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STS-75

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
STS-75
コロンビアの打上うちあ
任務にんむ種別しゅべつ微小びしょう重力じゅうりょく実験じっけん
技術ぎじゅつ開発かいはつ
運用うんようしゃNASA
COSPAR ID1996-012A
SATCAT №23801
任務にんむ期間きかん15にち17あいだ40ふん22びょう
飛行ひこう距離きょり10,500,000 km
周回しゅうかいすう252
特性とくせい
宇宙うちゅうコロンビア
ペイロード重量じゅうりょう10,592 kg
乗員じょういん
乗員じょういんすう7
乗員じょういんアンドリュー・アレン
スコット・ホロウィッツ
ジェフリー・ホフマン
マウリツオ・ケーリ
クロード・ニコリエ
フランクリン・チャン=ディアス
ウンベルト・グイドーニ
任務にんむ開始かいし
1996ねん2がつ22にち 20:18:00(UTC)
打上うちあ場所ばしょケネディ宇宙うちゅうセンターだい39発射はっしゃ施設しせつB
任務にんむ終了しゅうりょう
着陸ちゃくりく1996ねん3がつ9にち 13:58:22(UTC)
着陸ちゃくりく地点ちてんケネディ宇宙うちゅうセンターだい33滑走かっそう
軌道きどう特性とくせい
参照さんしょう座標ざひょう地球ちきゅう周回しゅうかい軌道きどう
体制たいせいてい軌道きどう
きんてん高度こうど277 km
とおてん高度こうど320 km
傾斜けいしゃかく28.45°
軌道きどう周期しゅうき90.5ふん

前列ぜんれつひだりから、ホロウィッツ、アレン、チャン=ディアス
後列こうれつひだりから、ケーリ、グイドーニ、ホフマン、ニコリエ
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STS-75は、アメリカのスペースシャトル計画けいかくのミッションである。コロンビアの19かいのミッションとなった。

乗組のりくみいん

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ミッションの目的もくてき

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STS-75のしゅ目的もくてきは、Tethered Satellite System Reflight (TSS-1R)を軌道きどうはこび、テザー推進すいしん実施じっしすることであった。あわせて材料ざいりょう工学こうがく物性ぶっせい物理ぶつりがく実験じっけんおこなうUnited States Microgravity Payload (USMP-3)もはこばれた。

テザー衛星えいせいシステム(TSS)の試験しけん

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TSS-1R.
TSS-1R のテザー衛星えいせいシステムの構成こうせい [NASA].
TSSの展開てんかい

TSS-1Rは、1992ねんの7がつから8がつSTS-46宇宙うちゅう飛行ひこうしたTSS-1のさい飛行ひこうであった。TSS-1Rの目的もくてきは、テザー衛星えいせいシステムの試験しけんであり、具体ぐたいてきにはTSSオービタの電流でんりゅう電圧でんあつ応答おうとう特性とくせい把握はあく衛星えいせいこうあつさや構造こうぞう電流でんりゅう収集しゅうしゅう過程かてい特性とくせい把握はあく電力でんりょく生産せいさん実証じっしょう、テザー制御せいぎょ法則ほうそく基本きほんてきなテザーの原動力げんどうりょく検証けんしょう、プラズマシースない中性ちゅうせいガスの効果こうか実証じっしょう、TSSの電波でんぱ周波数しゅうはすうとプラズマ放出ほうしゅつ特性とくせい把握はあくとうであった。

TSSは、高度こうど296kmで地球ちきゅう周回しゅうかいし、電離でんりけんとしてられる希薄きはく荷電かでん粒子りゅうしそうにテザー推進すいしん装置そうち投入とうにゅうした。

STS-75では、20.7kmのテザーを展開てんかいすることが期待きたいされていたが、5あいだにわたる展開てんかいののち、19kmをえたところで装置そうちこわれた。プラズマの放電ほうでんや、テザーのだんきれなんらかの物体ぶったい衝突しょうとつによっておおくのデブリが浮遊ふゆうする様子ようす観察かんさつされた [1][2][3] 。TSS-1Rでもちいられたテザーの導体どうたいは、ナイロンのしんまわりをどうせんんでつつんだもの(Nomexとばれる)、テフロンさま被覆ひふくざいつつまれ、さらケブラーつつまれていたが、のちにテザーだんきれ犯人はんにんは、製造せいぞうちゅう大気たいきあつおおくの空気くうきあわめた多孔たこうしつ材料ざいりょうでできたもっと内側うちがわのナイロンのコアであることが判明はんめいした [2]

その真空しんくう実験じっけんでは、テザーがかれたリールからテザーがられるにつれ、絶縁ぜつえんたい微小びしょうあな露出ろしゅつしたことが示唆しさされた。通常つうじょうでは、テザー周囲しゅうい電離層でんりそう希薄きはくなため、テザーをとお電流でんりゅうれずおおきな問題もんだいではないが、断熱だんねつざいめられた空気くうき発泡はっぽうし、テザーのこう電圧でんあつやく 3500 ボルト)によって比較的ひかくてき高密度こうみつどのプラズマに変化へんかした結果けっか(蛍光けいこうかん点火てんか同様どうように)、テザーはずっと電気でんきとおしやすくなり、プラズマはシャトルの金属きんぞく分岐ぶんきし、そこから電離層でんりそうかう閉回完成かんせい電流でんりゅうながれた。その電流でんりゅうはケーブルをかすのに十分じゅうぶんだった[2]


TSS-1Rミッションに使つかわれた衛星えいせい実験じっけんすう週間しゅうかん軌道きどうにとどまり、地表ちひょうから容易よういることができた。

TSS-1Rで実施じっしされた実験じっけん一覧いちらん

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  • TSS Deployer Core Equipment and Satellite Core Equipment (DCORE/SCORE)
  • Research on Orbital Plasma Electrodynamics (ROPE)
  • Research on Electrodynamic Tether Effects (RETE)
  • Magnetic Field Experiment for TSS Missions (TEMAG)
  • Shuttle Electrodynamic Tether System (SETS)
  • Shuttle Potential and Return Electron Experiment (SPREE)
  • Tether Optical Phenomena Experiment (TOP)
  • Investigation of Electromagnetic Emissions by the Electrodynamic Tether (EMET)
  • Observations at the Earth's Surface of Electromagnetic Emissions by TSS (OESSE)
  • Investigation and Measurement of Dynamic Noise in the TSS (IMDN)
  • Theoretical and Experimental Investigation of TSS Dynamics (TEID)
  • Theory and Modeling in Support of Tethered Satellite Applications (TMST)

その目的もくてき

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USMP-3のペイロードには、2つのMission Peculiar Experiment Support Structures (MPESS)に搭載とうさいされた4つの主要しゅよう実験じっけんとシャトルの3つのミッドデッキでの実験じっけんがあった。

USMP-3で実施じっしされた実験じっけん一覧いちらん

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  • Advanced Automated Directional Solidification Furnace (AADSF)
  • Material pour l'Etude des Phenomenes Interessant la Solidification sur Terre et en Orbite (MEPHISTO)
  • Space Acceleration Measurement System (SAMS)
  • Orbital Acceleration Research Experiment (OARE)
  • Critical Fluid Light Scattering Experiment (ZENO)
  • Isothermal Dendritic Growth Experiment (IDGE)

エピソード

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Linuxカーネルの導入どうにゅう

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STS-75では、Linuxカーネルがベースの運用うんようシステムが軌道きどうじょうはじめてもちいられた。DEC Alpha由来ゆらいするよりふるTru64 UNIXのプログラムは、Linuxのラップトップで実行じっこうするようにうつされた。Linuxのつぎ利用りようは、1ねんSTS-83であった[4]

UFOとの遭遇そうぐう

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STS-75から撮影さつえいされたビデオの抜粋ばっすいがUFOのファンのあいだひろひろまっている。かれらは、ここにうつるものが説明せつめい不能ふのうちょうつね現象げんしょうだとしんじている[5]。STS-75の乗組のりくみいんは、この「UFO」を、焦点しょうてんっていないスペースデブリちいさな粒子りゅうしだと同定どうていしている。宇宙うちゅうジャーナリストのJames Obergは、この映像えいぞう分析ぶんせきについて詳細しょうさいいている。

にせ文書ぶんしょ12-571-3570

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インターネットじょう流布るふされた偽文書ぎぶんしょ文書ぶんしょ12-571-3570」は、STS-75において微小びしょう重力じゅうりょくで「効果こうかてき」な性交せいこう体位たいい決定けっていするため実験じっけんおこなわれたとするものである。この偽文書ぎぶんしょはじめて登場とうじょうしたのは1989ねんとされ、STS-75が実際じっさいおこなわれるよりもはやい。矛盾むじゅんてん多々たたあるもののだまされるものたず、NASAはたびたび都市とし伝説でんせつであると説明せつめいしている。2000ねんには天文学てんもんがくしゃ科学かがくライターのピエール・コーラーフランス語ふらんすごばんがこの文書ぶんしょ本物ほんものだとしんじて著書ちょしょ紹介しょうかいした。

出典しゅってん

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  1. ^ Chobotov, V.A.; Mains, D.L. (April 1999). “Tether satellite system collision study”. Acta Astronautica 44 (7–12): 543–551. Bibcode1999AcAau..44..543C. doi:10.1016/s0094-5765(99)00098-3. ISSN 0094-5765. 
  2. ^ a b c Stone, Nobie H (2016). “Unique Results and Lessons Learned From the TSS Missions”. 5th International Conference on Tethers in Space. https://ntrs.nasa.gov/search.jsp?R=20160007056. 
  3. ^ United States. National Aeronautics and Space Administration. (1995). TSS-1R mission failure investigation board : final report.. [National Aeronautics and Space Administration]. OCLC 43059641 
  4. ^ “LINUX TO FLY ON STS-83”. SpaceNews. (March 17, 1997). http://www.amsat.org/amsat/ftp/news/1997/spc0317.txt 
  5. ^ NASA UFOs: STS-75 The Tether Incident”. YouTube. 2013ねん12月14にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク

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