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河川舟運 - Wikipedia
貨物かもつ輸送ゆそう種別しゅべつ平均へいきん外部がいぶコスト
(EU-28, 2016) [1]
輸送ゆそう方法ほうほう ユーロセント/トンキロ
道路どうろ (小型車こがたしゃ)
35.6
道路どうろ (大型おおがたしゃ)
4.2
鉄道てつどう (ディーゼル)
1.8
鉄道てつどう (電化でんか)
1.1
内陸ないりく水運すいうん
1.9

河川かせん舟運しゅううん(かせんしゅううん)とは、かわ運河うんがにおいて物資ぶっし旅客りょかく運搬うんぱんする輸送ゆそうのことで、河川かせん水運すいうん内陸ないりく水運すいうんともばれる。

中国ちゅうごく長江ながえくコンテナせん

Les rivières sont les chemins qui marchent et qui portent où l'on veut aller.
かわは、きたいところにれてってくれるみちである。

欧米おうべい河川かせん舟運しゅううん

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ラインがわでの海上かいじょうコンテナ輸送ゆそう
 
パリセーヌがわはしけ運送うんそう
 
ミシシッピがわリバーボート

欧米おうべいでは広大こうだい河川かせん利用りようした舟運しゅううんぎょう鉄道てつどう自動車じどうしゃとともに内陸ないりく輸送ゆそう手段しゅだんとして重要じゅうよう役割やくわりたしている[2]欧米おうべい諸国しょこく平坦へいたん内陸ないりくおおく、大河たいが流速りゅうそくゆるやかで河幅かわはば水深すいしん適度てきどにあり、各国かっこく都市とし河川かせんでつながっていることから、古来こらいより重要じゅうようライフラインとして機能きのうしてきた[2]

ラインがわ

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ラインがわ主要しゅよう国際こくさい河川かせんひとつであり、スイスバーゼルからドイツとおり、河口かこうにあたるオランダロッテルダムこうまでが航行こうこう可能かのう河川かせん舟運しゅううん利用りようされている[2]。2016ねんのライン全域ぜんいき年間ねんかん貨物かもつ輸送ゆそうりょうやく3おく3,000まんトンであった[2]。ラインがわでの貨物かもつ輸送ゆそうりょうはヨーロッパの内陸ないりく水運すいうん貨物かもつ輸送ゆそうりょう全体ぜんたいの3ぶんの2以上いじょうめる[2]。ライン川舟かわぶねうん安全あんぜんせい経済けいざいせい評価ひょうかされており、コンテナ、重量じゅうりょう貨物かもつ化学かがく製品せいひん輸送ゆそうのほか、旅客りょかく輸送ゆそうなどにも利用りようされている[2]

  • オランダ:ロッテルダムこうはラインがわ河口かこう位置いちするヨーロッパ最大さいだいみなととなっている[2]。オランダでは国際こくさい貨物かもつ輸送ゆそうやく半分はんぶん国内こくない貨物かもつ輸送ゆそうやく4ぶんの1が内陸ないりく水運すいうんである[2]
  • ルクセンブルク:ルクセンブルクではラインがわ支流しりゅうであるモーゼルかわ主要しゅよう水路すいろとなっており、モーゼルがわでの輸送ゆそうりょう国内こくない輸送ゆそうりょうめる割合わりあいは2010ねんやく4 %である[2]

ドナウがわ

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ドナウがわ全長ぜんちょう2,860 kmのEU域内いきない最大さいだい河川かせんでドイツ南部なんぶからルーマニアの黒海こっかいまで支流しりゅうふくめ19かこくながれる国際こくさい河川かせんである[2]。ドナウがわ西にしヨーロッパで最長さいちょう河川かせんでありながら、2015ねん欧州おうしゅう内陸ないりく水運すいうんでの輸送ゆそうりょうシェアの10 %以下いかにすぎない[2]

ミシシッピがわ

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ミシシッピがわアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくミネソタしゅうイタスカからメキシコわんそそ全長ぜんちょう3,782 kmの北米ほくべい代表だいひょうする河川かせんである[2]。ミシシッピがわ流域りゅういきしゅうは10しゅう支流しりゅうふくめた流域りゅういき面積めんせき米国べいこく本土ほんどやく4わりにあたる[2]

2015ねんうちこう水運すいうん(ただし、河川かせん舟運しゅううんのほか沿岸えんがん海運かいうんふくむ)のそう貨物かもつ輸送ゆそうりょうは9おく480まんショートトンで、そのうちミシシッピがわ輸送ゆそうりょう本流ほんりゅうだけでやく3おく1,580まんショートトンをめ、ぜんうちこう輸送ゆそうりょうやく35 %となっている[2]

日本にっぽん河川かせん舟運しゅううん

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1957ねん河川かせん舟運しゅううん(潮来いたこ)

日本にっぽん河川かせん舟運しゅううんは、古代こだいよりおこなわれ、近代きんだい以前いぜん年貢ねんぐまい輸送ゆそう商品しょうひん流通りゅうつうおおきく貢献こうけんしてきた。その一方いっぽうで、河川かせん舟運しゅううん物資ぶっしのみならず、地域ちいき文化ぶんか慣習かんしゅう伝播でんぱするというめんや、都市とし河岸かわぎしなどとばれる船着場ふなつきば集落しゅうらく形成けいせいにも役割やくわりたしてきた。近代きんだいはいると、殖産しょくさん興業こうぎょう政策せいさくによる産業さんぎょう発展はってんともない、運搬うんぱんする物資ぶっし増加ぞうかし、河川かせん舟運しゅううん最盛さいせいむかえた。しかしながら、明治めいじ中期ちゅうき以降いこう鉄道てつどう開通かいつう河川かせん改修かいしゅう陸上りくじょう交通こうつう発達はったつはし役割やくわり変化へんかなどに影響えいきょうけ、河川かせん舟運しゅううん徐々じょじょ衰退すいたいしていった。河川かせん舟運しゅううんかんする研究けんきゅう蓄積ちくせきおおいものの、近代きんだい以降いこう河川かせん舟運しゅううん盛衰せいすい過程かていについては、いまあきらかになっていないことがおおい。

昭和しょうわ中期ちゅうきごろまで、べい木材もくざいといった荷物にもつはこぶためには、けわしい山道さんどうある陸上りくじょう交通こうつうよりも、水運すいうんほうがはるかにはや容易よういであったことから、ほとんどの河川かせんで、現在げんざい道路どうろ機能きのうわりをになう、ひと貨物かもつはこ重要じゅうよう物流ぶつりゅう中心ちゅうしんとなっていた[3]。たとえば、琵琶湖びわこ水源すいげんとし大阪おおさかわんそそ淀川よどがわでは、うえ流域りゅういき瀬田川せたがわちゅう流域りゅういき宇治川うじがわえてばれていて、京都きょうと大坂おおさかむす交通こうつう大動脈だいどうみゃくとして機能きのうした。淀川よどがわ合流ごうりゅうする支流しりゅう木津川きづがわは、奈良なら平城京へいじょうきょう東大寺とうだいじなど寺院じいん建設けんせつのために、瀬田川せたがわ流域りゅういき森林しんりんから伐採ばっさいされた木材もくざい木津川きづがわさかのぼって奈良ならはこばれたりもされた[3]

明治めいじはいって、鉄道てつどうもう整備せいびされるようになると、かわ交通こうつう次第しだい衰退すいたいしていったが、木材もくざいだけは昭和中しょうわなかごろまで「いかだながし」とばれる運搬うんぱん方法ほうほうによってかわはこばれていた。しかし、電源でんげん開発かいはつ利水りすい確保かくほのためにかわダム建設けんせつされるようになると、こうした木材もくざい運搬うんぱんすたれていった[3]

今日きょうにおける交通こうつう主役しゅやく陸上りくじょう交通こうつうにとってわったため、河川かせん舟運しゅううんはほぼられなくなったが、一部いちぶでは、かつてのような本来ほんらい運搬うんぱんとしての機能きのうかたちえて、観光かんこうよう川下かわしたりや遊覧ゆうらん船便せんびんがあるほか、首都しゅとけんでは荒川あらかわ隅田川すみだがわ水上みずかみバス運行うんこうされている[3]

近代きんだい日本にっぽん河川かせん舟運しゅううん

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北海道ほっかいどう
東北とうほく地方ちほう
関東かんとう地方ちほう
北陸ほくりく地方ちほう
東海とうかい地方ちほう
近畿きんき地方ちほう
山陰さんいん地方ちほう
山陽さんよう地方ちほう
四国しこく地方ちほう
九州きゅうしゅう地方ちほう

現代げんだい日本にっぽん河川かせん舟運しゅううん

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Hofbauer, Florian; Putz, Lisa-Maria (2020). “External Costs in Inland Waterway Transport: An Analysis of External Cost Categories and Calculation Methods”. Sustainability (MDPI) 12 (5874): 9 (Table 11). doi:10.3390/su12145874. https://www.mdpi.com/2071-1050/12/14/5874/pdf 2022ねん3がつ29にち閲覧えつらん. 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 欧米おうべい河川かせん舟運しゅううん産業さんぎょう実態じったいおよ需要じゅようかんする調査ちょうさ 日本にっぽん舶用はくよう工業こうぎょうかい日本にっぽん船舶せんぱく技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
  3. ^ a b c d ロム・インターナショナル(へん) 2005, pp. 127–128.
  4. ^ a b くらまち遊覧ゆうらんせん”. 栃木とちぎ観光かんこう資源しげん情報じょうほうデータベース「ぞうナビ!」. 栃木とちぎ観光かんこう振興しんこう. 2020ねん10がつ3にち閲覧えつらん
  5. ^ くらしき川舟かわぶねなが - 倉敷くらしき観光かんこうWEB(更新こうしん不明ふめい)2019ねん1がつ31にち閲覧えつらん
  6. ^ 岡山おかやま京橋きょうばしから犬島いぬじま瀬戸内せとうち国際こくさい芸術げいじゅつさいにクルーズせんで 60ねんまえのにぎわい復活ふっかつ- 岡山おかやま経済けいざい新聞しんぶん 2019ねん4がつ15にち
  7. ^ 岡山おかやま京橋きょうばしクルーズ- 株式会社かぶしきがいしゃ 岡山おかやま京橋きょうばしクルーズ

参考さんこう文献ぶんけん

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  • ロム・インターナショナル(へん)『道路どうろ地図ちず びっくり!博学はくがく知識ちしき河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ〈KAWADEゆめ文庫ぶんこ〉、2005ねん2がつ1にちISBN 4-309-49566-4 

関連かんれん文献ぶんけん

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  • 飯塚いいづかこうふじ近代きんだい河川かせん舟運しゅううんのGIS分析ぶんせき淀川よどがわ流域りゅういき中心ちゅうしんに』、古今ここん書院しょいん、2020、220ぺーじ
  • 老川おいかわ慶喜よしのぶ「「産業さんぎょう革命かくめい陸運りくうん水運すいうん」(柚木ゆずきまなぶ編著へんちょ日本にっぽん水上すいじょう交通こうつう史論しろん6 総論そうろん水上すいじょう交通こうつう』、文献ぶんけん出版しゅっぱん、1996、所収しょしゅう)、339–424ぺーじ
  • 老川おいかわ慶喜よしのぶ日本にっぽん鉄道てつどう開通かいつう河川かせん舟運しゅううん衰退すいたい」(老川おいかわ慶喜よしのぶちょ明治めいじ地方ちほう鉄道てつどう研究けんきゅう地方ちほう鉄道てつどう展開てんかい市場いちば形成けいせい―』、日本にっぽん経済けいざい評論ひょうろんしゃ、1983、所収しょしゅう)、229–238ぺーじ
  • 老川おいかわ慶喜よしのぶ「「産業さんぎょう革命かくめい陸運りくうん水運すいうん」(柚木ゆずきまなぶ編著へんちょ日本にっぽん水上すいじょう交通こうつう史論しろん6 総論そうろん水上すいじょう交通こうつう』、文献ぶんけん出版しゅっぱん、1996、所収しょしゅう)、339–424ぺーじ
  • 岡島おかじまけん近代きんだい東京とうきょうにおける都市としない水運すいうんについて」、人文じんぶん地理ちり41-6、1989、1–23ぺーじ
  • 川名かわなのぼる河岸かわぎしきるひとびと―利根川とねがわ水運すいうん社会しゃかい』、平凡社へいぼんしゃ、1982。
  • 川名かわなのぼる河岸かわぎし』、法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱんきょく、2007。
  • 黒崎くろさき千晴ちはる明治めいじ前期ぜんき内陸ないりく水運すいうん」(新保しんぼひろし安場やすば保吉やすきちへん近代きんだい移行いこう日本にっぽん経済けいざい』、日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ、1979a、所収しょしゅう)、87–102ぺーじ
  • 黒崎くろさき千晴ちはる明治めいじ前期ぜんき水運すいうんしょ問題もんだい」(運輸うんゆ経済けいざい研究けんきゅうセンター近代きんだい日本にっぽん輸送ゆそう研究けんきゅうかいへん近代きんだい日本にっぽん輸送ゆそう』、成山なりやまどう、1979b、所収しょしゅう)、150–168ぺーじ
  • 田中たなかあきらなんじしおおよびさかな移入いにゅう鉄道てつどう開通かいつうまえ内陸ないりく交通こうつう』、古今ここん書院しょいん、1957、315ぺーじ
  • 丹治たんじ健蔵けんぞう関東かんとう水陸すいりく交通こうつう研究けんきゅう』、法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱんきょく、2007、535ぺーじ
  • 富岡とみおかただしはち日本にっぽん塩道しおみち―その歴史れきし地理ちりがくてき研究けんきゅう』、古今ここん書院しょいん、1978、516ぺーじ
  • 増田ますだ廣實ひろみ殖産しょくさん興業こうぎょう政策せいさく河川かせん舟運しゅううん」、社会しゃかい経済けいざい史学しがく48-5、1983、6–22ぺーじ

関連かんれん項目こうもく

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