貴族きぞく院いん (日本にっぽん)

日本にっぽんの議会ぎかい 貴族きぞく院いん（きぞくいん）
第だい二に次じ仮かり議事堂ぎじどう時代じだいの貴族きぞく院いん議場ぎじょう （明治めいじ28年ねん撮影さつえい）
種類しゅるい
種類しゅるい	帝国ていこく議会ぎかい上院じょういん
沿革えんかく
設立せつりつ	1890年ねん（明治めいじ23年ねん）11月29日にち
廃止はいし	1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）5月3日にち
後継こうけい	参議院さんぎいん
構成こうせい
定数ていすう	251 (1889年ねん) 409 (1938年ねん) 373 (1947年ねん)
院内いんない勢力せいりょく	1947年ねん時点じてんの貴族きぞく院いん院内いんない会派かいは   研究けんきゅう会かい (142)   公正こうせい会かい (64)   交友こうゆう倶楽部くらぶ (42)   同どう成なり会かい (33)   火曜かよう会かい (32)   同和どうわ会かい (30)   無所属むしょぞくクラブ (22)   無所属むしょぞく (8)
任期にんき	終身しゅうしん： 皇族こうぞく議員ぎいん、公おおやけ侯爵こうしゃく華族かぞく議員ぎいん、勅みことのり選せん議員ぎいん 7年ねん： 伯はく子こ男爵だんしゃく華族かぞく議員ぎいん、勅みことのり選せん議員ぎいん以外いがいの勅みことのり任にん議員ぎいん
選挙せんきょ
選挙せんきょ制度せいど	自動的じどうてき： 皇族こうぞく議員ぎいん、公おおやけ侯爵こうしゃく華族かぞく議員ぎいん 互選ごせん： 伯はく子こ男爵だんしゃく華族かぞく議員ぎいん 勅みことのり選せん： 勅みことのり選せん議員ぎいんなど
前回ぜんかい選挙せんきょ	第だい8回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ： 1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）7月がつ10日とおか投票とうひょう
議事堂ぎじどう
日本にっぽん 東京とうきょう府ふ東京とうきょう市し麹町こうじまち区く永田町ながたちょう 国会こっかい議事堂ぎじどう （昭和しょうわ15年ねん撮影さつえい）
憲法けんぽう
明治めいじ憲法けんぽう

貴族きぞく院いん（きぞくいん、英語えいご: House of Peers）は、明治めいじ憲法けんぽう下したの日本にっぽんにおいて帝国ていこく議会ぎかいを構成こうせいした上院じょういん。1890年ねん（明治めいじ23年ねん）11月29日にちから1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）5月3日にちまで設置せっちされていた。貴き院いんと略称りゃくしょうされた。両院りょういん制せい（二院にいん制せい）である帝国ていこく議会ぎかいの一翼いちよくを担にない、下院かいんにあたる衆議院しゅうぎいんとは同格どうかくの関係かんけいにあったが、予算よさん先議せんぎ権けんは衆議院しゅうぎいんが有ゆうしていた。

貴族きぞく院いん令れいに基もとづき皇族こうぞく議員ぎいん、華族かぞく議員ぎいん及および勅みことのり任にん議員ぎいんによって構成こうせいされ、解散かいさんはなく、議員ぎいん任期にんきは7年ねんの者ものと終身しゅうしん任期にんきの者ものがあった。全ぜん議員ぎいんが非ひ公選こうせんであるが、有識者ゆうしきしゃが勅みことのり任にんにより議員ぎいんとなる制度せいどが存在そんざいしていた。

1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）5月3日にちの日本国にっぽんこく憲法けんぽう施行しこうにより、華族かぞく制度せいどと同時どうじに廃止はいしされ、国会こっかいの上院じょういんとして参議院さんぎいん（さんぎいん）が設立せつりつされた。参議院さんぎいんは解散かいさんせず、任期にんき6年ねんの3年ねん毎ごとの半数はんすうの改選かいせんによる通常つうじょう選挙せんきょで、総そう選挙せんきょによる衆議院しゅうぎいん議員ぎいんの選出せんしゅつと同様どうよう、全員ぜんいん公選こうせんの議員ぎいんにより構成こうせいされることになり、皇族こうぞくが議員ぎいんの職しょくに就つくことはなくなり、終身しゅうしん任期にんき制せい・勅みことのり任にん議員ぎいん職しょくが廃止はいしされた。

概要がいよう

旧きゅう貴族きぞく院いんの銘板めいばん（参議院さんぎいん収蔵しゅうぞう）

議院ぎいんや議員ぎいんの権限けんげんなどについては、議院ぎいん法ほう、貴族きぞく院いん令れい（明治めいじ22年ねん勅みことのり令れい第だい11号ごう）や貴族きぞく院いん規則きそく、その他たの法令ほうれいに定さだめられた。

貴族きぞく院いん議員ぎいんには、皇族こうぞく議員ぎいん、華族かぞく議員ぎいん、勅みことのり任にん議員ぎいんの別べつがある。皇族こうぞく議員ぎいん、華族かぞく議員ぎいんのうち公爵こうしゃく・侯爵こうしゃく議員ぎいん、勅みことのり任にん議員ぎいんのうち勅みことのり選せん議員ぎいんについては任期にんきは終身しゅうしんであり、皇族こうぞくと公おおやけ侯爵こうしゃくは所定しょていの年齢ねんれいに達たっすると自動的じどうてきに貴族きぞく院いん議員ぎいんとなる（はじめ25歳さい、後のちに30歳さいに改正かいせいされ、勅許ちょっきょを得えて議員ぎいん辞職じしょくや再さい就任しゅうにんも可能かのうになった）。ただし現役げんえき軍人ぐんじんたる皇族こうぞく議員ぎいん・公おおやけ侯爵こうしゃく議員ぎいんは軍人ぐんじんの政治せいじ不ふ関与かんよの原則げんそくにより実際じっさいに議員ぎいんとして議事ぎじに参加さんかすることはなかった。勅みことのり選せん議員ぎいんは功績こうせき者しゃ・学識がくしき者しゃの中なかから内閣ないかくの輔弼ほひつに基もとづき天皇てんのうによって任にんじられ、終身しゅうしん議員ぎいんの中なかでは唯一ゆいいつ定数ていすう（125名めい以内いない）がある。勅みことのり選せん議員ぎいんは官僚かんりょう出身しゅっしん者しゃが多おおかったため、華族かぞく議員ぎいんと比くらべると実務じつむ型がたで有能ゆうのうな人材じんざいが多おおく、彼かれらが貴族きぞく院いんの審議しんぎをリードすることが多おおかった。

これに対たいして、華族かぞく議員ぎいんのうち伯爵はくしゃく・子爵ししゃく・男爵だんしゃく議員ぎいん、勅みことのり任にん議員ぎいんのうち多額たがく納税のうぜい議員ぎいんと帝国ていこく学士がくし院いん会員かいいん議員ぎいんは、いずれも任期にんき7年ねんだった。伯はく子こ男爵だんしゃくは同どう爵者間あいだの連記れんき・記名きめい投票とうひょう選挙せんきょによる選出せんしゅつである。多額たがく納税のうぜい議員ぎいんも互選ごせんによって選出せんしゅつされる。いずれも定員ていいん数すうがあるので欠員けついんが生しょうじた場合ばあいは補選ほせんが実施じっしされる。

なお朝鮮ちょうせん貴族きぞくについては、朝鮮ちょうせん貴族きぞくの爵位しゃくいで華族かぞく議員ぎいんになることはできなかったが、勅みことのり選せん議員ぎいんに任にんじられるのは、もちろん妨さまたげられない。

議員ぎいんの歳費さいひは議院ぎいん法ほうに定さだめられた。それぞれ、議長ぎちょう7,500円えん、副ふく議長ぎちょう4,500円えん、議員ぎいん3,000円えんであった（いずれも1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）の法ほう改正かいせいから1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）の法ほう廃止はいしまで、衆議院しゅうぎいんも同額どうがく）。ただし皇族こうぞく議員ぎいんや公おおやけ侯爵こうしゃく議員ぎいんなど終身しゅうしん議員ぎいんには歳費さいひは支給しきゅうされなかった。

1890年ねん（明治めいじ23年ねん）開会かいかいの第だい1回かい通常つうじょう会かいから、1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）開会かいかいの第だい92回かい通常つうじょう会かいまで、議員ぎいん総数そうすうは250名めいから400名めい程度ていどで推移すいいした。第だい92回かい議会ぎかい停会ていかい当時とうじの議員ぎいん総数そうすうは373名めいであった。

貴族きぞく院いんは概がいして非ひ政党せいとう主義しゅぎを取とったため、衆議院しゅうぎいんの政党せいとう政治せいじには厳きびしく、政府せいふ（行政府ぎょうせいふたる内閣ないかく）を窮地きゅうちに陥おとしいれることもあり、独自どくじ性せいを発揮はっきした。戦時せんじ下かにおいても貴族きぞく院いん議長ぎちょうも歴任れきにんした近衛このえ文麿ふみまろ首相しゅしょうによる「新しん体制たいせい運動うんどう」の下したに解体かいたいさせられた政党せいとうが軍部ぐんぶに迎合げいごうしていったのに対たいして総そうじて冷静れいせいであり、絶頂ぜっちょう期きの東條とうじょう内閣ないかくを帝国ていこく議会ぎかいで批判ひはんしたのも貴族きぞく院いんであった。

議員ぎいん資格しかく

貴族きぞく院いん　玉座ぎょくざ

貴族きぞく院いん議員ぎいんの資格しかくは、皇族こうぞく男子だんしからなる皇族こうぞく議員ぎいん、華族かぞく（爵位しゃくい保持ほじ者しゃ）からなる華族かぞく議員ぎいん、天皇てんのうの任命にんめい（勅みことのり任にん）による勅みことのり任にん議員ぎいんの3種しゅに大別たいべつされた。厳密げんみつには、華族かぞく議員ぎいんの資格しかく数すうは爵位しゃくいに基もとづき公爵こうしゃく議員ぎいんから男爵だんしゃく議員ぎいんまでの5つあり、勅みことのり任にん議員ぎいんの資格しかく数すうは時代じだいの変化へんかに合あわせて増減ぞうげんした。

1889年ねん（明治めいじ22年ねん）の貴族きぞく院いん発足ほっそく時じは8資格しかくの議員ぎいんで構成こうせいされた。その後ご、1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）に勅みことのり任にんの帝国ていこく学士がくし院いん会員かいいん議員ぎいんが創設そうせつされて9資格しかくとなり、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん末期まっきの1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）4月がつには勅みことのり任にんの朝鮮ちょうせん勅みことのり選せん議員ぎいんおよび台湾たいわん勅みことのり選せん議員ぎいんが設もうけられて最大さいだいの11資格しかくとなったが、終戦しゅうせん直後ちょくごの1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）には在職ざいしょく者しゃが全員ぜんいん辞任じにんして皇族こうぞく議員ぎいんが消滅しょうめつし、朝鮮ちょうせん・台湾たいわん両りょう勅みことのり選せん議員ぎいんの規定きていも廃止はいしされたことで議員ぎいん資格しかく数すうは8つに減少げんしょう、そのまま1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）の貴族きぞく院いん廃止はいしを迎むかえた。

皇族こうぞく議員ぎいん

満まん18歳さいに達たっした皇太子こうたいし又または皇すめらぎ太ふとし孫まごと、満まん20歳さいに達たっしたその他たの皇族こうぞく男子だんしは自動的じどうてきに議員ぎいんとなった（貴族きぞく院いん令れい第だい2条じょう）。定員ていいんは設もうけられず、歳費さいひも存在そんざいしなかった。

貴族きぞく院いん規則きそく4条じょうで「皇族こうぞくノ議席ぎせきハ議員ぎいんノ首班しゅはんニ置おけキ其ノ席次せきじハ宮中きゅうちゅうノ列れつ次じニ依よル」となっていた。ただし、「皇族こうぞくが政争せいそうに巻まき込こまれることは適正てきせいではない」という考かんがえから、皇族こうぞくは議会ぎかいで催もよおされる式典しきてんなどに参列さんれつしたり、傍聴ぼうちょうすることはあっても、貴族きぞく院いん議員ぎいんとして日常にちじょう的てきに議会ぎかい内ないに出入でいりすることはなく、登院とういんするのは極きわめて稀まれであった。また、皇族こうぞく男子だんしは陸りく海軍かいぐんの軍人ぐんじんを務つとめることが常つねでもあった（皇族こうぞく軍人ぐんじん）ので、「軍人ぐんじんの政治せいじ不ふ関与かんよ」の建前たてまえからも、出席しゅっせきは適正てきせいではないとされた。ただし、憲政けんせい史上しじょうで立法府りっぽうふはともかく、行政府ぎょうせいふである内閣ないかくにおいては、終戦しゅうせん直後ちょくごの混乱こんらん期きという特殊とくしゅな状況じょうきょう下かで皇族こうぞくの東ひがし久邇くに宮みや稔彦としひこ王おう（皇すめらぎ籍せき離脱りだつ後ご：東ひがし久邇くに稔彦としひこ）が人心じんしん安定あんていのために内閣ないかく総理そうり大臣だいじんに就任しゅうにんした事例じれいはある（歴代れきだい日本にっぽんの首相しゅしょうで最短さいたん任期にんき記録きろく）。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごの1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）5月23日にち、当時とうじ在職ざいしょくの皇族こうぞく議員ぎいんが全員ぜんいん辞任じにんした後のち、同年どうねん7月がつ3日にちから10月8日にちまで賀陽かよう宮みや治憲はるのり王おうのみがこれを務つとめたのを最後さいごとして貴族きぞく院いんから消滅しょうめつした。

華族かぞく議員ぎいん

華族かぞく議員ぎいんは男性だんせい華族かぞくから選任せんにんされた。爵位しゃくいによって、選任せんにん方法ほうほう、任期にんきその他たの定さだめが異ことなった。なお、朝鮮ちょうせん貴族きぞくは朝鮮ちょうせん貴族きぞく令れい5条じょうにより華族かぞくと同一どういつの礼遇れいぐうを受うける者ものとされており、華族かぞくと同おなじく爵位しゃくいが存在そんざいしたが、その爵位しゃくいによって華族かぞく議員ぎいんになることはできなかった（ただし、個別こべつに勅みことのり任にん議員ぎいんとして貴族きぞく院いん議員ぎいんに列れっせられた者ものはある）。

公爵こうしゃく議員ぎいん・侯爵こうしゃく議員ぎいん

満まん25歳さいに達たっした公爵こうしゃく・侯爵こうしゃくは自動的じどうてきに議員ぎいんとなった（貴族きぞく院いん令れい第だい3条じょう）。定員ていいんはなく、歳費さいひもなかった。

1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）の貴族きぞく院いん令れい改正かいせい（大正たいしょう14年ねん勅みことのり令れい第だい174号ごう）により、年齢ねんれいが満まん30歳さいに引ひき上あげられた。また、勅許ちょっきょを得えて辞職じしょくすること及およびその後ご勅命ちょくめいにより再ふたたび議員ぎいんとなることが認みとめられた。

公おおやけ侯爵こうしゃく議員ぎいんも現役げんえき軍人ぐんじんたる議員ぎいんは出席しゅっせきしない慣例かんれいになっていた。

伯爵はくしゃく議員ぎいん・子爵ししゃく議員ぎいん・男爵だんしゃく議員ぎいん

満まん25歳さいに達たっした伯爵はくしゃく・子爵ししゃく・男爵だんしゃくに叙じょされている者ものの同おなじ爵位しゃくいの華族かぞくによる互選ごせんで選えらばれた（貴族きぞく院いん令れい第だい4条じょう第だい1項こう）。任期にんきは7年ねん。互選ごせんの方法ほうほうなどについては貴族きぞく院いん伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ規則きそく（明治めいじ22年ねん勅みことのり令れい第だい78号ごう）に定さだめられた。選挙せんきょは完全かんぜん連記れんき制せいであった。また、委託いたく投票とうひょうも可能かのうだった。また、「投票とうひょうハ被ひ選せん人じんノ爵姓名めいヲ列記れっきシ次じニ自己じこノ爵姓名めいヲ記載きさいスヘシ」と記名きめい投票とうひょうであった。選挙せんきょは同どう爵者間あいだの自治じちに委ゆだねられており、費用ひようも自己じこ負担ふたんした。

1890年ねん（明治めいじ23年ねん）7月がつ10日とおか、第だい1回かい貴族きぞく院いん伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん互選ごせん選挙せんきょが行おこなわれた。貴族きぞく院いん令れい第だい4条じょう第だい2項こうにより、伯爵はくしゃく20人にん以内いない、子爵ししゃくと男爵だんしゃくは各かく73人にん以内いないとされ、各かく爵の議員ぎいんの定数ていすうは各かく爵位しゃくいを有ゆうする者ものの総数そうすうの5分ぶんの1を超こえない範囲はんいとされた（第だい1回かい帝国ていこく議会ぎかいにおいて伯爵はくしゃく14名めい、子爵ししゃく70名めい、男爵だんしゃく20名めい。第だい21回かい帝国ていこく議会ぎかいにおいて伯爵はくしゃく17名めい、子爵ししゃく70名めい、男爵だんしゃく56名めい）。

1905年ねん（明治めいじ38年ねん）の貴族きぞく院いん令れい改正かいせい（明治めいじ38年ねん勅みことのり令れい第だい58号ごう）により、伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいんを通とおして定数ていすう143名めいとし、各かく爵位しゃくいを有ゆうする者ものの総数そうすうに比例ひれいして配分はいぶんすることとなった。これは、日にち清しん戦争せんそう・日にち露ろ戦争せんそうを経へて、華族かぞく（戦功せんこう華族かぞく・新しん華族かぞく）の数かずが急増きゅうぞうしたことによる議員ぎいん数すうの増加ぞうかを抑おさえるための措置そちである。

1909年ねん（明治めいじ42年ねん）の貴族きぞく院いん令れい改正かいせい（明治めいじ42年ねん勅みことのり令れい第だい92号ごう）により、伯爵はくしゃく17名めい、子爵ししゃく70名めい、男爵だんしゃく63名めいとされた。

1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）の貴族きぞく院いん令れい改正かいせい（大正たいしょう7年ねん勅みことのり令れい第だい22号ごう）により、伯爵はくしゃく20名めい、子爵ししゃく73名めい、男爵だんしゃく73名めいと増員ぞういんされた。

1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）の貴族きぞく院いん令れい改正かいせい（大正たいしょう14年ねん勅みことのり令れい第だい174号ごう）により、年齢ねんれいは満まん30歳さいに引ひき上あげられ、定数ていすうは150名めい（伯爵はくしゃく18名めい、子爵ししゃく66名めい、男爵だんしゃく66名めい）とされた。以後いご、貴族きぞく院いん廃止はいしまで定数ていすう変更へんこうはない。

なお、伯爵はくしゃく議員ぎいん・子爵ししゃく議員ぎいん・男爵だんしゃく議員ぎいんとして互選ごせんされた議員ぎいんが陞爵（爵位しゃくいの昇進しょうしん）した場合ばあい、その地位ちいが保たもたれるかどうかについては初期しょきの議会ぎかいにおいて資格しかく訴訟そしょうに発展はってんし、爵位しゃくいの変動へんどうがあった場合ばあいは前まえの互選ごせんによる地位ちいは失うしなわれることが確定かくていした。伯爵はくしゃく議員ぎいんが侯爵こうしゃくになれば互選ごせんによることなく貴族きぞく院いん議員ぎいんとなることから、問題もんだいになったのは子爵ししゃく議員ぎいん・男爵だんしゃく議員ぎいんであり、具体ぐたい的てきな例れいとしては、子爵ししゃく議員ぎいんであった島津しまつ忠ただし亮あきら（旧きゅう佐土原さどわら藩主はんしゅ島津しまつ家か当主とうしゅ）が、1891年ねん（明治めいじ24年ねん）4月がつ23日にちに父ちち・忠寛ただひろが幕末ばくまつ王事おうじに功こうがあったとして伯爵はくしゃくに陞爵した際さい、資格しかく審査しんさの申もうし立たてがあり、資格しかく消滅しょうめつとされた事件じけんがある。

伯爵はくしゃく・子爵ししゃく・男爵だんしゃく議員ぎいんは同どう爵の者ものによる互選ごせんとはいえ、選挙せんきょがある以上いじょう選挙せんきょ運動うんどうもまた存在そんざいした。こうした中なか、1892年ねん（明治めいじ25年ねん）発足ほっそくした「尚なお友とも会かい」は、有ゆう爵者・貴族きぞく院いん議員ぎいんの親睦しんぼく会かいを謳うたっていたが、実質じっしつは研究けんきゅう会かいの選挙せんきょ運動うんどう団体だんたいだった。完全かんぜん連記れんき制せいであるため、細こまかい票ひょうの割わり振ふりは必要ひつようなく、また第だい一いち勢力せいりょくが圧倒的あっとうてき多数たすうを占しめることのできる多数たすう代表だいひょう制せいであった。そのため、いち早はやく選挙せんきょ運動うんどう団体だんたいを組織そしきした尚なお友とも会かいは、協力きょうりょくした第だい2次じ桂かつら内閣ないかくの後押あとおしもあって、やがて伯爵はくしゃく・子爵ししゃく・男爵だんしゃく議員ぎいんの大半たいはんを牛耳ぎゅうじる存在そんざいになった。

伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ一覧いちらん

第だい1回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ	1890年ねん（明治めいじ23年ねん）7月がつ10日とおか投票とうひょう
第だい2回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ	1897年ねん（明治めいじ30年ねん）7月がつ10日とおか投票とうひょう
第だい3回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ	1904年ねん（明治めいじ37年ねん）7月がつ10日とおか投票とうひょう
第だい4回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ	1911年ねん（明治めいじ44年ねん）7月がつ10日とおか投票とうひょう
第だい5回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ	1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）7月がつ10日とおか投票とうひょう
第だい6回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ	1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）7月がつ10日とおか投票とうひょう
第だい7回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ	1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）7月がつ10日とおか投票とうひょう
第だい8回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょ	1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）7月がつ10日とおか投票とうひょう

第だい9回かい伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいん選挙せんきょは、本来ほんらいならば1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）7月がつ10日とおかに投票とうひょうが実施じっしされるはずだった。しかし同年どうねん5月がつに召集しょうしゅうされた第だい90回かい帝国ていこく議会ぎかいですでに日本国にっぽんこく憲法けんぽうの審議しんぎが始はじまっており、この時点じてんで貴族きぞく院いんはせいぜい向むこう1年ねん以内いないに廃止はいしとなることは確定かくていされていた。そのため敢あえてこの第だい9回かい選挙せんきょは実施じっしせず、現職げんしょくの伯はく子こ男爵だんしゃく議員ぎいんの任期にんきを延長えんちょうすることで対応たいおうすることになった。そこで先まず「昭和しょうわ21年ねん7月がつ勅みことのり令れい351号ごう」でこれらの議員ぎいんの任期にんきを7ヶ月かげつ延長えんちょうして翌よく1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）2月がつ10日とおかまでとし、さらに「昭和しょうわ21年ねん12月勅みことのり令れい612号ごう」でこれを3ヶ月かげつ弱じゃく再さい延長えんちょうして日本国にっぽんこく憲法けんぽう施行しこう日びの前日ぜんじつである1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）5月2日にちまでとした。

同どう時期じきに多額たがく納税のうぜい者しゃ議員ぎいんと帝国ていこく学士がくし院いん会員かいいん議員ぎいんに対たいしても同様どうようの任期にんき延長えんちょう措置そちがとられている。

勅みことのり任にん議員ぎいん

勅みことのり選せん議員ぎいん

国家こっかに勲くん労ろうある、または学識がくしきある30歳さい以上いじょうの男子だんしの中なかから、内閣ないかくの輔弼ほひつにより勅みことのり任まかされた（貴族きぞく院いん令れい第だい5条じょう）。勅みことのり選せん議員ぎいんは終身しゅうしん任期にんきだった（貴族きぞく院いん令れい第だい5条じょう）。

1890年ねん（明治めいじ23年ねん）の帝国ていこく議会ぎかい創設そうせつ時じには61名めいが選出せんしゅつされた（元老げんろう院議いんぎ官かん27名めい、各省かくしょう官吏かんり10名めい、民間みんかん人じん9名めい、帝国ていこく大学だいがく代表だいひょう6名めい、宮中きゅうちゅう顧問こもん官かん6名めい、内閣ないかく法制ほうせい局きょく3名めい）。

新あたらしい勅みことのり選せん議員ぎいんは実質じっしつ的てきにその時々ときどきの内閣ないかくが独自どくじの判断はんだんにもとづいて選任せんにんしたが、多おおくの場合ばあいは退陣たいじんの決きまった内閣ないかくがその最後さいごの数日すうじつ間あいだに候補者こうほしゃを奏そう薦こもして勅みことのり任にんを仰あおいだ。1926年ねん（昭和しょうわ元年がんねん）から1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）までに勅みことのり選せん議員ぎいんに勅みことのり任まかされた者ものは170名めいを数かぞえるが、直前ちょくぜんの肩書かたがきの内訳うちわけは官僚かんりょう39％、財界ざいかい人じん25％、大臣だいじん16％、代議士だいぎし8％、大学だいがく教授きょうじゅ4％、軍人ぐんじん3％となっている。官僚かんりょう出身しゅっしん者しゃが多おおかったため、華族かぞく議員ぎいんと比くらべると実務じつむ型がたで有能ゆうのうな人材じんざいが多おおく、彼かれらが貴族きぞく院いんをリードすることが多おおかった。

1905年ねん（明治めいじ38年ねん）以後いごは勅みことのり選せん議員ぎいんの定員ていいんが125名めい以内いないに固定こていされた。また当初とうしょは勅みことのり選せん議員ぎいんと多額たがく納税のうぜい者しゃ議員ぎいんの総数そうすうは華族かぞく議員ぎいんの総数そうすう以下いかと定さだめられていた（貴族きぞく院いん令れい第だい7条じょう）。この規定きていは1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）に廃止はいしされたものの、華族かぞく議員ぎいんの総数そうすうが非ひ華族かぞく議員ぎいんの総数そうすうを下回したまわることは結局けっきょくその後ごもなかった。

帝国ていこく学士がくし院いん会員かいいん議員ぎいん

1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）に新設しんせつされた。帝国ていこく学士がくし院いん会員かいいんで30歳さい以上いじょうの男子だんしから互選ごせんの上うえで勅みことのり任まかされた。任期にんきは7年ねん。定員ていいんは4名めい（帝国ていこく学士がくし院いんは、分野ぶんやごとに2部ぶに分わけられたため、各部かくぶごとに2名めいずつ選出せんしゅつされた）。互選ごせんの方法ほうほうその他たは貴族きぞく院いん帝国ていこく学士がくし院いん会員かいいん議員ぎいん互選ごせん規則きそく（大正たいしょう14年ねん勅みことのり令れい第だい233号ごう）に定さだめられた。「投票とうひょう用紙ようしニハ選挙せんきょ人じんノ氏名しめいヲ記載きさいスルコトヲ得とくス」と無記名むきめい投票とうひょうであった。

多額たがく納税のうぜい者しゃ議員ぎいん

土地とちあるいは工業こうぎょう・商業しょうぎょうにつき多額たがくの直接ちょくせつ国税こくぜいを納おさめる30歳さい以上いじょうの者ものの中なかから互選ごせんの上うえで勅みことのり任まかされた（貴族きぞく院いん令れい第だい6条じょう）。任期にんきは7年ねん。互選ごせんの方法ほうほうその他たは、貴族きぞく院いん多額たがく納税のうぜい者しゃ議員ぎいん互選ごせん規則きそく（大正たいしょう14年ねん勅みことのり令れい第だい234号ごう）に定さだめられた。貴族きぞく院いん令れい第だい六ろく条じょうノ議員ぎいん選挙せんきょニ付づけ衆議院しゅうぎいん議員ぎいん選挙せんきょ法ほう中ちゅう罰則ばっそくノ規定きてい準用じゅんようニ関せきスル法律ほうりつ（大正たいしょう14年ねん法律ほうりつ第だい48号ごう）により、多額たがく納税のうぜい者しゃ議員ぎいんについては衆議院しゅうぎいん議員ぎいん選挙せんきょ法ほうの罰則ばっそく規定きていが準用じゅんようされた。

当初とうしょは各かく府県ふけんごとに直接ちょくせつ国税こくぜい納付のうふ者しゃ15名めいより1名めいが互選ごせんされ、北海道庁ほっかいどうちょうと沖縄おきなわ県けんは対象たいしょう外がいとされたので定員ていいんは45名めいであった。1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）に北海道ほっかいどう・沖縄おきなわからも選出せんしゅつされることになり、1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）には庁ちょう府県ふけんごとに多額たがく納付のうふ者しゃ100名めいにつき1名めいまたは200名めいにつき2名めいに改あらためられて定員ていいんは66人にん以内いないとなった。当初とうしょは記名きめい投票とうひょうだったが、1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）に秘密ひみつ投票とうひょうに改あらためられた。また、単記たんき投票とうひょう制せいだった。

1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）には樺太からふと庁ちょうからも1名めい選出せんしゅつされることになり、定員ていいん67人にん以内いないと改あらためられたが、敗戦はいせんによる樺太からふと喪失そうしつによって一いち度ども選出せんしゅつは行おこなわれなかった。1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）6月がつの貴族きぞく院いん令れいの一部いちぶを改正かいせいする勅みことのり令れい案あんが可決かけつされたことで、樺太からふと出身しゅっしんの多額たがく納税のうぜい者しゃ議員ぎいんの根拠こんきょ法ほうは無なくなった（一方いっぽうで沖縄おきなわの実効じっこう支配しはいを喪失そうしつしたとはいえ、沖縄おきなわ県けん出身しゅっしんの多額たがく納税のうぜい者しゃ議員ぎいんの根拠こんきょ法ほうは貴族きぞく院いん廃止はいしの1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）5月がつまで維持いじされた）。

彼かれらの政治せいじ活動かつどうは微弱びじゃくだったが、金持かねもち議員ぎいんとして批判ひはんに晒さらされやすかった。

朝鮮ちょうせん勅みことのり選せん議員ぎいん・台湾たいわん勅みことのり選せん議員ぎいん

外地がいちの朝鮮ちょうせんまたは台湾たいわんに在住ざいじゅうする満まん30歳さい以上いじょうの男子だんしにして名望めいぼうある者ものより特とくに勅みことのり任まかされた。任期にんきは7年ねん。定員ていいんは両方りょうほう合あわせて10名めい以内いない。

1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）4月がつに創設そうせつされたが、戦争せんそう末期まっきのためほとんど機能きのうしなかった。翌よく1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）5月がつ16日にちに召集しょうしゅうされた第だい90回かい帝国ていこく議会ぎかい（臨時りんじ会かい）が6月がつ20日はつかに開会かいかいされ、名簿めいぼ上じょうは9人にんの外地がいち議員ぎいん（朝鮮ちょうせん人じん議員ぎいん6人にん・台湾たいわん人じん議員ぎいん3人にん）が確認かくにんされている。6月25日にちに政府せいふが朝鮮ちょうせん・台湾たいわんからの勅みことのり任にん議員ぎいんに関かんする規定きていを削除さくじょする貴族きぞく院いん令れい改正かいせい勅みことのり令れい案あんを貴族きぞく院いんに提出ていしゅつし、6月29日にちに本ほん会議かいぎで勅みことのり令れい案あんは可決かけつされ、7月がつ9日にちの本ほん会議かいぎで9人にんの外地がいち議員ぎいんの資格しかくが7月がつ4日にち付づけで消滅しょうめつしたことが議長ぎちょうから報告ほうこくされた。

朝鮮ちょうせん勅みことのり選せん議員ぎいん	宋そう鍾憲（野田のだ鍾憲／伯爵はくしゃく）	李り埼鎔（子爵ししゃく）	尹いん致昊（伊東いとう致昊）	金きむ明あきら濬（金田かねだ明あきら）
	韓かん相しょう龍りゅう	朴ほお相しょう駿しゅん（朴澤ほうざわ相しょう駿しゅん）	朴ほお重陽ちょうよう（朴ぼく忠ただし重陽ちょうよう）
台湾たいわん勅みことのり選せん議員ぎいん	許もと丙へい	簡朗山やま（緑野りょくや竹二郎たけじろう）	林はやし献けんじ堂どう

議長ぎちょう・副ふく議長ぎちょう、仮かり議長ぎちょう

詳細しょうさいは「貴族きぞく院いん議長ぎちょう (日本にっぽん)」を参照さんしょう

歴史れきし

貴族きぞく院いんと明治天皇めいじてんのう（1890年ねん（明治めいじ23年ねん））

1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）、貴族きぞく院本いんぽん会議かいぎにて貴族きぞく院いん議長ぎちょう近衛このえ文麿ふみまろが勅語ちょくご奉答ほうとう文ぶんを朗読ろうどく

伊藤いとう博文ひろぶみは天皇てんのうを中心ちゅうしんとした君主くんしゅ制せいを維持いじするためにも、天皇てんのうを補佐ほさする世襲せしゅう貴族きぞく（華族かぞく）の必要ひつよう性せいがあると認識にんしきしていた。したがって、選挙せんきょによる選出せんしゅつである衆議院しゅうぎいんとは対照たいしょう的てきに、貴族きぞく院いんは世襲せしゅう貴族きぞくをその中心ちゅうしんに据すえた。河野こうの敏さとし鎌がまは議員ぎいんの地位ちいを世襲せしゅうとせず、華族かぞくによる互選ごせんを主張しゅちょうしたが、伊藤いとうは「今こん世襲せしゅう議員ぎいんを貴族きぞく院いんより除のぞくは取とも直なおさず世襲せしゅう貴族きぞくを廃はいするに同おなじ」と拒絶きょぜつした。ただし、伯爵はくしゃく以下いかの貴族きぞくは数かずが多おおく、全員ぜんいんを議員ぎいんにすることはできなかったため、同おなじ爵位しゃくいの華族かぞくによる互選ごせんとなった。

貴族きぞく院いん規則きそくは、草案そうあんの段階だんかいでは議長ぎちょうが決きめた議事ぎじ日程にっていの変更へんこうについて議員ぎいんが動議どうぎを提起ていきする権利けんりを認みとめていたが、お雇やとい外国がいこく人じんの英国えいこく人じん法学ほうがく者しゃピゴットが伊藤いとう博文ひろぶみにした意見いけんなどにより、同どう権利けんりは削除さくじょされた。

貴族きぞく院いん関係かんけい法令ほうれいの起草きそうは金子かねこ堅太郎けんたろうが担当たんとうした。金子かねこは、当初とうしょ、「元老げんろう院いん」と仮称かしょうしていたが、伊藤いとう博文ひろぶみは外国がいこくの元老げんろう院いんは選挙せんきょによる選出せんしゅつだから今回こんかいの議院ぎいんとは性質せいしつが異ことなると否定ひていし、その結果けっか「貴族きぞく院いん」に決定けっていした。これは貴族きぞく中心ちゅうしんの議院ぎいんであることを積極せっきょく的てきに表現ひょうげんし、皇室こうしつの藩屏はんぺいとして純粋じゅんすいな君主くんしゅ主義しゅぎの立場たちばを取とり、民主みんしゅ主義しゅぎに対抗たいこうする役割やくわりを期待きたいされていた。また、当初とうしょの伊藤いとうは政党せいとう内ない閣かくは事実じじつ上じょう主権しゅけん（国体こくたい）が天皇てんのうから政党せいとうに移うつるから認みとめられないと考かんがえていた。そこで、貴族きぞく院いんは衆議院しゅうぎいんの政党せいとう勢力せいりょくと対抗たいこうする存在そんざいと位置付いちづけられた。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんが開始かいしされる前まえの昭和しょうわ初期しょきにも婦人ふじん参政さんせい権けんの導入どうにゅう、労働ろうどう組合くみあいの容認ようにん、帝国ていこく大学だいがくの増設ぞうせつなどの法案ほうあんが議会ぎかいに提出ていしゅつされ、衆議院しゅうぎいんでは可決かけつされているが、こうした「進歩しんぽ的てき内容ないよう」の法案ほうあんは貴族きぞく院いんが否決ひけつすることがしばしばあった。同様どうように普通ふつう選挙せんきょ法ほうも否決ひけつされる可能かのう性せいがあったが、こちらは治安ちあん維持いじ法ほうとのセットにする事ことにより可決かけつした。

貴族きぞく院いんは保守ほしゅ的てきであるが、内閣ないかくに対たいしてもある程度ていどの自立じりつ性せいを持もち、衆議院しゅうぎいんとその地位ちいを競きそった結果けっか、政権せいけんを幾度いくどとなく窮地きゅうちに陥おとしいれてもいる。政権せいけんが政党せいとうに妥協だきょうした時ときには反はん政党せいとうの立場たちばから政権せいけんと対立たいりつすることもあった。1900年ねん（明治めいじ33年ねん）、伊藤いとうの増税ぞうぜい案あんに対たいして、貴族きぞく院いんは政友せいゆう会かいの党利とうり党略とうりゃくを理由りゆうにこれを否決ひけつした。手てを焼やいた伊藤いとうは明治天皇めいじてんのうに貴族きぞく院いんが法案ほうあん成立せいりつに協力きょうりょくするよう求もとめる勅語ちょくごを出ださせ、従したがわせたことがある（貴族きぞく院いんはその性質せいしつ上じょう、勅語ちょくごには従したがわざるを得えない）。

大正たいしょうデモクラシーの時代じだいには政治せいじ運営うんえいにおいて衆議院しゅうぎいんがある程度ていどの力ちからを持もち、貴族きぞく院いんの威信いしんは相対そうたい的てきにではあるが低下ていかした。貴族きぞく院いんは枢密院すうみついんとともにしばしば批判ひはんにさらされ、その改革かいかく案あんが常つねに論点ろんてんとなっていた。

1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）9月18日にち、改修かいしゅう中ちゅうの貴族きぞく院いん庁舎ちょうしゃから出火しゅっか。軒のき続つづきの衆議院しゅうぎいんにも延焼えんしょうした。焼失しょうしつした議事堂ぎじどうの図面ずめんは大蔵省おおくらしょうに保管ほかんされていたことから、無傷むきずであった基礎きそ部分ぶぶんの上うえに同どう規模きぼの議事堂ぎじどうを立たてることが同年どうねん 9月がつ19日にちまでに決定けってい。同年どうねん中ちゅうに工事こうじは完成かんせいした。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ご、日本国にっぽんこく憲法けんぽうの審議しんぎにも参加さんかした。最さい末期まっきには公職こうしょく追放ついほうにより貴族きぞく院いんでも多数たすうの議員ぎいんが追放ついほうされており（戦犯せんぱんとなったり爵位しゃくいを返上へんじょうしたりした議員ぎいんもいた）、華族かぞく議員ぎいんは補充ほじゅうされたものの、院いんの廃止はいしを控ひかえて影響えいきょう力りょくは低下ていかし、審議しんぎでは主おもに学識がくしき者しゃを中心ちゅうしんとした勅みことのり任にん議員ぎいんが存在そんざい感かんを見みせた。

自みずからの存在そんざいを否定ひていすることになる日本国にっぽんこく憲法けんぽうの審議しんぎでは、下手へたに否決ひけつして天皇てんのう制せい廃止はいしをGHQに持もち出だされる事態じたいを恐おそれたため、次善じぜんの策さくとして消極しょうきょく的てきな賛成さんせい論ろんが大勢おおぜいを占しめた。なお、天皇てんのうの権限けんげんを強つよめる修正しゅうせい案あんが出だされ、GHQへの根回ねまわしも済すませていたともいわれたが、修正しゅうせい案あんは否決ひけつされた。

研究けんきゅう会かい所属しょぞくの多額たがく納税のうぜい議員ぎいんである秋田あきた三さん一いちは1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）8月がつ30日にちの貴族きぞく院本いんぽん会議かいぎで、過去かこに政府せいふ攻撃こうげきを行おこなったのは第だい4次じ伊藤いとう内閣ないかく（伊藤いとう博文ひろぶみ首相しゅしょう）の増税ぞうぜい案あん反対はんたい、シーメンス事件じけんの発覚はっかくに伴ともなう第だい1次じ山本やまもと内閣ないかく（山本やまもと権兵衛ごんべえ内閣ないかく）弾劾だんがい、田中たなか義一ぎいち内閣ないかく（田中たなか義一ぎいち首相しゅしょう）における水野みずの文相ぶんしょう優諚ゆうじょう問題もんだい批判ひはんなど数すう度どに留とまると貴族きぞく院いんの活動かつどうを統括とうかつしている。

貴族きぞく院いんは、日本国にっぽんこく憲法けんぽう施行しこうを控ひかえた1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）3月31日にちの第だい92回かい帝国ていこく議会ぎかい本ほん会議かいぎの最後さいごに、徳川とくがわ家正いえまさ議長ぎちょうの以下いかの言葉ことばをもって締しめくくられ、その活動かつどうを全すべて終おえた。

…顧かえりみれば明治めいじ二に十じゅう三さん年ねん十じゅう一いち月がつ二に十じゅう九日大日本帝国憲法施行以來茲に五ご十じゅう有ゆう七なな年ねん、其その間あいだ、我わが貴族きぞく院いんは慎重しんちょう、練ねり熟じゅく、耐久たいきゅうの府ふとして大おおいに国運こくうんの進展しんてんに貢献こうけんし、或ある時ときは憲政けんせい擁護ようごの為ため、将はた又また綱紀こうき粛正しゅくせいの為ために尽つくしたことも一再いっさいに止とまりませぬ、今いまや追懐ついかい感慨かんがい殊ことに深ふかく、而も本日ほんじつ滞とどこおりなく貴族きぞく院いんの議事ぎじを終おわり得えましたことは、諸君しょくんと共ともに欣慶に堪こたえませぬと同時どうじに、明治めいじ、大正たいしょう、昭和しょうわの三さん代だいに於おける先輩せんぱい議員ぎいん諸公しょこうの御ご功労こうろうを偲しのび、又また現げん議員ぎいん諸君しょくん多大ただいの御ご努力どりょくに対たいし深甚しんじんの敬意けいいを表あらわしたいと存ぞんじます、尚なお諸君しょくんに於おかせられましては、此の上うえとも愈いよいよ愈いよいよ御ご加餐かさんの上うえ、我わが日本にっぽん国こくの再建さいけん、世界せかい恒久こうきゅう平和へいわの確保かくほに向むかって、一般いっぱんの御ご努力どりょくあらんことを切望せつぼうして已やめみませぬ

そして同年どうねん5月3日にち、大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうの改正かいせいによる日本国にっぽんこく憲法けんぽうの施行しこうにより、貴族きぞく院いんと華族かぞく制度せいどは正式せいしきに廃止はいしされた。貴族きぞく院いんの議場ぎじょうは、新設しんせつされた参議院さんぎいんが受うけ継ついだ。貴族きぞく院いん議員ぎいん経験けいけん者しゃの多数たすうは、日本国にっぽんこく憲法けんぽうへの賛成さんせいはあくまで「占領せんりょう下かの便宜べんぎ的てきな態度たいどである」として、のちに自主じしゅ憲法けんぽう制定せいてい論ろん者しゃとなっていった。

院内いんない会派かいは

貴族きぞく院いんは「衆議院しゅうぎいんにおける政党せいとう政治せいじの防波堤ぼうはてい」となり、「国権こっけん主義しゅぎの保持ほじに寄与きよする」という建前たてまえ上じょう、院内いんないに政党せいとう勢力せいりょくを作つくることはなく、政党せいとうに参加さんかした議員ぎいんは不文ふぶん律りつとして貴族きぞく院いん議員ぎいんを辞職じしょくすることになっていた。したがって、公式こうしきには貴族きぞく院いん議員ぎいんはほとんどが無所属むしょぞくである（政党せいとうの党籍とうせきを有ゆうしたまま、貴族きぞく院いんでは無所属むしょぞくとして活動かつどうした例れいはあり、加藤かとう高明こうめいら政党せいとう内ない閣かくの首班しゅはんになった者ものもいる）。ただし、議会ぎかい活動かつどうの上うえでの親睦しんぼくや情報じょうほう交換こうかんを目的もくてきとする院内いんない会派かいはは設置せっちされた。

大正たいしょう末すえ年ねんから昭和しょうわ初期しょきにかけての政党せいとう政治せいじの成熟せいじゅく期きには、これらの会派かいはの一部いちぶが衆議院しゅうぎいんにおける政党せいとうと結むすび、政党せいとう色しょくを強つよめることもあった。もっとも、貴族きぞく院いん議員ぎいんの性質せいしつ上じょう、再選さいせんを目指めざす必要ひつようがない議員ぎいんも多おおく、大半たいはんの場合ばあい、院内いんない会派かいはの拘束こうそく力りょくは弱よわかった。具体ぐたい的てきには、大半たいはんの会派かいはにおいて、不偏不党ふへんふとうと「一人ひとり一いち党とう」主義しゅぎを謳うたい、党議とうぎ拘束こうそくを行おこなわなかった。そのため、衆議院しゅうぎいんにおける政党せいとうとは明あきらかな差異さいが認みとめられる。

第だい1回かいから第だい42回かいまでの帝国ていこく議会ぎかいまで貴族きぞく院いん各かく会派かいはは所属しょぞく議員ぎいんを明あきらかにしなかったため、構成こうせいについては明あきらかにすることは出来できない。

以下いか、主おもな院内いんない会派かいは一覧いちらん。

貴族きぞく院いん 院内いんない会派かいは	備考びこう
火曜かよう会かい	公爵こうしゃく議員ぎいんと侯爵こうしゃく議員ぎいんによる会派かいは。少数しょうすう派はだったが、終身しゅうしん議員ぎいんのみで構成こうせいされているのが強つよみで、一枚岩いちまいいわの安定あんていした影響えいきょう力りょくを保持ほじした。徳川とくがわ家達いえさと（第だい4代だい議長ぎちょう）、近衛このえ文麿ふみまろ（第だい5代だい議長ぎちょう）、徳川とくがわ圀順（第だい7代だい議長ぎちょう）、徳川とくがわ家正いえまさ（第だい8代だい議長ぎちょう）なども所属しょぞくしたが、慣例かんれいとして議長ぎちょう在任ざいにん時じは無む会派かいはとなった。
研究けんきゅう会かい	長ながらく貴族きぞく院いん院内いんない会派かいはとして最大さいだい勢力せいりょくであった。1890年ねん（明治めいじ23年ねん）に子爵ししゃく議員ぎいんの政務せいむ研究けんきゅう会かいとして創設そうせつされた。会かいは選挙せんきょで選出せんしゅつされた常務じょうむ委員いいん9人にんにより指導しどうされ、会員かいいんの議員ぎいんはその決定けっていに従したがう投票とうひょう行動こうどうを強つよく要求ようきゅうされた。また会員かいいん外がいの議員ぎいんが提出ていしゅつした法案ほうあんへの賛成さんせいも会かいの許可きょかを得えなければならないとされていた。そのため強力きょうりょくな団結だんけつ力りょくを誇ほこり、政府せいふにその存在そんざいを印象いんしょう付つけた。ただし1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）に決議けつぎ拘束こうそく主義しゅぎを緩ゆるめる新しん規則きそくが制定せいていされた後のちは、団結だんけつ力りょくが弱よわまり、会かい内ないの民政みんせい系けいと中立ちゅうりつ派はが独自どくじに行動こうどうするようになった。子爵ししゃく議員ぎいんの選挙せんきょ母体ぼたいとして尚なお友とも会かいを有ゆうした。
公正こうせい会かい	1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）に男爵だんしゃく議員ぎいんを中心ちゅうしんに結成けっせい。
茶話ちゃばなし会かい	平田東ひらたひがし助すけらが中心ちゅうしんとなって結成けっせいした官僚かんりょう系けい勅みことのり選せん議員ぎいんの会派かいは。山縣やまがた有朋ありともの系統けいとうにつながる議員ぎいんを結集けっしゅうし、貴族きぞく院いんにおける官僚かんりょう派は・反はん政党せいとう主義しゅぎの牙城がじょうとなった。
交友こうゆう倶楽部くらぶ	原はら敬たかしらの画策かくさくにより結成けっせいされた官僚かんりょう系けい勅みことのり選せん議員ぎいんの会派かいは。伊藤いとう博文ひろぶみや西園寺さいおんじ公望きんもちの系統けいとうにつながる、政党せいとう政治せいじに理解りかいのある議員ぎいんを結集けっしゅうし、実質じっしつ的てきに貴族きぞく院いんにおける政友せいゆう会かいの別働隊べつどうたいとなった。
同どう成なり会かい	土曜会どようかいの後継こうけい会派かいはで官僚かんりょう系けい勅みことのり選せん議員ぎいんが中心ちゅうしんとなった。親おや民政みんせい党とう議員ぎいんが多おおく、貴族きぞく院いんにおける民政みんせい党とうの別働隊べつどうたいとして活動かつどうした。
三さん曜会	貴族きぞく院いん議長ぎちょうの近衛このえ篤麿あつまろも所属しょぞくした。
同和どうわ会かい	茶話ちゃばなし会かいの後継こうけい会派かいはで旧きゅう茶話ちゃばなし会かいと無所属むしょぞく議員ぎいんを中心ちゅうしんとして結成けっせいされた。反はん研究けんきゅう会かい・反はん政友せいゆう会かい色しょくが近ちかく、同どう成なり会かいとともに貴族きぞく院いんにおける民政みんせい党とうの別働隊べつどうたいとして活動かつどうした。
無所属むしょぞく倶楽部くらぶ	1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）4月がつ30日にちに発足ほっそく。広田ひろた弘毅こうきや後藤ごとう文夫ふみおといった勅みことのり選せん議員ぎいんが中心ちゅうしんとなって結成けっせい。後のちに東郷とうごう茂徳しげのりや小林こばやし一三かずみなども加入かにゅうしている。

1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）7月がつにおける各かく会派かいはの所属しょぞく者しゃ数すうは次つぎのとおり。

研究けんきゅう会かい	143
公正こうせい会かい	65
茶話ちゃばなし会かい	48
交友こうゆう倶楽部くらぶ	44
同どう成なり会かい	30
無む会派かいは	67
計けい	397

1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）に新しん体制たいせい運動うんどうにより衆議院しゅうぎいんの既成きせい政党せいとうが解消かいしょうされ無党派むとうは時代じだいをむかえた。更さらに10月がつに公事こうじ結社けっしゃとして大政たいせい翼賛よくさん会かいが結成けっせいされると、貴族きぞく院いんでも会派かいは存続そんぞくが問題もんだいとなった。しかし院内いんない会派かいはは政党せいとうではないことを根拠こんきょに解消かいしょうされることなく、貴族きぞく院いんの会派かいはは憲法けんぽう改正かいせいによる貴族きぞく院いんの廃止はいしまで存続そんぞくした。大政たいせい翼賛よくさん会かいへの参加さんかは任意にんいとなったため、当時とうじの二に大会たいかい派はである研究けんきゅう会かいと公正こうせい会かいからは多おおくの参加さんかが見みられたものの、同どう成なり会かいなどでは2割わりほどの参加さんかに留とどまった。その後ご、1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）5月がつ20日はつかに結成けっせいされた翼賛よくさん政治せいじ会かいへの参加さんか状じょう況きょうは、衆議院しゅうぎいん議員ぎいんが95%以上いじょうだったのに対たいして、貴族きぞく院いん議員ぎいんは8割わりほどだった。

1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）3月がつ、最後さいごの帝国ていこく議会ぎかい終了しゅうりょう時じにおける各かく会派かいはの所属しょぞく者しゃ数すうは次つぎのとおり。

研究けんきゅう会かい	142
公正こうせい会かい	64
交友こうゆう倶楽部くらぶ	41*
同どう成なり会かい	33
火曜かよう会かい	32
同和どうわ会かい	30
無所属むしょぞく倶楽部くらぶ	22
無む会派かいは	8
計けい	373

（^*ただし4月がつに交友こうゆう倶楽部くらぶ所属しょぞく議員ぎいん1名めいが死去しきょ）

貴族きぞく院いんに替かわって上院じょういんの役割やくわりを担にない第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごの国会こっかいを構成こうせいした参議院さんぎいんには、終身しゅうしん任期にんきではなく6年ねん任期にんきの公選こうせんによる議員ぎいんで構成こうせいされることになり、当初とうしょ旧きゅう貴族きぞく院いん議員ぎいんの多数たすうが転身てんしんして立候補りっこうほし当選とうせんしているが、彼かれらはやはり「不偏不党ふへんふとうを謳うたった院内いんない会派かいは」である『緑風りょくふう会かい』を構成こうせい、一時いちじは参議院さんぎいん最大さいだい会派かいはとして国政こくせいに大おおきな影響えいきょう力りょくを持もった。しかしやがて所属しょぞく議員ぎいんの多数たすうは、55年ねん体制たいせいの下したで政権せいけん与党よとうとして戦後せんご日本にっぽんの政治せいじを担になっていた自由民主党じゆうみんしゅとうなどの保守ほしゅ政党せいとうに吸収きゅうしゅうされていった。

内閣ないかく総理そうり大臣だいじんの輩出はいしゅつ

日本国にっぽんこく憲法けんぽうとは異ことなり、大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうには行政府ぎょうせいふの長ちょうたる内閣ないかく総理そうり大臣だいじんに関かんする規定きていはなく（あくまで内閣ないかく官制かんせいによる）、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんは帝国ていこく議会ぎかい議員ぎいん（衆議院しゅうぎいん議員ぎいんまたは貴族きぞく院いん議員ぎいん）である必要ひつようはなかった。現役げんえきの衆議院しゅうぎいん議員ぎいんで首相しゅしょうに在任ざいにんしたのは原はら敬たかしが最初さいしょであり、旧きゅう憲法けんぽう下かの33名めいの首相しゅしょうの中なかでは、濱口はまぐち雄幸ゆうこう、犬いぬ養やしなえ毅あつしを併あわせた3名めいに留とどまっている。

一方いっぽうで、現役げんえきの貴族きぞく院いん議員ぎいんの首相しゅしょうは伊藤いとう博文ひろぶみを始はじめ、松方まつかた正義まさよし、大隈おおくま重信しげのぶ、桂かつら太郎たろう、西園寺さいおんじ公望きんもち（貴族きぞく院いん副ふく議長ぎちょう歴任れきにん）、高橋たかはし是清これきよ、清浦きようら奎吾、加藤かとう高明こうめい、若槻わかつき禮次郎れいじろう、田中たなか義一ぎいち、近衛このえ文麿ふみまろ（伊藤いとう博文ひろぶみと並ならんで、首相しゅしょう経験けいけん者しゃかつ貴族きぞく院いん議長ぎちょう歴任れきにん者しゃ）、東ひがし久邇くに宮みや稔彦としひこ王おう、幣ぬさ原はら喜重郎きじゅうろう、吉田よしだ茂しげるなどかなりの数かずに上のぼった。なお、日本国にっぽんこく憲法けんぽう下したでの内閣ないかく総理そうり大臣だいじんは2022年ねん（令れい和わ4年ねん）現在げんざい、全員ぜんいんが衆議院しゅうぎいん議員ぎいんである。

議事ぎじ録ろく

貴族きぞく院いんの本ほん会議かいぎでは第だい1回かいから速記そっき録ろくの「貴族きぞく院いん議事ぎじ速記そっき録ろく」、要領ようりょう筆記ひっきの「貴族きぞく院いん議事ぎじ録ろく」が作成さくせいされた。公式こうしき記録きろくは議長ぎちょうが署名しょめいを行おこなう議事ぎじ録ろくとされ速記そっき録ろくに優先ゆうせんして扱あつかわれた。

委員いいん会かいでも本ほん会議かいぎと同おなじく「貴族きぞく院いん委員いいん会議かいぎ事ごと速記そっき録ろく」と「貴族きぞく院いん委員いいん会議かいぎ事ごと録ろく」が作成さくせいされた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 百瀬ももせ孝たかし『事典じてん 昭和しょうわ戦せん前期ぜんきの日本にっぽん…制度せいどと実態じったい』伊藤いとう隆たかし監修かんしゅう（初版しょはん）、吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1990年ねん。ISBN 9784642036191。 
• 衆議院しゅうぎいん、参議院さんぎいん 編へん『議会ぎかい制度せいど百ひゃく年ねん史し 貴族きぞく院いん・参議院さんぎいん議員ぎいん名鑑めいかん』大蔵省おおくらしょう印刷いんさつ局きょく、1990年ねん11月。NDLJP:9673684。 
• 大山おおやま英久ひでひさ「帝国ていこく議会ぎかいの運営うんえいと会議かいぎ録ろくをめぐって（PDF：501KB）」（PDF）『レファレンス』第だい652号ごう、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん、2005年ねん5月がつ、ISSN 1349-208X、2020年ねん10月がつ23日にち閲覧えつらん。 
• 内藤ないとう一成いっせい『貴族きぞく院いん』同どう成なり社しゃ〈同どう成なり社しゃ近きん現代げんだい史し叢書そうしょ〉、2008年ねん（平成へいせい20年ねん）。ISBN 978-4886214188。 
• 小田部おたべ雄次ゆうじ『華族かぞく 近代きんだい日本にっぽん貴族きぞくの虚像きょぞうと実像じつぞう』中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ〈中公新書ちゅうこうしんしょ1836〉、2006年ねん（平成へいせい18年ねん）。ISBN 978-4121018366。 

関連かんれん項目こうもく

• 憲法けんぽう改正かいせい論議ろんぎ
• 参議院さんぎいん改革かいかく論ろん
• 参議院さんぎいん不要ふよう論ろん
• 守衛しゅえい (帝国ていこく議会ぎかい)

外部がいぶリンク

• 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん 憲政けんせい資料しりょう室しつ 貴族きぞく院いん五ご十じゅう年ねん史し編纂へんさん会かい収集しゅうしゅう文書ぶんしょ
• 『貴族きぞく院いん規則きそく』（1890年ねん（明治めいじ23年ねん）12月2日にち）　官報かんぽう（官報かんぽう（NDL））
• 貴族きぞく院いん－使命しめいをおわる - NHK放送ほうそう史し