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ロータス・107

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロータス・107
ロータス・107B
ロータス・107C
Lotus 107
Lotus 107
カテゴリー F1
コンストラクター ロータス
デザイナー クリス・マーフィー
先代せんだい ロータス・102
後継こうけい ロータス・109
主要しゅようしょもと
シャシー カーボンファイバー モノコック
エンジン フォードHB (107,107B)
無限むげんMF351HC (107C)
トランスミッション 6そくMT (107,107B)
6そくセミAT (107C)
タイヤ グッドイヤー
主要しゅよう成績せいせき
チーム チーム・ロータス
ドライバー 11. フィンランドの旗 ミカ・ハッキネン
11. / 12. イギリスの旗 ジョニー・ハーバート
12. イタリアの旗 アレッサンドロ・ザナルディ
12. ポルトガルの旗 ペドロ・ラミー
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
初戦しょせん 1992ねんサンマリノグランプリ
出走しゅっそう優勝ゆうしょうポールFラップ
34000
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ロータス・107 (Lotus 107) は、チーム・ロータス1992ねんのF1世界せかい選手権せんしゅけん参戦さんせんよう開発かいはつしたフォーミュラ1カークリス・マーフィー設計せっけいした。1993ねん107B1994ねん前半ぜんはんせん107C使用しようされた。

107[編集へんしゅう]

107はロータスにとって1990ねん102投入とうにゅうして以来いらい新車しんしゃとなった。102よりもそらりょくめん洗練せんれんされ、クリス・マーフィーがレイトンハウス在籍ざいせき設計せっけいしたCG911たフォルムとなった。ウィリアムズジョーダンのマシンとおなじくノーズ先端せんたん若干じゃっかんリフトしており、フロントウィングはゆるやかにカーブしている。よくはしばんボーテックスジェネレーターは2だんかさねになった。

エンジンはフォード・コスワース・HBのカスタマーエンジン(シリーズV)を獲得かくとくした。ベネトン独占どくせん供給きょうきゅうされるワークスエンジン(シリーズVI)とことなり、ニューマチックバルブが装備そうびされていないが、カスタマーエンジンとしてはトップクラスの性能せいのうっていた。開発かいはつ当初とうしょジャッド・GVエンジンを搭載とうさいする予定よていだったが、土壇場どたんばでフォード・コスワースとの供給きょうきゅう契約けいやくまったため、突貫とっかん工事こうじ状態じょうたい設計せっけい変更へんこう余儀よぎなくされ107の開幕かいまく投入とうにゅう見送みおくらざるをなかった。

あしまわりには、ロータスとしては1987ねん99T以来いらいとなるアクティブサスペンション搭載とうさいした。ただし、99Tのよう完全かんぜん油圧ゆあつ制御せいぎょしき(フルアクティブ)ではなく、従来じゅうらいのパッシブサスペンションにんで、くるまだか制御せいぎょ機能きのう(ライドハイト・コントロール)を補完ほかんするセミアクティブサスペンションだった(チームは「ファーストライド」とんだ[1])。フロントはモノショックでロール抑制よくせいし、アクティブユニットでピッチ制御せいぎょした。

ただし、107をドライブしたジョニー・ハーバートは、1993ねん取材しゅざい記事きじなかで「セミアクティブサスの状態じょうたいでは、昨年さくねん予選よせんでも決勝けっしょうでもはしったことがなかった。テストでしかためしたことがなかったからね[2]」「実際じっさい使つかえる状態じょうたいまでは熟成じゅくせいできなかった。なぜかというと、ソフトウェアに問題もんだいがあったからなんだ[2]」「昨年さくねん後半こうはんからはもうほとんどアクティブサスではドライブしていないし、コンポーネンツ自体じたいも(マシンに)つけなかった[2]」と発言はつげんしており、完成かんせいのまま開発かいはつられた可能かのうせいもある。

カラーリングは名車めいしゃ49へのオマージュとして、ブリティッシュグリーンとイエローを基本きほんとした配色はいしょくになった。シートやステアリングには、ロータス伝統でんとうあかバックスキンられている。マシン各部かくぶにはタミヤ日本にっぽん物産ぶっさん(ニチブツ)、塩野義製薬しおのぎせいやく日立製作所ひたちせいさくしょ小松製作所こまつせいさくしょイエローハット(スポット)といった日本にっぽん企業きぎょうのスポンサーロゴがられた。また、だい9せんイギリスGPからカストロールがメインスポンサーとなった。

スペック[編集へんしゅう]

シャーシ[編集へんしゅう]

エンジン[編集へんしゅう]

記録きろく[編集へんしゅう]

シーズン序盤じょばんきゅうモデルの102Dを使用しようし、1992ねんだい5せんサンマリノGPからジョニー・ハーバートが、だい6せんモナコGPからミカ・ハッキネンが107を使用しようした。 エンジン・ギアボックス・クラッチといった駆動くどうけいのトラブルがおお完走かんそうりつひくかったが、マシンのポテンシャル自体じたいたかく、マクラーレンウィリアムズベネトン後方こうほう入賞にゅうしょう圏内けんないみ、2人ふたりのドライバーがきのよいはしりをせた。ハッキネンは活躍かつやくみとめられてマクラーレンへの移籍いせき決定けっていした。

とし No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
RSA
南アフリカ連邦の旗
MEX
メキシコの旗
BRA
ブラジルの旗
ESP
スペインの旗
SMR
サンマリノの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
POR
ポルトガルの旗
JPN
日本の旗
AUS
オーストラリアの旗
1992 11 フィンランドの旗 ハッキネン Ret Ret 4 6 Ret 4 6 Ret 5 Ret 7 13 5
12 イギリスの旗 ハーバート Ret Ret Ret 6 Ret Ret Ret 13 Ret Ret Ret 13

107B[編集へんしゅう]

ロータス・107B
ザナルディのドライブする107B(イギリスGPプラクティス)

1993ねんよう開発かいはつされた107Bでは、サスペンションがセミアクティブしきからフルアクティブしき進化しんかした。セミアクティブでは前後ぜんごくるまだかをそれぞれ調節ちょうせつする機能きのうのみだったが、フルアクティブでは4りん独立どくりつしてサスペンションのうごきを制御せいぎょすることができた[3]。これにともない、フロントはモノショックからツインショックにもどされている。 なお、油圧ゆあつシリンダーには故障こしょうのバックアップようのスプリングも設置せっちされていた。

レギュレーション変更へんこうわせて、フロントノーズやリアウィングが縮小しゅくしょうされた。コースによってはサイドポッド後部こうぶにフィンを追加ついかしたほか、流行りゅうこうのメゾネットウィングも使用しようした。カラーリングはメインスポンサーのカストロールに配慮はいりょして、赤色あかいろ部分ぶぶんおおくなった。

レースちゅうのタイヤ交換こうかん作業さぎょうには、アクティブサスペンションのくるまだか調節ちょうせつ機能きのう利用りようしたユニークな作業さぎょう方法ほうほうられた。ピットレーンにはいるとマシンのくるまだかげ、作業さぎょう位置いちかれたサーフボードのようなあつさ3cmほどのいたうえ停車ていしゃしてからくるまだかげる。車体しゃたいいたうえると、4ほんのタイヤがちゅうく。メカニックたち使つかインパクトレンチにはセンサーがいており、タイヤ交換こうかんわるとマシンへ無線むせん信号しんごうおくられる。すると自動的じどうてきくるまだかがり、ピットからさい発進はっしんする、というながれであった。

この方法ほうほうではマシン前後ぜんこう人力じんりきジャッキアップする必要ひつようがないため、タイヤ交換こうかんにかかる時間じかん短縮たんしゅくすることができる。しかし、タイヤが地面じめんからあまりかないため作業さぎょうむずかしく、上手うまいたうえ停車ていしゃできない場合ばあい余計よけいにタイムロスするこわれもあった。1993ねんシーズンの開幕かいまくから採用さいようされたが、シーズン中盤ちゅうばんには従来じゅうらいのジャッキアップ方式ほうしきもどされた。

スペック[編集へんしゅう]

シャーシ[編集へんしゅう]

エンジン[編集へんしゅう]

記録きろく[編集へんしゅう]

ハーバートはあめがらみのだい2せんブラジルGPだい3せんヨーロッパGPレースで4獲得かくとくし、エースドライバーの面目めんぼくたもった。しん加入かにゅうアレッサンドロ・ザナルディだい12せんベルギーGPのフリー走行そうこうちゅう、オールージュでだいクラッシュ。このレースを欠場けつじょうしたのちペドロ・ラミー交替こうたいした。

フルアクティブサスは最適さいてきなセッティングがつけがたく、グリップ不足ふそく不安定ふあんていなハンドリングが解消かいしょうされなかった。また、資金しきんめん制約せいやくから充分じゅうぶんなテストをおこなえず、システムの熟成じゅくせいすすまなかった。最終さいしゅうせん終了しゅうりょうにハーバートが「アクティブカーをここにあなをほってめたいよ[4]」とい、1年間ねんかんアクティブサスペンションになやまされたことをうったえていた。

とし No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
RSA
南アフリカ共和国の旗
BRA
ブラジルの旗
EUR
欧州連合の旗
SMR
サンマリノの旗
ESP
スペインの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
POR
ポルトガルの旗
JPN
日本の旗
AUS
オーストラリアの旗
1993 11 イタリアの旗 ザナルディ Ret 6 8 Ret 14 7 11 Ret Ret Ret Ret DNS 12 6
ポルトガルの旗 ラミー 11 Ret 13 Ret
12 イギリスの旗 ハーバート Ret 4 4 8 Ret Ret 10 Ret 4 10 Ret 5 Ret Ret 11 Ret

107C[編集へんしゅう]

ロータス・107C スタート失敗しっぱいしたJJレートに追突ついとつしたペドロ・ラミー(サンマリノGP)

1994ねんシーズン序盤じょばんせんは107Cが使用しようされた。レギュレーション変更へんこうによりアクティブサスペンションなどハイテクシステムをのぞき、しん開発かいはつの6そくセミオートマチックギヤボックスと無限むげんV10エンジンを搭載とうさいした。無限むげんエンジン専用せんよう109投入とうにゅうするまでのつなぎてきなマシンとなった。無限むげんエンジンをんだためにマシンは剛性ごうせい不足ふそくとなり、それをおぎなうためパイプフレームで補強ほきょうした結果けっか重量じゅうりょうえてしまったという。

スペック[編集へんしゅう]

シャーシ[編集へんしゅう]

エンジン[編集へんしゅう]

記録きろく[編集へんしゅう]

ハーバート、ラミーともにだい4せんモナコGPまで使用しよう。ラミーはモナコGPシルバーストンテストでリヤウイングが支柱しちゅうかられるアクシデントにい、だいクラッシュにより負傷ふしょう代役だいやくとして復帰ふっきしたザナルディがだい6せんまで107Cを使用しようした。

とし No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
BRA
ブラジルの旗
PAC
太平洋共同体の旗
SMR
サンマリノの旗
MON
モナコの旗
ESP
スペインの旗
CAN
カナダの旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
POR
ポルトガルの旗
EUR
欧州連合の旗
JPN
日本の旗
AUS
オーストラリアの旗
1994 11 ポルトガルの旗 ラミー 10 8 Ret 11 0 -
イタリアの旗 ザナルディ 9 15
12 イギリスの旗 ハーバート 7 7 10 Ret

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 『ロータス107&107Bフォード-クローズアップ&ヒストリー』、p15。
  2. ^ a b c 『ロータス107&107Bフォード-クローズアップ&ヒストリー』、p.109。
  3. ^ 『ロータス107&107Bフォード-クローズアップ&ヒストリー 』、p.108。
  4. ^ 日本にっぽんめいレース100せん Volume041 '93 F1日本にっぽんGP』三栄書房さんえいしょぼう、2008ねんISBN 9784779603747 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 『ロータス107&107Bフォード-クローズアップ&ヒストリー』 だい日本にっぽん絵画かいが<FORMULA PERFECT MANUAL SERIES>、1994ねんISBN 9784499226196

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]