箱根峠はこねとうげ

箱根峠はこねとうげ
箱根はこね駒ヶ岳こまがだけ山頂さんちょうより見みた芦ノ湖あしのこと箱根峠はこねとうげ
所在地しょざいち	神奈川かながわ県けん足柄下あしがらしも郡ぐん箱根はこね町まち 静岡しずおか県けん田方たがた郡ぐん函南かんなみ町まち
座標ざひょう	北緯ほくい35度ど10分ふん55秒びょう 東経とうけい139度ど00分ふん50秒びょう
標高ひょうこう	846 m
山系さんけい	箱根山はこねやま外輪山がいりんざん
通過つうか路ろ	国道こくどう1号ごう 東海道とうかいどう
箱根峠はこねとうげ (神奈川かながわ県けん) 箱根峠はこねとうげ (静岡しずおか県けん)
プロジェクト 地形ちけい

箱根峠はこねとうげ

足柄峠あしがらとうげ

小田原おだわら

三島みしま

熱海あたみ

長尾峠ながおとうげ

乙女峠おとめとうげ

湖尻峠こじりとうげ

熱海峠あたみとうげ

箱根はこね火山かざんにおける
箱根峠はこねとうげなどの位置いち関係かんけい

箱根峠はこねとうげ（はこねとうげ）は、神奈川かながわ県けん足柄下あしがらしも郡ぐん箱根はこね町まちと静岡しずおか県けん田方たがた郡ぐん函南かんなみ町まちの境さかいに位置いちする峠とうげ。箱根山はこねやまの外輪山がいりんざんを越こえ、標高ひょうこうは846m。

概要がいよう

箱根峠はこねとうげの山道さんどうが、足柄峠あしがらとうげを越こえる足柄あしがら路ろに代かわり、東西とうざい交通こうつうの主要しゅようとなってくるのは鎌倉かまくら時代ときよ以降いこうである。道路どうろの東海道とうかいどうである国道こくどう1号ごうは箱根峠はこねとうげを経由けいゆする路線ろせんになっており、小田原おだわらから箱根峠はこねとうげまでは箱根はこね新道しんどうが建設けんせつされている。

地形ちけいが急峻きゅうしゅんなため、鉄道てつどう路線ろせんは箱根峠はこねとうげを避さけて建設けんせつされ、まず御殿場ごてんば経由けいゆ（現在げんざいの御殿場ごてんば線せん）、次ついで熱海あたみ経由けいゆで東海道本線とうかいどうほんせんが開通かいつう、東海道新幹線とうかいどうしんかんせんも熱海あたみ経由けいゆとなった。道路どうろ交通こうつうにおいても、東名高速道路とうめいこうそくどうろは御殿場ごてんばを経由けいゆし、東名とうめい高速こうそくに並行へいこうする国道こくどう246号ごうも4車線しゃせん化かが進すすみ、大型おおがた車両しゃりょうはほとんどがこれらのルートを利用りようしていることから、近年きんねんは箱根峠はこねとうげの主要しゅよう交通こうつう路ろとしての重要じゅうよう性せいは薄うすらいでいる。

唱歌しょうか『箱根はこね八はち里り』では「箱根はこねの山やまは天下てんかの険けん 函はこ谷たに関せきも物ものならず」と詠うたわれた。冬季とうきは路面ろめん凍結とうけつに注意ちゅういを要ようする。

歴史れきし

律令りつりょう時代じだい

律令りつりょう時代じだいの当初とうしょの東海道とうかいどうは箱根峠はこねとうげ（箱根はこね路ろ）ではなく、その北方ほっぽうの足柄峠あしがらとうげを経由けいゆした（足柄あしがら路ろ）。当時とうじ、足柄峠あしがらとうげには足柄あしがら関せきが設置せっちされていた。相模さがみ国こく（南足柄みなみあしがら市し）駿河するが国こく（小山おやま町まち）との境さかいに当あたる。

しかし、富士山ふじさんの延のべ暦れき噴火ふんか（800年ねん - 802年ねん）の際さい、降灰こうかい状況じょうきょうなどの判断はんだんに基もとづき、足柄あしがら路ろの使用しようを1年間ねんかん止とめ、箱根はこね路ろを整備せいびして使つかった（『日本にっぽん後ご紀き』の記述きじゅつによる）。足柄あしがら路ろ再開さいかい後ごは、箱根はこね路ろは再ふたたび支ささえ道どうとなった。箱根はこね路ろは急きゅう勾配こうばいだが短距離たんきょりだった。

鎌倉かまくら時代じだいから天正てんしょう時代じだいまで

東海とうかい（駿府すんぷ、浜松はままつなど）や関東かんとう（鎌倉かまくら、小田原おだわらなど）に本拠地ほんきょちを置おく戦国せんごく武将ぶしょうは、箱根峠はこねとうげと足柄峠あしがらとうげを防衛ぼうえいの要衝ようしょうとしていた。鎌倉かまくら時代じだい以後いごの「関東かんとう」の定義ていぎは、「東海道とうかいどうの箱根峠はこねとうげ、足柄峠あしがらとうげから東ひがしの地ち」となり、この定義ていぎが第だい二に次じ大戦たいせん後ごの「関東かんとう地方ちほう」の基もとになっている。

戦国せんごく時代じだいには、箱根はこねを介かいして武田たけだ氏し・後こう北条ほうじょう氏し・今川いまがわ氏しが「甲かぶと相しょう駿しゅん三さん国こく同盟どうめい」を結むすんでいた。

江戸えど時代じだい

江戸えど時代じだいになると、徳川とくがわ幕府ばくふの五ご街道かいどう整備せいびにおいて、距離きょりの短みじかい箱根峠はこねとうげルートが重視じゅうしされた。芦ノ湖あしのこ畔ほとりには箱根はこね関所せきしょが設もうけられ、幕府ばくふ防衛ぼうえいのための関せきと位置付いちづけられた。（しかし関所せきしょとして取締とりしまりが厳重げんじゅうで厳いかめしかったのは新居しんきょ関所せきしょで、箱根はこねの関せきは、比較的ひかくてき緩ゆるやかだった。）関せきの守備しゅびは小田原おだわら藩はんが担当たんとうした。

幕末ばくまつには、佐幕さばく派はの遊ゆう撃げき隊たいと明治めいじ政府せいふに恭順きょうじゅんしていた小田原おだわら藩はん兵へいとの間あいだに関所せきしょをめぐり激はげしい戦闘せんとうが行おこなわれ、関せきの大だい部分ぶぶんが戦火せんかで焼失しょうしつした。

明治維新めいじいしん以後いご

1869年ねん（明治めいじ2年ねん）に箱根はこね関せきは廃止はいしされ、自由じゆうに往来おうらいすることが可能かのうになった。その後ご、関所せきしょ跡あとは史跡しせきとして親したしまれ、第だい二に次じ大戦たいせん後ごには観光かんこう施設しせつとして整備せいびされた。

1995年ねん5月30日にちには、「道みちの駅えき箱根峠はこねとうげ」が開所かいしょした。

2007年ねん（平成へいせい19年ねん）にはそれ迄までの文献ぶんけんや発掘はっくつ作業さぎょうなどを基もとに、箱根はこね関所せきしょがほぼ完全かんぜんなかたちで復元ふくげんされた。

交通こうつう

国道こくどう1号ごうの箱根峠はこねとうげ交差点こうさてん付近ふきん

峠とうげ付近ふきんでは、様々さまざまな道路どうろが交差こうさしている。

• 国道こくどう1号ごう：箱根峠はこねとうげの標識ひょうしきが設置せっちされている。なお、国道こくどう1号ごうの最高さいこう地点ちてんはここから約やく6.5km東京とうきょう寄よりの芦之湯あしのゆ温泉おんせん付近ふきんにある（標高ひょうこう874m）。
  • 箱根はこね新道しんどう：峠とうげ付近ふきんに箱根峠はこねとうげIC（終点しゅうてん）がある。
• 静岡しずおか県けん道どう20号ごう熱海あたみ箱根峠はこねとうげ線せん
• 芦ノ湖あしのこスカイライン
• 公共こうきょう交通こうつう機関きかんでは、東海とうかいバスの元箱根もとはこね港こう-三島みしま駅えき線せん、伊豆いず箱根はこねバス（元箱根もとはこね（土曜どよう休日きゅうじつは関所せきしょ跡あと）→湯河原ゆがわら駅えき）が通とおり、峠とうげ付近ふきんに「箱根峠はこねとうげ」停留所ていりゅうじょがある（伊豆いず箱根はこねバスは片方向かたほうこうのみ経由けいゆ）。

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの峠とうげ一覧いちらん

箱根峠はこねとうげ関連かんれん

• 箱根山はこねやま
• 箱根はこね関せき
• 箱根はこね町まち
• 道みちの駅えき箱根峠はこねとうげ

東海道とうかいどう（江戸えど以北いほくも含ふくめる）における「境界きょうかい地帯ちたい」

• 逢坂おうさか関せき：大化たいかの改新かいしん以来いらいの畿内きないの東ひがし端はしであり、平安へいあん時代じだい以降いこうは京都きょうとの東ひがし端はしと理解りかいされ、言いわば「京都きょうとの東門ひがしもん」となる関せきであった。
• 鈴鹿峠すずかとうげ：鈴鹿山脈すずかさんみゃくを越こえる峠とうげで、箱根峠はこねとうげと並ならぶ難所なんしょであった。この鈴鹿峠すずかとうげより北西ほくせいが琵琶湖びわこ・若狭湾わかさわん交流こうりゅう圏けんであり、南東なんとうが紀伊きい半島はんとう交流こうりゅう圏けんである。
• 桶おけ狭間はざま：尾張おわり国こくと西にし三さん河かわ地方ちほうの境さかいに位置いちしており、戦国せんごく時代じだいには、桶おけ狭間はざま以西いせいが織田おだ信長のぶながや豊臣とよとみ秀吉ひでよしの統治とうち下かだった畿内きない（＝近畿きんき地方ちほう）であり、桶おけ狭間はざま以東いとうが今川いまがわ義元よしもとや徳川とくがわ家康いえやすの統治とうち下かだった海道かいどう（＝東海とうかい地方ちほう）であった。この為ため、現在げんざいでも、桶おけ狭間はざま以西いせいは伊勢いせ・奈良なら・京都きょうとへの志向しこうが強つよい地域ちいきである。
• 七なな里さとの渡わたし：濃尾平野のうびへいやの低てい湿地しっちを避さけるため、徳川とくがわ時代じだいに海上かいじょうルートが選択せんたくされた唯一ゆいいつの部分ぶぶん。現在げんざいは陸りく化かされているが、日本語にほんごの方言ほうげんのアクセントの重要じゅうような境界きょうかいとなっており、七なな里さとの渡わたしを境さかいに西にしが近畿きんき方言ほうげん、東ひがしが濃こ尾お方言ほうげんになっている。
• 浜名湖はまなこ：南端なんたん部ぶが決潰けっかいしている為ため、交通こうつう上じょうのボトルネックであり、徳川とくがわ幕府ばくふは新居しんきょ関所せきしょを置おいて重視じゅうしした。京都きょうとと東京とうきょうの双方そうほうから概おおむね等距離とうきょりに位置いちしており、現在げんざいでも浜名湖はまなこ近辺きんぺんが京都きょうと系けい商圏しょうけんと東京とうきょう系けい商圏しょうけんの境さかいになっている。
• 小夜さよの中山なかやま：牧之原まきのはら台地だいちを通とおる小ちいさな峠とうげだが、難所なんしょとされた。江戸えど時代じだい末すえには、京都きょうとと江戸えどの文化ぶんか的てき境界きょうかいとされている。
• 宇津ノ谷峠うつのやとうげと薩埵峠とうげ：日本にっぽんアルプスの尾根おねが太平洋たいへいように没ぼっする地域ちいきで、日本海にほんかい側がわの親しん不知ふち・子こ不知ふちに対応たいおうするが、その間あいだに今川いまがわ義元よしもとや徳川とくがわ家康いえやすの城下町じょうかまちである駿府すんぷ（戊辰戦争ぼしんせんそう後ごの静岡しずおか）が存在そんざいする。
• 足柄峠あしがらとうげ：箱根峠はこねとうげと並ならぶ、もう一ひとつの駿河するが国こくと相模さがみ国こくの境さかいとなる峠とうげである。
• 勿来なこそ関せき：律令りつりょう時代じだいの東海道とうかいどうにおける境界きょうかいの一ひとつ。常陸ひたち国こく（現在げんざいの茨城いばらき県けん）と石城せきじょう国こく（現在げんざいの福島ふくしま県けん浜はま通どおり。旧きゅう磐いわ前ぜん県けん）の境界きょうかいであった。