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グラディエーター

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グラディエーター
Gladiator
監督かんとく リドリー・スコット
脚本きゃくほん デヴィッド・フランゾーニ
ジョン・ローガン
ウィリアム・ニコルソン
原案げんあん デヴィッド・フランゾーニ
製作せいさく ダグラス・ウィック
デヴィッド・フランゾーニ
ブランコ・ラスティグ
製作せいさくそう指揮しき ローリー・マクドナルド
ウォルター・F・パークス
出演しゅつえんしゃ ラッセル・クロウ
ホアキン・フェニックス
コニー・ニールセン
オリヴァー・リード
デレク・ジャコビ
ジャイモン・フンスー
リチャード・ハリス
音楽おんがく ハンス・ジマー
クラウス・バデルト
リサ・ジェラルド
撮影さつえい ジョン・マシソン
編集へんしゅう ピエトロ・スカリア
製作せいさく会社かいしゃ スコット・フリー・プロダクションズ
レッド・ワゴン・エンターテインメント
配給はいきゅう アメリカ合衆国の旗 ドリームワークス
世界の旗 ユニバーサル・ピクチャーズ
日本の旗 UIP
公開こうかい アメリカ合衆国の旗 2000ねん5月5にち
日本の旗 2000ねん6月17にち
上映じょうえい時間じかん 155ふん劇場げきじょう公開こうかいばん
171ふん完全かんぜんばん
製作せいさくこく アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご 英語えいご
製作せいさく $103,000,000[1]
興行こうぎょう収入しゅうにゅう アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $187,705,427[1]
北米ほくべいがい)$269,935,000[1]
世界の旗 $457,640,427[1]
日本の旗 15おく6000まんえん[2]
つぎさく グラディエーターII
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グラディエーター』(原題げんだいGladiator)は、2000ねん公開こうかいされたアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく歴史れきし映画えいが

監督かんとくリドリー・スコット主演しゅえんラッセル・クロウだい73かいアカデミーしょうおよびだい58かいゴールデングローブしょう作品さくひんしょう受賞じゅしょうした。

概要がいよう

マルクス・アウレリウス治下ちかマ帝国まていこく舞台ぶたいとし、ラッセル・クロウえんじる軍団ぐんだんちょうマキシマス・デシムス・メレディウスは皇帝こうていアウレリウスとその息子むすこコンモドゥス確執かくしつまれて家族かぞくころされ、みずからも奴隷どれいとされる。マクシムスは皇帝こうていおそったコンモドゥスへの復讐ふくしゅうちかい、帝国ていこく繁栄はんえい象徴しょうちょうであったけん闘士とうし(グラディエーター)としてげつつかれ接近せっきんする機会きかいうかがう。

制作せいさく会社かいしゃドリームワークスで、監督かんとくは『エイリアン』『ブレードランナー』などを製作せいさくしたリドリー・スコット主要しゅようキャストはラッセル・クロウホアキン・フェニックスコニー・ニールセンオリヴァー・リード公開こうかいまえ死去しきょ)、ジャイモン・フンスーデレク・ジャコビリチャード・ハリス

2000ねん5がつ5にち発表はっぴょうされたどうさくすぐれた映像えいぞうやストーリーからおおきな商業しょうぎょうてき成功せいこうおさめた。批評ひひょうからもたか評価ひょうかて、だい73かいアカデミーしょう作品さくひんしょうならびにだい58かいゴールデングローブしょうドラマ部門ぶもん作品さくひんしょう受賞じゅしょうする名誉めいよけた。

続編ぞくへんの『グラディエーターII』は2024ねん公開こうかい予定よてい[3][4][5]

ストーリー

冒頭ぼうとう

ときネルウァ=アントニヌスあさ(いわゆるけんみかど時代じだい)のマ帝国まていこく平民へいみん出身しゅっしん将軍しょうぐんマキシマス・デシムス・メリディアス(Maximus Decimus Meridius)[6]は、ゲルマニア遠征えんせいで、蛮族ばんぞくとの決戦けっせんむかえていた[注釈ちゅうしゃく 1]降服こうふく説得せっとくするためローマぐんからつかわされた使者ししゃ斬首ざんしゅされ、そのくびがえされてきたのを皮切かわきりにりょうぐん戦闘せんとうはじまる。マ帝国まていこくぐん東方とうほうぞくしゅうからのゆみへい工兵こうへいたいカタパルト駆使くしして森林地帯しんりんちたいひそむゲルマニアぐん砲撃ほうげきあたえたのち軍団ぐんだんへい前進ぜんしんさせる。高地こうち陣取じんど蛮族ばんぞく軍勢ぐんぜい軍団ぐんだんへい苦戦くせんいられるものの、マクシムスはみずか騎兵きへい部隊ぶたいひきいて蛮族ばんぞく背後はいごから強襲きょうしゅうしててきしょうり、結果けっかとして勝利しょうりる。きずたおれる兵士へいしたちに、老境ろうきょうむかえつつあった皇帝こうていアウレリウス膨張ぼうちょうつづける帝国ていこく崩壊ほうかい近付ちかづいていることをさとるのだった。

いた皇帝こうていなやませるもうひとつの問題もんだいが、帝位ていい継承けいしょうについてだった。けんみかど名高なだかいアウレリウスは、皇子おうじコンモドゥス勇気ゆうき正義せいぎかんなどたず、貴族きぞくとの政治せいじ策謀さくぼう没頭ぼっとうするさまをうとみ、その一方いっぽうでマキシマスの勇敢ゆうかんかつ無欲むよく部分ぶぶんっていた。アウレリウスは、問題もんだいかかえるローマを根本こんぽんてきなおすには、民衆みんしゅう貴族きぞく同等どうとう政治せいじおこなっていた共和きょうわせいもど必要ひつようがあるとかんがえ、その遺志いし実現じつげんにはマキシマスに帝位ていいゆずることが最良さいりょうだとかんがえる。一方いっぽう皇帝こうてい実子じっしであるコンモドゥスは、ちち愛情あいじょう自身じしんけられていないことを不安ふあんかんじ、旧友きゅうゆうでもあるマキシマスに、側近そっきんとして自分じぶん治世ちせいたすけてくれるようにたのむ。

アウレリウスはマキシマスをみずからの天幕てんまくせ、たたかいのおろかさについてく。マキシマスはローマをひかりたとえ、皇帝こうてい反論はんろんして遠征えんせい意義いぎくが、アウレリウスは「退廃たいはいしてしまった近年きんねんのローマをらない」とマキシマスをさとす。そして共和きょうわせいもど構想こうそうつたえ、その実行じっこうしゃとしてマキシマスを指名しめいする。マキシマスは「帝位ていいでいるコンモドゥスはどうなるのか」とたずねるが、アウレリウスは「君主くんしゅうつわではない」と一蹴いっしゅうする。アウレリウスは自分じぶんかなら説得せっとくすると約束やくそくし、マキシマスはかんがえる時間じかんしいとべて天幕てんまくはなれる。

皇帝こうてい暗殺あんさつ

おくれて天幕てんまくばれたコンモドゥスは、その安置あんちされていたちち胸像きょうぞうまえっていた。やがて皇帝こうてい本人ほんにんうしろからあらわれる。アウレリウスはあえてコンモドゥスに帝位ていい覚悟かくごたずね、コンモドゥスはよろこんで大任たいにんけるとこたえるが、げられたのは帝位ていいをマキシマスにゆずるという内容ないようであった。

自身じしんにその理由りゆう共和きょうわせい移行いこう大義たいぎちちたいし、コンモドゥスは以前いぜんにアウレリウスからおくられた手紙てがみについてはなはじめる。手紙てがみには皇帝こうてい必要ひつような「とく」(正義まさよし知恵ちえ不屈ふくつ自制じせい)がかれていたが、コンモドゥスにそなわる「とく」(野心やしん策謀さくぼう勇気ゆうき献身けんしん)は何処どこにもかれていなかった。それはまるで自分じぶん息子むすこみとめたくないかのようだったとのコンモドゥスの言葉ことばに、アウレリウスは穿ほじくったかんがえだと否定ひていする。しかしコモドゥスは自分じぶん父親ちちおやほこりにおもえる息子むすこになりたかったとげ、なぜ自分じぶんにくむのかとなみだながす。

息子むすこ対話たいわするアウレリウスは、父親ちちおやとして息子むすこせっするのをおこたったことが、結果けっかとして息子むすこいがませてしまったとさとる。息子むすこまえひざまずいたアウレリウスは「息子むすこいたらぬのは、いたらぬちちったためだ」とかば言葉ことばべ、みずからもなみだして和解わかい抱擁ほうようもとめる。コンモドゥスはアウレリウスをきながらきとめるが、そのまま父親ちちおやのアウレリウスを絞殺しめころしてしまう。愛情あいじょうよりも畏怖いふっていた父親ちちおやが、不出来ふでき自分じぶんゆるしをうた姿すがたみとめられなかったのである[7]

翌朝よくあさ腹心ふくしん将軍しょうぐんクィントゥスから皇帝こうていらされたマキシマスは天幕てんまくかう。コンモドゥスからは皇帝こうていが「病死びょうし」したとげられるが、アウレリウスから廃嫡はいちゃく意思いしつたいていたマキシマスは事実じじつづき、忠誠ちゅうせいもとめるコンモドゥスを拒絶きょぜつして事実じじつあきらかにしようとする。しかし大方おおかたものたちは事実じじつったうえでコンモドゥスにしたがっており、クィントゥスもマキシマスを裏切うらぎってかれらえ、したがわなければマキシマスとその家族かぞく処刑しょけいせよとの皇帝こうていいのち実行じっこうする。

マキシマスは家族かぞくまもため近衛このえへいいたるいちせんまじえて脱出だっしゅつし、うまえながらやすまず故郷こきょうへのヒスパニアへといそぐ。しかし辿たどいたいえはらわれ、妻子さいしはともにきながらかれるされていた。2人ふたり遺骸いがいまえくずれるマキシマスはそのたおれこみ、やがて疲労ひろう負傷ふしょうから意識いしきうしなってしまう。

けん闘士とうしとして

めたとき、マキシマスは商人しょうにん一団いちだんらえられ、ぞくしゅうアフリカモーリタニア・カエサリエンシス英語えいごばんにあったズッカバル英語えいごばんというまちれてかれ、奴隷どれい市場いちばられていた。きる意義いぎうしなったマキシマスは脱出だっしゅつするわけでもなく、無気力むきりょくにされるがままにごしていた。そこへちいさなけん闘士とうしだん運営うんえいするプロキシモというおとこあらわれる。マキシマスはけん闘士とうしとして使つかえそうな奴隷どれいさがまわっていたプロキシモに「スパニアード」(スペインじん)としてばされる。

けん闘士とうしだんでは先輩せんぱいけん闘士とうしハーゲンが奴隷どれいたち審査しんさおこない、勇敢ゆうかんなものはあか臆病者おくびょうもの黄色おうしょく絵具えのぐしるしけられていく。自分じぶんばんまわってきたとき、マキシマスは武器ぶきることすらせずなぐられるままになり、プロキシモから興味きょうみたれつつも黄色おうしょくられる。新入しんいりたちは最初さいしょ儀礼ぎれいとして闘技とうぎじょう標的ひょうてきとしておくまれる。おおくの奴隷どれい惨殺ざんさつされるなか、マキシマスはけん闘士とうしたち相手あいて見事みごとたたかりで応戦おうせんし、おなじく奮戦ふんせんしていたヌミディアじん奴隷どれいのジュバと二人ふたり試練しれんえ、はからずもけん闘士とうしへの第一歩だいいっぽしてしまう。

マキシマスがあたらしい宿命しゅくめいときりしもとおはなれた帝都ていとローマではコンモドゥスが壮麗そうれい凱旋がいせんしきおこなっていた。元老げんろういん貴族きぞくたち経験けいけんわか皇帝こうていあなどるが、コンモドゥスは元々もともと共和きょうわせいだったローマを牛耳ぎゅうじっていた貴族きぞくすでちからうしなっており、いまでは民衆みんしゅうほうちからがあることを見抜みぬいていた。娯楽ごらく食料しょくりょうしみなくあたえて民衆みんしゅうよろこばせ、またみずからもみんあいする皇帝こうていとして振舞ふるまうことでコンモドゥスはみんしんつかみ、元老げんろういん無視むしした専制せんせいてき統治とうちすすめていく。

娯楽ごらくなかとく人気にんきはくしたのがけん闘技とうぎ大会たいかいであった。それまでコロッセウムだい闘技とうぎじょう)でのけんたたかえきんじられていたが、コンモドゥスのけいらいで大会たいかい再開さいかいされた。地方ちほう都市としらばっていたけん闘士とうしだんこぞって帝都ていとローマにつどなか、プロキシモは次第しだい成長せいちょうするマキシマスを引提ひっさげてみずからもローマの大会たいかい参加さんかしようとする。マキシマスは興味きょうみいとこたえるが、けん闘士とうし自由じゆうあたえられるさい皇帝こうてい謁見えっけんできるといてうしなっていた復讐ふくしゅうしんもどす。マキシマスは真意しんいかくしたうえ自分じぶん自由じゆうたいとげ、プロキシモは「ならば民衆みんしゅう味方みかたにつけろ」と助言じょげんする。プロキシモもかつてはうてのけん闘士とうしであり、でもないアウレリウスみかどによってたまわられたルビアス(木剣ぼっけん)をって、自由じゆうたのだった。

帝都ていとローマへ

ローマに宿営しゅくえいかまえたプロキシモのけん闘士とうしだんだったが、不利ふり契約けいやくけられ、古代こだいポエニ戦争せんそうでの決戦けっせんザマのたたかした闘技とうぎで「カルタゴぐん」のやくされてしまう。興行こうぎょうたちけでは十中八九じっちゅうはっく史実しじつどおりカルタゴ軍役ぐんえき試合しあいであったが、はなきのかぶとこうむったマキシマスは将軍しょうぐん時代じだい経験けいけんかして徒歩とほけん闘士とうしだん指揮しきし、「ローマぐんやく戦車せんしゃ騎馬きばたい壊滅かいめつむ。本来ほんらいはローマ軍役ぐんえき勝利しょうりするはずの筋書すじがきがわってしまったが、民衆みんしゅうおこるどころか、圧倒的あっとうてき不利ふり状態じょうたいったけん闘士とうしだんたたえ、歓声かんせいげる。貴賓きひんせきでその様子ようすていたコンモドゥスは「スパニアード」というけん闘士とうし興味きょうみち、会見かいけんするとげる。

近衛このえへいとクィントゥスをれて闘技とうぎじょうはいったコンモドゥス。マキシマスはちていた弓矢ゆみやの鏃をなかかくして暗殺あんさつしようとするが、皇帝こうていおいルキウスがコンモドゥスのかたわらにいたことから躊躇ためらってしまう。時機じきいっしているうちにコンモドゥスはマキシマスを「ヘラクレス化身けしん」と賞賛しょうさんして、かぶとはずして本当ほんとう名乗なのよううながす。けてろうとするマキシマスにコンモドゥスは皇帝こうていいのちそむくなとげ、再度さいどかぶとはずよううながす。覚悟かくごめたマキシマスは素顔すがおさらしてきかえり、「しん皇帝こうていマルクス・アウレリウスの臣下しんか、マキシマス・デシムス・メレディウス」と名乗なのる。

んだはずのマキシマスの姿すがた動揺どうようしたコンモドゥスは、衆人しゅうじん環視かんしのなかでクィントゥスに処刑しょけいめいじる。しかし闘技とうぎじょう英雄えいゆうころそうとする皇帝こうてい民衆みんしゅうは「ころすな」と連呼れんこし、やむなくコンモドゥスはマキシマスを助命じょめいする。皇帝こうていですら、ローマの民衆みんしゅうこえさからえないことは明白めいはくであった。その、コンモドゥスは闘技とうぎじょうでマキシマスを公然こうぜんころすべく、「ガリアとら戦士せんし」とうたわれたけん闘士とうしティグリスとの試合しあい用意よういくわえて闘技とうぎじょう複数ふくすうとら使づかいをひかえさせ、ティグリスに有利ゆうりとなるように仕向しむけておく。しかしマキシマスは激闘げきとうすえにティグリスをやぶり、さら民衆みんしゅうの「ころせ」とのさけびをけてコンモドゥスが処刑しょけいめいじると、わざとこれに反抗はんこうしてティグリスをたすけてしまう。民衆みんしゅうはマキシマスを慈悲じひふかいと賞賛しょうさんし、ますますコンモドゥスの立場たちばあやうくする。

謀議ぼうぎ

名誉めいよ度々たびたびきずつけられたことでコンモドゥスの人気にんき下降かこうはじめ、グラックス元老げんろういん議員ぎいん反対はんたい政治せいじたち反乱はんらん謀議ぼうぎすすはじめる。コンモドゥスの冷酷れいこくさをっていたそのあねルシッラ手引てびきで、グラックスとマキシマスはわされ、マキシマスは元老げんろういん手引てびきで、かつて指揮しきした軍団ぐんだんもと脱出だっしゅつする計画けいかくげる。グラックスはマキシマスが独裁どくさいおこなわないという保証ほしょうはないと反対はんたいするが、マキシマスは皇帝こうてい意思いし沿うだけだとかたり、自分じぶんはコンモドゥスとちがっていと説明せつめいする。

グラックスはマキシマスをしんじてプロキシモから身柄みがらげようとするが、皇帝こうていからいかりをうことをきらうプロキシモは拒絶きょぜつする。プロキシモはコンモドゥスにうらみがあるわけでもなく、むしろ自分じぶん金持かねもちにしてくれたとわらう。きゅうしたマキシマスはしばらかんがえたのち、「先帝せんていころしたおとこだ」とげる。

一方いっぽう宮殿きゅうでんではコンモドゥスがマキシマスの存在そんざいおそれるようになっていた。皇帝こうてい側近そっきんであるファルコ議員ぎいんはマキシマスがえなくなるまえころすべきだと助言じょげんするが、コンモドゥスは「みんにくまれたくない」と拒絶きょぜつする。そこでファルコとコンモドゥスは一計いっけいあんじてわざとマキシマスや反対はんたいおよがせ、反乱はんらんこしたという無実むじつつみせてらえる計画けいかくてる。計画けいかく見事みごと成功せいこうしてグラックスとルッシラがまずらえられ、さらにプロキシモや多数たすうけん闘士とうしころされ、最後さいごにはマクシムスもらえられた。

いち

コンモドゥスは民衆みんしゅう納得なっとくする方法ほうほうでマキシマスを処刑しょけいするため、闘技とうぎじょうでのいちのぞむ。「自分じぶん自身じしんたたかうのか」とたずねるマキシマスに、コンモドゥスは「自分じぶんが(おまえのことを)おそれるとでも」とかえすが、マキシマスはこれまでずっとおそつづけた人生じんせいだったろうとわらう。「英雄えいゆう」とはちがって人間にんげんならだれでも恐怖きょうふかんじるとコンモドゥスは反論はんろんするが、マキシマスはかつてとある偉人いじんのこした「けられないなら、わらってれるのみ」との言葉ことばおしえる。コンモドゥスが「その言葉ことばあるじ自分じぶんときわらえたか」とたずねると、マキシマスは「おもせ」とかえす。言葉ことばあるじはコンモドゥスがみずかあやめたアウレリウスだったのである。

コンモドゥスはマキシマスのこしにナイフをして深手ふかでわせ、クィントゥスにめいじて甲冑かっちゅうきずかくさせて出場しゅつじょうさせる。民衆みんしゅう歓声かんせいなか両者りょうしゃ試合しあいはじまり、きずくるしみからおもうようにたたかえないマキシマスは苦戦くせんいられる。それでも気力きりょくしぼってコンモドゥスのけんはじばすが、やがて意識いしきとおのきはじめてしまう。コンモドゥスはクィントゥスにあたらしいけん寄越よこせとさけぶが、クィントゥスは二人ふたりかこ親衛隊しんえいたい兵士へいしたちけっして手出てだしをするなとめいじる。

められたコンモドゥスはさきのナイフをしてめをそうとするが、朦朧もうろうとしながらもたたかおうとするマキシマスと素手すででのはげしいなぐいとなる。乱戦らんせんすえ、マキシマスがコンモドゥスのくびにナイフをったけていき、抵抗ていこうするコンモドゥスのちからさえんでのどにナイフをす。次第しだいくずち、ちからたおれこんでコンモドゥスは絶命ぜつめいする。そしてクィントゥスらにグラックスの解放かいほうと、ローマをただしいかたちもどすようにいいのこしてマキシマスもまたたおれる。

闘技とうぎじょうすなたおれた両者りょうしゃ遺体いたい民衆みんしゅう皇帝こうてい遺骸いがい放置ほうちし、マキシマスの遺骸いがいかかげてっていくのだった。

登場とうじょう人物じんぶつ

帝国ていこく要人ようじん

マキシマス・デシムス・メリディアス(Maximus Decimus Meridius)
えんじ - ラッセル・クロウ
主人公しゅじんこう。ローマぐん将軍しょうぐんで、ぞくしゅうヒスパニア出身しゅっしん。アウレリウスみかど寵愛ちょうあいける勇敢ゆうかんかつ聡明そうめい人物じんぶつだが、コンモドゥスとの対立たいりつによって奴隷どれいとされる。
作中さくちゅうにおける架空かくう人物じんぶつであるが、マルクス・ノニウス・マクリウス英語えいごばんという実在じつざいした執政しっせいかんがモチーフであり、またノニウス以外いがいにもキンキナトゥススパルタクスナルキッソス英語えいごばんヒスパニアのマキスマス英語えいごばんなど複数ふくすう古代こだいローマ人物じんぶつがモデルとなっている。
ルキウス・アウレリウス・コンモドゥス(Lucius Aurelius Commodus)
えんじ - ホアキン・フェニックス
マルクス・アウレリウスの共同きょうどう皇帝こうてい在位ざいい177ねん - 180ねん)、だい17だいローマ皇帝こうてい在位ざいい180ねん - 192ねん)。アウレリウスみかど嫡男ちゃくなんで、策謀さくぼうけた傲慢ごうまん野心やしんけんみかどたるちち屈折くっせつした感情かんじょうち、情緒じょうちょ不安定ふあんてい部分ぶぶんがある。
自分じぶんよりもちちから信頼しんらいされている旧友きゅうゆうマキシマスに不安ふあんおぼえ、ちちころしたうえでマキシマスを失脚しっきゃくさせる。
ルッシラ英語えいごばん(Lucilla)
えんじ - コニー・ニールセン
コンモドゥスのあねわかはマキシマスの恋人こいびとだったが、身分みぶんから結婚けっこんあきらめマルクス・アウレリウスの共同きょうどう皇帝こうていルキウス・ウェルス結婚けっこんする。
当面とうめん跡継あとつぎとされた一人ひとり息子むすこのルキウスととも皇帝こうていささえるが、次第しだいおとうと恐怖きょうふかんはじめる。
ルキウス・ウェルス〈[8](Lucius Verus)
えんじ - スペンサー・トリート・クラーク
ルッシラので、コンモドゥスのおい作中さくちゅう、マキシマスからたずねられ、「ちちいだ」と発言はつげんしていることから、ちち共同きょうどう皇帝こうていであったルキウス・ウェルスと推察すいさつされる。
マルクス・アウレリウス(Marcus Aurelius)
えんじ - リチャード・ハリス
だい16だいローマ皇帝こうてい在位ざいい161ねん - 180ねん)。けんみかどばれたろうみかどで、冒頭ぼうとうでは蛮族ばんぞくとのたたかい(マルコマンニ戦争せんそう162ねん - 180ねん)に出陣しゅつじんしている。
帝政ていせい限界げんかいかんじてふたた共和きょうわせいによる支配しはいへとローマをもどそうと計画けいかくするが、実子じっしコンモドゥスに暗殺あんさつされる。
クィントゥス(Quintus)
えんじ - トーマス・アラナ
ローマぐん将軍しょうぐん。マキシマスの同僚どうりょうとして従軍じゅうぐんしていたが、コンモドゥスにしたがって反逆はんぎゃくしたマキシマスをらえる。
功績こうせきによって近衛このえ隊長たいちょう栄達えいたつたすが、マキシマスを裏切うらぎったことには罪悪ざいあくかんいている。
グラックス議員ぎいん(Senator Gracchus)
えんじ - デレク・ジャコビ
元老げんろういん議員ぎいん皮肉ひにくだが、高潔こうけつ性格せいかくぬしみん味方みかたにしたコンモドゥスに感心かんしんしつつ、その独裁どくさいめようと奔走ほんそうする。
ガイウス議員ぎいん(Senator Gaius)
えんじ - ジョン・シュラプネル英語えいごばん
元老げんろういん議員ぎいん。グラックスとならんではんコンモドゥスつ。ローマの共和きょうわせい復活ふっかつのぞんでいる。
ファルコ議員ぎいん(Senator Falco)
えんじ - デヴィッド・スコフィールド英語えいごばん
元老げんろういん議員ぎいん没落ぼつらくしたパトリキ階級かいきゅうで、コンモドゥスに権勢けんせい策謀さくぼう
シセロ(Cicero)
えんじ - トミー・フラナガン
マキシマスの従者じゅうしゃ主人しゅじんけん闘士とうしとしたのちしたがつづけ、ひそかにマキシマスをたすける。

けん闘士とうし

アントニウス・プロキシモ(Antonius Proximo)
えんじ - オリヴァー・リード
ズッカバル英語えいごばん根城ねじろにするけん闘士とうしだん団長だんちょう。マキシマスに才覚さいかく見出みいだし、けん闘士とうしとしての修行しゅぎょうませる。
かつてはみずからもうてのけん闘士とうしとして活躍かつやくしており、その功績こうせきからアウレリウスみかどによって自由じゆうあたえられた。
ジュバ(Juba)
えんじ - ジャイモン・フンスー
ヌミディアひと奴隷どれい。マキシマスとともにプロキシモへけん闘士とうしとしてばされる。
独特どくとく死生しせいかんち、のぞむマキシマスにまだきてすべきことがあるとはげますなど、ふか友情ゆうじょうむすぶ。
ハーゲン(Hagen)
えんじ - ラルフ・メラー
ゲルマニアじん奴隷どれい冗談じょうだんきの大男おおおとこ先輩せんぱいけん闘士とうしとしてマキシマスとジュバを指導しどうし、のち友人ゆうじんとなるが、コンモドゥスへいとのたたかいによりいのちとす。
カッシウス(Cassius)
えんじ - デヴィッド・ヘミングス
コロッセウム支配人しはいにんで、けん闘士とうし競技きょうぎ責任せきにんしゃ
ティグリス(Tigris (of Gaul))
えんじ - スヴェン=オーレ・トールセン
ガリアとら戦士せんし」の異名いみょうけん闘士とうし。コンモドゥスの命令めいれいによってマキシマスとの試合しあいける。

キャスト

役名やくめい 俳優はいゆう 日本語にほんご吹替
ソフトばん テレビ朝日てれびあさひはん[9]
マキシマス ラッセル・クロウ 山路やまじ和弘かずひろ
コンモドゥス ホアキン・フェニックス かみ奈延ねん 宮本みやもとたかし
ルッシラ英語えいごばん コニー・ニールセン 沢海そうみ陽子ようし 佐々木ささき優子ゆうこ
プロキシモ オリヴァー・リード 富田とみた耕生こうせい 坂口さかぐちかおるさだ
グラックス デレク・ジャコビ ほり勝之かつゆきゆう 小林こばやしおさむ
ジュバ ジャイモン・フンスー 諸角もろずみ憲一けんいち 石田いしだけいゆう
マルクス・アウレリウス リチャード・ハリス 大木おおき民夫たみお 鈴木すずき瑞穂みずほ
ハーゲン ラルフ・メラー
シセロ トミー・フラナガン
ファルコ議員ぎいん デヴィッド・スコフィールド 村松むらまつ康雄やすお
ガイウス議員ぎいん ジョン・シュラプネル
クィントゥス トーマス・アラナ 田原たはらアルノ 稲垣いながき隆史たかし
ルキウス スペンサー・トリート・クラーク 矢島やじま晶子あきこ
カッシウス デヴィッド・ヘミングス 青野あおのたけし
ティグリス スヴェン=オーレ・トールセン
マキシマスのつま ジャンニア・ファシオ 伊藤いとう亜矢子あやこ
マキシマスの ジョルジョ・カンタリニ 細野ほその雅世まさよ
その くすのき尚己なおみ
梁田やなだ清之きよゆき
えきとみ信孝のぶたか
そう矢樹やぎよりゆき
古田ふるた信幸のぶゆき
花田はなたひかり
藤井ふじい佳代子かよこ
後藤ごとう哲夫てつお
小山こやま武宏たけひろ
水内みずうち清光きよみつ
石井いしい隆夫たかお
杉本すぎもとゆう
志村しむら知幸ともゆき
小野おの泰隆やすたか
常盤ひたちゆうたか
村上むらかみそうふとし
金尾かなお哲夫てつお
てらそま昌紀まさき
桐本きりもと拓哉たくや
西にしりん太朗たろう
水内みずうち清光きよみつ
田中たなかかん
つじおやはち
原田はらだあきら
おう四郎しろう
竹田たけだ雅則まさのり
白山しろやまおさむ
伊藤いとう亜矢子あやこ
船木ふなき真人まさと
高階たかしなしゅん
重松しげまつとも
野中のなかしげるあきら
しょう谷津たにつひさしてん
丸山まるやまじゅん
天神てんじんそうかい
山口やまぐち貴樹たかき
瀬口せぐち昌代まさよ
翻訳ほんやく じょ世子せいし 平田ひらた勝茂かつしげ
演出えんしゅつ 中野なかの洋志ひろし 福永ふくなが莞爾かんじ
調整ちょうせい 門倉かどくらとおる 長井ながいとしおや
効果こうか リレーション
編集へんしゅう協力きょうりょく IMAGICA
宮本みやもと陽介ようすけ
プロデューサー 松田まつだたすく栄子えいこ
シュレック・ヘドウィック
制作せいさく協力きょうりょく VIVIA
清宮きよみやただしのぞみ
制作せいさく ACクリエイト ムービーテレビジョン
初回しょかい放送ほうそう 2020ねん4がつ30にち
午後ごごのロードショー
(13:35-15:40)
2003ねん11月2にち
日曜にちよう洋画ようが劇場げきじょう
(21:00-23:54)

製作せいさく

企画きかく脚本きゃくほん

Gladiator』のアイディアは製作せいさくつとめたデヴィッド・フランゾーニ提案ていあんしたものであり、同時どうじ脚本きゃくほん初期しょきあんかれげられた[10]。フランゾーニは以前いぜん製作せいさく脚本きゃくほんとしてかかわったスティーヴン・スピルバーグ監督かんとくによる『アミスタッド』の商業しょうぎょうてき成功せいこうで、ドリームワークスからあらたな映画えいが製作せいさく立案りつあん依頼いらいされていた。フランゾーニは古代こだいかんする特別とくべつ興味きょうみ当初とうしょたなかったが、ダニエル・マニックス小説しょうせつ『Those About to Die』(1958ねん)に影響えいきょうけ、さらに『ローマ皇帝こうていぐんぞう』をんだ経験けいけんからコンモドゥスみかどかんする映画えいが製作せいさくおもった。草案そうあんでは『ローマ皇帝こうていぐんぞう』のコンモドゥスでんには登場とうじょうせず、ヘロディアヌスカッシウス・ディオといったどう時代じだいじんによってつたえられた(コンモドゥスみかど暗殺あんさつしたとされる)けん闘士とうしナルソキッソスがモチーフとされ、名前なまえもそのままであった。しかしナルソキッソスにかんする記述きじゅつとぼしいためにさまざまな歴史れきし人物じんぶつがモチーフとしてくわえられ、独創どくそうてき主人公しゅじんこう「マキシマス」を形作かたちづくっていった[11]

ろされた親指おやゆび」(レオン・ジェローム1872ねん)

監督かんとくについてはそう製作せいさくのウォルター・F・パークス、ローリー・マクドナルドによってリドリー・スコットにオファーがされ、二人ふたりはアイディアげんひとつであるジャン=レオン・ジェローム絵画かいがせて脚本きゃくほん説明せつめいした[12]。スコットは古代こだいローマ時代じだい映像えいぞうつよ興味きょうみしめしたものの、脚本きゃくほん草案そうあんについては全面ぜんめんてきなおすべきだと批判ひはんし、実際じっさい脚本きゃくほんジョン・ローガンによって大幅おおはば変更へんこうさせた。ローガンによりなおされた部分ぶぶんとしては主人公しゅじんこうけん闘士とうしになるまでの展開てんかいふかみをたせたことと、ぎゃく家族かぞく描写びょうしゃについては大幅おおはばらしたことがげられる[13]

製作せいさく直前ちょくぜんまで脚本きゃくほんについての議論ぎろんつづけられており、さんにん脚本きゃくほんとして参加さんかしたウィリアム・ニコルソン主人公しゅじんこうマキシマスをより感傷かんしょうてき人物じんぶつとして描写びょうしゃするべく、作品さくひんちゅう頻出ひんしゅつする死生しせいかんについてのテーマをんだ。そのなかでヌミディアじん奴隷どれいジュバが重要じゅうよう役割やくわりえんじるよう、人物じんぶつ関係かんけい調整ちょうせいされた[13]途中とちゅうでフランゾーニも製作せいさくから脚本きゃくほん復帰ふっきして、ウィリアムとローガンの変更へんこうあん監修かんしゅうする立場たちばについた。ウィリアムはフランゾーニの初期しょきあん尊重そんちょうしながら変更へんこう作業さぎょうおこない、フランゾーニも脚本きゃくほん監修かんしゅうとしては変更へんこうあん自由じゆうおこなわせた。しかし製作せいさくとしてはあくまで自分じぶん初期しょきあんちかもの採用さいようするように主張しゅちょうしていた[14]のちにフランゾーニは『グラディエーター』については製作せいさくかんする貢献こうけんみとめられ、アカデミー作品さくひんしょう共同きょうどう受賞じゅしょうした[10]

また脚本きゃくほん主演しゅえんつとめたラッセル・クロウからの提案ていあんによる修正しゅうせいおこなわれた。かれつね脚本きゃくほん内容ないようについて意見いけん提示ていじし、納得なっとくする回答かいとう製作せいさくじんからられないと不満ふまんげにセットをあるいた。ドリームワークスの製作せいさくじんくちそろえて「(ラッセルは)すべての脚本きゃくほんなおさせようとした。とくにトレーラーでも使用しようされた『今生こんじょうか、さもなくば来世らいせ復讐ふくしゅうたす』という台詞せりふ断固だんことしてれなかった」と証言しょうげんしている[15]。ラッセルが追加ついかされた死生しせいかんについてのテーマをきらっており、「ウィリアムの脚本きゃくほんはゴミだ。だがわたし世界一せかいいち俳優はいゆうだからどんなゴミみたいな台詞せりふでもえんじてみせる」とまで罵倒ばとうしたという。ウィリアムは「多分たぶんわたし脚本きゃくほんがゴミみたいだから、そのままの台詞せりふしゃべったんだろうね」と皮肉ひにくっている[16]

プリプロダクション

映画えいが撮影さつえいそなえて、スコットはストーリーボードの製作せいさく数ヶ月すうかげつあいだついやした[17]。また6週間しゅうかんにわたって製作せいさくスタッフをれて、イタリアフランスイングランドきたアフリカなど実際じっさいにローマ文明ぶんめい形成けいせいされた土地とち旅行りょこうして、撮影さつえいよう場所ばしょなどをさがしてまわった[18]

作中さくちゅう登場とうじょうする調度ちょうどひん衣服いふく、セットや建築けんちくぶつおおくは購入こうにゅう借用しゃくよう困難こんなんであったためほとんどが映画えいがためいちから製作せいさくされた[19]

撮影さつえい

1999ねんの5がつ最初さいしょ撮影さつえい開始かいしされた。まずかられたのは映画えいが冒頭ぼうとうにあたる、ふゆのゲルマニアでの戦闘せんとう場面ばめんだった。しかし実際じっさい撮影さつえいおこなわれたのは先述せんじゅつとおはるごろで、また撮影さつえい場所ばしょにはイングランドのボーンウッズがもちいられた[20]現地げんち森林しんりん委員いいんかいもり伐採ばっさいする予定よていにあったことをると、スコットはこれを活用かつようしてもり木々きぎやすなどの撮影さつえいについて許可きょか[21]。スコットと撮影さつえい監督かんとくのジョン・マシソンは可変かへんフレームレートやマルチカメラといった技法ぎほうもちいて迫力はくりょくある戦闘せんとうシーンを撮影さつえいした。これは1998ねんの『プライベート・ライアン』でも使用しようされた技法ぎほうである[22]つぎモロッコ王国おうこくワルザザート撮影さつえい場所ばしょうつして、ズッシャバルの奴隷どれい市場いちば訓練くんれんシーンを3週間しゅうかんにわたって撮影さつえいした[23]地方ちほう闘技とうぎじょうでの場面ばめん実際じっさいふる建設けんせつ技術ぎじゅつ材料ざいりょう使つかって3まんどろレンガをつくってまれたセットが撮影さつえいスタッフによって用意よういされた[24]。そして最後さいごにローマ市内しないのシーンのためマルタとうリカソリとりでで19週間しゅうかん長期ちょうき撮影さつえいおこなわれた[25][26]

マルタとう選定せんていされた理由りゆうはローマの本土ほんどであったイタリア(イタリア本土ほんど)にちか地理ちりてき条件じょうけんており、近世きんせいてられたローマふう建築けんちくぶつ存在そんざいしていたためである。とはいえなが歴史れきしでマルタとう遺跡いせきおおくが変容へんようしており、この場面ばめんはセットとCG技術ぎじゅつ駆使くししたフォローが想定そうていされていた。事実じじつまちちゅうられる建物たてものおおくやコロッセウムの基礎きそ部分ぶぶんのぞいた箇所かしょなどがCGICG)によってくわえられている[27]同時どうじ実物じつぶつだいのセットもまれたが、とくにコロッセウムの基礎きそ部分ぶぶんは100まんドルもの費用ひようとうじて建設けんせつされた[28]。これ以外いがい映像えいぞういろど小物こものるい武器ぶき甲冑かっちゅう胸像きょうぞう家具かぐ天幕てんまくはしら布地ぬのじ衣装いしょう)などはすべてこの映画えいがためだけに発注はっちゅうされたオーダーメイドしなで、歴史れきし映画えいがからの使つかまわしなどは一切いっさいおこなわれなかった[25]

ポストプロダクション

撮影さつえい作業さぎょう編集へんしゅうとCGI加工かこうしぼられ、とくにCGI部分ぶぶんについてはロサンゼルスにCGIよう設備せつびミルしゃ担当たんとうした。かれらは撮影さつえいスタッフが苦心くしんして用意よういした映像えいぞうをさらに迫力はくりょくくわえる様々さまざま努力どりょくおこなった。たとえば冒頭ぼうとう合戦かっせんシーンではなたれた火矢ひや実際じっさいには安全あんぜんせいなどの問題もんだいから敵陣てきじんまえまでしかばしていなかったが、これを敵陣てきじんとどいているように修正しゅうせいする作業さぎょうなどがおこなわれている。にコロッセウムのシーンで観客かんきゃくのエキストラが用意よういしきれない部分ぶぶんや、凱旋がいせんしき元老げんろういんなが階段かいだんのぼ場面ばめんなどもCGI工程こうてい追加ついかされた[29]最終さいしゅうてきにミルしゃのスタッフは90以上いじょう部分ぶぶん加工かこうくわえ、映画えいがないで9分間ふんかんぶん場面ばめんくわえたかたちになった[30]

また主要しゅよう俳優はいゆう一人ひとりであったプロキシモやくオリヴァー・リード撮影さつえい終了しゅうりょう間際まぎわ病死びょうししたことは予想よそうがい作業さぎょう必要ひつようとした。出演しゅつえん予定よていだった終盤しゅうばん場面ばめん編集へんしゅうやCGで誤魔化ごまかすという苦肉くにくさくおこなわれた[30]。なお、プロキシモは兵士へいしたちかこまれ刺殺しさつされるが、そのシーンのプロキシモは容姿ようしせた代役だいやく担当たんとうし、かおうつらないようにされた。グラディエーター製作せいさくうえでこうしたCG製作せいさくかせない重要じゅうよう作業さぎょうであった。しかしCGI作業さぎょう統括とうかつした視覚しかく効果こうか監督かんとくジョン・ネルソンは「我々われわれがやったことは映画えいが全体ぜんたい一部いちぶぎない。オリヴァーのけんにしても、人々ひとびと感動かんどうあたえたのはかれ演技えんぎだった。我々われわれはそれを上映じょうえいする手助てだすけをしただけだ」とコメントしている。ほんさくはオリヴァー・リードの遺作いさくとなった[31]

音楽おんがく

音楽おんがくハンス・ジマーリサ・ジェラルドクラウス・バデルト担当たんとうゴールデングローブしょう音楽おんがくしょう受賞じゅしょうしたほか、アカデミー作曲さっきょくしょうにノミネートされるなどたか評価ひょうかけたが、戦闘せんとう場面ばめん楽曲がっきょくホルスト組曲くみきょく惑星わくせい」の「火星かせい」と酷似こくじしており、2006ねん、ホルスト財団ざいだんから著作ちょさくけん侵害しんがい訴訟そしょうこされた。ジマーがわ盗作とうさくではないと主張しゅちょう全面ぜんめんてきあらそっている[32][注釈ちゅうしゃく 2][33][34]。またコンモドゥスの凱旋がいせんしきシーンに使用しようされたきょくワーグナーの「ニーベルングのゆびたまき」と酷似こくじしており[35]冒頭ぼうとうにおけるゲルマニアのきょくはリドリー・スコットが愛好あいこうしている映画えいがズールー」との関連かんれん主張しゅちょうする意見いけんもある。

また、どう作品さくひん主題歌しゅだいか「ついに自由じゆうに(Now We Are Free)」をうたったリサ・ジェラルドも一気いっき知名度ちめいどげた。

楽曲がっきょくたか評価ひょうかけた映画えいが音楽おんがくとして多方面たほうめんにおいて借用しゃくようされ、2003ねんNFL決勝けっしょうせんハーフタイムなかながされている[36]同年どうねんルチアーノ・パヴァロッティげきちゅう音楽おんがく歌唱かしょう部分ぶぶん担当たんとうするもうことわったエピソードをかし、けておけばよかったと後悔こうかいくちにしている[37]

反響はんきょう

歴史れきし考証こうしょう

どう作品さくひん史実しじつ誠実せいじつでなければならない学問がくもんてき歴史れきし資料しりょうではなく、娯楽ごらくとしての史劇しげき作品さくひんであることからかならずしも史実しじつせい絶対ぜったいする必要ひつようがあるわけではない。だが現実げんじつ問題もんだいとして映像えいぞう作品さくひん社会しゃかいてき影響えいきょうがある以上いじょうとく成功せいこうした歴史れきし映画えいがである『グラディエーター』が「あやまったローマ時代じだい知識ちしきあたえる」との批判ひはんけており、実際じっさい史実しじつ創作そうさく混同こんどう助長じょちょうしているのもまた事実じじつである。

リドリー・スコット自身じしん史実しじつのローマ時代じだいふか興味きょうみ敬意けいいいており、できるかぎりは「実際じっさいのローマ」の映像えいぞうのぞんでいたとコメントしている。事実じじつ、スコットは撮影さつえいいどむにあたってすうにん権威けんいある歴史れきし学者がくしゃ史実しじつ考証こうしょうのスタッフとして招致しょうちしている。しかし作品さくひんげるため演出えんしゅつ脚色きゃくしょくもまた娯楽ごらく作品さくひん監督かんとくとしてっており、史実しじつ考証こうしょうのスタッフと衝突しょうとつすることもおおかった。またスコットは史実しじつおもんじる一方いっぽうで「史実しじつ不明瞭ふめいりょう部分ぶぶん想像そうぞうおぎなってもよい」というスタンスもっており、たとえば冒頭ぼうとう火矢ひやみぞそそいだあぶら点火てんかする場面ばめんはスコットの想像そうぞうあるいは創造そうぞう)である。

にコロッセウムにカフェが用意よういされている場面ばめんについても「暴君ぼうくんネロがカフェで万引まんびきをした」というある歴史れきししょ記述きじゅつしたに、「ローマ時代じだいにカフェという文化ぶんかはない」という考証こうしょうスタッフの意見いけん退しりぞけてシーンにれている。登場とうじょう人物じんぶつ衣服いふくなども史実しじつもとづきつつ、よりはなやかで映像えいぞうさかえするアレンジや色彩しきさい採用さいようされている。体力たいりょく自慢じまん暴君ぼうくんとして歴史れきししょ描写びょうしゃされるコンモドゥス気弱きよわ情緒じょうちょ不安定ふあんてい青年せいねんえが一方いっぽう、アウレリウスを皮肉ひにく共和きょうわ主義しゅぎしゃとしてえがくなど独自どくじ歴史れきし解釈かいしゃくあたえている。スコットのある意味いみ柔軟じゅうなん独創どくそうてきであり、乱暴らんぼう優柔不断ゆうじゅうふだんでもある史実しじつへの態度たいど論争ろんそうこし、すくなくとも一人ひとり歴史れきし考証こうしょうやく途中とちゅう降板こうばんしている。

コネチカット大学だいがくのアレン・ウォード教授きょうじゅはスコットの態度たいどを「創作そうさくじょう必要ひつようだった部分ぶぶんもある」と擁護ようごしつつも、「作家さっか娯楽ごらくためゆるされている脚色きゃくしょくは、史実しじつ乱雑らんざつあつかうことへの許可きょかしょうではない」と批判ひはんしている[38][39]

とく一番いちばん論争ろんそうたねになったのは物語ものがたり重要じゅうよう箇所かしょである「コンモドゥスによるちちアウレリウス暗殺あんさつ」の場面ばめんで、おおくのローマ時代じだい関連かんれんする歴史れきししょはコンモドゥスによる暗殺あんさつ否定ひていしている。つぎ主人公しゅじんこうマキシマスがきわめて高位こうい官職かんしょくについている重臣じゅうしんであり、最終さいしゅうてき皇帝こうてい暗殺あんさつするという大業おおわざげたにもかかわらず、その存在そんざい完全かんぜんなフィクションであることが批判ひはんされる。ただしマキシマスのモチーフとなった人物じんぶついくにんかの実在じつざい人物じんぶつもちいられている[40]具体ぐたいてきには実際じっさいにコモドゥスを宮殿きゅうでん暗殺あんさつしたとされるけん闘士とうしナルキッソス英語えいごばん戦争せんそう英雄えいゆうとして活躍かつやくしたのちいさぎよ農夫のうふもどった独裁どくさいかんキンキナトゥス[41][42]、アウレリウスの重臣じゅうしん一人ひとりであった執政しっせいかんマルクス・ノニウス・マクリウス英語えいごばんなどである[43][44]

作品さくひんからの影響えいきょう

大筋おおすじにおいて史実しじつもとづきつつ、こまかい部分ぶぶん独創どくそうてき脚色きゃくしょくくわえられた歴史れきし映画えいがという意味いみで、『グラティエーター』はソード&サンダル路線ろせん継承けいしょうしゃといえる。そのなかでもとく共和きょうわせい奴隷どれい反乱はんらんもとにした『スパルタカス』と、ほんさくどう時代じだいもとにした『マ帝国まていこく滅亡めつぼう』の影響えいきょう指摘してきされる[45]。『マ帝国まていこく滅亡めつぼう』の大筋おおすじ暴君ぼうくんコモドゥスがちち暗殺あんさつして帝位ていいうばい、主人公しゅじんこう味方みかたくわえようとするが拒否きょひされたことから粛清しゅくせいするが、のこっていた主人公しゅじんこう一騎討いっきうちちのまつたおれるという内容ないようで、グラディエーターもおな粗筋あらすじ使用しようしている。しかし、主人公しゅじんこうはじめとする主要しゅよう人物じんぶつ描写びょうしゃ戦闘せんとうシーンの工夫くふうによって、りょう作品さくひん芸術げいじゅつせいまったことなる方向ほうこうへとけられている。

リドリー・スコット自身じしんは『マ帝国まていこく滅亡めつぼう』よりもむしろ『スパルタカス』と『ベン・ハー』(それらはスコットがわかころ愛好あいこうした映画えいがでもあったという)が古代こだいローマを舞台ぶたいにするじょう影響えいきょうけられなかったと言及げんきゅうしている。そのうえで「2000ねんという人類じんるい文明ぶんめいひとつの節目ふしめに、人類じんるい歴史れきし影響えいきょうあたえただい帝国ていこくかれえがきたいとおもえた」ともコメントしている"[46]

に、コモドゥスの凱旋がいせんしき場面ばめんヒトラー意向いこう製作せいさくされたナチスのプロパガンダ映画えいが意志いし勝利しょうり』を参考さんこうにしたと言及げんきゅうしている[47][48]一方いっぽうでスコットは「ヒトラーを真似まねたというのは正確せいかくじゃないな。ヒトラーがローマの真似事まねごとをしたのさ」と皮肉ひにくめてコメントしている[49]

評価ひょうか

批評ひひょう反応はんのう

映画えいがレビューサイト「Rotten Tomatoes」では78%(207めいちゅう161めい)の批評ひひょうほんさく肯定こうていてき評価ひょうかくだし、また平均へいきんてんは10てん満点まんてんで7.3てん批評ひひょう一致いっちした見解けんかいは「リドリー・スコット監督かんとく豪華ごうかキャストが、マ帝国まていこくけん闘士とうしたたかいの迫力はくりょくと、そのうらきようとしている政治せいじてき陰謀いんぼう見事みごと表現ひょうげんしている。」となった[50]同様どうよう映画えいがレビューサイト「Metacritic」では46けんのレビューのうち、こう評価ひょうかは33けん賛否さんぴ混在こんざいは12けんてい評価ひょうかは1けんで、平均へいきんてんは100てん満点まんてんちゅう67てんだった[51]。CNNは冒頭ぼうとう戦闘せんとう場面ばめんを「最高さいこうめい場面ばめん」と賞賛しょうさん[52]、『エンターテインメント・ウィークリー』はラッセル・クロウの情熱じょうねつてき演技えんぎはマキシマスを「映画えいが世界せかい英雄えいゆう」の一人ひとりげ、どうさく全体ぜんたい素晴すばらしい復讐ふくしゅうぶつ映画えいが仕上しあがっているとひょうした[53][54]。2002ねん、イギリスの公営こうえい放送ほうそうチャンネル4映画えいがランキングで映画えいが史上しじょう名作めいさくならんでだい6どうさくをランキングした[55]

一方いっぽう、しばしば通俗つうぞくてき評価ひょうかとはことなる評論ひょうろんられる批評ひひょうロジャー・イーバートは、この映画えいがつよ批判ひはんした数少かずすくない一人ひとりである。かれ映像えいぞうめんを「きたなくてぼやけて見辛みづら映画えいが」と酷評こくひょうし、物語ものがたりについても「喜怒哀楽きどあいらく表現ひょうげんすればうすっぺらさをけられるとおもったらだい間違まちがいだ」と罵倒ばとうした[56]

興行こうぎょう収入しゅうにゅう

興行こうぎょう収入しゅうにゅうでは成功せいこうおさめた。2938箇所かしょ映画えいがかん一斉いっせい公開こうかいされた『グラディエーター』ははつしゅうで3483まんドルの興行こうぎょう収入しゅうにゅう記録きろくした[57]興行こうぎょう収入しゅうにゅういきおいはまらず、すう週間しゅうかんはやくも巨額きょがくであった制作せいさく1おく300まんドルを全額ぜんがく回収かいしゅうした。正規せいき上映じょうえい終了しゅうりょう全米ぜんべい興行こうぎょう収入しゅうにゅうは1おく8770まん5427ドルにたっし、つづいて世界せかい公開こうかいはじまると最終さいしゅうてき興行こうぎょう収入しゅうにゅうは4おく5764まん427ドルという破格はかく商業しょうぎょうてき成功せいこうとなった[58]さら映画えいがかん上映じょうえい終了しゅうりょう家庭かていない視聴しちょう需要じゅようけたDVDセールスがはじまるとこれも成功せいこうおさめた。DVDばんだけでなくブルーレイ・ディスクばん発売はつばいされ、メイキングや収録しゅうろく場面ばめん追加ついかして販売はんばいされた。

2009ねん9がつ映画えいが上映じょうえい10周年しゅうねんまえ完全かんぜんばんディレクターズ・カット)の販売はんばいおこなわれ、あらたに長大ちょうだいなシーン追加ついかおこなわれた[59]

受賞じゅしょう

商業しょうぎょうてき成功せいこうだけでなく芸術げいじゅつてき評価ひょうかというてんでも『グラディエーター』は主演しゅえんラッセル・クロウのアカデミー主演しゅえん男優だんゆうしょう受賞じゅしょうはじめ、アカデミー、ゴールデングローブ、英国えいこくアカデミーしょうなどを独占どくせんして36しょう受賞じゅしょうするだい成功せいこうおさめている[60]。ノミネートもふくめるとほとんどのしょう部門ぶもんげられており、そのなかでもホアキン・フェニックスのアカデミー助演じょえん男優だんゆうしょうノミネート、リドリー・スコットのアカデミー監督かんとくしょうノミネートが特筆とくひつされる。

映像えいぞうソフト

DVD
Blu-ray
Ultra HD Blu-ray

仕様しよう

  • DVD(2003ねんリリースばん):カラー、スコープサイズ、dts-ES Discrete 6.1(6.1 英語えいご)/ドルビーデジタル(5.1 英語えいご)/ドルビーデジタル(5.1 日本語にほんご
  • Blu-ray(2009ねんリリースばん):カラー、スコープサイズ、dts-HD マスター・オーディオ(5.1 英語えいご)/dts(5.1 日本語にほんご
  • Blu-ray(2011ねんニューマスターリリースばん):カラー、スコープサイズ、dts-HD マスター・オーディオ(5.1 英語えいご)/dts(5.1 日本語にほんご
  • Ultra HD Blu-ray:カラー、スコープサイズ、dts:X(7.1.4 英語えいご)/dts(5.1 日本語にほんご

影響えいきょう

グラディエーターのだいヒットはとく合衆国がっしゅうこくうちで「ローマ・ブーム」ともうべき古代こだいローマ時代じだいへの関心かんしん増加ぞうかこし、ニューヨーク・タイムズかみ現象げんしょうを「グラディエーター効果こうか("Gladiator Effect")」とひょうした[61]おおきく時代じだいことなるローマ時代じだい政治せいじキケロ作中さくちゅう登場とうじょう人物じんぶつのモチーフにされている)の専門せんもんてき考察こうさつしょ「Cicero: The Life and Times of Rome's Greatest Politician(「キケロ―あるローマの偉大いだい政治せいじ、その生涯しょうがいきた時代じだい」アンソニー・エヴェリット、2001ねん)がぶようにれ、おなじくたまたまあらたに新訳しんやくおこなわれたアウレリウスみかど著書ちょしょ自省じせいろく』(グレゴリー・ヘイズやく、2000ねん)が思索しさくしょとしては異例いれいげを記録きろくした[61]

ローマ時代じだいのみならず歴史れきし映画えいが自体じたいもブームとなり『トロイ』『アレキサンダー』『キング・アーサー』とつづけに歴史れきし大作たいさくおくされ、リドリー・スコット自身じしん十字軍じゅうじぐんをテーマにした『キングダム・オブ・ヘブン』の監督かんとくっている。このながれは現在げんざいまで温存おんぞんされており、スパルタ時代じだいをテーマにした『300 〈スリーハンドレッド〉』が製作せいさくされている[62]

主人公しゅじんこうとしてあらたに創作そうさくされたマキシマスはトータルフィルム英語えいごばんおこなった「印象いんしょうのこった50にん主人公しゅじんこう悪役あくやく」の一人ひとりにランクインし[63]エンパイアの「偉大いだい主人公しゅじんこうランキング」でもえらばれるなどたか知名度ちめいど獲得かくとくした[64]主役しゅやくつとめたラッセル・クロウ母国ぼこくオーストラリアではマキシマスの記念きねん切手きってまで発売はつばいされ[65]、ラッセル本人ほんにん豪州ごうしゅう政府せいふ招致しょうち記念きねん式典しきてんでスピーチをおこなっている[65]

続編ぞくへん

おおきな成功せいこうおさめた『グラディエーター』の続編ぞくへん構想こうそうはやくも公開こうかい翌年よくねんとなる2001ねん製作せいさく一人ひとりダグラス・ウィックが「映画えいが本編ほんぺん序章じょしょう部分ぶぶん」を製作せいさくする予定よていがあると発表はっぴょうした[66]。しかしデヴィッド・フランゾーニの提案ていあんにより、ほどなく企画きかく本編ほんぺんから15ねんとなる「後日ごじつだん」にえられることが決定けっていされた[67]公開こうかいされていた予定よてい構想こうそうによれば物語ものがたりはコンモドゥスみかどとマキシマスのから15ねん近衛このえたい主導しゅどうけんにぎ帝国ていこく舞台ぶたいとなる。そんななか成長せいちょうしたルッシラのでコンモドゥスのおいであるルキウスを主人公しゅじんこうとし、かれ自分じぶんのルーツをひそかにさぐろうとするという内容ないようとされた。

ラッセル・クロウも続編ぞくへん出演しゅつえん意欲いよくせ、そのうえでマキシマス(あるいはその来世らいせ)をふたたえんじることをつよ希望きぼうしてローマの宗教しゅうきょうかん転生てんせい概念がいねんなどとからめられないかとかんがえていると発言はつげんした[68]おそらく監督かんとくとして要請ようせいされたであろうリドリー・スコットも続編ぞくへん製作せいさくについては前向まえむきに検討けんとうしているとしつつも、「内容ないようてきに『グラディエーター2』というわけにはいかないだろうね」と現行げんこうあんでは続編ぞくへんとはいえ作品さくひんテーマがおおきくことなるてん指摘してきした[69]。ディレクターズカットの内容ないようなどから、リドリー・スコットがマキシマス、コンモドゥス、ルッシラ、アウレリウスがわかころ舞台ぶたいとなる序章じょしょう製作せいさくすることをのぞんでいる部分ぶぶんがあり、りょうあんあわせると序章じょしょう後日ごじつだん交互こうごえがいた『ゴッドファーザー PART II』のスタイルに続編ぞくへんというかたちになる。

2006ねんまとまらない状態じょうたいにリドリー・スコットはあんちか内容ないよう脚本きゃくほん試案しあん製作せいさくさせようとしたが、ドリームワークスは後日ごじつだん製作せいさくするという意思いしげなかった[70]。2009ねん企画きかく完全かんぜん暗礁あんしょうへとげた状態じょうたいにあったが、インターネットじょう公開こうかいされた「却下きゃっかされた脚本きゃくほんあん」とされる文書ぶんしょふたた話題わだいあつめた。それによればマキシマスはローマのかみとして転生てんせいし、帝国ていこくから迫害はくがいされるキリスト教徒きりすときょうとまもるという内容ないようであった。さらに終盤しゅうばんでは世界せかい歴史れきしつい体験たいけんして、最終さいしゅうてきだい世界せかい大戦たいせんにまでいたるというかなり荒唐無稽こうとうむけい内容ないようになっている[71][72]試案しあん担当たんとうしたのはニック・ケイブで、「リドリーとラッセルが一読いちどくしたのち却下きゃっかした」とされている。

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ リドリー・スコット発言はつげん史実しじつとき系列けいれつなどから、おそらくマルコマンニ戦争せんそうがモデルである。
  2. ^ これについてジマーは、どう作品さくひんのサントラの追加ついかばんCDアルバム『モア・ミュージックfromグラディエーター』のノートのなかで、「(12きょく:グラディエーター・ワルツについて)おおくの人々ひとびとが、この楽曲がっきょくはホルストの惑星わくせいおもさせると感想かんそうべてくれた。たしかにわたしはホルストとおな言語げんご、ヴォキャブラリーを使つかっているが、シンタックスまでおなじだとはわない。」とか、「(6きょくけん闘士とうし(グラディエーター)となった奴隷どれいについて)すでにおかりのように、これはワーグナー作品さくひん模造もぞうひんである。」と、あん盗用とうようみとめるような、またひらなおりともとれるコメントをしている。

出典しゅってん

  1. ^ a b c d Gladiator (2000)” (英語えいご). Box Office Mojo. Amazon.com. 2010ねん4がつ25にち閲覧えつらん
  2. ^ 2000ねん興行こうぎょう収入しゅうにゅう10おくえん以上いじょう番組ばんぐみ (PDF) - 日本にっぽん映画えいが製作せいさくしゃ連盟れんめい
  3. ^ D'Alessandro, Anthony (February 3, 2023). “'Gladiator 2′ Gets Pre-Thanksgiving 2024 Release”. Deadline Hollywood. February 3, 2023閲覧えつらん
  4. ^ “リドリー・スコット監督かんとく「グラディエーター2」は2024ねん11月全米ぜんべい公開こうかい. 映画えいが.com. (2023ねん2がつ10日とおか). https://eiga.com/news/20230210/4/ 2023ねん7がつ30にち閲覧えつらん 
  5. ^ 『グラディエーターII』2024ねん日本にっぽん公開こうかい決定けってい場面ばめん写真しゃしん&ポスターだい放出ほうしゅつ ─ リドリー・スコット監督かんとくさく、24ねんぶり正統せいとう続編ぞくへん | THE RIVER”. theriver.jp (2024ねん7がつ8にち). 2024ねん7がつ8にち閲覧えつらん
  6. ^ 「マキシマス」は英語えいごふう表記ひょうき古典こてんラテン語らてんごでは「マークシムス・デーキムス・メリーディウス」。
  7. ^ オーディオコメンタリーの解説かいせつより
  8. ^ 日本語にほんご吹替ふきかえでは英語えいご風発ふうはつおんの「ルーシャス・ウェルス」。
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参考さんこう文献ぶんけん

外部がいぶリンク