CP/Mのシステムディスク
CP/M (Control Program for Microcomputers、シーピーエム)は、1970年代 ねんだい にデジタルリサーチ (Digital Research Inc.) の創業 そうぎょう 者 しゃ であるゲイリー・キルドール によって開発 かいはつ され、1976年 ねん [ 1] に発売 はつばい された、パソコン 向 む けのシングルユーザー・シングルタスク のオペレーティングシステム (OS) である。
当初 とうしょ は8ビット のCPU であるインテル の8080 プロセッサ 向 む けに作 つく られ、8ビットパソコン用 よう OSとして最 もっと も代表 だいひょう 的 てき な存在 そんざい となった。初期 しょき に普及 ふきゅう したバージョンはCP/M 1.4で、その後 ご 、改訂 かいてい されたCP/M 2.2が広 ひろ く普及 ふきゅう した。さらに、より洗練 せんれん されたCP/M 3.0 (CP/M Plus) も登場 とうじょう したが、既 すで に16ビット マシンへの移行 いこう が始 はじ まっていたため、広 ひろ く普及 ふきゅう することはなかった。
他 た のプロセッサ向 む けに移植 いしょく されたバージョンも存在 そんざい するが、「CP/M」と言 い えば一般 いっぱん 的 てき に8080プロセッサ向 む けのもの(特 とく にバージョン2.2)を指 さ す。なお、マイクロソフト によってOEM されIBM に提供 ていきょう されたPC DOS (および、後 のち にマイクロソフト自 みずか らが販売 はんばい したMS-DOS )は、CP/Mをモデルにシアトル・コンピュータ・プロダクツ が開発 かいはつ した86-DOS を前身 ぜんしん としている。
CP/Mは8080マイクロプロセッサ(およびその上位 じょうい 互換 ごかん CPU)、0番地 ばんち から配置 はいち されたRAM (最小 さいしょう はCP/M 1.4で16KB)、最低 さいてい 1台 だい の8インチフロッピーディスク 装置 そうち 、シリアル端末 たんまつ (CRT ディスプレイ とキーボード 、あるいはASR-33 のようなテレタイプ端末 たんまつ )があれば動作 どうさ した。オプションとして、プリンタ 、紙 かみ テープ読取 よみと 装置 そうち ・紙 かみ テープ穿孔 せんこう 装置 そうち 、ハードディスク 装置 そうち をサポートした。一般 いっぱん 的 てき には32KB以上 いじょう 、可能 かのう なら56KBくらいのRAMがあると、当時 とうじ としては大 だい 規模 きぼ なコンパイラなどが実行 じっこう できた。
CP/Mは、シェル であるCCP (Console Command Processor)、OSの本体 ほんたい であるBDOS(ビードス、Basic Disk Operating System)、入出力 にゅうしゅつりょく を処理 しょり する下位 かい プログラムの集合 しゅうごう 体 たい であるBIOS (バイオス、Basic Input and Output System)で構成 こうせい される。ハードウェア依存 いぞん 部分 ぶぶん はBIOSに集中 しゅうちゅう させてあるので、BIOSだけを変更 へんこう することで大抵 たいてい のハードウェアに移植 いしょく 可能 かのう となっていた。BIOSの機能 きのう はシステムの初期 しょき 化 か 、CCPのリブート(アプリケーション 実行 じっこう の終了 しゅうりょう とシェルの再 さい 起動 きどう )、コンソール などのキャラクタデバイス のリダイレクト 付 づけ 入出力 にゅうしゅつりょく 、フロッピーディスク/ハードディスク等 とう の1セクタ 単位 たんい の入出力 にゅうしゅつりょく だけである。
なお、BIOSという用語 ようご は一般 いっぱん 化 か して普通 ふつう 名詞 めいし となり、PC/AT互換 ごかん 機 き の普及 ふきゅう 以降 いこう はROMに記録 きろく された低 てい レベル入出力 にゅうしゅつりょく プログラムを指 さ すことが多 おお くなったが、CP/MにおけるBIOSは殆 ほとん どの場合 ばあい はディスクからメモリにロードされるものである。
CCPに内蔵 ないぞう されているコマンドをビルトインコマンド (built-in command) といい、次 つぎ のようなものがある。
DIR
REN
TYPE
それぞれ、MS-DOS の同名 どうめい コマンドと同様 どうよう 。
ERA
MS-DOSのDEL (ERASE)に相当 そうとう 。
SAVE
アドレス0100hから、256バイトを1ページとして指定 してい のページ数 すう のメモリイメージをディスクに記録 きろく する。
USER
ユーザ切 き り替 か え。主 おも に、MP/Mでユーザごとに記録 きろく されたファイルを扱 あつか うために存在 そんざい する。CP/M単独 たんどく ではあまり意味 いみ がない。
これ以外 いがい はトランジェントコマンドに委 ゆだ ねている。
フロッピーディスクに実行 じっこう ファイルとして記録 きろく されているコマンドをトランジェントコマンド (transient command)という。
次 つぎ のようなものがある。
STAT
ディスクやファイルのサイズを表示 ひょうじ する、ファイルの保護 ほご 属性 ぞくせい を表示 ひょうじ ・変更 へんこう する、デバイスのリダイレクト状況 じょうきょう を表示 ひょうじ ・変更 へんこう する、など様々 さまざま なシステムの状態 じょうたい を表示 ひょうじ ・操作 そうさ する。
PIP
周辺 しゅうへん 装置 そうち やディスクの間 あいだ でファイルをコピーする(Peripheral Interchange Program )。DEC のPDPシリーズ のコマンドに由来 ゆらい する。
SUBMIT
バッチファイル を実行 じっこう する。
ED
キャラクタ単位 たんい のラインエディタ。
ASM
8080用 よう アブソリュートアセンブラ 。
LOAD
ASMの出力 しゅつりょく したオブジェクト(インテルHEXフォーマット )を.COMファイルに変換 へんかん する。コマンド名 めい から機能 きのう を連想 れんそう しづらいことで有名 ゆうめい 。
DUMP
ファイルの16進 しん ダンプ ツール。アセンブリソースコードが添付 てんぷ されており、プログラミングのサンプルでもあった。特 とく に、ASCIIダンプがついていなかったため、この機能 きのう を追加 ついか することは定番 ていばん の改造 かいぞう だった。
DDT
セルフ環境 かんきょう のデバッガ (Dynamic Debugging Tool)。殺虫 さっちゅう 剤 ざい のDDT にかけた命名 めいめい である。
XSUB
バッチ処理 しょり 中 ちゅう にコンソール入力 にゅうりょく をファイルから取得 しゅとく する際 さい にSUBMITと同時 どうじ に用 もち いる。CP/M 2.x以降 いこう に用意 ようい された。
MOVCPM
CP/M自身 じしん の再 さい 配置 はいち ツール (move CP/M)。CP/M自身 じしん のコードは実装 じっそう されたRAMの最 さい 上位 じょうい に配置 はいち される。つまり、実装 じっそう メモリが変 か わるとCP/M自身 じしん の配置 はいち を変更 へんこう する必要 ひつよう があった。リロケータブル でない8080コードで書 か かれたBDOSとCCPを再 さい 配置 はいち するためのツールがMOVCPMである。各 かく マシン向 む けのBIOS (Customized BIOS, CBIOS) はソースコードが供給 きょうきゅう されるのが普通 ふつう だったので、インストールする人 ひと が自分 じぶん で再 さい アセンブルすることで必要 ひつよう なアドレスで実行 じっこう できるバイナリを得 え られた。
パソコンメーカーが自社 じしゃ 製品 せいひん 用 よう に供給 きょうきゅう するCP/Mのパッケージには、上記 じょうき 以外 いがい にもフロッピーのフォーマットやコピー、ハードウェアの設定 せってい など独自 どくじ コマンドが追加 ついか されていることが多 おお かった。
なお、トランジェントコマンドがロードされるメモリ上 じょう の領域 りょういき (0100H - ) をTPA (Transient Program Area) と呼 よ ぶ。
CP/Mの特徴 とくちょう 的 てき な仕様 しよう の一 ひと つに、リブート (ウォームブート、ウォームスタート)[ 注 ちゅう 1] がある[ 3] [ 注 ちゅう 2] [ 4] 。リブートとは、アプリケーションの終了 しゅうりょう 、または^Cの入力 にゅうりょく により、ディスクからCCPとBDOSをロードし直 なお してCCPのコマンドラインに戻 もど ることをいう。他 た のOSのように、IPL から完全 かんぜん に再 さい 起動 きどう することを指 さ すわけではない。
リブートは以下 いか の場合 ばあい に発生 はっせい する。
CP/Mのアプリケーションは、終了 しゅうりょう してOSに戻 もど るために、0番地 ばんち にジャンプする (JMP 0)。
CCPのコマンドライン上 じょう 、またはアプリケーションの動作 どうさ 中 ちゅう に、^Cを入力 にゅうりょく すると、任意 にんい にリブートすることができる。
ディスクI/Oでエラー(BDOSエラー)が発生 はっせい した際 さい に、Abort(中断 ちゅうだん )を選 えら ぶとリブートする。
いずれの場合 ばあい も最終 さいしゅう 的 てき にBIOSの先頭 せんとう にジャンプし、BIOSはドライブAのディスクのシステム領域 りょういき からCCPとBDOSをメモリにロードし、CCPの先頭 せんとう にジャンプする。これにより、CCPのコマンドラインに戻 もど ることになる。リブートはCP/Mの使用 しよう 中 ちゅう に頻繁 ひんぱん に発生 はっせい するので、ドライブAにはCCPとBDOSの入 はい ったフロッピー(通常 つうじょう 、CP/Mの起動 きどう フロッピー)を入 い れておく必要 ひつよう がある。
CCPとBDOSをロードするのは、アプリケーションによって破壊 はかい されている可能 かのう 性 せい があるためである。
アプリケーションの動作 どうさ 中 ちゅう にはCCPは不要 ふよう なので、CP/MのアプリケーションはCCPのメモリ領域 りょういき を食 く いつぶしてもよいことになっている。さらに、滅多 めった に存在 そんざい しないが、BDOSすら利用 りよう しないアプリケーションでは、BDOSも食 く いつぶしてよい。そのため、アプリケーションの終了 しゅうりょう 時 じ にはCCPとBDOSをロードする必要 ひつよう がある。ただし、小規模 しょうきぼ なアプリケーションでは、JMP 0でなく単 たん にRET命令 めいれい でCCPに直接 ちょくせつ 戻 もど るものもある。この場合 ばあい はリブートは発生 はっせい しない。なお、MS-DOSにおいても、COMMAND.COM の非常駐 ひじょうちゅう 部 ぶ の再 さい ロードという、似 に たような機能 きのう がある。
このようにリブートとはCP/Mにおけるきわめて基本 きほん 的 てき かつ重要 じゅうよう な動作 どうさ であるが、一方 いっぽう で多 おお くのユーザーにとっては苦 にが い思 おも い出 で を呼 よ び起 お こす言葉 ことば でもある。
CP/Mでは、フロッピーの入 い れ替 か えを検出 けんしゅつ すると、前 まえ のフロッピーのデータを現在 げんざい のフロッピーに書 か き込 こ んでしまうことを避 さ けるため、一時 いちじ 的 てき にフロッピーへのアクセスをリードオンリーに限定 げんてい し、リブートすることで解除 かいじょ する。すなわち、CP/Mでフロッピーを入 い れ替 か えるときは、アプリケーションが動作 どうさ 中 ちゅう であればまず終了 しゅうりょう し、フロッピーを入 い れ替 か えてから^Cを押 お さなければならない 。これを怠 おこた って、アプリケーションを終了 しゅうりょう せずにディスクを入 い れ替 か えてリードオンリーになってしまっているフロッピーにデータを書 か き込 こ もうとすると、BDOSエラーが発生 はっせい し、データは書 か き込 こ めず、リブートを余儀 よぎ なくされ、データは失 うしな われる。この事態 じたい に見舞 みま われる“よくある状況 じょうきょう ”としては、フロッピーの残 のこ り記録 きろく 容量 ようりょう が足 た りないことに気付 きづ かずに作業 さぎょう をしている際 さい が挙 あ げられる。こうなると、もはや通常 つうじょう の操作 そうさ ではその作業 さぎょう 結果 けっか を残 のこ す方法 ほうほう がない。救済 きゅうさい 方法 ほうほう としては、一旦 いったん BDOSエラーを発生 はっせい させ、saveコマンドで空 そら ディスクにメモリイメージを記録 きろく し、サードパーティー製 せい ディスク操作 そうさ ソフトを使用 しよう してその記録 きろく 内容 ないよう のうちトランジェントコマンド部分 ぶぶん を削除 さくじょ した上 うえ ディレクトリ情報 じょうほう を書 か き換 か える方法 ほうほう がある。これは推奨 すいしょう された使用 しよう 方法 ほうほう からは大 おお きく外 はず れた事態 じたい であり、救済 きゅうさい に失敗 しっぱい することもまれではない。
これはCP/Mの重大 じゅうだい な問題 もんだい 点 てん で、この事態 じたい に陥 おちい ったときに表示 ひょうじ される"Bdos Err On x: $R/O "(x:はドライブレター )というメッセージは、PC-9800シリーズのMS-DOSの"Int trap halt"や、Windows 3.1の一般 いっぱん 保護 ほご 例外 れいがい (GPE)、Windows 95/NTの青 あお 画面 がめん 、Classic Mac OS の爆 ばく 弾 だん マーク と同様 どうよう に、ユーザーを恐怖 きょうふ と絶望 ぜつぼう におとしいれた。
この問題 もんだい は、後 ご のPersonal CP/MやCP/M Plus、CP/M-86では改善 かいぜん されている。
雑誌 ざっし InfoWorld (英語 えいご 版 ばん ) 1982年 ねん 11月29日 にち 号 ごう に掲載 けいさい されたCP/Mの広告 こうこく
キルドールは、インテルからマイクロコンピュータ開発 かいはつ システム (MDS) 用 よう の高級 こうきゅう 言語 げんご を受注 じゅちゅう 。PL/I 風 ふう に作 つく られた8080用 よう のシステム記述 きじゅつ 向 む け言語 げんご であるPL/M (Programming Language for Microcomputer、後 ご のPL/M-80)コンパイラ を開発 かいはつ した。
このPL/Mの動作 どうさ 環境 かんきょう として、キルドールがインテルに提案 ていあん したフロッピーディスク ベースのDOS があった。これは採用 さいよう されなかったため、後 のち に自 みずか ら販売 はんばい することにしたものがCP/Mである。インテルは後 のち に8080/8085からの移行 いこう を支援 しえん するため、8086 /8088 用 よう にPL/M-86を開発 かいはつ した。
ゲイリー・キルドール が1974年 ねん に開発 かいはつ したオリジナルのCP/M[ 5] [ 6] は、インテル Intellec-8 開発 かいはつ システム用 よう に開発 かいはつ されたもので、シュガートアソシエイツ の8インチフロッピーディスク ドライブを独自 どくじ のフロッピーディスクコントローラー (英語 えいご 版 ばん ) [ 7] で接続 せつぞく していた。キルドールは自分 じぶん で開発 かいはつ したマイクロプロセッサ用 よう のプログラミング言語 げんご であるPL/M で記述 きじゅつ した[ 8] 。キルドールはメインフレーム コンピュータのDECsystem-10 を開発 かいはつ に使用 しよう したことがあり、そのOSであるTOPS-10 の影響 えいきょう を大 おお きく受 う けていた[ 9] [ 10] [ 11] 。
CP/Mは元々 もともと Control Program/Monitorの略称 りゃくしょう で[ 12] 、OSが起動 きどう する前 まえ の小 ちい さな内蔵 ないぞう モニターを意味 いみ していた。しかし商品 しょうひん 化 か のため1977年 ねん 11月に商標 しょうひょう 登録 とうろく した際 さい にはControl Program for Microcomputersの略 りゃく であるとされた[ 6] 。CP/Mの名前 なまえ は当時 とうじ 流行 りゅうこう していたスタイルに従 したが ったもので、例 たと えばキルドールが開発 かいはつ したプログラミング言語 げんご はPL/Mであり、プライムコンピュータが開発 かいはつ したプログラミング言語 げんご はPL/P (Programming Language for Prime)で、いずれもIBMのPL/I からインスパイアされた。またIBMにはCP/CMSというオペレーティングシステムがあり、キルドールはNaval Postgraduate School(NPS)で働 はたら いている時 とき にこれを使 つか っていた。
CP/Mの名前 なまえ の変遷 へんせん は、キルドールと、キルドールの妻 つま であり共同 きょうどう 経営 けいえい 者 しゃ でもあるドロシー・マキュアン[ 13] が、キルドールの個人 こじん 的 てき なプロジェクトに過 す ぎなかったCP/Mと、インテルと契約 けいやく していたPL/Mをビジネスに変 か えるための努力 どりょく の一環 いっかん だった。IBMとマイクロソフトが後 のち にパソコンの代名詞 だいめいし となったように、デジタルリサーチがマイクロコンピュータの代名詞 だいめいし となることをキルドールは意識 いしき していた。
インターギャラクティック・デジタルリサーチは後 のち にデジタルリサーチへと社名 しゃめい 変更 へんこう の登記 とうき 手続 てつづ きを行 おこな った[ 13] 。
1981年 ねん 9月 がつ までにデジタルリサーチは25万 まん 本 ほん のCP/Mを販売 はんばい していた。InfoWorldによるとこれにはサブライセンスが含 ふく まれておらず実際 じっさい のマーケットシェアはさらに大 おお きいとされた。様々 さまざま な企業 きぎょう が様々 さまざま なCP/Mマシンを販売 はんばい した。InfoWorldは「CP/Mがマイクロコンピュータ用 よう のオペレーティングシステムとしてその地位 ちい を確実 かくじつ に確立 かくりつ しつつある」と述 の べた[ 14] 。非常 ひじょう に多 おお くのアプリケーションがあったため多 おお くのコンピュータメーカーがCP/Mをサポートした。ゼロックスは「文字通 もじどお り数 すう 千 せん 本 ほん のアプリケーションがあるのにこれをサポートしないのは賢 かしこ い選択 せんたく とは言 い えない」としてXerox 820に対応 たいおう した[ 15] 。デジタルリサーチのマニュアルは1982年 ねん にInfoWorldから批判 ひはん されるほど酷 ひど く[ 16] 、ゼロックスはハワード・サムが執筆 しっぴつ したCP/Mマニュアルを同社 どうしゃ の製品 せいひん に同 どう 梱 こり した。1984年 ねん までにコロンビア大学 ころんびあだいがく はファイル転送 てんそう プロトコルのカーミット を1つのソースコードから複数 ふくすう のCP/M機 き 用 よう のバイナリを出力 しゅつりょく できるようにしており、またどのCP/M機 き でも動作 どうさ する汎用 はんよう 版 ばん も開発 かいはつ した[ 17] 。このオペレーティングシステムは複数 ふくすう のプログラムが異 こと なるハードウェアと標準 ひょうじゅん 的 てき な方法 ほうほう で通信 つうしん でき、自 みずか らをソフトウェア・バスと呼 よ んだ[ 18] 。一部 いちぶ の例外 れいがい を除 のぞ き、CP/Mに記述 きじゅつ されたプログラムは他 た のマシンでも動作 どうさ する互換 ごかん 性 せい があり、エスケープシーケンス だけを使 つか ってコンソール やプリンタを制御 せいぎょ することが互換 ごかん 性 せい を維持 いじ するために求 もと められた。この互換 ごかん 性 せい の高 たか さがCP/Mの普及 ふきゅう を促 うなが し、特定 とくてい のハードウェアだけで動作 どうさ するソフトウェアよりもCP/M上 うえ で動作 どうさ するソフトウェアがより多 おお く開発 かいはつ されるようになった。Z80の拡張 かくちょう 命令 めいれい を用 もち いた一部 いちぶ のプログラムは8080や8085で動作 どうさ しなかった。またグラフィック処理 しょり にも互換 ごかん 性 せい の問題 もんだい があり、特 とく にゲームや映像 えいぞう ソフトはパフォーマンスを稼 かせ ぐためにOSやBIOSを経由 けいゆ せず直接 ちょくせつ ハードウェアにアクセスすることが普通 ふつう だった(初期 しょき のDOS機 き にも共通 きょうつう の問題 もんだい があった)。
アップルのCP/Mカード とマニュアル
ビル・ゲイツ によるとApple II シリーズとZ-80 SoftCard の組 く み合 あ わせはCP/Mの動作 どうさ 環境 かんきょう として当時 とうじ 最 もっと も普及 ふきゅう していた[ 19] 。Altair 8800 、IMSAI 8080 、Osborne 1 、Kaypro luggable、MSX など、非常 ひじょう に多 おお くの機種 きしゅ で動作 どうさ した。最 もっと も多 おお く売 う れたCP/M対応 たいおう システムはアムストラッド PCW (英語 えいご 版 ばん ) だと考 かんが えられている。イギリスではリサーチマシーンズ社 しゃ の教育 きょういく 用 よう コンピュータでCP/Mが動作 どうさ し、CP/Mのソースコードが教育 きょういく 用 よう として添付 てんぷ されたほか、Z80コプロセッサを搭載 とうさい したBBCマイクロ でも動作 どうさ した。さらにアムストラッドCPC シリーズ、コモドール128 、TRS-80 、ZXスペクトラム の後期 こうき モデルでも動作 どうさ した。ACニールセン用 よう に開発 かいはつ された、1MBのSSDメモリを搭載 とうさい した携帯 けいたい 用 よう マシンであるNIATでもCP/M 3が動作 どうさ した。
8ビット版 ばん CP/M用 よう に発売 はつばい されたワードプロセッサWordStar の最終 さいしゅう バージョン(バージョン4)の5.25インチフロッピーのインストールディスクとパッケージ。
CP/Mは8ビットマイコン市場 いちば で広 ひろ く普及 ふきゅう したため、CP/M環境 かんきょう で動作 どうさ するプログラムが大量 たいりょう に発売 はつばい されており、ソフトウェア開発 かいはつ 用 よう ソフトのみならず1バイト文字 もじ 圏 けん におけるビジネスソフトウェア も数多 かずおお くあった。
ワードプロセッサ として初 はじ めて広 ひろ く普及 ふきゅう したWordStar と、フルスクリーンエディタのWordMaster、マイクロコンピュータ用 よう として初期 しょき に人気 にんき を博 はく したデータベースのdBase は、いずれも元々 もともと はCP/M用 よう に開発 かいはつ された。WordStar/WordMasterのカーソル移動 いどう キーバインドはダイヤモンドカーソル と呼 よ ばれ、その使 つか いやすさからCP/MやMS-DOSの多 おお くのスクリーンエディタに受 う け継 つ がれた。初期 しょき のアウトラインプロセッサ であるKAMAS(Knowledge and Mind Amplification System)と、その廉価 れんか 版 ばん であるOut-Think(マクロ機能 きのう が削除 さくじょ され8080/V20互換 ごかん として再 さい 設計 せっけい された)もまたCP/M用 よう に開発 かいはつ され、後 のち にMS-DOSへ移植 いしょく された。Delphi の祖先 そせん であるTurbo Pascal や、Microsoft Excel の祖先 そせん であるMultiplan もCP/Mでリリースされた後 のち にMS-DOSへ移植 いしょく された。世界 せかい 初 はつ の表 おもて 計算 けいさん ソフトであるVisiCalc はCP/M用 よう に作 つく られた。SorcimはCP/M用 よう の表 おもて 計算 けいさん ソフトSuperCalc を開発 かいはつ し、CP/M上 うえ ではデファクトスタンダード になった。SuperCalcはMS-DOSの表 おもて 計算 けいさん ソフト業界 ぎょうかい にも参入 さんにゅう した。AutodeskはAutoCAD をCP/Mでリリースした。
BASIC やFORTRAN など当時 とうじ 主流 しゅりゅう のプログラミング言語 げんご を利用 りよう できた。マイクロソフト は、当時 とうじ OEM 各社 かくしゃ より発売 はつばい していたマイコン用 よう のスタンドアロンBASIC とは別 べつ に、CP/M汎用 はんよう のBASIC処理 しょり 系 けい としてM-BASICインタープリタ (MB80) およびコンパイラ (BASCOM) をリリースしていた。他 た に、マクロ 機能 きのう 付 づけ リロケータブルアセンブラ MACRO-80やFORTRAN-80、COBOL-80なども製品 せいひん ラインに存在 そんざい し、これらの言語 げんご 製品 せいひん は当時 とうじ のマイクロソフトの主力 しゅりょく 商品 しょうひん だった。
デジタルリサーチ自身 じしん は、PL/I-80[ 20] 、 CBASIC(ビジネス向 む きBASICコンパイラ)、MACとRMAC(マクロアセンブラとリロケータブル・マクロアセンブラ)、Pascal/MT+(MT Microsystemsから買収 ばいしゅう したZ80 専用 せんよう コードも生成 せいせい できるコンパイラで、高速 こうそく なオブジェクトコードを出力 しゅつりょく した)などを出荷 しゅっか した。
CP/M上 うえ でC言語 げんご の処理 しょり 系 けい として、Leor ZolmanのBDS-C 、Whitesmith、AZTEC、HITECHのCコンパイラ、日本 にっぽん のLSIジャパンのLSI-C80などが有名 ゆうめい だった。日本 にっぽん では、ライフボート(当時 とうじ )とそのOEM供給 きょうきゅう を受 う けたシャープ が、CP/M向 む けに安価 あんか な各種 かくしゅ 言語 げんご のパッケージを販売 はんばい していた。ラインアップとしては、FORTRAN 、COBOL 、LISP 、LOGO 、Prolog 、BDS-C(サブセット)、Pascal 、Forth などが存在 そんざい した。
また、統合 とうごう 開発 かいはつ 環境 かんきょう という概念 がいねん を打 う ち立 た てたボーランド のTurbo Pascal は、WordMasterライクなスクリーンエディタ 、極 きわ めて高速 こうそく なコンパイラと、リンカ のすべてをわずか30KB程度 ていど の実行 じっこう 形式 けいしき に組 く み込 こ んで提供 ていきょう されていた。さらに販売 はんばい 価格 かかく も廉価 れんか に抑 おさ えられていたため、驚 おどろ きの目 め で迎 むか えられ一 いち 時代 じだい を築 きず いた。これは以後 いご のマイコン向 む け開発 かいはつ 用 よう ソフトウェアに影響 えいきょう を与 あた え、同時 どうじ にボーランド社 しゃ の地位 ちい を確立 かくりつ した。
CP/M用 よう のソフトは様々 さまざま な機種 きしゅ に対応 たいおう するためにインストーラー が付属 ふぞく することが多 おお かった[ 21] 。BASICで開発 かいはつ されたプログラムは簡単 かんたん にソースコードを見 み ることができ、コピープロテクト はほとんど無意味 むいみ だった[ 22] 。Kaypro IIの開発 かいはつ 者 しゃ はXerox 820フォーマットを採用 さいよう し、Kayproフォーマットと名付 なづ けてソフトを提供 ていきょう し、この上 うえ でプログラムを実行 じっこう させた[ 23] 。
グラフィック機能 きのう は標準 ひょうじゅん 化 か されておらずコンピュータゲーム のサポートは限定 げんてい 的 てき であったものの、Telengard (英語 えいご 版 ばん ) [ 24] 、Gorillas (英語 えいご 版 ばん ) [ 25] 、Hamurabi (英語 えいご 版 ばん ) 、Lunar Lander (英語 えいご 版 ばん ) 、初期 しょき のテキストアドベンチャー であるゾーク シリーズやコロッサル・ケーブ・アドベンチャー などのテキストベースのゲームが移植 いしょく された。テキストアドベンチャー に強 つよ いインフォコム はCP/Mで定期 ていき 的 てき にゲームをリリースしていた数少 かずすく ない開発 かいはつ 会社 かいしゃ だった。
ユーザ・コミュニティでのフリーソフトウェアの流通 りゅうつう もあり、当時 とうじ はPDS と呼 よ ばれていた。当時 とうじ は通信 つうしん 環境 かんきょう がまだ普及 ふきゅう しておらず、フロッピーで配布 はいふ するのが主流 しゅりゅう だった。CP/M UGなど、組織 そしき 的 てき にソフトの収集 しゅうしゅう と配布 はいふ を行 おこ なっていたユーザグループも存在 そんざい した。Lifeboat Associates (英語 えいご 版 ばん ) はユーザーが開発 かいはつ したフリーソフトウェアを集 あつ めて配布 はいふ した。XMODEM はそうしたフリーウェアの初期 しょき の作品 さくひん の1つで、電話 でんわ からモデム を使 つか って安定 あんてい 的 てき にファイルを転送 てんそう できた。
CP/Mの公式 こうしき な標準 ひょうじゅん フォーマットはIBM System/34 やIBM 3740 で使 つか われた片面 かためん 単 たん 密度 みつど フォーマットの8インチディスクだった。非公式 ひこうしき な5.25インチディスクもあり、フォーマットにはKaypro、Morrow Designs、Osborneなどの種類 しゅるい があった[ 26] [ 16] [ 27] 。InfoWorld は1981年 ねん 9月 がつ に、ソフトウェアメーカーがサポートすべき主 おも なフォーマットは20種類 しゅるい 以上 いじょう あると考 かんが えていると推測 すいそく した[ 14] 。例 たと えばJRT PascalはNorth Star、Osborne、Apple、Heathなどのフォーマットで5.25インチディスクのハードセクタ版 ばん やソフトセクタ版 ばん をリリースし、Superbrainに8インチ版 ばん をリリースした[ 28] 。Ellis ComputingもHeathの両 りょう フォーマットや、2つのTRS-80用 よう CP/Mの改変 かいへん 版 ばん を含 ふく む16種類 しゅるい の5.25インチフォーマットでリリースした[ 29] 。
一部 いちぶ のフォーマットは普及 ふきゅう したが他 た のフォーマットは普及 ふきゅう しなかった。最 もっと も多 おお くのソフトが採用 さいよう したのはXerox 820フォーマットで、Kaypro IIなどの他 ほか のコンピュータも対応 たいおう していた[ 23] [ 30] 。CP/Mが利用 りよう されていた時代 じだい は5.25インチディスクのフォーマットが1社 しゃ に統一 とういつ されるということは無 な く、基本 きほん 的 てき にハードメーカーが異 こと なればフォーマットに互換 ごかん 性 せい がなかった。ソフト自体 じたい はどのマシンで動作 どうさ しても、ソフトメーカーはハード毎 ごと にメディアを分 わ けてソフトを販売 はんばい しなければならなかった。Kayproなど一部 いちぶ のメーカーのディスクドライブは、自社 じしゃ の製品 せいひん でも機種 きしゅ が変 か わると互換 ごかん 性 せい がない事 こと すらあった。こうした状況 じょうきょう によりフォーマット変換 へんかん プログラムが流行 りゅうこう し、混乱 こんらん を軽減 けいげん させる一助 いちじょ になったほか、カーミットなどの通信 つうしん プロトコルによりどのCP/M機 き にもあるシリアルポート を使 つか ってプログラムやデータを転送 てんそう することもできた。
様々 さまざま なフォーマットがハードの特徴 とくちょう や設計 せっけい 者 しゃ の一存 いちぞん により選 えら ばれた。CP/Mはディスクの予 よ 約 やく 領域 りょういき やディレクトリ領域 りょういき のサイズを指定 してい でき、CP/Mのアプリケーションから見 み える論理 ろんり セクタとディスク上 じょう の実際 じっさい の配置 はいち である物理 ぶつり セクタのマッピングなどを指定 してい 可能 かのう だった。各 かく システムはこれらのパラメーターを用 もち いて様々 さまざま なカスタマイズを加 くわ えることができた[ 31] が、一度 いちど 設定 せってい を決 き めた後 のち は、どのような設定 せってい のディスクであるのかを調 しら べる標準 ひょうじゅん 的 てき な方法 ほうほう がなかった。CP/Mの時代 じだい は8インチ、5.25インチ共 とも に様々 さまざま なフロッピーディスクのフォーマットが存在 そんざい しており、異 こと なるCP/Mマシンの互換 ごかん 性 せい は採用 さいよう したディスクドライブのタイプやコントローラーに依存 いぞん した。ディスクはハードセクタ方式 ほうしき とソフトセクタ方式 ほうしき があり、単 たん 密度 みつど や倍 ばい 密度 みつど 、片面 かためん や両面 りょうめん 、35トラック、40トラック、77トラック、80トラック、セクタのレイアウト、サイズ、インターリーブなどの様々 さまざま な違 ちが いがあった。異 こと なるマシン用 よう のディスクを読 よ むために変換 へんかん プログラムを使用 しよう できたが、これもまたディスクのタイプやコントローラーに依存 いぞん した。1982年 ねん 頃 ごろ にはソフトセクタ、片面 かためん 、40トラックの5.25インチディスクがCP/Mソフトの配布 はいふ 用 よう として最 もっと も普及 ふきゅう したフォーマットとなり、Apple II、TRS-80、Osborne 1、Kaypro II、IBM PCなど当時 とうじ 主流 しゅりゅう だったマシンのほとんどが採用 さいよう した。変換 へんかん プログラムはタイプが近 ちか いディスクドライブ用 よう のフォーマットを読 よ むことを可能 かのう にした。例 たと えばKaypro IIはTRS-80 、Osborne 、IBM PC 、Epson QX-10 (英語 えいご 版 ばん ) などのディスクを読 よ めた。80トラックのような他 ほか のフォーマットや、ハードセクタ方式 ほうしき のディスクは全 まった く読 よ めなかった。Epson QX-10などが採用 さいよう した両面 りょうめん ディスクは半分 はんぶん だけデータを読 よ むことができた。Apple IIはAppleのGCRフォーマットだけしか読 よ めず他社 たしゃ のフォーマットを読 よ めなかったため、Appleフォーマット版 ばん のCP/Mソフトを入手 にゅうしゅ するか、またはシリアルポートで転送 てんそう するしかなかった。
CP/M市場 いちば によるディスクフォーマットの断片 だんぺん 化 か は、複数 ふくすう のフォーマットに対応 たいおう したディスクの在庫 ざいこ を抱 かか えたり、複数 ふくすう のフォーマットに対応 たいおう したディスクコピー装置 そうち を購入 こうにゅう したりすることをソフトメーカーに強 し いた一方 いっぽう で、IBM PC はディスクが規格 きかく 化 か されて統一 とういつ されており、1981年 ねん 以降 いこう にCP/Mが急速 きゅうそく に市場 いちば を失 うしな う要因 よういん となった。
1985年 ねん に発売 はつばい されたコモドール128 は末期 まっき に発売 はつばい されたCP/M機 き で、6502ベースのCPUを採用 さいよう しながら、CP/MをサポートするためにZ80も搭載 とうさい していた。CP/Mを使 つか うには、ソフトセクタ40トラックMFM 方式 ほうしき のディスクが読 よ み書 か きできるディスクドライブの1571 (英語 えいご 版 ばん ) か1581 (英語 えいご 版 ばん ) が必須 ひっす だった。
始 はじ めて3.5インチフロッピーを採用 さいよう したSony SMC-70 (英語 えいご 版 ばん ) [ 32] ではCP/M 2.2が動作 どうさ した。
コモドール128 、ラップトップのBondwell-2 (英語 えいご 版 ばん ) 、Micromint/Ciarcia SB-180[ 33] 、MSX 、TRS-80 Model 4 (英語 えいご 版 ばん ) (Montezuma CP/M 2.2が動作 どうさ )なども3.5インチディスク版 ばん のCP/Mが動作 どうさ した。アムストラッドPCW (英語 えいご 版 ばん ) は当初 とうしょ 3インチフロッピーでCP/Mが動作 どうさ し、後 のち に3.5インチフロッピーへ切 き り替 か えた。
S-100バス(アルテアバス)に対応 たいおう したグラフィックシステムは存在 そんざい していたが、CP/Mは1982年 ねん にGSX (Graphics System Extension)をリリースするまでグラフィック機能 きのう を全 まった くサポートしていなかった。当時 とうじ は使用 しよう できるメモリが非常 ひじょう に限 かぎ られており、8ビットのCP/Mでグラフィック機能 きのう が一般 いっぱん 的 てき になることは無 な かった。ほとんどの機種 きしゅ ではテキストモードでアスキーアート により図表 ずひょう を表示 ひょうじ するか、機種 きしゅ 依存 いぞん 文字 もじ を使 つか う事 こと しかできなかった。Kaypro シリーズやTRS-80 Model 4 (英語 えいご 版 ばん ) などの一部 いちぶ の機種 きしゅ は絵文字 えもじ をサポートしており、アセンブラで直接 ちょくせつ ハードウェアを叩 たた くか、BASICからCHR$コマンドを使 つか ってアクセスすることができた。Model 4はオプションのハイレゾリューションボードで640×240ドットのグラフィックを表示 ひょうじ できた。
1979年 ねん にマルチユーザー に対応 たいおう したCP/Mがリリースされた。MP/M は複数 ふくすう のユーザーが1台 だい のコンピューターに接続 せつぞく でき、ユーザーはディスプレイとキーボードを備 そな えた端末 たんまつ が個別 こべつ に与 あた えられた。後 ご のバージョンは16ビットCPUで動作 どうさ した。
CP/M Plus (CP/M 3) システムガイド
1983年 ねん にリリースされた8ビット版 ばん CP/Mの最終 さいしゅう 版 ばん はバージョン3で、CP/M Plusと呼 よ ばれた。CP/M 2.2のアプリケーションと互換 ごかん 性 せい があるMP/Mが持 も つバンク切 き り替 か えによるメモリ管理 かんり 機能 きのう を、MP/Mのシングルユーザー、シングルタスク版 ばん という形 かたち で導入 どうにゅう した。これによりCP/M 3では8080やZ80でも64KB以上 いじょう のメモリを扱 あつか うことができた。ファイルにタイムスタンプを付 つ けるようシステムを設定 せってい できた。またアセンブラとリンカが付属 ふぞく した[ 34] 。CP/M 3は、アムストラッドPCW、アムストラッドCPC 、ZXスペクトラム+3 、コモドール128 、MSX 、ラジオシャック のTRS-80モデル4[ 35] など、8ビットマイコンの最後 さいご の世代 せだい で利用 りよう できた。
DEC PRO-CP/M-80のフロッピーディスク。Z80-Aコプロセッサを搭載 とうさい したDEC Professional 3xxシリーズ用 よう 。
16ビット CPU用 よう のCP/Mも存在 そんざい した。
最初 さいしょ の16ビット版 ばん であるCP/M-86 はIntel 8086 版 はん で、続 つづ けてモトローラ68000 版 はん のCP/M-68K がリリースされた。1982年 ねん にリリースされたオリジナル版 ばん のCP/M-68KはPascal/MT+68k (英語 えいご 版 ばん ) で開発 かいはつ され、後 のち にC言語 げんご に移植 いしょく された。混乱 こんらん を避 さ けるため、オリジナルの8ビット 版 はん CP/MはCP/M-80 と呼 よ ばれるようになった。1982~1983年 ねん 頃 ごろ にオリベッティM20 (英語 えいご 版 ばん ) 用 よう としてZ8000 で動作 どうさ するCP/M-8000 がC言語 げんご で開発 かいはつ された[ 36] 。
CP/M-86はIBM PC の標準 ひょうじゅん OSとなることが期待 きたい されていたが、デジタルリサーチとIBM は開発 かいはつ や契約 けいやく の話 はなし をまとめることができなかった。IBMはマイクロソフトに白羽 しらは の矢 や を立 た て、マイクロソフトは86-DOS をもとにPC DOS を開発 かいはつ して提供 ていきょう した。デジタルリサーチはIBMに対 たい して提訴 ていそ すると脅 おど し、CP/M-86もIBM PCで利用 りよう できるようになったが、マイクロソフトを超 こ えることはできなかった。IBMの設定 せってい 価格 かかく はPC DOSが$40だったのに対 たい してCP/M-86は$240で、その大 おお きな差 さ に顧客 こきゃく は驚 おどろ かされた[ 37] 。
DEC がIBMの対抗 たいこう 馬 ば として発売 はつばい したRainbow 100 (英語 えいご 版 ばん ) は、Z80を使 つか ったCP/M-80と、8088を使 つか ったCP/M-86及 およ びMS-DOSが付属 ふぞく し、CP/M-86とCP/M-80を同時 どうじ に使用 しよう できた。Z80と8088は並列 へいれつ で動作 どうさ した[ 38] [ 39] 。Rainbowでは8ビット版 ばん CP/Mの大量 たいりょう のソフトウェア資産 しさん を続 つづ けて利用 りよう しながら、16ビットのMS-DOSへ移行 いこう することが可能 かのう だった[ 38] 。
モトローラEXORmacs (英語 えいご 版 ばん ) で既 すで に動作 どうさ していたCP/M-68KはAtari ST に搭載 とうさい されて出荷 しゅっか されるはずだったが、アタリはGEMDOS という新 あたら しいDOSを使 つか うことに決 き めた。CP/M-68KはSORDのM68とM68MXでも使 つか われた[ 40] 。
16ビット版 ばん CP/Mのアプリケーションは新 しん CPU向 む けに再 さい コンパイルが必要 ひつよう で、もしアプリケーションがアセンブラ で記述 きじゅつ されている場合 ばあい は、ゲイリー・キルドールが1981年 ねん に開発 かいはつ したトランスレーターのXLT86 を使 つか い、8080用 よう のASMファイルを8086用 よう のA86ファイルに変換 へんかん した。8080のレジスタがどのように使 つか われているのかを分析 ぶんせき し、関数 かんすう 呼 よ び出 だ しを正 ただ しく理解 りかい して、CP/M-80やMP/M-80用 よう に書 か かれたアプリケーションを自動的 じどうてき にCP/M-86 やMP/M-86用 よう アプリケーションへコードを最適 さいてき 化 か しつつ変換 へんかん することができた。XLAT86 はそれ自身 じしん がPL/I-80 で記述 きじゅつ されており、CP/M-80だけでなくDEC VMS (VAX 11/750用 よう と11/780用 よう )でも動作 どうさ した[ 41] 。
アーキテクチャの種類 しゅるい ごとに各々 おのおの トランジェントコマンドの拡張子 かくちょうし が異 こと なっており(CP/M-80:.COM、CP/M-86:.CMD、CP/M-68K:.68Kなど)、同一 どういつ のファイルシステム内 ない で複数 ふくすう のアーキテクチャ 用 よう のCP/Mを混在 こんざい させることが出来 でき た。実際 じっさい の製品 せいひん としては、PC-9800シリーズ 用 よう のSPARKシリーズがあり、実行 じっこう を指示 しじ されたコマンドを拡張子 かくちょうし によって区別 くべつ し、8086で動作 どうさ するコマンドと、Z80 で動作 どうさ するコマンドを混用 こんよう することが出来 でき た。
当時 とうじ 多 おお くの人 ひと が16ビット機 き でもCP/Mが標準 ひょうじゅん になるだろうと考 かんが えていた[ 42] 。1980年 ねん にIBMは、ビル・ゲイツ の提案 ていあん に従 したが ってデジタルリサーチに連絡 れんらく を取 と り[ 43] 、開発 かいはつ 中 ちゅう のIBM PC に提供 ていきょう する新 あたら しいCP/Mのライセンス契約 けいやく について話 はな し合 あ おうとした。秘密 ひみつ 保持 ほじ 契約 けいやく を結 むす ぶことができずに話 はな し合 あ いは決裂 けつれつ し、IBMは代 か わりにマイクロソフトへOSの提供 ていきょう を打診 だしん した[ 44] 。その結果 けっか 生 う まれたMS-DOS は間 ま もなくCP/Mより売 う れるようになった。
初期 しょき バージョンのMS-DOSは基本 きほん となるコンセプトや仕組 しく みがCP/Mと似 に ていた。ファイルのデータ構造 こうぞう が同 おな じで、ディスクドライブにドライブレター(A:
や B:
など)を割 わ り当 あ てる形 かたち も同 おな じだった。ファイルシステム のFAT はCP/Mと比 くら べてMS-DOSが最 もっと も違 ちが う所 ところ だった。全体 ぜんたい 的 てき に大 おお きな違 ちが いがないことから、WordStar やdBase などのCP/Mの人気 にんき ソフトウェアを簡単 かんたん に移植 いしょく できた。一方 いっぽう でCP/Mにあった、ユーザーごとにディスクの領域 りょういき を分割 ぶんかつ する機能 きのう はMS-DOSに採用 さいよう されることはなかった。IBM PCは一部 いちぶ を除 のぞ いて64KB以上 いじょう のメモリを利用 りよう できた一方 いっぽう で、CP/Mは16KBのメモリで動作 どうさ するよう設計 せっけい されていたため、MS-DOSは多 おお くのメモリを使 つか ってCOMMAND.COM の内蔵 ないぞう コマンドを増 ふ やすことができ、フロッピーディスクからコマンドを読 よ む必要 ひつよう が減 へ ることで処理 しょり が速 はや くなり、OSのフロッピーをアプリケーションやデータファイルのフロッピーに変 か えても操作 そうさ できることが増 ふ えて使 つか いやすくなった。
8ビット版 ばん CP/Mのソフトが利用 りよう できるSoftCardのような拡張 かくちょう ボードがIBM PC用 よう にすぐにリリースされたが[ 45] 、マイコン市場 いちば がIBM互換 ごかん 機 き 市場 いちば に移 うつ るにつれてCP/Mのシェアは急速 きゅうそく に小 ちい さくなり、以前 いぜん のようなCP/Mブームが再 ふたた び訪 おとず れることはなかった。マイコン業界 ぎょうかい 誌 し 最大手 さいおおて のByte 誌 し は、IBM PCがリリースされると1年 ねん も経 た たないうちにCP/M関連 かんれん 商品 しょうひん の記事 きじ を事実 じじつ 上 じょう 扱 あつか わなくなった。1983にはS-100ボードの広告 こうこく がわずかにあり、CP/Mソフトの記事 きじ も数 すう 件 けん あったが、1987年 ねん には全 まった く見 み られなくなった。1984年 ねん にInfoWorld が掲載 けいさい した記事 きじ では、企業 きぎょう に普及 ふきゅう したCP/Mを一般 いっぱん 家庭 かてい に広 ひろ めようとする努力 どりょく は失敗 しっぱい に終 お わり、CP/Mソフトは個人 こじん で買 か うには高 たか すぎたとし[ 46] 、1986年 ねん にはこれまで他社 たしゃ が次々 つぎつぎ にCP/Mから撤退 てったい する中 なか でCP/M用 よう の周辺 しゅうへん 機器 きき やソフトのリリースを長 なが く続 つづ けていたKayproがついに8ビット版 ばん CP/M用 よう のソフト開発 かいはつ を中止 ちゅうし してMS-DOS互換 ごかん 機 き の開発 かいはつ 販売 はんばい に集中 しゅうちゅう するという記事 きじ が掲載 けいさい された[ 47] 。
後期 こうき バージョンのCP/M-86はパフォーマンスや使 つか い勝手 がって で大幅 おおはば な進化 しんか を遂 と げた。マルチユーザー版 ばん のMP/Mからマルチプロセスなどの機能 きのう をマージしてコンカレントCP/M となり、Linux の仮想 かそう コンソール のように画面 がめん を切 き り替 か えて複数 ふくすう のアプリケーションを使用 しよう することができるようになった。MS-DOSとの互換 ごかん 性 せい が実現 じつげん してDOS Plusと改名 かいめい され、さらにDR-DOS と改名 かいめい された。一方 いっぽう MP/MもDR-DOSから逆 ぎゃく マージされ、マルチユーザーDOSに改名 かいめい した。
1982年 ねん 2月 がつ 2日 にち に公開 こうかい されたZCPR[ 48] (Z80 Command Processor Replacement)はデジタルリサーチ標準 ひょうじゅん のコンソールコマンドプロセッサ(CCP)をそのまま置 お き換 か えるプログラムで、CCPグループと呼 よ ばれる趣味 しゅみ のユーザーグループが開発 かいはつ した。フランク・ワンチョ、キース・ピーターセン(Simtel (英語 えいご 版 ばん ) の管理 かんり 者 しゃ )、ロン・フローラー、チャーリー・ストローム、ボブ・マティアス、リチャード・コンらが開発 かいはつ に参加 さんか した。実際 じっさい にはリチャードがこのグループを推進 すいしん していた(全員 ぜんいん 電子 でんし メールで連絡 れんらく を取 と り合 あ っていた)。
ZCPR1はニュージャージー にあるアマチュアコンピュータークラブのパソコン通信 つうしん 掲示板 けいじばん SIG/M(Special Interest Group/Microcomputers)のメンバー間 あいだ でディスクを直接 ちょくせつ 手渡 てわた しする形 かたち で配布 はいふ された。
ZCPR2は1983年 ねん 2月 がつ 14日 にち に公開 こうかい された。SIG/Mでディスク10枚 まい 組 ぐみ のパッケージでリリースされた。ZCPR2は2.3にバージョンアップし、8080版 はん もリリースされ、8080や8085でZCPR2が使 つか えるようになった。
ZCPR3[ 49] は1984年 ねん 7月 がつ 14日 にち のパリ祭 さい の日 ひ にSIG/Mからディスク9枚 まい 組 ぐみ のパッケージでリリースされた。ZCPR3のソースコードは一部 いちぶ 機能 きのう を制限 せいげん することで8080用 よう としてビルドすることができ、Z80 ではない機種 きしゅ でも実行 じっこう できた。
1987年 ねん 1月 がつ にリチャード・コンがZCPRの開発 かいはつ から撤退 てったい し、ZCPRを個人 こじん 的 てき に3.1へバージョンアップしていた実績 じっせき のあるジェイ・セージにエシュロンは開発 かいはつ の継続 けいぞく を頼 たの んだ。結果 けっか 的 てき にZCPR 3.3がリリースされた。ZCPR 3.3は8080系 けい CPUをサポートせず、大 おお きな機能 きのう 拡張 かくちょう もなかった。
ZCPRバージョン3には以下 いか の機能 きのう があった。
シェル
エイリアス
I/Oリダイレクト
フロー処理 しょり
名前 なまえ 付 つ きディレクトリ
検索 けんさく パス
カスタムメニュー
パスワード
オンラインヘルプ
ZCPR3.3はまた使 つか い勝手 がって を大幅 おおはば に改善 かいぜん する数 すう 多 おお くのユーティリティがフルセットで付 つ いてきた。当時 とうじ CP/Mユーザーから熱烈 ねつれつ な歓迎 かんげい を受 う けたが、ZCPRだけではCP/Mの衰退 すいたい を止 と めることはできなかった。
旧 きゅう 東 ひがし ドイツ のロボトロン PC 1715 (英語 えいご 版 ばん ) で動作 どうさ する派生 はせい 版 ばん CP/Mの1つSCP
SCP(Single User Control Program (ドイツ語 ご 版 ばん ) )、SCP/M、CP/A、CP/KC、CP/L、CP/KSOB、CP/Z、MICRODOS、BCU880、ZOAZ、OS/M、TOS/M、ZSDOS、M/OS、COS-PSA、 DOS-PSA、CSOC、CSOS、CZ-CPMなど、旧東 きゅうとう ヨーロッパには非常 ひじょう に多 おお くの派生 はせい 版 ばん CP/M-80が存在 そんざい した[ 50] [ 51] 。またSCP1700、CP/K、K8918-OSなどのCP/M-86の派生 はせい 版 ばん も存在 そんざい した[ 51] 。旧東 きゅうとう ドイツのロボトロン などが開発 かいはつ していた[ 51] [ 50] 。
日本電気 にほんでんき (NEC) のPC-8000シリーズ /PC-8800シリーズ 、シャープ のMZシリーズ /X1シリーズ など、Z80プロセッサ搭載 とうさい の8ビットパソコンに移植 いしょく されたCP/Mのパッケージが、ハードメーカーやサードパーティー から提供 ていきょう されていた。特 とく にシャープ自 みずか ら供給 きょうきゅう したX1シリーズ用 よう のものは完成 かんせい 度 ど が高 たか く、しかも安価 あんか だった。
NECのワープロ専用 せんよう 機 き 、文豪 ぶんごう ミニ5シリーズは、特定 とくてい のキーを押 お しながら電源 でんげん を入 い れるとCP/M-80が起動 きどう し、パソコンとして利用 りよう することができた。
ソニー のSMCシリーズのうち、SMC-777 は、CP/M 1.4ベースのSONY FILERというOSを標準 ひょうじゅん 搭載 とうさい した。SMC-70, SMC-70G は、別売 べつう りではあったが事実 じじつ 上 じょう 、CP/M 2.2が標準 ひょうじゅん OSとして利用 りよう されていた。
6809 プロセッサを採用 さいよう した富士通 ふじつう のFMシリーズ でも、オプションのZ80ボードを搭載 とうさい することでCP/Mが動作 どうさ する。ワープロ専用 せんよう 機 き MY OASYSでも同等 どうとう のボードが提供 ていきょう されていた。
シャープのMZ-2500 版 はん はPersonal CP/Mの名前 なまえ で提供 ていきょう された。
MSX に提供 ていきょう されたMSX-DOS は、外見 がいけん はMS-DOS、中身 なかみ はCP/MとでもいうべきOSで、CP/Mのソフトがおおむね動作 どうさ した。
CP/M-86は、日本語 にほんご 化 か されたものが三菱電機 みつびしでんき MULTI 16 、富士通 ふじつう FM-11EX/BS、FM-16β べーた /π ぱい などに標準 ひょうじゅん 採用 さいよう された他 ほか 、NECのPC-9800シリーズ にも提供 ていきょう されていた。三菱電機 みつびしでんき とアスキー によるCP/M-86の日本語 にほんご 化 か の過程 かてい で三菱電機 みつびしでんき 側 がわ の提案 ていあん で策定 さくてい されたのがシフトJIS である。
68000 プロセッサ用 よう のCP/M-68Kは各社 かくしゃ 製 せい パソコンに対応 たいおう する68000搭載 とうさい 拡張 かくちょう CPUボード向 む けに提供 ていきょう された他 ほか 、ソード の68000とZ80をデュアル搭載 とうさい するM68およびシャープX68000 に提供 ていきょう された。また、X68000の標準 ひょうじゅん 添付 てんぷ OSであるHuman68k 上 うえ で動作 どうさ するCP/M-68kエミュレータが2社 しゃ から発売 はつばい された。
一部 いちぶ 機種 きしゅ には、CP/M PlusやコンカンレントCP/M-86も提供 ていきょう されていた。
日本 にっぽん でCD-ROMにて初 はじ めてCP/Mシリーズを提供 ていきょう していたのは、LASER 5であった。このCP/MはNEC PC-8801MC2等 とう を使用 しよう して実機 じっき に導入 どうにゅう 可能 かのう なものである。
初期 しょき のMS-DOS/PC DOS(の前身 ぜんしん であるシアトルコンピュータプロダクツの86-DOS )は、CP/Mをモデルとして設計 せっけい されたため、さまざまな面 めん で類似 るいじ 点 てん が見 み られる。
ファイル名 めい が8文字 もじ +3文字 もじ であり、拡張子 かくちょうし でファイルの種類 しゅるい を区別 くべつ する。実行 じっこう 可能 かのう ファイルの拡張子 かくちょうし は.COMである。ワイルドカード 「*」「?」がある。ワイルドカード自体 じたい はUNIX由来 ゆらい だが、CP/M、MS-DOSとも機能 きのう は大幅 おおはば に簡略 かんりゃく 化 か されている。なお、CP/Mでは「ファイルマッチ」の名称 めいしょう を用 もち いる。
ドライブレター、カレントドライブ、デバイス名 めい などの概念 がいねん がある。
コマンドプロンプト は「>」である(例 れい : A>)。
DIR、REN、TYPEなどのビルトインコマンドがある。
^Sで出力 しゅつりょく の一時 いちじ 停止 ていし 、^Cでアプリケーションの中断 ちゅうだん 、^Pでプリンタ出力 しゅつりょく の切 き り替 か えを行 おこな う。これもUNIX系 けい のシェル環境 かんきょう 由来 ゆらい の機能 きのう である。
CP/MのCCP、BDOS、BIOSの三 さん 層 そう 構造 こうぞう は、MS-DOSではCOMMAND.COM、MSDOS.SYS、IO.SYS(PC DOSではCOMMAND.COM、IBMDOS.COM、IBMBIO.COM)となる。
システムコール の機能 きのう や呼 よ び出 だ し方法 ほうほう 、アプリケーションのメモリ配置 はいち 、コマンドライン 引数 ひきすう の渡 わた し方 かた などが酷似 こくじ している。通常 つうじょう 、MS-DOSでシステムコールを利用 りよう する場合 ばあい には「INT 21H」のソフトウェア割 わ り込 こ み を利用 りよう するという大 だい 原則 げんそく があるが、「CALL 5H」でもそのまま動作 どうさ するようになっていた。アセンブラのソースファイルをMS-DOSへ転送 てんそう 後 ご 、レジスターの名称 めいしょう を置換 ちかん するだけで動作 どうさ するプログラムもある。
ファイルを削除 さくじょ すると、ディレクトリエントリの先頭 せんとう バイトがE5Hになる。
このE5Hという値 ね は、当時 とうじ フロッピーを物理 ぶつり フォーマット する際 さい に書 か き込 こ まれた値 ね に由来 ゆらい する。つまり、物理 ぶつり フォーマット後 ご に論理 ろんり フォーマットする必要 ひつよう がないように設計 せっけい されている。ただし、MS-DOSの場合 ばあい はFAT やブートセクタを書 か き込 こ む必要 ひつよう があるため、別途 べっと 論理 ろんり フォーマットが必須 ひっす である。
一方 いっぽう で、以下 いか のような相違 そうい 点 てん (改善 かいぜん 点 てん )もある。
CP/Mでファイルを削除 さくじょ するERA (ERASE) コマンドに相当 そうとう するMS-DOSのコマンドは、DEL (DELETE) である。ただしERASEという別名 べつめい も使用 しよう 可能 かのう 。
CP/MのDIRコマンドは、MS-DOSのDIR/Wに相当 そうとう する出力 しゅつりょく 形式 けいしき しかない。ファイルの詳細 しょうさい を知 し るにはSTATコマンドを使 つか う。
CP/MのRENコマンドは「REN 新 しん ファイル名 めい = 旧 きゅう ファイル名 めい 」と書 か き、さらにMS-DOSのそれとは引数 ひきすう の順序 じゅんじょ が逆 ぎゃく である。
CP/MではファイルのコピーはトランジェントコマンドのPIPを必要 ひつよう としたが、MS-DOSでは内部 ないぶ コマンドのCOPYで行 おこな える。引数 ひきすう の順序 じゅんじょ もRENコマンドと同様 どうよう に逆 ぎゃく になる。
CP/Mでは前述 ぜんじゅつ したようなフロッピー入 い れ替 か えにまつわる問題 もんだい があるが、MS-DOSではそのようなことはない。
CP/Mではバッチファイル(.SUB)の実行 じっこう にはトランジェントコマンドのSUBMITを必要 ひつよう としたが、MS-DOSではCOMMAND.COM自身 じしん がバッチファイル実行 じっこう 機能 きのう を持 も っている。
CP/MではCCPなどのOS構成 こうせい 要素 ようそ はディスク上 じょう の専用 せんよう 領域 りょういき に格納 かくのう されるが、MS-DOSではCOMMAND.COMについては通常 つうじょう のファイルと同様 どうよう の方法 ほうほう で格納 かくのう されるようになった。
CP/MのディスクI/Oの基本 きほん 単位 たんい は128バイトであり、ファイルサイズも128バイト単位 たんい である。これは、標準 ひょうじゅん メディアが8インチ単 たん 密度 みつど フロッピー(セクタサイズ128バイト)だったことによる。一方 いっぽう 、MS-DOSのディスクI/Oは128/256/512/1024バイトなどの単位 たんい で行 おこな え、ファイルサイズもバイト単位 たんい でとることができる。
CP/Mのファイルシステムではファイルの配置 はいち 情報 じょうほう がディレクトリと一体化 いったいか しており、大 おお きなファイルがあるとディレクトリエントリをいくつも消費 しょうひ するという問題 もんだい があったが、MS-DOSではFATとして独立 どくりつ している。
また、マイクロソフトがCP/M向 む けに出 だ していたソフトでは、コマンドラインのスイッチはスラッシュ で始 はじ まっており(例 れい : M80 =FOO.MAC /R)、PC DOS/MS-DOS 1.xではこれがOS標準 ひょうじゅん の書式 しょしき として受 う け継 つ がれた。
そのため、PC DOS/MS-DOS 2.xで階層 かいそう ディレクトリを導入 どうにゅう する際 さい に、UNIXのようにパス名 めい の区切 くぎ りにスラッシュを使 つか うことができず、バックスラッシュ を使 つか うことになった。
しかし、ASCII のバックスラッシュはISO 646 各国 かっこく 版 ばん で置 お き換 か えが認 みと められており、たとえば日本 にっぽん のJIS X 0201 では円 えん 記号 きごう になっているため、日本 にっぽん のPCではパス名 めい の区切 くぎ りが円 えん 記号 きごう で表示 ひょうじ されることになった。
なお、これはコマンドラインに限 かぎ った話 はなし であり、MS-DOSのシステムコール やWindows APIにパス名 めい を渡 わた す場合 ばあい には、コマンドラインスイッチと混同 こんどう するおそれがないため、区切 くぎ りとしてスラッシュもバックスラッシュも受 う け付 つ ける。
2016年 ねん に、ザイドマン・コンサルティングのボッブ・ザイドマンは、デジタルリサーチ が開発 かいはつ したCP/Mとティム・パターソンが開発 かいはつ し、長年 ながねん 前者 ぜんしゃ のコードを基 もと にしたと疑 うたが われたDOSのソースコードを比較 ひかく し、初版 しょはん のDOSのソースコードがCP/Mのソースコード基 もと にしたかを調 しら べた。
DOSとCP/Mのコマンドを比 くら べると、一致 いっち するものは極 ごく 僅 わず かである。DOSとOS/8のコマンドの間 あいだ には、DOSとCP/Mの間 あいだ よりも共通 きょうつう コマンドが多 おお くある。当該 とうがい コマンドは全 すべ て動作 どうさ を直接 ちょくせつ 表 あらわ す英単語 えいたんご となることが原因 げんいん である。
しかし、両 りょう OSのシステムコールを分析 ぶんせき すると、DOSにあるシステムコールは、明 あき らかにCP/Mのシステムコール を真似 まね るものであることがわかる。同 おな じ機能 きのう を表 あらわ す同 おな じ数字 すうじ がいくつもあることから、ティム・パターソンがDOSを開発 かいはつ した時 とき にCP/Mの説明 せつめい 書 しょ を参考 さんこう にしたことは明 あき らかである。
ザイドマンの結論 けつろん は、DOSはCP/Mのコードを一切 いっさい 基 もと にしていないとのことであるものの、システムコールの多 おお くの部分 ぶぶん が真似 まね られた[ 53] 。
デジタルリサーチは1991年 ねん にノベル に買収 ばいしゅう され、さらにカルデラ(2002年 ねん SCO に改称 かいしょう )に売却 ばいきゃく された。現在 げんざい CP/M資産 しさん は同社 どうしゃ の子会社 こがいしゃ であるリネオ が所持 しょじ しており、その大半 たいはん は同社 どうしゃ の許諾 きょだく を受 う けた「非公式 ひこうしき なCP/Mサイト 」からダウンロードすることが可能 かのう である。
現在 げんざい 、日本 にっぽん 国内 こくない でのCP/Mの商標 しょうひょう は技術 ぎじゅつ 少年 しょうねん 出版 しゅっぱん が保有 ほゆう する[ 54] 。
^ 通常 つうじょう のコールド・スタートに対 たい してこう呼 よ ばれるようになった。
^ なお、国産 こくさん 機 き の多 おお く(NEC PC等 とう )は更 さら に通常 つうじょう の電源 でんげん 断 だん からの再 さい 起動 きどう を「コールドリスタート」、CP/Mのリブート相当 そうとう の再 さい 起動 きどう を「ホットリスタート」とも呼 よ ぶ。
^ 伏見 ふしみ (1982:11)
^ 伏見 ふしみ 1982 , p. 19 大方 おおかた の概念 がいねん について言及 げんきゅう 。
^ この2者 しゃ の用語 ようご はNEC PC-8801シリーズやPC-9801シリーズのリファレンスマニュアル等 とう (機種 きしゅ によって構成 こうせい が違 ちが う場合 ばあい には名称 めいしょう も異 こと なる場合 ばあい があるので一概 いちがい に文献 ぶんけん 名 めい を記載 きさい し得 え ない)に明記 めいき されている。
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