悪魔 の手毬 唄 (1977年 の映画 )
| |
| |
| |
| |
| |
| |
| |
| |
| |
| |
| |
![]() | |
143 | |
![]() | |
| |
7 | |
| |
|
『
概要
[製作
[受賞
[- ブルーリボン
賞 助演 男優 賞 (若山 富三郎 )、ベストテン入選 日本 映画 技術 賞 美術 部門 (村木 忍 )報知 映画 賞 助演 男優 賞 (加藤 武 )年間 代表 シナリオ選出 文化庁 優秀 映画 選出
トリビア
[前作 同様 、犯人 の年齢 が若 くなっている。これは監督 の市川 が、小説 家 であるジョン・ディクスン・カーの作品 を参考 に、犯人 は妖艶 なキャラクターが良 いと考 えたためである[3]。本 作 に青池 リカ役 で出演 した岸 恵子 は当時 、フランスのパリ市 に在住 していたが、市川 崑 と市川 喜一 が直々 にパリに電話 を行 い、出演 することになった[4]。金田一 とは旧知 の間柄 の設定 である磯 川 警部 役 に若山 富三郎 が配 されているが、当時 、東映 の任侠 映画 の看板 スターだった若山 は、本 作 のようなキャラクターを演 じるのは初 めてだった。しかし、監督 の市川 や、金田 一役 の石坂 浩二 との呼吸 は噛 み合 い、市川 も若山 を気 に入 って、後 に監督 や演出 を担当 する映画 やテレビに出演 させるようになった[5]。映画 の金田 一 5部 作 を通 して最初 から金田一 の知人 として登場 するのは、本 作 の磯 川 警部 と『病院 坂 の首縊 りの家 』の老 推理 作家 (横溝 正史 )のみである。金田一 が汽車 の発車 間際 に磯 川 に「…(犯人 )を愛 してらしたんですね」と問 いかけるが、汽笛 に邪魔 され伝 わらないという『望郷 』風 のラストは、原作 (汽笛 の邪魔 は入 らず、絶句 した磯 川 をホームに残 し金田一 は去 っていく)の京都 駅 から伯備線 総社 駅 (撮影 場所 は大井川鉄道 〈現 ・大井川鐵道 〉家山 駅 )に場所 が変更 されており、駅名 を肯定 の返事 (そうじゃ)に引 っ掛 けた演出 であるかのように、駅名 「そうじゃ」を記 したポールが画面 中央 で強調 されている。しかし、これは全 くの偶然 であり、監督 の市川 は後年 になってライターの森 遊 机 に指摘 されるまで気 がつかなかった[6]。劇 中 、青池 源 治郎 が活動 弁士 であったことを辰蔵 が金田一 らに話 すシーンで、『新版 大岡 政談 』三 部 作 の解決 篇 の1シーン(丹下 左 膳 (演 :大河内 伝次郎 )とお藤 (演 :伏見 直江 )と火事 装束 の男 たちが坤 竜 を奪 い合 うシーンで、現在 も断片 として現存 している場面 である)が挿入 されており、マツダ映画 社 の松田 春 翠 が活弁 の声 を担当 している。また、源 治郎 が村 に帰 るきっかけをリカが説明 するシーンで、日本 初 の字幕 スーパーが付 いたトーキー映画 『モロッコ』のラストシーンが登場 している(この映画 の公開 が活動 弁士 が衰退 する契機 となった。それは作品 内 でも説明 される)。映画 『モロッコ』に関 しては、製作 当時 は著作 権 が切 れていなかったため、高額 な使用 料 が支払 われ、また上映 される映画 館 の場内 はセットで、上映 はスクリーンプロセスで行 われた[6]。犯人 が入水 自殺 する沼 は、撮影 当時 、すぐそばに一般 道路 が走 っていたので、ロングショットで撮 られていない[5]。
ストーリー(原作 との違 い)
[ストーリー
また、
金田一 を旧知 の磯 川 警部 が亀 の湯 に呼 び寄 せて20年 前 の事件 について説明 し真相 解明 を依頼 する(金田一 が休養 の場 を求 めていたという設定 はない)。20年 前 の事件 も現在 の放庵 宅 で起 こっており、放庵 がそのあと転居 した設定 はない。放 菴殺害 に使 われた「お庄屋 殺 し」はサワギキョウだったが、ヤマトリカブトに変更 されている。金田一 は磯 川 の勧 めで総社 へ調査 に行 き、その途上 「おはん」と名乗 る老婆 とすれ違 う。総社 の「井筒 」でおはん(原作 のおりん)は既 に死 んだ事 を知 った金田一 は、磯 川 に電話 して放庵 宅 へ先行 してもらい、自分 も急行 する。放庵 宅 の停電 は単 なるヒューズ切 れが原因 だった。千恵 の帰郷 は派手 な凱旋 ではなく、仙人峠 とは別 ルートと思 われる路線 バスで鬼首 村 に現 れており、総社 で出迎 える設定 はない。「ゆかり御殿 」が建設 されている設定 もなく、春江 の両親 も登場 しない。千惠 の歓迎 会 は野外 での盆踊 りではなく仁礼 家 での同窓会 である。里子 は単 に出発 が遅 れただけであり、老婆 とともに行 く泰子 の姿 をかなり離 れたところから目撃 する。泰子 を呼 び出 した手紙 は、見立 て処理 以後 に死体 から離 れて岸辺 に沈 んでいたのを翌日 に歌 名 雄 が偶然 見 つける。文子 の死体 は醸造 用 の樽 の中 に漬 けられ、上 に大判 小判 が吊 るされていた。文子 殺害 後 の喧嘩 は、歌 名 雄 が清掃 していた「亀 の湯 」の浴場 へ流 次 (原作 の勝平 )が怒鳴 り込 んで始 まり、止 めに入 った磯 川 もろとも浴槽 に転落 する。五 百 子 は泰子 と文子 が殺害 されるごとに「鬼首 村 手毬 唄 」の各々 関連 する部分 のみを思 い出 す。泰子 の通夜 での老婆 の影 は千恵 が見 て悲鳴 を上 げる。この直後 、里子 は老婆 に扮 したリカを目撃 して犯行 を悟 り、翌日 に文子 の通夜 に出 かけるときから高祖 頭巾 の着用 をやめた。金田一 は磯 川 が髭 剃 りに使 った鏡 に写 った蜜柑 を別 の1個 と錯覚 したことをヒントに一人 二 役 に気 づく。里子 は千恵 に気 づかれぬようにハンドバッグをすり替 え、呼 び出 しの手紙 を入手 した。文子 の通夜 では千恵 も和装 だったので、里子 を着替 えさせようとする展開 はない。- リカは
歌 名 雄 が里子 殺害 を知 らせてくるまで人違 いに気付 いていなかった。 里子 殺害 後 、憔悴 したリカは里子 が暮 らしていた土蔵 に千恵 を呼 び出 すが、殺害 が目的 ではなく真相 を伝 える。磯 川 は金田一 の依頼 で敦子 も含 めて3人 を権堂 医院 に集 め、狙 われた娘 たちがすべて恩田 のタネであったことや手毬 唄 の内容 を説明 しているところへ金田一 が写真 を持 って到着 し、恩田 と源 治郎 が同 一人物 であることを確認 する。日下部 が千恵 の不在 に気付 き、磯 川 と金田一 が土蔵 だと見当 をつけて様子 を見 に行 く。そこへ放庵 の遺体 が最後 の妻 の墓 に埋 められていたのが発見 されたという知 らせが入 り、リカを残 して見分 に行 く。監視 役 の警官 が県警 からの電話 に対応 している隙 にリカは抜 け出 し、人 食 い沼 に入水 する。犯人 が沼 から見 つかったと呼 ぶ声 を聞 いた歌 名 雄 は現場 へ駆 け込 み、母親 であることを知 って号泣 する。磯 川 は事後 処理 を残 してから帰 ることになり、金田一 を総社 駅 まで見送 る。このとき原作 の京都 駅 でのエピソードに準 ずるやりとりがある。
出演 者
[金田一 耕 助 (探偵 ):石坂 浩二 磯 川 刑事 (岡山 県警 の警部 。耕 助 とは長 い付 き合 いで、彼 を信頼 している):若山 富三郎 多々良 放庵 (庄屋 の末裔 だが、放蕩 三昧 で身上 を潰 した。右手 が不自由 で字 が書 けない。夜盲症 で、治療 薬 として大 きなサンショウウオを飼 っていた):中村 伸郎 - おはん:
東 静子 (放庵 の5番目 の妻 だったが、喧嘩 して出奔 した)[8] 青池 源 治郎 (「亀 の湯 」の二男 。一時期 家 を離 れ、神戸 で"青柳 洋次郎 "の名 で活動 弁士 をしていた。詐欺 師 の恩田 幾三 の正体 は彼 だった):岸本 功 [9]青池 リカ(源 治郎 の妻 で「亀 の湯 」の女将 ):岸 惠子 青池 歌 名 雄 (源 治郎 とリカの子 。鬼首 村 青年 団 副 団長 ):北 公 次 青池 里子 (同上 ):永島 暎子 - お
幹 (亀 の湯 の女中 ):林 美智子 別所 千惠 (恩田 幾三 と春江 の子 。殺人 犯 恩田 の子 として村人 達 から白 い目 で見 られたが、幼馴染 の歌 名 雄 達 との交友 関係 は続 いた。後 に東京 で国民 的 スター歌手 "大空 ゆかり"となり、故郷 に錦 を飾 った):仁科 明子 別所 春江 :渡辺 美佐子 別所 辰蔵 (春江 の兄 。仁礼 家 の葡萄酒 酒造 工場 工場 長 だがいつも酔 っ払 っている):常田 富士男 日下部 是 哉(千恵 のマネージャー):小林 昭二 由良 五 百 子 (隠居 の老婆 。泰子 の祖母 。「鬼首 村 手毬 唄 」を唄 い、耕 助 に事件 解決 のヒントを与 えた):原 ひさ子 (ノンクレジット)由良 泰子 (恩田 と敦子 の娘 。歌 名 雄 と恋仲 ):高橋 洋子 由良 敦子 (泰子 の母 。未亡人 ):草笛 光子 由良 敏郎 (由良 家 当主 。泰子 の兄 ):頭師 孝雄 由良 栄子 :川口 節子 仁礼 嘉平 (仁礼 家 の当主 。ブドウ農家 で村 で最大 の有力 者 ):辰巳 柳太郎 仁礼 文子 (恩田 と咲枝 の娘 ):永野 裕紀子 仁礼 咲 江 →司 咲枝 (嘉平 の妹 。文子 を産 んだ後 鳥取 の司 家 へ嫁 いだ):白石 加代子 仁礼 直 太 (嘉平 の長男 ):大 羽 吾朗 仁礼 路子 (直 太 の妻 ):富田 恵子 仁礼 流 次 (嘉平 の二男 。鬼首 村 青年 団 団長 ):潮 哲也 村上 五郎 (鬼首 村 青年 団 団員 ):大和田獏 立花 捜査 主任 (岡山 県警 の刑事 で本 作 では警部 だが、原作 では警部補 。耕 助 が捜査 に関 わることが気 に入 らない):加藤 武 野津 刑事 (立花 の部下 ):辻 萬長 中村 巡査 (鬼首 村 の駐在 ):岡本 信人 中村 巡査 の妻 :木島 幸 権堂 医師 (青池 源 治郎 殺人 事件 の監察 医 ):大滝 秀治 野呂 十兵衛 (元 活動 写真 の楽士 。源 治郎 と一緒 に仕事 をしていた):三木 のり平 野呂 の妻 :沼田 カズ子 (ノンクレジット)活動 弁士 (声 のみ):松田 春 翠 井筒 いと(総社 町 の旅館 「井筒 」の女将 で、放庵 と懇意 だった。洪庵 の元 妻 はんが彼 の元 へ戻 ったと耕 助 が話 した際 、彼女 が既 に故人 であることを教 えた):山岡 久乃 鑑識 員 :日笠 潤一 作業 服 の男 :湯沢 勉 鬼首 村 村役場 の職員 :原田 力 鬼首 村 の女 :記 平 佳枝 役名 不明 :清水 のぼる、早田 文治 、武田 倫 一 、伊東 しづ子 、尾崎 順子 、梶原 恵
スタッフ
[監督 :市川 崑 製作 :田中 収 、市川 崑 製作 補佐 :藤田 光男 企画 :角川 春樹 事務所 原作 :横溝 正史 脚本 :久 里子 亭 音楽 :村井 邦彦 編曲 :田辺 信一 - シンセサイザー
演奏 :深町 純 演奏 :東宝 スタジオ・オーケストラ(東宝 レコード)- <
鬼首 村 手毬 唄 >作詞 :横溝 正史 、作曲 :村井 邦彦 、編曲 :田辺 信一 撮影 :長谷川 清 美術 :村木 忍 録音 :田中 信行 照明 :佐藤 幸次郎 編集 :小川 信夫 、長田 千鶴子 助監督 :岡田 文 亮 製作 担当 者 :村上 久之 監督 助手 :橋本 伊三郎 、吉田 一夫 、米田 興 弘 美術 助手 :志村 恒男 、白木 勝彦 、頓所 修身 合成 :三瓶 一信 - スチール:
橋山 直己 録音 :アオイスタジオ協力 :マツダ映画 社 現像 :東洋 現像 所
登場 した鉄道 車両
[ラストシーンで
227
映像 ソフト
[レーベル | ||||
---|---|---|---|---|
VHS | TG1180 | |||
VHS | TG4754S | |||
LD | TLL2348 | |||
LD | TLL2480 | |||
2015 |
DVD | TDV-25092D | ||
2023 |
Blu-ray | TBR-33036D |
脚注
[- ^ a b 『
キネマ旬報 ベスト・テン全 史 : 1946-2002』キネマ旬報社 、2003年 、223頁 。ISBN 4-87376-595-1。 - ^ 『
完本 市川 崑 の映画 たち』、2015年 11月発行 、市川 崑 ・森 遊 机 、洋 泉 社 、P299~302 - ^ 『
完本 市川 崑 の映画 たち』、2015年 11月発行 、市川 崑 ・森 遊 机 、洋 泉 社 、P300 - ^ 『
完本 市川 崑 の映画 たち』、2015年 11月発行 、市川 崑 ・森 遊 机 、洋 泉 社 、P299 - ^ a b 『
完本 市川 崑 の映画 たち』、2015年 11月発行 、市川 崑 ・森 遊 机 、洋 泉 社 、P302 - ^ a b 『
完本 市川 崑 の映画 たち』、2015年 11月発行 、市川 崑 ・森 遊 机 、洋 泉 社 、P303 - ^
被害 者 たちの年齢 が事件 発生 時期 の設定 に連動 するのは、生年 がトーキーによる青池 源 治郎 の失職 時期 に固定 されるからである。この設定 変更 は、テレビ本 放送 が始 まる1953年 (昭和 28年 )以前 とすることによりテレビに浸食 されていない映画 産業 だけの空間 の中 で犯行 動機 を描 くことが目的 であり、手毬 唄 がテレビ放送 で歌 われていた1961年版 映画 との差別 化 を意図 しているという指摘 がある。山口 直孝 「探偵 映画 のモードとアポリア」『横溝 正史 研究 2』戎 光 祥 出版 、2010年 8月 10日 、62-63頁 。ISBN 978-4-86403-007-6。 - ^ 『
市川 崑 「悪魔 の手毬 唄 」完全 資料 』、2017年 8月 24日 発行 、洋 泉 社 、P82 - ^ 『
市川 崑 「悪魔 の手毬 唄 」完全 資料 』、2017年 8月 24日 発行 、洋 泉 社 、P187