部首ぶしゅ

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漢字かんじ
書体しょたい
篆刻てんこく毛筆もうひつ
かぶとこつぶん 金文きんぶん 篆書てんしょ
古文こぶん
隷書れいしょ 楷書かいしょ
行書ぎょうしょ
草書そうしょ
木版もくはん活版かっぱん
宋朝そうちょうたい 明朝体みんちょうたい 楷書かいしょたい
字体じたい
構成こうせい要素ようそ
筆画ひっかく 筆順ひつじゅん 偏旁へんぼう 六書りくしょ 部首ぶしゅ
標準ひょうじゅん字体じたい
せつぶんかい篆書てんしょたい
さましょ 石経いしきょう
かん字典じてんたいきゅう字体じたい
しん字体じたい しん字形じけい
国字こくじ標準ひょうじゅん字体じたい つね用字ようじ字形じけいひょう
漢文かんぶん教育きょういくよう基礎きそ漢字かんじ
通用つうよう規範きはん漢字かんじひょう
国字こくじ問題もんだい
当用とうよう常用漢字じょうようかんじ
同音どうおん漢字かんじによるきかえ
繁体字はんたいじ正体しょうたい - 簡体字かんたいじ
漢字かんじ廃止はいし復活ふっかつ
漢字かんじ文化ぶんかけん
なかあさこしだいしん
派生はせい文字もじ
国字こくじ 方言ほうげん のりてん文字もじ
仮名かめい たけし おんなしょ
ちぎり文字もじ おんな文字もじ 西にしなつ文字もじ
字音じおん

部首ぶしゅ(ぶしゅ)とは、漢字かんじ分類ぶんるいするさいもちいられる漢字かんじ一部分いちぶぶんである。また、それによる分類ぶんるいの、かくグループである。部首ぶしゅによる分類ぶんるいでは、すべての漢字かんじひとつの部首ぶしゅ割振わりふられる。

字書じしょなどで漢字かんじ分類ぶんるいするさい偏旁へんぼう、すなわちへん(へん)やかんむり(かんむり)など、一部分いちぶぶんもちいる方法ほうほうがある。部首ぶしゅとはひとつには、そのような分類ぶんるいでの、ひとひとつの項目こうもくである。部首ぶしゅによる分類ぶんるいは、字書じしょにおける漢字かんじ分類ぶんるい配列はいれつ方法ほうほうであるのみならず、字書じしょさい検索けんさく方法ほうほうあたえる。

ある漢字かんじがどの部首ぶしゅ分類ぶんるいされるかは字書じしょによる。形声けいせい文字もじでは、意味いみあらわ部分ぶぶんもちいられることがおおい。たとえば「てつ」のは、ひだり半分はんぶん金属きんぞく意味いみする「」(金偏かねへん、かねへん)を部首ぶしゅとすることが普通ふつうである。これは、字書じしょでは「かね」のかれる。

一方いっぽうで、しんとされうる部分ぶぶんは、いくつかの変形へんけいがある。

  • こころざし」のしたがわ。これは、ほぼそのままのかたちである。
  • かい」の左側ひだりがわ、「」。これは、普通ふつう「りっしんべん」とばれる。
  • 「慕」のしたがわ、「」。これは、普通ふつう「したごころ」とばれる。

これらは、いずれもしん関係かんけいした意味いみあらわす。字書じしょにより、これらすべてを「しんれたり、やすくするために、かたち重視じゅうしして各々おのおのべつ部首ぶしゅとしたりする。

このように、部首ぶしゅとは、「しん」のなど、文字もじのグループであると同時どうじに、「かい」の左側ひだりがわ、すなわち漢字かんじ偏旁へんぼうなかの、分類ぶんるい使つかわれる部分ぶぶんをもす。文字もじ部分ぶぶんのうち部首ぶしゅとなるのは、つくり(つくり、右側みぎがわ)よりもへん(へん、左側ひだりがわ)、あるいはあししたがわ)よりもかんむり上側うわがわ)のほうおおい。

日本にっぽんでは、部首ぶしゅ名称めいしょう正式せいしきなものはない。

漢字かんじ以外いがいでも、部首ぶしゅによる分類ぶんるいは、漢字かんじおな字形じけい要素ようそたけしチュノムや、漢字かんじ参考さんこうにして考案こうあんされた西にしなつ文字もじ漢字かんじけんにある文字もじトンパ文字もじなどでもおこなわれる。

部首ぶしゅほう[編集へんしゅう]

部首ぶしゅほうとは、漢字かんじ字書じしょにおいて、収録しゅうろくされる漢字かんじ分類ぶんるいするさい偏旁へんぼうかんむりあしなど、一部分いちぶぶんもちいる方法ほうほうである。部首ぶしゅほうはまた、字書じしょにおける漢字かんじ検索けんさく方法ほうほうともなる。

字書じしょにおける漢字かんじ検索けんさく方法ほうほうとしては、部首ぶしゅ索引さくいんのほか音訓おんくん索引さくいん総画そうかく索引さくいんがある。また電子でんし辞書じしょなどでは手書てが入力にゅうりょく可能かのうなものもある。

部首ぶしゅほうにおける漢字かんじ配列はいれつ[編集へんしゅう]

今日きょう日本語にほんご字書じしょ、すなわち漢和かんわ辞典じてんにおける、漢字かんじ分類ぶんるい配列はいれつは、部首ぶしゅじくとする方法ほうほう普通ふつうである。一般いっぱんてき配列はいれつ方法ほうほうは、つぎのようになる

  1. すべての部首ぶしゅ画数かくすうちいさいほうからじゅんならべる。
  2. かく部首ぶしゅなか部首ぶしゅ以外いがい部分ぶぶん画数かくすうちいさいほうからじゅんならべる。
  3. それもおな場合ばあいには音読おんよ五十音ごじゅうおんじゅんならべる。

しばしば見返みかえしに部首ぶしゅ索引さくいん掲載けいさいされる。

漢字かんじ部首ぶしゅ検索けんさく[編集へんしゅう]

部首ぶしゅもちいた検索けんさくは、字書じしょ配列はいれつ方法ほうほうをそのまま利用りようする。部首ぶしゅもちいて、字書じしょなかから漢字かんじさが手順てじゅんつぎのようになる。れいとして「どう」のもちいる。

  1. 部首ぶしゅ見当けんとうをつける。「どう」であれば金偏かねへん(かねへん)である。
  2. 字書じしょ部首ぶしゅ索引さくいんから、金偏かねへん(「かね」ともばれる)が収録しゅうろくされているページにく。
  3. 漢字かんじ部首ぶしゅでない部分ぶぶん画数かくすうかぞえる。「どう」であれば、右側みぎがわの「どう」のかたち部分ぶぶんであり、6かくである。
  4. おな部首ぶしゅ漢字かんじは、部首ぶしゅでない部分ぶぶん画数かくすうじゅんならんでいるので、6かくところまでく。
  5. 6かくは、普通ふつう音読おんよみの五十音ごじゅうおんじゅんならんでいる。「どう」(どう)はおなじ6かくの「ぎん」(ぎん)よりはのちにあり、「めい」(めい)よりはまえにある。

部首ぶしゅもちいて漢字かんじ検索けんさくする場合ばあいには、うえもちいた「どう」のれいのように容易ようい場合ばあいもあれば、そうでない場合ばあいもある。たとえば部首ぶしゅ自明じめいでない場合ばあいには、いくつか見当けんとうをつけて、それらをじゅんたっていかなければいけない。字書じしょによっては、このてん工夫くふうし、たとえば「おとこ」のを「」の収録しゅうろくする字書じしょでも、「ちからの5かくにも、「おとこ」の記載きさいページをくなど、利用りようしゃさがしそうな、いくつかの箇所かしょからもけるようになっているものもある。

コンピュータにおける漢字かんじ入力にゅうりょくでは、部首ぶしゅ利用りようできるものもある。一方いっぽう中国ちゅうごく入力にゅうりょく方法ほうほうには、くら輸入ゆにゅうほうなど漢字かんじ部分ぶぶん分解ぶんかいして入力にゅうりょくするものもあるが、部首ぶしゅとの直接ちょくせつ関連かんれんはない。

歴史れきし[編集へんしゅう]

漢字かんじをいくつのけるかは、時代じだい字書じしょ編者へんしゃによってことなっているが、おおまかにえば時代じだいすすむにつれて、すくないける方向ほうこう整理せいりされてきた。

本来ほんらいは、たとえば「しん」を部分ぶぶんとしているひとつの「」にまとめ、それらの代表だいひょうするとして最初さいしょくび)に配置はいちされた、ここでは「しん」というそのものが「部首ぶしゅ」であった。そして「しん」を部首ぶしゅとするを「しん」のようにぶことにした。しかし、のちに「」と「部首ぶしゅ」が混同こんどうされ、「しん」でなく「しん」のほうを「部首ぶしゅ」とぶようになった。

せつぶんかい』による部首ぶしゅ分類ぶんるい[編集へんしゅう]

はじめて漢字かんじ部首ぶしゅによって分類ぶんるいしたのは『せつぶんかい』である。『せつぶんかい』は篆書てんしょたい小篆しょうてん)の漢字かんじを540の部首ぶしゅけて体系たいけいけ、そのちを「象形しょうけい指事しじ会意かいい形声けいせい転注てんちゅう仮借かしゃく」の6しゅ六書りくしょ;りくしょ)の原理げんりしたがって解説かいせつしたものである。

せつぶんかい』の部首ぶしゅ分類ぶんるいは、漢字かんじ意味いみをその構成こうせい部分ぶぶん意味いみによって体系たいけいすることを目的もくてきとしたものである。そのうえ、ある漢字かんじもとにして派生はせいした漢字かんじが1でもあればもとになる漢字かんじかなら部首ぶしゅとしててるという方針ほうしん編纂へんさんされているため、「ころせ」や「」などの形声けいせい文字もじ部首ぶしゅとしててられている。部首ぶしゅかず非常ひじょうおおく、「いち」から「じゅう」までの数字すうじ、「かぶと」から「みずのと」までの十干じっかん、「」から「」までの十二支じゅうにしがすべて部首ぶしゅになっており、そのなかには部首ぶしゅとする漢字かんじがなく部首ぶしゅそのものしかぞくしていない部首ぶしゅおおい。ちなみに数字すうじ十干じっかん十二支じゅうにしのうち『かん字典じてん』や現代げんだい漢和かんわ辞典じてん部首ぶしゅとされているものは「いち」「」「はち」「じゅう」「おつ」「おのれ」「からし」「」「たつ」「とり」のみである。部首ぶしゅ配列はいれつほう意味いみ関連かんれん字形じけい関連かんれんによっているが、かず冒頭ぼうとうである「いち」ではじまり、十二支じゅうにし末尾まつびである「」でわるもので、陰陽いんようぎょう理念りねん影響えいきょうつよけている。そのため、部首ぶしゅ分類ぶんるい利用りようして目当めあてのさがすことはきわめて困難こんなんであった。

以後いご、『せつぶんかい』にならって、部首ぶしゅによって漢字かんじ分類ぶんるいした書物しょもつ(これを字書じしょぶ)がいくつかつくられた。『たまへん』(542部首ぶしゅ)、『るいへん』(540部首ぶしゅ)などの字書じしょは、おや楷書かいしょたいとなり、字解じかい内容ないよう漢字かんじちでなく字義じぎ中心ちゅうしんとしたものにわっている。しかし、げられている部首ぶしゅは『るいへん』では『せつぶんかい』とまったおなじであり、『たまへん』でもちがいはわずかである。そのため、検索けんさくについては『せつぶんかい』とおな欠点けってんっていた。

中国ちゅうごくでは、ながあいだ検索けんさく利便りべんせいてんから、漢字かんじ部首ぶしゅべつならべた字書じしょ配列はいれつよりも、漢字かんじいんじゅんならべた韻書いんしょ配列はいれつほうおお利用りようされてきた。部首ぶしゅ分類ぶんるいである『せつぶんかい』も、みなみそう時代じだい部首ぶしゅいんじゅんならえた『せつぶんかい音韻おんいん』がるとたいへんひろ使つかわれ、一時いちじは『せつぶんかい』というとこのほんのことをすほどであった。『佩文いん』(はいぶんいんぷ)や『隷辨』(れいべん)などがいんじゅんであるのは、検索けんさくにもっとも便利べんりであるからである。

そのりょう僧侶そうりょくだりひとしの『りゅうがん手鑑てかがみ』(242部首ぶしゅ)、きむかん孝彦たかひこかん道昭みちあきの『五音ごいんへんうみ』(444部首ぶしゅ)など、部首ぶしゅかずをしぼって索引さくいん便びんはかった字書じしょた。とくに『五音ごいんへんうみ』はどういち部首ぶしゅぞくする漢字かんじ画数かくすうじゅん配列はいれつを(部分ぶぶんてきにではあるが)採用さいようしている。しかし、これらの字書じしょでは、まだ部首ぶしゅ自体じたい配列はいれつじゅん画数かくすうじゅんられておらず、『りゅうがん手鑑てかがみ』では部首ぶしゅ四声しせいじゅん配列はいれつし、『五音ごいんへんうみ』では五音ごいんさんじゅうろく字母じぼじゅん、すなわち部首ぶしゅ子音しいんじゅん配列はいれつする方式ほうしきられていた。

字彙じい』による部首ぶしゅ分類ぶんるい[編集へんしゅう]

現在げんざい主流しゅりゅうである、画数かくすうじゅんに214部首ぶしゅならべるかたちは、あきらまんれき43ねん1615ねん)、うめ膺祚によって編纂へんさんされた『字彙じい』によってはじめておこなわれた。『字彙じい』は部首ぶしゅ配列はいれつじゅんおよびその部首ぶしゅぞくする漢字かんじ配列はいれつじゅんをすべて画数かくすうじゅんとした画期的かっきてき字書じしょである。それ以前いぜん字書じしょおおられた所属しょぞく文字もじきわめてすくない部首ぶしゅ大胆だいたん統合とうごうしたこともあって、本書ほんしょ出現しゅつげんによって字書じしょによる漢字かんじ検索けんさく以前いぜんくらべてきわめて容易よういになった。

字彙じい』による所属しょぞく文字もじすくない部首ぶしゅ統合とうごう実例じつれいげる。『せつぶんかい』では「おとこ」に「おとこおいしゅうと」の3ぞくするが、『字彙じい』では「おとこ」は廃止はいしされ、「おとこ」は「田部たなべ」に、「おい」は「生部いけぶ」に、「しゅうと」は「うす」にうつっている。「おい」も「しゅうと」も形声けいせい文字もじであり「せい」「うす」はその音符おんぷ、「おとこ」はにあたる。形声けいせい文字もじ部首ぶしゅは、その部分ぶぶんとする、という原則げんそくよりも、所属しょぞく文字もじわずか3の「おとこ」を廃止はいしし、結果けっかとして検索けんさくをより容易よういにしている。

せつぶんかい』では象形しょうけい文字もじ部首ぶしゅになるべきものであるが、その象形しょうけい文字もじとしてつくられた漢字かんじ存在そんざいしない場合ばあいきわめて少数しょうすうである場合ばあいには、部首ぶしゅてても検索けんさくをいたずらに困難こんなんにするだけである。そのため、『字彙じい』では象形しょうけい文字もじは、「かぶと」「さる」「ゆかり」がいずれも「田部たなべ」にぞくするように、字義じぎ無関係むかんけい部首ぶしゅうつしているものがおおい。また、『字彙じい』の部首ぶしゅなかには、字源じげんではなく字形じけいによって分類ぶんるいすることによって検索けんさく役立やくだつことだけを目的もくてきてられたものも一部いちぶふくまれている。たとえば「亠部」の部首ぶしゅの「亠」は漢字かんじとしては本来ほんらい存在そんざいせず、検索けんさく便宜上べんぎじょうつくされたものであり、「冂部」「」「爻部」なども部首ぶしゅ自体じたい象形しょうけい文字もじだが、部首ぶしゅとしてはというよりも字形じけい分類ぶんるいのためにてられている。

以上いじょうのように、『せつぶんかい』の部首ぶしゅ漢字かんじ意味いみにより分類ぶんるい体系たいけいづけることを目的もくてきとしているのにたいし、『字彙じい』の部首ぶしゅ漢字かんじ検索けんさくするための形態けいたいによる分類ぶんるい道具どうぐ、というめんつよい。しかし、全体ぜんたいてきには意味いみによって漢字かんじ分類ぶんるいするという要素ようそのこしている。

かん字典じてん』による部首ぶしゅ分類ぶんるい[編集へんしゅう]

かん字典じてん』の部首ぶしゅ配列はいれつじゅんは『字彙じい』におおむねしたがっている。ちがいは2かしょのみであり、1つは『字彙じい』が5かく部首ぶしゅ冒頭ぼうとうを「たまげんふり」のじゅんとしているのを、『かん字典じてん』がかん熙帝の御名ぎょめいげん」を5かく部首ぶしゅ冒頭ぼうとうにするために「げんだまふり」のじゅんあらためているところと、もう1つは4かくで气部と配列はいれつえているところである。それぞれの漢字かんじ部首ぶしゅかたは、『字彙じい』がどちらかというと字形じけいかたむいているのを、『かん字典じてん』はやや字義じぎ優先ゆうせん修正しゅうせいしている。

なお、これらの214分類ぶんるいで、どう画数かくすう部首ぶしゅ配列はいれつ順序じゅんじょには、全体ぜんたいつらぬ原則げんそく存在そんざいしない。しかし、2かくでは「ひと」「儿」「いれ」「はちが、3かくでは「」「が、4かくでは「」「曰」ならんでいるように類似るいじ部首ぶしゅならべる配慮はいりょがされているほか、4かくで「きば」「うし」「いぬならんでいるように意味いみ類似るいじした部首ぶしゅをまとめようとしていることもうかがえる。

伝統でんとうてき部首ぶしゅ分類ぶんるい漢和かんわ辞典じてん改良かいりょう[編集へんしゅう]

昭和しょうわはじめまで、日本にっぽん漢和かんわ辞典じてんは、意味いみによる部首ぶしゅ分類ぶんるいであるかん字典じてん分類ぶんるい踏襲とうしゅうするのが普通ふつうであったため、部首ぶしゅくのはかならずしも容易よういではなかった。たとえば、「」(りっしんべん)のくには「しんなければならず、「うけたまわ」のは「必要ひつようがあった。これらは、ちに由来ゆらいしていることがおおい。また、1946ねん昭和しょうわ21ねん)の当用漢字とうようかんじひょう、1949ねん昭和しょうわ24ねん)の当用漢字とうようかんじ字体じたいひょうによるしん字体じたいへの変更へんこうにより、きゅう字体じたいとの乖離かいりへの対応たいおう必要ひつようとなった。

字形じけい主義しゅぎ字義じぎ主義しゅぎ[編集へんしゅう]

かんひろし字典じてん』の部首ぶしゅ選択せんたく字義じぎ主義しゅぎ形声けいせい文字もじ部首ぶしゅえらぶ)と字形じけい主義しゅぎ折衷せっちゅうてき方式ほうしきであり、なに部首ぶしゅとしていたらよいのかわからないことがすくなくない。

長沢ながさわ規矩きくは、からけるように工夫くふうをした『新撰しんせん漢和かんわ辞典じてん』を1937ねん昭和しょうわ12ねん)に三省堂さんせいどうから刊行かんこうした。これは字形じけい主義しゅぎ代表だいひょうである。この方式ほうしき戦後せんごの『三省堂さんせいどう漢和かんわ辞典じてん』(1971ねん初版しょはん)にもがれた。三省堂さんせいどう部首ぶしゅ以下いかのような原理げんりしたがっているという[1]

  • 意味いみ考慮こうりょせず、できるだけへんかんむりけるようにする
  • おおくの漢字かんじうえ半分はんぶんひだり半分はんぶん共通きょうつうしてあるかたちで、従来じゅうらい部首ぶしゅにないものについて、部首ぶしゅ新設しんせつする
  • 人偏にんべん(亻)やだてがたな(刂)・立心偏りっしんべん(忄)などは独立どくりつした部首ぶしゅとしててる
  • 匚部匸部などは統合とうごうする

ぎゃくになるべく字義じぎ主義しゅぎろうとしたのが角川かどかわしん字源じげん』で、凡例はんれいで「検索けんさくいちじるしいさまたげがないかぎり、合理ごうりてき部首ぶしゅうつした」とっているのは[2]、これをす。『しん字源じげん』と『かんひろし字典じてん』で部首ぶしゅ変更へんこうがあったものを例示れいじすると、以下いかのようになる。

かんひろし字典じてん しん字源じげん
おさむ ひと8かく 彡部7かく
そと ゆう2かく 卜部うらべ3かく
おんな3かく くち3かく
めぐ 巛部4かく 辵部3かく
矢部やべ3かく くち5かく
した6かく 亅部11かく
いん しょく4かく かけ8かく

どういち部首ぶしゅ変形へんけいあつか[編集へんしゅう]

伝統でんとうてきには、たとえば「しん」のには、「忘」のなど、「しん」のかたちたもったもののほかに、「かい」ののように、へんで「」のかたちのもの、また「慕」のなど、あしで「」のかたちのものをおさめる。そうこうの「艹」、辵部の「辶」、邑部の「阝」(おおざと)、阜部の「阝」(こざとへん)などのように、その部首ぶしゅ所属しょぞくする漢字かんじのほぼすべてが変形へんけいとなっているものもある。

このような分類ぶんるいでは、知識ちしきがないと部首ぶしゅもちいて漢字かんじ検索けんさくできない。今日きょう漢和かんわ辞典じてんでは、「」を部首ぶしゅとしたり、部首ぶしゅ索引さくいんで「」から「しん誘導ゆうどうするなど、なんらかの工夫くふうがされていることもおおい。なお、部首ぶしゅ索引さくいんでの「」から「しんへの誘導ゆうどうは『字彙じい』ですでにおこなわれている。

このような変形へんけいいくつかあるが、「ころもである「」は、「ころもへん」とばれるなど、名称めいしょうにも変形へんけいまえ痕跡こんせきをとどめるものがおおい。

歴史れきしてきには、はじめて漢字かんじ部首ぶしゅによって分類ぶんるいした『せつぶんかい』では、おや篆書てんしょたいであったため、「しん」も「」も同形どうけいであった。「しん」と「」の字形じけいちがいは、篆書てんしょたいから隷書れいしょたい書体しょたい変化へんかした(これを「隷変」とぶ)ときにまれたものである。

楷書かいしょ使用しようするようになった現在げんざいでも、おおくの字書じしょでは、部首ぶしゅ変形へんけいしたものを本来ほんらい部首ぶしゅ所属しょぞくさせている。そのため、「どう」「むね」など「つき(にくづき)」がが、4かくの「つき」でなく6かくの「にく」にぞくするなどの一見いっけん不自然ふしぜん状態じょうたいしょうじている。これを回避かいひするために、おな字形じけいえるものはけない字書じしょもある。ぎゃく台湾たいわん活字かつじフォントでは、字形じけいのほうを変化へんかさせて部首ぶしゅちがいが容易よういかるようにしている。

中国ちゅうごくでは、部首ぶしゅとしての変形へんけい字形じけいを「がた部首ぶしゅ」とんでいる。

しん字体じたいあつか[編集へんしゅう]

現在げんざい日本にっぽんでは、当用漢字とうようかんじ常用漢字じょうようかんじ人名じんめいよう漢字かんじしん字体じたいによって大幅おおはば字形じけいわった漢字かんじがある。それらの漢字かんじなかには、従来じゅうらい部首ぶしゅまったふくんでいないために検索けんさくてきさなくなったものが存在そんざいする。たとえばきゅう字体じたいが「まん」(そうこう)であった漢字かんじしん字体じたいでは「まん」となり、「こえ」(みみ)は「こえ」、「えん」(囗部)は「えん」となった。

これらの漢字かんじについては、かく漢和かんわ辞典じてんにより配置はいち方針ほうしんことなる。

  • きゅう字体じたい部首ぶしゅ画数かくすう位置いちしん字体じたいをそのまま配置はいちする。(まんそうこう9かくこえみみ11かくえん=囗部10かく
  • しん字体じたいてきした部首ぶしゅ画数かくすう位置いち配置はいち変更へんこうする。(まん一部いちぶ2かくこえ4かくえん=冂部2かく

2015ねん現在げんざい発売はつばいされている漢和かんわ辞典じてんえば後者こうしゃ主流しゅりゅうであるが、『しん字源じげん』のように前者ぜんしゃ採用さいようしているものも存在そんざいする。また、『新選しんせん漢和かんわ辞典じてん』のように改訂かいていによって前者ぜんしゃから後者こうしゃ方針ほうしん変更へんこうしたものもある。

しん字体じたい部首ぶしゅは『かん字典じてん』のような統一とういつてき基準きじゅんがないため、かく漢和かんわ辞典じてんによって部首ぶしゅことなることもある。たとえば「きょ」(きゅう字体じたいは「きょ」=こう)の部首ぶしゅは『漢字かんじげん』では、『かんうみ』では丨部、『しん漢語かんごりん』『かん字典じてん』では匚部、日本漢字能力検定協会にほんかんじのうりょくけんていきょうかいではこうのままと様々さまざまである。

従来じゅうらい部首ぶしゅふくんでいないしん字体じたい[編集へんしゅう]

  は、『かん字典じてん』に同様どうよう字体じたいあらわれるもの。その字体じたいの『かん字典じてん』での部首ぶしゅ太字ふとじしん部首ぶしゅは*でしめす。
 
きゅう
(正字せいじ)
従来じゅうらい
部首ぶしゅ
しん字体じたい
(俗字ぞくじ)
しん字体じたい
部首ぶしゅれい
備考びこう
0001 164とり 023匸部 匸部を匚部と統合とうごうしている辞書じしょ場合ばあい匚部
0002 ため 087つめ ため 086
0003 086 215*くち
0004 えん 031囗部 えん 013冂部
0005 しお 197鹵部 しお 032
0006 かい 073曰部 かい 009ひと
0007 まき 026卩部 まき 049おのれ
0008 077とめ 050はばかたな・*
0009 きゅう 134うす きゅう 072にち
0010 きょ 048こう きょ 048こう丨部匚部 中国ちゅうごくではどういち字体じたいあつかいで『かん字典じてん』にしたがこう
匚部の場合ばあい総画そうかくすうが1かくすくなくなる
0011 032 たかし 032儿部 人名じんめいよう漢字かんじ。Unicodeの配列はいれつ尢部
0012 かけ 121かん かけ 076かけ 本来ほんらいべつ意味いみの2つのを「かけ」にまとめたもので完全かんぜんしん字体じたいではない
0013 けん 120いと けん 109
0014 けん 012はち けん 012はち・*䒑部 ・* 中国ちゅうごくではどういち字体じたいあつかいで『かん字典じてん』にしたがはち
0015 いむ 030くち いむ 215*攴部 中国ちゅうごくでは厂部ぞくされることがある。Unicodeの配列はいれつも厂部。
0016 こう 066攴部 こう 019ちから 当用漢字とうようかんじ字体じたいひょうちから分類ぶんるい
0017 ごう 141虍部 ごう 030くち
0018 うつし 040宀部 うつし 014冖部
0019 ことぶき 033 寿ことぶき 041すん
0020 おさむ 066攴部 おさむ 029また
0021 129聿部 129聿部べい彐部 しん字体じたいにも聿部はふくまれると辞書じしょふくまれないと辞書じしょがある
0022 しょ 141虍部 しょ 016几部夂部
0023 じょ 066攴部 じょ 029また
0024 つき 108さら つき 044しかばね
0025 こえ 128みみ こえ 033
0026 ちょん 011入部にゅうぶ ちょん 011入部にゅうぶひとたま 中国ちゅうごくではどういち字体じたいあつかいで『かん字典じてん』にしたが入部にゅうぶ
0027 ねずみ 208ねずみ 208ねずみ・* 常用漢字じょうようかんじではない。中国ちゅうごくでは丨部ぞくされることがある。だい漢和かんわ辞典じてん補遺ほいでは几部
0028 そう 172ふるとり そう 029また
0029 そう 087つめ そう 006亅部・*
0030 047巛部 215*木部きべ 中国ちゅうごくでは巛部ぞくされることがある
0031 だい 133いたり だい 030くち 本来ほんらいべつ意味いみ代替だいたいしたもので完全かんぜんしん字体じたいではない
0032 たん 030くち たん 215*じゅう
0033 066攴部 みことのり 019ちから 当用漢字とうようかんじ字体じたいひょうちから分類ぶんるい
0034 てん 203黑部くろべ てん 086
0035 とう 102田部たなべ とう 042小部こべ彐部
0036 とう 203黑部くろべ とう 010儿部
0037 たたかえ 191鬥部 たたかえ 169門部かとべ
0038 011入部にゅうぶ うち 011入部にゅうぶ冂部
0039 154かい 056弋部
0040 173あめ 146襾部 当用漢字とうようかんじ字体じたいひょうで襾部に分類ぶんるい
0041 うれ 154かい うれ 033
0042 113しめせ 115禾部
0043 なみ 117立部たちべ なみ 001一部いちぶ・*䒑部 ・*
0044 へん 149げん へん 035夊部 夊部を夂部と統合とうごうしている辞書じしょ場合ばあい夂部
0045 べんべん
べん
160からし
ふり
べん 055廾部 本来ほんらいべつ意味いみの4つのを「べん」にまとめたもので完全かんぜんしん字体じたいではない
0046 おかせ 013冂部 おかせ 073曰部冂部 中国ちゅうごくではどういち字体じたいあつかいで『かん字典じてん』にしたが冂部
0047 183 こぼし 124羽部はぶ
0048 まん 140そうこう まん 001一部いちぶ
0049 あずか 134うす あずか 001一部いちぶ
0050 152いのこ 006亅部・* 本来ほんらいべつ意味いみの2つのを「」にまとめたもので完全かんぜんしん字体じたいではない
0051 184しょく 009ひと 本来ほんらいべつ意味いみの2つのを「」にまとめたもので完全かんぜんしん字体じたいではない
0052 009ひと 075木部きべ
0053 よりゆき 154かい よりゆき 181ぺーじ しん字体じたいにもかいふくまれるがおおむねぺーじあつか
0054 りょう 011入部にゅうぶ りょう 001一部いちぶ

このほか、「りゅう」(きゅうりゅう)は日本にっぽんではりゅうりゅう)の0かくとしてあつかうが、『かん字典じてん』では立部たちべの5かくぞくしている。また、「」(きゅう)は日本にっぽんでは)の0かく、「かめ」(きゅうかめ)はかめかめ)の0かく、「ひとし」(きゅうひとし)と「とき」(きゅうとき)はひとしの0かくと3かくとしてあつかうが、いずれも『かん字典じてん』にはあらわれない字形じけい中国ちゅうごく略字りゃくじがたとはことなり、「」「かめ」「ひとし」「とき」と同一どういつ漢字かんじとしてられずとめの8かく乙部おとべの10かく文部もんぶの4かくと7かくぞくされることがある。「むぎ」(きゅうむぎ)は日本にっぽんでも『かん字典じてん』でもむぎむぎ)の0かくとしてあつかわれているが、中国ちゅうごくでは夊部の4かくぞくされることがある。

しん部首ぶしゅあつか[編集へんしゅう]

しん字体じたい登場とうじょうしたことや、部首ぶしゅきにくい漢字かんじきやすくすることなどのために、『かん字典じてん』の214部首ぶしゅふくまれないしん部首ぶしゅつくった漢和かんわ辞典じてんすくなくない。これらのしん部首ぶしゅについては『かん字典じてん』のような統一とういつてき基準きじゅんがないためかく漢和かんわ辞典じてんによってことなるが、おおむ以下いかしん部首ぶしゅ存在そんざいする。

  • - たん・営 (『漢字かんじげん』『しん漢語かんごりん』『かん字典じてん』)
  • りょう - りょう (『かん字典じてん』)
  • - そう (『かん字典じてん』)
  • - なみけん (『かん字典じてん』)

・マ(いずれも『かん字典じてん』)など、所属しょぞくする文字もじがないものの検索けんさく便宜上べんぎじょうつくられたしん部首ぶしゅもある。

また、現代げんだい活字かつじ楷書かいしょたいでは形状けいじょうがないことから夂部と夊部、匚部と匸部はまとめられることがおおくなった。にちと曰部、つきと「にくづき」(本来ほんらいにく)をまとめ、行部ゆくべ漢字かんじすべて彳部に移動いどうした『しん漢語かんごりん』のような漢和かんわ辞典じてんもある。

画数かくすうあつか[編集へんしゅう]

漢字かんじ画数かくすうかぞえるときは一筆いっぴつける点画てんかくを1かくかぞえる。これは、部首ぶしゅにおいても同様どうようである。

部首ぶしゅなかには通常つうじょう明朝体みんちょうたい活字かつじちが画数かくすうさだめられているものがある。たとえば、「ふり」は通常つうじょう明朝体みんちょうたい活字かつじとおりに画数かくすうかぞえると6かくになるが、かん字典じてんでは5かく部首ぶしゅとされている。これを是正ぜせいするために、日本にっぽん漢和かんわ辞典じてんではなか部分ぶぶんを2かくの「厶」にえるようにした活字かつじ使用しようすることがある。

中国ちゅうごく日本にっぽんでは、部首ぶしゅ部分ぶぶん画数かくすうちが場合ばあいもある。たとえば、「こざとへん・おおざと()」はかん字典じてんでは3かくかぞえ、日本にっぽんでもそれをまえるが、現在げんざい中国ちゅうごくでは2かくとする。なお、「」をはじめて3かくかぞえた『字彙じい』の凡例はんれいには、2かく部首ぶしゅの「卩」と区別くべつするために3かくかぞえたというむねかれている。「おに」はかん字典じてんでは10かく部首ぶしゅであり、日本にっぽんでは10かくかぞえるが、現在げんざい中国ちゅうごくでは9かくである。これは、中国ちゅうごくでは日本にっぽんで4かくとしているたてと7かくとしているひだりばらいをつなげて字体じたい正式せいしき字体じたいとされているためである。

また、しんかん字典じてんではひだりたてしたよこをつなげて6かくかぞえ、現在げんざい中国ちゅうごくでも6かくかぞえているが、現在げんざい日本にっぽんでは7かくかぞえるため、漢和かんわ辞典じてんによっては部首ぶしゅ位置いちを7かくのところに移動いどうさせたり、部首ぶしゅ位置いちが6かくのままでも常用漢字じょうようかんじかぎって7かくかぞえたりしている。

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく部首ぶしゅ[編集へんしゅう]

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくでは部首ぶしゅ画数かくすうくわえて筆画ひっかくかたちふでがた)を利用りようすることがおおい。ふでがたを「よこたて・撇・てんおり」の5種類しゅるい大別たいべつし、これをぴつぶ。どういち画数かくすう文字もじ最初さいしょにより、最初さいしょおなじならだい2かく……のように配列はいれつする。これによってどういち画数かくすう検索けんさくしやすくなっている。

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく字書じしょ漢字かんじ辞典じてんでは、日本にっぽん同様どうよう字義じぎ重視じゅうししてかん字典じてんじゅんじた部首ぶしゅ採用さいようするもの、字形じけい重視じゅうしして索引さくいん便びんはかるものの両者りょうしゃ並立へいりつしている。ひとべつ部首ぶしゅ分離ぶんりしたり、ひと入部にゅうぶにちと曰部をそれぞれ統合とうごうしたり、行部ゆくべを彳部にふくめたりするなど、『かん字典じてん』の214部首ぶしゅとはちがあつかいをしているものがおおい。代表だいひょうてき字書じしょである『中華ちゅうかうみ』は210部首ぶしゅ、『漢語かんごだい字典じてん』では200部首ぶしゅとしている。『しんはな字典じてん』の1971年版ねんばんや『現代げんだい漢語かんごてん初版しょはん部首ぶしゅ索引さくいんは189部首ぶしゅだった[注釈ちゅうしゃく 1]

また、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくでは簡体字かんたいじ正書法せいしょほうとしており、たとえば言偏ごんべんは2かくの「」にえられるが、へんでない単体たんたいの「げん」やあしにある「ちかい」などの場合ばあいは7かくの「げん」のままとなっている。「かい」の簡体字かんたいじ」は、どの場所ばしょにあってももちいるが、この場合ばあいでも部首ぶしゅとしての画数かくすうは7かくのままのことがおおい。

漢字かんじ部首ぶしゅひょう[編集へんしゅう]

部首ぶしゅあつかいを統一とういつするため、1983ねんに「漢字かんじ統一とういつ部首ぶしゅひょう草案そうあんつくられ、2009ねんに「漢字かんじ部首ぶしゅひょう」として正式せいしき実施じっしされた[3]。また「GB13000.1しゅう漢字かんじ部首ぶしゅ規範きはん」ではGB13000.1(GBK)のすべてのについて部首ぶしゅ画数かくすう定義ていぎした[4][5]。この方式ほうしきでは201部首ぶしゅがた部首ぶしゅは100種類しゅるい)を採用さいようしている。『しんはな字典じてん』『現代げんだい漢語かんごてん』の部首ぶしゅ索引さくいんはこの方式ほうしきしたがっている。

旧来きゅうらい部首ぶしゅから爻部げんよう禸部ます行部ゆくべ鬯部黹部などがのぞかれ(たとえば「ます」はゆう、「くだり」は彳部、「よう」は冂部にれる)、また乙部おとべ亅部ひと入部にゅうぶ匚部匸部夂部夊部にち曰部などはひとつにまとめられている。新設しんせつ部首ぶしゅとして「业部」と「」がある。どういち画数かくすう部首ぶしゅふでがたじゅんならべられる。かく漢字かんじ部首ぶしゅへの所属しょぞく以下いかのような優先ゆうせん順序じゅんじょめられる[4]

  1. 漢字かんじひだりうえそと部首ぶしゅがあれば、それをる。「」は禾部、「くれ」は艹部、「めぐ」は辶部など。
  2. 漢字かんじみぎしたない部首ぶしゅがあれば、それをる。「颖」は页部、「はじむ」は氺部、「载」は车部など。
  3. 漢字かんじひだりからみぎうえからしたていって、部首ぶしゅがあればそれをる。「なぶ」は田部たなべ、「釐」は攵部、「まい」はゆうなど。
  4. 最初さいしょ筆画ひっかく部首ぶしゅとする。「はじめ」は一部いちぶ、「とし」は丿部、「夬」は乛部など。

漢字かんじ部首ぶしゅ[編集へんしゅう]

ある漢字かんじがどの部首ぶしゅ分類ぶんるいされるかは字書じしょによる。日本にっぽん漢和かんわ辞典じてんおおくは、『かん字典じてん』の分類ぶんるいか、その変形へんけいである。なお、日本にっぽんでは部首ぶしゅ名称めいしょうに「正式せいしき」なものはない(字書じしょによりことなる)。

部首ぶしゅ基準きじゅん[編集へんしゅう]

形声けいせい文字もじ[編集へんしゅう]

形声けいせい文字もじでは、意味いみあらわ部分ぶぶん部首ぶしゅ分類ぶんるいされることがおおい。たとえば「どう」のは、ひだり半分はんぶん金属きんぞく意味いみする「」(金偏かねへん、かねへん)を部首ぶしゅとすることが普通ふつうである。これは、字書じしょでは「かね」のかれる。

漢字かんじの90%以上いじょうめる形声けいせい文字もじは、意味いみしめす「」の部分ぶぶんと、おとしめす「音符おんぷ」の部分ぶぶんによってっている。形声けいせい文字もじでは部首ぶしゅ部分ぶぶんとなることがおおいため、みなどの知識ちしきがあれば、部首ぶしゅ比較的ひかくてき容易よういつけることができる。

たような文字もじれいくみげる。

  • とう」と「なぐ」: 「とう」のは「殳」が音符おんぷは「」、したがって「」にぞくする。「なぐ」のは「」が音符おんぷは「殳」、したがって「殳部」にぞくする。
  • ばつ」と「聞」: 「ばつ」のは「」が音符おんぷは「もん」、したがって「門部かとべ」にぞくする。「聞」のは「もん」が音符おんぷは「みみ」、したがって「みみ」にぞくする。

しかし、部首ぶしゅになっていない場合ばあいは、便宜上べんぎじょう字形じけいによって分類ぶんるいするため、部首ぶしゅかりにくいことがある。たとえば「てる」はひかり」と音符おんぷぐん」からるが、『かん字典じてん』のように「ひかり」をもうけていない場合ばあい、なるべく画数かくすうおおいパーツとして「くるま」にれるのが一般いっぱんてきである。

形声けいせい文字もじ以外いがい[編集へんしゅう]

会意かいい文字もじでは、構成こうせい要素ようそがいずれも「」にあたり、部首ぶしゅ分類ぶんるい字書じしょによる。たとえば、「そう」は会意かいい文字もじである。「木部きべ」「」のうち、せつぶんかいでもかん字典じてんでもつくりの「」に分類ぶんるいしている。「おとこ」はちから会意かいい文字もじであり、かん字典じてんでは上部じょうぶの「田部たなべ」に、せつぶんかいでは「おとこ」に分類ぶんるいしている。ただし会意かいい文字もじであっても、「あか」(「だい」+「」)、「こう」(「きび」+「くち」)など、その自体じたいとする形声けいせいまたは会意かいい文字もじなどがある程度ていどすう存在そんざいする(それぞれ、赧赫赭、馥馨馞など)ために、その自体じたい部首ぶしゅとなっているものもある。

象形しょうけい文字もじ指事しじ文字もじ場合ばあいは、「」「つき」「いち」「」などのように、それ自体じたい部首ぶしゅ場合ばあい当然とうぜんその部首ぶしゅぞくすることになるが、その象形しょうけい文字もじは「きょく」→「曰部」や「ぞう」→「いのこ」など便宜上べんぎじょう字形じけいによって分類ぶんるいすることになる。指事しじ文字もじでは「ほん」「まつ」→いずれも「木部きべ」などもとになった象形しょうけい文字もじ部首ぶしゅぞくするものもあるが、「うえ」「した」「さん」→いずれも「一部いちぶ」など字形じけいによって分類ぶんるいされているものもある。

そもそも、偏旁へんぼうのように、分離ぶんりした部分ぶぶん文字もじでは、分類ぶんるい必然ひつぜんてきかりにくい。たとえばかん字典じてんでは「こと」は「亅」に、「たれ」は「かれる。

字形じけい変化へんかのため、便宜上べんぎじょう字形じけいによって分類ぶんるいせざるをなくなり、部首ぶしゅかりにくくなっているものもある。たとえば「」という文字もじは「かなえ」と「廾」の会意かいい文字もじで、『せつぶんかい』では「廾部(𠬞)」に分類ぶんるいしているが、楷書かいしょ字形じけいがもはや「廾」の原型げんけいをとどめていないので、現代げんだい字書じしょ字形じけいによって「はち」に分類ぶんるいしている。

部首ぶしゅかた位置いち[編集へんしゅう]

しんとされうる部分ぶぶんは、いくつかの変形へんけいがある。

  • こころざし」のしたがわ。これは、ほぼそのままのかたちである。
  • かい」の左側ひだりがわ、「」。これは、普通ふつう「りっしんべん」とばれる。
  • 「慕」のしたがわ、「」。これは、普通ふつう「したごころ」とばれる。

これらは、いずれもしん関係かんけいした意味いみあらわす。字書じしょにより、これらすべてを「しんれたり、やすくするために、かたち重視じゅうしして各々おのおのべつ部首ぶしゅとしたりする。

一方いっぽうで、部首ぶしゅは、原則げんそくとして文字もじのグループに共通きょうつうする意味いみあらわすので、部首ぶしゅのつく位置いちかならずしも一定いっていしていない。たとえば「とり」が「鴃(もず)」のようにへんとなることも、「にわとり(にわとり)」のようにつくりとなることも、「けり(けり)」のようにかんむりとなることも、「うぐいす(うぐいす)」のようにあしとなることもあるが、どの位置いちについてもそれが「とり」のであることにわりはない。「げん」はへんになることがおおいので「ごんべん(言偏ごんべん)」とばれているが、「ちかい」などのようにへん以外いがい位置いちにつくこともあり、そうしたものも「げん」のであることにわりはない。

部首ぶしゅおおくは偏旁へんぼうかんむりあし(へんぼうかんきゃく)、すなわちひだりみぎうえしたなどの部分ぶぶんである。それらの位置いち図示ずしする[6]

また、れい漢字かんじのち下線かせんは、その漢字かんじ部首ぶしゅである(カッコない部首ぶしゅ一般いっぱんてきばれかた)。

  • へんへん):ひだり位置いちがたれいりゃく(「たへん」)かく
  • つくりつくり):みぎ位置いちがたれいじゅんかわぺーじ(「おおがい」)
  • かんむりかんむり):上部じょうぶ位置いちがたれいとめ(「とめる」)すくな
  • あしあし):下部かぶ位置いちがたれいこころざししん(「こころ」)
  • 上下じょうげ分割ぶんかつ
    • 上部じょうぶ下部かぶかれる位置いちがたれいわたる上下じょうげかれた(「に」)
    • 中央ちゅうおう位置いちがたれいひるしゃく(「ひ」)いち
  • たれたれ):上部じょうぶひだりから下部かぶがる位置いちがたれいぼう(「とだれ」)とかた
  • にょうにょう):ひだりから下部かぶ沿位置いちがたれいおこりはし(「そうにょう」)おのれ
  • かまえ):全体ぜんたいつつ位置いちがたれいくに(「くにがまえ」)たま
    • 構の変形へんけい
      • 下部かぶびらつつがたれいあいだもん(「もんがまえ」)
      • 上部じょうぶびらつつがたれいきょう(「うけばこ」)とメ。
      • みぎひらつつがたれい(「はこがまえ」)
      • 右肩みぎかたつつがたれいしき(「しきがまえ」)こう
      • 左右さゆうかれ位置いちするつつがたれいまちくだり(「ゆきがまえ」)けい

文字もじ部分ぶぶんのうち部首ぶしゅとなるのは、つくり右側みぎがわ)よりもへん左側ひだりがわ)、あるいはあししたがわ)よりもかんむり上側うわがわ)のほうおおい。

かん字典じてんをもとにした部首ぶしゅ一覧いちらん[編集へんしゅう]

部首ぶしゅ一覧いちらん
かん字典じてん 214 部首ぶしゅ
1 いち 丿 おつ 2 ひと いれ はち
かたな ちから じゅう ぼく
また 3 くち ゆう だい おんな すん しょう
しかばね やま こう おのれ はば 广 ゆみ
4 しん ほこ ささえ ぶん きん ほう
つき かけ とめ もう みず
つめ ちち へん きば うし いぬ 5 げん たま ふり かわら あま せい
よう しろ かわ さら ほこ いし しめせ
あな だて 6 たけ べい いと かん ひつじ はね ろう みみ
にく しん いたり うす した ます ふね うしとら いろ そうこう むし くだり
ころも 7 かく げん たに まめ いのこ かい あか はし あし
くるま からし たつ とり さと 8 きむ なが もん ふるとり
あめ あお 9 めん かわ にら おと ぺーじ ふう しょく くび こう
10 うま ほね こう おに 11 さかな とり 鹿しか むぎ
あさ 12 きび くろ 13 かなえ ねずみ 14 はな ひとし 15
16 りゅう かめ 17

字体じたい変更へんこうによるかんひろし字典じてんとのずれは、「(jp)」といているものは日本にっぽんしん字体じたい、「(cn)」は中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく簡体字かんたいじ

配列はいれつ画数かくすうじゅんによった。部首ぶしゅ名称めいしょう字書じしょにて慣用かんようてきもちいられているものをしめした。部首ぶしゅ字音じおんをそのまま部首ぶしゅ名称めいしょうとしてもちいているものは片仮名かたかな表記ひょうきした。

いちかく[編集へんしゅう]

  • いち - イチ
  • - ぼう、たてぼう
  • - てん
  • 丿 - の、はらいぼう
  • おつ - オツ、おつにょう、つりばり
  • - はねぼう、ケツ、かぎ

かく[編集へんしゅう]

  • - ニ
  • - けいさんかんむり、なべぶた、けさんかんむり
  • ひと - ひと、にんべん、ひとがしら、ひとやね
  • - にんにょう、ひとあし
  • いれ - いる、いりがしら、いりやね、ニュウ
  • はち - ハチ、はちがしら
  • - けいがまえ、まきがまえ、どうがまえ、えんがまえ
  • - わかんむり、べきかんむり
  • - にすい
  • - つくえ、きにょう、つくえきにょう、かぜかんむり、かぜがまえ
  • - かんにょう、うけばこ
  • かたな - かたな、りっとう
  • ちから - ちから
  • - つつみがまえ
  • - ヒ、さじ、さじのひ
  • - はこがまえ
  • - かくしがまえ
  • じゅう - ジュウ
  • ぼく - ボク、ぼくのと、うらない
  • - ふしづくり、まげわりふ、わりふ
  • - がんだれ
  • - む
  • また - また

さんかく[編集へんしゅう]

  • くち - くち、くちへん
  • - くにがまえ
  • - つち、つちへん
  • - さむらい、さむらいかんむり
  • - ふゆがしら、ちかんむり、のまたかんむり
  • - すいにょう、なつあし
  • ゆう - ゆう、ゆうべ、た
  • だい - ダイ、だいかんむり、だいかしら
  • おんな - おんな、おんなへん
  • - こ、こへん、こども、こどもへん
  • - うかんむり
  • すん - スン
  • しょう - ショウ、ちいさい、しょうがしら、なおがしら
  • - だいのまげあし、まげあし、おうにょう、オウ
  • しかばね - しかばね、しかばねかんむり、かばね、かばねだれ
  • - テツ、くさのめ、めばえ
  • やま - やま、やまへん
  • がわ - まがりかわ、かわ、さんぽがわ
  • こう - コウ、たくみへん、たくみ
  • おのれやめ - コ、キ、おのれ、イ、すでに、シ、み
  • はば - はば、はばへん、きんへん、きんべん
  • - カン、いちじゅう、ほす
  • - ヨウ、いとがしら
  • 广 - まだれ
  • - えんにょう、えんにゅう、いんにょう
  • - キョウ、こまぬき、にじゅうあし
  • - ヨク、しきがまえ、いぐるみ
  • ゆみ - ゆみ、ゆみへん
  • ;彑 - けいがしら、いのこがしら
  • - さんづくり、けかざり、かみかざり
  • - ぎょうにんべん

よんかく[編集へんしゅう]

  • しん忄;⺗ - こころ、りっしんべん、したごころ
  • ほこ - ほこ、ほこづくり、ほこがまえ、たすき、かのほこ
  • (jp);(cn) - と、とかんむり、とだれ、とびらのと
  • - て、てへん
  • ささえ - しにょう、えだにょう、じゅうまた
  • ;攵 - ぼくづくり、ぼくにょう、のぶん、しぶん、とまた
  • ぶん - ブン、ぶんにょう、ふみつくり
  • - とます、ます、ト
  • きん - おの、おのづくり、キン
  • ほう - ホウ、ほうへん、かたへん
  • ;旡 - なし、ブ、むにょう、すでのつくり
  • - ひ、にち、ひへん、にちへん
  • - ひらび、いわく
  • つき - つき、つきへん、ふなづき
  • - き、きへん
  • かけ - あくび、かける、けんづくり
  • とめ - とめる、とめへん
  • - ガツ、がつへん、かばねへん、しにがまえ、いちたへん
  • - ほこづくり、ほこ、るまた
  • はは - なかれ、はは、ははのかん
  • - ヒ、ならびひ、くらべる
  • もう - け
  • - うじ
  • - きがまえ
  • みず氵;氺 - みず、さんずい、したみず
  • - ひ、ひへん、れっか、れんが
  • つめ - つめ、そうにょう、つめかんむり
  • ちち - ちち
  • - コウ
  • - ショウ、しょうへん
  • へん - かた、かたへん
  • きば - きば、きばへん
  • うし - うし、うしへん
  • いぬ - いぬ、けものへん

かく[編集へんしゅう]

ろくかく[編集へんしゅう]

ななかく[編集へんしゅう]

  • (cn) - みる
  • かく - つの、つのへん
  • げん(cn) - ことば、ゲン、ごんべん
  • たに - たに、たにへん
  • まめ - まめ、まめへん
  • いのこ - いのこ、いのこへん、ぶた
  • - むじなへん
  • かい(cn) - かい、かいへん、こがい
  • あか - あか、あかへん
  • はし - はしる、そうにょう
  • あし𧾷 - あし、あしへん
  • - み、みへん
  • くるま(cn) - くるま、くるまへん
  • からし - シン、からい
  • たつ - しんのたつ
  • - しんにょう、しんにゅう
  • - むら、おおざと
  • とり - とりへん、ひよみのとり、さけのとり、とり
  • - のごめ、のごめへん
  • さと - さと、さとへん

はちかく[編集へんしゅう]

きゅうかく[編集へんしゅう]

じゅうかく[編集へんしゅう]

  • うま(cn) - うま、うまへん
  • ほね - ほね、ほねへん
  • こう - たかい
  • - かみかんむり、かみがしら
  • - とうがまえ、たたかいがまえ
  • - チョウ、においざけ
  • - かなえ、レキ
  • おに - おに、きにょう

じゅういちかく[編集へんしゅう]

じゅうかく[編集へんしゅう]

じゅうさんかく[編集へんしゅう]

じゅうよんかく[編集へんしゅう]

じゅうかく[編集へんしゅう]

  • (jp);齿(cn) - は、はへん

じゅうろくかく[編集へんしゅう]

じゅうななかく[編集へんしゅう]

  • - ヤク、ふえ、やくのふえ、

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 現代げんだい漢語かんごてん部首ぶしゅ検字けんじひょう説明せつめいには188部首ぶしゅとあるが、実際じっさい部首ぶしゅ番号ばんごうは189まである

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 三省堂さんせいどう漢和かんわ辞典じてんだいよんはん(1993) p.5
  2. ^ 角川かどかわ しん字源じげん改訂かいていばん、1994ねん凡例はんれい p.4
  3. ^ 汉字部首ぶしゅひょう GF0011-2009中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく教育きょういくhttp://www.moe.gov.cn/ewebeditor/uploadfile/2015/01/13/20150113090108815.pdf 
  4. ^ a b GB13000.1しゅう汉字部首ぶしゅ归部规范 GF0012-2009中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく教育きょういくhttp://www.moe.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/moe/s230/201503/184493.html 
  5. ^ 教育きょういく国家こっか语委发布《汉字部首ぶしゅひょうかず《GB13000.1しゅう汉字部首ぶしゅ归部规范》中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく教育きょういく、2009ねん2がつ27にちhttp://www.moe.gov.cn/s78/A19/yxs_left/moe_810/s228/201202/t20120207_130121.html 
  6. ^ 角川書店かどかわしょてん、『角川かどかわ最新さいしん漢和かんわ辞典じてん』(1981ねん昭和しょうわ56ねん)1がつ20日はつか103はん発行はっこう

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]