STS-66

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STS-66
ATLAS-3 in アトランティスのペイロードベイでCRISTA-SPASをつかむカナダアーム
任務にんむ種別しゅべつ研究けんきゅう
運用うんようしゃNASA
COSPAR ID1994-073A
SATCAT №23340
任務にんむ期間きかん10日とおか22あいだ34ふん2びょう
飛行ひこう距離きょり7,330,226 km
周回しゅうかいすう174
特性とくせい
宇宙うちゅうアトランティス
ペイロード重量じゅうりょう10,544 kg
乗員じょういん
乗員じょういんすう6
乗員じょういんドナルド・マクモナグル
カーティス・ブラウン
エレン・オチョア
ジョセフ・タナー
ジャン=フランソワ・クレルボワ
スコット・パラジンスキー
任務にんむ開始かいし
1994ねん11月3にち 16:59:43.060(UTC)
打上うちあ場所ばしょケネディ宇宙うちゅうセンターだい39発射はっしゃ施設しせつB
任務にんむ終了しゅうりょう
着陸ちゃくりく1994ねん11月14にち 15:33:45(UTC)
着陸ちゃくりく地点ちてんエドワーズ空軍くうぐん基地きちだい22滑走かっそう
軌道きどう特性とくせい
参照さんしょう座標ざひょう地球ちきゅう周回しゅうかい軌道きどう
体制たいせいてい軌道きどう
きんてん高度こうど296 km
とおてん高度こうど310 km
傾斜けいしゃかく57.0°
軌道きどう周期しゅうき90.6ふん

ひだりから、クレルボワ、パラジンスキー、ブラウン、タナー、マクモナグル、オチョア
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STS-66は、アトランティスもちいておこなわれたスペースシャトル計画けいかくのミッションである。1994ねん11月3にち午前ごぜん1159ふん43.060びょう(EDT)にケネディ宇宙うちゅうセンターだい39発射はっしゃ施設しせつBからげられた。1994ねん11月14にち午前ごぜん1033ふん45びょう(EST)にエドワーズ空軍くうぐん基地きち着陸ちゃくりくした。

乗組のりくみいん[編集へんしゅう]

ハイライト[編集へんしゅう]

アトランティスの打上うちあ
船尾せんびのフライトデッキでカナダアームを操作そうさするオチョア
アトランティスの着陸ちゃくりく

STS-66の主要しゅようペイロードは、Atmospheric Laboratory for Applications and Sciences - 3 (ATLAS-03)であった。これは、太陽たいようのエネルギーについてとそれがいかにして地球ちきゅう気候きこう環境かんきょう影響えいきょうあたえているかを研究けんきゅうする一連いちれんスペースラブ実験じっけん継続けいぞくするものである。ATLAS-03ミッションは、晩秋ばんしゅう北半球きたはんきゅうちゅう緯度いどのスペースシャトルからの詳細しょうさい観測かんそくはじめて提供ていきょうした。北極ほっきょくかいオゾンホール縮小しゅくしょうするタイミングの飛行ひこうによって、大気たいき中層ちゅうそうへのオゾンホールの影響えいきょう可能かのうせい北極ほっきょくかい大気たいき再生さいせいする方法ほうほうふゆちかづくぶし北半球きたはんきゅう大気たいき変化へんかについての研究けんきゅう可能かのうとなった。

ATLAS-03にくわえ、このミッションではCryogenic Infrared Spectrometer Telescope for Atmosphere (CRISTA)の展開てんかい回収かいしゅうおこなわれた。この衛星えいせいは、大気たいき変動へんどうせい調査ちょうさし、1991ねん12月にげられたUpper Atmosphere Research Satellite (UARS)でられたデータを補完ほかんするものであった。CRISTA-SPASは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくドイツ共同きょうどう実験じっけんである。

カードベイないのそののペイロードには、Shuttle Solar Backscatter Ultraviolet (SSBUV-7)、Experiment on the Sun Complementing ATLAS (ESCAPE-II)があった。ミッドデッキないのペイロードには、Physiological & Anatomical Rodent Experiment (PARE/NIR-R)、Protein Crystal Growth-Thermal Enclosure (PCG-TES)、Protein Crystal Growth- Single Locker (PCG-STES)、Space Tissue Loss/National Institute of Health (STL/NIH-C)、Space Acceleration Measurement System (SAMS)、Heat Pipe Performance-2 Experiment (HPP-2)があった。

STS-66は、太陽たいようのエネルギー放出ほうしゅつ地球ちきゅう大気たいき中層ちゅうそう化学かがく組成そせい、これらの要因よういん地球ちきゅうのオゾンレベルにあたえる影響えいきょうについての包括ほうかつてきなデータ収集しゅうしゅうすすめられた。ATLAS-3の7つの機器ききは、以前いぜんの2のATLASミッションでも宇宙うちゅう観測かんそくおこなった。このような宇宙うちゅうからの広範こうはん大気たいき測定そくてい可能かのう機器ききにはなかった。また、NASAとドイツ航空こうくうちゅうセンター共同きょうどうミッションであるCryogenic Infrared Spectrometers and Telescopes for the Atmosphere-Shuttle Pallet Satellite (CRISTA-SPAS)も主要しゅようペイロードだとかんがえられた。このミッションでは、乗組のりくみいんは2つのチームにかれ、1にち24あいだ研究けんきゅうおこなわれた。

カーゴベイのスペースラブのパレットに搭載とうさいされたATLAS-3の機器ききには、大気たいきちゅう痕跡こんせきガスについて、以前いぜんの3飛行ひこう合計ごうけいよりもおおくのデータを収集しゅうしゅうすることを目的もくてきとしたAtmospheric Trace Molecule Spectroscopy (ATMOS)、ふるくなったNOAA-9衛星えいせいやATLAS-3のその機器ききのため、オゾンモニターの校正こうせいようのオゾンの測定そくていることを目的もくてきとしたShuttle Solar Backscatter Ultraviolet Spectrometer (SSBUV)、1991ねんげられたUpper Atmosphere Research Satellite (UARS)を検定けんてい標準ひょうじゅんとしてもちいて、30周回しゅうかいぶん太陽たいよう合計ごうけい放射ほうしゃ非常ひじょう正確せいかく測定そくていすることを目的もくてきとしたActive Cavity Radiometer Irradiance Monitor (ACRIM)、ベルギーが提供ていきょうし、太陽たいよう放射ほうしゃ測定そくていするMeasurement of the Solar Constant (SOLCON)、フランスが提供ていきょうし、波長はちょう関数かんすうとして太陽たいよう放射ほうしゃ測定そくていするSolar Spectrum Measurement (SOLSPEC)、15ねん寿命じゅみょう最高さいこう精度せいど太陽たいよう紫外線しがいせん放射ほうしゃ測定そくていするSolar Ultraviolet Spectral Irradiance Monitor (SUSIM)がある。Millimeter Wave Atmospheric Sounder (MAS)は、コンピュータが故障こしょうし、運用うんようまるまでの9あいだ観測かんそくで、高度こうど20-100kmの水蒸気すいじょうき一酸化いっさんか塩素えんそオゾン分布ぶんぷ測定そくていした。

CRISTA-SPASは、ミッション2にちシャトル・リモート・マニピュレータ・システムから放出ほうしゅつされた。シャトルの後方こうほうやく40-70kmを飛行ひこうし、回収かいしゅうされてカーゴベイにもどされるまで、8日間にちかん以上いじょうのデータの収集しゅうしゅうおこなった。CRISTAの機器ききは、大気たいき中層ちゅうそう痕跡こんせきガスの中規模ちゅうきぼから小規模しょうきぼ分布ぶんぷかんする情報じょうほうはじめてあつめ、大気たいき地球ちきゅうのエネルギー収支しゅうしのよりすぐれたモデルの構築こうちく役立やくだてられた。CRISTA-SPASの2つめの機器ききであるMiddle Atmosphere High Resolution Spectrograph Investigation (MAHRSI)は、高度こうど40-120kmのてい中層ちゅうそうでオゾンを破壊はかいするヒドロキシルラジカル一酸化いっさんか窒素ちっそりょう測定そくていした。MAHRSIは、大気たいきちゅうのヒドロキシルラジカルについての最初さいしょ地球ちきゅう全体ぜんたいのマップを作成さくせいした。

CRISTA-SPASの回収かいしゅうたり、将来しょうらいのスペースシャトルとミールのドッキングにけて、むずかしい接近せっきん方法ほうほう試験しけんされ、成功せいこうした。R-Barアプローチとばれる方法ほうほうで、推進すいしんざい消費しょうひりょうらし、オービタのスラスタからのミールのシステムへの混入こんにゅうのリスクをげるものである。STS-66ののち、アトランティスはミールや国際こくさい宇宙うちゅうステーションへの往来おうらいもちいられるようになり、アトランティス単独たんどくでのミッションは、そのSTS-125まで14年間ねんかんおこなわれなかった。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]