおとずれることにする。ところが途中とちゅう、バスにんできた老婆ろうばから、Nにくのはやめるようにわれ、「おまえさんたちのまわりに、いまおそろしいあめる。Nの湖水こすいが、になる。」と予言よげんされる。

もと娼家しょうかであったはるきょうろう(しゅんきょうろう)というやしきでの生活せいかつは、ふじめい由美ゆみうつくしさにかれたこともあってはじめのうちは満足まんぞくしていたが、そのうちやしきぞうにもう一人ひとりだれかがんでいる様子ようすかんじるようになる。そして数日すうじつ真夜中まよなか椎名しいなおつこつ障子しょうじ隙間すきまから、みずれた美少年びしょうねんやなぎしたっているのをにする。そのるいまれうつくしい姿すがたに、2人ふたり妖異よういなものをかんじる。翌朝よくあさ2人ふたりふじ美少年びしょうねんはなしをすると、かれはげしく驚愕きょうがくする。

それから1週間しゅうかん2人ふたり湖水こすいにボートをかべていると、浅間山あさまやま突然とつぜん噴火ふんかする。溶岩ようがんはいそそなかなにとかきしまでもどったところ、やしき展望てんぼうだい先日せんじつ美少年びしょうねんふじ刃物はものおそいかかるのを目撃もくげきする。美少年びしょうねんふじくびをえぐると、今度こんど由美ゆみおそいかかる。2人ふたりやしきなかむと、かたられてうしなって由美ゆみたおれていた。もどした由美ゆみは、美少年びしょうねん真珠しんじゅろうというで、かれおそわれたことを2人ふたりはなす。

真珠しんじゅろうってそとると、おかにバスで老婆ろうばっていた。老婆ろうばは、真珠しんじゅろうみずふちばれる洞窟どうくつげたことを3にんはなし、洞窟どうくつくちが2つあるため4にんで2そうのボートにかれて真珠しんじゅろうう。椎名しいな由美ゆみは、もう一方いっぽうのボートとの合流ごうりゅうてんであるしゅうたおれているおつこつつけ、さらにもうひとつのうわしゅうくびなし死体したいとなったふじつける。やがて気味きみわるわらごえとともにちかづいてきたボートにっていた老婆ろうばのそのかおは、真珠しんじゅろうだった。そして、真珠しんじゅろうふじ生首なまくびわらいながらまわした挙句あげくみずふちほうむと、ボートをいでっていった。

やしきもどった由美ゆみは、椎名しいなおつこつぞうなかかく部屋へや案内あんないし、かつて自分じぶん糾弾きゅうだんした社会しゃかい復讐ふくしゅうげようと目論もくろんだふじによって、ここで真珠しんじゅろう狂気きょうき殺人さつじんしゃとしてそだてられていたことをはなす。その内容ないようは、1ねんごとに撮影さつえいした真珠しんじゅろう写真しゃしんけられた観察かんさつ真珠しんじゅろう日記にっき』と、由美ゆみふじるまで18年間ねんかん真珠しんじゅろう世話せわをしていたじいやの証言しょうげんによっても裏付うらづけられた。

その警察けいさつ捜索そうさくにもかかわらず真珠しんじゅろう行方ゆくえは杳としてれないなか椎名しいな東京とうきょうもどり、おつこつ由美ゆみ結婚けっこんして吉祥寺きちじょうじ新居しんきょかまえる。そしてあるのこと、椎名しいな須田すだまち交差点こうさてんとなった自動車じどうしゃっている真珠しんじゅろう目撃もくげきする。さらにその翌日よくじつ真珠しんじゅろうたという由美ゆみれられてった映画えいがかんで、新聞しんぶんしゃニュース映画えいがなかおつこつ夫妻ふさいとそのうしろのほう真珠しんじゅろううつっているのをる。

このため由美ゆみから「よる一人ひとりあるきやらないひとさそいにらないように」と注意ちゅういされた椎名しいなは、あによめ応対おうたいしたかれがいないときたずねてきた由利ゆり麟太郎りんたろうという人物じんぶつ椎名しいな直接ちょくせついたいとっていたはなし警戒けいかいしてことわった。

そしてゆきクリスマス椎名しいなおつこつ夫妻ふさいいえおとずめてもらったその真夜中まよなか由美ゆみ悲鳴ひめいこえ、彼女かのじょ真珠しんじゅろうがもみ様子ようす目撃もくげきする。かぎがかかったり鉄格子てつごうしがあったりしてたすけにけない椎名しいなは、やっと脱出だっしゅつすると、みどろの座敷ざしき負傷ふしょうしたおつこつつける。たすけをびにった隣家りんかひととも由美ゆみさがすとくびしの女性じょせい死体したい公園こうえんなかにあり、着衣ちゃくいうでのあざから由美ゆみ確認かくにんされた。

おつこつ入院にゅういんしただけでいのち別状べつじょうはなかったものの、椎名しいなはこの惨殺ざんさつ事件じけんのショックで大学だいがくにもかず憂鬱ゆううつとした日々ひびおくつづける。そんなおり由利ゆり麟太郎りんたろうがまたかれのもとをたずねてきたことで、椎名しいなかなかった事件じけんの「非常ひじょうおそろしい知恵ちえでたくまれたじゅうさんじゅうものそこ」がひとつずつめくられていくことになった。

登場とうじょう人物じんぶつ

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椎名しいなこうすけ(しいな こうすけ)
X大学だいがく英文えいぶん講師こうし
おつこつさんよんろう(おつこつ[ちゅう 4] さんしろう)
X大学だいがく東洋とうよう哲学てつがく講師こうし
ふじ(うどう)
医者いしゃはるきょうろうあるじ半身不随はんしんふずいすう年来ねんらいたきり。
由美ゆみ(ゆみ)
ふじめい聡明そうめいうつくしい。のちおつこつ結婚けっこん
真珠しんじゅろう(しんじゅろう)
妖気ようきただよ美少年びしょうねん犯罪はんざいかさねたおとこ美人びじんだが白痴はくち山窩さんかおんなあいだまれた。なお、名前なまえ由来ゆらい誕生たんじょう当時とうじたまのような綺麗きれい」だったからという[9]
伊那いな(いなこ)
真珠しんじゅろうちち降旗ふるはた三郎さぶろうと、そのつま光子こうしあいだにできたむすめ真珠しんじゅろう異母いぼいもうと(?)[ちゅう 5]
志賀しが(しが)
司法しほう主任しゅにん
由利ゆり麟太郎りんたろう(ゆり りんたろう)
警視庁けいしちょうもと捜査そうさ課長かちょう

事件じけん発生はっせいねんについて

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舞台ぶたい年代ねんだいについては本編ほんぺんちゅう説明せつめい一部いちぶちがっているところがあり不明瞭ふめいりょう

  • だい3しょうくらなか」のわりのほうで、由美ゆみむかし花魁おいらんころされた事件じけんのことを「明治めいじさんじゅうねんごろのことだといいますから、もうよんじゅうねんむかし」と発言はつげん明治めいじ30ねん=1897ねんの40ねんは1937ねん昭和しょうわ12ねん)。
  • だい8しょううつくしきひき野獣やじゅう」の中盤ちゅうばん、かつて真珠しんじゅろう世話せわをしていたじいやの証言しょうげん真珠しんじゅろう両親りょうしんれてこられたのが「いまからじゅういちねんまえ大正たいしょうじゅういちねんはるのことでした」という説明せつめいがある。大正たいしょう11ねん=1922ねんから21ねんは1943ねん昭和しょうわ18ねん)。

単行本たんこうぼん

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  • 真珠しんじゅろう』(ろくにんしゃ、1937ねん4がつ
  • 現代げんだい大衆たいしゅう文学ぶんがく全集ぜんしゅう だい9』(春陽しゅんようどう、1950ねん
  • 真珠しんじゅろう』(モダンほうしゃ、1954ねん
  • 真珠しんじゅろう』(東方とうほうしゃ、1954ねん
  • 由利ゆり三津木みつぎ探偵たんてい小説しょうせつせん だい5 カルメンの』(東方とうほうしゃ、1957ねん
  • 由利ゆり三津木みつぎ探偵たんてい小説しょうせつせん だい7 カルメンの』(東方とうほうしゃ、1961ねん
  • 鬼火おにび 完全かんぜんばん』(桃源とうげんしゃ、1969ねん11月)
  • 横溝よこみぞ正史せいし全集ぜんしゅう 1 真珠しんじゅろう』(講談社こうだんしゃ、1970ねん
  • 大衆たいしゅう文学ぶんがく大系たいけい 25 横溝よこみぞ正史せいし 海野うみの十三じゅうざ 小栗おぐり虫太郎むしたろう 木々きぎ高太郎たかたろう』(講談社こうだんしゃ、1973ねん5がつ
  • 真珠しんじゅろう』(角川書店かどかわしょてん角川かどかわ文庫ぶんこ〉、1974ねん10がつ
  • 新版しんぱん 横溝よこみぞ正史せいし全集ぜんしゅう 1 真珠しんじゅろう』(講談社こうだんしゃ、1975ねん5がつ
  • 昭和しょうわミステリ秘宝ひほう 真珠しんじゅろう』(扶桑社ふそうしゃ扶桑社ふそうしゃ文庫ぶんこ〉、2000ねん10がつISBN 4-594-02993-0
  • 由利ゆり三津木みつぎ探偵たんてい小説しょうせつ集成しゅうせい 1 真珠しんじゅろう日下くさか三蔵さんぞう = へん柏書房かしわしょぼう、2018ねん11月)ISBN 978-4760150519

漫画まんが

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テレビドラマ

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1978年版ねんばん

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真珠しんじゅろう
ジャンル テレビドラマ
原作げんさく 横溝よこみぞ正史せいし真珠しんじゅろう
企画きかく 角川かどかわ春樹はるき事務所じむしょ
脚本きゃくほん 安藤あんどう日出男ひでお
監督かんとく 大州おおずとき
出演しゅつえんしゃ 古谷ふるや一行いっこう
長門ながといさむ
大谷おおや直子なおこ
原田はらだ大二郎だいじろう
早川はやかわ絵美えみ
エンディング 茶木ちゃきみやこ「あざみのごととげあれば」
製作せいさく
プロデューサー 青木あおき民男たみお
制作せいさく 毎日放送まいにちほうそう
大映だいえい
映像えいぞう京都きょうと
放送ほうそう
放送ほうそうこく地域ちいき日本の旗 日本にっぽん
放送ほうそう期間きかん1978ねん5月13にち - 5月27にち
放送ほうそう時間じかん土曜日どようび22:00 - 22:55
放送ほうそうぶん55ふん
回数かいすう3
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TBSで『横溝よこみぞ正史せいしシリーズII』のだい2さくとして1978ねん5月13にちから5月27にちまで放送ほうそうぜん3かい

探偵たんてい原作げんさく由利ゆり麟太郎りんたろうから金田一きんだいちこうすけえられたことにより、登場とうじょう人物じんぶつちゅうの「椎名しいなこうすけ」のが「はじめ」にえられている。

ストーリー展開てんかいはおおむね原作げんさく忠実ちゅうじつだが、以下いかのような差異さいがある。

  • 椎名しいなおつこつ所属しょぞくは「城北しろきた大学だいがく」、ふじ信州しんしゅうの「鳥越とりごえ」の湖畔こはんんでいる。湖畔こはん途中とちゅうべつ目的もくてき滞在たいざいした設定せっていい。
  • 金田一きんだいち元々もともと椎名しいな友人ゆうじんであり、住職じゅうしょくである叔父おじりょうじゅんたずねて湖畔こはんかい、椎名しいなおつこつおなじバスにわせた。りょうじゅん事件じけんかかわる過去かこ人物じんぶつさがすなどの役割やくわりたす。後半こうはんでは金田一きんだいちがおおむね原作げんさく由利ゆり麟太郎りんたろう役回やくまわりをっている。
  • 最後さいご椎名しいな1人ひとり老婆ろうば小屋こやはしり、金田一きんだいちたちは遠巻とおまきに見守みまもる。もどってきた由美ゆみは、その告白こくはくじょうわたす。由美ゆみはボートでして服毒ふくどく、ボートはみずふちながれていく。
キャスト
スタッフ
毎日放送まいにちほうそう 横溝よこみぞ正史せいしシリーズII
ぜん番組ばんぐみ 番組ばんぐみめい 番組ばんぐみ
やっはかむら
(1978ねん4がつ8にち - 5月6にち
真珠しんじゅろう
(1978ねん5がつ13にち - 5月27にち
仮面かめん舞踏ぶとうかい
(1978ねん6がつ3にち - 6月24にち

1983年版ねんばん

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テレビ朝日てれびあさひけい土曜どようワイド劇場げきじょう横溝よこみぞ正史せいし真珠しんじゅろう 金田一きんだいちこうすけあいしたおんなあやしい美少年びしょうねん正体しょうたいは……”』として1983ねん10月8にち放送ほうそう

  • 金田一きんだいちこうすけ原作げんさく椎名しいなこうすけ役回やくまわりをっており、後半こうはんでは由利ゆり麟太郎りんたろう役回やくまわりもねる。湖畔こはんかうまでの大学だいがくでのエピソードや途中とちゅう滞在たいざい設定せっていい。
  • 東京とうきょう舞台ぶたい移動いどうすることはなく、湖畔こはんでストーリーが完結かんけつする。
  • 洞窟どうくつ洪水こうずいには湖水こすい流入りゅうにゅうするが平水へいすいには陸上りくじょうにある。
  • おつこつ由美ゆみ家庭かてい教師きょうしとして以前いぜんから面識めんしきがあったことが最初さいしょからあきらかにされている。
  • 本物ほんもの老婆ろうばたんかねおつこつやとわれており、最初さいしょにバスで出会であった老婆ろうば本物ほんものほうだった。んでいた小屋こや絞殺こうさつ死体したい発見はっけんされる。
  • 最後さいごには由美ゆみ洞窟どうくつ真珠しんじゅろう扮装ふんそうをして金田一きんだいちっていた。金田一きんだいち由美ゆみ希望きぼうれて、遺体いたい洞窟どうくつおくそこなしの井戸いど人知ひとしれずほうむる。
キャスト

岡田おかだ英次えいじが、役名やくめいえられているが1978年版ねんばんおなやくえんじている。

※「おつこつ」を「おとぼね」とんでいる。

2005年版ねんばん

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TBSけい月曜げつようミステリー劇場げきじょうめい探偵たんてい金田一きんだいちこうじょシリーズ32 神隠かみがく真珠しんじゅろう』として2005ねん7がつ18にち放送ほうそう

原作げんさく登場とうじょう人物じんぶつ家族かぞく関係かんけいなどの一部いちぶや、施錠せじょうされたとびら鍵穴かぎあなとおして真珠しんじゅろう姿すがた認識にんしきさせるなどのトリックを踏襲とうしゅうしているが、ストーリーはまったあらたに創作そうさくされている。

  • ふじ岡山おかやまけんきり神村かむら温泉おんせん権利けんりにぎだい富豪ふごうで、当主とうしゅそう太郎たろうには正妻せいさい・ハツとのあいだ長男ちょうなん雄一ゆういちやしきない居住きょじゅうするわらわ千代ちよとのあいだ三男さんなん幸三こうぞうがいる。すで病死びょうししているべつわらわとのあいだ次男じなん研二けんじおつこつ養子ようしされている。真珠しんじゅろう幸三こうぞう同腹どうふくよんなんだが、3さいだった18ねんまえ神隠かみがくしにって行方ゆくえ不明ふめい
  • きり神池かみいけのほとりで女中じょちゅう一人ひとり密会みっかいしていた幸三こうぞうが頸をるされたうえ斬殺ざんさつされる。女中じょちゅう目撃もくげきした犯人はんにん金髪きんぱつあお美少年びしょうねん[ちゅう 6]で、幸三こうぞう絶命ぜつめいまえ真珠しんじゅろうみとめていた。弁護士べんごしである研二けんじ金田一きんだいちんで調査ちょうさ依頼いらいする。
  • 由美ゆみは5ねんまえんだ宗太郎そうたろうおとうと宗次郎そうじろうむすめで、ふじ女中じょちゅうあたまのような立場たちばである。真珠しんじゅろう神隠かみがくしになるすこまえに、宗次郎そうじろう一家いっかながものおそわれ、夫婦ふうふ重傷じゅうしょうおさな息子むすこ2にん由美ゆみあにおとうと)は殺害さつがいされるという事件じけんがあった。金田一きんだいちむらると、あやしい老婆ろうば姿すがたをした由美ゆみはは美代子みよこちはだかり、むらかられとおどす。
  • きり神池かみいけながたきうえ雄一ゆういちが、ふじ家内かないとげ斬殺ざんさつされる。いずれのときも由美ゆみ悲鳴ひめいこえたあと、金田一きんだいち真珠しんじゅろうらしき人物じんぶつ目撃もくげきしていた。
  • 宗次郎そうじろう一家いっか襲撃しゅうげき源泉げんせん権利けんりひろむら配分はいぶんするのを阻止そししようとする宗太郎そうたろう指示しじによるもので、真珠しんじゅろう神隠かみがくしはそれをった宗次郎そうじろうによる復讐ふくしゅうであった。宗次郎そうじろうによって殺人さつじんしゃ教育きょういくされた真珠しんじゅろうは、その宗次郎そうじろう斬殺ざんさつ、さらに幸三こうぞうころしたとき、おさなころおもよみがえって混乱こんらん由美ゆみ目前もくぜん自刃じじんした。宗次郎そうじろう無念むねんたすものがいなくなったとかんがえた由美ゆみ真珠しんじゅろうふんして雄一ゆういち研二けんじ殺害さつがいした。
キャスト

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 3作品さくひんとも探偵たんてい金田一きんだいちこうすけえられている。
  2. ^ 作者さくしゃ小栗おぐり虫太郎むしたろうにこのときの「り」をかんじていたため、1946ねん昭和しょうわ21ねん)に小栗ささぐり急逝きゅうせいして探偵たんてい小説しょうせつ専門せんもん雑誌ざっし『ロック』への連載れんさいあなきそうになったさいにピンチ・ヒッターをつとめた。このときに連載れんさいした作品さくひんほん作品さくひんおな由利ゆりシリーズの『蝶々ちょうちょう殺人さつじん事件じけん』である[4]
  3. ^ 初版しょはん単行たんこうほんろくにんしゃ、1937ねん)の「自序じじょ」で横溝よこみぞ自身じしんかしている[5]
  4. ^ だい1しょう「ヨカナーンのくび」ではじめて登場とうじょうしたさい「おつこつ」とルビがられている。
  5. ^ 異母いぼいもうと(ルビは「いとこ」)」という記述きじゅつだい17しょう告白こくはく中盤ちゅうばん由美ゆみ説明せつめいにある[10]が、だい15しょう暗夜あんや行路こうろ」の終盤しゅうばん伊那いな近所きんじょんでいたおとこが「今年ことしちゅうかぞえ)じゅうさんになるのでございましょう」と年齢ねんれいっており[11]、20ねんまえ誕生たんじょうしている(だい8しょううつくしきひき野獣やじゅう」のふじじいやの証言しょうげん[12]真珠しんじゅろうより年長ねんちょうになる。
  6. ^ 真珠しんじゅろう金髪きんぱつなのは原作げんさくからある設定せっていで、由美ゆみ真珠しんじゅろう監禁かんきんされてた部屋へやせた写真しゃしんに「ぼう々とがくしだれた金色きんいろかみ」という記述きじゅつがある。ただし原作げんさくちゅうは「くろい」とされている(だい6しょう如法にょほう闇夜やみよ」)。

出典しゅってん

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  1. ^ 二人ふたり刺青しせいがあるおんなころされたのは何者なにものか。金田一きんだいちこうじょシリーズ!――横溝よこみぞ正史せいし『スペードの女王じょおう文庫ぶんこ巻末かんまつ解説かいせつ”. カドブン KADOKAWA文藝ぶんげいWEBマガジン. KADOKAWA (2021ねん12月10にち). 2024ねん4がつ15にち閲覧えつらん
  2. ^ a b 昭和しょうわミステリ秘宝ひほう 真珠しんじゅろう』(扶桑社ふそうしゃ文庫ぶんこ所収しょしゅう江戸川えどがわ乱歩らんぽによる「ついで参照さんしょう
  3. ^ 横溝よこみぞ正史せいし選集せんしゅう 4 いぬ神家じんか一族いちぞく』(出版しゅっぱん芸術げいじゅつしゃ所収しょしゅう浜田はまだ知明ともあきによる巻末かんまつ解説かいせつ参照さんしょう
  4. ^ しんせつ 金田一きんだいちこうすけ』(横溝よこみぞ正史せいしちょ角川かどかわ文庫ぶんこ1979ねん)113 - 114ページ参照さんしょう
  5. ^ 山口やまぐち直孝なおたか ちょ「「こんしゃ」」、江藤えとう茂博しげひろ; 山口やまぐち直孝なおたか; 浜田はまだ知明ともあき へん横溝よこみぞ正史せいし研究けんきゅう 4』えびすひかりさち出版しゅっぱん、2012ねん3がつ1にち、254-255ぺーじISBN 978-4-86403-029-8 
  6. ^ 昭和しょうわミステリ秘宝ひほう 真珠しんじゅろう』(扶桑社ふそうしゃ文庫ぶんこ所収しょしゅう日下くさか三蔵さんぞうによる巻末かんまつ解説かいせつ参照さんしょう
  7. ^ 横溝よこみぞ正史せいし ちょ日下くさか三蔵さんぞう へん由利ゆり三津木みつぎ探偵たんてい小説しょうせつ集成しゅうせい1 真珠しんじゅろう柏書房かしわしょぼう株式会社かぶしきがいしゃ、2022ねん6がつ5にち、463ぺーじ。「付録ふろく (1) ろくにんしゃばん真珠しんじゅろう序文じょぶんほか」 
  8. ^ a b 横溝よこみぞ正史せいしちょ探偵たんてい小説しょうせつじゅうねん』(講談社こうだんしゃ所収しょしゅうの「わたし推理すいり小説しょうせつ雑感ざっかん参照さんしょう
  9. ^ だい8しょううつくしきひき野獣やじゅう」のふじじいやのはなしより。
  10. ^ 真珠しんじゅろう』(横溝よこみぞ正史せいしちょ角川かどかわ文庫ぶんこ2019ねん)209ページ。
  11. ^ 真珠しんじゅろう』(横溝よこみぞ正史せいしちょ角川かどかわ文庫ぶんこ、2019ねん)187ページ。
  12. ^ 真珠しんじゅろう』(横溝よこみぞ正史せいしちょ角川かどかわ文庫ぶんこ、2019ねん)98 - 99ページ。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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