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アーベル賞しょう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
アーベル賞しょう
受賞じゅしょう対象たいしょう数学すうがくにおける顕著けんちょな科学かがく的てき業績ぎょうせき
国くにノルウェー
主催しゅさいノルウェー政府せいふ
初回しょかい2003年ねん -
公式こうしきサイトhttps://www.abelprize.no/

アーベル賞しょう（アーベルしょう）は、顕著けんちょな業績ぎょうせきをあげた数学すうがく者しゃに対たいして贈おくられる賞しょうである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

2001年ねん、ノルウェー政府せいふは同国どうこく出身しゅっしんである数学すうがく者しゃニールス・アーベルの生誕せいたん200年ねん（2002年ねん）を記念きねんして、アーベルの名なを冠かんした新あたらしい数学すうがくの賞しょうを創設そうせつすることを公表こうひょうし、そのためにニールス・ヘンリック・アーベル基金ききんを創設そうせつした。

毎年まいとし、ノルウェー科学かがく文学ぶんがくアカデミー（英語えいご版ばん）によって任命にんめいされた5人にんの数学すうがく者しゃからなる委員いいん会かいが、受賞じゅしょうする人物じんぶつを決定けっていする。賞金しょうきん額がくはスウェーデンのノーベル賞しょうに匹敵ひってきし[注ちゅう 1]、数学すうがくの賞しょうとしては最さい高額こうがくである。この賞しょうの主おもな目的もくてきは、数学すうがくの分野ぶんやにおける傑出けっしゅつした業績ぎょうせきに国際こくさい的てきな賞しょうを与あたえることであり、社会しゃかいにおける数学すうがくの地位ちいを上あげることや、子供こどもたちや若者わかものの興味きょうみを刺激しげきすることも企図きとしている[1]。

2003年ねん4月がつ、初はじめての受賞じゅしょう者しゃが公表こうひょうされ、ジャン＝ピエール・セールに送おくられることに決きまった（賞金しょうきんは600万まんノルウェー・クローネ[1]、約やく1億おく円えん）。

フィールズ賞しょうとの違ちがい[編集へんしゅう]

1936年ねんから実施じっしされているフィールズ賞しょうも数学すうがくに関かんする賞しょうであるが、フィールズ賞しょうが4年ねんに1度どしか授与じゅよされず、しかも受賞じゅしょうまでの業績ぎょうせきに加くわえ今後こんごの活躍かつやくへの期待きたいも込こめて40歳さい以下いかの若わかい数学すうがく者しゃにのみ贈おくられる賞しょうであるのに対たいし、アーベル賞しょうはノーベル賞しょうと同おなじく1年ねんに1度どで、受賞じゅしょうの対象たいしょうは年齢ねんれいを問とわず、数学すうがく全般ぜんぱんに関かかわる重要じゅうような業績ぎょうせきを残のこした数学すうがく者しゃに対たいして贈おくられる賞しょうであり、賞金しょうきん額がくもアーベル賞しょうのほうが非常ひじょうに高額こうがくで、その性格せいかくはフィールズ賞しょうよりもノーベル賞しょうに近ちかいものとなっている。

比較ひかく項目こうもく ノーベル賞しょう アーベル賞しょう フィールズ賞しょう
第だい1回かい 1901年ねん 2003年ねん 1936年ねん
実施じっし間隔かんかく 1年ねん 1年ねん 4年ねん
年齢ねんれい制限せいげん なし なし 40歳さい以下いか
賞金しょうきん額がく 約やく1億おく円えん 約やく1億おく円えん 約やく200万まん円えん

受賞じゅしょう者しゃの一覧いちらん[編集へんしゅう]

年とし 受賞じゅしょう者しゃ 生なま没年ぼつねん 国籍こくせき 受賞じゅしょう理由りゆう
2003年ねん ジャン＝ピエール・セール
Jean-Pierre Serre 		1926年ねん - フランスの旗 フランス
2004年ねん マイケル・アティヤ
Michael Francis Atiyah 		1929年ねん - 2019年ねん イギリスの旗 イギリス トポロジー 、幾何きか学がく、および解析かいせき学がくを結むすびつけた指数しすう定理ていりの発見はっけんとその証明しょうめいに対たいして、また数学すうがくと理論りろん物理ぶつり学がくの間あいだに新あたらしい掛かけ橋はしをつくる作業さぎょうにおいて 顕著けんちょな役割やくわりをはたした、その功績こうせきに対たいして[2]
イサドール・シンガー
Isadore Manual Singer 		1924年ねん - 2021年ねん アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
2005年ねん ピーター・ラックス
Peter D Lax 		1926年ねん -  ハンガリー
2006年ねん レンナルト・カルレソン
Lennart Carleson 		1928年ねん -  スウェーデン 調和ちょうわ解析かいせき学がくと可か微分びぶん力学りきがく系けい理論りろんへの深遠しんえんかつ影響えいきょう力りょくの大おおきい貢献こうけんに対たいして[3]
2007年ねん S. R. シュリニヴァーサ・ヴァラダン
S. R. Srinivasa Varadhan 		1940年ねん - インドの旗 インド その確率かくりつ論ろんへの基本きほん的てき貢献こうけん、とりわけ大だい偏差へんさに関かんする統一とういつ理論りろんの創造そうぞうに対たいして[4]
2008年ねん ジョン・G・トンプソン
John Griggs Thompson 		1932年ねん - アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく その代数だいすう学がく、特とくに現代げんだい群論ぐんろんの構築こうちくにおける重要じゅうような業績ぎょうせきに対たいして[5]
ジャック・ティッツ
Jacques Tits 		1930年ねん - 2021年ねん フランスの旗 フランス
2009年ねん ミハイル・グロモフ
Mikhael Leonidovich Gromov 		1943年ねん - フランスの旗 フランス
ロシアの旗 ロシア 		幾何きか学がくへの革命かくめい的てきな寄与きよに対たいして[6]
2010年ねん ジョン・テイト
John Tate 		1925年ねん - 2019年ねん アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 整数せいすう論ろんへの甚大じんだい且かつ永続えいぞく的てきな影響えいきょう力りょくに対たいして[7]
2011年ねん ジョン・ウィラード・ミルナー
John Willard Milnor 		1931年ねん - アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく そのトポロジー、幾何きか学がく及および代数だいすう学がくにおける先駆せんく的てきな発見はっけんに対たいして[8]
2012年ねん エンドレ・セメレディ
Endre Szemerédi 		1940年ねん -  ハンガリー 離散りさん数学すうがくと理論りろん計算けいさん機き科学かがくへの貢献こうけん、加法かほう的てき整数せいすう論ろん（英語えいご版ばん）とエルゴード理論りろんへの影響えいきょうに対たいして[9]。
2013年ねん ピエール・ドリーニュ
Pierre Deligne 		1944年ねん - ベルギーの旗 ベルギー 代数だいすう幾何きか学がくへの発展はってん性せいある貢献こうけんと、数かず論ろん、表現ひょうげん論ろん、及および関連かんれん分野ぶんやに変化へんかをもたらした、その強つよい影響えいきょう力りょくに対たいして[10]
2014年ねん ヤコフ・シナイ
Yakov Sinai 		1935年ねん - アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
ロシアの旗 ロシア 		その力学りきがく系けい、エルゴード理論りろん、数理すうり物理ぶつり学がくへの基本きほん的てきな貢献こうけんに対たいして[11]
2015年ねん ジョン・ナッシュ
John Forbes Nash, Jr. 		1928年ねん - 2015年ねん アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 非線形ひせんけい偏へん微分びぶん方程式ほうていしき論ろんとその幾何きか解析かいせきへの応用おうようへの顕著けんちょにして独創どくそう的てきな貢献こうけんに対たいして[12]
ルイス・ニーレンバーグ
Louis Nirenberg 		1925年ねん - 2020年ねん アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
カナダの旗 カナダ
2016年ねん アンドリュー・ワイルズ
Andrew Wiles 		1953年ねん - イギリスの旗 イギリス 数かず論ろんに新しん時代じだいを開ひらいた、半はん安定あんてい楕円だえん曲線きょくせんのモジュラー性せい予想よそうの方法ほうほうによる素晴すばらしいフェルマーの最終さいしゅう定理ていりの証明しょうめいに対たいして[13]
2017年ねん イヴ・メイエ
Yves Meyer 		1939年ねん - フランスの旗 フランス その数学すうがく的てきウェーブレット理論りろんの発展はってんにおける重要じゅうような役割やくわりに対たいして[14]
2018年ねん ロバート・ラングランズ
Robert Langlands 		1936年ねん - カナダの旗 カナダ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 		表現ひょうげん論ろんと数かず論ろんを結むすびつける、先見せんけん的てきなプログラムに対たいし[15]
2019年ねん キャレン・アーレンベック
Karen Uhlenbeck 		1942年ねん - アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 幾何きか学がく的てき偏へん微分びぶん方程式ほうていしき（英語えいご版ばん）・ゲージ理論りろん・可か積分せきぶん系けいにおける先駆せんく的てきな偉業いぎょうと業績ぎょうせきの解析かいせき・幾何きか・数理すうり物理ぶつりに対たいする基本きほん的てきな影響えいきょうに対たいして[16]
2020年ねん ヒレル・ファステンバーグ
Hillel Furstenberg 		1935年ねん - イスラエルの旗 イスラエル
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 		確率かくりつ論ろんと力学りきがくに由来ゆらいする手法しゅほうの、群論ぐんろん・数かず論ろん・組くみ合あわせ論ろんへの使用しようの先駆せんく的てき業績ぎょうせきに対たいして[17]
グレゴリー・マルグリス
Grigory Margulis 		1946年ねん - ロシアの旗 ロシア
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
2021年ねん ラースロー・ロヴァース
László Lovász 		1948年ねん -  ハンガリー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 		理論りろん計算けいさん機き科学かがくと離散りさん数学すうがくへの基礎きそ的てきな貢献こうけんと、それらを現代げんだい数学すうがくの中心ちゅうしん的てきな分野ぶんやに育そだてた指導しどう的てきな役割やくわりに対たいして[18]
アヴィ・ヴィグダーソン
Avi Wigderson 		1956年ねん - イスラエルの旗 イスラエル
2022年ねん デニス・サリヴァン
Dennis Sullivan 		1941年ねん - アメリカ合衆国の旗 アメリカ 位相いそう幾何きか学がくの幅広はばひろい業績ぎょうせき、特とくに代数だいすう学がく、力学りきがく、幾何きか学がくといった関連かんれん分野ぶんやへの革新かくしん的てきな貢献こうけんに対たいして[19]
2023年ねん ルイス・カッファレッリ
Luis A. Caffarelli 		1948年ねん - アルゼンチンの旗 アルゼンチン 自由じゆう境界きょうかい値ち問題もんだいとモンジュｰアンペール方程式ほうていしきを含ふくむ非ひ線型せんけい偏へん微分びぶん方程式ほうていしきの正則せいそく性せい理論りろんへの独創どくそう的てきな貢献こうけん[20][21]
2024年ねん ミシェル・タラグラン（英語えいご版ばん） 1952年ねん - フランスの旗 フランス

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ ノーベル賞しょうは6部門ぶもんのうち平和へいわ賞しょうのみノルウェー政府せいふが授与じゅよ主体しゅたいであるが、賞金しょうきんは全すべてスウェーデン・クローナで贈おくられる。一方いっぽう、アーベル賞しょうは、ノルウェー政府せいふが授与じゅよ主体しゅたいとなり賞金しょうきんもノルウェー・クローネで贈おくられる。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b “アーベル賞しょう”. 駐ちゅう日にちノルウェー王国おうこく大使館たいしかん. 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  2. ^ “2004年ねんのアーベル賞しょう” (PDF) (2004年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  3. ^ “2006年ねんのアーベル賞しょう” (PDF) (2006年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  4. ^ “2007年ねんのアーベル賞しょう” (PDF) (2007年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  5. ^ “2008年ねんのアーベル賞しょう” (PDF) (2008年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  6. ^ “2009年ねんのアーベル賞しょう” (PDF) (2009年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  7. ^ “2010年ねんのアーベル賞しょう” (PDF) (2010年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  8. ^ “2011年ねんのアーベル賞しょう” (PDF) (2011年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  9. ^ “2012の年としアーベル賞しょう” (PDF) (2012年ねん). 2012年ねん3月がつ25日にち閲覧えつらん。
  10. ^ “The Abel Prize 2013” (PDF) (2014年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  11. ^ “The Abel Prize 2014” (PDF) (2014年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  12. ^ “The Abel Prize 2015” (PDF) (2015年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  13. ^ “The Abel Prize 2016” (PDF) (2016年ねん). 2017年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  14. ^ “The Abel Prize 2017” (PDF) (2017年ねん). 2017年ねん3月がつ30日にち閲覧えつらん。
  15. ^ “The Abel Prize 2018” (PDF) (2018年ねん). 2018年ねん3月がつ24日にち閲覧えつらん。
  16. ^ “The Abel Prize 2019” (PDF) (2019年ねん). 2019年ねん3月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  17. ^ “The Abel Prize 2020” (PDF) (2020年ねん). 2020年ねん4月がつ4日にち閲覧えつらん。
  18. ^ “The Abel Prize Laureates 2021”. The Norwegian Academy of Science and Letters. 2021年ねん3月がつ24日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2021年ねん4月がつ3日にち閲覧えつらん。
  19. ^ “Citation - Dennis Parnell Sullivan | The Abel Prize”. THE ABEL PRIZE. 2022年ねん4月がつ1日にち閲覧えつらん。
  20. ^ “Citation - Luis A. Caffarelli”. 2023年ねん3月がつ30日にち閲覧えつらん。 The Abel Prize (2023/03/22)
  21. ^ “The 2023 Abel Prize announcement”. 2023年ねん3月がつ30日にち閲覧えつらん。 The Abel Prize (YouTube: 2023/03/22)

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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