利用りよう者しゃ:Omaemona1982/下書したがき7

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの政治せいじ家か ジョー・バイデン Joe Biden
2013年ねん撮影さつえい
生年月日せいねんがっぴ	(1942-11-20) 1942年ねん11月20日にち（81歳さい）
出生しゅっしょう地ち	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく ペンシルベニア州しゅうスクラントン
出身しゅっしん校こう	デラウェア大学だいがく シラキューズ大学だいがくロースクール
前ぜん職しょく	弁護士べんごし
所属しょぞく政党せいとう	民主党みんしゅとう
称号しょうごう	教養きょうよう学士がくし（デラウェア大学だいがく・1965年ねん） 法務ほうむ博士はかせ（シラキューズ大学だいがく法科ほうか大学院だいがくいん・1968年ねん） 大統領だいとうりょう自由じゆう勲章くんしょう
配偶はいぐう者しゃ	ネイリア・バイデン（1972年ねん死別しべつ） ジル・バイデン（1977年ねん結婚けっこん）
子女しじょ	ボー・バイデン ハンター・バイデン ナオミ・バイデン アシュリー・バイデン
サイン
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 大統領だいとうりょう選挙せんきょ当選とうせん者しゃ
在任ざいにん期間きかん	2021年ねん1月がつ20日はつか（予定よてい） -
副ふく大統領だいとうりょう当選とうせん者しゃ	カマラ・ハリス
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 第だい47代だい副ふく大統領だいとうりょう
在任ざいにん期間きかん	2009年ねん1月がつ20日はつか - 2017年ねん1月がつ20日はつか
大統領だいとうりょう	バラク・オバマ
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 上院じょういん議員ぎいん
選挙せんきょ区く	デラウェア州しゅう
当選とうせん回数かいすう	6回かい
在任ざいにん期間きかん	1973年ねん1月がつ3日にち - 2009年ねん1月がつ15日にち

ジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニア（Joseph Robinette Biden, Jr.、 発音はつおん/'dʒoʊsəf rɒbɪ'nɛt 'baɪdən/、1942年ねん11月20日にち - ）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの政治せいじ家か。民主党みんしゅとうに所属しょぞくし、1973年ねんから2009年ねんまでデラウェア州しゅう選出せんしゅつの上院じょういん議員ぎいんを務つとめ、2009年ねん1月がつ20日はつかから2017年ねん1月がつ20日はつかまでバラク・オバマ政権せいけんで第だい47代だい副ふく大統領だいとうりょうを務つとめた。2020年ねん11月3日にちの大統領だいとうりょう選挙せんきょに民主党みんしゅとうの大統領だいとうりょう候補こうほとして出馬しゅつばし、11月7日にちに主要しゅようメディアにより当選とうせん確実かくじつが報ほうじられた。11月23日にちに一般いっぱん調達ちょうたつ局きょくより政権せいけん移行いこう手続てつづきが承認しょうにんされ、現在げんざいその手続てつづきを進すすめている。

一般いっぱんには「ジョー・バイデン（Joe Biden）」と呼よばれる。「ジョー」とはジョセフの短縮形たんしゅくけいである。

概要がいよう

1942年ねん11月20日にちにバイデンはペンシルベニア州しゅうスクラントンとデラウェア州しゅうニューキャッスル郡ぐんで育そだった。デラウェア大学だいがくで学まなんだ後のち、シラキューズ大学だいがくで法務ほうむ博士はかせ号ごうを取得しゅとく。1969年ねんに弁護士べんごしとなり、1970年ねんにニューキャッスル郡ぐん議会ぎかい議員ぎいんに選出せんしゅつされた。1972年ねんにデラウェア州しゅうの上院じょういん議員ぎいんに当選とうせんし、アメリカ史上しじょう6番目ばんめに若わかい上院じょういん議員ぎいんとなった。バイデンは長年ながねん上院じょういん外交がいこう委員いいん会かいのメンバーであり、最終さいしゅう的てきには委員いいん長ちょうを務つとめた。1991年ねんの湾岸わんがん戦争せんそうには反対はんたいしたが、東ひがしヨーロッパへのNATOの拡大かくだいと1990年代ねんだいのユーゴスラビア紛争ふんそうへの介入かいにゅうを支持しじした。2002年ねんのイラク戦争せんそう承認しょうにん決議けつぎを支持しじしたが、2007年ねんのアメリカ軍ぐん増派ぞうはには反対はんたいした。また、1987年ねんから1995年ねんまで上院じょういん司法しほう委員いいん会かいの委員いいん長ちょうを務つとめ、麻薬まやく政策せいさく・犯罪はんざい防止ぼうし・市民しみんの自由じゆうに関連かんれんする問題もんだいを扱あつかっていた。バイデンは暴力ぼうりょく犯罪はんざい取締とりしまり法ほうと女性じょせいに対たいする暴力ぼうりょく法ほうの成立せいりつに向むけた取とり組くみを主導しゅどうし、ロバート・ボークとクラレンス・トーマスの最高さいこう裁判所さいばんしょ長官ちょうかんへの指名しめいを監督かんとくした。

バイデンはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく上院じょういんに6回かい再選さいせんされ、2008年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょでバラク・オバマと並ならんで副ふく大統領だいとうりょうに当選とうせんした後のちに上院じょういん議員ぎいんを辞任じにんした時ときには、4番目ばんめに在職ざいしょく期間きかんの長ながい上院じょういん議員ぎいんの地位ちいにあった。オバマとバイデンは2012年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょにおいて再選さいせんされた。副ふく大統領だいとうりょうとしてバイデンは大だい不況ふきょうに対抗たいこうするために2009年ねんにインフラ支出ししゅつを監督かんとくした。彼かれの議会ぎかいの共和党きょうわとうとの交渉こうしょうは、オバマ政権せいけんが税制ぜいせいの行いき詰づまりを解決かいけつした2010年ねん税制ぜいせい救済きゅうさい法ほう、債務さいむ上限じょうげん危機ききを解決かいけつした2011年ねん予算よさん管理かんり法ほう、差さし迫せまった財政ざいせいの崖がけに対処たいしょした2012年ねんアメリカ納税のうぜい者しゃ救済きゅうさい法ほうなどの法案ほうあんを通過つうかさせるのを助たすけた。外交がいこう政策せいさくではアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく及およびロシア連邦れんぽうとの間あいだで新しんSTART条約じょうやくの成立せいりつに向むけた取とり組くみを主導しゅどうし、リビアへの軍事ぐんじ介入かいにゅうを支持しじし、2011年ねんのアメリカ軍ぐん撤退てったいを通つうじてイラクに対たいするアメリカの政策せいさくの策定さくていを支援しえんした。サンディフック小学校しょうがっこう銃じゅう乱射らんしゃ事件じけんの後のち、バイデンはアメリカにおける銃じゅう暴力ぼうりょくの原因げんいんに対処たいしょするために設立せつりつされた「銃じゅう暴力ぼうりょくタスクフォース」を率ひきいた。

2015年ねん10月がつ、バイデンは2016年ねんの選挙せんきょで大統領だいとうりょう選挙せんきょに出馬しゅつばしないことを発表はっぴょうした。2017年ねん1月がつ、オバマ大統領だいとうりょうはバイデンに大統領だいとうりょう自由じゆう勲章くんしょうを授与じゅよした。バイデンは2019年ねん4月がつ25日にちに2020年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょへの立候補りっこうほを発表はっぴょうし、2020年ねん6月がつには党とうの指名しめいを確保かくほするために必要ひつような1991人にんの代議員だいぎいん数すうの閾（しきい）値ねを満みたした。2020年ねん8月がつ11日にちにバイデンは2020年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょの副ふく大統領だいとうりょう候補こうほとしてカマラ・ハリス上院じょういん議員ぎいんを発表はっぴょうした。

11月3日にちに大統領だいとうりょう選挙せんきょが実施じっしされ、11月7日にちにABC、AP通信つうしん、CNN、FOXニュース、NBC、ニューヨーク・タイムズ、ロイターなどの主要しゅようメディアは現職げんしょくのドナルド・トランプを破やぶって勝利しょうりを確実かくじつにしたことを報ほうじている。11月23日にちに一般いっぱん調達ちょうたつ局きょくより政権せいけん移行いこう手続てつづきが承認しょうにんされ、現在げんざい手続てつづきを進すすめている。

経歴けいれき

少年しょうねん・学生がくせい時代じだい

1942年ねん11月20日にちにアメリカのペンシルベニア州しゅうスクラントンで、父ちちのジョセフ・バイデン・シニアと母ははのキャスリーンの間あいだに4人にん兄弟きょうだいの長男ちょうなんとして誕生たんじょうした。父親ちちおやのジョセフ・バイデン・シニアは、20代だいの頃ころはヨット、狩猟しゅりょう、自動車じどうしゃなどの趣味しゅみに熱中ねっちゅうするなど、非常ひじょうに裕福ゆうふくな生活せいかつを送おくっていた。しかし長男ちょうなんであるジョーが生うまれた頃ころには、彼かれは数すう件けんの事業じぎょうに失敗しっぱいし、その為ためにジョーの母方ははかたの祖父母そふぼにあたるフィネガン夫妻ふさいと数すう年ねんにわたって同居どうきょしなければならなくなるなど、バイデン一家いっかは苦くるしい生活せいかつを送おくっていた。

その後ご1950年代ねんだいの経済けいざい低迷ていめいの中なかで、父ちちのジョセフ・シニアも生計せいけいを立たてていくだけの十分じゅうぶんな仕事しごとが得えられなくなってしまったことから、10歳さいの頃ころにデラウェア州しゅうクレイモントに引ひっ越こし、その後ごさらに父親ちちおやが勤つとめていた冷暖房れいだんぼう用ようボイラー清掃せいそう会社かいしゃのあるデラウェア州しゅうニューキャッスル郡ぐんのウィルミントンへ引ひっ越こし、以後いご高校こうこう卒業そつぎょうまでこの地ちで過すごす。ウィルミントンは、後のちにバイデンが弁護士べんごしとして初はじめて開業かいぎょうした地ちであり、現在げんざいに至いたるまで自宅じたくを構かまえている地ちでもある。ちなみにこの前後ぜんご、フルートを愛好あいこうしていたことから、"fleet flutin joe"というあだ名なが付ついていたという。その後ごジョセフ・シニアは中古ちゅうこ車しゃのセールスマンの職しょくを得えて、バイデン一家いっかは中産ちゅうさん階級かいきゅう家庭かていとして安定あんていした生活せいかつを送おくることになる。

バイデンはクレイモントにあるカトリック系けいの私立しりつ学校がっこう、アーキメア・アカデミーへ入学にゅうがくし、1961年ねんの卒業そつぎょうまでこの学校がっこうで過すごした。在学ざいがく中ちゅうはフットボールと野球やきゅうに熱中ねっちゅうし、特とくにフットボールにおいては、高校こうこうのフットボールチームに所属しょぞくし、ハーフバック（ランニングバックの一種いっしゅ。）やワイドレシーバーのポジションで活躍かつやく、長年ながねんにわたって敗北はいぼく続つづきだったチームを最終さいしゅう学年がくねん時じにはシーズン無敗むはいを達成たっせいするまでの強豪きょうごうチームに成長せいちょうさせた一翼いちよくを担になった。また、政治せいじ活動かつどうについても、ウィルミントンの劇場げきじょうで行おこなわれた人種じんしゅ差別さべつに反対はんたいする座すわり込こみ活動かつどうに参加さんかするなど、積極せっきょく的てきに取とり組くんだ。学業がくぎょうに関かんしては平凡へいぼんで目立めだたない生徒せいとであったものの、バイデンはリーダーシップを発揮はっきする生徒せいとであったという。

デラウェア大学だいがくの卒業そつぎょうアルバムに載のっているバイデン（1965年ねん）

1961年ねんにアーキメア・アカデミーを卒業そつぎょうした後のち、ニューアークにあるデラウェア大学だいがくに進学しんがくし、歴史れきし学がくと政治せいじ学がくを専攻せんこうした。当初とうしょはアーキメア・アカデミー時代じだいと同様どうようにフットボールに熱中ねっちゅう、デラウェア大だいのチームであるデラウェア・ファイティンブルー・ヘンズに所属しょぞくし、最初さいしょは新入生しんにゅうせいチームにおいてハーフバックとしてプレーしていた。しかし大学だいがく3年ねんの時ときに、デラウェア州しゅう外がいに住すむ恋人こいびとと過すごす時間じかんを確保かくほするために、大学だいがく代表だいひょうチームでディフェンシブバックとしてプレーする計画けいかくを諦あきらめざるを得えなくなった。このように、スポーツや友人ゆうじん・恋人こいびととの交際こうさいに熱中ねっちゅうしていたためか、学業がくぎょうの成績せいせきはあまり優すぐれず、専攻せんこうしていた歴史れきし学がくと政治せいじ学がくにおいて学士がくし号ごうを取得しゅとくし、1965年ねんに卒業そつぎょうしたものの、688人にん中ちゅう506番目ばんめというあまり良よくない成績せいせきで卒業そつぎょうすることになった。しかし友人ゆうじんたちは、むしろバイデンの詰つめ込こみ勉強べんきょうの才能さいのうに驚おどろかされたという。

その後ごシラキューズ大学だいがくのロースクールに進学しんがく。在学ざいがく中ちゅうの1年ねん目め（1965年ねん）に法律ほうりつ評論ひょうろん誌しの記事きじ（全ぜん15ページ）から5ページにわたって論文ろんぶんを盗用とうようしたことが1965年ねんに発覚はっかくし、同校どうこうから盗用とうよう事件じけんとしてその科目かもく「法律ほうりつ的てき手法しゅほう（legal method）」の単位たんいを取とり消けされたものの、退学たいがく処分しょぶんには科かされず、バイデンは翌年よくねんの1966年ねんにその単位たんいを取得しゅとくした 。この事件じけんについてバイデンは、「引用いんようについての正確せいかくなルールを知しらなかったことによる不注意ふちゅういで起おこしてしまったものだ」として、悪意あくいがあったことを否定ひていしている。1968年ねんに法務ほうむ博士はかせ号ごうを取得しゅとく、修了しゅうりょう後ごの翌よく1969年ねんにはデラウェア州しゅう弁護士べんごし会かいへ加入かにゅうし、ウィルミントンで弁護士べんごしとして開業かいぎょうした。

ロースクール在学ざいがく中ちゅうの1966年ねんに彼かれは最初さいしょの妻つまであるネイリア・ハンターと出会であい、結婚けっこんする。ネイリアとの間あいだには2男なん1女じょ（ジョセフ3世せい（愛称あいしょう：ボー）、ロバート、ナオミ）をもうけた。

ベトナム戦争せんそうの最中さいちゅう、バイデンは大学だいがく在学ざいがく中ちゅうの1963年ねんからロースクール在学ざいがく中ちゅうの1968年ねんまでの間あいだ、少年しょうねん時代じだいの喘息ぜんそくの病歴びょうれきを理由りゆうに5回かいの徴兵ちょうへい猶予ゆうよを受うけていた。このためベトナム戦争せんそうには従軍じゅうぐんしていなかった。

幼少ようしょう期きから吃音きつおん症しょうに苦くるしみ、その克服こくふくに20代だい前半ぜんはんまで要ようした。鏡かがみの前まえで詩しの朗読ろうどくを続つづけていた。また近親きんしん者しゃがアルコール中毒ちゅうどくで苦くるしんでいたことから禁酒きんしゅ家かとなった。

政治せいじ活動かつどう初期しょき

アメリカ大統領だいとうりょうジミー・カーターと若手わかて上院じょういん議員ぎいんだった頃ころのバイデン（1970年代ねんだい後半こうはん）

1969年ねんの弁護士べんごし活動かつどう開始かいし後ご間あいだも無なく、バイデンはニューキャッスル郡ぐんの郡ぐん議会ぎかい議員ぎいんに選えらばれ、1970年ねんから1972年ねんまで同職どうしょくを務つとめた。

その後ご1972年ねんの上院じょういん議員ぎいん選挙せんきょに民主党みんしゅとうから出馬しゅつばする。この時とき現職げんしょくだった共和党きょうわとうのJ.カレブ・ボッグス議員ぎいんは、著名ちょめいな議員ぎいんの1人ひとりであったが、ボッグス議員ぎいんは政界せいかい引退いんたいを考かんがえていた。しかしながら、共和党きょうわとう内ないでボッグスの後継こうけいをめぐって、デラウェア州しゅう選出せんしゅつの下院かいん議員ぎいんだったピエール・S・デュポン4世せい（のちデラウェア州しゅう知事ちじ）と、ウィルミントン市長しちょうであったハリー・G・ハスケル・ジュニアが対立たいりつし、共和党きょうわとう陣営じんえい内ないでの分裂ぶんれつが生しょうじた。この打開だかい策さくとして、リチャード・ニクソン大統領だいとうりょうは、ボッグスにもう1期き出馬しゅつばするよう要請ようせいし、共和党きょうわとうが全面ぜんめん的てきに支援しえんすることを約束やくそくしたため、ボッグスもこれを受諾じゅだくした。しかしながら、最終さいしゅう的てきにはバイデンがボッグスを破やぶって勝利しょうりを収おさめた。連邦れんぽう上院じょういん議員ぎいんでは建国けんこく以来いらい5番目ばんめの若わかさでの当選とうせんとなった。

しかし上院じょういん議員ぎいんに当選とうせん直後ちょくご、1972年ねん12月18日にちに妻つまのネイリアはクリスマスの買かい物ものをするために、3人にんの子供こどもたちを連つれてデラウェア州しゅうホケッシンに車くるまで出でかけていたのだが、ネイリアの運転うんてんするステーションワゴンが、交差点こうさてんでトレーラーに追突ついとつされ、ネイリアとまだ幼おさなかったナオミが死亡しぼう、ボーとロバートは生いき残のこったものの、瀕死ひんしの重傷じゅうしょうを負おう。この事故じこに関かんしては、追突ついとつした側がわのトレーラーの運転うんてん手しゅには過失かしつがないことが解わかっている。

バイデンは、一いち度どは息子むすこたちの看病かんびょう・世話せわを理由りゆうに議員ぎいん職しょくを辞退じたいしようとしたが、当時とうじ民主党みんしゅとうの上院じょういん院内いんない総務そうむであったマイケル・マンスフィールドから辞退じたいを思おもい留とまるよう説得せっとくを受うけ、議員ぎいんに就任しゅうにんすることを決意けつい、1973年ねん1月がつから他たの議員ぎいんと同様どうように通常つうじょうどおり登院とういんし、議員ぎいん活動かつどうを開始かいしした。この時ときバイデンは30歳さいで、30歳さいでの上院じょういん議員ぎいんはアメリカ史上しじょう5番目ばんめの若わかさだった。通常つうじょうは議員ぎいんになるとワシントンD.C.に居住きょじゅうする議員ぎいんが多おおい中なかで、彼かれは息子むすこたちの為ために、毎日まいにち片道かたみち1時じ間あいだ半はんかけてウィルミントン郊外こうがいの自宅じたくとワシントンD.C.を電車でんしゃ通勤つうきんした。

ベテラン議員ぎいんへの道みち・2度目どめの試練しれん

エジプト・イスラエル平和へいわ条約じょうやく調印ちょういん後ごに談笑だんしょうするバイデン（左ひだり）とフランク・チャーチ上院じょういん議員ぎいん（中なか）、当時とうじのエジプト大統領だいとうりょうアンワル・アッ＝サーダート（右みぎ）。(1979年ねん)

1974年ねんにバイデンはタイム誌しの「200 Faces for the Future」の1人ひとりに選えらばれるなど、議会ぎかいの内外ないがいで活躍かつやくの場ばを広ひろげ、知名度ちめいどを高たかめていった。また私生活しせいかつにおいても、1977年ねんに2人ふたり目めの妻つまジル・トレイシー・ジェイコブスと結婚けっこんし、1女じょ（アシュリー）をもうけた。

以後いごバイデンは、順調じゅんちょうに政治せいじ活動かつどうを展開てんかいしていく。1978年ねんの選挙せんきょでは、ジェームズ・H・バクスター・ジュニアを破やぶり再選さいせんを、1984年ねんの選挙せんきょではジョン・M・バリスを破やぶり3選せんを果はたすなど、ベテラン議員ぎいんへの仲間入なかまいりを果はたしていく。その後ごも1987年ねんには初はじめて常任じょうにん委員いいん会かいの委員いいん長ちょうに就任しゅうにん（司法しほう委員いいん長ちょう、1995年ねんまで務つとめた）をしたり、大統領だいとうりょう候補こうほに名乗なのりをあげるなど、精力せいりょく的てきに活動かつどうを行おこなっていく。しかし、この時ときは英えい労働党ろうどうとう党首とうしゅの演説えんぜつ内容ないようを盗用とうようした疑うたがいが持もち上あがり撤退てったいに追おい込こまれた。また1987年ねん9月がつには学生がくせい時代じだいの論文ろんぶん盗用とうようを公式こうしきに認みとめ、シラキュース大学だいがく法科ほうか大学院だいがくいんに謝罪しゃざいし、これも民主党みんしゅとうの大統領だいとうりょう候補こうほ指名しめい・立候補りっこうほを取とりやめた理由りゆうとされる。

しかし1988年ねん2月がつに45歳さいの時とき、バイデンは首くびの痛いたみに悩なやまされた末すえにウォルター・リード陸軍りくぐん病院びょういんに入院にゅういんし、手術しゅじゅつを受うけた。脳のう動脈どうみゃく瘤こぶが破裂はれつしたのが原因げんいんであり、この時ときバイデンは一時いちじ危篤きとく状態じょうたいに陥おちいるなど、生死せいしの境さかいをさまよった。さらに同年どうねん5月がつには2度目どめの脳のう動脈どうみゃく瘤こぶの手術しゅじゅつを受うけるなど、バイデンはもはや議員ぎいん活動かつどうの継続けいぞくも危あやぶまれた。しかしバイデンは懸命けんめいのリハビリを続つづけ、入院にゅういんからわずか7ヶ月かげつで復帰ふっきした。

民主党みんしゅとうの重鎮じゅうちんとして

1997年ねん12月22日にち、大統領だいとうりょう専用せんよう機きエアフォースワン内うちでの会議かいぎに出席しゅっせきするバイデン（右みぎ手前てまえ）。中央ちゅうおうがビル・クリントン大統領だいとうりょう

病気びょうきから復帰ふっき後ご、バイデンは再ふたたび上院じょういん議員ぎいんとして活躍かつやく、2008年ねん時点じてんでは6回かい連続れんぞく当選とうせん・在職ざいしょく36年ねん目めを誇ほこる、押おしも押おされもせぬ上院じょういん民主党みんしゅとうの重鎮じゅうちんとなっている。ちなみに彼かれは、故郷こきょうデラウェア州しゅうの歴史れきし上じょう、最もっとも長ながく在職ざいしょくした上院じょういん議員ぎいんとなっている。しかし、これほど多おおくの連続れんぞく当選とうせんと長ながい在職ざいしょく期間きかんを誇ほこりながら、彼かれがデラウェア州しゅうの先任せんにん上院じょういん議員ぎいん（アメリカでは Senior Senator と呼よばれている。各州かくしゅう2名めいの上院じょういん議員ぎいんのうち、それまで連続れんぞくして当選とうせんしており、より任期にんきの長ながい議員ぎいんが先任せんにん上院じょういん議員ぎいんとなる。）となったのは2000年ねんのことであり、かなり遅おそいと言いえる。これは、バイデンの2年ねん先輩せんぱいにあたる共和党きょうわとうのウィリアム・ヴィクター・ロス・ジュニア上院じょういん議員ぎいん（William Victor Roth Jr.）が、1971年ねんの初はつ登院とういん以来いらい、2000年ねんの選挙せんきょで民主党みんしゅとうのトーマス・リチャード・カーパー州しゅう知事ちじ（Thomas Richard Carper）に敗やぶれて引退いんたいするまで、約やく30年ねんにわたって議席ぎせきを維持いじした為ためである。

2001年ねんから外交がいこう委員いいん会かいの委員いいん長ちょうを務つとめた際さいには、2002年ねん10月のイラクに対たいする武力ぶりょく行使こうし容認ようにん決議けつぎ案あんなど、後のちにアメリカ外交がいこうを左右さゆうすることになる重要じゅうような局面きょくめんに立たち会あった。その後ご、2002年ねんの中間ちゅうかん選挙せんきょで民主党みんしゅとうが少数しょうすう党とうに転落てんらくしたため、新あたらしい連邦れんぽう議会ぎかいが招集しょうしゅうされた2003年ねん1月がつ3日にち付づけで外交がいこう委員いいん長ちょう職しょくを離はなれ、今度こんどは民主党みんしゅとうの幹事かんじとして党とう運営うんえい・議会ぎかい運営うんえいに携たずさわった。また、2004年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょへの出馬しゅつばにも意欲いよくを見みせたが、最終さいしゅう的てきに断念だんねんした。

その後ご、2006年ねん11月の中なか間あいだ選挙せんきょで民主党みんしゅとうが多数たすう党とうに返かえり咲ざいてからは、2007年ねん1月がつ4日にちより2度目どめの外交がいこう委員いいん長ちょう職しょくを務つとめている。また同時どうじに、司法しほう委員いいん会かいに連つらなる犯罪はんざいおよび麻薬まやくに関かんする小しょう委員いいん会かいの委員いいん長ちょうを務つとめている。特とくに外交がいこう委員いいん会かいでは、同どう委員いいん会かいのリーダーとして、また外交がいこう通どおりとして、積極せっきょく的てきな発言はつげんを行おこなった。また、上院じょういん本ほん会議かいぎにおいても、行いき詰づまりを見みせていたイラク政策せいさくに関連かんれんして、2007年ねん9月26日にちに共和党きょうわとうのサム・ブラウンバック上院じょういん議員ぎいんと共ともに、法的ほうてき拘束こうそく力りょくのない「イラク分割ぶんかつ決議けつぎ」を75対たい23で成立せいりつさせた。

2度目どめの大統領だいとうりょう選挙せんきょ挑戦ちょうせん・副ふく大統領だいとうりょうへ

2008年ねんには自身じしん2度目どめの大統領だいとうりょう選挙せんきょとなる2008年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょに挑戦ちょうせんするが、バラク・オバマ候補こうほとヒラリー・クリントン候補こうほの2強きょうが他たを突つき放はなす形勢けいせいとなり、1月がつ3日にちに撤退てったいした。しかし8月がつ23日にちに大統領だいとうりょう候補こうほの指名しめいを確実かくじつにしたオバマから副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ指名しめいの意向いこうが発表はっぴょうされ、これを受諾じゅだくしてその後ご8月がつ27日にちにコロラド州しゅうデンバーで開催かいさいされた民主党みんしゅとう全国ぜんこく大会たいかいで、オバマと共ともに民主党みんしゅとうの正せい副ふく大統領だいとうりょう候補こうほに正式せいしき指名しめいされた。

副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ指名しめい内定ないてい後ごの初はつ集会しゅうかいにて。左ひだりからバラク・オバマ、ミシェル・オバマ、ジル・バイデン、ジョー・バイデン (8月がつ23日にち)

オバマの副ふく大統領だいとうりょう候補こうほとしてメディアから有力ゆうりょく視しされていたのは、オバマの最大さいだいの対抗たいこう馬ばであったヒラリー・クリントンであった。激はげしい予備よび選せんの過程かていでオバマとクリントンの支持しじ者しゃ同士どうしの感情かんじょうが険悪けんあく化かしており、党内とうない融和ゆうわのためにもオバマ-クリントンの「ドリームチケット」が期待きたいされていた。そのためバイデンが選えらばれた事ことに関かんしては少すくなからず驚おどろきの声こえがあった。この選択せんたく理由りゆうとしては次つぎのような点てんが評価ひょうかされたためと言いわれている。

• オバマが弱よわいとされている有権者ゆうけんしゃ層そうである白人はくじん（特とくに白人はくじん労働ろうどう者しゃ）・カトリックに強つよいこと。
• 民主党みんしゅとう中道ちゅうどう派はの重鎮じゅうちんであり、政治せいじ的てき・思想しそう的てきに偏かたよりが少すくないという点てん。当時とうじクリントンはオバマ同様どうように民主党みんしゅとうでもリベラル寄よりと見みなされており、リベラル同士どうしのチケットでは本ほん選挙せんきょの鍵かぎを握にぎる中道ちゅうどう層そうの取とり溢こぼしが懸念けねんされた。
• オバマに関かんして指摘してきされていた経験けいけんで特とくに外交がいこう経験けいけんの不足ふそくを補おぎなう上うえで、上院じょういん外交がいこう委員いいん長ちょうとして外交がいこう経験けいけん豊富ほうふであり、国民こくみんにも“外交がいこう通どおり”として認知にんちされているバイデンは、オバマの弱点じゃくてんをうまく補完ほかんできるという点てん。
• 議会ぎかい対策たいさくの上じょうでも、上院じょういん民主党みんしゅとうの重鎮じゅうちんであったバイデンの影響えいきょう力りょくが期待きたいできること。
• アイルランド系けいカトリックとして労働ろうどう組合くみあいにも太ふといパイプがあること
• 一般いっぱん庶民しょみん層そうの出身しゅっしんという経歴けいれきであること。

しかし、共和党きょうわとうのジョン・マケイン候補こうほがサラ・ペイリンを副ふく大統領だいとうりょう候補こうほに抜擢ばってきしたことと比較ひかくされ、地味じみな選択せんたくとみられた。また、バイデンは予備よび選せんでオバマ候補こうほの経験けいけん不足ふそくを指摘してきしていたため、指名しめい受諾じゅだく後ごにはその点てんを共和党きょうわとう側がわより批判ひはんされた。

本ほん選挙せんきょの選挙せんきょ戦せんでは、オバマが攻撃こうげき的てきな発言はつげんを抑制よくせいするかたわらバイデンはマケインへの激はげしい批判ひはんを展開てんかいした。ペイリンとの副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ討論とうろん会かい後ごの世論せろん調査ちょうさでは「討論とうろんはバイデンの勝利しょうり」と答こたえた者ものが多数たすうを占しめたものの、好感こうかん度どの面めんではペイリンに軍配ぐんばいを上あげる者ものが多おおかった。

2008年ねん11月4日にち（現地げんち時間じかん）に行おこなわれた大統領だいとうりょう選挙せんきょの投開票とうかいひょうにおいて、民主党みんしゅとうのバラク・オバマが第だい44代だいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょうに当選とうせんしたことに伴ともない、自身じしんも第だい47代だいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく副ふく大統領だいとうりょうに当選とうせんが確定かくていした。

ちなみにバイデンは大統領だいとうりょう選挙せんきょでの敗北はいぼくも想定そうていした上うえで、大統領だいとうりょう選挙せんきょと同日どうじつ投票とうひょうとなった上院じょういん議員ぎいん選挙せんきょにも出馬しゅつばしていた。この選挙せんきょでは選挙せんきょ区く全体ぜんたいの65パーセントの票ひょう（25万まん7484票ひょう）を獲得かくとくし、対立たいりつ候補こうほであった共和党きょうわとうのクリスティン・オドネルに大差たいさを付つける形かたちで、自身じしん7回かい目めとなる上院じょういん議員ぎいん当選とうせんを果はたした。その上うえで2009年ねん1月がつ3日にちに開会かいかいした第だい111期き連邦れんぽう議会ぎかいでは、1月がつ15日にちまで上院じょういん議員ぎいん職しょくに留とまり、同日どうじつ辞職じしょくした。なお自身じしんが務つとめていた上院じょういん外交がいこう委員いいん長ちょう職しょくについては、新あたらしい議会ぎかいの招集しょうしゅうを契機けいきに1月がつ3日にち付づけで辞職じしょくした。外交がいこう委員いいん長ちょうとしての最後さいごの仕事しごととなったのは、1月がつの第だい2週しゅう目めに行いったイラク・アフガニスタン・パキスタンの3カ国かこく歴訪れきほう・首脳しゅのう会談かいだんであった。バイデンの議席ぎせきは、長年ながねんにわたって彼かれのアドバイザーを務つとめていたテッド・カウフマンに、外交がいこう委員いいん長ちょうのポストは2004年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょにおいて民主党みんしゅとうの大統領だいとうりょう候補こうほだったジョン・フォーブズ・ケリー上院じょういん議員ぎいんに引ひき継つがれた。

副ふく大統領だいとうりょう

1期き目めの副ふく大統領だいとうりょう就任しゅうにん宣誓せんせい

2009年ねん1月がつ20日はつかにバラク・オバマの第だい44代だいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう就任しゅうにんに伴ともない、自身じしんも第だい47代だいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく副ふく大統領だいとうりょうに正式せいしきに就任しゅうにんした。連邦れんぽう議会ぎかい議事堂ぎじどう（キャピトル・ヒル）で開催かいさいされたオバマの就任しゅうにん式しきには、セカンドレディとなった妻つまのジルと共ともに出席しゅっせきし、オバマに先立さきだって、ジョン・ポール・スティーブンス連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょ判事はんじの立たち会あいの下したで就任しゅうにん宣誓せんせいを行おこなった。最初さいしょのデラウェア州しゅう出身しゅっしんの副ふく大統領だいとうりょう、また最初さいしょのローマ・カトリックの副ふく大統領だいとうりょうとなった。

また、自身じしんのスタッフ選任せんにんも進すすめ、首席しゅせき補佐ほさ官かんには民主党みんしゅとうのベテラン弁護士べんごしであるロン・クラインを、広報こうほう部長ぶちょうにはタイムのワシントンD.C.支局しきょく長ちょうであるジェイ・カーニーを任命にんめいした。

バイデンは、前任ぜんにん者しゃであるディック・チェイニーが従来じゅうらいの副ふく大統領だいとうりょうとは異ことなり、政策せいさく決定けっていや実務じつむなどジョージ・W・ブッシュ大統領だいとうりょうの政権せいけん運営うんえいにおいて、かなり深ふかい部分ぶぶんまで関かかわっていたのに対たいして、「自みずからは（チェイニー前まえ副ふく大統領だいとうりょうのように）大統領だいとうりょうの政策せいさく決定けっていなどに深ふかく関かかわることはしない」という旨むねを言及げんきゅうしている。その一方いっぽうで、「オバマ大統領だいとうりょうが重大じゅうだいな決断けつだんを下くだす際さいには、その全すべてにおいてアドバイスや助言じょげんを行おこなう」と述のべた。

2011年ねん5月がつ1日にち、ホワイトハウス・シチュエーションルームでオバマ大統領だいとうりょうやバイデン副ふく大統領だいとうりょう、ヒラリー・クリントン国務こくむ長官ちょうかん、ロバート・ゲーツ国防こくぼう長官ちょうかんら国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎメンバーが米べい軍ぐんのビン・ラディン殺害さつがい作戦さくせんを見守みまもる。後方こうほうに9年ねん半はん後ごにバイデンが国務こくむ長官ちょうかんに指名しめいすることになる国家こっか安全あんぜん保障ほしょう担当たんとう大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんアンソニー・ブリンケンの姿すがたも見みえる

オバマ政権せいけんにメンバーによればバイデン副ふく大統領だいとうりょうの政権せいけん内ないでの役割やくわりはあえて反対はんたい意見いけんを述のべることで、他たの人ひとに自分じぶんの立場たちばを守まもらせようとすることにあったと証言しょうげんする。ホワイトハウス首席しゅせき補佐ほさ官かんジェイ・カーニーはバイデンが集団しゅうだん思考しこうに陥おちいるのを防ふせいだと評価ひょうかしている。バイデンの広報こうほう部長ぶちょうも「バイデンはシチュエーションルームの悪あく訳やくを演えんじた」と表現ひょうげんしている。オバマ大統領だいとうりょうも「ジョーの一番いちばんいいところは、みんなが集あつまった時とき、みんなに考かんがえること、自分じぶんの立場たちばを守まもること、あらゆる角度かくどから物事ものごとを見みることを強要きょうようすることにある。それは私わたしにとって非常ひじょうに大事だいじだ」と述のべている

2010年ねん8月がつまでにイラクにおけるアメリカ軍ぐんの役割やくわりを終おわらせると宣言せんげんしたオバマ大統領だいとうりょうは、2008年ねん6月がつにバイデンをイラクに関かんする責任せきにん者しゃに任にんじ、以降いこうバイデンは2カ月かげつに一いち度どはイラクを訪問ほうもんするようになり、イラク政府せいふにアメリカ政府せいふのメッセージを伝つたえる政府せいふ要人ようじんになった。2012年ねんまでバイデンは8回かいイラクを訪問ほうもんしたが、2011年ねんにアメリカ軍ぐんがイラクから撤退てったいするとバイデンのイラクへの関与かんよも減へった。

2010年ねん6月がつ11日にちには2010 FIFAワールドカップ南みなみアフリカ大会たいかいのイングランド対たいアメリカの試合しあいを観戦かんせんし、その後ごエジプトやケニアも訪問ほうもんした。

2010年ねん11月の中なか間あいだ選挙せんきょに民主党みんしゅとうが敗北はいぼくすると長ながい議会ぎかい生活せいかつで共和党きょうわとうともコネクションがあるバイデンの役割やくわりがより重要じゅうようになった。 新しん戦略せんりゃく兵器へいき削減さくげん条約じょうやくの上院じょういん通過つうかを主導しゅどうしたのはバイデンだった。12月にもブッシュ減税げんぜいの延長えんちょうを含ふくむ共和党きょうわとうとの妥協だきょう案あんをまとめた。

2011年ねんのNATOのリビア軍事ぐんじ介入かいにゅうを支持しじした。ロシアとより緊密きんみつな経済けいざい関係かんけいを持もつことに賛成さんせいし、ロシアのWTO加盟かめいを支持しじした。いくつかの報告ほうこく書しょによればバイデンは2011年ねん5月がつ2日にちに実行じっこうされたビン・ラディン殺害さつがい作戦さくせんに反対はんたいしていたという。

オバマ政権せいけんの支持しじ率りつ低下ていか傾向けいこうから、2012年ねん11月の大統領だいとうりょう選挙せんきょでは副ふく大統領だいとうりょう候補こうほをバイデンではなくヒラリー・クリントンに置おき換かえるべきだという声こえも上あがっていたが、オバマは引ひき続つづきバイデンを副ふく大統領だいとうりょう候補こうほにし再選さいせんされた。

2012年ねん12月のサンディフック小学校しょうがっこう銃じゅう乱射らんしゃ事件じけんを受うけて設立せつりつした銃じゅう規制きせいの強化きょうかを検討けんとうするための特別とくべつチームのトップになった。

2014年ねんにロシアがクリミア併合へいごうを強行きょうこうするとオバマ政権せいけんはウクライナ政府せいふを支持しじし、ウクライナ支援しえんとロシア経済けいざい制裁せいさいを行おこなった。バイデンも2015年ねん12月にウクライナ議会ぎかいでウクライナを支持しじする演説えんぜつを行おこなった。バイデンは南米なんべいの指導しどう者しゃにも顔かおが利きき、副ふく大統領だいとうりょう在職ざいしょく中ちゅうに16回かいも訪問ほうもんしている。

2016年ねん8月がつにはセルビアへ訪問ほうもんし、アレクサンダル・ヴチッチ大統領だいとうりょうと会見かいけんし、コソボ戦争せんそう中ちゅうの爆撃ばくげきによる民間みんかん犠牲ぎせい者しゃに哀悼あいとうの意いを表あらわした。コソボではコソボの裁判官さいばんかんや検察官けんさつかんの育成いくせいに貢献こうけんした亡なき息子むすこボー・バイデンの功績こうせきが称となえられて、ボーの名なに因ちなむ高速こうそく道路どうろが作つくられ、父ちちであるジョー・バイデンが式典しきてんに出席しゅっせきした。

2016年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょにはオバマは任期にんき制限せいげんにより出馬しゅつばできないためにバイデンの出馬しゅつばが取沙汰とりざたされ、勝手連かってれん（Draft）のPACも結成けっせいされた。2015年ねん9月がつ11日にちの時点じてんでは出馬しゅつばするか否ひかを決きめていないと述のべたが、同年どうねん10月がつ21日にちに不ふ出馬しゅつばを表明ひょうめい。民主党みんしゅとう予備よび選挙せんきょではオバマ大統領だいとうりょうともども当初とうしょいずれの候補こうほへの支持しじも表明ひょうめいせず、ヒラリー・クリントンが指名しめいを確実かくじつとした後のちの2016年ねん6月がつ9日にちに同どう候補こうほへの支持しじを表明ひょうめいした。

大統領だいとうりょう自由じゆう勲章くんしょう受章じゅしょう時じ

2017年ねん1月がつ12日にち、副ふく大統領だいとうりょうとしての功労こうろうを讃たたえられ、大統領だいとうりょう自由じゆう勲章くんしょうをオバマ大統領だいとうりょうより受章じゅしょうした。受賞じゅしょうを事前じぜんに知しらされていなかったバイデンは涙なみだし、即興そっきょうのスピーチを20分間ふんかん行おこなった。

バイデンは上院じょういんの議長ぎちょう決裁けっさいをしなかった副ふく大統領だいとうりょうであり、その期間きかんが最長さいちょうの副ふく大統領だいとうりょうである。

3度目どめの大統領だいとうりょう選挙せんきょ挑戦ちょうせんで当選とうせん

出馬しゅつばの経緯けいい

2017年ねん6月がつに新あらたな政治せいじ行動こうどう委員いいん会かい「アメリカの可能かのう性せい」を設立せつりつし、2020年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょへの出馬しゅつば検討けんとうを始はじめたとOnebox Newsが報ほうじた。また、同どう政治せいじ行動こうどう委員いいん会かいの責任せきにん者しゃにはバラク・オバマ前ぜん大統領だいとうりょうの2度どの選挙せんきょキャンペーンに携たずさわったグレック・シュルツが就任しゅうにんしている。

2018年ねん12月、モンタナ大学だいがくで行おこなわれた講演こうえん会かいにおいて今後こんご6週間しゅうかん以内いないに2020年ねんの大統領だいとうりょう選せんへの出馬しゅつばの最終さいしゅう的てきな判断はんだんを行おこなうと明言めいげん。そして、2019年ねん4月がつ25日にち、2020年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょへ出馬しゅつばすることを、正式せいしきに公表こうひょうした。

2019年ねん6月がつに行おこなわれた民主党みんしゅとう候補者こうほしゃらによる討論とうろん会かいでは、バイデンのパフォーマンスは酷評こくひょうされたが、8月がつにCNNが民主党みんしゅとうおよび民主党みんしゅとう寄よりの登録とうろく有権者ゆうけんしゃに対たいして行いった候補者こうほしゃに対たいする調査ちょうさでは、29パーセントの支持しじを集あつめて首位しゅいに立たった。しかし予備よび選挙せんきょ・党員とういん集会しゅうかい直前ちょくぜんの2020年ねん1月がつ22日にちのCNNの世論せろん調査ちょうさでは左派さはの候補こうほバーニー・サンダースに支持しじ率りつで抜ぬかれた。

党とう大統領だいとうりょう候補こうほ指名しめい争あらそい

2020年ねん2月がつ14日にち、ネバダ州しゅう・ヘンダーソンでの演説えんぜつ

2020年ねん2月がつ3日にち、民主党みんしゅとう指名しめい候補こうほ選えらびの初戦しょせんであるアイオワ州しゅう党員とういん集会しゅうかいが開催かいさい。翌日よくじつの暫定ざんてい結果けっかの発表はっぴょうでは、中道ちゅうどう派はのピート・ブティジェッジが首位しゅいとなり、バイデンは4位いに沈しずんだ。続つづく2月がつ11日にちのニューハンプシャー州しゅうの予備よび選挙せんきょもサンダースが首位しゅいとなり、バイデンは5位いだった。3戦せん目めの2月がつ22日にちのネバダ州しゅうの党員とういん集会しゅうかいもサンダースが勝利しょうりし、バイデンは2位いながら大差たいさを付つけられた。勝利しょうりできなければ敗退はいたい濃厚のうこうとみられていた同月どうげつ29日にちのサウスカロライナ州しゅうの予備よび選挙せんきょで4戦せん目めにして初はつ勝利しょうりを得えた。

スーパーチューズデーの直前ちょくぜんの3月がつ1日にちにブティジェッジ、翌よく2日にちにはエイミー・クロブシャーがそれぞれ予備よび選挙せんきょ戦せんから撤退てったいすることを表明ひょうめいし、いずれもバイデン支持しじを表明ひょうめいした。これにより民主党みんしゅとう中道ちゅうどう派ははバイデンのもと結束けっそくして左派さはサンダースと対決たいけつする構図こうずとなった。そして3月がつ3日にちに14州しゅうで行おこなわれた予備よび選挙せんきょ・党員とういん集会しゅうかい（スーパーチューズデー）において10州しゅうでサンダースに勝利しょうり、これにより獲得かくとく代議員だいぎいん数すうで首位しゅいに立たつ候補こうほとなった。スーパーチューズデーの勝利しょうりで支持しじ率りつも上昇じょうしょうし、サンダースを抜ぬいて再ふたたび支持しじ率りつ首位しゅいに立たった。3月4日にちにマイケル・ブルームバーグも撤退てったいしてバイデン支持しじを表明ひょうめい。

3月がつ10日とおかにミシガン州しゅうなど6州しゅうの予備よび選挙せんきょ・党員とういん集会しゅうかいがあり、4州しゅうで勝利しょうりしたことでさらに優勢ゆうせいとなった。3月17日にちのフロリダ州しゅうなど3州しゅうの予備よび選挙せんきょでもバイデンが大勝たいしょう、サンダースを更さらに引ひき離はなして指名しめい獲得かくとくが濃厚のうこうとなった。サンダースの岩盤がんばん層そうであったはずのリベラル層そうがサンダースから離はなれてバイデンに投票とうひょうしている傾向けいこうが確認かくにんできる。

3月19日にちに撤退てったい表明ひょうめいしたトゥルシー・ギャバードもバイデン支持しじを表明ひょうめい。最後さいごまで残のこった対立たいりつ候補こうほのサンダースも4月がつ8日にちに撤退てったいを表明ひょうめいし、4月がつ13日にちにバイデン支持しじを表明ひょうめいした。これによりバイデンが指名しめいを確実かくじつにした。

5月25日にちにペンシルベニア州しゅうで黒人こくじん男性だんせいジョージ・フロイドが白人はくじん警察官けいさつかんによって暴行ぼうこう死しさせられた事件じけんをきっかけに始はじまった人種じんしゅ差別さべつ抗議こうぎ運動うんどうのブラック・ライヴズ・マター（BLM）に連帯れんたいを表明ひょうめい。「暴動ぼうどうや略奪りゃくだつ、放火ほうかは抗議こうぎではない。違法いほう行為こういだ」としてデモに乗じょうじての暴力ぼうりょく行為こういは支持しじしないことを明言めいげんしつつ、力ちからによる暴動ぼうどう制圧せいあつを唱となえるトランプ政権せいけんの対応たいおうについては「彼かれ（トランプ）に暴力ぼうりょくを止とめることはできない。もう何なん年ねんも（暴力ぼうりょくを）あおってきたからだ」「トランプ氏しはこの国くにに有害ゆうがいな存在そんざいだ」と述のべ批判ひはんした。

8月がつ11日にち、黒人こくじんとインド系けいのハーフである非ひ白人はくじん女性じょせいカマラ・ハリスを副ふく大統領だいとうりょう候補こうほに選えらんだことを発表はっぴょうした。BLM運動うんどうの高たかまりに配慮はいりょした人選じんせんと考かんがえられている。

8月がつ18日にちに民主党みんしゅとう全国ぜんこく大会たいかいで正式せいしきに党とう大統領だいとうりょう候補こうほに指名しめいされ、20日はつかに指名しめい受諾じゅだく演説えんぜつを行おこない「名誉めいよある米べい大統領だいとうりょう候補こうほ指名しめいを謹つつしんで受諾じゅだくする」「団結だんけつすれば我々われわれは米国べいこくの暗黒あんこくの季き節ぶしを克服こくふくできる。克服こくふくしよう」「米国べいこくが独裁どくさい者しゃにすり寄よる日々ひびに終止符しゅうしふを打うつ。私わたしは、同盟どうめい国こくや友好国ゆうこうこくの側がわに立たち、敵対てきたいする者ものを明確めいかくにする大統領だいとうりょうになる」と述のべた。

大統領だいとうりょう選挙せんきょ本選ほんせん

大統領だいとうりょう選挙せんきょ戦中せんちゅう、バイデンはトランプ政権せいけんの新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん対策たいさく遅おくれについて「ドナルド・トランプが米国べいこくを守まもることに失敗しっぱいし、米国べいこくを恐怖きょうふに陥おとしいれているというのが事実じじつだ」と批判ひはんし、トランプ政権せいけん側がわの「コロナの最悪さいあく期きはすぎた」という主張しゅちょうも否定ひていした。そのためトランプ陣営じんえいが大だい規模きぼ集会しゅうかいを行おこない、参加さんか者しゃがほとんどマスクをしなかったのに対たいし、バイデン陣営じんえいは車くるまを乗のり入いれるドライブイン形式けいしきで集会しゅうかいを行おこない、参加さんか者しゃにはマスク着用ちゃくようを要請ようせいするという対象たいしょう的てきなコロナ対応たいおうが見みられた。

9月29日にちの最初さいしょの大統領だいとうりょう選挙せんきょ討論とうろん会かいではトランプがたびたびバイデンの持もち時間じかんの最中さいちゅうに割わり込こんだため、次回じかいからは候補者こうほしゃの１人ひとりが発言はつげんする際さいに相手あいて側がわのマイクを一定いってい時じ間切まぎる措置そちが取とられることになった。

10月22日にちにテネシー州しゅうナッシュヴィルで開ひらかれた二に度目どめの大統領だいとうりょう選挙せんきょ討論とうろん会かいでは前回ぜんかいと打うって変かわって不規則ふきそく発言はつげんはなくなり、新型しんがたコロナウイルス対策たいさくや北朝鮮きたちょうせん問題もんだい、人種じんしゅ差別さべつや気候きこう変動へんどう対策たいさくなど、様々さまざまな政策せいさく課題かだいについてお互たがいが主張しゅちょうを展開てんかいし、批判ひはんし合あった。人種じんしゅ差別さべつ問題もんだいではトランプが「リンカーン元もと大統領だいとうりょうを除のぞけば私わたしほど黒人こくじんのために貢献こうけんした人物じんぶつはいない」「私わたしはこの部屋へやにいる人ひとのなかで、最もっとも非ひ差別さべつ的てきな人間にんげんだ」と述のべたのに対たいし、バイデンは「現代げんだいの歴史れきしで最もっとも人種じんしゅ差別さべつ主義しゅぎ者しゃの大統領だいとうりょうの一人ひとりがここにいる」と批判ひはんした。

2020年ねん大統領だいとうりょう選挙せんきょ本選ほんせんの両りょう候補こうほの獲得かくとく州しゅうの図ず。数字すうじは州しゅうに割わり当あてられた選挙せんきょ人数にんずう。青あおがバイデン（獲得かくとく選挙せんきょ人数にんずう306人にん）。赤あかがトランプ（同どう232人にん）

11月3日にちに大統領だいとうりょう選挙せんきょ本選ほんせんが実施じっしされ、11月7日にち午前ごぜんに主要しゅようメディアは、バイデンが接戦せっせん州しゅうのラストベルト三さん州しゅう（ペンシルベニア州しゅう、ミシガン州しゅう、ウィスコンシン州しゅう）で勝利しょうりするのが確実かくじつの情勢じょうせいになり、獲得かくとく選挙せんきょ人数にんずうが過半数かはんすうに達たっして当選とうせん確実かくじつになったと報道ほうどうした。これを受うけてバイデンは同日どうじつ夜よるに勝利しょうり宣言せんげんを行おこない「私わたしは分断ぶんだんするのではなく団結だんけつさせる大統領だいとうりょうになると誓ちかいます。赤あかと青あおに分わかれた州しゅうではなく、団結だんけつした州しゅう（合衆国がっしゅうこく）を見みる大統領だいとうりょうに、国民こくみん全員ぜんいんの信頼しんらいを勝かち取とるために全身全霊ぜんしんぜんれいで努力どりょくする大統領だいとうりょうに」と決意けついを述のべた。11月13日にちには全ぜん50州しゅうの勝者しょうしゃが判明はんめいし、バイデンはラストベルト三さん州しゅうのほか、共和党きょうわとうの地盤じばんだったアリゾナ州しゅうとジョージア州しゅうでも勝利しょうりして306人にんの選挙せんきょ人じん（トランプは232人にん）を獲得かくとくする見通みとおしであると複数ふくすうのメディアにより報ほうじられた。

現職げんしょく大統領だいとうりょうトランプは敗北はいぼくを認みとめておらず、政権せいけん移行いこうに協力きょうりょくしないよう各かく省庁しょうちょうに指示しじしていたため、政権せいけん移行いこう手続てつづきが滞とどこおっていたが、手続てつづきの遅おくれは国家こっか安全あんぜん保障ほしょうに悪影響あくえいきょうを与あたえるとの懸念けねんが与野党よやとうに広ひろがったため、11月23日にちに一般いっぱん調達ちょうたつ局きょくが政権せいけん移行いこう手続てつづきを承認しょうにん。バイデンは政権せいけん移行いこうの準備じゅんびのための政府せいふ資金しきんの提供ていきょうや機密きみつ情報じょうほうアクセスなどを受うけられるようになった。

人物じんぶつ

• 身長しんちょうは1メートル82センチである。
• 宗教しゅうきょうはローマ・カトリック。家族かぞくも全員ぜんいんローマ・カトリックの信者しんじゃである。また、現在げんざいでもデラウェア州しゅうグレンヴィルのブランディワイン地区ちくにある聖ひじりジョセフ教会きょうかいのミサに定期ていき的てきに出席しゅっせきしている。バイデンが大統領だいとうりょうに就任しゅうにんすればジョン・F・ケネディ以来いらい60年ねんぶりのカトリック大統領だいとうりょうの誕生たんじょうとなる。
• 酒さけは全まったく飲のまないと公言こうげんしている。これは、彼かれの近親きんしん者しゃにアルコール依存いぞん症しょうが広ひろまっているからだと言いう。
• 幼少ようしょう期きは吃音きつおん症しょうで悩なやみ、20代だいになるまで治なおらなかった。妹いもうとによれば、バイデンは吃音きつおん症しょうを治なおすために、毎日まいにち鏡きょうに向むかって詩しを朗読ろうどくし、懸命けんめいに発音はつおんを矯正きょうせいしていたという。アトランティックとのインタビューで、大人おとなになった今いまも吃音きつおん症しょうの症状しょうじょうがまだあることを認みとめている。
• 毎年まいとし12月18日にちには、前述ぜんじゅつの自動車じどうしゃ事故じこで他界たかいした1人ひとり目めの妻つまネイリアと長女ちょうじょナオミを偲しのぶため、一切いっさいの仕事しごとをしない。
• 前述ぜんじゅつのような波瀾万丈はらんばんじょうの経歴けいれきから、「サバイバー」と呼よばれることもある。
• 副ふく大統領だいとうりょうに就任しゅうにんするにあたって、シークレットサービスからコード名めい（警護けいご官等かんとうが警護けいご任務にんむ中ちゅうの無線むせん通信つうしんの際さいに用もちいる通称つうしょう）を割わり当あてられており、そのコード名めいは「セルティック」である。これは、「ケルト系けいの」という意味いみを持もつ言葉ことばであり、バイデンのアイルランド系けい移民いみんの子孫しそん、という出自しゅつじに基もとづいたものである。
• フィラデルフィア・フィリーズのファンであり、民主党みんしゅとう党員とういん集会しゅうかいではジミー・ロリンズから特製とくせいユニフォームを手渡てわたされた。
• 2010年ねん3月23日にち、国民こくみん皆みな保険ほけん制度せいどへの道みちを開ひらく医療いりょう保険ほけん改革かいかく法ほうにオバマ大統領だいとうりょうが署名しょめいした際さい、オバマと抱だき合あい、嬉うれしさのあまり「This is a big fucking deal!」（これは大たいしたものだ！）と思おもわず発言はつげんした。「Fuck」は英語えいご圏内けんないでは極きわめて下品げひんな言葉ことばであり、関係かんけい者しゃは火消ひけしに追おわれた。
• 2匹ひきのジャーマンシェパード（チャンプ、メイジャー）を飼かっている。チャンプは2008年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょが終おわった後のち、妻つまのジルとの犬いぬを選えらぼうという約束やくそくで飼かうことになった。メイジャーは2018年ねんにデラウェア州しゅうの動物どうぶつ保護ほご団体だんたいを通とおして、バイデン家かに引ひき取とられた。この2匹ひきの犬いぬもホワイトハウスへ連つれていく予定よていである。トランプ大統領だいとうりょうは100年ねんぶりのペットを飼かってない大統領だいとうりょうだったので「ファーストペット」の伝統でんとうが復活ふっかつする形かたちとなる。猫ねこを飼かうことを検討けんとうしているとの報道ほうどうもある。2020年ねん11月28日にちにメイジャーと遊あそんでいたときに転ころんで右みぎ足首あしくびをねんざし、コンピューター断層だんそう撮影さつえい装置そうち（CT）による検査けんさで足あしの骨ほねに小ちいさなひびが見みつかったため、数すう週間しゅうかんは足あしを保護ほごするブーツを履はいて暮くらすこととなった。
• 上院じょういん議員ぎいん時代じだい、副ふく大統領だいとうりょう時代じだいからアムトラックを愛用あいようしており、これで約やく8000回かい地元じもととワシントンを行いき来きしたという。そのため「アムトラック・ジョー」の異名いみょうをとった。2021年ねん1月がつに予定よていされる大統領だいとうりょう就任しゅうにん式しきにも地元じもとデラウェア州しゅうウィルミントンから首都しゅとワシントンにアムトラックを使つかって移動いどうする計画けいかくが検討けんとうされているという。

日本にっぽんとの関係かんけい

• 2011年ねん8月がつに副ふく大統領だいとうりょうとして来日らいにちし、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい地ち宮城みやぎ県けんを訪問ほうもんしている。当時とうじ「トモダチ作戦さくせん」で米べい軍ぐん部隊ぶたいが復旧ふっきゅうに携たずさわった仙台せんだい空港くうこうでバイデンを出迎でむかえた知事ちじ村井むらい嘉浩よしひろは、2020年ねんにバイデンが大統領だいとうりょう選挙せんきょに当選とうせんした後のち「宮城みやぎと非常ひじょうにつながりのある方ほうだ」「被災ひさい地ちに心しんを寄よせていただいた。大統領だいとうりょうになることは大変たいへんうれしい」というコメントを出だした。
• 2013年ねん12月がつ上旬じょうじゅんにも副ふく大統領だいとうりょうとして来日らいにちし、内閣ないかく総理そうり大臣だいじん安倍晋三あべしんぞうと会見かいけんした。この際さいにこれまで米べい政府せいふが控ひかえめに警告けいこくしてきた靖国やすくに参拝さんぱいへの懸念けねんがバイデンから安倍あべに伝つたえられ、米べい政府せいふは日本にっぽん側がわに正まさしく伝つたわったと思おもっていたところ、それから間あいだもない12月26日にちに安倍あべの靖国やすくに参拝さんぱいが行おこなわれたため、これが米国べいこく政府せいふが異例いれいの「心しんから失望しつぼう」声明せいめいを出だすことにつながったと見みられている。
• 2016年ねん8月がつ15日にち、ペンシルベニア州しゅうでの演説えんぜつで当時とうじ日本にっぽんなどの核保有かくほゆう容認ようにん論ろんを展開てんかいしていた共和党きょうわとう大統領だいとうりょう候補こうほドナルド・トランプへの批判ひはんのために「（日本にっぽんが）核保有かくほゆう国こくになり得えないとする日本国にっぽんこく憲法けんぽうを、私わたしたちが書かいたことを彼かれ（トランプ氏し）は知しらないのか」と発言はつげん。アメリカ政府せいふの要人ようじんによって、アメリカによる日本国にっぽんこく憲法けんぽうの起草きそうが強調きょうちょうされることは異例いれいである。
• 2020年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょ戦中せんちゅう、バイデン陣営じんえいが任天堂にんてんどうのゲーム機き「ニンテンドースイッチ」向むけのゲーム「あつまれ どうぶつの森もり」の中なかに「選挙せんきょ本部ほんぶ」を設置せっちした。
• バイデンの大統領だいとうりょう選挙せんきょ当選とうせん後ご、熊本くまもと県けん山都やまと町まちの町長ちょうちょう梅田うめだ穣みのるが音読おんよみすると「バイデン・ジョウ」と読よめることから「日本にっぽんのジョー・バイデン」と呼よばれて話題わだいになった。また山口やまぐち県けん宇部うべ市しのバス停ばすてい「上うえ梅田うめだ」と福島ふくしま県けん須賀川すかがわ市しのバス停ばすてい「上うえ梅田うめだ」も音読おんよみで「ジョウバイデン」と読よめることから話題わだいになった。

家族かぞく・出自しゅつじ

詳細しょうさいは「ジョー・バイデンの家族かぞく」を参照さんしょう

若わかい頃ころのジョー・バイデンとジル・バイデン夫妻ふさい。

バイデンは前述ぜんじゅつのようにアイルランド系けい移民いみんの子孫しそんであり、バイデン家か自体じたいはロンドンデリーに起源きげんを持もつ家系かけいである。前述ぜんじゅつのように4人にん兄弟きょうだいの長男ちょうなんとして生うまれ、弟おとうとが2人ふたりと妹いもうとが1人ひとりがいる。また、最初さいしょの妻つまネイリアとの間あいだに2男なん1女じょ、2番目ばんめの妻つまジルとの間あいだに1女じょをもうけている。彼かれの主おもな家族かぞく・祖先そせんは以下いかの通とおり。

• エドワード・F・ブレウィット：曾祖父そうそふ。ペンシルベニア州しゅう議会ぎかい上院じょういん議員ぎいんを務つとめていた。
• ジョセフ・ロビネット・バイデン・シニア：父ちち（1915年ねん - 2002年ねん）。
• キャスリーン・ユージニア “ジーン” フィネガン：母はは（1918年ねん - 2010年ねん）。
• ジェームズ・ブライアン・バイデン：弟おとうと。
• フランシス・W・バイデン：弟おとうと。
• ヴァレリー・バイデン・オーウェンズ：妹いもうと。
• ネイリア・ハンター：最初さいしょの妻つま。1972年ねんに死別しべつ。
• ジョセフ・ロビネット “ボー” バイデン3世せい：長男ちょうなん（1969年ねん - 2015年ねん）。デラウェア州しゅうの司法しほう長官ちょうかんを務つとめた。脳腫瘍のうしゅようで死去しきょ。民主みんしゅ党員とういん。
• ロバート・ハンター・バイデン：次男じなん（1970年ねん - ）。ロビイングを手てがける事務所じむしょオルデイカー・バイデン&ブレアLLPの共同きょうどう設立せつりつ者しゃならびにアムトラックの経営けいえい委員いいん会かいの副ふく議長ぎちょうを務つとめる。
• ナオミ・クリスティーナ・バイデン：長女ちょうじょ（1971年ねん - 1972年ねん）。前述ぜんじゅつのように、ネイリアと共ともに事故じこで死別しべつ。
• ジル・トレイシー・ジェイコブス・バイデン：2番目ばんめの妻つま。セカンドレディ。
• アシュリー・ブレイザー・バイデン：次女じじょ（1981年ねん - ）。現在げんざいはソーシャルワーカーとして勤務きんむ。

政策せいさくスタンス・主おもな活動かつどう

基本きほん的てきな立場たちば

民主党みんしゅとう内うちでは中道ちゅうどう派はに位置付いちづけられ、上院じょういん議員ぎいん時代じだいは民主党みんしゅとう所属しょぞく者しゃの51パーセントよりもリベラルな立場たちばをとっていた。リベラル支持しじ団体だんたいのAmericans for Democratic Action（アメリカンズ・フォー・デモクラシック・アクション）からは80パーセントのリベラルスコアを授与じゅよされた一方いっぽう、保守ほしゅ主義しゅぎ団体だんたい American Conservative Union からは13パーセントの保守ほしゅスコアを授与じゅよされた。

外交がいこう

自身じしんが最もっとも得意とくいとする外交がいこう分野ぶんやにおいては様々さまざまな発言はつげんや政策せいさく提言ていげんを行おこなっている他ほか、各国かっこくを訪問ほうもんするなど行動こうどう派はの一いち面めんも見みせている。

基本きほんスタンス

彼かれは国際こくさい自由じゆう主義しゅぎ（リベラル・インターナショナリズム）の信奉しんぽう者しゃであり、彼かれの外交がいこう政策せいさくスタンスにも反映はんえいされている。上院じょういんにおいては、同おなじくリベラル・インターナショナリズムを掲かかげる共和党きょうわとうの重鎮じゅうちんであるリチャード・ルーガー・ジェシー・ヘルムズ両りょう上院じょういん議員ぎいん（ヘルムズは故人こじん）と投票とうひょう行動こうどうを共ともにすることが多おおく、その為ため彼かれの出身しゅっしん政党せいとうである民主党みんしゅとうの方針ほうしんに反はんすることもしばしばあった。

大統領だいとうりょう選挙せんきょ当選とうせん後ごの2020年ねん11月24日にちには「米国べいこくは戻もどってきた」「力ちからによってだけでなく、模範もはんとなり世界せかいを主導しゅどうする」「世界せかいに背せを向むけるのではなく導みちびく。敵対てきたい国こくに対抗たいこうし、同盟どうめい国こくを遠とおざけない。われわれの価値かち観かんのために立たち上あがる」と述のべ、トランプの米国べいこく第だい一いち主義しゅぎとは決別けつべつして国際こくさい社会しゃかいの主導しゅどう役やくに戻もどり、法ほうの支配しはいや民主みんしゅ主義しゅぎ、人権じんけんといった価値かち観かん外交がいこうを行おこない、同盟どうめい国こくを重視じゅうしする方針ほうしんを示しめした。

最初さいしょの大だい舞台ぶたい

バイデンを一躍いちやく有名ゆうめいにしたのは1979年ねんに第だい二に次じ戦略せんりゃく兵器へいき制限せいげん交渉こうしょう（SALT II）をめぐる一連いちれんの活動かつどうである。SALT IIは1979年ねんにオーストリアのウィーンにおいて、アメリカのジミー・カーター大統領だいとうりょうとソ連それんのレオニード・ブレジネフ書記しょき長ちょうの間あいだで調印ちょういんされ、後のちは連邦れんぽう議会ぎかいの承認しょうにん・批准ひじゅんを待まつのみとなっていた。しかし原案げんあんでは批准ひじゅんに必要ひつような議員ぎいん数すうの3分ぶんの2以上いじょうの賛成さんせいを得えることは厳きびしい情勢じょうせいであり、上院じょういん執行しっこう部ぶは対応たいおうに苦慮くりょし、修正しゅうせい案あんを加くわえることで賛成さんせいを得えられる見込みこみがたったものの、修正しゅうせい案あん追加ついかには相手あいて国こくであるソ連それんの承認しょうにんが必要ひつようであった。そこで執行しっこう部ぶは当時とうじ2期き目めの若手わかて上院じょういん議員ぎいんの1人ひとりであり、ちょうど所用しょようでモスクワに向むかうことになっていたバイデンに、当時とうじのソ連それんのアンドレイ・グロムイコ外相がいしょうと交渉こうしょうし、修正しゅうせい案あん追加ついかの承諾しょうだくを得えてくるという重大じゅうだいな任務にんむを託たくしたのである。この当時とうじグロムイコはその強硬きょうこうな交渉こうしょう姿勢しせいから「ミスター・ニエット」（“ニエット”はロシア語ごで“NO”を意味いみする）の異名いみょうを取とるなど百戦錬磨ひゃくせんれんまの外交がいこう官かんとして恐おそれられており、若手わかて議員ぎいんのバイデンにとってこの任務にんむは大変たいへんな重責じゅうせきであった。しかし最終さいしゅう的てきに、彼かれは“ミスター・ニエット”のグロムイコに修正しゅうせい案あん追加ついかを認みとめさせることに成功せいこうしたのである。結局けっきょくSALT IIは同年どうねん末まつから開始かいしされたソ連それんのアフガニスタン侵攻しんこうが原因げんいんで連邦れんぽう議会ぎかいの批准ひじゅん拒否きょひを受うけ、1985年ねんに期限切きげんぎれを迎むかえてしまったものの、アフガニスタン侵攻しんこうが無なければ、最大さいだいの難関なんかんであった上院じょういん外交がいこう委員いいん会かいでの承認しょうにんは確実かくじつだった。い換いかえればそれほどの“大だい金星きんぼし”だったのである。この成功せいこうはその後ご交渉こうしょう術じゅつなどさまざまな分野ぶんやの書籍しょせきでも取とり上あげられている。

コソヴォ問題もんだい

バイデンはバルカン半島ばるかんはんとうで特とくにコソヴォにおける紛争ふんそう問題もんだいにも積極せっきょく的てきに取とり組くみ、1990年代ねんだいに同どう紛争ふんそうが国際こくさい的てきな注目ちゅうもくを集あつめ、ビル・クリントン大統領だいとうりょうの政策せいさくにも影響えいきょうを与あたえるよう尽力じんりょくしたことで知しられている。彼かれは紛争ふんそう地域ちいきを繰くり返かえし訪問ほうもんする一方いっぽうで、コソヴォ紛争ふんそう当時とうじのユーゴスラビア大統領だいとうりょうであり、セルビア人じん勢力せいりょくの代表だいひょうでもあったスロボダン・ミロシェヴィッチと深夜しんやに極秘ごくひ会談かいだんを行おこない事態じたい打開だかいを図はかろうとするなど、同どう紛争ふんそう解決かいけつに向むけて奔走ほんそうした。

コソヴォ紛争ふんそうにおけるNATO軍ぐんの直接ちょくせつ介入かいにゅうの決定けっていには、過去かこのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争ふんそうでの経験けいけんが関かかわっている。コソヴォ紛争ふんそうのおよそ5年ねん前まえに発生はっせいしたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争ふんそうのさなかにあった1993年ねん頃ごろ、交渉こうしょうによる事態じたい打開だかいが難むずかしい情勢じょうせいになると、ムスリム人じん主導しゅどうのボスニア・ヘルツェゴビナ政府せいふへの武器ぶき禁輸きんゆ解除かいじょや戦争せんそう犯罪はんざいの調査ちょうさ、NATO軍ぐんによる空爆くうばくの実施じっしなどを主おもとする積極せっきょく的てきな介入かいにゅうを政府せいふに訴うったえるようになる。この時ときの提言ていげんは、クリントン大統領だいとうりょうが1999年ねんのコソヴォ危機ききに際さいしてに実行じっこうされたアライド・フォース作戦さくせんなど、主おもにセルビア人じん勢力せいりょくによるアルバニア系けい住民じゅうみんへの組織そしき的てき人権じんけん侵害しんがいに対たいする武力ぶりょく制裁せいさい・介入かいにゅうを容認ようにんする上じょうで、重要じゅうようなきっかけとなった。また、コソヴォ危機きき時じには、セルビアに対たいするアメリカの直接ちょくせつ攻撃こうげきを擁護ようごする姿勢しせいを表明ひょうめいし、これに賛同さんどうする共和党きょうわとう議員ぎいんと協力きょうりょくして、セルビアに対たいして「必要ひつようなあらゆる武力ぶりょく」を行使こうしする権限けんげんをクリントン大統領だいとうりょうに与あたえるとする、「マケイン＝バイデン・コソヴォ決議けつぎ」を成立せいりつさせた。バイデン自身じしんは大統領だいとうりょう選挙せんきょ運動うんどう用ように刊行かんこうされた自伝じでんの中なかにおいて、この時ときの活動かつどうを「海外かいがい政策せいさくにおいて最もっとも誇ほこりに思おもう実績じっせき」だと書かいている。

中東ちゅうとう政策せいさく

上院じょういん外交がいこう委員いいん会かいのイラク問題もんだい公聴こうちょう会かいにおいて、冒頭ぼうとう陳述ちんじゅつと参考さんこう人じんであるデービッド・ペトレイアス将軍しょうぐん（イラク駐留ちゅうりゅうアメリカ軍ぐん司令しれい官かん。現在げんざいはアメリカ中央ちゅうおう軍ぐん総そう司令しれい官かん。）とライアン・クロッカー駐ちゅうイラク大使たいしに対たいする質問しつもんを行おこなうバイデン。(2007年ねん9月がつ11日にち)

バイデンとイラクとの関かかわりは、1991年ねんに湾岸わんがん戦争せんそうにおける対たいイラク武力ぶりょく行使こうしに反対はんたいしたことが最初さいしょである。

2003年ねんから始はじまったイラク戦争せんそうにおいては、ジョージ・W・ブッシュ政権せいけんが武力ぶりょく行使こうしを表明ひょうめいした際さいには、これを容認ようにんする姿勢しせいを示しめし、前述ぜんじゅつの「イラクに対たいする武力ぶりょく行使こうし容認ようにん決議けつぎ」にも賛成さんせい票ひょうを投とうじている。しかしながらブッシュ政権せいけんが目指めざしたサッダーム・フセイン独裁どくさい体制たいせいの排除はいじょには反対はんたいを表明ひょうめいしていた。また、ブッシュ政権せいけんの一いち国こく主義しゅぎ的てきな行動こうどうや、「自衛じえいのための先制せんせい攻撃こうげき」を許容きょようするブッシュ・ドクトリンについても批判ひはんしている。このように、ブッシュ政権せいけんを批判ひはんしつつも、当初とうしょはイラク戦争せんそう開戦かいせんに肯定こうてい的てきだったバイデンだが、その後ごイラク国内こくないの情勢じょうせいが泥沼どろぬま化かの様相ようそうを呈ていしてくると、一転いってんして反対はんたいに転てんじ、2007年ねん初はじめに政府せいふが提案ていあんしたイラクへのアメリカ軍ぐん増派ぞうは法案ほうあんについても反対はんたいした。

バイデンがイラク戦争せんそうとそれに伴ともなう混乱こんらん・内戦ないせんを収拾しゅうしゅうする手段しゅだんとしてかねてより提唱ていしょうしているのが、いわゆる「イラク3分割ぶんかつ案あん」である。この案あんは、イラクをそれぞれシーア派は・スンニ派は・クルド人じんの区域くいきに分割ぶんかつし、これら3つの区域くいきから成なる連邦れんぽう国家こっかにするという物ものである。この案あんを上記じょうきのアメリカ軍ぐん増派ぞうは法案ほうあんへの対案たいあんとして正式せいしきに提案ていあんした物ものが、前述ぜんじゅつの「イラク分割ぶんかつ決議けつぎ案あん」である。この決議けつぎの提案ていあんにあたっては、バイデンと同おなじイラク分割ぶんかつ論ろん者しゃである共和党きょうわとうのサム・ブラウンバック上院じょういん議員ぎいんも賛成さんせいを表明ひょうめいし、共同きょうどう提案ていあん者しゃとして名なを連つらねた。なおこの決議けつぎ案あんは2007年ねん9月26日にちに上院じょういんにおいて75対たい23の賛成さんせい多数たすうで成立せいりつした。

オバマ政権せいけん誕生たんじょう後ご、オバマ大統領だいとうりょうから「ジョー、あなたがイラクをやるんだ（Joe, you do Iraq）」と言いわれて副ふく大統領だいとうりょうのバイデンがイラク問題もんだいを所管しょかんすることになった。バイデンはイラクはこの政権せいけんの大おおきな成果せいかの一ひとつになるかもしれないなと感かんじたという

対たい中国ちゅうごく政策せいさく

もともとバイデンは1970年代ねんだい以降いこうのアメリカの対たい中ちゅう関与かんよ政策せいさくを支持しじしてきた人物じんぶつで、オバマ政権せいけんの副ふく大統領だいとうりょうだった頃ころには習近平ひらたと会談かいだんしたこともあったが、近年きんねんは中国ちゅうごくへの態度たいどを急速きゅうそくに硬化こうかさせている。バイデンに限かぎらず、ここ数すう年ねんの間あいだ、共和党きょうわとう・民主党みんしゅとうの党派とうはを超こえてアメリカ政界せいかい全体ぜんたいに中国ちゅうごくは米べい主導しゅどうの世界せかい秩序ちつじょの脅威きょういであるとの認識にんしきが広ひろがっている。大統領だいとうりょう選挙せんきょ運動うんどう中ちゅうバイデンが中国ちゅうごく政府せいふによる香港ほんこんの抗議こうぎ運動うんどうの弾圧だんあつや、ウイグル族ぞくの強制きょうせい収容しゅうようなどを批判ひはんして習近平たいらを「悪党あくとう」と呼よんだことはそれを象徴しょうちょうする。

外交がいこう官かんジェームズ・グリーンは「新しん政権せいけんは中国ちゅうごくに甘あまいという批判ひはんから脇わきを守まもる必要ひつようがある」「2010年代ねんだい半なかばの米べい中ちゅう関係かんけいへの回帰かいきは望のぞめない」と分析ぶんせきする。

大統領だいとうりょう選挙せんきょ当選とうせん後ごの演説えんぜつの中なかでバイデンは「中国ちゅうごくに対たいする最良さいりょうの戦略せんりゃくは、すべての同盟どうめい国こくなどと足並あしなみをそろえることで、就任しゅうにん当初とうしょの数すう週間しゅうかんは、これが最さい優先ゆうせん事項じこうになる」と述のべており、中国ちゅうごくに対たいしては日本にっぽんを含ふくむ多国たこく間あいだの枠組わくぐみで対応たいおうするべきだという考かんがえを示しめしている。トランプ政権せいけんが伝統でんとう的てきな同盟どうめい国こくである日本にっぽんや韓国かんこく、欧州おうしゅうなどを「安保あんぽのただ乗のりをしている」「貿易ぼうえきで不正ふせいを働はたらいている」と非難ひなんしてきたのに対たいし、バイデンはこうしたことをせず同盟どうめい国こくとの連携れんけいを深ふかめることで中国ちゅうごくに協調きょうちょう行動こうどうを取とらせることを約束やくそくしている。またバイデンはオバマ政権せいけん時代じだいから米国べいこくの軍事ぐんじ的てき優先ゆうせん事項じこうを中東ちゅうとうからアジアに移うつす推進すいしん役やくになってきたので、今後こんごも中国ちゅうごくの南シナ海みなみしなかい侵出しんしゅつへの牽制けんせいなどインド太平洋たいへいよう地域ちいき重視じゅうし戦略せんりゃくを維持いじするだろうとする分析ぶんせきがある。

一方いっぽうバイデンは大統領だいとうりょう選挙せんきょ戦中せんちゅうにはトランプ政権せいけんが関税かんぜいの上あげ下さげによって中国ちゅうごくに圧力あつりょくをかけていることについて「懲罰ちょうばつ的てきな手法しゅほうはとらない」と発言はつげんして否定ひてい的てきな見解けんかいを示しめしていた。しかし当選とうせんが確実かくじつになった後のちにはトランプ政権せいけんがこれまで発動はつどうしてきた中国ちゅうごく製品せいひんに最大さいだい25％の関税かんぜいを上乗うわのせする措置そちやアメリカ産さん農産物のうさんぶつを大量たいりょう購入こうにゅうさせることを盛もり込こんだ貿易ぼうえき協定きょうていについて「すぐに動うごかすつもりはない」と述のべて当面とうめん維持いじする考かんがえを示しめしている。また「知的ちてき財産ざいさん権けんの侵害しんがいや違法いほうな産業さんぎょう補助ほじょ金きんなどを是正ぜせいするための貿易ぼうえき政策せいさくを進すすめる」と述のべて中国ちゅうごくに厳きびしく改革かいかくを求もとめていく姿勢しせいも示しめした。

司法しほう

バイデンは外交がいこう通どおりとしてのイメージが強つよいが、司法しほう政策せいさくにも精通せいつうしていることで知しられている。特とくに上院じょういん司法しほう委員いいん会かいでの活動かつどうは、1977年ねんに初はじめて委員いいんに就任しゅうにんしてから現在げんざいに至いたるまで約やく30年ねんにも及およんでいる。その為ため同どう委員いいん会かいでの役職やくしょく経験けいけんも豊富ほうふであり、前述ぜんじゅつのように、1987年ねんから1995年ねんまでの8年間ねんかんにわたって委員いいん長ちょうを務つとめたほか、1981年ねんから1987年ねんと1995年ねんから1997年ねんの2度どにわたって、委員いいん会かいにおける少数しょうすう党とう代表だいひょう者しゃ（ranking minority member）を務つとめた。（「委員いいん会かいにおける少数しょうすう党とう代表だいひょう者しゃ」は、各かく委員いいん会かいにおける少数しょうすう党とう出身しゅっしん委員いいんの代表だいひょう者しゃであり、委員いいん会かいにおいては副ふく委員いいん長ちょうと同格どうかくの扱あつかいを受うける（実際じっさいに副ふく委員いいん長ちょうに就任しゅうにんしている委員いいん会かいもある）要職ようしょくである。多おおくの委員いいん会かいにおいて、同職どうしょくは委員いいん長ちょうと共ともに、各かく委員いいん会かいの下したに連つらなる全すべての小しょう委員いいん会かいのメンバーとなる。また、議会ぎかいにおいて与野党よやとうが逆転ぎゃくてんした際さいは、多おおくの場合ばあい、少数しょうすう党とう代表だいひょう者しゃが次つぎの委員いいん長ちょうに就任しゅうにんする。）

また司法しほう委員いいん会かいに連つらなる5つの小しょう委員いいん会かいにも在籍ざいせきしており、前述ぜんじゅつのように犯罪はんざい及および麻薬まやくに関かんする小しょう委員いいん会かいでは委員いいん長ちょうを務つとめている。5つの小しょう委員いいん会かいは下記かきの通とおりである。

• 犯罪はんざい及および麻薬まやくに関かんする小しょう委員いいん会かい
• 反はんトラスト競争きょうそう政策せいさくおよび消費しょうひ者しゃ権利けんりに関かんする小しょう委員いいん会かい
• 人権じんけん及および法ほうに関かんする小しょう委員いいん会かい
• 入国にゅうこく管理かんり・国境こっきょう警備けいびならびに難民なんみんに関かんする小しょう委員いいん会かい
• テロ・技術ぎじゅつならびに国土こくど安全あんぜん保障ほしょうに関かんする小しょう委員いいん会かい

また上記じょうきの委員いいん会かい活動かつどうと並行へいこうして、麻薬まやく政策せいさくに関かんして連邦れんぽう政府せいふへの監視かんし・諮問しもんを行おこなう上院じょういん国際こくさい麻薬まやく取締とりしまり委員いいん会かい（The United States Senate Caucus on International Narcotics Control）の議長ぎちょうを務つとめる他ほか、上院じょういんのNATOオブザーバーグループの共同きょうどう議長ぎちょうも務つとめている。

主おもな政策せいさく

バイデンは司法しほう委員いいんとして様々さまざまな問題もんだいに取とり組くんでいるが、その中なかでも麻薬まやく政策せいさくに熱心ねっしんに取とり組くんでいる。また、麻薬まやく政策せいさくのみならず、犯罪はんざい防止ぼうし政策せいさくや人権じんけん政策せいさくなどにも積極せっきょく的てきに取とり組くんでいる。

連邦れんぽう最高裁さいこうさい判事はんじの承認しょうにん問題もんだい

上院じょういん司法しほう委員いいん会かいの重要じゅうような任務にんむの1つに、アメリカ連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょ判事はんじの承認しょうにんがある。司法しほう委員いいん会かいは上院じょういん本ほん会議かいぎでの投票とうひょうに先立さきだち公聴こうちょう会かいを開催かいさいし、大統領だいとうりょうが指名しめいした判事はんじ候補者こうほしゃに対たいして質疑しつぎ応答おうとう・投票とうひょうによる審査しんさを行おこなうが、バイデンは委員いいん長ちょうとして、大おおきな議論ぎろんを呼よんだ2度どの公聴こうちょう会かいを主催しゅさいしている。

• ロバート・ボーク候補こうほへの公聴こうちょう会かい（1987年ねん）

  バイデンが初はじめて主催しゅさいした判事はんじ候補者こうほしゃに対たいする公聴こうちょう会かいは、保守ほしゅ派はの大物おおものであったロバート・ボーク候補こうほに対たいするものであった。

  ボークはロナルド・レーガン大統領だいとうりょうによって判事はんじ候補者こうほしゃに指名しめいされたのだが、バイデンは指名しめい直後ちょくごから反対はんたいを明言めいげんした。しかし、彼かれは前年ぜんねんにボークの指名しめいが確実視かくじつしされていた際さいに受うけたインタビューで賛成さんせいする意向いこうを表明ひょうめいしていたため、この早々そうそうの反対はんたい表明ひょうめいは「公正こうせいな公聴こうちょう会かい運営うんえいができない」として保守ほしゅ派はの怒いかりを買かった。しかし彼かれは、この公聴こうちょう会かいの期間きかん中ちゅうに彼かれの大統領だいとうりょう選挙せんきょキャンペーンが挫折ざせつ・撤退てったいを余儀よぎなくされたにも関かかわらず、公平こうへいに、かつ素晴すばらしいユーモアと度胸どきょうを持もって公聴こうちょう会かいを仕切しきったことで、最終さいしゅう的てきに高たかく評価ひょうかされることになったのである。

  そもそもボーク指名しめいに対たいする反対はんたいは根強ねづよく、共和党きょうわとう内ないでも、穏健おんけん派はで上院じょういん司法しほう委員いいん会かいのメンバーでもあるアーレン・スペクター議員ぎいんが反対はんたいを表明ひょうめいするような状況じょうきょうであった。公聴こうちょう会かいではスペクターやエドワード・ケネディらが激はげしい質問しつもんをボークに浴あびせた。バイデンは自みずからの質問しつもんの中なかで、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽうで規定きていされている自由じゆうとプライバシーの権利けんりは、憲法けんぽう上じょうで明文化めいぶんかされている以上いじょうに拡大かくだいされており、この点てんとボークが主張しゅちょうする強力きょうりょくな始原しげん主義しゅぎはイデオロギー的てきに両立りょうりつしないのではないかという論点ろんてんを中心ちゅうしんに質疑しつぎを行おこなった。

  最終さいしゅう的てきに、ボークの承認しょうにん案あんは上院じょういん司法しほう委員いいん会かい・上院じょういん本ほん会議かいぎの双方そうほうで否決ひけつされることとなった。ちなみに司法しほう委員いいん会かいにおいては賛成さんせい5票ひょう・反対はんたい9票ひょうで、上院じょういん本ほん会議かいぎにおいては賛成さんせい42票ひょう・反対はんたい58票ひょうという投票とうひょう結果けっかであった。ちなみにバイデン自身じしんも先立さきだっての反対はんたい表明ひょうめい通どおり、反対はんたい票ひょうを投とうじた。

• クラレンス・トーマス候補こうほへの公聴こうちょう会かい（1991年ねん）

  バイデンが2度目どめに主催しゅさいした判事はんじ候補者こうほしゃに対たいする公聴こうちょう会かいは、ボークと同おなじく保守ほしゅ派はのクラレンス・トーマス候補こうほに対たいするものであった。

  トーマスは、黒人こくじん初はつの連邦れんぽう最高裁さいこうさい判事はんじとして知しられたサーグッド・マーシャルの後任こうにんとして、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ大統領だいとうりょうによって判事はんじ候補者こうほしゃに指名しめいされ、公聴こうちょう会かいが行おこなわれた。バイデンは、トーマスに対たいする公聴こうちょう会かいにおいて財産ざいさん権けんに関かんする憲法けんぽう上じょうの問題もんだいに関かんして質問しつもんしたのだが、この質問しつもんはしばしば長ながく複雑ふくざつなものとなり、答こたえる側がわのトーマスが、質問しつもんを忘わすれてしまうほどであった。トーマスは後のちに、この時ときのことを「バイデン氏しの質問しつもんは危険きけん球だまのようなものであった。」と述のべている。

  しかし、公聴こうちょう会かいが終盤しゅうばんに差さし掛かかった時期じきに大おおきな問題もんだいが明あきらかになる。かつてトーマスが雇用こよう機会きかい均等きんとう委員いいん会かい委員いいん長ちょうを務つとめていた時ときの部下ぶかであったアニタ・ヒル（現げんブランダイス大学だいがく教授きょうじゅ）が、「トーマス氏しからセクハラを受うけていた」と告発こくはつしたことを記載きさいした司法しほう委員いいん会かいとFBIの報告ほうこく書しょが、ナショナル・パブリック・ラジオの最高裁さいこうさい担当たんとう記者きしゃであったニーナ・トーテンバーグの元もとにリークされ、これを契機けいきにトーマスのセクハラ問題もんだいが連日れんじつメディアで取とり上あげられ、急きゅう浮上ふじょうすることになったのである。この時ときの公聴こうちょう会かいは全米ぜんべいにテレビ中継ちゅうけいされ、アメリカ国民こくみんの大おおきな関心かんしんを呼よんだ。

  この時ときバイデンは、1987年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょにおける自身じしんの苦にがい経験けいけん（後述こうじゅつ）もあって個人こじん的てきな問題もんだいに踏ふみ込こむことを躊躇ちゅうちょしており、ヒル本人ほんにんが宣誓せんせい証言しょうげんする意思いしのないことを理由りゆうに、告発こくはつの事実じじつを委員いいん会かい内ないで公表こうひょうするに留とめ、完全かんぜんに公おおやけにはしていなかった。さらに、一転いってんしてヒルが公聴こうちょう会かいで証言しょうげんした後のちは、同様どうようの告発こくはつを行おこなっていたアンジェラ・ライトやハラスメント問題もんだいの専門せんもん家かなど、彼女かのじょを支持しじする他ほかの証人しょうにんによる更さらなる証言しょうげんを一切いっさい認みとめなかった。これについてバイデンは、「トーマス氏しのプライバシーの権利けんりと、委員いいん会かいの品位ひんいを守まもるために取とった措置そちである」と発言はつげんしている。

  結局けっきょくトーマスの承認しょうにん案あんは、アーレン・スペクター上院じょういん議員ぎいんがヒルの証言しょうげんに信憑しんぴょう性せいがないこととして、攻撃こうげき的てきな質問しつもんを行おこなうなど激論げきろんが交かわされた後のち、上院じょういん本ほん会議かいぎにて賛成さんせい52票ひょう・反対はんたい48票ひょうの僅差きんさで可決かけつされた。バイデンはこの時ときも反対はんたい票ひょうを投とうじたが、その後ご彼かれはリベラル派はの弁護士べんごしグループや女性じょせい団体だんたいなどから「（委員いいん長ちょうでありながら、）証人しょうにんであるヒルを十分じゅうぶんにサポートせず、公聴こうちょう会かいの進行しんこうを誤あやまった」と強つよい批判ひはんを浴あびることになった。この後のち彼かれは司法しほう委員いいん会かいで働はたらく女性じょせいを捜さがし、「女性じょせいに関かんする問題もんだいは委員いいん会かいにおける立法りっぽう議題ぎだいの1つである」と強調きょうちょうするなど、弁明べんめいを行おこなった。

犯罪はんざい関連かんれん法案ほうあんの制定せいてい

バイデンはこれまで数々かずかずの犯罪はんざいに関連かんれんする連邦れんぽう法ほう制定せいていに関与かんよしてきている。1984年ねんに民主党みんしゅとうの議事ぎじ進行しんこう係がかり議員ぎいんを務つとめていた際さいに携たずさわった犯罪はんざい管理かんり法ほう（Comprehensive Crime Control Act）の制定せいていでは、いくつかの条項じょうこうに対たいして修正しゅうせいを加くわえたが、その修正しゅうせいが同どう法ほうの通過つうか・成立せいりつに大おおきな影響えいきょうを与あたえたとして、市民しみん的てき自由じゆう至上しじょう主義しゅぎ者もの（シヴィル・リバタリアン）から高こう評価ひょうかを受うけた。

また1994年ねんに携たずさわった「暴力ぼうりょく犯罪はんざい防止ぼうし・法ほう執行しっこう法ほう」（Violent Crime Control and Law Enforcement Act (VCCLEA)）においては、同どう法ほうとそれに連つらなる法律ほうりつの起草きそう作業さぎょうの先頭せんとうに立たち、成立せいりつに尽力じんりょくした。この法律ほうりつは一般いっぱんに“バイデン犯罪はんざい法ほう”として知しられており、彼かれの最大さいだいの業績ぎょうせきとして広ひろく認識にんしきされている。 この法律ほうりつによって定さだめられた主おもな点てんは以下いかの通とおりである。

• 「女性じょせいに対たいする暴力ぼうりょく法ほう」（Violence Against Women Act (VAWA) ）の制定せいてい

  VCCLEAの第だい4章しょうという形かたちで、「女性じょせいに対たいする暴力ぼうりょく法ほう」（VAWA）が定さだめられた。VAWAは、ドメスティック・バイオレンスを犯罪はんざいと規定きていし、加害かがい者しゃ責任せきにんを追及ついきゅうすることに言及げんきゅうしている点てんで当時とうじとしては画期的かっきてきであり、VCCLEA（暴力ぼうりょく犯罪はんざい防止ぼうし・法ほう執行しっこう法ほう）に関かんする一連いちれんの法案ほうあんの中なかでも特とくに高たかい評価ひょうかを得えている。さらに同どう法ほうでは、女性じょせいに対たいする暴力ぼうりょくの捜査そうさ・訴追そついの強化きょうかに16億おくドルの連邦れんぽう予算よさんが投とうじること、被告人ひこくにんの審理しんり前ぜん拘留こうりゅうを拡大かくだいすること、有罪ゆうざいとなった場合ばあいに強制きょうせい的てきかつ自動的じどうてきに賠償ばいしょう義務ぎむを課かすことと、不ふ起訴きそとなった場合ばあいでも民事みんじによる救済きゅうさいを認みとめることなどが規定きていされた。

  VAWA（女性じょせいに対たいする暴力ぼうりょく法ほう）は5年間ねんかんの時限じげん立法りっぽうであり、延長えんちょうするためには議会ぎかいの再さい承認しょうにんが必要ひつようである。VAWA（女性じょせいに対たいする暴力ぼうりょく法ほう）は2000年ねんと2005年ねんの2回かいにわたって再さい承認しょうにんされている。しかし、2000年ねんに連邦れんぽう最高裁さいこうさいが、民事みんじによる救済きゅうさいに関かんする条項じょうこうに関かんして「連邦れんぽう主義しゅぎの観点かんてんから見みて、違憲いけんである」という判断はんだんを下くだした為ため、この条項じょうこうに則のっとって進すすめられていた事業じぎょうは事実じじつ上じょうストップしている。

  バイデンはVAWA（女性じょせいに対たいする暴力ぼうりょく法ほう）について、「VAWAこそが35年間ねんかんに渡わたる上院じょういん議員ぎいん生活せいかつで関かかわった立法りっぽうの中なかでも、唯一ゆいいつ最もっとも重要じゅうような法案ほうあんだと考かんがえている」と発言はつげんしている。

  これに関連かんれんして、2004年ねん3月がつにはテキサス州しゅうオースティンに本拠ほんきょを置おく関連かんれん団体だんたい「ナショナル・ドメスティックバイオレンス・ホットライン」が問題もんだいを抱かかえた際さいには、大手おおて技術ぎじゅつ系けい企業きぎょうの協力きょうりょくを得えて問題もんだいの調査ちょうさを行おこない、設備せつびの寄付きふなどを行おこなった。

• 受刑じゅけい者しゃに対たいする教育きょういくの廃止はいし

  VCCLEA（暴力ぼうりょく犯罪はんざい防止ぼうし・法ほう執行しっこう法ほう）の中なかでは、受刑じゅけい者しゃに対たいする教育きょういくに関かんして重要じゅうような条項じょうこうが定さだめられた。1965年ねんに定さだめられた高等こうとう教育きょういく法ほうに対たいする修正しゅうせい条項じょうこうである。高等こうとう教育きょういく法ほうでは、受刑じゅけい者しゃが出所しゅっしょ後ごに高等こうとう教育きょういくを受うけることができるように、収監しゅうかん中ちゅうでもペル奨学しょうがく金きん（Pell Grant，教育きょういく省しょうが資金しきんを提供ていきょうしている奨学しょうがく金きん制度せいどで、前述ぜんじゅつの高等こうとう教育きょういく法ほうに基もとづいて設立せつりつされた。ペルという名前なまえは、関連かんれん条項じょうこうの制定せいていに尽力じんりょくしたクレイボーン・ペル上院じょういん議員ぎいんの名前なまえにちなんだものである。）を受うけることを許容きょようしていたのだが、この修正しゅうせい条項じょうこうではその方針ほうしんが180度ど転換てんかんされ、「連邦れんぽうないしは州しゅうの刑務所けいむしょに収監しゅうかん中ちゅうのいかなる人物じんぶつに対たいしても、基礎きそ奨学しょうがく金きんを与あたえてはならない」と定さだめられた。この修正しゅうせい条項じょうこうは、低てい収入しゅうにゅうの受刑じゅけい者しゃが刑期けいき中ちゅうに大学だいがく教育きょういくを受うける機会きかいを事実じじつ上じょう奪うばうものであり、刑期けいき中ちゅうの受刑じゅけい者しゃの教育きょういくレベルが改善かいぜんされないままになってしまうことから、議論ぎろんを呼よんでいる。

• 連邦れんぽう死刑しけい法ほうの制定せいてい

  この法律ほうりつの第だい6章しょうという形かたちで連邦れんぽう死刑しけい法ほうが定さだめられた。元来がんらいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくは死刑しけい存置そんち国こくであるが、この法律ほうりつにおいてはテロ行為こういや薬物やくぶつの違法いほう取引とりひき・走行そうこう中ちゅうの車くるまからの銃撃じゅうげきによる殺人さつじんなど、60の犯罪はんざいが新あらたに死刑しけい適用てきよう対象たいしょうとして定さだめられた。この法律ほうりつについては、現在げんざいも大おおきな変更へんこうが加くわえられることなく運用うんようされている。

  ちなみに、この法律ほうりつが施行しこうされた数ヵ月すうかげつ後ごにオクラホマシティ連邦れんぽう政府せいふビル爆破ばくは事件じけんが発生はっせいした。同どう事件じけんの主犯しゅはんであったティモシー・マクベイは、この法律ほうりつによって死刑しけいを執行しっこうされた。

• 対人たいじん殺傷さっしょう用よう武器ぶきと見みなされた半はん自動じどう式しき火器かきの規制きせい

  この法律ほうりつの第だい11章しょうによって、対人たいじん殺傷さっしょう用よう武器ぶきと見みなされた半はん自動じどう（セミオートマチック）式しき火器かき19種類しゅるいに対たいして規制きせいが加くわえられた。着脱ちゃくだつ可能かのうな弾倉だんそうを有ゆうするアサルトライフルが規制きせいされた他ほか、以下いかの6種類しゅるいの器具きぐのうち2種類しゅるい以上いじょうを装備そうびした銃じゅうが規制きせい対象たいしょうとなった。

• はめ込こみ式しきの銃床じゅうしょう
• 折おり畳たたみ式しきの銃床じゅうしょう
• ピストルグリップ
• フラッシュハイダー
• グレネードランチャー
• 銃剣じゅうけん固定こてい用ようラグ

2004年ねんに同どう法ほうが無効むこうになり、半はん自動じどう火器かきの売上うりあげが増ふえたことにバイデンは「半はん自動じどう火器かきは扱あつかいが難むずかしい。護身ごしんには散弾さんだん銃じゅうを使つかうべきだ」とコメントした。しかし、全米ぜんべいライフル協会きょうかいや銃じゅう所持しょじ賛成さんせい派はからは「散弾さんだん銃じゅうは反動はんどうが重おもく、特とくに女性じょせいの護身ごしんには適てきさない」などと批判ひはんを受うけた。

• 警察けいさつ・刑務けいむシステムの強化きょうか

  この法律ほうりつによって警察けいさつ・刑務けいむシステムの強化きょうかが図はかられた。警察けいさつ組織そしきの強化きょうか策さくとして10万まん人にんを超こえる警察官けいさつかんを雇用こようすることが決定けっていされた。また刑務けいむ・更生こうせいシステムの強化きょうか策さくとして、非行ひこう少年しょうねんに対たいする矯正きょうせいブートキャンプが開始かいしされた他ほか、刑務所けいむしょの建設けんせつに十分じゅうぶんな額がくの予算よさんを割わり当あてることが定さだめられた。この条項じょうこうの施行しこうによって、アメリカの犯罪はんざい率りつは1世代せだいで最低さいてい水準すいじゅんまで下さがったと評価ひょうかされている。

• 新あらたな連邦れんぽう犯罪はんざいの指定してい

  この法律ほうりつにおいて、新あらたに50の犯罪はんざいが連邦れんぽう犯罪はんざい（連邦れんぽう捜査そうさ局きょくが捜査そうさ権限けんげんを持もつ犯罪はんざい）に指定していされた。特とくに有名ゆうめいなのはギャングに加入かにゅうすることを罪つみとしている条項じょうこうであり、この点てんについては一部いちぶでは権利けんり章典しょうてんで保障ほしょうされている結社けっしゃの自由じゆうを侵害しんがいしているのでは無ないかという議論ぎろんがある。

クリントン大統領だいとうりょうのスキャンダル問題もんだいに対たいして

1990年代ねんだいにビル・クリントン大統領だいとうりょうの任期にんき中ちゅうには、ホワイトウォーター疑惑ぎわく（クリントンがアーカンソー州しゅう知事ちじ時代じだい、知人ちじんと共同きょうどう経営けいえいしていた不動産ふどうさん開発かいはつ会社かいしゃ「ホワイトウォーター」に関連かんれんして、不正ふせいな土地とち取引とりひきや融資ゆうしを行おこなっていたのではないかという疑惑ぎわく。）やモニカ・ルインスキーとの不倫ふりん疑惑ぎわく、さらには当時とうじ大統領だいとうりょう次席じせき法律ほうりつ顧問こもんを務つとめていたヴィンセント・フォスターが不可解ふかかいな自殺じさつを遂とげるなど、同どう大統領だいとうりょうに関かんする数々かずかずのスキャンダルが浮上ふじょうし、ジョージ・H・W・ブッシュ政権せいけんで訴務長官ちょうかんを務つとめたケネス・スターが独立どくりつ検察官けんさつかんに任命にんめいされ、厳きびしい捜査そうさ・追及ついきゅうが行おこなわれた。 バイデンは特とくにホワイトウォーター疑惑ぎわくとルインスキー疑惑ぎわくの2件けんに関かんするスターの捜査そうさ活動かつどうに批判ひはん的てきであり、クリントン大統領だいとうりょうに対たいする弾劾だんがい法案ほうあんにも反対はんたい票ひょうを投とうじた。

麻薬まやく政策せいさく

バイデンは前述ぜんじゅつのように上院じょういん議員ぎいん有志ゆうしで作つくる「上院じょういん国際こくさい麻薬まやく取締とりしまり会議かいぎ」の議長ぎちょうを務つとめており、麻薬まやく取締とりしまり政策せいさくに熱心ねっしんに取とり組くんでいる。同どう会議かいぎの議長ぎちょうとしてバイデンは、連邦れんぽう政府せいふの麻薬まやく取締とりしまり政策せいさくを統括とうかつする「麻薬まやく問題もんだい担当たんとう長官ちょうかん」(Drug Czar)を創設そうせつする法案ほうあんを起草きそうした。

2002年ねんにはレイヴ法ほう（RAVE Act）を議会ぎかいに提案ていあんした。同どう法ほうは薬物やくぶつを故意こいに保持ほじするなど、薬物やくぶつを使用しよう可能かのうな状態じょうたいに置おく行為こういから、製造せいぞう・販売はんばいなどで利益りえきを得える行為こうい、実際じっさいに使用しようする行為こういに至いたるまで、個人こじんの規制きせい薬物やくぶつに関連かんれんするあらゆる行為こういを禁止きんしするものである。

この法案ほうあんは第だい107回かい連邦れんぽう議会ぎかいの会期かいき中ちゅうに提案ていあん・審議しんぎされていたものの、審議しんぎ中ちゅうに議会ぎかいが閉会へいかいしたことから、2003年ねん1月がつ3日にちに開会かいかいした第だい108回かい連邦れんぽう議会ぎかいの冒頭ぼうとうに再ふたたび提案ていあんされた（正式せいしきな提案ていあん日びは2003年ねん1月がつ7日にち）。再さい提案ていあん時じには、トム・ダシュル上院じょういん議員ぎいん（当時とうじ）が主しゅ提案ていあん者しゃとなり、バイデンは10人にんの賛同さんどう者しゃのうちの1人ひとりとして名なを連つらねた。しかしこの時ときは、2人ふたりの議員ぎいんが賛同さんどうを取とり下さげたことで可決かけつに失敗しっぱいしてしまった。

この可決かけつ失敗しっぱいの後のち、レイヴ法ほう自体じたいは再さい提案ていあんされることはなかった。しかし、ほぼ同おなじ内容ないようを持もつ「不法ふほう薬物やくぶつ反はん拡散かくさん法ほう」（en:Illicit Drug Anti-Proliferation Act）が2003年ねん4月がつ30日にちに成立せいりつしたことで、レイヴ法ほうの目的もくてきは達成たっせいされたと言いえる。

多おおくのスポーツ選手せんしゅや一般人いっぱんじんが使用しようしていることで社会しゃかい問題もんだいとなった、アンドロステンジオン（アンドロ）に代表だいひょうされるステロイドを非合法ひごうほう化かする法律ほうりつを2004年ねんに成立せいりつさせた。この時期じきには議会ぎかいで『薬くすりを使つかって強つよくなるのは反則はんそくだ。アメリカ的てきではない。』とのスピーチを行おこなうも、クリス・ベルはこれに対たいして『いやそれは逆ぎゃくで、ものすごくアメリカ的てきなことだと思おもいますよ。』と反論はんろんしている。

彼かれが現在げんざい取とり組くんでいる麻薬まやく関連かんれんの政策せいさくは、デートレイプ・ドラッグと呼よばれる種類しゅるいの薬物やくぶつと、エクスタシー（MDMA）・ケタミンの2種類しゅるいの薬物やくぶつの規制きせいである。このうち前者ぜんしゃは、フルニトラゼパムに代表だいひょうされる薬物やくぶつで、健忘けんぼうなどの症状しょうじょうを引ひき起おこす事ことからデートレイプにしばしば悪用あくようされる。また後者こうしゃは、主おもに若者わかものの間あいだで急速きゅうそくに広ひろまっている薬物やくぶつであり、深刻しんこくな社会しゃかい問題もんだいとなっている。

その他たの業績ぎょうせき

バイデンの司法しほう関連かんれんの業績ぎょうせきの中なかで、あまり知しられていないのが教育きょういく関連かんれんの立法りっぽうである。彼かれは、“キッズ2000”（Kids 2000）法ほうの成立せいりつに関かかわっている。

この法案ほうあんでは、以下いかのような項目こうもくについて支援しえんが決定けっていされた。

• 高等こうとう教育きょういくに対たいする家庭かてい支出ししゅつの支援しえん・促進そくしん

  高等こうとう教育きょういくに対たいする家庭かていの支出ししゅつを支援しえん・促進そくしんする目的もくてきで、所得しょとく税ぜいの控除こうじょを行おこなう制度せいどである。高等こうとう教育きょういくを受うける家族かぞくに学資がくし援助えんじょを行おこなったり、あるいは学資がくしローンを利用りようしている家庭かていは、1年間ねんかんに家庭かていが支払しはらう所得しょとく税ぜいについて、年間ねんかん1万まんドルを上限じょうげんに控除こうじょが受うけられるようになっている。

• デジタル・ディバイドの是正ぜせい支援しえん

  若者わかものに対たいしてデジタル教育きょういくを施ほどこすことを目的もくてきとした、公的こうてき機関きかんと民間みんかんのパートナーシップを設立せつりつすることを目指めざしたものである。このパートナーシップは、若者わかものにコンピュータセンターや専せん門もんの教師きょうし、インターネットアクセスやその他たの専門せんもん的てきな訓練くんれんを提供ていきょうすることで、コンピュータ教育きょういくやインターネット教育きょういくのレベルを向上こうじょうさせ、デジタル・ディバイドを是正ぜせいすることが目標もくひょうであり、家庭かていの収入しゅうにゅうが低ひくく、非行ひこうに走はしる可能かのう性せいのある少年しょうねんを主要しゅようなターゲットに据すえている。

疑惑ぎわく

ウクライナへの圧力あつりょくをめぐる疑惑ぎわく

「ドナルド・トランプとウクライナ論争ろんそう」も参照さんしょう

2016年ねんにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく副ふく大統領だいとうりょうとしてウクライナを訪問ほうもんした際さいに、同国どうこくの検事けんじ総長そうちょうの罷免ひめんを要求ようきゅうしたという疑うたがいをかけられている。検事けんじ総長そうちょうは、ジョー・バイデンの次男じなんハンター・バイデンが役員やくいんを務つとめていた同国どうこくガス会社かいしゃの捜査そうさを統括とうかつする立場たちばにあり、辞任じにん後ごに捜査そうさは打うち切きられたため、この疑惑ぎわくがかかっている。ドナルド・トランプ大統領だいとうりょうはこの疑惑ぎわくを大統領だいとうりょう選挙せんきょの直前ちょくぜんに野党やとう・民主党みんしゅとうの有力ゆうりょく大統領だいとうりょう候補こうほジョー・バイデンを追おい落おとす材料ざいりょうにしようとした為ためか、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領だいとうりょうにこの疑惑ぎわくの天然てんねんガス会社かいしゃを捜査そうさするようトランプ政権せいけんの外交がいこうチームで圧力あつりょくをかけたり自みずから直接ちょくせつ電話でんわ交渉こうしょうをしたりしていたが、逆ぎゃくに外交がいこう安全あんぜん保障ほしょうを私的してきな駆かけ引ひきのために悪用あくようし、憲法けんぽう違反いはん、大統領だいとうりょう宣誓せんせい違反いはんによって国民こくみんを裏切うらぎったとして米べい情報じょうほう機関きかんからは内部ないぶ告発こくはつされ、下院かいんから「権力けんりょくの乱用らんよう」などの罪つみで弾劾だんがい訴追そついされてしまうという展開てんかいとなった。

セクハラ・性的せいてき暴行ぼうこう疑惑ぎわく

「ジョー・バイデンのセクハラ疑惑ぎわく」も参照さんしょう

バイデンにはこれまでに女性じょせいに行いった複数ふくすうのセクシャルハラスメント疑惑ぎわくがかけられてきた。

2019年ねん3月がつに女性じょせいの民主みんしゅ党員とういんで元もとネヴァダ州しゅう議会ぎかい議員ぎいんのルーシー・フローレス（英語えいご: Lucy Flores）は、2014年ねんの選挙せんきょ活動かつどう中ちゅうにバイデンが背後はいごから近ちかづき、髪かみの香かおりをかいで、ゆっくりと後頭部こうとうぶにキスされたとし、「これほど露骨ろこつに不適切ふてきせつな真似まねを経験けいけんしたことがない」と告発こくはつした。

2019年ねん3月がつ、民主党みんしゅとう内部ないぶの2人ふたりの女性じょせいから複数ふくすうのセクハラ行為こういを受うけたと告発こくはつされた 。4月3日にち、ツイッターに投稿とうこうした動画どうがで自身じしんのセクハラ問題もんだいについて釈明しゃくめいした。その後ごも告発こくはつ者しゃが続つづき、2019年ねん4月がつ5日にち現在げんざい、7名めいの女性じょせいが名乗なのり出でている。オバマ政権せいけん時じの副ふく大統領だいとうりょう時代じだいから彼かれの過剰かじょうな女性じょせい(未成年みせいねん者しゃ・児童じどうを含ふくむ)への接触せっしょくは一部いちぶメディア・インターネットで話題わだいになっていた。同年どうねん4月がつ、ジム・ハインズ下院かいん議員ぎいん（民主党みんしゅとう）の側近そっきんエイミー・ラッポスは、2009年ねんにバイデンが台所だいどころでラッポスの顔かおを両手りょうてで包つつみ、鼻はなをこすり合あわせるなど不適切ふてきせつに触さわられたと告発こくはつした。ラッポスは「不適切ふてきせつに触さわったり、セクハラをしてレイプ文化ぶんかを増長ぞうちょうさせるような男性だんせいは、権力けんりょくの場ばにいてはいけない」「こうした振ふる舞まいを『単たんなる好意こうい』『おじいちゃんみたい』『フレンドリー』と言いってしまうこと自体じたい、この問題もんだいを非常ひじょうに軽視けいししていることの表あらわれで、問題もんだいの一部いちぶだ」と批判ひはんした。

2020年ねん3月26日にちにはバイデンが1993年ねんに雇やとっていた当時とうじ20代だいの女性じょせい事務じむ職員しょくいんタラ・リード（Tara Reade）からセクハラ被害ひがいを告発こくはつされた。リードによると、バイデンが壁かべに押おしつけたあとにキスをし、スカートの中なかに手てを入いれ性器せいきに指ゆびを挿入そうにゅうし、「どこか別べつの場所ばしょへ行いかないか」を囁ささやいたという。リードは、民主党みんしゅとうは「すべての女性じょせいが安全あんぜんに発言はつげんできる国くにを作つくりたいという立場たちばを取とっているが、私わたしはその機会きかいに恵めぐまれなかった」とバイデン陣営じんえいを批判ひはんし、さらにバイデン氏し支持しじ者しゃから証拠しょうこがないままロシアのスパイだと非難ひなんされ、殺害さつがい予告よこくを受うけ取とったり、SNSアカウントをハッキングされて、個人こじん情報じょうほうが抜ぬかれたと述のべた。5月1日にち、バイデン陣営じんえいは疑惑ぎわくを否定ひていした。

しかし、民主党みんしゅとうが2018年ねんにブレット・カバノー最高さいこう裁判所さいばんしょ判事はんじの過去かこの性的せいてき暴行ぼうこう疑惑ぎわくを徹底的てっていてきに追及ついきゅうしたのに対たいし、バイデンのセクハラ疑惑ぎわくは「問題もんだいない」と片付かたづけようとしているとして、左派さは勢力せいりょくおよび保守ほしゅ勢力せいりょくの双方そうほうから「二に重じゅう基準きじゅん」「偽善ぎぜん的てきな対応たいおう」と批判ひはんされた。また、バイデン自身じしんはかつて他人たにんの疑惑ぎわくをめぐり「名乗なのり出でた女性じょせいを信しんじるべきだ」と女性じょせい側がわの主張しゅちょうをき入きいれるよう批判ひはんしたことがあるほか、支持しじ母体ぼたいの民主党みんしゅとうも大統領だいとうりょう選挙せんきょの政敵せいてきであるトランプ大統領だいとうりょうの性的せいてき暴行ぼうこう疑惑ぎわくを盛さかんに非難ひなんしてきた経緯けいいがあり、苦くるしい弁明べんめいとなった。

選挙せんきょ戦歴せんれき

詳細しょうさいは「ジョー・バイデンの選挙せんきょ戦歴せんれき」を参照さんしょう

ニューカッスル郡ぐん議会ぎかい選挙せんきょ

デラウェア州しゅうニューキャッスル郡ぐん議会ぎかい第だい4区く選出せんしゅつ議員ぎいん選挙せんきょ

選挙せんきょ年ねん	バイデン				対立たいりつ候補こうほ
	当落とうらく	所属しょぞく党とう	得票とくひょう数すう	得票とくひょう率りつ	当落とうらく	氏名しめい	所属しょぞく党とう	得票とくひょう数すう	得票とくひょう率りつ
1970年ねん	Y当とう	民主党みんしゅとう	10,573票ひょう	55％	N落	ローレンス・メズイック	共和党きょうわとう	8,192票ひょう	43%

上院じょういん選挙せんきょ

連邦れんぽう議会ぎかい上院じょういんデラウェア州しゅう選出せんしゅつ議員ぎいん選挙せんきょ

選挙せんきょ年ねん	バイデン				対立たいりつ候補こうほ
	当落とうらく	所属しょぞく党とう	得票とくひょう数すう	得票とくひょう率りつ	当落とうらく	氏名しめい	所属しょぞく党とう	得票とくひょう数すう	得票とくひょう率りつ
1972年ねん	Y当とう	民主党みんしゅとう	116,006票ひょう	50％	N落	キャレブ・ボッグス	共和党きょうわとう	112,844票ひょう	49%
1978年ねん	Y当とう	民主党みんしゅとう	93,930票ひょう	58％	N落	ジェームス・バクスター	共和党きょうわとう	66,479票ひょう	41%
1984年ねん	Y当とう	民主党みんしゅとう	147,831票ひょう	60%	N落	ジョン・バーリス	共和党きょうわとう	98,101票ひょう	40%
1990年ねん	Y当とう	民主党みんしゅとう	112,918票ひょう	63%	N落	ジェーン・ブレディ	共和党きょうわとう	64,554票ひょう	36%
1996年ねん	Y当とう	民主党みんしゅとう	165,465票ひょう	60%	N落	レイ・クラットワージー	共和党きょうわとう	105,088票ひょう	38%
2002年ねん	Y当とう	民主党みんしゅとう	135,253票ひょう	58%	N落	レイ・クラットワージー	共和党きょうわとう	94,793票ひょう	41%
2008年ねん	Y当とう	民主党みんしゅとう	257,484票ひょう	65%	N落	クリスティーナ・オドンネル	共和党きょうわとう	140,584票ひょう	35%

大統領だいとうりょう・副ふく大統領だいとうりょう選挙せんきょ

大統領だいとうりょう・副ふく大だい統みつる領りょう選挙せんきょ

選挙せんきょ年ねん	自じ陣営じんえい						対立たいりつ陣営じんえい
	当落とうらく	大統領だいとうりょう候補こうほ （副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ）	所属しょぞく党とう	得票とくひょう数すう	得票とくひょう率りつ	選挙せんきょ人じん	当落とうらく	大統領だいとうりょう候補こうほ （副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ）	所属しょぞく党とう	得票とくひょう数すう	得票とくひょう率りつ	選挙せんきょ人じん
2008年ねん	Y当とう	バラク・オバマ （ジョー・バイデン）	民主党みんしゅとう	69,498,516票ひょう	53％	365人にん	N落	ジョン・マケイン （サラ・ペイリン）	共和党きょうわとう	59,948,323票ひょう	46%	173人にん
2012年ねん	Y当とう	バラク・オバマ （ジョー・バイデン）	民主党みんしゅとう	65,915,795票ひょう	51％	332人にん	N落	ミット・ロムニー （ポール・ライアン）	共和党きょうわとう	60,933,504票ひょう	47%	206人にん
2020年ねん	Y当とう	ジョー・バイデン （カマラ・ハリス）	民主党みんしゅとう	81,283,670票ひょう	51％	306人にん	N落	ドナルド・トランプ （マイク・ペンス）	共和党きょうわとう	74,222,393票ひょう	47%	232人にん

1. ^ 2020年ねん12月9日にち時点じてん（開票かいひょう率りつ99％）での数字すうじ。

参考さんこう文献ぶんけん

• 斎藤さいとう眞しん、古こ矢や旬しゅん『アメリカ政治せいじ外交がいこう史し 第だい二に版はん』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、2012年ねん。ISBN 978-4130322188。 

外部がいぶリンク

• Joe Biden for President: 公式こうしき キャンペーン ウェブサイト
• Joe Biden (joebiden) - Facebook
• Joe Biden (@joebiden) - X（旧きゅうTwitter）（英語えいご）
• The Obama White House - YouTube

関連かんれん項目こうもく

• 1988年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょ
• 2008年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょ
• 2020年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう選挙せんきょ

公職こうしょく
先代せんだい ディック・チェイニー	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく副ふく大統領だいとうりょう 第だい47代だい：2009年ねん1月がつ20日はつか - 2017年ねん1月がつ20日はつか	次代じだい マイク・ペンス
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく上院じょういん
先代せんだい キャレブ・ボッグス	デラウェア州しゅう選出せんしゅつ上院じょういん議員ぎいん（第だい2部ぶ） 1973年ねん1月がつ3日にち - 2009年ねん1月がつ15日にち 同職どうしょく：ウィリアム・ロス、トム・カーパー	次代じだい テッド・カウフマン
先代せんだい ストロム・サーモンド R-サウスカロライナ州しゅう	上院じょういん司法しほう委員いいん会かい少数しょうすう党とう筆頭ひっとう委員いいん 1981年ねん – 1987年ねん	次代じだい ストロム・サーモンド R-サウスカロライナ州しゅう
新設しんせつ	上院じょういん国際こくさい麻薬まやく取締とりしまり委員いいん会かい少数しょうすう党とう筆頭ひっとう委員いいん 1985年ねん – 1987年ねん	次代じだい チャック・グラスリー R-アイオワ州しゅう
先代せんだい ストロム・サーモンド R-サウスカロライナ州しゅう	上院じょういん司法しほう委員いいん会かい委員いいん長ちょう 1987年ねん – 1995年ねん	次代じだい オリン・ハッチ R-ユタ州しゅう
先代せんだい チャック・グラスリー R-アイオワ州しゅう	上院じょういん国際こくさい麻薬まやく取締とりしまり委員いいん会かい少数しょうすう党とう筆頭ひっとう委員いいん 1987年ねん – 1995年ねん	次代じだい チャック・グラスリー R-アイオワ州しゅう
先代せんだい オリン・ハッチ R-ユタ州しゅう	上院じょういん司法しほう委員いいん会かい少数しょうすう党とう筆頭ひっとう委員いいん 1995年ねん – 1997年ねん	次代じだい パトリック・リーヒ R-バーモント州しゅう
先代せんだい チャック・グラスリー R-アイオワ州しゅう	上院じょういん国際こくさい麻薬まやく取締とりしまり委員いいん会かい少数しょうすう党とう筆頭ひっとう委員いいん 1995年ねん – 2001年ねん	次代じだい チャック・グラスリー R-アイオワ州しゅう
先代せんだい クレイボーン・ペル D-ロードアイランド州しゅう	上院じょういん外交がいこう委員いいん会かい少数しょうすう党とう筆頭ひっとう委員いいん 1997年ねん - 2001年ねん	次代じだい ジェシー・ヘルムズ R-ノースカロライナ州しゅう
先代せんだい ジェシー・ヘルムズ R-ノースカロライナ州しゅう	上院じょういん外交がいこう委員いいん会かい委員いいん長ちょう 2001年ねん – 2003年ねん	次代じだい リチャード・ルーガー R-インディアナ州しゅう
先代せんだい チャック・グラスリー R-アイオワ州しゅう	上院じょういん国際こくさい麻薬まやく取締とりしまり委員いいん会かい委員いいん長ちょう 2001年ねん – 2003年ねん	次代じだい チャック・グラスリー R-アイオワ州しゅう
先代せんだい ジェシー・ヘルムズ R-ノースカロライナ州しゅう	上院じょういん外交がいこう委員いいん会かい少数しょうすう党とう筆頭ひっとう委員いいん 2003年ねん – 2007年ねん	次代じだい リチャード・ルーガー R-インディアナ州しゅう
先代せんだい チャック・グラスリー R-アイオワ州しゅう	上院じょういん国際こくさい麻薬まやく取締とりしまり委員いいん会かい少数しょうすう党とう筆頭ひっとう委員いいん 2003年ねん – 2007年ねん	次代じだい ダイアン・ファインスタイン D-カリフォルニア州しゅう
先代せんだい リチャード・ルーガー R-インディアナ州しゅう	上院じょういん外交がいこう委員いいん会かい委員いいん長ちょう 2007年ねん – 2009年ねん	次代じだい ジョン・ケリー D-マサチューセッツ州しゅう
先代せんだい チャック・グラスリー R-アイオワ州しゅう	上院じょういん国際こくさい麻薬まやく取締とりしまり委員いいん会かい委員いいん長ちょう 2007年ねん – 2009年ねん	次代じだい ダイアン・ファインスタイン D-カリフォルニア州しゅう
党とう職しょく
先代せんだい ジェームス・トゥーネル	デラウェア州しゅう選出せんしゅつ上院じょういん議員ぎいん（第だい2部ぶ） 民主党みんしゅとう候補こうほ 1972年ねん, 1978年ねん, 1984年ねん, 1990年ねん, 1996年ねん, 2002年ねん, 2008年ねん	次代じだい クリス・クーンズ
先代せんだい ジョン・エドワーズ	民主党みんしゅとう副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ 2008年ねん,2012年ねん	次代じだい ティム・ケイン
先代せんだい ヒラリー・クリントン	民主党みんしゅとう大統領だいとうりょう候補こうほ 2020年ねん	次代じだい -
名誉めいよ職しょく
先代せんだい ジョン・V・タニー D-カルフォルニア州しゅう	最年少さいねんしょう上院じょういん議員ぎいん 1973年ねん – 1979年ねん	次代じだい ビル・ブラッドリー D-ニュージャージー州しゅう