サミュエル・ロビンス・ブラウン

サミュエル・ロビンス・ブラウン Samuel Robbins Brown
個人こじん情報じょうほう
出生しゅっしょう	(1810-06-16) 1810年ねん6月16日にち アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、オハイオ州しゅう
死去しきょ	(1880-06-20) 1880年ねん6月がつ20日はつか（70歳さい没ぼつ） アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくマサチューセッツ州しゅうマンソン
国籍こくせき	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
両親りょうしん	父ちち:ティモシー・ブラウン、母はは:フィーベ・ヒンスデイル・ブラウン
配偶はいぐう者しゃ	エリザベス・バートレット
子供こども	ウィリアム・ハワード・ブラウン、ハッティ・ブラウン
職業しょくぎょう	牧師ぼくし・宣教師せんきょうし・聖書せいしょ翻訳ほんやく者しゃ・教育きょういく者しゃ
出身しゅっしん校こう	エール大学だいがく、ユニオン神学校しんがっこう

サミュエル・ロビンス・ブラウン（Samuel Robbins Brown、1810年ねん6月16日にち-1880年ねん6月がつ20日はつか）は、アメリカ・オランダ改革かいかく派は教会きょうかいから派遣はけんされた宣教師せんきょうし。イェール大学だいがく、ユニオン神学校しんがっこう卒業そつぎょう。モリソン記念きねん学校がっこうで教鞭きょうべんをとる。明あかり六ろく社しゃ会員かいいん。

生涯しょうがい

初期しょき

1810年ねん6月がつ16日にちに米国べいこくコネチカット州しゅうイーストウィンザーで、機械きかい工こうのテモシー・ブラウンと賛美さんび歌か作者さくしゃフィーベ・ブラウンの間あいだに生うまれた。3歳さいの時ときに一家いっかはエリントンに移うつり、さらに8歳さいの時ときにマサチューセッツ州しゅうモンソンに移うつった。この頃ころより、母ははと一緒いっしょに会衆かいしゅう派はの教会きょうかいに出席しゅっせきして、モンソン・アカデミー（現げん・en:Wilbraham & Monson Academy）に入学にゅうがくした。18歳さいでモンソン・アカデミーを卒業そつぎょうして、アマースト大学だいがくに入学にゅうがくした。しかし、経済けいざい的てき理由りゆうで退学たいがくし、エール大学だいがくに入学にゅうがくし、1832年ねんにエール大学だいがくを卒業そつぎょう後ごニューヨークの聾唖ろうあ学校がっこうで教おしえた。1835年ねんに健康けんこうを害がいして聾唖ろうあ学校がっこうを退職たいしょくして、サウス・カロライナ州しゅうに移住いじゅうして、コロンビア神学校しんがっこうとバアンヴィル・ヤングレディ・セミナリーで音楽おんがくを教おしえた。

献身けんしん

グイド・フルベッキ、サミュエル・ロビンス・ブラウン、ダン・B・シモンズ

1836年ねんに長老ちょうろう派はのユニオン神学校しんがっこうに入学にゅうがくした。1838年ねん10月がつにユニオン神学校しんがっこうを卒業そつぎょうして、エリザベス・バートレットと結婚けっこんした。ロバート・モリソンを記念きねんしたモリソン記念きねん学校がっこうの招まねきで、同年どうねん10月がつ17日にちにモリソン号ごうに乗のり、翌よく1839年ねん2月がつ19日にちにマカオに到着とうちゃくする。そこで、同校どうこうの校長こうちょうに任命にんめいされた。最初さいしょの生徒せいとは6人にんだった。1841年ねんにテキストを作つくるためにシンガポールを訪おとずれた。その際さいにヘボン博士はかせ夫妻ふさいに出会であった。1842年ねんのアヘン戦争せんそうの終結しゅうけつの際さいに、香港ほんこんがイギリスに割譲かつじょうされたので、1842年ねん11月1日にちの校舎こうしゃ移転いてんにともなってブラウンも香港ほんこんに転居てんきょした。しかし、1847年ねん1月がつ2日にちに夫人ふじんの病気びょうきのために、三さん人にんの中国人ちゅうごくじん生徒せいと（容よう閎・黄き寛ひろし・黄き勝しょう）と共ともにアメリカに帰国きこくする。三さん人にんの生徒せいとはマンソン・アカデミーに入学にゅうがくし、ブラウンはニューヨーク州しゅうローマに新設しんせつされたローマ・アカデミー校長こうちょうに就任しゅうにんした。校長こうちょうと兼任けんにんして、1851年ねんより、ニューヨーク州しゅうオワスコ・アウトレット・ビーチ教会きょうかいの牧師ぼくしに就任しゅうにんした。その教会きょうかいには、メアリー・キダー、キャロライン・アドリアンス、後ごのフルベッキ夫人ふじんマリア・マンヨンがいた。また、1856年ねんにオーバン神学校しんがっこうの神学しんがく生せいのグイド・フルベッキがブラウンの牧まき会かいをする教会きょうかいに奉仕ほうしに来きた。1855年ねんのアメリカ最初さいしょの女子じょし大学だいがくエルマイラ・カレッジの設立せつりつにも尽力じんりょくした。

来日らいにち

1858年ねん2月がつに再ふたたび、海外かいがい伝道でんどうに行いく決心けっしんをして、1859年ねんオランダ改革かいかく派は教会きょうかいの海外かいがい伝道でんどう局きょくから、デュアン・シモンズ、フルベッキと共ともに日本にっぽん派遣はけん宣教師せんきょうしに選えらばれて、5月7日にちにニューヨークから出発しゅっぱつした。

1859年ねん11月1日にち、ブラウンとシモンズは神奈川かながわに上陸じょうりくして、フルベッキは上海しゃんはいを経へて、11月7日にちに上陸じょうりくした。ブラウンは、先さきに成仏じょうぶつ寺てらに間借まがりしていたジェームス・カーティス・ヘボンと共ともに、成仏じょうぶつ寺てらの本堂ほんどうを間借まがりし、日本語にほんごの学習がくしゅうと聖書せいしょの和訳わやくを始はじめた。

S・R・ブラウンとJ・C・ヘボンが最初さいしょに滞在たいざいした横浜よこはまの成仏じょうぶつ寺てら

同年どうねん、日本語にほんご教師きょうしとして矢野やの隆たかし山さんを雇やとったが、聖書せいしょ和訳わやくのためには能力のうりょく不足ふそくと考かんがえ、キャロライン・アドリアンスに日本語にほんご教師きょうしにした。後のちに、矢野やのはジェームス・バラの日本語にほんご教師きょうしになり、最初さいしょのプロテスタント信者しんじゃになった。

ブラウンは領事りょうじを通とおして、英語えいご通訳つうやく養成ようせいのために、日本人にっぽんじん青年せいねんのクラスを担当たんとうしてほしいとの依頼いらいを受うけた。幕府ばくふが校舎こうしゃを建たてて、生徒せいとの寄宿きしゅく費用ひようを支出ししゅつして、毎日まいにち3時じ間あいだブラウンが英語えいごを指導しどうすることになり、1862年ねんに横浜よこはま英学えいがく所しょとして運上うんじょう所しょ前まえの官舎かんしゃで開校かいこうされた。1862年ねん9月がつにはイギリスの外交がいこう官かんアーネスト・サトウがブラウンを成仏じょうぶつ寺てらに訪おとずれており、ブラウンはサトウの日本語にほんご教師きょうしもしている。

1863年ねん5月がつ30日にち米国べいこく公使こうしの命令めいれいにより成仏じょうぶつ寺てらを立たち退のいて一いち時じヘボンの家いえに滞在たいざいした。後のちに、ブラウン一家かずやは借家しゃくやを月つき30ドルで借かりて、聖書せいしょ翻訳ほんやくを続つづけた。1867年ねん5月がつに自宅じたくが火災かさいで焼失しょうしつしたので、ブラウンは一時いちじアメリカに帰国きこくした。1866年ねんには、大原おおはら令れい之の助すけら6名めいの薩摩さつま藩はん第だい二に次じ米国べいこく留学生りゅうがくせいを母校ぼこうのモンソン・アカデミーに入学にゅうがくさせた。

再さい来日らいにち

当時とうじ新潟にいがた駐在ちゅうざいの英国えいこく代理だいり領事りょうじであったラウダー（長女ちょうじょジュリアの夫おっと）から新潟にいがた県けんの英えい学校がっこうでの教職きょうしょくの誘さそいを受うけると、伝道でんどう局きょくの許可きょかを得えて、また同局どうきょく派遣はけんの初代しょだい未婚みこん女性じょせい宣教師せんきょうしメアリー・キダーを伴ともなって、1869年ねん8月がつに横浜よこはまに到着とうちゃく、10月に新潟にいがたに着任ちゃくにんした。しかし、日曜日にちようびに自宅じたくで聖書せいしょを教おしえたことが問題もんだい視しされ、翌よく1870年ねん6月がつ末日まつじつ付づけで辞任じにん、彼かれを師事しじした真木まき重遠しげとお、阿部あべ欽次郎ろうら生徒せいと6人にんを伴ともなって新潟にいがたを去さり、横浜よこはまの修おさむ文ぶん館かんの英語えいご主任しゅにん教師きょうしに就任しゅうにんした。

修おさむ文ぶん館かんはその後ご、私立しりつ同文どうぶん社しゃや藍あい謝しゃ堂どう（高島たかしま学校がっこう）を併合へいごうして、市中しちゅう共立きょうりつ修おさむ文ぶん館かんと改称かいしょうされるが、ブラウンはそれに先立さきだつ1873年ねん8月がつに3年ねんの契約けいやくが切きれ、修おさむ文ぶん館かんを去さった。

ブラウン塾じゅく

S・R・ブラウンと修おさむ文ぶん館かんの生徒せいとたち

修おさむ文ぶん館かんの教おしえ子ごの元もと桑名くわな藩はん藩主はんしゅ松平まつだいら定じょう敬けい、養子ようしの松平まつだいら定じょう教きょう、家臣かしんの駒井こまい重しげる格かく、元もと会津あいづ藩はん士し井深いぶか梶之助かじのすけらがブラウンの私塾しじゅくの開設かいせつを懇願こんがんした。ブラウンは要請ようせいに応こたえ、松平まつだいら親子ちかこ、駒井こまい、井深いぶからの助たすけによりブラウン塾じゅくを開校かいこうした。

ブラウン塾じゅくは1877年ねん開ひらけ学がくの東京とうきょう一致いっち神学校しんがっこうを経へて1887年ねん開ひらけ学がくの明治めいじ学院がくいんに発展はってんした。ブラウンは「一人ひとりのブラウンが伝道でんどうするよりも、十じゅう人にんのブラウンが伝道でんどうする方ほうが良よい。」「伝道でんどうは急務きゅうむである。しかし無学むがくな者ものが伝道でんどうするのは害がいがある」と述のべた。教おしえ子ごに横浜よこはまバンドの植村うえむら正久まさひさ、押川おしかわ方義まさよし、井深いぶか梶之助かじのすけ、本多ほんだ庸一よういち、奥野おくの昌あきら綱つならがいる。

横浜よこはまバンドの教おしえ子ごたち

ブラウンは1872年ねん9月がつ28日にちの書簡しょかんで日本にっぽん基督きりすと公会こうかいについて述のべていった。「神かみよ願ねがわくは、日本にっぽんにおけるキリスト教きりすときょうの発達はったつに関心かんしんを持もつ者ものとして、同一どういつなる公会こうかいの精神せいしんと統一とういつした目的もくてきとに結合けつごうされて、キリスト教きょう国こくにおける教会きょうかいの美びをはばむ分派ぶんぱをば、できるかぎり、この国くにから排除はいじょせられんことを。そして、もし、ただ組合くみあい教会きょうかいとか、長老ちょうろう教会きょうかいとか、リフォームド教会きょうかいとかの相違そういが、異教徒いきょうとに見みえないよう、かくされてしまって、教会きょうかいのこれらの分派ぶんぱが、少すこしもあらわれずに……すべてのものが、ひとりの共通きょうつうの『主あるじ』と『かしら』につらなって、一ひとつの教壇きょうだんに立たちうるようになったならば、わたしたちの後のちから日本にっぽんに来くるものは、どんなに幸さいわいでありましょう。」これは公会こうかい主義しゅぎとして理想りそう化かされており、合同ごうどう教会きょうかい、エキュメニズムを肯定こうてい的てきにとらえる立場たちばの人ひとにとって、日本にっぽん基督教きりすときょう団だんの成立せいりつは、公会こうかい主義しゅぎの成就じょうじゅであるとみなされている。

日本語にほんご文献ぶんけん

• 『S・R・ブラウン書簡しょかん集しゅう 幕末ばくまつ明治めいじ初期しょき宣教せんきょう記録きろく』 高谷たかや道男みちお編へん訳やく、日本にっぽん基督教きりすときょう団だん出版しゅっぱん局きょく、1965年ねん、再版さいはん1980年ねん
• 『元始げんし（はじめ）に言霊ことだまあり 新約しんやく聖書せいしょ約やく翰傳全ぜん〈現代げんだい版ばん〉 禁教きんきょう下かの和訳わやく聖書せいしょヨハネ伝でん』

ヘボンと奥野おくの昌あきら綱つなとの共編きょうへん著ちょ（久米くめ三千雄みちお編へん・校こう注ちゅう、キリスト新聞しんぶん社しゃ、2015年ねん）

• 『S・R・ブラウン会話かいわ日本語にほんご 複製ふくせいと翻訳ほんやく・研究けんきゅう 幕末ばくまつの日本語にほんご研究けんきゅう』加藤かとう知己ともみ・倉島くらしま節たかし尚なお編へん・解説かいせつ、三省堂さんせいどう、1998年ねん
• ウィリアム・グリフィス『われに百ひゃくの命いのちあらば　中国ちゅうごく・アメリカ・日本にっぽんの教育きょういくにささげたS.R.ブラウンの生涯しょうがい』 渡辺わたなべ省三しょうぞう訳やく、キリスト新聞しんぶん社しゃ、1985年ねん。伝記でんき

参考さんこう文献ぶんけん

• 中村なかむら敏さとし『日本にっぽんキリスト教きりすときょう宣教せんきょう史し−ザビエル以前いぜんから今日きょうまで』 いのちのことば社しゃ、2009年ねん。

関連かんれん項目こうもく

• トーマス・ウィン - 甥おい
• 日本にっぽん基督きりすと公会こうかい
• 日本基督教会にほんきりすときょうかい