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ロッキー (映画) - Wikipedia コンテンツにスキップ

ロッキー (映画えいが)

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ロッキー
Rocky
監督かんとく ジョン・G・アヴィルドセン
脚本きゃくほん シルヴェスター・スタローン
製作せいさく アーウィン・ウィンクラー
ロバート・チャートフ
製作せいさくそう指揮しき ジーン・カークウッド
出演しゅつえんしゃ シルヴェスター・スタローン
タリア・シャイア
バート・ヤング
バージェス・メレディス
カール・ウェザース
音楽おんがく ビル・コンティ
撮影さつえい ジェームズ・グレイブ
編集へんしゅう リチャード・ハルシー
スコット・コンラッド
製作せいさく会社かいしゃ チャートフ=ウィンクラー・プロダクションズ
配給はいきゅう ユナイテッド・アーティスツ
公開こうかい アメリカ合衆国の旗 1976ねん11月21にち
日本の旗 1977ねん4がつ16にち
上映じょうえい時間じかん 119ふん
製作せいさくこく アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご 英語えいご
製作せいさく 110まん$
興行こうぎょう収入しゅうにゅう アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $117,235,147[1]
世界の旗 $225,000,000
配給はいきゅう収入しゅうにゅう 日本の旗 12おく1600まんえん[2]
つぎさく ロッキー2
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ロッキー』(原題げんだい: Rocky)は、1976ねん製作せいさくアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのスポーツ映画えいが配給はいきゅう会社かいしゃユナイテッド・アーティスツで、監督かんとくジョン・G・アヴィルドセン主演しゅえん脚本きゃくほんシルヴェスター・スタローン

だい49かいアカデミーしょう作品さくひんしょう監督かんとくしょう編集へんしゅうしょうならびにだい34かいゴールデングローブしょうドラマ作品さくひんしょう受賞じゅしょう作品さくひん。また、2006ねん米国べいこく連邦れんぽう議会ぎかい図書館としょかんアメリカ国立こくりつフィルム登録とうろく簿新規しんき登録とうろくした作品さくひんなかの1つである。

その物語ものがたりえが続編ぞくへん製作せいさくされており、『ロッキー2』、『ロッキー3』、『ロッキー4/ほのお友情ゆうじょう』、『ロッキー5/最後さいごのドラマ』、『ロッキー・ザ・ファイナル』とシリーズされた。また、アポロの遺児いじアドニスが主人公しゅじんこうのスピンオフ『クリード チャンプをおとこ』、『クリード えん宿敵しゅくてき』、『クリード 過去かこ逆襲ぎゃくしゅう』が製作せいさくされている。

シルヴェスター・スタローンの代表だいひょうさくひとつとなる[3]

ストーリー

プロローグ
アメリカの建国けんこく200ねん目前もくぜんひかえていた1975ねんフィラデルフィアらす三流さんりゅうボクサー ロッキー・バルボア本業ほんぎょうボクシングによる賞金しょうきんだけでは生活せいかつしていくことができず、知人ちじんである高利貸こうりがしの取立とりたてじんいながら日銭ひぜにかせぐというヤクザ生活せいかつおくっていた。素質そしつはあるのにこれといった努力どりょくもせず、所属しょぞくするボクシングジムのトレーナーであるミッキーからもそのちぶれたよう愛想あいそかされされてしまう。
そんな自堕落じだらく生活せいかつおくっていたロッキーにもきがいがあった。近所きんじょのペットショップではたら女性じょせい エイドリアン存在そんざいである。ロッキーは、精肉せいにく工場こうじょうはたら親友しんゆうポーリーいもうとであるエイドリアンに恋心こいごころいだき、毎日まいにちペットショップへあしはこんでははなしかけるものの、内気うちき人見知ひとみしりがはげしいエイドリアンはなかなかけない。そんないもうと好意こういせているロッキーを、ポーリーは奇異きいおもいながらも感謝かんしゃしていた。ロッキーとエイドリアンは不器用ぶきようながら距離きょりちぢめてゆき、やがておたがいになくてはならない存在そんざいになっていく。
世界せかいチャンピオンからの抜擢ばってき
そんなある建国けんこく200ねんさいのイベントの一環いっかんとして開催かいさいされる世界せかいヘビーきゅうタイトルマッチで、世界せかいチャンピオンであるアポロ・クリード対戦たいせん相手あいて負傷ふしょう。プロモーターらは代役だいやくさがしに奔走ほんそうするが、そんなときアポロが「まったくの無名むめい選手せんしゅたたかうというのはどうだ?」とアイデアをす。無名むめい選手せんしゅアメリカン・ドリーム体現たいげんさせることで世間せけん話題わだいあつめ、自身じしんふところふかさをらしめようという算段さんだんである。
そしてアポロは、ロッキーが「イタリアの種馬たねうま」(Italian Stallion)というユニークなニックネームをもつというだけの理由りゆうで、対戦たいせん相手あいて指名しめいする。スパーリングだとおもっていたロッキーはおどろいたが、両者りょうしゃ実力じつりょく歴然れきぜんとしていることからもうことわる。人気にんき獲得かくとくのためにもなにとかして試合しあい開催かいさいしたいアポロやプロモーターは、なか強引ごういんにロッキーを説得せっとく試合しあい開催かいさい決定けっていする。
過酷かこく特訓とっくん
スポンサーを名乗なのるポーリーや、自身じしん豊富ほうふ経験けいけんからマネージャーになることを希望きぼうするミッキー、そして1つのきがいであるエイドリアンが、ロッキーに自分じぶんけっして孤独こどくではないことをづかせた。「いま自分じぶんにはたしかに人生じんせい目的もくてきあいささえてくれるひとたちがいる」。いままで経験けいけんしたこともないような過酷かこく特訓とっくんはげむロッキー、次第しだいたかまる実力じつりょく実感じっかんし、フィラデルフィア博物館はくぶつかん階段かいだんのぼりながらガッツポーズをする。
試合しあい前日ぜんじつよる、「絶対ぜったいてない」とそれまでせなかった弱音よわねくロッキー。心配しんぱいするエイドリアンに「もし15ラウンドの最後さいごまでリングのうえっていられたら、自分じぶんがただのゴロツキではないことが証明しょうめいできる」とつぶやき、試合しあいへの意気込いきごみをあらたにする。
試合しあい当日とうじつ
そして試合しあい当日とうじつ無名むめいのボクサーと世界せかいチャンピオンの対戦たいせんりつは50たい1でしかなかった。「心配しんぱいせずっていろ」と人見知ひとみしりのエイドリアンをひかしつのこし、リングにかうロッキー。満員まんいん観客かんきゃく声援せいえんなか、ついにゴングがった。余裕よゆう笑顔えがお挑発ちょうはつまじえながら一方いっぽうてきめるアポロに、防戦ぼうせんいちぽうのロッキー。アポロの優勢ゆうせいだれにもあきらかであった。しかし、油断ゆだんしたすきをついて強烈きょうれつなパンチをみ、最初さいしょのダウンをうばったのはロッキーだった。予想よそうがい善戦ぜんせん観客かんきゃくがどよめくなか。アポロのかおからも余裕よゆうみがえ、試合しあい真剣しんけん勝負しょうぶとなる。
そのにんはげしい攻防こうぼうつづき、観客かんきゃくがりも最高潮さいこうちょうたっしていた。ひかしつひびくどよめきにいてもってもいられず、エイドリアンもけっして会場かいじょう姿すがたせる。だい14ラウンド、アポロの強烈きょうれつなパンチをけたロッキーのダウンは致命ちめいてきかとおもわれた。おもわずかおをそむけるエイドリアン、もうがるなと指示しじするミッキー、KO確信かくしんするアポロ。しかしロッキーはありったけの気力きりょくしぼって必死ひっしがり、不屈ふくつ闘志とうししにしてふたたびアポロにかっていく。
最終さいしゅうラウンド
最終さいしゅうラウンドをむかえ、場内じょうないにはロッキーコールがこる。序盤じょばんからのロッキーのボディーブローが次第しだい効果こうかあらわし、脇腹わきばらかばうアポロは防戦ぼうせん一方いっぽうもうラッシュによろめくチャンピオンをかろうじてゴングがすくい、試合しあい判定はんていもつんだ。会場かいじょう興奮こうふんのるつぼ、リングには報道陣ほうどうじんめかけなんほんものマイクがけられるが、きずつかてたロッキーはかれらのことなどはいっていなかった、渾身こんしんちからしぼあいするひとさけぶロッキー。エイドリアンも必死ひっしにロッキーのびながら観客かんきゃくなみけてリングへとかう。
ジャッジがれたことを前置まえおきしてげられた判定はんてい結果けっかは、僅差きんさでチャンピオンの勝利しょうりであった。がってよろこぶアポロ。しかしロッキーにとってもう勝敗しょうはいなど関係かんけいなかった。リングサイドではポーリーが警備けいびいんしのけてエイドリアンのみちけていた。しっかりと二人ふたり「アイラブユー、ロッキー!!」「アイラブユー、エイドリアン!!」。ロッキーは昨日きのうまでの自分じぶんに、そして「人生じんせい」というてきったのだ。

登場とうじょう人物じんぶつ

ロッキー・バルボアRocky Balboa
えんじ - シルヴェスター・スタローン
ほんさく主人公しゅじんこうペンシルベニアしゅうフィラデルフィアちいさなアパート[注釈ちゅうしゃく 1]らすボクサー。15さいからボクシングをはじめているが、ず、30さいになってもけボクシングの賞金しょうきんだけでの生計せいけいてられなかった。そのため、やみ金融きんゆういとなむガッツォのもと取立とりたてをおこなう。しかしやさしいことがわざわいしてか、借金しゃっきんたおそうとするものれない。また、近所きんじょペットショップはたらくエイドリアンに恋心こいごころいており、彼女かのじょかせようとするが、不器用ぶきよう性格せいかくからいまひとつおもいをつたれずにいる。本名ほんみょうはロバート・バルボア。ニックネームは「イタリアの種馬たねうま(Italian Stallion)」[注釈ちゅうしゃく 2]戦績せんせきほんさく冒頭ぼうとう時点じてんで64せん44しょう38KO20はい
エイドリアンAdrian Pennino
えんじ - タリア・シャイア
ほんさくのヒロイン。 ロッキーがかようボクシングジムのちかくにあるペットショップではたらいている、人見知ひとみしりのはげしい女性じょせい極端きょくたんずかしがりで、男性だんせいとはまともにはなすこともできない。
ポーリーPaulie
えんじ - バート・ヤング
エイドリアンのあにでありロッキーの親友しんゆう精肉せいにく工場こうじょうはたらいているがその収入しゅうにゅう満足まんぞくできないらしく、ロッキーにガッツォのもとはたらかせてくれるようにちかける。みずからもえないおとこでありながら、いつまでもひとりでらすいもうとのエイドリアンを散々さんざん罵倒ばとうし、彼女かのじょ好意こういいだくロッキーを奇異きいおもいながらも感謝かんしゃしている。
ミッキーMickey Goldmill
えんじ - バージェス・メレディス
1920年代ねんだい初頭しょとうバンタムきゅう世界せかいチャンピオン。引退いんたいはジムを経営けいえいし、そこで10ねんまえにロッキーと出会であいボクシングをおしえるも、結果けっかせないうえに自堕落じだらく生活せいかつおくかれごうやし「おまえいたんだトマトだ」とののしり、育成いくせい放棄ほうきしてしまう。ほんさくでは言及げんきゅうされることはないが、続編ぞくへんにおけるかれ葬儀そうぎで、墓標ぼひょうダビデのほしきざまれていたことからユダヤけいであるとかんがえられる。
アポロ・クリードApollo Creed
えんじ - カール・ウェザース
現在げんざい世界せかいヘビーきゅうチャンピオンで、口汚くちぎたないが本物ほんもの実力じつりょくっている。自分じぶん知名度ちめいどげるため、無名むめいのボクサーにチャンピオンへの挑戦ちょうせんけんあたえる。
トニー・ガッツォTony Gazzo
えんじ - ジョー・スピネル
ロッキーの知人ちじん高利貸こうりがし。ことのほかロッキーをり、扶持ぶちがないロッキーをとしてやとっている。

キャスト

役名やくめい 俳優はいゆう 日本語にほんご
TBSはん
追加ついか収録しゅうろく
ロッキー・バルボア シルヴェスター・スタローン 羽佐間はざま道夫みちお
エイドリアン タリア・シャイア まつきむよね
ポーリー バート・ヤング 富田とみた耕生こうせい
ミッキー バージェス・メレディス 千葉ちばこう
えんじゅやなぎ
アポロ・クリード カール・ウェザース 内海うつみ賢二けんじ
デューク[注釈ちゅうしゃく 3] トニー・バートン 増岡ますおかひろし
トニー・ガッツォ ジョー・スピネル 増岡ますおかひろし
ちょう克巳かつみ
スパイダー・リコ ペドロ・ラヴェル 郷里ごうり大輔だいすけ
実況じっきょうキャスター ストゥ・ネイハン  いとはく
コメンテーター ビル・ボールドウィン 村松むらまつ康雄やすお
不明ふめい
その
大久保おおくぼ正信まさのぶ
安田やすだたかし
みねめぐみけん
緒方おがた賢一けんいち
鈴木すずきれい
秋元あきもとひつじかい
広瀬ひろせただしこころざし
喜多川きたがわ拓郎たくろう
滝沢たきざわ博子ひろこ
鈴木すずき三枝みえ
島田しまださとし
古田ふるた信幸のぶゆき
羽村はむら京子きょうこ
小野おの健一けんいち
伊井いい篤史あつし
追加ついか録音ろくおんばんキャスト
ちょう嶝高
真地まじ勇志ゆうし
川上かわかみとも
佐々木ささき梅治うめじ
演出えんしゅつ 伊達だてかんすすむ
鍛治かじたにいさお
翻訳ほんやく 木原きはらたけし
平田ひらた勝茂かつしげ
効果こうか 遠藤えんどう堯雄
桜井さくらい俊哉としや
調整ちょうせい 丹波たんばはるどう
制作せいさく 東北新社とうほくしんしゃ
解説かいせつ おぎ昌弘まさひろ
初回しょかい放送ほうそう 1983ねん10月3にち
月曜げつようロードショー
21:02-23:24
本編ほんぺんノーカット放送ほうそう
  • TBSばん吹替はDVD/BD収録しゅうろく初回しょかい放送ほうそうノーカットばん発見はっけんできず、さい放送ほうそう短縮たんしゅくばん追加ついか録音ろくおんして収録しゅうろくしていたが、そのノーカットばん発見はっけんされ、2017ねん6がつ29にちイマジカBSで『ロッキー』日本にっぽん公開こうかい40周年しゅうねん記念きねん特集とくしゅう一環いっかん放送ほうそうされた[4]

製作せいさく

当時とうじ映画えいがオーディションに50かい以上いじょう落選らくせんしていたスタローンは、ポルノ映画えいがへの出演しゅつえん用心棒ようじんぼうなどで日々ひび生活せいかつかせいでいた。なが極貧ごくひん生活せいかつおくっていたあるかれはテレビで世界せかいヘビーきゅうタイトルマッチ「モハメド・アリたいチャック・ウェプナーせん観戦かんせんした。アリは当時とうじ世界せかい最強さいきょうわれていたのにたいし、ウェプナーはスタローン同様どうようかえ転職てんしょくなか日銭ひぜにかせいでいた。だれてもがないウェプナーであったが、予想よそうがい善戦ぜんせん展開てんかい試合しあいはアリが勝利しょうりしたものの、ウェプナーのしたパンチがアリのわきばら直撃ちょくげきしダウンをうばい、対戦たいせんに「二度にど対戦たいせんしたくない」とわしめた。スタローンは「アリをダウンさせたその瞬間しゅんかん、ウェプナーは偉大いだいなボクサーとなり人々ひとびとしん永遠えいえんきざまれる」とかんじ、この出来事できごともとにわずか3にち脚本きゃくほんげ、プロダクションにんだ。

しかし、当初とうしょのエンディングは「試合しあいまえにミッキーがいがんだ人種じんしゅ差別さべつてき思想しそうあらわし、それに失望しつぼうしたロッキーが試合しあい放棄ほうきして会場かいじょうる」という、当時とうじアメリカで隆盛りゅうせいきわめていたアメリカン・ニューシネマばれるジャンルのながれを陰鬱いんうつなものであった。これを当時とうじつま・サーシャがんで「わたしはこんなロッキーぎらいよ」とべたため、ハッピーエンドに変更へんこうしている。

プロダクションはその脚本きゃくほんり7まん5せんドルという当時とうじ脚本きゃくほんりょうとしては破格はかくをつけたものの、製作せいさく条件じょうけんとして「主演しゅえんポール・ニューマンロバート・レッドフォードアル・パチーノといった有名ゆうめいスターを起用きようする」ことをげてゆずらなかった。それにたいして「貧乏びんぼうとは上手うまうことができる」スタローンも脚本きゃくほんりょうくらませず、自分じぶん主演しゅえん兼任けんにんすることに徹底的てっていてきにこだわった。結果けっかとして、双方そうほうちょうきにわた交渉こうしょうすえ

  • ギャランティーにかんしては、監督かんとく普段ふだん半分はんぶん、スタローンは俳優はいゆう組合くみあいさだめる最低さいてい金額きんがく、プロデューサーはなし。
  • 制作せいさくはテレビシリーズ1ほんぶんやく100まんドル)。
  • 36まんドルまで高騰こうとうした脚本きゃくほんりょうを2まんドルに減額げんがく

という条件じょうけんした製作せいさく開始かいしされた。

これらのはなし映画えいが宣伝せんでんするためのほぼ完全かんぜんつくばなしであり、実際じっさいにはUAとスタローンのあいだに1はないはおこなわれていない。予算よさん100まんドル以下いか映画えいがはプロデューサーが決定けっていけんっており、UAのだれもスタローンとったことはなかった。「失敗しっぱいしても、テレビに販売はんばいすれば損失そんしつをカバーできる」とUAには報告ほうこくされた。プロデューサーの報酬ほうしゅうも10まんドルが支払しはらわれている[5]

撮影さつえい

ステディカム本格ほんかくてき導入どうにゅうした、その最初さいしょ著名ちょめい作品さくひんとしてもられる。フィラデルフィア美術館びじゅつかん前庭ぜんてい階段かいだん、いわゆるロッキー・ステップをロッキーががるシーンなどがその代表だいひょうである。

練習れんしゅうのシーンの撮影さつえい市内しないでおこなったさいステディカム使つかった小規模しょうきぼ撮影さつえいクルーだったため映画えいがのロケとはおもわれず、本物ほんもののボクサーと間違まちがえた市民しみんから声援せいえんおくられた。とくに、ロードワークシーンでは、果物くだもの店主てんしゅがロッキーにオレンジをわた場面ばめんがあるが、これはこの店主てんしゅが、撮影さつえいちゅうのスタローンを本物ほんもののボクサーと勘違かんちがいしたことでこったハプニングであり、それをそのまま映画えいが使用しようしている[6]

観客かんきゃくやくのエキストラを「フライドチキンを配布はいふする」というチラシで募集ぼしゅうした。ほとんどが素人しろうとのため、撮影さつえい最終さいしゅうばんでは統制とうせいたもてず、予定よていしていたラストシーン(興奮こうふんした観客かんきゃくがロッキーをかついでいくというもの)を撮影さつえいできなかった。また、メイクだい節約せつやくするために、負傷ふしょうしたロッキーの特殊とくしゅメイクをすこしずつはがしていくことで、最終さいしゅうラウンドからだいいちラウンドへとぎゃく方向ほうこう撮影さつえいする変則へんそくてきなやりかたをとった。[よう出典しゅってん]

エキストラやカメオには、節約せつやくのためスタローンの家族かぞく友人ゆうじんたち出演しゅつえんしている。おとうとフランク・スタローン序盤じょばん登場とうじょうする街頭がいとううたうたってたむろする若者わかものたち一員いちいんとして、ちちのフランク・スタローン・シニアはゴングをたたやくとして出演しゅつえんした。スタローンの愛犬あいけん・バッカスも出演しゅつえんしている。そのジョー・フレージャー本人ほんにんやくとしてカメオ出演しゅつえんしている。当時とうじのスタローンのつまサーシャはスチル写真しゃしんのカメラマンとして参加さんかした。

当初とうしょられたラストシーンは、まったちがうものだった。それは、たたかいをえたロッキーが1人ひとり控室ひかえしつもどると、そこでっていたエイドリアンがちいさな星条旗せいじょうきしロッキーに手渡てわたす。そして2人ふたりだけでしずかに裏口うらぐちから会場かいじょうそとくというものであったが、正式せいしき公開こうかいにはいたらなかった。なお、このぼつシーンの二人ふたりうし姿すがた使つかったしずかな印象いんしょうのポスターがつくられ、公開こうかい宣伝せんでんとして日米にちべい実際じっさい使つかわれた。しかしそのラストシーン収録しゅうろくの3かげつ激闘げきとうそよいたロッキーが「エイドリアン!」とさけび、リングじょうでエイドリアンとあつ抱擁ほうようわすシーンがあらたに撮影さつえいされ、このはなやかで印象いんしょうてきなラストシーンが正式せいしきなものとなった。

ロッキーがなまたまごむシーンはアメリカの観客かんきゃく悲鳴ひめいやブーイングた。海外かいがいなまたまご危険きけんであり、食中毒しょくちゅうどく可能かのうせいもある。危険きけん承知しょうち試合しあいいどむタフガイなボクサーと印象いんしょうつよくする演出えんしゅつである。実際じっさいにスタローンはこの撮影さつえいいやがり、特別とくべつボーナスを[7]

音楽おんがく

スタッフ

反響はんきょう

製作せいさく、スタローンはははともなって映画えいが監督かんとくまねいた試写ししゃかいひらいたが、監督かんとくたちまったくの反応はんのうで、終了しゅうりょうすると足早あしばや退席たいせきした。これにふか失望しつぼうしたスタローンはははに「ぼくはやるだけやったよ」とこたえ、かえろうとせきった。すると、出口でぐちまえ退席たいせきした監督かんとくたちあつまっており、万雷ばんらい拍手はくしゅむかえられたのでスタローンはとても感動かんどうしたという。

公開こうかい当初とうしょ無名むめい俳優はいゆういた脚本きゃくほんBきゅう映画えいが出身しゅっしん監督かんとく製作せいさくするという背景はいけいから、作品さくひんたいする周囲しゅうい視線しせんややかだったが、映画えいが観客かんきゃくしんつかみ、またた全米ぜんべいだけで1おくドルの興行こうぎょう収入しゅうにゅう記録きろく同年どうねんだい49かいアカデミーしょう作品さくひんしょう獲得かくとくするなど、国内外こくないがい映画えいがしょうにおいてぐんかず映画えいがしょう受賞じゅしょうした。

主人公しゅじんこうロッキーが、甲斐がいてずに彷徨うろつつづける日々ひびから一夜いちやにして栄光えいこうつかんだように、主演しゅえん脚本きゃくほん担当たんとうしたスタローンも、まったくの無名むめい俳優はいゆうから、ほんさくだいヒットで一躍いちやくスターダムにのぼめるという、じゅううつしの快挙かいきょとなった。

評価ひょうか

うだつのがらない、不器用ぶきようくちわるくもやさしいロッキーと、ボクシングジムのトレーナーであるミッキー、親友しんゆうのポーリー、そしてポーリーのいもうとのち恋人こいびととなるエイドリアンらが人情にんじょう悲喜劇ひきげきとしてのあじわいや、ビル・コンティ作曲さっきょく『ロッキーのテーマ』[9][注釈ちゅうしゃく 4]おおくの観客かんきゃくしんつかんだ。

てい予算よさんでの製作せいさくであり、主人公しゅじんこうであるロッキーさながら、かぎられた条件じょうけんした、やれることはなんでもやったといったふう力作りきさくで、それが映画えいが世界せかいかんにとってはこう結果けっかとなっている。

公開こうかい当時とうじ、アメリカの映画えいがかいベトナム戦争せんそうへの軍事ぐんじ介入かいにゅう台頭たいとうしたアメリカン・ニューシネマにより、ハッピーエンド否定ひていする作品さくひんや、英雄えいゆうえがかない作品さくひん最盛さいせいきわめていた。しかしほんさくと『スター・ウォーズ』のだいヒットにより、「個人こじん可能かのうせい」「アメリカン・ドリーム」への憧憬どうけい再燃さいねんさせ、アメリカン・ニューシネマの終焉しゅうえん決定的けっていてきなものとした。

キネマ旬報きねまじゅんぽうでは、委員いいん選出せんしゅつ読者どくしゃ選出せんしゅつども外国がいこく映画えいがで1となった。

受賞じゅしょうとノミネート

映画えいがしょう 部門ぶもん 候補者こうほしゃ 結果けっか
アカデミーしょう[10] 作品さくひんしょう アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ 受賞じゅしょう
監督かんとくしょう ジョン・G・アヴィルドセン
主演しゅえん男優だんゆうしょう シルヴェスター・スタローン ノミネート
主演しゅえん女優じょゆうしょう タリア・シャイア
助演じょえん男優だんゆうしょう バージェス・メレディス
バート・ヤング
脚本きゃくほんしょう シルヴェスター・スタローン
歌曲かきょくしょう ビル・コンティ、キャロル・コナーズ、エイン・ロビンス
音響おんきょうしょう バド・アルパー、ハリー・ウォレン・テトリック
ウィリアム・マッコーイ、ライル・バーブリッジ
編集へんしゅうしょう リチャード・ハルシー、スコット・コンラッド 受賞じゅしょう
英国えいこくアカデミーしょう 作品さくひんしょう アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ ノミネート
監督かんとくしょう ジョン・G・アヴィルドセン
主演しゅえん男優だんゆうしょう シルヴェスター・スタローン
オリジナル脚本きゃくほんしょう シルヴェスター・スタローン
全米ぜんべい映画えいが歴史れきし研究けんきゅう協会きょうかいしょう 最優秀さいゆうしゅう主演しゅえん男優だんゆうしょう シルヴェスター・スタローン 受賞じゅしょう
ダビッド・ディ・ドナテロしょう 外国がいこく映画えいが部門ぶもん最優秀さいゆうしゅう男優だんゆう演技えんぎしょう シルヴェスター・スタローン 受賞じゅしょう
ゴールデングローブしょう[11] 作品さくひんしょう (ドラマ部門ぶもん) 『ロッキー』 受賞じゅしょう
監督かんとくしょう ジョン・G・アヴィルドセン ノミネート
主演しゅえん男優だんゆうしょう (ドラマ部門ぶもん) シルヴェスター・スタローン
主演しゅえん女優じょゆうしょう (ドラマ部門ぶもん) タリア・シャイア
作曲さっきょくしょう ビル・コンティ
脚本きゃくほんしょう シルヴェスター・スタローン
ニューヨーク映画えいが批評ひひょう協会きょうかいしょう[12] 助演じょえん女優じょゆうしょう タリア・シャイア 受賞じゅしょう
ロサンゼルス映画えいが批評ひひょう協会きょうかいしょう[13] 作品さくひんしょう 『ロッキー』(『ネットワーク』との同時どうじ受賞じゅしょう 受賞じゅしょう
日本にっぽんアカデミーしょう[14] 最優秀さいゆうしゅう外国がいこく作品さくひんしょう 『ロッキー』 受賞じゅしょう
ブルーリボンしょう 外国がいこく作品さくひんしょう 『ロッキー』 受賞じゅしょう

関連かんれん作品さくひん関連かんれん商品しょうひん

舞台ぶたい

  • 『ロッキー・ミュージカルばん』(2012ねん11月、ドイツ初演しょえん[15] *予定よてい

テレビゲーム

パチンコ

パチスロ

テーマパーク

エイドリアンのペットショップは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのニューヨーク・エリアで店舗てんぽ外見がいけんのみ再現さいげんされている。

影響えいきょう

シリーズ作品さくひん音楽おんがく使用しよう

『ロッキーのテーマ』をはじめ、シリーズのなか使用しようされた音楽おんがくたいする評価ひょうかたかく、以下いかのとおり様々さまざま場面ばめん使つかわれている。

「ロッキーのテーマ」
ビル・コンティシングル
リリース
ジャンル 映画えいが音楽おんがく
レーベル ユナイテッド・アーティスツ
作詞さくし作曲さっきょく ビル・コンティ作曲さっきょく
キャロル・コナーズ英語えいごばん作詞さくし
エイン・ロビンス英語えいごばん作詞さくし
プロデュース ビル・コンティ
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『ロッキーのテーマ』
「アイ・オブ・ザ・タイガー」
サバイバーシングル
初出しょしゅつアルバム『アイ・オブ・ザ・タイガー
リリース
ジャンル ロック
レーベル スコッティ・ブラザーズ・レコード英語えいごばん
作詞さくし作曲さっきょく フランク・サリヴァン英語えいごばん
ジム・ペテリック英語えいごばん
プロデュース フランク・サリヴァン
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アイ・オブ・ザ・タイガー』(Eye of The Tiger)
サバイバー/シリーズさんさく
その

補足ほそく

  • スタローンは少年しょうねんのころ、舞台ぶたいとなったフィラデルフィアに一時期いちじきんでいた。当時とうじ両親りょうしん離婚りこんし、自身じしん顔面がんめん障害しょうがいからくる劣等れっとうかんさいなまれ、幸福こうふくとはいいがた少年しょうねんごしたおもまちでもあった[9]
  • ロッキーの部屋へやには実在じつざいしたイタリアけいボクサー、ロッキー・マルシアノ写真しゃしんかざられている。ほんさく主人公しゅじんこうめいかれ由来ゆらいしているかどうかはあきらかでない。
  • この作品さくひん脚本きゃくほん製作せいさく会社かいしゃんでいたころのスタローンは、「セブンイレブンのまえ愛犬あいけんリトル・ジミーをらざるをなかった」と、手元てもとに106ドルしかなかった当時とうじかえっている[16]。なお、2013ねん2がつのShortlist掲載けいさいされたインタビューによると、スタローンはそのすう週間しゅうかん、ロッキーの脚本きゃくほんったかねでリトル・ジミーをもどし、リトル・ジミーはロッキーの作中さくちゅう出演しゅつえんしたという。
  • 精肉せいにく工場こうじょう牛肉ぎゅうにくをサンドバッグわりにたたくシーンはおおくのひと真似まねするほどの有名ゆうめいなものとなったが、とうのスタローンはにくはたきすぎてほねいため、結果けっかにぎこぶしをテーブルにけると隙間すきまがないくらいにたいらに変形へんけいしてしまった。
  • エンド・ロールの最後さいごに「この映画えいがをジェーン・オリバーにささぐ」という一文いちぶん表示ひょうじされる。これは無名むめい時代じだいからのスタローンをささえたエージェントで、アカデミーしょう授賞じゅしょうしき直前ちょくぜん急死きゅうししたジェーン・オリバーへの追悼ついとうめたものである。ちなみにこの追悼ついとうぶんだい5さくロッキー5/最後さいごのドラマ』まで恒例こうれいのものとなった。
  • ロッキーのモデルとなったボクサー、チャック・ウェプナーもスタローンとおなニューヨーク出身しゅっしんである。
  • アポロ・クルーズやくには本来ほんらい当時とうじ世界せかいトップクラスの実力じつりょくほこった[17]プロボクサーのケン・ノートン起用きようされる予定よていだったが、急遽きゅうきょ俳優はいゆうカール・ウェザース変更へんこうされた。ノートン自身じしんほんさく公開こうかい以前いぜんの1973ねん3がつ31にちもと世界せかいヘビーきゅう王者おうじゃモハメド・アリ対戦たいせんしている。戦前せんぜん無謀むぼうなマッチメイクとひょうされていた[18]が、12ラウンド判定はんていちの番狂ばんくるわせをこし、アリはだい2Rでノートンのパンチをけてあご骨折こっせつしていた。そのノートンは「アリのあごくだいたおとこ」としてせるというほんさくのロッキーさながらの経験けいけん人物じんぶつである。
    ちなみにウェザースのまえしょくはプロフットボール選手せんしゅであり、ボクシング経験けいけんはない。

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく
  1. ^ 住所じゅうしょは、1818 Tusculum St.
  2. ^ Stallionはイタリアstallone(スタローネ)とどう語源ごげん。つまり、このニックネームはスタローン自身じしん隠喩いんゆ
    げきちゅうのロッキーの通称つうしょうである『イタリアの種馬たねうま』はスタローン自身じしんシチリアにルーツをつこと、極貧ごくひん時代じだいにやむなく出演しゅつえんしたポルノ映画えいが題名だいめいから。
  3. ^ ほんさくでは役名やくめいしだが、便宜上べんぎじょう3さく以降いこう役名やくめい使用しようする。
  4. ^ 原題げんだい:『Gonna Fly Now』。なお、邦題ほうだいは2014ねん現在げんざいでは『ロッキーのテーマ』と表記ひょうきされることがおおいが、最初さいしょ発売はつばいされたシングルレコードでの表記ひょうきたんに『ロッキー』だった。
  5. ^ ただしイントロはカットされている。
出典しゅってん
  1. ^ Rocky”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012ねん11月17にち閲覧えつらん
  2. ^ キネマ旬報きねまじゅんぽうベスト・テン85かいぜん 1924-2011』(キネマ旬報社きねまじゅんぽうしゃ、2012ねん)352ぺーじ
  3. ^ ランボーの孤独こどくたたかいがふたたはじまる…午後ごごロー『ランボー/いかりの脱出だっしゅつ放送ほうそう | cinemacafe.net
  4. ^ イマジカBSにて『ロッキー』日本にっぽん公開こうかい40周年しゅうねん記念きねん特集とくしゅう放送ほうそう羽佐間はざま道夫みちおさんインタビュー!”. ふきカエル (2017ねん6がつ2にち). 2020ねん2がつ4にち閲覧えつらん
  5. ^ アレックス・ベン・ブロック (2006ねん12月14にち). “The Untold Story: Stallone's "Rocky" Origin a Studio Myth”. CISION PR Web. 2019ねん9がつ19にち閲覧えつらん
  6. ^ 映画えいが『ロッキー』のなまたまごしシーンで米国べいこくじん観客かんきゃく悲鳴ひめいげた理由りゆう”. News&Analysis. ダイヤモンド・オンライン (2022ねん8がつ23にち). 2024ねん2がつ25にち閲覧えつらん
  7. ^ 映画えいが『ロッキー』のなまたまごしシーンで米国べいこくじん観客かんきゃく悲鳴ひめいげた理由りゆう”. News&Analysis. ダイヤモンド・オンライン (2022ねん8がつ23にち). 2024ねん2がつ25にち閲覧えつらん
  8. ^ ロッキー - 作品さくひん情報じょうほう映画えいがレビュー -KINENOTE(キネノート)
  9. ^ a b Block, Alex Ben (2006ねん12月20にち). “The Untold Story: "Rocky" Underdog Origin a Studio Myth” (英語えいご). HOLLYWOOD TODAY. 2010ねん5がつ14にち閲覧えつらん
  10. ^ The 49th Academy Awards (1977) Nominees and Winners”. 映画えいが芸術げいじゅつ科学かがくアカデミー. 2012ねん11月17にち閲覧えつらん
  11. ^ The 34th Annual Golden Globe Awards (1977)”. HFPA. 2010ねん11月24にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2012ねん11月17にち閲覧えつらん
  12. ^ 1976 Awards”. ニューヨーク映画えいが批評ひひょう協会きょうかい. 2012ねん11月17にち閲覧えつらん
  13. ^ 2ND ANNUAL”. ロサンゼルス映画えいが批評ひひょう協会きょうかい. 2012ねん11月17にち閲覧えつらん
  14. ^ 日本にっぽんアカデミーしょう公式こうしきサイト”. 2012ねん11月17にち閲覧えつらん
  15. ^ シルベスター・スタローンが映画えいが「ロッキー」をみずからミュージカル(シアターガイド、2011ねん11月24にち
  16. ^ http://ncr2.net/2006111816.php
  17. ^ プロ通算つうさん50せん 42しょう (33KO) 7はい 1ふん世界せかいヘビーきゅうタイトル獲得かくとく経験けいけんもある。
  18. ^ この当時とうじのアリの戦績せんせきは42せん41しょう1はいであり、ノートンは世界せかいタイトルに挑戦ちょうせんしたことすらなかった。

参考さんこう文献ぶんけん

関連かんれん項目こうもく

外部がいぶリンク