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オオムギ - Wikipedia

オオムギ

イネイネ植物しょくぶつ
大麦おおむぎから転送てんそう

オオムギ大麦おおむぎ学名がくめい Hordeum vulgare)は、イネ穀物こくもつ中央ちゅうおうアジア原産げんさんで、世界せかいでもっともふるくから栽培さいばいされていた作物さくもつひとつである。小麦こむぎよりも低温ていおん乾燥かんそうつよいため、ライ麦らいむぎとも小麦こむぎ生産せいさん困難こんなん地方ちほうにおいておお栽培さいばいされる。

オオムギ
オオムギ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : たん子葉しようるい Monocots
階級かいきゅうなし : ツユクサるい Commelinids
: イネ Poales
: イネ Poaceae
ぞく : オオムギぞく Hordeum
たね : オオムギ H. vulgare
学名がくめい
Hordeum vulgare L.
和名わみょう
オオムギ(大麦おおむぎ
英名えいめい
Barley
Pearl barley
オオムギ(pearled, cooked)
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 531 kJ (127 kcal)
26.31 g
糖類とうるい trace g
食物しょくもつ繊維せんい 1.98 g
0.6 g
2.70 g
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
出典しゅってん: USDA栄養えいようデータベース英語えいご
じょうオオムギとろくじょうオオムギ
オオムギとカラスムギ、およびそれらを原材料げんざいりょうとする食品しょくひん

名称めいしょう

編集へんしゅう

「オオムギ」はかんめいの「大麦おおむぎ(だいばく)」を訓読くんよしたものである。「だい」は、小麦こむぎ(コムギ)にたいするこくつぶくさ姿すがた大小だいしょうではなく、だい本物ほんもの品質ひんしついもの・用途ようと範囲はんいひろいもの、しょうだい用品ようひん品格ひんかくおとるものという意味いみ接辞せつじによるものである。大豆だいず(ダイズ)、小豆あずき(アズキ、ショウズ)、大麻たいま(タイマ)のだいしょう同様どうようである。伝来でんらい当時とうじ漢字かんじけんでは、比較的ひかくてき容易よういからフスマそう種皮しゅひ胚芽はいがなど)を除去じょきょつぶのままめしかゆとしてべることができたオオムギを上質じょうしつかんがえたことを反映はんえいしている。

また、オオムギをはじめ、コムギエンバクライムギハトムギなど、姿すがた類似るいじした一連いちれん穀物こくもつを、ひがしアジアでは総称そうしょうしてムギぶ。こうした総称そうしょうヨーロッパには存在そんざいせず、barley(大麦おおむぎ)、wheat(小麦こむぎ)、oat(燕麦えんばく)、rye(ライ麦らいむぎ)のようにそれぞれの固有こゆうめいぶのみである。

品種ひんしゅ

編集へんしゅう

形状けいじょうちがいから、おもじょうオオムギ(じょう大麦おおむぎH. vulgare f. distichonえい: two-rowed barley))、四条しじょうオオムギ(四条しじょう大麦おおむぎH. vulgare subsp. vulgareえい: barley)、六条ろくじょうオオムギ(ろくじょう大麦おおむぎH. vulgare f. hexastichonえい: six-rowed barley)、ハダカムギはだかオオムギ、裸麦はだかむぎHordeum vulgare var. nudum Hook. f.えい: Hulless barley, naked barley)、野生やせいオオムギ(H. vulgare subsp. spontaneumえい: wild barley)にかれる(ただし、四条しじょうオオムギ、野生やせいオオムギについては品種ひんしゅではなく亜種あしゅ)。この「じょう」というのはなんれつじょう)あるかということではない。オオムギの基本きほんてきにすべて6れつである。じょうろくじょうは、みのなんれつあるかのちがいであり、んでのごとく2れつみのるのがじょうオオムギ、6れつすべてがみのるのがろくじょうオオムギである[1]みのるのが2れつだけであるぶん、二条にじょうオオムギの種子しゅしおおきく、大粒おおつぶオオムギともばれる。これにたいろくじょうオオムギはすべてのれつ種子しゅしみのるため種子しゅしちいさく、小粒こつぶオオムギともばれる。ただしすべてのれつ種子しゅしみのるため、全体ぜんたい収量しゅうりょうとしてはろくじょうオオムギのほうがおおい。

じょうオオムギはおもビール生産せいさんよう栽培さいばいされ、ヨーロッパで栽培さいばいされるオオムギのおおくはじょうしゅである。これは、二条にじょうたね種子しゅしいちつぶいちつぶおおきく、しかもおおきさがよくそろっているので、醸造じょうぞう管理かんりがしやすいからである。それにたいろくじょうオオムギは収量しゅうりょうおおく、オオムギを穀物こくもつとしてべる地域ちいきにおいてはろくじょうしゅおも栽培さいばいする。二条にじょうたねろくじょうしゅ進化しんかについては、なが議論ぎろん歴史れきしがある。かつてはろくじょうしゅじょうしゅから分化ぶんかしてできたとかんがえられてきたが、チベット高原こうげんにおいて野生やせいろくじょうしゅ発見はっけんされたため、一時いちじじょうしゅろくじょうしゅ別々べつべつ栽培さいばいされたとのせつ有力ゆうりょくとなった。その遺伝子いでんし情報じょうほう解析かいせきによって、現在げんざいではじょう栽培さいばいしゅ変異へんいによってろくじょうしゅ成立せいりつしたとかんがえられている[2]二条にじょうたねはチベットよりひがしには到達とうたつせず、このため中国ちゅうごく日本にっぽんなどひがしアジアの在来ざいらいのオオムギはすべてろくじょうしゅである。これら諸国しょこくにおけるじょうしゅのオオムギは、近代きんだいになってヨーロッパなどから導入どうにゅうされたものである。

二条にじょうたねろくじょうしゅかわのりじょうのもので固着こちゃくしており、はがすのがむずかしい。この固着こちゃくはオオムギだけの特質とくしつであり、コムギなどのほかのムギでも、コメなどほかの穀物こくもつにおいてもこういったことはない。かわをはがすのがむずかしいため、これらはかわむぎ(カワムギ)ともばれる。それにたいし、六条ろくじょうしゅ突然変異とつぜんへんいのりじょうのものが存在そんざいしないものがまれ、むだけでかわ簡単かんたんにはがれる品種ひんしゅまれた。これがハダカムギである。ハダカムギは食用しょくようにするのがより簡単かんたんであるため、チベットや日本にっぽんといったオオムギを重要じゅうようする国々くにぐににおいておお栽培さいばいされるようになった。その六条ろくじょうハダカムギとじょうしゅ交雑こうざつによりじょうハダカムギもまれたが、二条にじょうハダカムギは品種ひんしゅ非常ひじょうすくなく、一般いっぱんてきにハダカムギといえば生産せいさんのほとんどをめるろくじょうハダカムギを[3]

また、上記じょうき品種ひんしゅはすべてうるちせいであるが、日本にっぽんふくひがしアジアにはもちせいのオオムギも存在そんざいする[4]。もちむぎ日本にっぽんではもちまい代替だいたいとして西日本にしにほん中心ちゅうしん栽培さいばいされ、団子だんごなどがこれでつくられた[5]

とく日本にっぽん生産せいさんされるのはじょうオオムギ、六条ろくじょうオオムギ、ハダカムギがおおい。二条にじょうオオムギは明治めいじ時代じだい以後いごヨーロッパより導入どうにゅうされ、ビールなどの醸造じょうぞうよう需要じゅようおおくビールムギともばれる。これにたいし、六条ろくじょうオオムギとハダカムギは古来こらいより日本にっぽん栽培さいばいされてきた品種ひんしゅである。六条ろくじょうオオムギはむぎむぎなどにしてべいぜるなど雑穀ざっこくとしての使用しようおおく、また麦茶むぎちゃ原料げんりょうともなる。ハダカムギも同様どうよう使用しようすることはできるが、味噌みそ製造せいぞう使用しようされることがおおい。栽培さいばいは、さむさにつよろくじょうオオムギが東日本ひがしにっぽんおも栽培さいばいされ、さむさによわじょうオオムギやハダカムギは西日本にしにほんおも栽培さいばいされる。日本にっぽん農産物のうさんぶつ分類ぶんるいにおいては、むぎるいハトムギエンバク、ライムギといったものはふくまず、日本にっぽんでの生産せいさんりょうおおいコムギ、二条にじょうオオムギ、六条ろくじょうオオムギ、ハダカムギをあわせて4むぎという[6]

栽培さいばい

編集へんしゅう

大麦おおむぎは、本来ほんらいは、後述こうじゅつのようにふゆ比較的ひかくてき降水こうすいりょうおお地域ちいき原産げんさんとする作物さくもつであり、あき発芽はつがしてふゆし、はるおおきく生長せいちょうし、初夏しょか結実けつじつしてれる、いわゆる冬草ふゆくさ一種いっしゅにあたる。そのため、たねあきき、なえ状態じょうたいふゆしさせ、はる出穂しゅつほ開花かいか)・結実けつじつさせて初夏しょか収穫しゅうかくする(あきき)。しかし、はる積算せきさん温度おんどりない寒冷かんれいけの品種ひんしゅとして、発芽はつが低温ていおん必要ひつようとせず、たねはるにまいて、盛夏せいか収穫しゅうかく可能かのうはる品種ひんしゅ開発かいはつされ、日本にっぽんでは、北海道ほっかいどうおも栽培さいばいされている[7]世界せかいてきには、ロシアやカナダといった北方ほっぽう寒冷かんれい地域ちいきでははるきが中心ちゅうしんとなっている。この2こくはオオムギのだい生産せいさんこくであるため、世界せかいてきなオオムギ生産せいさんりょうとしてははる品種ひんしゅのほうがおおくなっている[8]。これにたいして本州ほんしゅう以南いなんとく関東かんとうから九州きゅうしゅうにかけての地方ちほうでは、なつくさ性質せいしついね裏作うらさくとしてあき品種ひんしゅ栽培さいばい拡大かくだいした。この場合ばあいいね収穫しゅうかくわったあき播種はしゅし、田植たうまえ初夏しょか収穫しゅうかくすることになる。むぎみの初夏しょか麦畑むぎばたけは、あわ茶色ちゃいろまってあき稲田いなだ光景こうけいとなるため、むぎ結実けつじつのことを、麦秋ばくしゅうぶ。東日本ひがしにっぽん西日本にしにほんでは、梅雨つゆはい直前ちょくぜんの、5がつ下旬げじゅんから6がつ上旬じょうじゅんグレゴリオれき)にあたる。なお、収穫しゅうかく乾燥かんそう状態じょうたい維持いじしていないと、梅雨つゆなどは土壌どじょうになくても穂先ほさきから簡単かんたん芽吹めぶすので注意ちゅうい必要ひつようである。また初夏しょか芽吹めぶいたとしても日本にっぽんなつ気候きこうではうまくそだたない。あききは、世界せかいてきにはドイツやアメリカなどを中心ちゅうしんおこなわれる。

オオムギが食料しょくりょうきょうされるようになったのは紀元前きげんぜん1まん1000ねんごろ栽培さいばいはじまったのは紀元前きげんぜん8500ねんごろとされている[9]

現在げんざい栽培さいばいされている品種ひんしゅは、現在げんざいイラク周辺しゅうへんえているじょうオオムギに野生やせいしゅホルデウム・スポンタネウムHordeum spontaneum) が改良かいりょうされたものともいわれる[10]当初とうしょ調理ちょうりほうは、って麦粉むぎこにしたものをみずかしたり、またはほぼきにしたかゆだったとかんがえられており、やがてそこからオオムギパンの製法せいほう開発かいはつされた。

古代こだいエジプトでも主食しゅしょくパン使つかわれており、ヒエログリフにもえがかれている。このころにはすでにビールの製造せいぞう開始かいしされており、パンとビールはエジプトの食生活しょくせいかつ中心ちゅうしんであった。このビール製造せいぞうはオオムギパン製造せいぞう過程かていで、オオムギをこなにしやすくするため発芽はつがさせたときに偶然ぐうぜん製法せいほう発見はっけんされ製造せいぞうされはじめたとかんがえられており、実際じっさいにこのころのビールは現在げんざいよりもかなりどろっとしたものだった。オオムギのかゆもそのままのこっており、古代こだいギリシアでも重要じゅうよう食料しょくりょうだった。古代こだいローマの時代じだいには市民しみん主食しゅしょくはコムギとなっており、オオムギはおも家畜かちく飼料しりょうようだった。なおオオムギをべると脂肪しぼうやして出血しゅっけつふせぐとかんがえられていたため、けん闘士とうし主食しゅしょくとなっていた。このためけん闘士とうし侮蔑ぶべつてきに「大麦おおむぎい」(ホルデアリウス)とばれていた。ワイン主流しゅりゅうであったローマではビールはまれておらず、北方ほっぽうにいたゲルマンじんたちがさかんに醸造じょうぞうしてんでいた。そのながくヨーロッパでは重要じゅうよう穀物こくもつであったが、グルテンがないためにコムギにくらべて使用しようほう限定げんていされるため、次第しだい主食しゅしょくから転落てんらくし、醸造じょうぞう飼料しりょうよう中心ちゅうしんとなっていった[11]。ヨーロッパにおいては、コムギの普及ふきゅうとともに二義的にぎてき地位ちいへとち、中世ちゅうせい末期まっきにはよりパンにてきしたライムギよりも重要じゅうようせいひくくなった[12]一方いっぽうで、ゲルマン民族みんぞくだい移動いどうによってヨーロッパ北部ほくぶさえたゲルマンじんたちはつづきビールを愛飲あいいんしており、ゲルマンけいのフランク王国おうこくがヨーロッパのかなりの部分ぶぶんさえたことでビール製造せいぞうはヨーロッパ各地かくちろした。このビール醸造じょうぞうよう次第しだいにヨーロッパのオオムギ栽培さいばいおおきな部分ぶぶんめるようになった。

ヨーロッパ以外いがいでも、オオムギは各地かくちひろつたわり、伝来でんらい初期しょき主食しゅしょくとしていた地域ちいきおおかったが、ヨーロッパと同様どうよう理由りゆう徐々じょじょ主食しゅしょくから転落てんらくしていった。中国ちゅうごく大陸たいりくでもオオムギは「麰」とばれ、ふるくはひろ栽培さいばいされたがコムギやコメにされていった。例外れいがいチベット高原こうげんであり、ここではほかの穀物こくもつ気候きこうてき栽培さいばい不可能ふかのうであるためにオオムギはしゅこくとなった。また、エチオピア高原こうげんにおいてもオオムギは重要じゅうよう食料しょくりょうとなったが、こちらではテフ普及ふきゅうとともにやはり地位ちいがっていった。この2地域ちいきはオオムギの品種ひんしゅ非常ひじょうおおく、またここでまれた品種ひんしゅ周辺しゅうへん拡散かくさんしていったものもおおく、オオムギ栽培さいばい中心ちゅうしんとされる。しかし、オオムギはすべての主要しゅよう穀物こくもつなかもっと成長せいちょうはやく、収穫しゅうかくまでにかかる日数にっすうみじかいうえ、乾燥かんそう寒冷かんれいつよく、また湿潤しつじゅんにもある程度ていど適応てきおうできるなど適応てきおうせいたかい。このため、温帯おんたい中心ちゅうしんにユーラシア大陸たいりくのかなりひろ地域ちいき二義的にぎてき栽培さいばいされた。

19世紀せいきはいると、在来ざいらい品種ひんしゅ選抜せんばつ手始てはじめとしてヨーロッパ各地かくち品種ひんしゅ改良かいりょうがおこなわれ、収量しゅうりょうしつのいいしん品種ひんしゅ続々ぞくぞく開発かいはつされるようになった。20世紀せいきはいるとさらに品種ひんしゅ改良かいりょう加速かそくし、病害びょうがいつよいエチオピア高原こうげん在来ざいらいしゅや、湿しめがいつよ日本にっぽん在来ざいらいしゅおなじくくきながさがみじかく、倒伏とうふく危険きけんせいおさえることのできる日本にっぽん在来ざいらいしゅなど世界中せかいじゅう在来ざいらいしゅわされるようになり、オオムギの反収たんしゅう大幅おおはば向上こうじょうした。

日本にっぽん

編集へんしゅう

日本にっぽんにオオムギが伝来でんらいしたのは縄文じょうもん時代じだいのことである[9]。『類聚るいじゅうさんだいかく』には、ひろしひとし11ねん820ねん)の太政官だじょうかんとして「むぎは(べいの)ぜっえたるをぎ、とぼしきをすくうことこくもっときものなり」との記述きじゅつがある[13]

日本にっぽん伝来でんらいしたむぎるい最初さいしょべいおなじようには普及ふきゅうしなかった[9]。しかし、中世ちゅうせいになって農業のうぎょう技術ぎじゅつ発達はったつしたことで二毛作にもうさく普及ふきゅうし、むぎるい納税のうぜい義務ぎむ減免げんめんされたため栽培さいばい面積めんせきひろまった[9]。こうして中世ちゅうせいには麦飯むぎめし雑穀ざっこくめし農民のうみん常食じょうしょくとなった[9]製粉せいふんする必要ひつようのあるコムギにくらべ、オオムギはつぶのままでべるために手間てまがかからず、コムギよりもじゅくすのがはやいためべい裏作うらさくとしててきしていたうえ、不足ふそくしがちなこめおぎなうものとしてもてきしていた。

明治めいじ時代じだいには、コムギの45 - 47まん町歩ちょうぶたいし、オオムギの作付さくづけ面積めんせきは130まん町歩ちょうぶと、3ばいちかくにまでたっしていた。このころまでの日本にっぽんでのオオムギの主要しゅよう用途ようと主食しゅしょくようであり、麦飯むぎめしとしてべいこん炊してとく農村のうそんでは重要じゅうよう主食しゅしょくとされ、べいしょ宮城みやぎけんでもせきへい精麦せいばくのようなむぎ関連かんれん企業きぎょううるおった。しかし農村のうそんでは白米はくまいめし祭礼さいれいさいしての特別とくべつなご馳走ちそうであったこと、農民のうみんにとってべい重要じゅうよう換金かんきん作物さくもつ自家じか消費しょうひおさえられ転売てんばいさき都市とし白米はくまいめし普及ふきゅうしたことなどから、麦飯むぎめし白米はくまいめしたいして農村のうそんてきかくひく洗練せんれんされない食品しょくひんとされた。そのためくさくてまずいとかんがえ、さげすんで貧民ひんみん囚人しゅうじん食事しょくじとみなすものすくなくなかった(ぞくう「刑務所けいむしょくさめし」のいわれである)。その一方いっぽうで、白米はくまいめしへのあこがれによって脚気かっけ近代きんだい日本にっぽん国民こくみんびょうばれるまでに蔓延まんえんした。大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐんではこれへの対策たいさくとしていちはや麦飯むぎめし導入どうにゅう脚気かっけ患者かんじゃ激減げきげんさせたが、「死地しちおもむ兵士へいし白米はくまいべさせてやりたい」というじょうから白米はくまいにこだわった大日本帝国だいにっぽんていこく陸軍りくぐんではにち戦争せんそうおびただしい戦病死せんびょうししゃした(当時とうじはまだビタミンが発見はっけんされるまえであり、麦飯むぎめし根拠こんきょうす伝染病でんせんびょうせつ主流しゅりゅうだった)。また、むぎ配給はいきゅうされていた海軍かいぐんでも一部いちぶ兵士へいしがこっそりむぎてていたために完全かんぜん克服こくふくにはいたらず、脚気かっけなん再燃さいねんしている。また、こうしたことからオオムギの価格かかく社会しゃかいてき評価ひょうかひくく、1950ねん国会こっかい答弁とうべんにおいて大蔵おおくら大臣だいじん池田いけだ勇人はやとが「わたし所得しょとくおうじて、所得しょとくしょうじんむぎおおう、所得しょとくおおひとこめうというような、経済けいざい原則げんそく沿ったほうつてきたいというのが、わたし念願ねんがんであります」と発言はつげんし、これが「貧乏人びんぼうにんむぎえ」と報道ほうどうされて世論せろん強力きょうりょく反発はんぱつけた[14]ことなどは、この状況じょうきょうをよくあらわしたエピソードである。

そのべい収量しゅうりょうえるにれてより用途ようとひろいコムギ栽培さいばいってわられ、オオムギの作付さくづけはっていき、1940ねんには作付さくづけ面積めんせきはコムギが84まん町歩ちょうぶ、オオムギが74まん町歩ちょうぶ逆転ぎゃくてんしていた[15]。また、オオムギのなかでも明治めいじ初期しょきにはろくじょうオオムギの作付さくづけ面積めんせきひろかったが、大正たいしょう時代じだいはいるとハダカムギの栽培さいばい面積めんせきのほうがひろくなった[6]高度こうど経済けいざい成長せいちょうになると二毛作にもうさく経済けいざいてきわなくなったためほとんどおこなわれなくなり、裏作うらさく作物さくもつ中心ちゅうしんてき存在そんざいであったオオムギ、とくに食用しょくようおもとするろくじょうオオムギおよびハダカムギの栽培さいばい激減げきげんした。それにたいし、明治めいじ以降いこうにビール生産せいさんようとして導入どうにゅうされたじょうオオムギの生産せいさん大口おおぐち需要じゅようがあったため、六条ろくじょうオオムギやハダカムギの生産せいさん激減げきげんしたのちもしばらくはさかんに生産せいさんされていたが、1970年代ねんだい以降いこうビール原料げんりょうのムギも輸入ゆにゅうえ、それにつれてじょうオオムギの生産せいさん減少げんしょうした[16]

オオムギは日本にっぽん主食しゅしょくよう主要しゅよう穀物こくもつひとつであったため、政府せいふによる統制とうせいのもとにおかれてきた。1942ねん食糧しょくりょう管理かんりほうはしはっする食糧しょくりょう管理かんり制度せいどのもとで、ハダカムギ・オオムギ(主食しゅしょくようろくじょうオオムギをす)はコムギやコメとおなじく政府せいふ管理かんりかれ、生産せいさんしゃ自家じか保有ほゆうりょう以外いがい公定こうてい価格かかく供出きょうしゅつし、政府せいふ米穀べいこく配給はいきゅう通帳つうちょうもとづき消費しょうひしゃへと配給はいきゅうすることとなった。だい世界せかい大戦たいせん食糧難しょくりょうなん緩和かんわされてくるとともに配給はいきゅうせい廃止はいしされるとともにむぎ統制とうせい緩和かんわされ、1952ねんには最低さいてい価格かかく最高さいこう価格かかく範囲はんいない価格かかく安定あんていさせるかたち間接かんせつ統制とうせいとなった。1994ねん主要しゅよう食糧しょくりょう需給じゅきゅうおよ価格かかく安定あんていかんする法律ほうりつ食糧しょくりょうほう)が公布こうふされたが、ハダカムギ・オオムギはつづ価格かかく統制とうせいのもとにおかれた[17]。その1998ねん策定さくていされた「あらたなむぎ政策せいさく大綱たいこう」をけて、2000ねん国内産こくないさんむぎ民間みんかん流通りゅうつう制度せいど導入どうにゅうされた。この制度せいどによって国内産こくないさんむぎ流通りゅうつう管理かんり実態じったいとして終了しゅうりょうし、生産せいさんしゃ実需じつじゅしゃ直接ちょくせつ取引とりひきおこない、入札にゅうさつによって価格かかく形成けいせいおこなわれるようになった[18]

すべ国内こくない生産せいさんのみでまかなわれる主食しゅしょくようオオムギだけではなく、全量ぜんりょう輸入ゆにゅうである飼料しりょうよう主食しゅしょく以外いがい用途ようとのオオムギについても、政府せいふがアメリカやカナダといっただい生産せいさんこくから輸入ゆにゅう業者ぎょうしゃへとわたす、いわゆる「政府せいふ操作そうさ飼料しりょう」というかたちをとっている[19][18]。これにより国内産こくないさんむぎ価格かかく保護ほごおこなわれてきたが、2007ねん以降いこう導入どうにゅうされたSBS(売買ばいばい同時どうじ入札にゅうさつ方式ほうしき影響えいきょうにより、国際こくさい価格かかく影響えいきょう多少たしょうなりともけるようになった[18]

 
むぎとろ

大麦おおむぎむぎのまま麦飯むぎめしサラダもちいられたり、だい麦粉むぎこなどとして加工かこう食品しょくひんもちいられる[9]

主食しゅしょく

編集へんしゅう

メソポタミアでは小麦こむぎより塩害えんがいつよいため、南部なんぶバビロニアおお栽培さいばいされた。ヨーロッパではあらいた大麦おおむぎかゆじょうのものがべられていた。古代こだいローマではほぼきの大麦おおむぎかゆプルス英語えいごばんばれ、主食しゅしょくとして重要じゅうようなものであった。そのパンが普及ふきゅうし、15〜16世紀せいきにかけて寒冷かんれいでも生産せいさんせいたかく、でただけでも比較的ひかくてき美味びみジャガイモアメリカ大陸あめりかたいりくからもたらされたため、現在げんざいではしゅとして飼料しりょうようおよび醸造じょうぞうよう穀物こくもつとされるようになった。

チベット主食しゅしょく中心ちゅうしんとなっているツァンパは、ハダカオオムギを乾煎からいして粉砕ふんさいしたこなで、バターちゃるなどしてべられている[20]

中国ちゅうごく大陸たいりくでは前述ぜんじゅつのように食味しょくみ調理ちょうりほう問題もんだいから時代じだい経過けいかとともに主食しゅしょくわれていった。きたそうのころ、しゅう左遷させんされた生活せいかつおさえるため「ひがし坡」と名付なづけた自宅じたく田畑たはたみずか開墾かいこん耕作こうさくしていたが、とうとうべい備蓄びちくき、ひがし坡でれた大麦おおむぎ米飯べいはん代用だいようしょくとして炊飯すいはんすることになってしまった。これが家族かぞくから「まるでシラミをんでいるようだ」と愚痴ぐちをこぼされるほど不評ふひょうであったことからあらたに小豆あずきぜて調理ちょうりほう考案こうあんしたところ今度こんど好評こうひょうつまであるおううるう言葉ことばにしたがい「べにめし」と命名めいめいしたという随筆ずいひつのこしている[21]

日本にっぽんチベット文化ぶんかけんならんで大麦おおむぎ主食しゅしょく穀物こくもつとしておお利用りようする地域ちいきであった。しかし明治めいじ時代じだいまでは今日きょうのように、炊飯すいはんしやすい押麦おしむぎ (rolled barley) にして白米はくまいこん炊することはおこなわれていなかった[13]べい雑穀ざっこくくらべてえにくいため、かゆにするか、炊飯すいはん先立さきだち、あらかじめましていちばんえましむぎとしてから、単独たんどく、あるいはべい雑穀ざっこくこん炊して調理ちょうりした。明治めいじ時代じだいまでは、えましむぎじるは、砂糖さとうぜて母乳ぼにゅうだい用品ようひんとして使つかわれることもあった。しかし上記じょうきのとおり、コメの社会しゃかいてき地位ちいたかさもあいまって、麦飯むぎめし評価ひょうかひくいものであった。現在げんざいでは精白せいはく技術ぎじゅつ向上こうじょうによる食味しょくみ向上こうじょうや、むぎ普及ふきゅうによる炊飯すいはん容易よういにより、健康けんこうしょくとしてふたた人気にんきはくしている。

現代げんだいにおける日本にっぽん主食しゅしょくようオオムギとしては、上記じょうき精白せいはくしたむぎをローラーでしつぶすむぎのほか、むぎ中心ちゅうしんせん沿ってふたつに切断せつだんしただけのべいつぶむぎや、ふたつにったのちしつぶすしろむぎがある。また、そもそもしつぶさず、精白せいはくしただけの丸麦まるむぎもスープにれるなどしてべられる。

また、とろろには麦飯むぎめし使つかうものとされており、むぎとろ東海道とうかいどう鞠子まりこ宿やどなどでふるくから名物めいぶつとなっていた。

加工かこう食品しょくひん

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麦芽ばくが利用りよう

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大麦おおむぎおも用途ようととして麦芽ばくが製造せいぞうがあげられる。麦芽ばくが文字通もじどおりムギるい発芽はつがさせたものであり、本来ほんらいはオオムギだけをすものではないが、一般いっぱんてきに、麦芽ばくがといえばオオムギからのものをさす。これはオオムギからつく麦芽ばくがもっと酵素こうそおおふくまれるため、麦芽ばくがしつがよく、結果けっかとして麦芽ばくが利用りようする場合ばあいはほとんどがオオムギ麦芽ばくが使用しようすることになるからである。麦芽ばくがにはアミラーゼ酵素こうそふくまれ、デンプンとう分解ぶんかいする作用さようがあるため、麦芽糖ばくがとう大量たいりょう生成せいせいされる。麦芽糖ばくがとうはそのとおとうであり、甘味あまみりょうとして水飴みずあめシロップ原料げんりょうともなるが、麦芽ばくがのもっとも重要じゅうよう利用りようほうとうからアルコールをつくることである[22]

 
ビール製造せいぞうはオオムギのもっと重要じゅうよう用途ようとである

なかでもオオムギ麦芽ばくがのもっとも重要じゅうようかつ一般いっぱんてき使用しようほうは、ビール醸造じょうぞうである。ビールはコムギやほかの穀物こくもつバナナなどからつくられることもあるが、通常つうじょうビールとはオオムギ麦芽ばくがから製造せいぞうされたものをす。1516ねんバイエルンこうヴィルヘルム4せいによって制定せいていされたビール純粋じゅんすいれいは、「ビールは、麦芽ばくがホップみず酵母こうぼのみを原料げんりょうとする」ことをさだめている。この法律ほうりつはバイエルンつうじて存続そんぞくし、1870ねんバイエルンドイツ帝国ていこく吸収きゅうしゅうされたのちも帝国ていこくによってがれ、ドイツでは改正かいせいをくわえられつつも現役げんえき法律ほうりつとなっている。この麦芽ばくがはオオムギをすものではなく、コムギ麦芽ばくが使用しようするしろビールなども製造せいぞうされているが、しろビールでも原料げんりょう一部いちぶにはオオムギを使つかうことがおおく、またドイツでの生産せいさん多数たすうめるピルスナータイプのビールはすべてオオムギ麦芽ばくがのみを使用しようする。

ビールなどの醸造じょうぞうしゅのほか、蒸留酒じょうりゅうしゅもオオムギからつくられる。そのなかでももっと生産せいさんがくおお重要じゅうようなものは、ウィスキー生産せいさんである。ウィスキーにはオオムギ麦芽ばくが(モルト)のみを原料げんりょうとするモルト・ウイスキーと、トウモロコシやライムギなどほかの穀物こくもつからつくられるグレーン・ウイスキーがあるが、グレーン・ウイスキーのおおくはモルト・ウイスキーと混合こんごうするブレンデッド・ウイスキーとなるため、いずれにせよオオムギがおおきな役割やくわりつ。また、ウイスキーのほか、ウォッカジンはオオムギを原料げんりょうとしたものも多数たすう存在そんざいする。

アルコール飲料いんりょう以外いがいにも麦芽ばくが甘味あまみりょうなどをくわえてみやすくした麦芽ばくが飲料いんりょう世界せかい各国かっこくまれ、だい企業きぎょうネスレ・ミロホーリックオバルチンなどといった麦芽ばくが飲料いんりょう製造せいぞう販売はんばいしている。

こうじ利用りよう

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日本にっぽんではこうじやして醤油じょうゆ味噌みそなどの発酵はっこう食品しょくひん原料げんりょうとして使つかわれる。ハダカムギからつくられるむぎ味噌みそが、九州きゅうしゅう中心ちゅうしんつくられている。オオムギを使用しようするむぎ焼酎しょうちゅうのように、酒類しゅるい原料げんりょうとしてももちいられる。むぎ焼酎しょうちゅうろくじょうオオムギを原料げんりょうにしたものとじょうオオムギを原料げんりょうとしたものの両方りょうほうがあるが、麦芽ばくがではなくこうじ使つかうのがおおきな特徴とくちょうである。

だい麦粉むぎこ利用りよう

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だい麦粉むぎこめんやパンの材料ざいりょうとしてももちいることができる[9]。ただし、小麦粉こむぎこちがってグルテンをほとんどふくまないため、せいめん場合ばあいめん弾力だんりょく不足ふそくおぎな必要ひつようがある[9]小麦粉こむぎことの混合こんごうやグルテンの添加てんかなど)。また、せいパンの場合ばあいもグルテンにとぼしいため、そのままだとパン生地ぱんきじ不安定ふあんていになる[9]ふくらみにくく、小麦こむぎのパンとはしょくかんことなるどっしりとしたおもかんじのパンができる)。ほかにもだい麦粉むぎこ液状えきじょう食品しょくひん利用りようするとねばたびたかくなるなどの問題もんだいがあり小麦粉こむぎこくらべるとあまり利用りようされていない[9]

大麦おおむぎ小麦こむぎよりこなきにくいという問題もんだいがあるが、発芽はつがさせることによってきやすくなる。

った大麦おおむぎいたこなは、はったい麦焦むぎこがしなどとび、砂糖さとうなどとわせてり、菓子かし一種いっしゅとしてべられていた。麦粉むぎこ菓子かし原料げんりょうとしてひろ使つかわれている。また、はったいかたれてがためたむぎ落雁らくがんも、和菓子わがしとして各地かくち銘菓めいかとなっている。

その食品しょくひん

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下記かき栄養えいよう焼成しょうせいしたさいしょくかんとをかすため、グラノーラひとしシリアル原材料げんざいりょうにももちいられている。

沖縄おきなわけんにおいては、緑豆りょくとうとオオムギを使つかってあまがしというぜんざい一種いっしゅつくられ、なつ風物詩ふうぶつしとなっている[23]。オオムギをポン菓子かしにしてチョコレートをコーティングしたむぎチョコも、駄菓子だがしなどでられている。

若葉わかば粉砕ふんさいして粉末ふんまつにしたものはあおじる一種いっしゅとして、健康けんこう食品しょくひんとしてられている。なお、オオムギこくがわ抽出ちゅうしゅつぶつ乳化剤にゅうかざいなどの用途ようとで、かつて日本にっぽん既存きそん食品しょくひん添加てんかぶつ名簿めいぼ掲載けいさいされていたが、販売はんばい実績じっせきがないため、2005ねん削除さくじょされた。

カクテルマイタイもちいられるオルジェーシロップスペインけん人気にんきのある飲料いんりょうオルチャータは、どちらもラテン語らてんごで「ホルデアタ」(hordeata、「オオムギからつくられた」)とばれるオオムギを原料げんりょうとした飲料いんりょう祖先そせんとしている。

また、日本にっぽんふく世界せかい各地かくち種子しゅしったものをせんじて、麦茶むぎちゃなどとしてむ。日本にっぽんではやしておもなつまれるが、イタリアやスペインでは(しばしばコーヒーの代用だいようとして)ふかあぶせんじした大麦おおむぎせんじたものをあたたかくしてぶしわず飲用いんようする(イタリアのカッフェ・ドルゾ、スペインのアグア・デ・セバダスペインばん)。日本にっぽんでも江戸えど時代じだいには麦湯むぎゆばれ、あたたかくしてむものであったが、しんむぎ使つかうものが美味びみであるため、ぶしはやはりオオムギの収穫しゅうかくであるなつのものであった。

その用途ようと

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その用途ようととしては家畜かちく飼料しりょうなどがある。オオムギの利用りようにおいて、飼料しりょうよう世界せかいのほとんどの地域ちいきにおいてつねおおきな部分ぶぶんめている。ウシヒツジなどの反芻はんすうする家畜かちくはオオムギをこのみ、とくかわ部分ぶぶんこのむからである[24]だい生産せいさんこくであるヨーロッパやアメリカにおいては、飼料しりょうようとビール・ウィスキー醸造じょうぞうようがオオムギの用途ようとのほとんどをめ、そのまま食用しょくようとすることはすくない。日本にっぽんにおいても飼料しりょうようオオムギは重要じゅうようであり、オオムギ消費しょうひおおきな部分ぶぶんめる。飼料しりょうとしては、ウシの肥育ひいく使用しようされる場合ばあいおおい。オオムギを飼料しりょうとして販売はんばいする場合ばあい日本にっぽんにおいては変形へんけい加工かこうすることが義務付ぎむづけられている[19]

また、オオムギ発酵はっこうエキスに白髪はくはつくろくさせる作用さようのある成分せいぶんふくまれ、育毛いくもうざいシャンプーなどに応用おうようかんがえられている。

栄養えいよう

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おおむぎ 押麦おしむぎ[25]
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 1,423 kJ (340 kcal)
77.8 g
デンプン 正確せいかくせい注意ちゅうい 71.2 g
食物しょくもつ繊維せんい 9.6 g
1.3 g
6.2 g
ビタミン
チアミン (B1)
(5%)
0.06 mg
リボフラビン (B2)
(3%)
0.04 mg
ナイアシン (B3)
(11%)
1.6 mg
パントテンさん (B5)
(9%)
0.46 mg
ビタミンB6
(11%)
0.14 mg
葉酸ようさん (B9)
(2%)
9 µg
ビタミンE
(1%)
0.1 mg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
2 mg
カリウム
(4%)
170 mg
カルシウム
(2%)
17 mg
マグネシウム
(7%)
25 mg
リン
(16%)
110 mg
鉄分てつぶん
(8%)
1.0 mg
亜鉛あえん
(13%)
1.2 mg
どう
(20%)
0.40 mg
セレン
(1%)
1 µg
成分せいぶん
水分すいぶん 14.0 g
水溶すいようせい食物しょくもつ繊維せんい 6.0 g
不溶性ふようせい食物しょくもつ繊維せんい 3.6 g
ビオチン(B7 2.6 µg

ビタミンEはαあるふぁ─トコフェロールのみをしめした[26]歩留ぶどまり: げんがわむぎ45 - 55 %、げん裸麦はだかむぎ55 - 65 %
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
豊富ほうふ水溶すいようせい食物しょくもつ繊維せんい効果こうか
大麦おおむぎ穀類こくるい比較ひかくすると食物しょくもつ繊維せんいおお[9]とく小麦こむぎ精白せいはくまい不溶性ふようせい食物しょくもつ繊維せんいおおいのにたいし、大麦おおむぎ水溶すいようせい食物しょくもつ繊維せんい割合わりあいたかいのが特徴とくちょうである[9]大麦おおむぎ豊富ほうふ水溶すいようせい食物しょくもつ繊維せんいだい部分ぶぶんβべーたグルカンである。大麦おおむぎ摂取せっしゅによるちゅうコレステロール上昇じょうしょう抑制よくせい作用さよう血糖けっとう上昇じょうしょう抑制よくせい作用さようBMI低減ていげん効果こうか報告ほうこくされている[27]
こうがん作用さよう主張しゅちょうする研究けんきゅうについて
かつて、デザイナーフーズ計画けいかくのピラミッドで3ぐんぞくしており、3ぐんなかでも、ローズマリー、セージ、ベリー、ジャガイモとともに3ぐん最下位さいかいぞくするが、がん予防よぼう効果こうかのある食材しょくざいであると位置いちづけられていた[28]
100gちゅう食物しょくもつ繊維せんい[29]
項目こうもく 分量ぶんりょう
炭水化物たんすいかぶつ 77.8 g
食物しょくもつ繊維せんい総量そうりょう 9.6 g
水溶すいようせい食物しょくもつ繊維せんい 6.0 g
不溶性ふようせい食物しょくもつ繊維せんい 3.6 g
 
オオムギアミノ酸あみのさんスコア[30][31]

生産せいさんりょう

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オオムギはイネコムギトウモロコシいで世界せかいで4番目ばんめおお栽培さいばいされている穀物こくもつである。生産せいさんりょうはかつて増加ぞうか傾向けいこうにあり、1961ねんには7200まんトンだった生産せいさんりょう2008ねんには1おく5500まんトン[32]と、ばい以上いじょう増加ぞうかしている。しかし1970年代ねんだいからは増加ぞうか停滞ていたい傾向けいこうにある[33]2004ねん世界せかいそう生産せいさんりょうは1おく5362まん4393トンであった。世界せかいもっともオオムギの生産せいさんりょうおおくにロシアであり、以下いかカナダドイツウクライナフランスつづく。FAO統計とうけいによれば、主要しゅよう生産せいさんこくくにべつ生産せいさんりょう以下いかとおりであった。

2004年度ねんど

くに トン
01   ロシア 1717まん9740
02   カナダ 1318まん6400
03   ドイツ 1299まん3000
04   ウクライナ 1106まん8800
05   フランス 1104まん0214
06   スペイン 1060まん8700
07   トルコ 0900まん0000
08   オーストラリア 0645まん4000
09   アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 0608まん0020
10   イギリス 0586まん0000

参考さんこう  日本にっぽん 19まん5400トン(2007年度ねんど

2009ねん〜2011ねん

オオムギ生産せいさん上位じょうい10かこく単位たんい・100まんトン)[34]
順位じゅんい くに 2009 2010 2011
01   ロシア 17.8 8.3 16.9
02   ウクライナ 11.8 8.4 9.1
03   フランス 12.8 10.1 8.8
04   ドイツ 12.2 10.4 8.7
05   オーストラリア 7.9 7.2 7.9
06   カナダ 9.5 7.6 7.7
07   トルコ 7.3 7.2 7.6
08   イギリス 6.6 5.2 5.4
09   アルゼンチン 1.3 2.9 4.0
10   アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 4.9 3.9 3.3
世界せかい総計そうけい 151.8 123.7 134.3

また、日本にっぽん国内こくないにおいては、平成へいせい19年度ねんどじょう大麦おおむぎが12まん8200トン、六条ろくじょう大麦おおむぎが5まん2100トン、裸麦はだかむぎが1まん4300トンとなっている。二条にじょう大麦おおむぎ生産せいさんりょうもっとおおいのは佐賀さがけんで、4まん1600トン、全国ぜんこく生産せいさんりょうの32.4%にのぼる。六条ろくじょう大麦おおむぎ生産せいさんりょうもっとおおいのは福井ふくいけんで、1まん7100トン、全国ぜんこく生産せいさんりょうの32.8%にのぼる。裸麦はだかむぎ生産せいさんりょうもっとおおいのは愛媛えひめけんで5880トン、全国ぜんこく生産せいさんりょうの41.1%をめる。[35]自給じきゅうりつは8%前後ぜんごである[36]

日本にっぽんはオオムギのだい輸入ゆにゅうこくではあるが、主食しゅしょくようのオオムギにかんしては100%自給じきゅう達成たっせいしている[37]一方いっぽう飼料しりょうようのオオムギにかんしてはほぼ100%を輸入ゆにゅうたよっている[19]

オオムギをめぐる出来事できごと

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国際こくさい関係かんけい

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1003/spe1_01.html 農林水産省のうりんすいさんしょう 特集とくしゅう むぎ(1) 2015ねん1がつ10日とおか閲覧えつらん
  2. ^ 森川もりかわ利信としのぶだい8しょう オオムギの進化しんか多様たようせい」『むぎ自然しぜん : ひと自然しぜんはぐくんだムギ農耕のうこう佐藤さとう洋一郎よういちろう加藤かとうかま編著へんちょ北海道大学ほっかいどうだいがく出版しゅっぱんかい、2010ねん、p.161 ISBN 978-4-8329-8190-4
  3. ^ しんてい 食用しょくよう作物さくもつ」p191-192 国分こくぶまきまもる やしなえ賢堂かしこどう 2010ねん8がつ10日とおかだい1はん発行はっこう
  4. ^ 森川もりかわ利信としのぶだい8しょう オオムギの進化しんか多様たようせい」『むぎ自然しぜん : ひと自然しぜんはぐくんだムギ農耕のうこう佐藤さとう洋一郎よういちろう加藤かとうかま編著へんちょ北海道大学ほっかいどうだいがく出版しゅっぱんかい、2010ねん、pp.166-167 ISBN 978-4-8329-8190-4
  5. ^ 『FOOD'S FOOD 新版しんぱん 食材しょくざいてん 生鮮せいせん食材しょくざいへん』p.314 2003ねん3がつ20日はつか初版しょはんだい1さつ 小学館しょうがくかん
  6. ^ a b しんてい 食用しょくよう作物さくもつ」p.192 国分こくぶまきまもる やしなえ賢堂かしこどう 2010ねん8がつ10日とおかだい1はん
  7. ^ しんてい 食用しょくよう作物さくもつ」p.201 国分こくぶまきまもる やしなえ賢堂かしこどう 2010ねん8がつ10日とおかだい1はん
  8. ^ しんてい 食用しょくよう作物さくもつ」p.200 国分こくぶまきまもる やしなえ賢堂かしこどう 2010ねん8がつ10日とおかだい1はん
  9. ^ a b c d e f g h i j k l 上野うえの 茂昭しげあき. “こうβべーた-グルカン含有がんゆうだい麦粉むぎこ調理ちょうり加工かこう特性とくせい”. 日本にっぽん家政かせい学会がっかい. 2020ねん5がつ20日はつか閲覧えつらん
  10. ^ 『ケンブリッジ世界せかい食物しょくもつだい百科ひゃっか事典じてん2 主要しゅよう食物しょくもつ栽培さいばい作物さくもつ飼養しよう動物どうぶつさんりん睿太ろう監訳かんやく 朝倉書店あさくらしょてん 2004ねん9がつ10日とおか だい2はんだい1さつ p.17
  11. ^ 「コムギのしょく文化ぶんか事典じてん」p.25 岡田おかだあきら 東京とうきょうどう出版しゅっぱん 平成へいせい13ねん7がつ15にち初版しょはん発行はっこう
  12. ^ 中世ちゅうせいヨーロッパ しょく生活せいかつ」p.58 ブリュノ・ロリウーちょ 吉田よしだ春美はるみやく げん書房しょぼう 2003ねん10がつ4にちだい1さつ
  13. ^ a b 飲食いんしょく事典じてん本山もとやま荻舟てきしゅう 平凡社へいぼんしゃ p.78 昭和しょうわ33ねん12月25にち発行はっこう
  14. ^ http://showa.mainichi.jp/news/1950/12/post-e58e.html昭和しょうわ毎日まいにち池田いけだ蔵相ぞうしょう貧乏人びんぼうにんむぎえ」と発言はつげん 1950ねん12月07にち毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ 2015ねん1がつ12にち閲覧えつらん
  15. ^ 飲食いんしょく事典じてん本山もとやま荻舟てきしゅう 平凡社へいぼんしゃ p.78 昭和しょうわ33ねん12月25にち発行はっこう
  16. ^ しんてい 食用しょくよう作物さくもつ」p.194 国分こくぶまきまもる やしなえ賢堂かしこどう 2010ねん8がつ10日とおかだい1はん
  17. ^ https://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0000059.html主要しゅよう食糧しょくりょう需給じゅきゅうおよ価格かかく安定あんていかんする法律ほうりつ施行しこうかんするけん 平成へいせいななねんさんがつじゅうななにち (農林水産省のうりんすいさんしょう告示こくじだいよんひゃくじゅうななごう )」 農林水産省のうりんすいさんしょう 2015ねん1がつ10日とおか閲覧えつらん
  18. ^ a b c 吉田よしだこうきょう 農林水産省のうりんすいさんしょう農林のうりん水産すいさん政策せいさく研究所けんきゅうじょへん)『日本にっぽんむぎ拡大かくだいする市場いちば徹底てってい分析ぶんせきのうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい 2017ねんISBN 978-4-540-16180-3 だい1しょう.
  19. ^ a b c http://www.zenbakuren.or.jp/fodder/index.html飼料しりょうとしての大麦おおむぎぜんむぎれん 2015ねん1がつ12にち閲覧えつらん
  20. ^ 世界せかいしょく文化ぶんか百科ひゃっか事典じてん」p123 野林のばやし厚志あつしへん 丸善まるぜん出版しゅっぱん れい3ねん1がつ30にち発行はっこう
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  22. ^ しんてい 食用しょくよう作物さくもつ」p204 国分こくぶまきまもる やしなえ賢堂かしこどう 2010ねん8がつ10日とおかだい1はん発行はっこう
  23. ^ 保存ほぞんばん 沖縄おきなわぬちぐすい事典じてん監修かんしゅう なお弘子ひろこ pp.20-21 2002ねん11月24にち初版しょはんだい1さつ プロジェクト・シュリ
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  25. ^ 文部もんぶ科学かがくしょう 「日本にっぽん食品しょくひん標準ひょうじゅん成分せいぶんひょう2015年版ねんばんななてい
  26. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう 「日本人にっぽんじん食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅん(2015年版ねんばん
  27. ^ 荒木あらき茂樹しげき ほか、「大麦おおむぎ生理せいり作用さよう健康けんこう強調きょうちょう表示ひょうじ現況げんきょう」『栄養えいようがく雑誌ざっし』 2009ねん 67かん 5ごう p.235-251, doi:10.5264/eiyogakuzashi.67.235
  28. ^ 大澤おおさわ俊彦としひこ、「がん予防よぼう食品しょくひん」『日本にっぽん食生活しょくせいかつ学会がっかい』 2009ねん 20かん 1ごう p.11-16, doi:10.2740/jisdh.20.11
  29. ^ 五訂増補日本食品標準成分表
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  37. ^ 大麦おおむぎ生産せいさんりょう輸入ゆにゅうりょう大麦おおむぎまめ知識ちしき”. ぜんむぎれん全国ぜんこく精麦せいばく工業こうぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごうかい). 2015ねん1がつ12にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん1がつ12にち閲覧えつらん
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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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