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6月, 2017 - はかもなきこと

小林こばやし秀雄ひでお問題もんだい

文科ぶんかしょう読解どっかいりょく国語こくご入試にゅうし導入どうにゅうしようとしていて、たとえばこれまでは、小林こばやし秀雄ひでお悪文あくぶん一部いちぶってきて、そのどうしようもなく論理ろんりてき破綻はたんした文章ぶんしょうませておいて、その設問せつもんたいして間違まちがいから一番いちばんとおいものをえらべとか、もっともありなさそうなものをえらべとか、そういう馬鹿ばかげた問題もんだいだった。ただしこのような問題もんだい官僚かんりょう弁護士べんごし事務じむ処理しょり能力のうりょく問題もんだいとしてはある程度ていど有効ゆうこうだっただろう。法律ほうりつ条文じょうぶんらしてただしいのかただしくないのか。おおくの場合ばあいただしいと一意いちいにはまらないから、もっともただしそうなものをえらぶ、よりまさしくさそうなものをよりけるという作業さぎょう必要ひつようになる。じつにくだらない。おかげでくだらない文系ぶんけい人間にんげん大量たいりょう生産せいさんすることになった。

漢文かんぶん問題もんだいもひどかった。どれがただしいくだしかを問題もんだいがあって、あきらかに間違まちがっているものもあるが、間違まちがいとはえないものが複数ふくすうあり、素直すなおかんがえれば正解せいかいおもわれるものは間違まちがいであり、間違まちがいとはれないものが正解せいかいであったりする。その根拠こんきょというのは、さくといちゅうほか部分ぶぶんくだかた統一とういつするならば、そのようにくださなければならないから、だというのだ。漢文かんぶん基礎きそをきっちりまなんできたものがひっかかり、漢文かんぶんについてろくにらなくても、設問せつもん全体ぜんたい雰囲気ふんいき一番いちばんかくからしそうなものをえら猿知恵さるぢえけたものとくをする。まさにセンター試験しけんてきあくとい。これでは、整合せいごうせいのあるおろしをすることが漢文かんぶん教育きょういくにとって重要じゅうようだということになってしまう。まったく馬鹿ばかげている。

こんな問題もんだいをずっとつくつづけて、よくこれまで訴訟そしょうにならなかったものだ。

あたらしい問題もんだいは、複数ふくすうことなる資料しりょう、パンフレット、討議とうぎなど)のわせを提示ていじして、そこからなんらかの意見いけん記述きじゅつさせるというんだものであって、「小林こばやし秀雄ひでお問題もんだい」とは対極たいきょくにある。いわば企画きかく立案りつあんタイプの出題しゅつだいだ。

せいぜいラノベとかBLとか村上むらかみ春樹はるきくらいしかれないこのいや時代じだい矯正きょうせいしてもらいたいものだ。

共謀きょうぼうざい

「……田舎いなか県警けんけいなら昭和しょうわ任侠にんきょう映画えいがさながらにやくざと警察けいさつ泥仕合どろじあいみたいなぶつやってるじゃん、でも、東京とうきょうのどなかじゃあもうそんな刃傷にんじょう沙汰ざたすたれちまった。都下とかじゃ町田まちだあたりでまだやってるがね。ほとんどは水面すいめん情報じょうほうせんぼくらが「マルサのおんな」や「めい探偵たんていコナン」なんかよろこんでるうちに、日本にっぽんはん社会しゃかい勢力せいりょく外国がいこく勢力せいりょく混血こんけつしつつ進化しんかした。犯罪はんざい統計とうけいみてりゃ一目瞭然いちもくりょうぜんさ。殺人さつじんなどの凶悪きょうあく犯罪はんざい激減げきげんした。しかし知能犯ちのうはんざいつづけ、国際こくさいし、ステルスした。

で、佐々井ささいは、我々われわれがそのらぬシンジケートから、我々われわれらないルートをたどって、報酬ほうしゅうてるんだろうって推測すいそくできるわけ。」

「でも、それがほんとだとしたら、佐々井ささいている利益りえき国税局こくぜいきょくでは把握はあくできない。」

「そうなんだよ。みんなでわーっとんで、マルサ手帳てちょう捜査そうさ令状れいじょうせて、でかいハサミでドアのチェーンって、あちこちで一斉いっせい家宅かたく捜査そうさしてうら帳簿ちょうぼさえ、だんボールばこめてトラックで押収おうしゅうとか、そんな時代じだいがかったやりかた通用つうようしないんだ、いま時代じだいテレビ局てれびきょくはいまだに国税局こくぜいきょく強制きょうせい捜査そうさっていうと、そんなりたがるがね。

これは『マリナ』にいたことなのだが、共謀きょうぼうざい反対はんたいしているのは、かつて全共闘ぜんきょうとうとか中核ちゅうかくとかであばれていた連中れんちゅうだとおもうのだが、そういう連中れんちゅうあたまなかむかし学生がくせい運動うんどう時代じだいからなにわっていないのだろう。そして週刊しゅうかん広域こういき暴力団ぼうりょくだんのドンパチのはなしなんかをみ、のテレビながら政治せいじ談義だんぎしておもしろがっているのだ。

推理すいり小説しょうせつ探偵たんてい小説しょうせつ、ミステリー、サスペンスなんかもおおくはそういう古典こてんてき時代じだい設定せっていにとどまっている。まったくいつまでも大岡おおおかさばきじゃあるまいし。

『マリナ』は推理すいり小説しょうせつというかたちをとった推理すいり小説しょうせつ批判ひはんでもあるのだ。というか、最初さいしょ死体したいてこないこの小説しょうせつ推理すいり小説しょうせつだとおもひとはあるまい。死体したい最後さいごにちょっとだけるのだが、最後さいごまで死人しにんない小説しょうせつ世間せけんでは「推理すいり小説しょうせつ」とはおもわないだろう。

現代げんだいのマイナンバー時代じだい共謀きょうぼうざい時代じだいそくして推理すいり小説しょうせつこうというのであれば、推理すいり小説しょうせつというもの自体じたいがまるきりわってくる。ステルスした国際こくさいシンジケートとたたかわなきゃならないんだから警察けいさつもたいへんだよ。

ベルツの日記にっき

岩波いわなみ文庫ぶんこ菅沼すがぬま竜太郎りゅうたろうやくのベルツの日記にっきは、ドイツ原文げんぶんにおいがまったくしない。おそらくこれは1974ねん英訳えいやくをもとに、和訳わやくしたものだろう。

Baelz, Erwin. Awakening Japan: The Diary of a German Doctor. Indiana University Press (1974). Translated by Eden and Cedar Paul. ISBN 0-253-31090-3.

1931ねんにシュトゥットガルトでドイツ初版しょはん出版しゅっぱんされたらしいのだが、それはかなりの部分ぶぶん省略しょうりゃくされたものであったらしい。では欠落けつらくのない、ドイツ完全かんぜんばんはどこではいるのかというと、そんなものはじつはどこにも存在そんざいしないのかもしれない。

追記ついき岩波いわなみ文庫ぶんこばんは1951ねんと1979ねんている。