ディジュリドゥ

ディジュリドゥ
各かく言語げんごでの名称めいしょう
英えい Didgeridoo, Didjeridu 独どく Didgeridoo 仏ふつ Didgeridoo 伊い Didgeridoo
様々さまざまな形状けいじょう
分類ぶんるい
管楽器かんがっき 金管楽器きんかんがっき（材質ざいしつは木製もくせいだが分類ぶんるい上じょうは金管楽器きんかんがっき）
演奏えんそう者しゃ
GOMA　　* KNOB

音おと

トロンボーンのように使つかえるようにしたディジュリボーン

口くちの蜜蝋みつろうの部分ぶぶん

演奏えんそうの姿すがた

ディジュリドゥ / ディジリドゥ / ディジェリドゥ / ディジャリドゥ（Didgeridoo, Didjeridu）とは、オーストラリア大陸たいりくの先住民せんじゅうみんアボリジニの金管楽器きんかんがっきである。木製もくせいではあるが発音はつおん原理げんりから木管もっかん楽器がっきではなく金管楽器きんかんがっきに分類ぶんるいされる。

製法せいほう・構造こうぞう

シロアリに食くわれて筒つつ状じょうになったユーカリの木きから作つくられる。複雑ふくざつ多岐たきに渡わたる演奏えんそう方法ほうほう・使用しよう目的もくてきがある。その名なを出だしたり、楽器がっきを見みることさえ禁きんじられており、特殊とくしゅな儀礼ぎれいに使つかわれる特殊とくしゅなディジュリドゥもある。

原材料げんざいりょうのユーカリには数すう百ひゃく種しゅがあり、その中なかでもシロアリが好このんで食たべるものは特定とくていの数すう種しゅに限かぎられる。通常つうじょうは自然しぜんの状態じょうたいでシロアリに食たべられたユーカリから作つくられる。アリの巣すそのものにユーカリの木きを刺さし込こみ、少すこし穴あなの開ひらいた木きにシロアリを入いれて口くちを塞ふさいで強制きょうせい的てきに食たべさせるといった製法せいほうも存在そんざいしている。その後ご、1ｍから2ｍに切きり、表皮ひょうひを削けずり口こう当あての部分ぶぶんに蜜蝋みつろう（ビーズ・ワックス）などを塗ぬり、表面ひょうめんには岩いわを砕くだいた顔料がんりょうでアボリジナル・ペインティングを施ほどこす。

太ふとさ、管かんの内径ないけい、長ながさなどは不定ふていで、部族ぶぞくやクラン（言語げんごグループ）によってその形状けいじょうと音色ねいろは異ことなっている。長ながさは80センチメートルから2メートルを超こえるものまで幅広はばひろい。表面ひょうめんはウレタン樹脂じゅしなどでコーティングしただけの木肌きはだままのものや、塗装とそうが施ほどこされているものもある。吹ふき口こうは幹みきの細ほそい方ほうを蜜蝋みつろうで加工かこうして作つくる。

現在げんざいでは原材料げんざいりょうも多種たしゅ多様たようとなり、竹たけ、チーク、リュウゼツラン、PVC、FRPといったものも販売はんばいされている。また2017年ねんには、静岡しずおか県けん沼津ぬまづ市し戸田とだ地区ちくの地域ちいきおこし協力きょうりょく隊たいが、地元じもとの特産とくさん品ひんであるタカアシガニの殻からを素材そざいとした「タカアシガニリドゥ」という楽器がっきを製作せいさくしている。

演奏えんそう方法ほうほう

音おとを出だす方法ほうほうは、管かんの一端いったんに口くちを当あてて唇くちびるの振動しんどうなどを利用りようするもので、口くち当あてに口くちを付つけ、息いきを吹ふき込こみながら唇くちびるを震ふるわせ、口くちや筒つつの中なかに共鳴きょうめいさせることで、音おとを発生はっせいさせる。

金管楽器きんかんがっきのトロンボーン、チューバ等ひとしにも似にるが、その複雑ふくざつな演奏えんそう方法ほうほうは他たに類るいを見みない。通常つうじょう、循環じゅんかん呼吸こきゅうが使つかわれる。

ディジュリドゥとアボリジニ

アボリジニは1000年ねん以上いじょう前まえにディジュリドゥを作つくったとされ、実際じっさいには文献ぶんけんが存在そんざいしないので証明しょうめいが不可能ふかのうながら「世界せかい最古さいこの管楽器かんがっき」の一ひとつではないかと言いわれる。主おもに宗教しゅうきょう儀式ぎしきやヒーリングのために演奏えんそうしていたと考かんがえられている。現在げんざいでは様々さまざまな地域ちいきで演奏えんそうされるが、伝統でんとう的てきにディジュリドゥが伝つたわる地域ちいきはオーストラリアでも北部ほくぶに集中しゅうちゅうしており、クイーンズランド州しゅう、西にしオーストラリア州しゅうの北部ほくぶとノーザンテリトリーのアーネムランドのみである。

元々もともとは、アボリジニが昔むかしから精霊せいれいと交信こうしんするための祭儀さいぎで使用しようしていたもので、神聖しんせいな楽器がっきとして大事だいじに扱あつかわれていた。

ディジュリドゥという名なは、オーストラリアに入植にゅうしょくした白人はくじんがその音おとを聞きいて「ディジュリドゥ」と聞きこえたことによって付つけられた。20世紀せいきに入はいってからのことである。アボリジナル自身じしんはそれぞれの言語げんごグループの言葉ことばで、例たとえばアーネムランド内ないでも南西なんせいの方ほうでは「Mago（マゴ）」、北東ほくとうでは「Yidaki（イダキ）」、クィーンズランド州しゅう北部ほくぶでは「Yigi Yigi（イギイギ）」などと呼よぶ。ちなみに、日本にっぽんに出回でまわっているディジュリドゥの多おおくはイダキである。

また、アボリジニの間あいだではディジュリドゥは男性だんせいの楽器がっきとされ、女性じょせいが演奏えんそうすることはほとんどない。女性じょせいが吹ふくと妊娠にんしんするので吹ふいてはいけない、部族ぶぞくによっては反対はんたいに女性じょせいが吹ふくと不ふ妊にんになるので吹ふいてはいけないという伝承でんしょうがある。女性じょせいは触ふれてもいけないとする部族ぶぞくもある。

奏者そうしゃ・バンド

イギリスの音楽おんがくバンド「ジャミロクワイ」はバンドメンバーにディジュリドゥ奏者そうしゃウォリス・ブキャナンが在籍ざいせきしていた事ことがあり、以下いかのアルバムはディジュリドゥを使用しようした楽曲がっきょくを多数たすう含ふくんでいる。このうち「トラベリング・ウィズアウト・ムービング」は全ぜん世界せかいで800万まん枚まい売上うりあげ、世界一せかいいち売うれたファンクアルバムとしてギネス登録とうろくされている。

1. 1993年ねん 『エマージェンシー・オン・プラネット・アース』 - Emergency on Planet Earth
2. 1994年ねん 『リターン・オブ・ザ・スペース・カウボーイ』 - The Return of the Space Cowboy
3. 1996年ねん 『トラベリング・ウィズアウト・ムービング 』 - Travelling Without Moving
4. 1999年ねん 『シンクロナイズド』 - Synkronized

関連かんれん項目こうもく

• 民族みんぞく楽器がっき
• ジャルー・グルウィウィ
• ヨスー・インディ
• ジャミロクワイ

外部がいぶリンク

• Didgeridoo acoustics（英語えいご） - ニューサウスウェールズ大学だいがく
• Australian Didgeridoo Cultural Hub（英語えいご）
• 日本にっぽんディジュリドゥ協会きょうかい