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尿素SCRシステム - Wikipedia

尿素にょうそSCRシステム(にょうそエスシーアールシステム)は、排出はいしゅつガス浄化じょうか技術ぎじゅつの1つで、ディーゼルエンジン排気はいきちゅう窒素ちっそ酸化さんかぶつ(NOx)を浄化じょうかする技術ぎじゅつである。SCRSelective Catalytic Reductionりゃくであり、日本語にほんごでは「選択せんたくまと触媒しょくばい還元かんげん」を意味いみする(選択せんたく触媒しょくばい還元かんげん脱硝だつしょう装置そうち参照さんしょう)。尿素にょうそ以外いがい還元かんげんざい使用しようする方法ほうほうもあるが、尿素にょうそすい使用しようする方式ほうしき主流しゅりゅうである。

尿素にょうそSCRシステム「FLENDS」を搭載とうさいしたバス車両しゃりょう(ADG-RA273RBN・昭和しょうわ自動車じどうしゃ
世界せかいNo.1クリーンディーゼル このバスの排気はいき世界一せかいいちキレイです」のステッカー

尿素にょうそSCRは、火力かりょく発電はつでんしょなどの排出はいしゅつガス処理しょり利用りようされていたもので、自動車じどうしゃへの実用じつようれいはなかったが、日産ディにっさんでぃゼル工業ぜるこうぎょうげん・UDトラックス)が自動車じどうしゃよう尿素にょうそSCRシステム「FLENDS」(フレンズ、Final Low Emission New Diesel Sytem)を開発かいはつし、2004ねん平成へいせい16ねん)に世界せかいはつ実用じつよう成功せいこうした[1][2]よく2005ねん平成へいせい17ねん)には自動車じどうしゃ技術ぎじゅつかい技術ぎじゅつ開発かいはつしょう受賞じゅしょうしている[1]

概要がいよう

編集へんしゅう

日産にっさんディーゼル(当時とうじ)の開発かいはつした「FLENDS」は、尿素にょうそSCRとこうあつ燃料ねんりょう噴射ふんしゃわせたものである。ディーゼル自動車じどうしゃ排出はいしゅつガスふくまれる窒素ちっそ酸化さんかぶつ(NOx)と粒子りゅうしじょう物質ぶっしつ(PM)は、燃焼ねんしょう温度おんどげるとNOxがわりにPMがえ、ぎゃく燃焼ねんしょう温度おんどげるとPMがわりにNOxがえるトレードオフ関係かんけいにあるが、「FLENDS」は燃焼ねんしょう温度おんどげて完全かんぜん燃焼ねんしょうさせてPMを低減ていげんし、それによって増加ぞうかしたNOx尿素にょうそSCRで除去じょきょするという仕組しくみである[1]

「FLENDS」は、SCR触媒しょくばい尿素にょうそすい添加てんか装置そうち解凍かいとう保温ほおん装置そうちきの尿素にょうそすいタンク配管はいかん尿素にょうそすい品質ひんしつ水位すいいセンサーなど、構成こうせい部品ぶひんにも世界せかいはつ技術ぎじゅつ多数たすう使用しようされたもので、その技術ぎじゅつりょくたか評価ひょうかされ、2005ねん平成へいせい17ねん)に自動車じどうしゃ技術ぎじゅつかい技術ぎじゅつ開発かいはつしょう受賞じゅしょうした[1]

当時とうじ世界一せかいいちきびしいとわれていた日本にっぽん平成へいせい17ねん排出はいしゅつガス規制きせいを、1ねんちか前倒まえだおしして適合てきごうしたことで話題わだいあつめた。「世界せかいNo.1クリーンディーゼル このバス排気はいき世界一せかいいちキレイです」とかれたステッカーを、バス事業じぎょうしゃによっては車体しゃたい掲出けいしゅつしていることもある。

日産にっさんディーゼルの「FLENDS」開発かいはつけ、日本にっぽん国内こくないでも大型おおがたしゃメーカー各社かくしゃ尿素にょうそSCRシステムを導入どうにゅうした。国内こくない生産せいさんされる大型おおがたしゃかんしては、2010ねん平成へいせい22ねん)までにすべてのメーカーが尿素にょうそSCRとディーゼル微粒子びりゅうしあつまりフィルター(DPF)との併用へいようしき採用さいようしており、排出はいしゅつガス浄化じょうかシステムのトレンドとなった。併用へいようしきにすることであえて燃焼ねんしょう温度おんど調整ちょうせいすることなく温度おんどおうじて排出はいしゅつされた物質ぶっしつをそれぞれの装置そうち後処理あとしょりすることが可能かのうになった。「FLENDS」を開発かいはつした日産にっさんディーゼル、および、当時とうじ業務ぎょうむ提携ていけいにあってその供給きょうきゅうけた三菱みつびしふそうトラック・バスのぞいた各社かくしゃいすゞ自動車ずじどうしゃ日野自動車ひのじどうしゃ)は、平成へいせい17ねん排出はいしゅつガス規制きせいをDPFのみでクリアしたが、それは先述せんじゅつのトレードオフの関係かんけいぎゃくにした、燃焼ねんしょう温度おんどげてNOxをらし、それによってえたPMをDPFで除去じょきょする方式ほうしきであった。

また、欧州おうしゅう自動車じどうしゃメーカーでも同様どうように、トラック・バスなどの大型おおがた商用しょうようしゃ採用さいようされており、ディーゼル乗用車じょうようしゃけにもドイツしゃ中心ちゅうしん採用さいようすすんでいる。

なお、尿素にょうそSCRシステム専用せんようこう品位ひんい尿素にょうそすいには「AdBlue」(アドブルー)の登録とうろく商標しょうひょうけられている[3]日本にっぽん欧州おうしゅう以外いがいではディーゼルエグゾーストフルード(Diesel exhaust fluid、DEF)とばれることがおおい。

HC-SCR(Hydro Carbons Selective Catalytic Reduction)は、HC-SCR触媒しょくばいともしょうされ、還元かんげんざい尿素にょうそ利用りようする尿素にょうそSCRとはことなり、ディーゼル燃料ねんりょう軽油けいゆ)から分解ぶんかい生成せいせいした炭化たんか水素すいそ(HC)を還元かんげんざいとして利用りようする方式ほうしきのため、尿素にょうそタンクが不要ふようとなることから経済けいざいめんしょうスペースはかれるうえ、尿素にょうそSCRシステム自体じたいおおきいため搭載とうさい不可能ふかのうであったゴミ収集しゅうしゅうしゃ消防車しょうぼうしゃでもHC-SCRであれば搭載とうさいできるとして日野自動車ひのじどうしゃ開発かいはつされ、しんDPR命名めいめいされた[4]。なお、このしん技術ぎじゅつ2014ねん平成へいせい26ねん)に経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんしょうなどを受賞じゅしょうしている[4]

2020ねんれい2ねん)に北米ほくべいEPAさだめたはいガス認証にんしょう試験しけんにHC-SCRシステムを採用さいようした日野ひの600A05Cがた)が通過つうかしなかったことにはしはっ[5]2022ねんれい4ねん)3がつ発覚はっかくした日野自動車ひのじどうしゃエンジン不正ふせい問題もんだいでは、このHC-SCRシステムを搭載とうさいした車両しゃりょうすべ環境かんきょう基準きじゅんをクリアしていないことが確認かくにんされた。ぜん車種しゃしゅ認定にんていしがおこなわれた結果けっか日野自動車ひのじどうしゃでは販売はんばいする車両しゃりょう一切いっさいない危機ききてき状況じょうきょうおちいっている[5]

尿素にょうそ水不足みずぶそく問題もんだい

編集へんしゅう

べいちゅう貿易ぼうえき戦争せんそう中国ちゅうごくたいする経済けいざい制裁せいさいオーストラリア追従ついしょうしたことで中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくでは報復ほうふく措置そちとしてオーストラリアからの石炭せきたん輸入ゆにゅう停止ていしした。中国ちゅうごくでは石炭せきたん半数はんすう輸入ゆにゅうたよっており、国内こくないでの採掘さいくつ自然しぜん災害さいがいによる事故じこなどの影響えいきょうから中国ちゅうごく国内こくない石炭せきたん不足ふそく深刻しんこくしたことにより、尿素にょうそしゅ原料げんりょうとなるアンモニア生産せいさんりょう激減げきげんしたことで2021ねんから開始かいしされた輸出ゆしゅつ規制きせい厳格げんかく)により[6]、そのほぼ全量ぜんりょう中国ちゅうごく依存いぞんしていた大韓民国だいかんみんこくでは混乱こんらんおちい[7]、この問題もんだい対応たいおうするため大韓民国だいかんみんこく国防こくぼうでも、かる戦闘せんとう車両しゃりょうなどで使用しようするため備蓄びちくしていた尿素にょうそすい半数はんすう民間みんかんたい提供ていきょうした[8][9]。なお韓国かんこくでは採算さいさんせい問題もんだいから2011ねん自国じこくでの生産せいさんっている[10]

この影響えいきょう日本にっぽんでも一時いちじてき不足ふそくおちいっている。原料げんりょうとなるアンモニアの自給じきゅうりつは8わりたかいが[11]尿素にょうそ大半たいはん輸入ゆにゅうたよっており、自給じきゅうりつは5わり程度ていどである[12][13]規制きせい開始かいし国内こくない大手おおていちしゃである三井化学みついかがく定期ていき検査けんさはいっていた影響えいきょうなどから不足ふそくおちいったため[14]経済けいざい産業さんぎょうしょう製造せいぞう業者ぎょうしゃたい最大限さいだいげん増産ぞうさん要請ようせいし、2022ねん1がつ平時へいじにおける尿素にょうそすいぜん供給きょうきゅうりょうたしたとして、この危機きき回避かいひされた[15]

システムの原理げんり

編集へんしゅう

原理げんりとしては、アンモニア(NH3)が窒素ちっそ酸化さんかぶつ(NOx)と化学かがく反応はんのうすることで、窒素ちっそ(N2)とみず(H2O)に還元かんげんされることを応用おうようしたもので、火力かりょく発電はつでんしょ船舶せんぱく排気はいきガス処理しょりシステムにヒントをている。

ただしアンモニアを車両しゃりょうむのは危険きけんなため、尿素にょうそみずをタンクにれて搭載とうさいし、これを排気はいきちゅう噴射ふんしゃすることにより高温こうおん加水かすい分解ぶんかいさせアンモニアガスをる。

このアンモニアによりNOx還元かんげんし、N2窒素ちっそガス)とH2O(水蒸気すいじょうき)をる。

NOx削減さくげん原理げんり

編集へんしゅう

  (AdBlueにふくまれる尿素にょうそからアンモニアを生成せいせい

  (一酸化いっさんか窒素ちっそ還元かんげん

  (二酸化にさんか窒素ちっそ還元かんげん

UD・FLENDS(フレンズ)システム

編集へんしゅう

「FLENDS」は「Final Low Emission New Diesel System」のりゃくで、日産ディにっさんでぃゼル工業ぜるこうぎょうげん・UDトラックス)が世界せかいはじめて、トラックバスようとして実用じつよう成功せいこうした。

尿素にょうそSCR触媒しょくばいこうあつ燃料ねんりょう噴射ふんしゃシステム(ユニットインジェクターしき・コモンレールしき)、こう精度せいどクールドEGRわせたディーゼルエンジンよう排出はいしゅつガス浄化じょうかシステムである。PMとNOx大幅おおはば削減さくげん達成たっせいし、排出はいしゅつするCO2削減さくげんした。

なお本稿ほんこうべる「FLENDS」とは、ちょう高圧こうあつ燃料ねんりょう噴射ふんしゃシステム(GE13けいユニットインジェクターMD92けいコモンレールしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち)とほん装置そうちわせたもので、誤解ごかいされがちであるが、触媒しょくばい装置そうち単体たんたい呼称こしょうではない。

  • コモンレールしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃシステム - 噴射ふんしゃまえ燃料ねんりょうかく気筒きとう共通きょうつう蓄圧ちくあつ(コモンレール)でこうあつたもち、噴射ふんしゃ燃料ねんりょうこうあつ細微さいびによってPMを抑制よくせいし、噴射ふんしゃ時期じき噴射ふんしゃ回数かいすう噴射ふんしゃりょうECU制御せいぎょすることでNOxの発生はっせいおさえるシステム。
  • こう精度せいどクールドEGR - 排出はいしゅつガスの一部いちぶ燃焼ねんしょうしつさい循環じゅんかんさせるシステム。
  • AdBlue(アドブルー)- ドイツ自動車じどうしゃ工業こうぎょうかい登録とうろく商標しょうひょう尿素にょうそSCRシステム専用せんようこう品位ひんい尿素にょうそすい尿素にょうそ32.5%の水溶液すいようえきである。日産化学工業にっさんかがくこうぎょう日本化成にっぽんかせい三井化学みついかがくしん日本にっぽん化成かせいなどの化学かがくメーカー製造せいぞうする。トラックステーション、日本にっぽん国内こくない大型おおがたトラックをあつかうディーラー(全社ぜんしゃ)、AdBlue販売元はんばいもと拠点きょてん大型おおがたトラック対応たいおうスタンドで補充ほじゅう可能かのうである。運用うんようする事業じぎょうしゃ拠点きょてんに(ほとんどの場合ばあい燃料ねんりょう軽油けいゆ)に隣接りんせつするかたちで)専用せんよう計量けいりょう設置せっちしたり、拠点きょてん工場こうじょうないドラム缶どらむかんバッグインボックスかたち常備じょうびすることもある。また枯渇こかつ対策たいさくおう急用きゅうよう車載しゃさいできる小型こがたパウチもある。
  • 2003ねん平成へいせい15ねん11月3にち - だい38かい東京とうきょうモーターショー日産にっさんディーゼルが実機じっき単体たんたい)および車両しゃりょう搭載とうさいした状態じょうたい展示てんじしたFLENDSシステムは、先述せんじゅつのように、当時とうじ世界一せかいいちきびしいとされた日本にっぽん平成へいせい17ねん排出はいしゅつガス規制きせいを1ねんちか前倒まえだおしして適合てきごうしたことで話題わだいあつめた。
  • 2004ねん平成へいせい16ねん) - 日産にっさんディーゼルがこのシステムを導入どうにゅうした新型しんがたトラック・クオン発売はつばい

各社かくしゃ導入どうにゅうじょうきょう

編集へんしゅう

国内こくないメーカー

編集へんしゅう

日産にっさんディーゼル(UDトラックス)

編集へんしゅう
 
「FLENDS」を搭載とうさいした日産にっさんディーゼルの車両しゃりょう(ADG-RA273MAN・神奈川中央交通かながわちゅうおうこうつう

「FLENDS」を自社じしゃせい大型おおがたトラック・クオン大型おおがたバス(スペースアロースペースランナーRA)に搭載とうさい。また、三菱みつびしふそうトラック・バスにもこの技術ぎじゅつ供給きょうきゅうすることで同社どうしゃ合意ごういし、2007ねん大型おおがたトラックのスーパーグレート大型おおがたバスのエアロスターエアロクィーンなどに導入どうにゅうした。 だい40かい東京とうきょうモーターショーにおいて、DPF触媒しょくばい併用へいようした、次世代じせだいがた尿素にょうそSCRシステムを出品しゅっぴんした。 2010ねん、クオンのマイナーチェンジ併用へいようしきシステムを導入どうにゅう同年どうねんバスにおいても併用へいようしきシステムに移行いこうしたがこちらは後述こうじゅつの「BlueTec」であるためUDのものとはことなる。 どう2010ねん中型ちゅうがたトラック・コンドルのフルモデルチェンジに、中型ちゅうがたしゃでもクラスはつのシステム導入どうにゅうおこなった。 UD・ふそう両社りょうしゃのAdBlue補給ほきゅう可能かのう箇所かしょ合計ごうけいするとと全国ぜんこくで1,500箇所かしょのぼ[16]が、しもじゅつするようにさらに追随ついずいするメーカーがえたこと、またそれによるシステム自体じたい普及ふきゅうによりAdBlueを補給ほきゅう可能かのう給油きゅうゆしょえたことで補給ほきゅう可能かのう箇所かしょ大幅おおはば増加ぞうかしている。

三菱みつびしふそうトラック・バス

編集へんしゅう
 
メルセデス・ベンツの「BlueTec5」装備そうびしゃけられているエンブレム
神奈川中央交通かながわちゅうおうこうつう

当初とうしょ独自どくじ開発かいはつすすめていたが、リコール問題もんだい中止ちゅうし。その日産にっさんディーゼルの「FLENDS」の供給きょうきゅうけることで合意ごういした。2010ねんより、ダイムラーグループのメルセデス・ベンツおなじ「BlueTec(ブルーテック) 」を導入どうにゅうした。同年どうねん発売はつばいされたスーパーグレートと大型おおがたバス(2011ねんまでUDにも供給きょうきゅう)に搭載とうさいされた。これも併用へいようしきシステムを採用さいようしている。どう2010ねん小型こがたトラックのキャンターのフルモデルチェンジにわせ、「BlueTec」を導入どうにゅうよく2011ねん中型ちゅうがたトラックのファイターマイクロバスローザ中型ちゅうがたバスのエアロミディMKのマイナーチェンジにわせて、それぞれ導入どうにゅうされた。

日野自動車ひのじどうしゃ

編集へんしゅう

2010ねん独自どくじのクリーンディーゼルシステム「AIR LOOP(エアループ)」を開発かいはつし、尿素にょうそSCRとDPR併用へいようしき採用さいようされる[17]同年どうねん4がつ発売はつばいされた、大型おおがたトラックのプロフィア尿素にょうそSCR併用へいようがた搭載とうさい。その中型ちゅうがたトラックのレンジャーにも搭載とうさいした。どう2010ねん7がつ大型おおがた貸切かしきり高速こうそくバスのセレガと、セレガとの統合とうごうモデルであるいすゞ・ガーラ(いずれも12mくるまのみ)にも搭載とうさいされた。2011ねん、「AIR LOOP」をセレガハイブリッド搭載とうさいし、ポスト新長しんちょう規制きせい適合てきごう[18]

2017ねん7がつから8がつにかけて、中型ちゅうがたバスのメルファ[19]と、大型おおがた路線ろせんバスのブルーリボンハイブリッド[20](それぞれ統合とうごう車種しゃしゅとなるいすゞ・ガーラミオ[21]いすゞ・エルガハイブリッド[22]同様どうよう)、同年どうねん12がつには小型こがた路線ろせんバスのポンチョ尿素にょうそSCR併用へいようがたをそれぞれ搭載とうさい。2019ねん7がつ、マイクロバスでトヨタ自動車とよたじどうしゃからのOEM車種しゃしゅであるリエッセIIにも尿素にょうそSCRとDPRを併用へいようしたシステムが搭載とうさいされた(なおどう車種しゃしゅのエンジンは日野自動車ひのじどうしゃせいである)。

いすゞ自動車ずじどうしゃ

編集へんしゅう

いすゞ自動車ずじどうしゃは、だい36かい東京とうきょうモーターショー尿素にょうそSCRシステム搭載とうさいしゃ参考さんこう出品しゅっぴんしたが、尿素にょうそすい供給きょうきゅうインフラの整備せいび充分じゅうぶんでないため時期じき尚早しょうそう判断はんだんだい40かい東京とうきょうモーターショーに、尿素にょうそすい噴射ふんしゃ圧縮あっしゅく空気くうき必要ひつようとしない次世代じせだい尿素にょうそSCRシステムを出品しゅっぴん

2010ねん5がつ、DPF触媒しょくばい尿素にょうそSCRの併用へいようしきによるシステムを導入どうにゅうし、大型おおがたトラックのギガ中型ちゅうがたトラックのフォワードのマイナーチェンジ搭載とうさい(フォワードは一部いちぶ車種しゃしゅのみ)。これにより、日本にっぽん国内こくない大型おおがた商用しょうようしゃメーカーがすべ尿素にょうそSCRシステムの導入どうにゅう完了かんりょうしたことになる。どう2010ねん8がつ大型おおがたバスのエルガと、エルガとの統合とうごうモデルである日野ひの・ブルーリボンIIにもギガ・フォワードとおなじシステムが搭載とうさいされた。2017ねん8がつ中型ちゅうがたバスのエルガミオと、エルガミオとの統合とうごうモデルである日野ひの・レインボーにも搭載とうさいされた。2018ねん3がつ小型こがたトラックのエルフにも搭載とうさいされた。

マツダは、2009ねん後半こうはんから欧州おうしゅう市場いちば発売はつばいされるCX-7のディーゼル仕様しように、尿素にょうそSCRシステムを搭載とうさいした[23]。しかし、独自どくじ技術ぎじゅつによりこのシステムを不要ふようとしたクリーンディーゼル「SKYACTIV-D」(2012ねん発売はつばいCX-5から搭載とうさい)を開発かいはつしたため、以降いこうはOEM供給きょうきゅうハイエース / レジアスエースボンゴブローニイバン、エルフ→タイタンなど)をける車両しゃりょうなどにかぎられている。

トヨタ自動車とよたじどうしゃ

編集へんしゅう

トヨタ自動車とよたじどうしゃは、2015ねん登場とうじょうしたGDがたエンジンに、尿素にょうそSCRシステムを搭載とうさいしている(前述ぜんじゅつのハイエース / レジアスエースとう搭載とうさい)。2019ねんには日野自動車ひのじどうしゃせいエンジンを搭載とうさいしたコースターにも搭載とうさいされ、エンジンの供給きょうきゅうもとである日野自動車ひのじどうしゃにもどう車種しゃしゅ供給きょうきゅうしている。

三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょう

編集へんしゅう

三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょうは、2019ねんデリカD:5のビッグマイナーチェンジのさい改良かいりょうされた4N14がたエンジン尿素にょうそSCRシステムを搭載とうさいしている。同年どうねんにはエクリプスクロスのクリーンディーゼルしゃにも搭載とうさいされている。

日産自動車にっさんじどうしゃ

編集へんしゅう

2022ねん日産自動車にっさんじどうしゃから自社じしゃせいディーゼルエンジン開発かいはつ中止ちゅうしし、キャラバンのマイナーチェンジで、商用しょうようバンのみを三菱自動車みつびしじどうしゃから4N16がたエンジンの供給きょうきゅうける。

トラクターホイールローダーなど、一般いっぱん道路どうろ走行そうこうする特殊とくしゅ車両しゃりょう尿素にょうそSCRシステムがされている。ヤンマークボタ井関農機いせきのうきのトラクターの一部いちぶ車種しゃしゅや、小松製作所こまつせいさくしょのホイールローダーの一部いちぶ車種しゃしゅにも、尿素にょうそSCRシステムを搭載とうさいしている。

外国がいこくメーカー

編集へんしゅう

メルセデス・ベンツ

編集へんしゅう

「BlueTec」(ブルーテック)の名称めいしょう展開てんかい三菱みつびしふそうも同様どうようのシステムを導入どうにゅうした。2006ねん北米ほくべい発売はつばいされた「メルセデスベンツ・E320 CDI」は「ブルーテック」を名乗なのるものの、だい市場いちばであるカリフォルニアしゅうニューヨークしゅうはじめとする5しゅう排出はいしゅつガス規制きせいをクリア出来できず、それらのしゅうでの販売はんばい不可能ふかのうとなっている。

日本にっぽん国内こくないにおいては、乗用車じょうようしゃで2010ねん2がつにV6 3リッターディーゼルエンジンを搭載とうさいした「E350 ブルーテック アヴァンギャルド」(セダン・ステーションワゴン)を発売はつばいしている。2015ねんには直列ちょくれつ4気筒きとう2.2リッターエンジン、2016ねん7がつから直列ちょくれつ4気筒きとう2リッターエンジン、2018ねん9月から直列ちょくれつ6気筒きとう3リッターエンジンをそれぞれ追加ついかして展開てんかいし、主要しゅようモデルに「○200d」「○220d」「○350d」「○400d」の名称めいしょうして販売はんばいされている。2019ねんには新型しんがたAクラスおよびBクラスに、どう車種しゃしゅとしては日本にっぽんはつとなるディーゼルモデル「A200d」および「B200d」を発売はつばいした。こちらは欧州おうしゅうはいガス規制きせい規格きかくである「ユーロ6d」をクリアしている。商用しょうようしゃでは、2007ねん以降いこう日本にっぽんにも輸入ゆにゅうされているれんぶしバスシターロGが、ユーロ5対応たいおうの「ブルーテック5」を装備そうびし、2016ねん以降いこう日本にっぽん市場いちば新型しんがたモデルではユーロ6対応たいおうの「ブルーテック6」を装備そうびしている。

グループPSA(げん・ステランティス)

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グループPSAげんステランティス傘下さんかプジョーシトロエンDS Automobilesは、2013ねん9がつから「BlueHDi」の名称めいしょう展開てんかい[24]日本にっぽん国内こくないでは2016ねん7がつにプジョー・シトロエン・DS Automobilesのかくブランドで[25][26]発売はつばい開始かいしした。

フォルクスワーゲン

編集へんしゅう

フォルクスワーゲンは2015ねんはいガス規制きせい不正ふせいソフトウェアを指摘してきされたため、今後こんごすべてのディーゼル車種しゃしゅ尿素にょうそSCRシステムをけることを表明ひょうめいした[27]

現代げんだい自動車じどうしゃ(ヒュンダイ→ヒョンデ)

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現代げんだい自動車じどうしゃ日本にっぽん輸出ゆしゅつする大型おおがたバス・ユニバースの2011ねんモデルより、DPF+SCRの併用へいようしき採用さいようすることでポスト新長しんちょう規制きせいをクリアしている。

長所ちょうしょ短所たんしょ

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長所ちょうしょ

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  • このシステム自体じたいによる燃費ねんぴ悪化あっか要因よういんすくない。はいガス対策たいさくNOx吸蔵還元かんげん触媒しょくばいディーゼル微粒子びりゅうしあつまりフィルター(DPF)を利用りようする方式ほうしき場合ばあいは、もと触媒しょくばいやフィルターの再生さいせいのために追加ついか燃料ねんりょう噴射ふんしゃ直接ちょくせつDPFに噴射ふんしゃする排気はいき管内かんない噴射ふんしゃ、あるいはエンジンで燃焼ねんしょう行程こうていにシリンダーない噴射ふんしゃするポスト噴射ふんしゃがあるが、後者こうしゃ実質じっしつてきにはアフターファイアーひとしい)をおこなうため、燃費ねんぴ悪化あっかやポスト噴射ふんしゃ方式ほうしき場合ばあい軽油けいゆによるエンジンオイル希釈きしゃく潤滑じゅんかつ清浄せいじょう性能せいのう低下ていか)が問題もんだいになるが、尿素にょうそSCRシステムだけの場合ばあいは、そのような問題もんだい発生はっせいしない。
  • 燃費ねんぴ悪化あっか要因よういんすくないため、燃料ねんりょうコストと尿素にょうそすいのコストを合算がっさんしても、従来じゅうらいがたしゃ比較ひかくしてランニングコストの上昇じょうしょうはほとんどないか同等どうとうである。
  • NOx吸蔵還元かんげん触媒しょくばいディーゼル微粒子びりゅうしあつまりフィルター(DPF)と比較ひかくして、排気はいき温度おんどひく状態じょうたいからでも浄化じょうか能力のうりょくがあり、耐久たいきゅうせいたかい。
  • 白金はっきんなどの貴金属ききんぞく使つかわなくてすむため、尿素にょうそSCR単体たんたいならていコストはかれる。ふくごうしきであれば、浄化じょうか能力のうりょくをそれぞれの単体たんたいしきよりも向上こうじょうできる。

短所たんしょ

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  • じつ走行そうこうにおいて規制きせい大幅おおはばえるNOx排出はいしゅつすることがある[28]
  • 尿素にょうそすいタンクおよび噴射ふんしゃシステムにくわえ、システムのぜん後段こうだん酸化さんか触媒しょくばい装着そうちゃくする必要ひつようがあり、重量じゅうりょうぞうにより積載せきさいりょう減少げんしょうしたり(バスなどの乗用じょうよう用途ようとであればほぼ問題もんだいにならないがトラックとう貨物かもつ用途ようと場合ばあい積載せきさいりょう減少げんしょう輸送ゆそう効率こうりつ悪化あっか直結ちょっけつする)必要ひつよう運転うんてん免許めんきょ区分くぶんわったりする。[ちゅう 1]
  • 尿素にょうそはいガスの燃焼ねんしょう生成せいせいぶつによりマフラーない堆積たいせきぶつまったりインジェクター(噴射ふんしゃノズル)まりをこすことがあるため、定期ていきてき清掃せいそう必要ひつようとなる。シアヌルさんのようなトリウレットひとし原因げんいん物質ぶっしつであるため、これらを除去じょきょした尿素にょうそすい発売はつばいされている[ちゅう 2]
  • アンモニアが排出はいしゅつされる危険きけんがあるので、排気はいき漏洩ろうえい防止ぼうし装置そうちけが必要ひつよう。またそれでも構造こうぞうじょう排気はいきしゅうにある程度ていどはアンモニアしゅうざってしまう。
  • メーカー指定してい以外いがい尿素にょうそすいれた場合ばあい、NOx浄化じょうかりつ低下ていか、フィルターのまり、尿素にょうそすい凍結とうけつしたさいにウォーニングランプが点灯てんとうするなどのトラブルが発生はっせいすることがある[30]
  • 一般いっぱん車両しゃりょう走行そうこうちゅう尿素にょうそ水切みずぎれをこすと継続けいぞく走行そうこう可能かのうとなるが、エンジン停止ていし再始動さいしどう不可能ふかのうである[31]噴射ふんしゃ制御せいぎょECU利用りようしているためかりにその状態じょうたい再始動さいしどう可能かのうだとしても、後述こうじゅつのようにシステム破損はそんとうおそれがある。
  • 乗用車じょうようしゃ使用しようする場合ばあい大型おおがたしゃちがい、尿素にょうそ噴射ふんしゃ圧縮あっしゅく空気くうき使つかえない、また小型こがた乗用車じょうようしゃでは尿素にょうそタンクや追加ついかされる触媒しょくばいけスペースの確保かくほ困難こんなんである。
  • 排気はいき温度おんどひくいと触媒しょくばい作用さようよわく、動作どうさ停止ていしすることがある。低温ていおん浄化じょうか作用さようについては触媒しょくばいでも同様どうよう問題もんだいかかえる。低温ていおんでも効果こうか発揮はっきするように改良かいりょうすすめられている。
  • 尿素にょうそすい補充ほじゅう持続じぞくてき必要ひつようため運転うんてんしゃ負担ふたんとなる。
  • 尿素にょうそすいらしたり尿素にょうそすいタンクない異物いぶつ混入こんにゅうしたりひとし原因げんいんでシステムが破損はそんした場合ばあい修理しゅうり費用ひようたかくつくことがある。100まんえんほどかかる事例じれいもある。
  • システム自体じたい塗装とそう油脂ゆしるい塗布とふおこなうことは厳禁げんきんとなっている。これらをおこなった場合ばあい耐久たいきゅうせい低下ていか機能きのう不良ふりょうこしたり、故障こしょう原因げんいんとなる[32]
  • 尿素にょうそすいあやまってボディや部品ぶひんにこぼしたさい尿素にょうそすい金属きんぞく影響えいきょうあたえるため損傷そんしょう原因げんいんとなる。個人こじんユーザーの場合ばあいトヨタ自動車とよたじどうしゃのように販売はんばいてんにて尿素にょうそすい補充ほじゅうするように推奨すいしょうしているメーカーもある[31]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ れいとして、とうシステムが搭載とうさいされた以降いこうのエルフのシングルキャブ強化きょうかダンプで積載せきさいりょう2トンで4WDをえらんだ場合ばあい、(限定げんていし)じゅん中型ちゅうがた以上いじょう免許めんきょ必須ひっすとなったうえにスペアタイヤ取付とりつけスペースがくなった。
  2. ^ オプティの「エコツーライト」[29]ひとし。なお、同社どうしゃはAdBlueのライセンスを取得しゅとくして以降いこうはその製品せいひんをAdBlueとして販売はんばいしている。

出典しゅってん

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