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極限環境微生物 - Wikipedia

極限きょくげん環境かんきょう微生物びせいぶつ

極限きょくげん環境かんきょう条件じょうけんでのみ増殖ぞうしょくできる微生物びせいぶつ総称そうしょう

極限きょくげん環境かんきょう微生物びせいぶつ(きょくげんかんきょうびせいぶつ)は、極限きょくげん環境かんきょう条件じょうけんでのみ増殖ぞうしょくできる微生物びせいぶつ総称そうしょう。なお、ここで定義ていぎされる極限きょくげん環境かんきょうとは、ヒトあるいは人間にんげんのよく一般いっぱんてき動植物どうしょくぶつ微生物びせいぶつ生育せいいく環境かんきょうから逸脱いつだつするものをす。ヒトが極限きょくげん環境かんきょう定義ていぎしても、極限きょくげん環境かんきょう微生物びせいぶつにとってはむしろヒトの成育せいいく環境かんきょうが「極限きょくげん環境かんきょう」である可能かのうせいもある。

ちょうこう熱性ねっせい細菌さいきん繁殖はんしょくする温泉おんせんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくイエローストーン国立こくりつ公園こうえん

放射線ほうしゃせんたいせいきん有機ゆうき溶媒ようばいたいせいきんは、これらの環境かんきょうでのみ増殖ぞうしょくできるわけではなく、むしろ通常つうじょう条件じょうけんほうてきしているが、極限きょくげん環境かんきょう微生物びせいぶつふくめる場合ばあいおおい。

極限きょくげん環境かんきょうとは

編集へんしゅう

極限きょくげん環境かんきょう条件じょうけんおよびそれらの微生物びせいぶつ一般いっぱんめい代表だいひょうしゅ以下いかとおりである。

など

一般いっぱん細菌さいきんまく構造こうぞうなどから極限きょくげん環境かんきょう有利ゆうりとされ、現在げんざい分離ぶんりされている細菌さいきんメタンきん一部いちぶこうねつきんこうひやきんこうしおきんこうあつきんふくむ。それ以外いがいつよへんせい嫌気いやけせいきんではある)をのぞいてぜんたねが1つ以上いじょう極限きょくげん環境かんきょう適応てきおうしている。とく高温こうおん強酸きょうさんにはつよく、たねによっては122℃やpH-0.06で生育せいいくできる(低温ていおんは-2℃、アルカリ性あるかりせい環境かんきょうはpH12程度ていどまで)。ぎゃく人間にんげん生活せいかつするような環境かんきょうこう常温じょうおん真水しみずまたは土壌どじょう)で生育せいいくできる細菌さいきんは、一部いちぶ記載きさいしゅのぞ発見はっけんされていない。真正しんしょう細菌さいきんもその種類しゅるいおおさ(確認かくにんされているたねかず細菌さいきんの20ばい以上いじょう)から多様たよう極限きょくげん環境かんきょう微生物びせいぶつふくんでいる。また、一部いちぶ菌類きんるい藻類そうるい高温こうおん強酸きょうさんこうNaCl濃度のうどえることができ、これも極限きょくげん環境かんきょう微生物びせいぶつえる。

これらの微生物びせいぶつ保持ほじする酵素こうそイクストリーモザイムExtremozymes)と呼称こしょうする。イクストリーモザイムはそのおおくが工業こうぎょう利用りよう期待きたいされており、実際じっさい洗剤せんざいなどに応用おうようされているれいもある。また、ここでは酸素さんそぶんあつひん栄養えいようかんする問題もんだいげる。

酸素さんそぶんあつ最終さいしゅう電子でんし受容じゅようたい

編集へんしゅう

酸素さんそこう呼吸こきゅうにおける最終さいしゅう電子でんし受容じゅようたいとしてもちいられるが、同時どうじ酸化さんかりょくつよ毒素どくそであるとなせる。酸素さんそ電子でんし受容じゅようたいとしてもちいた場合ばあいスーパーオキシドという反応はんのうせいたか有害ゆうがい物質ぶっしつ体内たいない作成さくせいすることとなる。そのためあるしゅ微生物びせいぶつでは空気くうきちゅう酸素さんそぶんあつでは生育せいいく不可能ふかのうとなる。酸素さんそぶんあつによる分類ぶんるいほう以下いかとおりである。

  • こう気性きしょう通常つうじょう20 %酸素さんそ存在そんざい生育せいいく可能かのう生物せいぶつ狭義きょうぎには地球ちきゅうじょう空気くうき酸素さんそ存在そんざいでないと生育せいいくしめさないへんせいこう気性きしょう意味いみする。こう気性きしょうさら以下いか分類ぶんるいがなされる。
    • へんせいこう気性きしょう:10 - 20 %酸素さんそ存在そんざい生育せいいく可能かのう生物せいぶつれいとしては大半たいはん細胞さいぼう生物せいぶつ一部いちぶへんせいこう気性きしょう細菌さいきんおよび細菌さいきんAeropyrum pernix など)があげられる。こうした生物せいぶつでは、ある程度ていど以下いか酸素さんそぶんあつかれると、まったく呼吸こきゅうができなくなる。絶対ぜったいこう気性きしょうともばれる。
    • 通性つうせいこう気性きしょう:20 %酸素さんそでもそれ以下いか酸素さんそぶんあつあるいは完全かんぜん嫌気いやけでも増殖ぞうしょくしめす。れいとしては大腸菌だいちょうきんなどのちょうない細菌さいきん出芽しゅつが酵母こうぼなど。こう気性きしょう細菌さいきんおおくはここにふくまれるとかんがえられる。
    • ほろこう気性きしょう酸素さんそぶんあつ2 - 10 %環境かんきょういたりてき生育せいいくしめす。下限かげん数字すうじについては、様々さまざま解釈かいしゃくがあるが、この数字すうじ実験じっけんしゃ印象いんしょうなどによってことなるとかんがえられる。こうした生物せいぶつではSOD能力のうりょくひくいとおもわれる。
  • 嫌気いやけせい酸素さんそ存在そんざい生育せいいくしめ生物せいぶつ狭義きょうぎには完全かんぜん酸素さんそ状態じょうたいでないと生育せいいくできないへんせい嫌気いやけせいをさす。嫌気いやけせい以下いか分類ぶんるいがなされる。嫌気いやけせい生物せいぶつでは、酸素さんそ最終さいしゅう電子でんし受容じゅようたいとしない嫌気いやけ呼吸こきゅうおこなわれている。高等こうとう生物せいぶつではこうした生物せいぶつはほとんど存在そんざいしないが、一部いちぶ寄生きせい生物せいぶつなどでは嫌気いやけてき生育せいいくするものも存在そんざいする。
    • へんせい嫌気いやけせい完全かんぜん酸素さんそ状態じょうたいでないと生育せいいくしめさない生物せいぶつ細菌さいきんとう微生物びせいぶつ大半たいはんである。極度きょくど酸素さんそきら生物せいぶつとして、てつ細菌さいきん硫酸りゅうさん還元かんげんきんメタンきんなど。いずれも嫌気いやけ呼吸こきゅう生物せいぶつ代表だいひょうである。
    • 通性つうせい嫌気いやけせい通性つうせいこう気性きしょう意味合いみあいはるが、実験じっけんしゃとらかたなどでこちらが使用しようされることもある。どちらかとえば嫌気いやけたか環境かんきょうでよく生育せいいくするものをす。
 
雪上せつじょう生育せいいくした氷雪ひょうせつ

温度おんど酵素こうそ活性かっせい維持いじなど、生物せいぶつ体内たいないにおける化学かがく反応はんのうにもっとも重要じゅうようなパラメータである。事実じじつ恒温動物こうおんどうぶつでは化学かがく反応はんのう安定あんていにエネルギーの大半たいはんついやしている。大半たいはん高等こうとう動物どうぶつでは地球ちきゅう平均へいきん気温きおん18℃を中心ちゅうしんに、比較的ひかくてき広範囲こうはんい温度おんど対応たいおうできるが、極端きょくたん低温ていおん高温こうおん条件じょうけんでは酵素こうそ変性へんせいによる化学かがく反応はんのう効率こうりつ低下ていかや、シグナルタンパク質たんぱくしつねつ変性へんせいなどをまね死滅しめつする。定義ていぎ決定的けっていてきなものではないが、以下いか分類ぶんるい存在そんざいする。

  • こう冷性ひえしょう0℃付近ふきんでよく増殖ぞうしょくし、20℃以上いじょうでは増殖ぞうしょくできない。こう冷性ひえしょう要求ようきゅうされる性質せいしつは、低温ていおん環境かんきょうでも化学かがく反応はんのう進行しんこうできる低温ていおんせい酵素こうそぐんおよび生体せいたいまく流動りゅうどうせいたもつための高度こうど飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんひとしがある。こう冷性ひえしょう細菌さいきんおおくがここにふくまれるが、一部いちぶ高等こうとう動物どうぶつ南氷洋なんぴょうよう成育せいいくするさかななど)などでも20℃以上いじょうでの成育せいいく不可能ふかのうなものも存在そんざいする。
  • 中温ちゅうおんせい20 - 45℃いたりてき条件じょうけんしめ生物せいぶつ大半たいはん高等こうとう動物どうぶつちょうない細菌さいきんはここにぞくする。人間にんげん一般いっぱんてき感覚かんかくから生物せいぶつ通常つうじょう状態じょうたいかんがえるのがこの範囲はんい温度おんどだろう。
  • こう熱性ねっせい45 - 60℃いたりてき条件じょうけんしめ生物せいぶつ一部いちぶカビこう熱性ねっせい細菌さいきんといわれる生物せいぶつぐんふくまれる。広義こうぎには45℃以上いじょういたりてき増殖ぞうしょくしめ生物せいぶつぐんふくむ。
  • 高度こうどこう熱性ねっせい60 - 80℃いたりてき増殖ぞうしょくしめ生物せいぶつ。この用語ようご便宜べんぎてきなもので割愛かつあいされることもおおく、こう熱性ねっせいにまとめられることがおおい。一部いちぶのカビやこうねつきんおおふくまれる。
  • ちょうこう熱性ねっせい80℃以上いじょういたりてき増殖ぞうしょくしめ生物せいぶつ。その大半たいはん細菌さいきんである。極度きょくどたか温度おんどこのむこれらの生物せいぶつぐんは、高温こうおんえうる強固きょうこタンパク質たんぱくしつおよび生体せいたいまく構造こうぞうゆうする。2008ねん7がつ現在げんざいもっとたか生育せいいく温度おんどは122℃である。

こうねつパラメータではなくたいせいというかたち分類ぶんるいすることもある。中温ちゅうおんいきいたりてき生育せいいくしめすが、それをえる温度おんど(あるいはそれ以下いか温度おんど)でも生育せいいく可能かのうであることをしめす。

  • たい冷性ひえしょう:15℃以下いかでも生育せいいく可能かのう生物せいぶつぐん
  • たい熱性ねっせい:45℃以上いじょうでも生育せいいく可能かのう生物せいぶつぐん

水素すいそイオン濃度のうど (pH)

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水素すいそイオン濃度のうど (pH) は、生化学せいかがく反応はんのう進行しんこう重要じゅうようなパラメータの1つである。酸化さんか還元かんげん反応はんのうなどは、さん塩基えんき触媒しょくばいによって容易ようい影響えいきょうけることがられる。また、極端きょくたんなpH存在そんざいでは、タンパク質たんぱくしつ変性へんせいこることがられる。pHによる分類ぶんるい以下いかとおりである。

  • こう中性ちゅうせいpH5 - 9いたりてき増殖ぞうしょくしめ生物せいぶつ大半たいはん高等こうとう生物せいぶつがここにふくまれる。生理学せいりがくてき条件じょうけんとはたいていこの範囲はんいであるが、消化しょうかえきなどはこれらの範囲はんい逸脱いつだつするpHが観察かんさつされる。
  • こう酸性さんせいpH5以下いかいたりてき増殖ぞうしょくしめ生物せいぶつ極端きょくたん酸性さんせい条件じょうけんでは、生化学せいかがく反応はんのう調節ちょうせつみだれやタンパク質たんぱくしつ変性へんせいられるが、これらの条件じょうけんえうる生化学せいかがくてき資質ししつゆうするこう酸性さんせいきんなどがふくまれる。なかにはpH0以下いか条件じょうけん生育せいいくする生物せいぶつ細菌さいきん)も存在そんざいする。
  • こうアルカリ性あるかりせいpH9以上いじょういたりてき増殖ぞうしょくしめ生物せいぶつつよアルカリ性あるかりせい条件じょうけんではタンパク質たんぱくしつ変性へんせいするうえ、生化学せいかがく反応はんのう調節ちょうせつ化学かがく浸透しんとうあつ形成けいせい困難こんなんなため、つよアルカリ性あるかりせい環境かんきょうこの生物せいぶつ存在そんざいしないとかんがえられていたが、こし弘毅こうきこうアルカリきん分離ぶんりした。つよアルカリ性あるかりせい条件じょうけんえうるタンパク質たんぱくしつ生体せいたいまく脂質ししつおよび化学かがく浸透しんとうあつ形成けいせいのう特異とくいなものである。

またねつ同様どうようたい酸性さんせいたいアルカリ性あるかりせいという分類ぶんるい存在そんざいする。たとえばメダカなどはpH2という条件じょうけん成育せいいくすることが観察かんさつされており、いくつかの高等こうとう生物せいぶつたいせいゆうすることがられている。

しお塩分えんぶん

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しお濃度のうど浸透しんとうあつ維持いじのために、ある程度ていど濃度のうど要求ようきゅうされる。赤血球せっけっきゅうなど細胞さいぼうかべゆうしない細胞さいぼうは、ていはりえきれられると破裂はれつし、高張たかはりえきれられると脱水だっすいしてしぼんでしまうことが観察かんさつされている。しかし、極端きょくたんていはりえき、あるいは飽和ほうわちか高張たかはりえき適応てきおうした生物せいぶつ存在そんざいする。分類ぶんるい以下いかとおりである。

  • こう塩性えんせいいたりてき増殖ぞうしょくNaCl濃度のうど0 - 0.2M。ほとんどの高等こうとう生物せいぶつ土壌どじょう細菌さいきん該当がいとうする。単細胞たんさいぼう生物せいぶつからだにてていはりえき対応たいおうするにはきわめて有能ゆうのう無機むきイオンポンプが必要ひつようであり、なかにはじゅんすい生育せいいくする細菌さいきんられる(→したひん栄養えいよう細菌さいきん)。
  • ていこう塩性えんせいいたりてき増殖ぞうしょくNaCl濃度のうど0.2 - 0.5M海洋かいようせい高等こうとう生物せいぶつ細菌さいきんおおくがふくまれる。
  • ちゅうこう塩性えんせいいたりてき増殖ぞうしょくNaCl濃度のうど0.5 - 2.5M様々さまざまな含塩試料しりょうから分離ぶんりされる細菌さいきんふくまれる。
  • 高度こうどこう塩性えんせい広義こうぎではいたりてき増殖ぞうしょくNaCl濃度のうど2.5 - 5.2Mのこと。狭義きょうぎでは細菌さいきんユーリ細菌さいきんもん高度こうどこうしおきんハロバクテリウムつなぞく生物せいぶつのこと。大半たいはん高度こうどこう塩性えんせい細菌さいきんめられる。一部いちぶ真正しんしょう細菌さいきんつかっているが3しゅのみである。このような生物せいぶつでは酵素こうそ活性かっせいしお要求ようきゅうすることもおおい。

圧力あつりょく静水せいすいあつ

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一般いっぱんには有名ゆうめいとはいえないが、増殖ぞうしょくパラメータに圧力あつりょくゆうする生物せいぶつ存在そんざいする。深海しんかい生息せいそくしているさかな微生物びせいぶつしょう動物どうぶつこう圧力あつりょくでよく生育せいいくする。こうした生物せいぶつは1気圧きあつでは正常せいじょう生育せいいくしめさない。また、発見はっけんされたこうあつせい生物せいぶつのほとんどは深海しんかいからスクリーニングされたため10℃以上いじょう増殖ぞうしょくできないこう冷性ひえしょう生物せいぶつでもある。ただし、Pyrococcus yayanosii(80 - 107°C、15 - 150MPaで生育せいいく)のよう絶対ぜったいこうあつせいちょうこうねつきんもいる。

  • こうあつせい:1気圧きあつ以上いじょう圧力あつりょく条件下じょうけんか生育せいいくいたりてきつもの。
    • 絶対ぜったいこうあつせい大気たいきあつでは増殖ぞうしょくできない。
    • へんせいこうあつせい:500気圧きあつ以上いじょういたりてき増殖ぞうしょく圧力あつりょくゆうする。
    • 通性つうせいこうあつせい:500気圧きあつ圧力あつりょくでも生育せいいくできる。
  • たいあつせい:1気圧きあついたりてき増殖ぞうしょくしめすが、ある程度ていど圧力あつりょく(500気圧きあつ)にえうる。ただし、500気圧きあつというのは便宜べんぎてきなものであり、あまり研究けんきゅうすすんでいないため、曖昧あいまい定義ていぎである。200気圧きあつでも生物せいぶつにとってはこうあつ条件じょうけんである。

こうあつ、あるいはたいあつパラメータをしめ生化学せいかがくてき資質ししつ理解りかいすすんでいないが、加圧かあつ加熱かねつ生物せいぶつあたえる影響えいきょうとしてはており、たい熱性ねっせいパラメータにている可能かのうせいがある。しかし、たい熱性ねっせいたもちながらこう冷性ひえしょう確保かくほするのはむずかしく、このてんについてはあたらしい生化学せいかがくてき資質ししつつかる可能かのうせいもある。

ひん栄養えいよう条件じょうけん

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一部いちぶ細菌さいきんにはこう栄養えいよう条件下じょうけんかでは生育せいいくしないものが存在そんざいする。外洋がいようなどではこうしたてい栄養えいよう細菌さいきんひん栄養えいよう細菌さいきん)がバイオマスでは支配しはいてきかんがえられている。あまりにも生育せいいくおそいために、すう週間しゅうかんときには数ヶ月すうかげつおよ培養ばいよう実験じっけん必要ひつようであり、収量しゅうりょうおおくない、実験じっけん困難こんなん細菌さいきん一部いちぶである。しかしこれらの細菌さいきんぐんは、たんいたりてき生育せいいく条件じょうけん培養ばいようできていない可能かのうせい存在そんざいし、ひん栄養えいよう細菌さいきんという分類ぶんるい近年きんねんではあまり使用しようしない。

有機ゆうき溶媒ようばい

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有機ゆうき溶媒ようばい生物せいぶつにとってはたけしどくであり、脂質ししつ重層じゅうそう破壊はかいし、細胞さいぼう構造こうぞうすべてを破壊はかいする。またタンパク質たんぱくしつコンフォメーションたもてず、変性へんせいして白濁はくだくする。ただいち安定あんていなのは核酸かくさんのみであり、核酸かくさん抽出ちゅうしゅつエタノールフェノール使用しようされているのも理解りかいできるようにおもえる。しかし、一部いちぶ細菌さいきんあるいは酵母こうぼなどではみずそうにわかれるほど大量たいりょう有機ゆうき溶媒ようばい存在そんざいでも増殖ぞうしょく可能かのうなものがつかっている。そのような生物せいぶつ有機ゆうき溶媒ようばいたいせいきんという。有機ゆうき溶媒ようばいをあえてこの生物せいぶつ現在げんざいのところ確認かくにんされていないが、有機ゆうき溶媒ようばいたいせいきんには有機ゆうき溶媒ようばいするものも存在そんざいする。

放射線ほうしゃせん

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放射線ほうしゃせんDNA変異へんいげんとしてもっと有名ゆうめいであり、放射ほうしゃせい物質ぶっしつがんみなもと物質ぶっしつではもっとも有害ゆうがいなものの1つである。しかし、放射線ほうしゃせんたいせいきんデイノコッカス・ラディオデュランス放射線ほうしゃせん存在そんざいでも増殖ぞうしょく可能かのうである。このたねγ線がんませんによって滅菌めっきんされたはずの缶詰かんづめなか繁殖はんしょくしていることから発見はっけんされた。大腸菌だいちょうきんヒトでは、30グレイ程度ていど放射線ほうしゃせんりょういたるが、Deinococcus は5,000グレイ程度ていど放射線ほうしゃせんたいしてもたいせいち、増殖ぞうしょく可能かのうである。Deinococcusきわめて強力きょうりょくDNA修復しゅうふく機構きこうっているとかんがえられており、放射線ほうしゃせん紫外線しがいせんによるDNA変異へんいたいして、すぐさま修復しゅうふく機構きこうはたらくことによって生育せいいく可能かのうとなるとかんがえられている。理由りゆう不明ふめいだが、パンダちょううちからも分離ぶんりされている。

2003ねん発見はっけんされた細菌さいきんテルモコックス・ガンマトレランスは、5,000グレイの瞬間しゅんかんてき照射しょうしゃと、合計ごうけい30000グレイまでのガンマ線がんませんえることが出来できる。これは先述せんじゅつのデイノコッカス・ラディオデュランスよりもつよい。放線ほうせんきんルブロバクテル・ラディオトレランス P-1はさらにつよく、10,000グレイのガンマ線がんませんえ、16,000グレイの照射しょうしゃでも37 %が生存せいぞんする。

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