月つき: 2001年ねん5月がつ

「パーフェクトストーム」はアメリカ映画えいがには珍めずらしいバッドエンドで，軽かるい衝撃しょうげきを受うけた．
普通ふつうのアメリカ娯楽ごらく映画えいがなら，たとえば主人公しゅじんこうのうちの一人ひとりくらいは大波おおなみを乗のり切きって救出きゅうしゅつされる，などの救すくいが残のこされているものだが，この映画えいがでは乗組のりくみ員いん全員ぜんいんが行方ゆくえ不明ふめいになるのだ…．
ラストシーンはお葬式そうしきでみんなが泣ないている…．
ハリウッド特有とくゆうのぐいぐい引ひき込こむ手法しゅほうでバッドエンドに持もって行いかれるとなかなか辛つらいものがあるかも．
ていうか，どうせハリウッド映画えいがだから，ピンチでも助たすかるだろうと油断ゆだんしてたところで不意打ふいうちをくらった，というべきか．

追記ついき: パーフェクトストームは事実じじつに基もとづいているので、ハッピーエンドにしようがなかったということだろう。

伏線ふくせんがなかったとは言いえない．
「オレたちゃ男おとこだ！」とか時代じだい錯誤さくご的てきで無謀むぼうなことを言いうやつは，アメリカ映画えいがでは死しぬことになっている．
特攻とっこう精神せいしんをちょっとでも賛美さんびしたら，パールハーバートラウマ的てきに罰ばっせられるのだ．
これはジャンヌダルクにもちと当あてはまる．
インディペンデンスデイでも特攻とっこうするやつがいるが，アメリカ人じんが特攻とっこうするには何なん重じゅうにも理由りゆう付づけが必要ひつようなのである．
犠牲ぎせい対たい効果こうかが極きわめて大おおきい，機体きたいが故障こしょうした，別べつに犯おかした罪つみをつぐないたい，冷静れいせいな自意識じいしきによって判断はんだんした結果けっか，などなど．
カミカゼとキリスト教きょう的てき殉教じゅんきょうは違ちがうんだ，という冗長じょうちょうで神学しんがく的てきな説明せつめい付づけが必要ひつようなのであり（大たいした差さはないと思おもうのだが），これによってアメリカのキリスト教きりすときょう的てきボランティア精神せいしんは少すこしだけ洗練せんれんされたものになったかもしれない．

「アイアンジャイアント」も見みたが，これもバッドエンドだったらもう少すこし切きれ味あじがあったかもしれない．
しかし，ハリウッドアニメの性せいなのか，最後さいごにちょっとだけ救すくわれる．

アメリカ映画えいがでハッピーエンドでないのは珍めずらしい．
ベトナム戦争せんそうもの以外いがいでは．「ジャンヌダルク」「ジーザスクライストスーパスター」は宗教しゅうきょう映画えいがで且かつ史実しじつをあらかじめ知しっているから，必かならずしもバッドエンドとは言いえないのかも．
あ，「危険きけんな情事じょうじ」もバッドエンド？