ジンタ

ジンタは、明治めいじ時代じだい中期ちゅうきの日本にっぽんに生うまれた民間みんかんオーケストラ「市中しちゅう音楽おんがく隊たい」の愛称あいしょう。大正たいしょう時代じだい初期しょきに付つけられた。ヂンタとも表記ひょうきされ、演奏えんそうを模もした擬声語ぎせいごであると言いわれている。

概要がいよう

民間みんかんオーケストラが無なかった明治めいじ時代じだい、1887年ねん（明治めいじ20年ねん）に海軍かいぐんの軍楽隊ぐんがくたい出身しゅっしん者しゃを中心ちゅうしんに、30名めいほどのメンバーで「東京とうきょう市し中音ちゅうおん楽隊がくたい」が結成けっせいされた。

東京とうきょう市し中ちゅう音楽おんがく隊たいは行進曲こうしんきょく、ポルカ、ワルツ等ひとしを演奏えんそうし、西洋せいよう音楽おんがくを庶民しょみんに普及ふきゅうさせることに貢献こうけんした。市中しちゅう音楽おんがく隊たいは日にち清しん戦争せんそうを機きに全国ぜんこくで増ふえたが、乱立らんりつ気味ぎみになった。やがて経済けいざい的てきに苦くるしくなるジンタが増ふえ、広告こうこく業者ぎょうしゃ等ひとしに依存いぞんするようになり、本来ほんらいの音楽おんがく活動かつどうよりもサーカス、映画えいが館かん等ひとしの客寄きゃくよせ、あるいは広告こうこく宣伝せんでんの町まち回まわりをするようになった。それと共ともにジンタのメンバーも10名めい程度ていどに減少げんしょうし、曲目きょくもくも通俗つうぞく曲きょくに小しょうぶし風ふうの装飾そうしょくをつけた独得どくとくの哀調あいちょうをおびた節回ふしまわしで演奏えんそうするようになって、大正たいしょう時代じだい後期こうきに衰退すいたい。チンドン屋やなどに取とって代かわられ、昭和しょうわに入はいると消滅しょうめつし、以降いこうは音楽おんがく関係かんけい者しゃに一部いちぶ使つかわれる他ほかは、廃語はいご（俗ぞくに言いう「死語しご」）となっている。

関連かんれん項目こうもく

• チンドン屋や - ジンタとよく似にた広告こうこく請負うけおい業ぎょうの形態けいたい。
• 東京とうきょうジンタ - 演歌えんか歌手かしゅ・滝たき里美さとみのデビューシングル。1983年ねん11月に発売はつばい。
• 破やぶ矢やジンタ（はしジンタ） - 日本にっぽんのロック・バンド、JITTERIN'JINNのメンバー。
• 浅草あさくさジンタ - 落語らくご芸術げいじゅつ協会きょうかい客員きゃくいんロックバンド。バンド名めいは三さん遊ゆう亭てい小しょう遊ゆう三さんによって命名めいめいされた。
• 堀内ほりうち敬三けいぞう - 著書ちょしょに『ヂンタ以来いらい』（1934年ねん）がある。
• 森下仁丹もりしたじんたん
• シカラムータ（CICALA-MVTA） - 大熊おおくまワタル率ひきいる日本にっぽんの音楽おんがく集団しゅうだん。別働隊べつどうたいである、ジンタらムータ（Jinta-la-Mvta）としても活動かつどう。

外部がいぶリンク

• 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん 第だい2版はん『ジンタ』 - コトバンク