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経口けいこう血糖けっとう降下こうかやく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

経口けいこう血糖けっとう降下こうかやく(けいこうけっとうこうかやく、oral hypoglycemic agent)は、2がた糖尿とうにょうびょうにおいて血糖けっとう正常せいじょうさせる目的もくてき処方しょほうされる薬物やくぶつ総称そうしょうである。慢性まんせい合併症がっぺいしょうのリスクを軽減けいげんさせることを目的もくてきとしている。

比較的ひかくてきふるくからもちいられてきたスルフォニル尿素にょうそやくのようなインスリン分泌ぶんぴつ促進そくしんやくや、αあるふぁ-グルコシダーゼ阻害そがいざいのようなブドウ糖ぶどうとう吸収きゅうしゅう阻害そがいやくビグアナイドけいチアゾリジンけいブドウ糖ぶどうとう吸収きゅうしゅう阻害そがいやくインクレチン増強ぞうきょうするDPP-4阻害そがいやくGLP-1受容じゅようたい作動さどうやく、またSGLT2阻害そがいやくがある。

1998ねんに、イギリスで UKPDS というだい規模きぼ比較ひかく試験しけんおこなわれて以来いらい糖尿とうにょうびょう慢性まんせい合併症がっぺいしょう予防よぼう目的もくてきにてこれらのくすりもちいられている。とくにインスリン分泌ぶんぴつ残存ざんそんしている2がた糖尿とうにょうびょうのインスリン依存いぞん状態じょうたいにおいて有効ゆうこうである。2がたであっても、じゅうあつし感染かんせんしょうのようにインスリン需要じゅようおおとき清涼飲料水せいりょういんりょうすいケトアシドーシス(ペットボトル症候群しょうこうぐん)のように分泌ぶんぴつ上回うわまわブドウ糖ぶどうとう摂取せっしゅがあるときしゅうじゅつ妊娠にんしんなどはインスリン治療ちりょう必要ひつようである。

インスリン分泌ぶんぴつ促進そくしんやく

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インスリン分泌ぶんぴつ促進そくしんやくSUやくとその関連かんれんやく

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一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち使用しようりょう(mg) 薬効やっこう参考さんこう
グリベンクラミド 2.7 12~24 1.25~7.5 つよ
グリクラジド 6~12 6~24 40~120 よわ
グリメピリド 1.5 6~12 1~6 なか、インスリン抵抗ていこうせい改善かいぜん作用さようあり

スルフォニル尿素にょうそやく(SUやく)には、比較的ひかくてきなが使用しよう歴史れきしがある。抗生こうせい物質ぶっしつ開発かいはつちゅう副作用ふくさようてい血糖けっとうきて、薬効やっこう発見はっけんされた。1950年代ねんだいから使用しようされている。開発かいはつされたじゅんだいいち世代せだいだい世代せだいだいさん世代せだい分類ぶんるいされる。だいいち世代せだいにはトルブタミドなど薬理やくり学的がくてきには重要じゅうよう薬物やくぶつふくまれているが、近年きんねん新規しんき処方しょほうされるくすりはほとんどだい世代せだいだいさん世代せだいなのでそれらをひょうにまとめた。

作用さようじょとしては、膵臓すいぞうランゲルハンスとうβべーた細胞さいぼうのSU受容じゅようたいのSUR1サブユニットに結合けつごうしATP依存いぞんせいKチャネルを抑制よくせいすることによってインスリン分泌ぶんぴつ促進そくしんさせる。SUは経口けいこう投与とうよ可能かのうであり、肝臓かんぞう代謝たいしゃされる。おもな副作用ふくさようはインスリン過剰かじょう分泌ぶんぴつによるてい血糖けっとうである。したがって交感神経こうかんしんけい機能きのう障害しょうがいされている患者かんじゃ意識いしき障害しょうがいがある患者かんじゃてい血糖けっとう認識にんしきできない高齢こうれいしゃてい血糖けっとうたいして適切てきせつ対応たいおうできない患者かんじゃ慎重しんちょう投与とうよする必要ひつようがある。また、グリベンクラミドおよびグリメピリドは活性かっせい代謝たいしゃぶつじん排泄はいせつせいたかいために、糖尿とうにょうびょうせいじんしょう進行しんこうともなじん機能きのう低下ていかにより、遷延せんえんせいてい血糖けっとうこしやすい。したがって、腎臓じんぞう機能きのう低下ていかみとめられた場合ばあい代謝たいしゃぶつ活性かっせいひくいグリクラジドやミチグリニドカルシウムすい和物あえものちょう持続じぞくがた以外いがいのインスリンの自己じこ注射ちゅうしゃへの変更へんこう考慮こうりょしていく必要ひつようがある。

膵臓すいぞうβべーた細胞さいぼうにグルコースをんださいのインスリン分泌ぶんぴつ機構きこう(DPP-4阻害そがいやくおよびGLP-1作動さどうやくについては記載きさい

SUやく基本きほんてきにはインスリン基礎きそ分泌ぶんぴつ促進そくしんするくすりであるため食前しょくぜんてい血糖けっとうこしやすく、インスリンの追加ついか分泌ぶんぴつ促進そくしんしないため、食後しょくごだか血糖けっとう管理かんり困難こんなんになりやすい。このため、平均へいきん血糖けっとう反映はんえいする指標しひょうであるHbA1cのみで効果こうか判定はんていおこなうと、コントロール良好りょうこうであったにもかかわらず心筋梗塞しんきんこうそくといっただい血管けっかん障害しょうがいこる可能かのうせいがある。インスリン分泌ぶんぴつたかめることは同化どうか反応はんのう亢進こうしんさせ、体重たいじゅう増加ぞうかこしインスリン抵抗ていこうせい悪化あっかさせることもある。これも空腹くうふくてい血糖けっとうにより過食かしょくとなり食事しょくじ療法りょうほうみだれた場合ばあいとの区別くべつむずかしい。だいさん世代せだいのグリメピリドは従来じゅうらいのSUやくつインスリン分泌ぶんぴつ作用さようのほかインスリン抵抗ていこうせい改善かいぜん作用さようがあるとかんがえられており、副作用ふくさようによる体重たいじゅう増加ぞうかすくない。そのため、空腹くうふくてい血糖けっとうによる食事しょくじ療法りょうほうみだれなども発見はっけんしやすくこのまれる傾向けいこうがある。

2008ねん現在げんざい、SUやく軽症けいしょう糖尿とうにょうびょう場合ばあいはあまりもちいられなくなっている。重症じゅうしょう糖尿とうにょうびょう場合ばあいは、こう血糖けっとう持続じぞくβべーた細胞さいぼう破壊はかいというとう毒性どくせいこし、またインスリン抵抗ていこうせい悪化あっかよりSUやく効果こうかがなくなる無効むこうという現象げんしょうられている。日本にっぽん場合ばあい緩徐かんじょ進行しんこう1がた糖尿とうにょうびょう (slowly progressive IDDM) がおおいため、こうGAD抗体こうたい測定そくていといった精査せいさ必要ひつようだが、2がた糖尿とうにょうびょう無効むこうならばざい併用へいよう療法りょうほう考慮こうりょする。

空腹くうふくてい血糖けっとうこしやすいため、そのような時間じかんたい悪心あくしんつよ空腹くうふくかん倦怠けんたいかん発汗はっかんふるえをかんじたら食事しょくじ療法りょうほう関係かんけいなく、糖分とうぶん補給ほきゅう必要ひつようであることの説明せつめい必要ひつようである。αあるふぁ-GI併用へいようブドウ糖ぶどうとう補給ほきゅうしなければてい血糖けっとう治療ちりょうにならないことに注意ちゅうい必要ひつようである。空腹くうふくてい血糖けっとう意識いしき障害しょうがいまねくだけでなく、きょせいこころ疾患しっかん網膜もうまくしょう増悪ぞうあくさせる可能かのうせいがある。

かつてのだい規模きぼ比較ひかく試験しけんUGDPではSUくすりきょせいこころ疾患しっかん危険きけんについての指摘してきがあった。1976ねん米国べいこくでSUやくのひとつであるトルブタミド(ジアベン)がしん血管けっかん疾患しっかんによる死亡しぼうりつ増大ぞうだいすると報告ほうこくされた。この研究けんきゅうたいして批判ひはんおおかったが、そのクロルプロパミド(ダイアビニーズ)、グリベンクラミドなどをもちいたいくつかの研究けんきゅうでその結果けっか確認かくにんされている。SUやくが、膵βべーた細胞さいぼうだけでなく心臓しんぞう動脈どうみゃく冠動脈かんどうみゃく)にも作用さようし、心筋梗塞しんきんこうそくなどの経過けいか悪影響あくえいきょうあたえることが原因げんいんとするせつがある。このかんがえにもとづくと、グリメピリドやグリニドけい薬剤やくざい心臓しんぞう作用さようがたいことがわかっているので、これらはこの観点かんてんからは安全あんぜん薬剤やくざいかんがえることもできる。あまりられていないが、UKPDS34[ちゅう 1]ではメトホルミンとSUくすり併用へいようすることによってこころ血管けっかんイベントのリスクが増加ぞうかするという指摘してきがある。だい血管けっかん障害しょうがい食後しょくご血糖けっとう増加ぞうかするといった血糖けっとうおおきなれが影響えいきょうしているというせつもあり、決着けっちゃくはついておらずつぎだい規模きぼ比較ひかく試験しけん報告ほうこくによって解釈かいしゃくわりることに注意ちゅうい必要ひつようである。糖尿とうにょうびょう患者かんじゃ心筋梗塞しんきんこうそくといっただい血管けっかん障害しょうがいこした場合ばあい、その原因げんいんげん疾患しっかんのコントロールのわるさによるものか、くすり副作用ふくさようによるかは厳密げんみつには区別くべつができず、すくなくとも医療いりょう過誤かごではない。ガイドラインじょう積極せっきょくてき血糖けっとうをコントロールすることが合併症がっぺいしょう予防よぼうには効果こうかがあるとされている。

速効そっこうがたインスリン分泌ぶんぴつ促進そくしんやく、フェニルアラニン誘導体ゆうどうたいグリニドけい

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一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち使用しようりょう(mg)
ナテグリニド 0.8 3 270~360
ミチグリニドカルシウムすい和物あえもの 1.2 3 30~60
レパグリニド 1.0 5~8 0.75~3.0

フェニルアラニン誘導体ゆうどうたい(グリニドけい)はSU構造こうぞうたないものの、SUやく同様どうよう膵臓すいぞうのランゲルハンスとうβべーた細胞さいぼうのSU受容じゅようたい(SUR1)に作用さようし、インスリン分泌ぶんぴつ促進そくしんさせる。食後しょくご吸収きゅうしゅうわるくなるのでしょく直前ちょくぜん内服ないふくする。5-15ふん薬効やっこう発現はつげんすうあいだ作用さよう消失しょうしつする。この、はやいてはや効果こうかくなるというてんが、SUやくおおきくことなるところである。食後しょくご血糖けっとう降下こうかやくともいわれ、SUやくがインスリン基礎きそ分泌ぶんぴつ促進そくしん、グリニドけいがインスリン追加ついか分泌ぶんぴつ促進そくしんかんがえられている。インスリン療法りょうほうちょう速効そっこうがたインスリンと中間なかまがたインスリンの対応たいおうているが、SUやくとグリニドけい併用へいよう保険ほけん診療しんりょうじょうみとめられていない。なお、ナテグリニドは活性かっせい代謝たいしゃぶつじん排泄はいせつせいたかいために、糖尿とうにょうびょうせいじんしょう進行しんこうともなじん機能きのう低下ていかにより、遷延せんえんせいてい血糖けっとうこしやすい。

ブドウ糖ぶどうとう吸収きゅうしゅう阻害そがいやく

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一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち使用しようりょう(mg)
アカルボース  ― 2~3 150~300
ボグリボース  ― 2~3 0.6~0.9
ミグリトール  ― 1~3 150~225

αあるふぁ-グルコシダーゼ阻害そがいやくαあるふぁ-GI)は食物しょくもつせいとうしつの1000ばい親和しんわせいつよとうしつ類似るいじ物質ぶっしつアナログ)である。とうしつ吸収きゅうしゅうされるためにはデンプンのような糖類とうるいから消化しょうか酵素こうそ作用さようとうるい麦芽糖ばくがとうショとう)、たんとうるいブドウ糖ぶどうとう果糖かとう)に分解ぶんかいされる必要ひつようがある。その酵素こうそαあるふぁ-グルコシダーゼ阻害そがいし、消化しょうか吸収きゅうしゅう緩徐かんじょにすることで、血糖けっとう上昇じょうしょうをおさえるので、食後しょくご血糖けっとう改善かいぜんやくともいわれる。これらの薬物やくぶつ血糖けっとう食後しょくごのピークを減少げんしょうさせ、食事しょくじとともに摂取せっしゅすると有効ゆうこうであるが食事しょくじ以外いがいこう血糖けっとう治療ちりょうには有効ゆうこうではない。鼓腸こちょう、膨満かん腹部ふくぶ不快ふかいかん下痢げりなどの副作用ふくさようがよく報告ほうこくされる。これらの原因げんいん消化しょうかされずに腸管ちょうかんにのこった糖類とうるい醗酵はっこう発生はっせいするガスによるものである。αあるふぁ-GIの継続けいぞくてき使用しようによってこれらの副作用ふくさよう軽減けいげんしていく傾向けいこうがある。しかし炎症えんしょうせいちょう疾患しっかん患者かんじゃでは禁忌きんきである。腸閉塞ちょうへいそくよう症状しょうじょういた場合ばあいもあり糖尿とうにょうびょうせい神経しんけい障害しょうがい消化しょうかかん蠕動ぜんどう障害しょうがいがある場合ばあい留意りゅういする。体質たいしつてきに、かん障害しょうがいをきたすれいがあるのでかんトランスアミナーゼの定期ていきてき観察かんさつおこなう。きも障害しょうがい薬物やくぶつ中止ちゅうしとともに可逆かぎゃくてき改善かいぜんする。αあるふぁ-GIに体重たいじゅう増加ぞうか作用さようはないため、食事しょくじ療法りょうほうさまたげにならない。

少量しょうりょうから開始かいしし、からだらしていくことで、消化しょうか症状しょうじょうによるQOL低下ていか防止ぼうしできる。αあるふぁ-GIやく使用しようちゅうてい血糖けっとう発現はつげんしたときは、デンプンやショとうでは血糖けっとう上昇じょうしょう時間じかんかるのでブドウ糖ぶどうとう清涼飲料水せいりょういんりょうすい砂糖さとう代用だいよう使つかわれているブドウ糖ぶどうとう果糖かとうえきとうてい血糖けっとう処置しょちもちいる。

インスリン抵抗ていこうせい改善かいぜんやく

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一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち使用しようりょう(mg)
メトホルミン 1.5~4.7 6~14 250~2,250
ブホルミン 3 6~14 50~150

2014ねんのMadirajuらの論文ろんぶん[1] によってメトホルミンの標的ひょうてき分子ぶんし同定どうていされ、血糖けっとう降下こうか、および乳酸にゅうさん蓄積ちくせきするじょあきらかとなった。メトホルミンの標的ひょうてきはミトコンドリアのグリセロールリンさん脱水だっすいもと酵素こうそであった(細胞さいぼうしつにも、このミトコンドリアの酵素こうそぎゃく方向ほうこう反応はんのう触媒しょくばいするグリセロールリンさん脱水だっすいもと酵素こうそ存在そんざいするが、こちらはメトホルミンの標的ひょうてきではない)。かいとうけいによりブドウ糖ぶどうとうが(嫌気いやけてきに)酸化さんかされピルビンさんさんされるが、これにともなって還元かんげん物質ぶっしつであるNADHができる。

通常つうじょうはNADHの還元かんげんのうは、ミトコンドリアに移動いどうして電子でんし伝達でんたつけいによりATPさんせいにつながるわけだが、NADHがミトコンドリアのうちまく通過つうかしないために、グリセロールリンさんシャトルはたらいて還元かんげん物質ぶっしつ(Reduction potential)がミトコンドリアない移動いどうする(NADHのミトコンドリアへの移動いどうにはもうひとリンゴさん-アスパラギンさんシャトルというシステムが存在そんざいする)。

メトホルミンは、ミトコンドリアのグリセロールリンさん脱水だっすいもと酵素こうそ阻害そがいすることにより、グリセロールリンさんシャトルの機能きのう阻害そがいするため、細胞さいぼうしつでNADHの蓄積ちくせききる。このためピルビンさん乳酸にゅうさん変換へんかんするとともに、NADH(とH+)をNAD+変換へんかんする反応はんのうすすむ。したがっておおくの乳酸にゅうさん蓄積ちくせきすることになる。

NADHが蓄積ちくせきしていると、ピルビンさんからオキザロ酢酸さくさんかいしてブドウ糖ぶどうとう新生しんせいとう新生しんせい gluconeogenesis)へかう経路けいろ阻害そがいすることになる。またブドウ糖ぶどうとう新生しんせい基質きしつのひとつであるグリセロールからグリセロールリンさんかいしてブドウ糖ぶどうとう新生しんせいへの経路けいろ阻害そがいされる。アミノ酸あみのさんブドウ糖ぶどうとう新生しんせいへの基質きしつとなるが、その中間ちゅうかん産物さんぶつのリンゴさんからオキザロ酢酸さくさんへの転換てんかんもNADHをさんせいするのでこの経路けいろ阻害そがいされるとかんがえられる。

したがって、メトホルミンによるかいとうけいから電子でんし伝達でんたつけいへの還元かんげん物質ぶっしつ転送てんそう阻害そがいブドウ糖ぶどうとう新生しんせい阻害そがいし、血糖けっとう低下ていかにつながるとかんがえられる。

エタノールがアセトアルデヒド、さらにアセチルCoAに代謝たいしゃされるさいにもNADHができるため、アルコール飲用いんようによるてい血糖けっとうも、同様どうようにNADHが蓄積ちくせきすることによるものとかんがえられる。

メトホルミンは乳酸にゅうさんアシドーシスをこしやすい病態びょうたい、すなわち、かん障害しょうがいじん障害しょうがいこころ障害しょうがい既往きおうがある患者かんじゃには使用しようける[2]。ビグアナイドのうちでは、塩酸えんさんメトホルミンが主流しゅりゅうである。塩酸えんさんブホルミンは塩酸えんさんメトホルミンにくらべて薬効やっこうひくく、乳酸にゅうさんアシドーシスをこしやすい。欧米おうべい糖尿とうにょうびょう治療ちりょうガイドラインでは、メトホルミンをだいいち選択せんたくやくとして推奨すいしょうしている。TZDとのごうざい商品しょうひんめいメタクト)なども販売はんばいされている。

その問題もんだいてん軽度けいど胃腸いちょう障害しょうがいであるが、これは一時いちじてきなもので少量しょうりょうから開始かいしし、ゆっくりと漸増ぜんぞうすれば軽減けいげんできる。

発熱はつねつ下痢げりなど脱水だっすいのおそれがあるときはきゅうやくする。ヨード造影ぞうえいざい使用しようさいは2にちまえから投与とうよ中止ちゅうしする。

一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち使用しようりょう(mg)
ピオグリタゾン 5 20 15~45

ペルオキシソーム増殖ぞうしょくざい応答おうとうせい受容じゅようたいγがんま (PPARγがんま) さくはたらけやくやインスリン抵抗ていこうせい改善かいぜんやくともばれる。かくない受容じゅようたいのひとつであるPPAR-γがんま結合けつごうし、インスリンの抵抗ていこうせい悪化あっかさせるさまざまな因子いんし転写てんしゃ調節ちょうせつをする。しゅとして末梢まっしょう組織そしきのインスリン抵抗ていこうせい改善かいぜんにあたる。有効ゆうこうせいおよび安全あんぜんせい性差せいさみとめ、女性じょせい浮腫ふしゅをきたしやすい一方いっぽうで、しょう用量ようりょう血糖けっとう降下こうか作用さようることがおおい。脂肪しぼう細胞さいぼう作用さようブドウ糖ぶどうとうみをやすことで血糖けっとう低下ていかする。そのかわり肥満ひまん助長じょちょうしやすくなる。塩酸えんさんピオグリタゾン商品しょうひんめいアクトス)だけが現在げんざい国内こくない流通りゅうつうしている。最初さいしょ商品しょうひんされたトログリタゾン商品しょうひんめいノスカール)はかん障害しょうがい死亡しぼうれい相次あいつぎ、その原因げんいんひとつとして肝臓かんぞうでのくすり代謝たいしゃかかわるグルタチオン抱合ほうごう酵素こうそGSTT1とGSTM1の変異へんいかさなるととく副作用ふくさよう発症はっしょうりつたかいことがしめされた。るいやくではトログリタゾンほどのかん障害しょうがい報告ほうこくされていないが留意りゅういして使用しようするのがのぞまれる。副作用ふくさようとして浮腫ふしゅ貧血ひんけつ合併がっぺいすることがあるが、腎臓じんぞうでのインスリン感受性かんじゅせい亢進こうしんのため、Naのさい吸収きゅうしゅう促進そくしんするためだといわれている。脂肪しぼう細胞さいぼう分化ぶんか誘導ゆうどうする一方いっぽうほね細胞さいぼう減少げんしょうにより骨折こっせつのリスクが増加ぞうかするのではないかといわれている。

副作用ふくさよう浮腫ふしゅがあるために心不全しんふぜん既往きおうがある患者かんじゃには禁忌きんきとなる。浮腫ふしゅ出現しゅつげんしなくとも効果こうかると体重たいじゅう増加ぞうかする傾向けいこうがあるため、食事しょくじ療法りょうほうのコントロールにをつける必要ひつようがある。

だい血管けっかん障害しょうがい既往きおうゆうする2がた糖尿とうにょうびょう患者かんじゃたいして、こころ血管けっかんイベントの発症はっしょう抑制よくせい、およびインスリン治療ちりょう導入どうにゅうおくらせるという欧州おうしゅうでの成績せいせきがある。

インクレチン関連かんれんやく

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インクレチンおも小腸しょうちょうさんされ、膵臓すいぞうβべーた細胞さいぼう作用さようインスリン分泌ぶんぴつ促進そくしんさせるホルモンで、インクレチンを増強ぞうきょうさせるくすりとして以下いかがある。

クラス 一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち/一週いっしゅう

使用しようりょう(mg)

慎重しんちょう投与とうよまたは禁忌きんき
III シタグリプチン 9.6~12.3   50~100 まき中等ちゅうとう以上いじょうじん機能きのう障害しょうがい
I ビルダグリプチン 1.77~3.95   50~100 きん重度じゅうどきも機能きのう障害しょうがい
まきかん機能きのう障害しょうがい
  中等ちゅうとう以上いじょうじん機能きのう障害しょうがい心不全しんふぜん
II アログリプチン 17.1   25 まき中等ちゅうとう以上いじょうじん機能きのう障害しょうがい心不全しんふぜん
II リナグリプチン 96.9~113   5 とくになし
III テネリグリプチン 17.4~30.2   20~40 まきこう度肝どぎも機能きのう障害しょうがい心不全しんふぜん
III アナグリプチン αあるふぁしょう:1.87~2.02
βべーたしょう:5.75~6.20
  100~200 まき重度じゅうどじん機能きのう障害しょうがい
I サキサグリプチン 6.0~6.8   2.5~5 とくになし
II トレラグリプチン 54.3 >168 100 mg/しゅう きん高度こうどじん機能きのう障害しょうがい
まき中等ちゅうとうじん機能きのう障害しょうがい脳下垂体のうかすいたい機能きのう不全ふぜん副腎ふくじん機能きのう不全ふぜん
III オマリグリプチン 38.9   25 mg/しゅう とくになし

DPP-4阻害そがいやくは、インクレチンの分解ぶんかい酵素こうそDPP-4(dipeptidyl peptidase-4)を阻害そがいすることで、インクレチンのちゅう濃度のうど上昇じょうしょうさせる。インクレチンは血糖けっとう依存いぞんてきに膵βべーた細胞さいぼうからのインスリンの分泌ぶんぴつ促進そくしんさせるとともに膵αあるふぁ細胞さいぼうからのグルカゴン分泌ぶんぴつ抑制よくせいし、上昇じょうしょうした血糖けっとう正常せいじょうへとげるはたらきをつとともに、からの内容ないようぶつ排出はいしゅつ速度そくどおくらせて血糖けっとう急激きゅうげき上昇じょうしょうおさえる効果こうかがある。DPP-4と阻害そがいやく結合けつごう部位ぶいは5箇所かしょあり、それぞれS1、S2、S1'、S2'、S2Eとばれているが、DPP-IV阻害そがいやく結合けつごう部位ぶいによりクラスI(S1、S2)、クラスII(S1、S2、S1'(、S2'))、クラスIII(S1、S2、S2E)に分類ぶんるいされる[3]。DPP-IV阻害そがいやくがよりきやすい患者かんじゃは、1.肥満ひまん(BMI)がちいさく、2.HbA1cたかく、3.治療ちりょう開始かいし3ヶ月かげつ以内いないにHbA1c低下ていかし、4.冠動脈かんどうみゃく疾患しっかんがない患者かんじゃであるとの研究けんきゅうがある[4]米国べいこくFDAは2015ねん8がつ、7年間ねんかんで33れいじゅうあつし関節かんせつえん報告ほうこくされたことを公表こうひょうした[5]。そのなかには、投与とうよ中止ちゅうし改善かいぜんした症例しょうれいや、のDPP-IV阻害そがいやくえて再発さいはつした症例しょうれいもある。

一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち使用しようりょう(mg)
リラグルチド 10~11   0.3~0.9 mg 
エキセナチド 1.27~1.35

やく10週間しゅうかん
10~20 µg
2 mg/しゅう 
リキシセナチド 2.01~2.45   10~20 µg 
デュラグルチド 108   0.75 mg/しゅう
セマグルチド 145 0.5〜1.0 mg/しゅう

GLP-1受容じゅようたい作動さどうやく経口けいこうやく

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一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち使用しようりょう(mg)
セマグルチド 161 7~14 mg 

下部かぶ小腸しょうちょう存在そんざいするL細胞さいぼうからさんされるインクレチンのひとつである GLP-1(glucagon like peptide-1)の受容じゅようたい作用さようすることで、インスリンの分泌ぶんぴつ増強ぞうきょうする薬剤やくざい遺伝子いでんし技術ぎじゅつによりDPP-4に分解ぶんかいされにくく、DPP-4阻害そがいやくより強力きょうりょく効果こうかる。膵臓すいぞうβべーた細胞さいぼう刺激しげきしてインスリンを放出ほうしゅつさせ、αあるふぁ細胞さいぼうからのグルカゴンの分泌ぶんぴつ抑制よくせいする。したがって、膵機能きのう低下ていかした患者かんじゃ1がた糖尿とうにょうびょう患者かんじゃでは、充分じゅうぶん効果こうか期待きたいできない。えたのち糖尿とうにょうびょうせいケトアシドーシスしょうじ、死亡しぼうした症例しょうれいがある[6]

この系統けいとう医薬品いやくひん添付てんぷ文書ぶんしょの「重要じゅうよう基本きほんてき注意ちゅうい」には、以下いかのように記載きさいされている。

ほんざいはインスリンの代替だいたいやくではない。ほんざい投与とうよさいしては、患者かんじゃのインスリン依存いぞん状態じょうたい確認かくにんし、投与とうよ可否かひ判断はんだんすること。インスリン依存いぞん状態じょうたい患者かんじゃで、インスリンからほんざいえ、急激きゅうげきこう血糖けっとうおよび糖尿とうにょうびょうせいケトアシドーシスが発現はつげんした症例しょうれい報告ほうこくされている。

これらのうち、セマグルチドについては経口けいこう投与とうよ製剤せいざいリベルサスが承認しょうにんされたが[7]起床きしょうに120mLのみず服用ふくよう服用ふくようまえ服用ふくよう30分間ふんかんぜっ飲食いんしょくと、服用ふくようなんがあり、服薬ふくやくコンプライアンス低下ていか注意ちゅうい必要ひつようである[8]

一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち使用しようりょう(mg)
イプラグリフロジン 11.71~14.97   50~100
ダパグリフロジン やく8~12   5~10
ルセオグリフロジン 8.96~11.2   2.5~5
トホグリフロジン 5.40±0.622(SD)   20
カナグリフロジン 10.2~11.8   100
エンパグリフロジン 9.88~11.7   10~25 

ナトリウム/グルコースども輸送ゆそうたい2(SGLT2)阻害そがいやくは、腎臓じんぞう尿にょう細管さいかんうち腔に存在そんざいするNa+-ブドウ糖ぶどうとうども輸送ゆそうたいSGLT: sodium-dependent glucose transporter 2)を阻害そがいする。通常つうじょういと球体きゅうたい濾過ろかされたはら尿にょうにはブドウ糖ぶどうとう血漿けっしょうおな濃度のうどふくまれており、SGLT2はそのブドウ糖ぶどうとうをナトリウムととも尿にょう細管さいかん細胞さいぼうないさい吸収きゅうしゅうするので、尿にょうとう閾値までブドウ糖ぶどうとうそとうしなわれずにむ。SGLT2阻害そがいやくは、尿にょうとうやせば血糖けっとうるので、血糖けっとう正常せいじょうすれば、膵でのインスリン分泌ぶんぴつ負担ふたんかるくなり、とう毒性どくせい解除かいじょされるのではないかというコンセプトで開発かいはつされた。

同様どうよう蛋白たんぱく(SGLT1)は小腸しょうちょう上皮じょうひ粘膜ねんまく細胞さいぼうにもあり 腸管ちょうかんからのとう吸収きゅうしゅうたずさわっている。SGLT2阻害そがいやくは、SGLT2に選択せんたくてき作用さようし、SGLT1にたいする影響えいきょう軽微けいびである。とう排泄はいせつにより、グルカゴン濃度のうど上昇じょうしょうきもにおける内因ないいんせいとうさんせいこり、ケトアシドーシスにつながることがあることに注意ちゅうい必要ひつようである[9][10]。2015ねん5がつ米国べいこく食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)は、SGLT2阻害そがいやくによりケトアシドーシス(DKA)が発生はっせいした症例しょうれい集積しゅうせきしている(2013ねん3がつ~2014ねん6がつで20れい)として警告けいこくはっした[11][12]。2022ねん3がつには、手術しゅじゅつのケトアシドーシス発症はっしょうリスクを軽減けいげんするため、上記じょうきのSGLT2阻害そがいやく手術しゅじゅつすくなくとも3にちまえきゅうやくすることを推奨すいしょうしている[13]

それとはべつに、ほんざい共通きょうつうする可能かのうせいのある副作用ふくさようとしてかわ疹・べにまだらげられている。この系統けいとう薬剤やくざいはその作用さようじょから高度こうどまたは末期まっきじん障害しょうがい患者かんじゃでの有効ゆうこうせい期待きたいできない。、SGLT2阻害そがいやく糖尿とうにょうびょう新薬しんやくとして、2014ねんから相次あいつ発売はつばいされるようになったが、服用ふくようしていた患者かんじゃ2にん死亡しぼうしていたことが2014ねん10がつ判明はんめいしている。これらの患者かんじゃ利尿りにょうやく併用へいようしていた[14]

日本にっぽん糖尿とうにょうびょう学会がっかいは『SGLT2阻害そがいやく適正てきせい使用しようかんするRecommendation』を2014ねん6がつ作成さくせいしており、臨床りんしょう報告ほうこく蓄積ちくせきともない、改訂かいていかさねている。そのなかでは、てい血糖けっとう脱水だっすい・ケトアシドーシス・やく疹・尿にょう感染かんせんしょうへの注意ちゅうい具体ぐたいてき記載きさいされている[15]

グリミンけい

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一般いっぱんめい ちゅう半減はんげん(hr) 作用さよう時間じかん(hr) いちにち使用しようりょう(mg)
イメグリミン 12 2000

構造こうぞうてきには、メトホルミンに類似るいじしている。

ミトコンドリア作用さようし、膵臓すいぞうでのインスリン分泌ぶんぴつ促進そくしん作用さよう肝臓かんぞうでのとう新生しんせい抑制よくせい骨格こっかくすじでのとう改善かいぜんしめ[16]。ミトコンドリアでは呼吸こきゅうくさりふく合体がったいI阻害そがいし、膵βべーた細胞さいぼうしょう胞体ストレスを低減ていげんしてアポトーシスを減少げんしょうさせる[17]

有効ゆうこうせい

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2016ねん、ランダムされた301試験しけんメタアナリシスし、たんざい併用へいようでの治療ちりょう死亡しぼうりつがないことや、メトホルミンよりもSUやく、チアゾリジンジオンけいやく、DPP-4阻害そがいやくαあるふぁ-グルコシダーゼ阻害そがいやくでは、ヘモグロビンA1cたかいことを見出みいだした[18]

禁忌きんき

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  • インスリン依存いぞん状態じょうたい
  • 糖尿とうにょうびょうせい昏睡こんすい糖尿とうにょうびょうせいケトアシドーシス: DKA、乳酸にゅうさんアシドーシス、ケトンせいだか浸透しんとうあつせい昏睡こんすい: NKHH coma、てい血糖けっとうせい昏睡こんすい
  • インスリン治療ちりょう絶対ぜったいてき適応てきおう重傷じゅうしょう感染かんせんしょう全身ぜんしん麻酔ますいなど中等ちゅうとう以上いじょうおかせかさねをともなう手術しゅじゅつ糖尿とうにょうびょう合併がっぺい妊娠にんしん妊娠にんしん糖尿とうにょうびょう: GDMをふくむ」)
  • 高度こうどじん機能きのう低下ていか(SUやくにおいては作用さよう遷延せんえん[19]、BGやくにおいては乳酸にゅうさんアシドーシスをきたしやすい[2]。TZDやくでは浮腫ふしゅ心不全しんふぜんをきたしやすく溢水いっすいまねく)
  • かん障害しょうがい(SUやくにおいては作用さよう遷延せんえんし、BGやくにおいては乳酸にゅうさんアシドーシスをきたしやすい。TZDやくαあるふぁGIやく特異とくいてき副作用ふくさようかん障害しょうがいとの鑑別かんべつ困難こんなんになる。)
  • 腸閉塞ちょうへいそく腹部ふくぶ手術しゅじゅつαあるふぁGIやくでは鼓腸こちょうから腸閉塞ちょうへいそくまねきやすく、腸管ちょうかんしゅしょう胆道たんどうしゅしょうこすことがある)
  • 食後しょくご血糖けっとう上昇じょうしょうおだやかにする作用さようゆうするなん消化しょうかせいデキストリンとの併用へいよう併用へいようした場合ばあい上昇じょうしょう抑制よくせいつよ出現しゅつげんする[20]

など

注意ちゅうい

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いくつかの健康けんこう食品しょくひん漢方薬かんぽうやくに、SUやくなどの経口けいこう血糖けっとう降下こうかやく含有がんゆうがあったと報告ほうこくされている。

には中国語ちゅうごくご列記れっきしている。「かくれつほん脲(ニクヅキに尿にょう)」グリベンクラミド、「ふくかくれつなみとう」ボグリボース、「かぶとそう胍(ニクヅキにふり)」メトフォルミンなど。

開発かいはつちゅうくすり

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SGLT1/2阻害そがいやく
Lexiconしゃ ソタグリフロジン英語えいごばん[21]
SGLT1阻害そがいやく
キッセイ薬品工業きっせいやくひんこうぎょうよりだい日本にっぽん住友製薬すみともせいやく導出みちびきだされたDSP-3235 → 開発かいはつ中止ちゅうし
GPR40作動さどうやく
JT JTT-851(開発かいはつ中止ちゅうし)、イーライリリー LY2881835(開発かいはつ中止ちゅうし)など。
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ (FBPase: Fructose 1,6-bisphosphatase) 阻害そがいざい
とう新生しんせいさまたげることで血糖けっとう上昇じょうしょうおさえようというじょ薬品やくひんである。メタベイシスしゃだいいち三共さんきょうが CS-917の開発かいはつすすめていたが、臨床りんしょうてき有用ゆうようせい証明しょうめいできなかった[22]:12-13
Aktリン酸化さんかやく
インスリン受容じゅようたいから細胞さいぼうない情報じょうほう伝達でんたつする経路けいろにあるAkt(セリンスレオニンキナーゼ)のリン酸化さんかにより、インスリンに類似るいじした効果こうか期待きたいできる。
コレセベラム (Colesevelam HCl)
脂質ししつ降下こうかやくのひとつ、胆汁たんじゅうさん結合けつごうしコレステロールのちょうきも循環じゅんかんさまた排泄はいせつさせるが、多面ためん効果こうか英語えいごばん承認しょうにんされている薬効やっこう以外いがい有益ゆうえき効果こうか)として、インスリン併用へいよう2がた糖尿とうにょうびょう患者かんじゃのHbA1cが0.5%程度ていどがりべいFDAに承認しょうにん申請しんせい
GLP-1とGIPのきょう受容じゅようたい作動さどうやく
イーライリリー チルゼパチドtirzepatide[23]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 英国えいこく実施じっしされただい規模きぼ臨床りんしょう試験しけんひとつ。

出典しゅってん

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  1. ^ Madiraju AK, Erion DM, Rahimi Y et al. (2014-06-26). “Metformin suppresses gluconeogenesis by inhibiting mitochondrial glycerophosphate dehydrogenase.”. Nature 510 (7506): 542-546. doi:10.1038/nature13270. PMID 24847880. http://www.nature.com/nature/journal/v510/n7506/full/nature13270.html 2015ねん9がつ21にち閲覧えつらん. 
  2. ^ a b イヤーノート 2015: 内科ないか外科げかへん メディック・メディア D106 ISBN 978-4896325102
  3. ^ 9つのDPP-4阻害そがいやく結合けつごう様式ようしきちがいにせまる!”. 日経にっけいDI (2016ねん3がつ8にち). 2016ねん4がつ3にち閲覧えつらん
  4. ^ Yagi S, Aihara K, Akaike M, et al. (2015-08). “Predictive Factors for Efficacy of Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitors in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus.”. Diabetes Metab J. 39 (4): 342-7. doi:10.4093/dmj.2015.39.4.342. PMID 26301197. http://www.e-dmj.org/DOIx.php?id=10.4093/dmj.2015.39.4.342. 
  5. ^ DPP-4阻害そがいやくじゅうあつし関節かんせつつう可能かのうせいべいFDAが安全あんぜんせい情報じょうほう”. MTPro (2015ねん8がつ31にち). 2015ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  6. ^ リラグルチド(遺伝子いでんしぐみえ) 安全あんぜんせい情報じょうほう” (2010ねん10がつ). 2015ねん2がつ25にち閲覧えつらん
  7. ^ 北村きたむら 正樹まさき (2020ねん8がつ7にち). “GLP-1受容じゅようたい作動さどうやくはつ経口けいこうやく登場とうじょう. 日経にっけいメディカル (日経にっけいBP). https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/202008/566590.html 2020ねん10がつ18にち閲覧えつらん 
  8. ^ いま滿みつる 仁美ひとみ (2020ねん2がつ8にち). 経口けいこうGLP-1やく期待きたいあつまる一方いっぽう高価こうかとのこえも”. 日経にっけいメディカル (日経にっけいBP). https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/1000research/202102/569008.html 2021ねん11月24にち閲覧えつらん 
  9. ^ 5ざいのSGLT2阻害そがいやくもなく登場とうじょう安全あんぜんせいかんする最新さいしん情報じょうほう解説かいせつ”. メディカルトリビューン. August 30, 2014閲覧えつらん
  10. ^ SGLT2阻害そがいやく安全あんぜんせい”. 日経にっけいメディカル. 2015ねん6がつ3にち閲覧えつらん
  11. ^ FDA Drug Safety Podcast: FDA warns that SGLT2 inhibitors for diabetes may result in a serious condition of too much acid in the blood”. FDA (2015ねん5がつ21にち). 2015ねん6がつ3にち閲覧えつらん
  12. ^ FDAがSGLT2阻害そがいやくによるケトアシドーシスに警告けいこく”. CareNet (2015ねん6がつ2にち). 2015ねん6がつ3にち閲覧えつらん
  13. ^ Research, Center for Drug Evaluation and (2022-03-15). “FDA revises labels of SGLT2 inhibitors for diabetes to include warnings about too much acid in the blood and serious urinary tract infections” (英語えいご). FDA. https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-revises-labels-sglt2-inhibitors-diabetes-include-warnings-about-too-much-acid-blood-and-serious. 
  14. ^ 糖尿とうにょうびょう新薬しんやく使用しよう患者かんじゃにん死亡しぼう利尿りにょうやく併用へいよう 読売新聞よみうりしんぶん 2014ねん10がつ11にち
  15. ^ SGLT2阻害そがいやく適正てきせい使用しようかんするRecommendation” (PDF). 日本にっぽん糖尿とうにょうびょう学会がっかい (2016ねん5がつ12にち). 2016ねん5がつ18にち閲覧えつらん
  16. ^ 北村きたむら 正樹まさき (2021ねん8がつ20日はつか). “ミトコンドリア機能きのう改善かいぜんするしんじょ糖尿とうにょうびょう治療ちりょうやく. 日経にっけいメディカル (日経にっけいBP). https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/202108/571489.html 2021ねん11月20にち閲覧えつらん 
  17. ^ しんクラスの糖尿とうにょうびょう治療ちりょうやく「イメグリミン」がヒト膵βべーた細胞さいぼう保護ほご しょう胞体ストレスを調節ちょうせつ βべーた細胞さいぼうあらたな保護ほごメカニズムを解明かいめい”. 糖尿とうにょうびょうリソースガイド. 2021ねん11月20にち閲覧えつらん
  18. ^ Palmer, Suetonia C.; Mavridis, Dimitris; Nicolucci, Antonio; et al. (2016). “Comparison of Clinical Outcomes and Adverse Events Associated With Glucose-Lowering Drugs in Patients With Type 2 Diabetes”. JAMA 316 (3): 313. doi:10.1001/jama.2016.9400. PMID 27434443. https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2533506. 
  19. ^ イヤーノート 2015: 内科ないか外科げかへん メディック・メディア D172 ISBN 978-4896325102
  20. ^ サプリメントるい使用しようじょうきょうとその問題もんだいてん糖尿とうにょうびょう患者かんじゃ対象たいしょうにした施設しせつ調査ちょうさ 医薬品いやくひん情報じょうほうがく Vol.11 (2009) No.3 P168-172
  21. ^ http://lexpharma.com/pipeline/lx4211.html
  22. ^ 特集とくしゅう 次世代じせだい糖尿とうにょうびょう治療ちりょうやく. New Current 19 (15): 2-13. (2008-07-01). http://www.cimasj.co.jp/sumple/tokushu.pdf 2015ねん5がつ3にち閲覧えつらん. 
  23. ^ いま滿みつる 仁美ひとみ (2021ねん7がつ20日はつか). “GLP-1とGIPのきょう作動さどうやくだい3そう試験しけん結果けっかは?”. 日経にっけいメディカル (日経にっけいBP). https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t353/202107/571152.html 2021ねん11月18にち閲覧えつらん 

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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