STS-58

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STS-58
きたアフリカ上空じょうくうのコロンビア
任務にんむ種別しゅべつ生物せいぶつがく実験じっけん
運用うんようしゃNASA
COSPAR ID1993-065A
SATCAT №22869
任務にんむ期間きかん14にち12ふん32びょう
飛行ひこう距離きょり9,400,000 km
周回しゅうかいすう225
特性とくせい
宇宙うちゅうコロンビア
着陸ちゃくりく重量じゅうりょう103,146 kg
ペイロード重量じゅうりょう11,803 kg
乗員じょういん
乗員じょういんすう7
乗員じょういんジョン・ブラハ
リチャード・シーアフォス
マーガレット・レア・セッドン
ウィリアム・マッカーサー
デヴィッド・ウルフ
シャノン・ルシッド
マーティン・フェットマン
任務にんむ開始かいし
1993ねん10がつ18にち 14:53(UTC)
打上うちあ場所ばしょケネディ宇宙うちゅうセンターだい39発射はっしゃ施設しせつ
任務にんむ終了しゅうりょう
着陸ちゃくりく1993ねん11月1にち 15:05.42(UTC)
着陸ちゃくりく地点ちてんエドワーズ空軍くうぐん基地きちだい22滑走かっそう
軌道きどう特性とくせい
参照さんしょう座標ざひょう地球ちきゅう周回しゅうかい軌道きどう
体制たいせいてい軌道きどう
きんてん高度こうど284 km
とおてん高度こうど294 km
傾斜けいしゃかく39.0°
軌道きどう周期しゅうき90.3ふん

前列ぜんれつひだりから、ウルフ、ルシッド、セッドン、シーアフォス
後列こうれつひだりから、ブラハ、マッカーサー、フェットマン
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STS-58は、1993ねん10がつ18にちケネディ宇宙うちゅうセンターからコロンビアもちいておこなわれたミッションである。コロンビアがエドワーズ空軍くうぐん基地きち帰還きかんした最後さいごのミッションとなった。

乗組のりくみいん[編集へんしゅう]

バックアップ[編集へんしゅう]

  • ペイロードスペシャリスト1 - ジェイ・バッキー
  • ペイロードスペシャリスト1 - ローレンス・ヤング

ミッションハイライト[編集へんしゅう]

STS-58は、生物せいぶつ科学かがく実験じっけんのためにおこなわれた1993ねんのスペースシャトルのミッションである。ヒトのからだがどのように重力じゅうりょく環境かんきょう適応てきおうしていくかの知識ちしきるために必要ひつよう一連いちれん実験じっけんおこなわれた。実験じっけんは、循環じゅんかんけい調節ちょうせつけい神経しんけいけいすじ骨格こっかくけいかんするものであった。コロンビアの乗組のりくみいん実験じっけん動物どうぶつ(24のケージにれられた48ひきのラット)がけんたいとなり、1991ねん6がつのSLS-1ミッションであつめられたデータとあわせて、1973ねんと1974ねんのスカイラブ計画けいかくられたデータ以来いらいもっとくわしい測定そくてい結果けっかとなった。

乗組のりくみいんは、ほね組織そしき喪失そうしつおよ感覚かんかく受容じゅようたいする微小びしょう重力じゅうりょく影響えいきょうについて理解りかいすることを目的もくてきとする実験じっけんおこなった。宇宙うちゅう受容じゅよう変化へんかかんする前庭ぜんていの2つの実験じっけんは、2にちおこなわれた。ルシッドとフェットマンは、1にちちゅうあたまうごきを記録きろくするよう設計せっけいされたAccelerometer recording Unitとばれるヘッドセットをかぶった。

10月19にちには、唯一ゆいいつちいさな問題もんだい発生はっせいした。回路かいろのブレーカーがトリップし、ラットのケージの1つが一時いちじてき停電ていでんした。ヒューストン管制かんせいいんは、これは電気でんきけいのショートではなく、ブレーカーはリセットされ、ケージの電力でんりょく回復かいふくしたと報告ほうこくした。

マッカーサーとブラハは、3にちから、微小びしょう重力じゅうりょく有害ゆうがい効果こうか対策たいさくのために試験しけんおこなわれていたLower Body Negative Pressure deviceを使つかはじめた。3にん乗組のりくみいん全員ぜんいん尿にょう唾液だえきのサンプルをあつめ、運動うんどう摂取せっしゅした食物しょくもつ飲物のみもの記録きろくった。DSO 612では、飲物のみもの食物しょくもつ組成そせいとともに、長期間ちょうきかん宇宙うちゅう飛行ひこうにおける乗組のりくみいん栄養えいよう必要ひつようエネルギーが観測かんそくされた。

10がつ20日はつか宇宙うちゅうトイレは作動さどうしていたものの、乗組のりくみいんはベッドにまえ、フィルタードアからのわずかなれを検出けんしゅつした。かれらはフィルターを除去じょきょし、さじ1はいほどのみず掃除そうじした。またまんいちそなえて、フィルターをとおして空気くうきをキャビンにもどまえ液体えきたい空気くうき分離ぶんりのため、予備よび分離ぶんりユニットがもちいられることとなった。

10月21にち、レア・セッドンとシャノン・ルシッド、デヴィッド・ヴォルフ、マーティン・フェットマンは、一連いちれん代謝たいしゃ実験じっけんのために、さらに血液けつえき尿にょうのサンプルをあつめた。サンプルの一部いちぶは、前日ぜんじつおこなわれたカルシウム吸収きゅうしゅう実験じっけんのフォローアップだった。カリフォルニア大学だいがくサンフランシスコこうのC.D. Arnaudが支援しえんおこなったこの実験じっけんでは、宇宙うちゅうにおいてカルシウムが維持いじされ、ほね代謝たいしゃ使つかわれる機構きこうについての研究けんきゅうおこなわれた。1991ねんのSLS-1実験じっけんられた予備よびてき結果けっかもとづき、Arnaudは、ほね密度みつど減少げんしょうは、そのほね形成けいせいによって補償ほしょうされないほね分解ぶんかい増加ぞうかによるものとかんがえていた。

10月22にち、SAREXとばれるアマチュア無線むせん使つかって、ブラハとシーアフォスは、テネシーしゅうのシカモア中等ちゅうとう学校がっこうおよテキサスしゅうパサデナのガーデンデール小学校しょうがっこう児童じどうとの交信こうしんおこなった。またこの、シーアフォスによって、軌道きどうじょう1人ひとり乗組のりくみいんによって機器ききをある場所ばしょからべつ場所ばしょ移動いどうし、さい設置せっちすることができることを実証じっしょうするためのSIR(Standard Interface Rack)の試験しけんおこなわれた。

コロンビアにまれて試験しけん飛行ひこうおこなったそのあたらしい装置そうちには、船長せんちょうやパイロットがスペースシャトルの接近せっきん着陸ちゃくりく操作そうさ熟達じゅくたつするためにもちいる道具どうぐとして品質ひんしつたしているかの確認かくにんおこなわれたラップトップコンピュータのシミュレータがある。ラップトップは、オービタの着陸ちゃくりくまえ最後さいごすうふんまえのみ使つかわれるものにたジョイスティックじょうのコントローラをもちいて操作そうさされた。

10月23にち、ペイロードの乗組のりくみいんは、おおくの時間じかんスペースラブせた48ひきのラットの代謝たいしゃ研究けんきゅうついやした。ペイロード船長せんちょうのレア・セッドンとデヴィッド・ヴォルフ、シャノン・ルシッド、そして獣医じゅういのマーティ・フェットマンは、ラットのから血液けつえき採取さいしゅし、血清けっせいりょう測定そくていするために特別とくべつ同位どういたい注射ちゅうしゃすることとなっていた。そのふたた血液けつえき採取さいしゅし、重力じゅうりょく動物どうぶつ赤血球せっけっきゅうかずおよぼす影響えいきょう測定そくていする計画けいかくであった。

アマチュア無線むせん通信つうしんなんおこない、からだ地球ちきゅうさい適応てきおうするのを容易よういにするための真空しんくうバッグでの作業さぎょうわったのち、オービタの乗組のりくみいんであるブラハ、シーアフォス、マッカーサーは、着陸ちゃくりく機会きかいやすために、エンジンの1つを点火てんかしてコロンビアの軌道きどうきん地点ちてん高度こうど150kmから142kmにとす操作そうさおこなった。

10月27にち操縦そうじゅうしゅのリック・シーアフォスは、コロンビアがOrbital Acceleration Research Experimentの一部いちぶとなるよう、コロンビアを手動しゅどう操縦そうじゅうした。この実験じっけんしゅ目的もくてきは、飛行ひこうちゅうおよ大気圏たいきけんさい突入とつにゅう初期しょきにシャトルにはたら空気くうきりょく正確せいかく測定そくていすることである。この情報じょうほうは、将来しょうらいのスペースラブにおける、しずかで振動しんどうすくない環境かんきょう必要ひつよう微小びしょう重力じゅうりょく実験じっけん計画けいかくするさい有益ゆうえきなものである。

10月28にち半日はんにちあいだ休暇きゅうかたのしんだのち乗組のりくみいんは、ヒトや動物どうぶつがどのように重力じゅうりょく環境かんきょう適応てきおうするのかの科学かがくデータをあつつづけた。

レア・セッドンは、彼女かのじょおっとである宇宙うちゅう飛行ひこうロバート・ギブソン英語えいごばん宇宙うちゅう滞在たいざい記録きろく632あいだ56ふんえるときかれ特別とくべつなメッセージをおくった。「かれはまだいいじんで、わたしはまだかれをとてもあいしているけれど、わたしかれげたよりもおおくの時間じかん宇宙うちゅう滞在たいざいした。どう!」と彼女かのじょはふざけてった。しかしセッドンは、かれ彼女かのじょの3かいよりもおおい4かい離着陸りちゃくりくがあることをみとめた。

操縦そうじゅうしゅのリック・シーアフォスは、カリフォルニアしゅう南部なんぶやま火事かじ赤外線せきがいせんカメラで撮影さつえいし、乗組のりくみいんおもいは、ほのおしずめるためにはたらいている消防しょうぼう住居じゅうきょ脅威きょういさらされている住人じゅうにんとともにあるとかたった。かれは、がすぐに制御せいぎょ可能かのうなものとなることをのぞむとかたり、かれ撮影さつえいする写真しゃしんは、気象きしょう学者がくしゃ地質ちしつ学者がくしゃ生態せいたい学者がくしゃ考古こうこ学者がくしゃのために地球ちきゅうかえるとくわえた。