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STS-93

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
STS-93
げられるコロンビア
任務にんむ種別しゅべつ衛星えいせい展開てんかい
運用うんようしゃアメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく
COSPAR ID1999-040A
SATCAT №25866
任務にんむ期間きかん4にち22あいだ49ふん34びょう
飛行ひこう距離きょり2,890,000 km[1]
周回しゅうかいすう80
特性とくせい
宇宙うちゅうスペースシャトルコロンビア
重量じゅうりょう122,534 kg[2]
着陸ちゃくりく重量じゅうりょう99,781 kg[2]
ペイロード重量じゅうりょう22,780 kg[2]
乗員じょういん
乗員じょういんすう5
乗員じょういんアイリーン・コリンズ
ジェフリー・アシュビー
ミシェル・トニーニ
スティーヴン・ホーリー
キャスリン・コールマン
任務にんむ開始かいし
1999ねん7がつ23にち 04:30:59.984(UTC)[3]
打上うちあ場所ばしょケネディ宇宙うちゅうセンターだい39発射はっしゃ施設しせつ
任務にんむ終了しゅうりょう
着陸ちゃくりく1999ねん7がつ28にち 03:20:34.375(UTC)[3]
着陸ちゃくりく地点ちてんケネディ宇宙うちゅうセンター 33ばん滑走かっそう
軌道きどう特性とくせい
参照さんしょう座標ざひょう地球ちきゅう周回しゅうかい軌道きどう
体制たいせいてい軌道きどう
きんてん高度こうど260 km
とおてん高度こうど280 km
傾斜けいしゃかく28.4°
軌道きどう周期しゅうき90ふん

ひだりから: コリンズ、ホーリー、アシュビー、トニーニ、コールマン

STS-93は、1999ねん7がつ23にちげられたスペースシャトルのミッションである。スペースシャトルとして95かいコロンビアとして26かい、また21かい夜間やかんのスペースシャトルの打上うちあげげを記録きろくした。アイリーン・コリンズは、女性じょせいとしてはつのスペースシャトル船長せんちょうつとめた。おもなペイロードは、チャンドラである。コロンビアのつぎ打上うちあげは2002ねん3がつSTS-109になり、このあいだにアップグレードされた。打上うちあげはもともと7がつ20日はつか予定よていされていたが、7びょうまえ中断ちゅうだんされ、その3にち成功裏せいこうりげられた。ペイロードは22.7トンをえ、これまでスペースシャトルがはこんだもっとおもいペイロードとなった[4][5]

乗組のりくみいん[編集へんしゅう]

上昇じょうしょうのトラブル[編集へんしゅう]

上昇じょうしょうにメインエンジンの水素すいそノズルにれが発生はっせいした

メインエンジン点火てんかシーケンスちゅうに、スペースシャトルのだい3(みぎ)エンジンへの酸化さんかざい注入ちゅうにゅうこうふさぐために使用しようされたかねのピンがゆるんではげしく排出はいしゅつされ、エンジンノズルの内面ないめん衝突しょうとつし、水素すいそふくむ3つの冷却れいきゃくチューブを破裂はれつさせた。これにより、しゅ燃焼ねんしょうしつかうれがしょうじた。この異常いじょうごとと、みぎエンジンの制御せいぎょ装置そうちによるリークにたいする自動じどう応答おうとうは、打上うちあ実施じっし基準きじゅん下回したまわることはなく、正常せいじょうげられた。しかし、打上うちあげげからやく5びょう電気でんき系統けいとうのショートにより、中央ちゅうおうエンジンのいちデジタル制御せいぎょユニットDCU-AとみぎエンジンのバックアップユニットDCU-Bが無効むこうになった。中央ちゅうおうみぎのエンジンはのこりのDCUで軌道きどうへの飛行ひこうつづけた。かくエンジン制御せいぎょ装置そうちそなえられた予備よびのDCUがコロンビアとその乗組のりくみいん潜在せんざいてき災難さいなんからすくった。もし飛行ひこうちゅうに2つのエンジンが停止ていしすれば非常ひじょう危険きけん緊急きんきゅう事態じたいまね[6]成功せいこう保証ほしょうされなかった[7]電気でんき系統けいとうのショートは、脆弱ぜいじゃく配線はいせん露出ろしゅつしたねじのあたまこすられたのが原因げんいんであったとのちあきらかになった。この出来事できごとにより、すべてのオービタで配線はいせんさい点検てんけんおこなわれた。

みぎエンジンのれによりSSMEの2つのプレバーナやしゅ燃焼ねんしょうしつれた水素すいそ燃焼ねんしょうしていないため、制御せいぎょ装置そうちしゅ燃焼ねんしょうしつ圧力あつりょくとして間接かんせつてき測定そくていされた出力しゅつりょく推力すいりょく低下ていか検知けんちした[8]。エンジンの出力しゅつりょく指示しじされたレベルまでもどすために、制御せいぎょ装置そうち酸化さんかざいバルブを通常つうじょう以上いじょうひらいた。水素すいそれにくわ酸化さんかざい消費しょうひりょう増加ぞうかし、エンジンにとって適切てきせつ酸素さんそ/水素すいそ混合こんごう6.03から逸脱いつだつし、正常せいじょうよりもあつくなった。上昇じょうしょうちゅう増加ぞうかした酸化さんかざい消費しょうひりょうにより外部がいぶ燃料ねんりょうタンク液体えきたい酸素さんそレベルのひく検知けんちし、予定よていされた燃焼ねんしょう期間きかん直前ちょくぜんに3つのエンジンすべてが早期そうき停止ていしした。エンジン停止ていし速度そくどは、予定よてい速度そくど(7.77 km/s) にたいして 4.6 m/s 不足ふそくしていたが[9]機体きたい安全あんぜん目的もくてき軌道きどうたっし、ミッションは計画けいかくどお完了かんりょうした。この事故じこにより、これまでおこなわれていたように、損傷そんしょうした酸化さんかざい注入ちゅうにゅうこうせんをするのではなく、除去じょきょして交換こうかんするように、メンテナンス手順てじゅん変更へんこうされた。

この3にちまえ最初さいしょ打上うちあげげがこころみられたさいには、点火てんかシーケンスにはい直前ちょくぜん打上うちあげ7びょうまえ打上うちあげが中断ちゅうだんされた。3つのメインエンジンが位置いちするスペースシャトル船尾せんび水素すいそガス濃度のうど監視かんししていたオペレータが、危険きけんなほどたかあやまって表示ひょうじする検出けんしゅつだまされて、カウントダウンを手動しゅどう中止ちゅうししたためであることがのち判明はんめいした[10]

ミッションの目的もくてき[編集へんしゅう]

コロンビアのペイロードベイにおさめられるチャンドラ
窒素ちっそ冷却れいきゃく作業さぎょうするミシェル・トニーニ

STS-93のしゅ目的もくてきは、慣性かんせい上段じょうだんロケットによるチャンドラの展開てんかいである。打上うちあ時点じてんで、チャンドラはもっと洗練せんれんされたXせん天文台てんもんだいで、爆発ばくはつした恒星こうせい残骸ざんがいとうあついガスとう宇宙うちゅうこうエネルギー領域りょういきからのXせん観測かんそくするように設計せっけいされていた。

STS-93のそののペイロードには、Midcourse Space Experiment (MSX)、Shuttle Ionospheric Modification with Pulsed Local Exhaust (SIMPLEX)、Southwest Ultraviolet Imaging System (SWUIS)、Gelation of Sols: Applied Microgravity Research (GOSAMR)、Space Tissue Loss - B (STL-B)、Light mass Flexible Solar Array Hinge (LFSAH)、Cell Culture Module (CCM)、Shuttle Amateur Radio Experiment - II (SAREX-II)、EarthKAM、Plant Growth Investigations in Microgravity (PGIM)、Commercial Generic Bioprocessing Apparatus (CGBA)、Micro-Electrical Mechanical System (MEMS)、Biological Research in Canisters (BRIC)とうがあった。

SIMPLEXは、オービタとそのエンジンの点火てんかによるちょう高周波こうしゅうはレーダーエコーを観測かんそくした。 Principal Investigator(PI)は収集しゅうしゅうしたデータを使用しようして軌道きどう運動うんどうエネルギーが電離層でんりそう不規則ふきそくせいおよぼす影響えいきょう排気はいき物質ぶっしつ排出はいしゅつともなってこるプロセスを調査ちょうさした。

SWUISは、マクストフカセグレンしき紫外線しがいせん望遠鏡ぼうえんきょう紫外線しがいせんくらCCDイメージセンサである。これらにより天体てんたいこう感度かんど測光そっこう可能かのうとした。

GOSAMRは、ゲルしたゾル形成けいせいあたえる微小びしょう重力じゅうりょく影響えいきょう調査ちょうさする実験じっけんである。とくに、おおきな粒子りゅうしちいさなコロイドじょうゾルからなる均質きんしつふくあいセラミック前駆ぜんくたい空間くうかんちゅう製造せいぞうすることができることを実証じっしょうするを目的もくてきとした。

STL-Bは、細胞さいぼう反応はんのう検出けんしゅつし、誘導ゆうどうするためのほぼリアルタイムでインタラクティブな運用うんよう実証じっしょうするために、顕微鏡けんびきょうビデオ撮像さつぞうシステムをもちいて培養ばいようちゅう細胞さいぼう直接ちょくせつ動画どうが観測かんそくする実験じっけんである。

LFSAHは、形状けいじょう記憶きおく合金ごうきんから製造せいぞうされたいくつかの蝶番ちょうつがい構成こうせいされている。形状けいじょう記憶きおく蝶番ちょうつがい採用さいようで、太陽たいよう電池でんちやその宇宙船うちゅうせん附属ふぞくひん衝撃しょうげきしに制御せいぎょしながら展開てんかいすることができる。LFSAHは、多数たすう蝶番ちょうつがい配置はいちによるこのような展開てんかい方式ほうしき可能かのうせい実証じっしょうした。

CCMは、微小びしょう重力じゅうりょくストレスによって誘導ゆうどうされる筋肉きんにくほねおよ血管けっかん内皮ないひ生化学せいかがくてきおよ機能きのうてき損失そんしつのモデルを検証けんしょうすること、標的ひょうてき細胞さいぼうにおける細胞さいぼう骨格こっかく代謝たいしゃまく完全かんぜんせいおよプロテアーゼ活性かっせい評価ひょうかすること、また組織そしき損失そんしつ治療ちりょうやく試験しけんすることを目的もくてきとした。

SAREX-IIは、スペースシャトルと地上ちじょうアマチュア無線むせん運用うんようしゃあいだのアマチュア短波たんぱ無線むせん通信つうしん実現じつげん可能かのうせい実証じっしょうした。また SAREXは、アマチュア無線むせんかいしてスペースシャトルにった宇宙うちゅう飛行ひこう直接ちょくせつはなすことによって、世界中せかいじゅう学校がっこう宇宙うちゅうについてまな教育きょういく機会きかい提供ていきょうした。

EarthKAMは、船尾せんびフライトデッキの右舷うげんけられたElectronic Still Camera (ESC)をもちいて地球ちきゅう観測かんそくおこなった。

PGIMは、宇宙うちゅう飛行ひこう環境かんきょうのストレスが植物しょくぶつ生長せいちょうあたえる影響えいきょう調査ちょうさする実験じっけんである。植物しょくぶつはストレスのある環境かんきょうから移動いどうすることができないため、環境かんきょう検知けんちし、有害ゆうがい環境かんきょうたいして直接ちょくせつてき生理学せいりがくてき応答おうとうおこなうメカニズムを発展はってんさせた。

CGBAは、サンプルの形成けいせい貯蔵ちょぞう機能きのうつ。Generic Bioprocessing Apparatus - Isothermal Containment Module (GBA-ICM)は制御せいぎょされた温度おんどでサンプルの活性かっせい廃棄はいき制御せいぎょし、乗務じょうむいんによる操作そうさ制御せいぎょ、データ伝送でんそうきょうした。

MEMSは、加速度かそくどけいジャイロスコープ環境かんきょうおよび化学かがくセンサーにより、ちゅう微小びしょう重力じゅうりょく、およびさい突入とつにゅうさい環境かんきょう調しらべた。MEMSは自己じこ完結かんけつがたであり、起動きどう停止ていしだけを必要ひつようとした。

BRICは、小型こがた節足動物せっそくどうぶつおよ植物しょくぶつたいする宇宙うちゅう飛行ひこう影響えいきょう調査ちょうさするために設計せっけいされた。

コロンビアは、ケネディ宇宙うちゅうセンターに夜間やかん着陸ちゃくりくした。これは12かいのスペースシャトルの夜間やかん着陸ちゃくりくとなったが、そのうち5かいがエドワーズ空軍くうぐん基地きちのこりがケネディ宇宙うちゅうセンターであった。

特殊とくしゅ荷物にもつ[編集へんしゅう]

2001ねんコインワールドは、1999ねん6がつアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく造幣局ぞうへいきょくウェストポイント造幣局ぞうへいきょくで39まい1ドル金貨きんか鋳造ちゅうぞうしたと暴露ばくろした。硬貨こうか地金じがねは、1/2トロイオンスの25ドルイーグル金貨きんかから特別とくべつ用意よういされたものだった。なぜこれらが鋳造ちゅうぞうされたのかはなぞだったが、2000ねんあたらしく流通りゅうつうしたサカガヴィア・ダラーと関連かんれんした「プレミアム」なコレクションを提供ていきょうしようとしたとかんがえられた。

27まいはすぐに融解ゆうかいされ、のこりの12まいはSTS-93ミッションでコロンビアに搭載とうさいされた。その2まいは、1999ねん8がつ議会ぎかい私的してき夕食ゆうしょくかいと11月の公式こうしきサカガウィア・ダラー英語えいごばんこくセレモニーという2つのイベントにあらわれた。のこりは、2001ねんフォートノックスきん地金じがね保管ほかんしょ英語えいごばんうつされるまで、造幣局ぞうへいきょく金庫きんこ保管ほかんされた。

2007ねん造幣局ぞうへいきょくは、ウィスコンシンしゅうミルウォーキー開催かいさいされたアメリカ貨幣かへい協会きょうかいのWorld's Fair of Moneyで、宇宙うちゅう飛行ひこうをした12まい金貨きんかはじめて公開こうかいすると発表はっぴょうした[11]

起床きしょうコール[編集へんしゅう]

NASAは、ジェミニ計画けいかくころから宇宙うちゅう飛行ひこうのために音楽おんがくをかけてきた。アポロ15ごうでは、宇宙うちゅう飛行ひこう起床きしょうのためにはじめてもちいられた[12] Each track was specially chosen, sometimes by their families, and usually had a special meaning to an individual member of the crew or was applicable to their daily activities.[12][13]

飛行ひこう きょく 歌手かしゅ/作曲さっきょく
2にち "Beep Beep" ルイ・プリマ
3にち "Brave New Girls" Teresa
4にち "Someday Soon" Suzy Bogguss
5にち "サウンド・オブ・サイレンス" サイモン&ガーファンクル
6にち "A Little Traveling Music" バリー・マニロウ

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ STS-93 (95)”. NASA. 2018ねん4がつ29にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c STS-93: Columbia OV102”. Shuttle Press Kit (1999ねん7がつ13にち). 2018ねん4がつ29にち閲覧えつらん
  3. ^ a b International Flight No. 210: STS-93”. Spacefacts.de. 2018ねん4がつ29にち閲覧えつらん
  4. ^ Shuttle releases heaviest payload ever”. www.cnn.com (1999ねん7がつ23にち). 2018ねん8がつ28にち閲覧えつらん
  5. ^ Heaviest payload launched - shuttle” (英語えいご). Guinness World Records. 2018ねん8がつ28にち閲覧えつらん
  6. ^ Contingency Aborts 21007/31007”. nasa.gov. 2014ねん11月9にち閲覧えつらん
  7. ^ STS-93: Dualing computers”. Wayne Hale's Blog. 2014ねん10がつ26にち閲覧えつらん
  8. ^ Inside The J-2X Doghouse: Engine Control - Open versus Closed Loop”. Liquid Rocket Engines (J-2X, RS-25, general). NASA. 2014ねん10がつ22にち閲覧えつらん
  9. ^ STS-93: We don’t need any more of those”. Wayne Hale's Blog. 2017ねん6がつ28にち閲覧えつらん
  10. ^ STS-93: Keeping Eileen on the Ground, Part 1”. Wayne Hale's Blog. 2014ねん10がつ22にち閲覧えつらん
  11. ^ “US Mint to show unseen gold space coins”. collectSpace. (2007ねん7がつ14にち). http://www.collectspace.com/news/news-071407a.html 2018ねん4がつ29にち閲覧えつらん 
  12. ^ a b Fries, Colin (2010ねん4がつ20日はつか). “Chronology of Wakeup Calls” (PDF). NASA. https://history.nasa.gov/wakeup%20calls.pdf 2010ねん5がつ24にち閲覧えつらん 
  13. ^ NASA (2009ねん5がつ11にち). “STS-93 Wakeup Calls”. NASA. 2009ねん7がつ31にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]