モノノケダンス

「モノノケダンス」
電気でんきグルーヴ の シングル
初出しょしゅつアルバム『J-POP』
B面めん	有楽町ゆうらくちょうで溶とけましょう
リリース	2008年ねん2月がつ14日にち
規格きかく	マキシシングル
ジャンル	J-POP テクノ
レーベル	キューンレコード
作詞さくし・作曲さっきょく	作詞さくし：石野いしの卓球たっきゅう、ピエール瀧たき 作曲さっきょく：石野いしの卓球たっきゅう
チャート最高さいこう順位じゅんい
17位い（オリコン） 登場とうじょう回数かいすう10回かい（オリコン）
電気でんきグルーヴ シングル 年表ねんぴょう
少年しょうねんヤング （2007年ねん） モノノケダンス （2008年ねん） The Words （2009年ねん）
ミュージックビデオ 「モノノケダンス」 - YouTube

「モノノケダンス」は、電気でんきグルーヴの13枚まい目めのシングル。2008年ねん（平成へいせい20年ねん）2月がつ14日にちにリリースされた。

概要がいよう

楽曲がっきょく「モノノケダンス」は、フジテレビ系けいの深夜しんやアニメ放送ほうそう枠わく『ノイタミナ』で2008年ねん1月がつ11日にちから3月がつ21日にちまで放送ほうそうされた水木みずきしげる原作げんさくのテレビアニメ『墓場はかば鬼太郎おにたろう』のオープニング主題歌しゅだいかに使用しようされた。オープニングアニメーション（後述こうじゅつ）の貸本かしほん漫画まんが風ふうアニメーションとテクノサウンドの取とり合あわせは奇妙きみょうかつ斬新ざんしんで、視聴しちょう者しゃから好評こうひょうを博はくした。

2004年ねん（平成へいせい16年ねん）にリリースした前作ぜんさく「Cafe de 鬼おに（顔かおと科学かがく）」のプロモーション・ビデオを作つくる際さい、様々さまざまな漫画まんがやアニメのパロディをやることになってそれぞれの著作ちょさく権けん者ものから使用しよう許可きょかを取とったが、そのなかでテレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎おにたろう』の鬼太郎おにたろうと目玉めだまおやじの使用しよう許諾きょだくも得えていた。この縁えんが呼よび水みずとなり、「Cafe de 鬼おに（顔かおと科学かがく）」のリリース後ごに水木みずき側がわから企画きかく中ちゅうの新作しんさくアニメ『墓場はかば鬼太郎おにたろう』の主題歌しゅだいかの製作せいさく依頼いらいが来きた。ところが、『アニメディア 2008年ねん3月がつ号ごう』誌上しじょうでピエール瀧たきが語かたったところによると、「自分じぶん達たちにオープニングの依頼いらいなんてあるわけがないからエンディング主題歌しゅだいかのほうに違ちがいない」と勝手かってに思おもい込こみ、アニメ本編ほんぺんが終おわった後のちに嫌いやな余韻よいんを残のこすことを狙ねらって曲きょく作づくりをしたとのことである。しかし実際じっさいに使つかわれたのはオープニングのほうであり、そのことを後のちになって知しらされ、ファンよりも本人ほんにん達たちがその意外いがい性せいに驚おどろいたというのが本当ほんとうのところらしい。

トラックメイクに関かんしては、石野いしのが高校こうこう時代じだいに初はじめて購入こうにゅうしたシンセサイザー「ROLAND SH-2」が全面ぜんめん的てきにフィーチャーされている。

なお、音源おんげんに関かんしてはシングル・バージョン、テレビアニメで使用しようされたテレビサイズ・バージョン、そしてPVバージョン（『電気でんきグルーヴのゴールデンヒッツ〜Due To Contract』に収録しゅうろく）の異ことなるエディットが存在そんざいし、また、リアレンジされたアルバム・バージョン（『J-POP』に収録しゅうろく）、Sugiurumnによるリミックス・バージョン（『20』初回しょかい限定げんてい盤ばんに収録しゅうろく）も存在そんざいする。

カップリング曲きょくは、アニメ『墓場はかば鬼太郎おにたろう』の本編ほんぺんでピエール瀧たきが演えんじるトランプ重井しげい（フランク永井ながいのパロディ）が劇げき中歌なかうたとして歌うたう「有楽町ゆうらくちょうで溶とけましょう」である。曲名きょくめいは原作げんさくで登場とうじょうする「有楽町ゆうらくちょうで笑わらいましょう」のもじりであり、フランク永井ながいの「有楽町ゆうらくちょうで逢あいましょう」のパロディである。作曲さっきょくは石野いしの、作詞さくしは瀧たきが行おこなっているが、編曲へんきょくは中村なかむら哲あきらに依頼いらいしており、ムード歌謡かようの王道おうどうと言いえるアレンジが施ほどこされている。トラック3にはこの楽曲がっきょくを石野いしのがリミックスしたバージョンが収録しゅうろくされており、かつての瀧たき勝しょう『人生じんせい』を髣髴ほうふつとさせる構成こうせいになっている。

『墓場はかば鬼太郎おにたろう』オープニング

テレビアニメ『墓場はかば鬼太郎おにたろう』のオープニングアニメーションは、原作げんさく漫画まんが版ばん『墓場はかば鬼太郎おにたろう』の作中さくちゅうから引用いんようした様々さまざまな場面ばめんの漫画まんがのコマをコラージュして制作せいさくされており、楽曲がっきょく「モノノケダンス」のダンスサウンドと同調どうちょう（シンクロ）させた映像えいぞうに仕上しあがっている。ここでは、音楽おんがくに合あわせて場面ばめん転換てんかんするのはもちろんのこと、クレジットタイトル枠わくの役割やくわりを持もった漫画まんがの吹ふき出だし（スピーチバルーン）も大小だいしょうに振幅しんぷくし、鬼太郎おにたろうを始はじめとする各かくキャラクターは、元もとの漫画まんがが止とめ絵えなので微かすかにではあるが、合あいの手てを入いれている。

ディスクジャケット

シングルのジャケットは水木みずきしげるの描えがき下おろしである。

表面ひょうめんには、漫画まんが『墓場はかば鬼太郎おにたろう』に登場とうじょうする鬼太郎おにたろう・目玉めだまおやじ・ねずみ男おとこ・猫娘ねこむすめの4名めいがいる夜よるの墓場はかばに、迷まよい込こんでしまったのであろうかピエール瀧たきと石野いしの卓球たっきゅうが慌あわてふためいた様子ようすでいじられているところが描えがかれている。鬼太郎おにたろうたちは人間にんげんに友好ゆうこう的てきな面めんもある『ゲゲゲの鬼太郎おにたろう』とは全まったく異ことなる、極きわめて性悪しょうわるな『墓場はかば鬼太郎おにたろう』のキャラクターであるため、鬼太郎おにたろうは凶悪きょうあくな表情ひょうじょうで喫煙きつえんし、ねずみ男おとこは石野いしのを乱暴らんぼうに扱あつかっている。瀧たきと石野いしのは、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん前後ぜんごの貧まずしかった時代じだいの身みなり、あるいは、その当時とうじの囚人しゅうじん服ふくのような身みなりをしている。後者こうしゃであるとすれば、彼かれらは脱獄だつごくしてきた囚人しゅうじんという設定せっていかもしれない。ピエール瀧たきの横よこには「電気でんき愚ぐ流りゅう宇舞之の墓はか（電気でんきグルーヴの墓はか）」と刻こく銘めいされた墓石はかいしが建たっている。

裏面りめんは、トランプ重井しげい「有楽町ゆうらくちょうで溶とけましょう」のEP盤ばんジャケットをイメージした描えがき下おろしイラストになっている。

また、初回しょかい盤ばんにのみ、ジャケットとは別べつカットの描えがき下おろしステッカーが付属ふぞくしていた。

プロモーション・ビデオ

楽曲がっきょく「モノノケダンス」は水木みずきしげる原作げんさくのテレビアニメ『墓場はかば鬼太郎おにたろう』に使つかわれた作品さくひんであるが、プロモーション・ビデオ (PV) のほうは、水木みずきの妖怪ようかいキャラクターではなく、同おなじくオカルト系けいの漫画まんがではあってもホラー色いろのより強つよいつのだじろうの怪奇かいき漫画まんがに出でてくるようなキャラクター達たちで世界せかい観かんが形作かたちづくられている。また、1965年ねんに公開こうかいされた（※日本にっぽんでの公開こうかいは1987年ねん/昭和しょうわ62年ねん）アメリカのB級きゅうホラー映画えいが『死霊しりょうの盆踊ぼんおどり』のパロディ要素ようそも盛もり込こまれている。

チープな書かき割わりとミニチュアセットで表現ひょうげんされており（ミニチュア撮影さつえい）、多数たすうのネタを詰つめ込こんだ作風さくふうは、高たかい評価ひょうかを得えた過去かこのPV「Cafe de 鬼おに（顔かおと科学かがく）」を想起そうきさせる内容ないようである。また、厚紙あつがみと割わり箸ばしによるペープサート（紙かみ人形にんぎょう劇げき）は1976年ねん（昭和しょうわ51年ねん）に東京とうきょう12チャンネル（現げん・テレビ東京てれびとうきょう）で放送ほうそうされた『妖怪ようかい伝でん 猫ねこ目め小僧こぞう』を髣髴ほうふつとさせる。

内容ないよう

夜よな夜よな街まちで遊あそび呆ほうけているような軽かるい感かんじの若わかい男女だんじょが、深ふかい山やまの中なかの怪あやしい森もりに迷まよい込こんでしまうところから物語ものがたりは始はじまる。

男おとこは女おんなを助手じょしゅ席せきに乗のせて真まっ赤かなスポーツカーを軽快けいかいに走はしらせていたが、飛とび出だしてきた黒くろ猫ねこを避さけようとして道みちばたの木きに衝突しょうとつし、車くるまは大破たいはしてしまった。パーリーピーポーの女おんなは機嫌きげんを損そこね、男おとこを置おき去ざりにして森もりの中なかの道みちを歩あるき始はじめるが、その先さきで怪あやしい何者なにものかに遭遇そうぐうする。それは、中年ちゅうねんおやじのひねた顔付かおつきをしていながら泣なき喚わめく赤あかん坊ぼうのようにも見みえるが、その実み、ピエール瀧たきの顔かおをした子こ泣なき爺じいであった。捨すて子ごと思おもったか、女おんなは不用意ふよういにも子こ泣なき爺じいに近付ちかづき、小便しょうべんを引ひっ掛かけられてしまう。すると、それが原因げんいんかどうかは分わからないものの、女おんなは子こ泣なき爺じいの先導せんどうに付つき従したがい始はじめる。女おんなの後のちを追おってきた男おとこもまた彼女かのじょの後うしろに着ついて歩あるき、二人ふたりは森もりの奥おくへ奥おくへと入はいり込こんでゆく。そしていつしか魑魅魍魎ちみもうりょうのひしめく百鬼夜行ひゃっきやこうの中なかに取とり込こまれてしまっていた。行列ぎょうれつの中なかには、頭あたま襟えりの代かわりに「象ぞうさんじょうろ」を頭あたまに載のせている大だい天狗てんぐや、付づけ喪神そうしんにエイリアンモンスターが混まざったような物もの怪のけ、キョンシー風ふうの妖怪ようかい、かっぱ巻まきを頭あたまの皿さらに載のせた河童かっぱ、『ど根性こんじょうガエル』のひろしとピョン吉きちが主客しゅかく逆転ぎゃくてんしたような妖怪ようかい、スーツ姿すがたののっぺらぼう、フランケンシュタインの怪物かいぶつとぬっぺっぽうを掛かけ合あわせたような妖怪ようかいなどが見みえる。行列ぎょうれつが辿たどり着ついた先さきでは、化ばけ物ものどもが一堂いちどうに会かいして不吉ふきつ極きわまりないレイヴを繰くり広ひろげていた。

石野いしの卓球たっきゅうにそっくりな化ばけ猫ねこが、鯨幕くじらまくの張はられた縁起えんぎの悪わるい祭まつり櫓ろの上うえに陣取じんどるディスクジョッキー (DJ) として盆踊ぼんおどり風ふうの会場かいじょうでレイヴパーティーを盛もり上あげている。ドラム・ビートの効きいた布団ふとん叩はたきを伴ともなう騒音そうおん系けいの迷惑めいわく行為こういで2005年ねん（平成へいせい17年ねん）にワイドショーを賑にぎわした「引ひっ越こし騒音そうおんおばさん」（cf. 奈良なら騒音そうおん傷害しょうがい事件じけん）にしか見みえない妖怪ようかいが化ばけ猫ねこのサイドキック（助手じょしゅ）を務つとめ、鬼おにの形相ぎょうそうで苛烈かれつなリズムを叩たたき出だしている。会場かいじょうに集あつまった妖怪変化ようかいへんげの中なかには、シンクロナイズドスイミングを披露ひろうするゾンビ達いたる、『クリムゾン・キングの宮殿きゅうでん』のアルバムジャケット画がのような釣瓶落つるべおとし、吸すい物ものとして供きょうされた「阿藤あとう快かいの顔かおをした貝かい」、「そんなの関係かんけいねぇ！」のポーズで踊おどる小島こじまよしおモドキ、ディーヴォのメンバーに扮ふんしてエレキギターを弾ひく耳みみなし芳一よしかず、一世いっせいを風靡ふうびしたヘアヌード写真しゃしん集しゅう『Santa Fe』を象徴しょうちょうする塀へいの向むこう側がわからこちらを覗のぞき見みる宮沢みやざわりえならぬ妖艶ようえんな女おんな妖怪ようかい、女犯にょぼんする蛸だこ妖怪ようかいモドキ（cf. 蛸だこと海女あま）など、時事じじネタとパロディネタになっている者もの達たちがいて、有象無象うぞうむぞうに混まざって次々つぎつぎに登場とうじょうする。祭まつりが続つづく間あいだ中ちゅう、女おんなはすっかり正気しょうきを失うしなって恍惚こうこつの中なかに身みを沈しずめ、まだ正気しょうきを保たもっている男おとこのほうは下男げなんとして鬼おにに扱こき使つかわれていた。やがて、呆ほけた女おんなの頭上ずじょうには蜘蛛くもの糸いと (en) が垂たれ下さがり、そのはるか上じょうでは仏様ほとけさまが釣つり糸いとを垂しだれていた（cf. 芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけ『蜘蛛くもの糸いと』）。子こ泣なき爺じいは山やまより大おおきいダイダラボッチのような巨人きょじんと化かし、三日月みかづきが夜空よぞらに浮うかぶ山奥やまおくでなおも盆踊ぼんおどりは続つづく。

それからどれほどの時ときが経たったのか分わからない。疲つかれ果はてた男おとこが気付きづくと怪あやしい者ものどもはもうどこにもおらず、朝焼あさやけが仄ほのかに照てらす山中さんちゅうの荒地あれちにひとり女おんなが座すわり込こんでいるのが見みえた。男おとこは彼女かのじょに近付ちかづいて呼よび掛かけるが、振ふり返かえったのは、もう彼女かのじょと呼よべるものではなかった。あまりの怖こわろしさに、男おとこはもはや正気しょうきを保たもつことができないであろう。なお、アニメーション制作せいさくの流ながれで言いえば、割わり箸ばしにセロハンテープで厚紙あつがみを貼はり付づけてあるだけの書かき割わりの裏側うらがわを画面がめんに曝さらすというメタ（メタフィクション）なオチになっている。

制作せいさく秘話ひわ

制作せいさくは天久あめく聖一せいいちによるもので、「90日にちじゃなくて30日にちかかった」とのことである。

企画きかくの発端ほったんは、天久あめくが石野いしの卓球たっきゅうと共ともにイタリアンレストランで食事しょくじしている際さいに石野いしのの思おもい付つきで制作せいさくを依頼いらいされた。冗談じょうだんのつもりで適当てきとうに返事へんじをしていたところ、後日ごじつ、本当ほんとうにやることになったため、天久あめくは驚おどろいたというが、い出いだした石野いしのにしても、軽かるい乗のりから飛とび出だしたアイディアであった。いざ制作せいさくを始はじめてみると、この手ての手法しゅほう（ペープサートによるミニチュア撮影さつえい）でアニメメーションを制作せいさくする現役げんえきの適任てきにん者しゃが見付みつからず、ほとんど手探てさぐりで進すすめることになったという。その結果けっか、天久あめくひとりで作画さくがした前作ぜんさく「Cafe de 鬼おに（顔かおと科学かがく）」のアニメーションにも匹敵ひってきするハードな作業さぎょうになった。

収録しゅうろく曲きょく

1. モノノケダンス（3分ふん29秒びょう）
   • 作詞さくし：石野いしの卓球たっきゅう・ピエール瀧たき／作曲さっきょく：石野いしの卓球たっきゅう
2. 有楽町ゆうらくちょうで溶とけましょう（4分ふん01秒びょう）
   • 作詞さくし：ピエール瀧たき／作曲さっきょく：石野いしの卓球たっきゅう
3. 有楽町ゆうらくちょうで溶とけましょう (A NightClub Massacre mix)（5分ふん12秒びょう）
   • 作詞さくし：ピエール瀧たき／作曲さっきょく：石野いしの卓球たっきゅう

参考さんこう文献ぶんけん

雑誌ざっし

• 「アニメディア 2008年ねん3月がつ号ごう」『アニメディア』3月がつ号ごう、学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、2008年ねん2月がつ9日にち、ASIN B00133VRGY。 

その他た

• キング・クリムゾン, クリムゾン・キングの宮殿きゅうでん, ポニーキャニオン, ASIN B00005MFVP 

関連かんれん項目こうもく

• 水木みずきしげる、墓場はかば鬼太郎おにたろう (テレビアニメ)
• つのだじろう
• ミニチュア撮影さつえい、ペープサート

外部がいぶリンク

• “モノノケダンス”. 歌うたネット. 株式会社かぶしきがいしゃページワン. 2022年ねん10月がつ1日にち閲覧えつらん。
• 「電気でんきグルーヴ」『激げきロック』激げきロックエンタテインメント株式会社かぶしきがいしゃ、2008年ねん2月がつ。2022年ねん10月がつ1日にち閲覧えつらん。※当とうグループの代表だいひょう作さくとして本ほん作さくのPV（公式こうしきのYouTube動画どうが）を紹介しょうかいしている。