佐原さはら義よし連れん

凡例はんれい 佐原さはら 義よし連れん
佐原さはら義よし連れん／江戸えど時代じだい『前賢ぜんけん故実こじつ』より。画が：菊池きくち容斎ようさい
時代じだい	平安へいあん時代じだい末期まっき - 鎌倉かまくら時代ときよ初期しょき
生誕せいたん	不ふ詳しょう
死没しぼつ	不ふ詳しょう
別名べつめい	十郎じゅうろう（通称つうしょう）、十郎左衛門じゅうろうざえもん尉じょう、三浦みうら義よし連れん
官位かんい	左衛門尉さえもんのじょう
幕府ばくふ	鎌倉かまくら幕府ばくふ 紀伊きい国こく総そう追おい捕と使つかい、和泉いずみ国こく守護しゅご
主君しゅくん	源みなもと頼朝よりとも
氏族しぞく	桓武かんむ平たいら氏し良文よしふみ流ながれ三浦みうら氏し系けい佐原さはら氏し初代しょだい
父母ちちはは	父ちち：三浦みうら義明よしあき
兄弟きょうだい	杉本すぎもと義宗よしむね、三浦みうら義澄よしずみ、大多和おおたわ義久よしひさ、義ぎ連れん、 多々良たたら義春よしはる、長井ながい義よし季き、杜もり重行しげゆき、 源義朝みなもとのよしとも側室そくしつ、畠山はたけやま重能しげよし室しつ、 金田かねだ頼よりゆき次じ室しつ、長江ながえ義景よしかげ室しつ
妻つま	正室せいしつ：武田たけだ信光のぶみつの娘むすめ
子こ	景けい連れん、盛もり連れん、家いえ連れん、重じゅう連れん、胤たね連れん、助じょ連れん、政せい連れん、広連ひろつれ、泰たい連れん

佐原さはら 義よし連れん（さわら よしつら）は、平安へいあん時代じだい末期まっきから鎌倉かまくら時代ときよ初期しょきの武将ぶしょう。

生涯しょうがい

高松たかまつ神社じんじゃに対たいする神領しんりょうの寄進きしん状じょう（『惣地そうち頭あたま兼けん預あずか所ところ平十郞へいじゅうろう左衛門尉さえもんのじょう神領しんりょう寄進きしん狀じょう』正治しょうじ2年ねん6月がつ、個人こじん蔵ぞう）。「遠江とおとうみ國こく笠原かさはら庄しょう一宮いちのみや近邊きんぺん荒あら・野の御ご神かみ領事りょうじ。」と記しるされており「惣地そうち頭あたま兼けん預あずか所ところ左衛門尉さえもんのじょう平ひらた」と署名しょめいされている

相模さがみ国こくの豪族ごうぞく・三浦みうら義明よしあきの末子まっし。三浦みうら氏しの本拠ほんきょ・相模さがみ国こく衣笠きぬがさ城じょうの東南とうなん・佐原さわら城じょう（現在げんざいの神奈川かながわ県けん横須賀よこすか市し佐原さはら）に居住きょじゅうしていたため、佐原さはら氏しを称しょうする。

治ち承うけたまわ4年ねん（1180年ねん）8月がつの源みなもと頼朝よりとも挙兵きょへいに一族いちぞくと共ともに参さんじて御家人ごけにんとなる。養和ようわ元年がんねん（1181年ねん）4月がつ、義よし連れんは頼朝よりともの寝所ねどこを警護けいごする11名めいの内うちに選えらばれた（『吾妻あづま鏡きょう』養和ようわ元年がんねん4月がつ7日にち条じょう）。同年どうねん6月がつに頼朝よりともが納涼のうりょうのために三浦みうらへと出でかけたおり、三浦みうら氏しとともに上総かずさ広常ひろつねも出迎でむかえたが、広常ひろつねは下馬げばの礼れいをとらず、頼朝よりともに近侍きんじしていた義よし連れんがそれを咎とがめたとか、酒宴しゅえんの席せきでその広常ひろつねと三浦みうら一族いちぞくの岡崎おかざき義実よしざねとが水干すいかんのことで乱闘らんとう寸前すんぜんになったときに義ぎ連れんが割わって入はいってその場ばを納おさめ、頼朝よりともの御感ぎょかんに与あずかったなどと書かかれている（『吾妻あづま鏡きょう』養和ようわ元年がんねん6月がつ19日にち条じょう）。ただし『吾妻あづま鏡きょう』は鎌倉かまくら時代じだい後期こうきの編纂へんさんであり、どこまで正確せいかくなものかは疑うたがわしい。

治ち承うけたまわ・寿ことぶき永ひさしの乱らんでは一ノ谷いちのやの戦たたかいで源義経みなもとのよしつね率ひきいる搦手からめて軍ぐんに属ぞくし、「鵯越ひよどりごえの逆ぎゃく落おとし」で真まっ先さきに駆かけ下おりた武勇ぶゆうが『平家ひらか物語ものがたり』に描えがかれている。1672年ねんに刊行かんこうされた『会津あいづ旧きゅう事こと雑考ざっこう』によれば、義よし連れんは文治ぶんじ5年ねん（1189年ねん）7月がつの奥州おうしゅう合戦かっせんに従軍じゅうぐんし、その功こうにより、陸奥みちのく国こく会津あいづ四よん郡ぐん（会津あいづ・大沼おおぬま・河沼かわぬま・耶麻やま）を与あたえられたとしている。これは後世こうせいの編纂へんさんであるから、そのまま信しんじることはできないが、嘉よしみ禄ろく3年ねん（1227年ねん）7月がつ、浄土宗じょうどしゅう多た念ねん義ぎ派は（長楽寺ちょうらくじ義ぎ）の祖そ隆りゅう寛ひろし律師りっし（法然ほうねんの弟子でし）が奥州おうしゅうに流罪るざいと決けっした際さい（嘉よしみ禄ろくの法難ほうなん）、奥州おうしゅうに所領しょりょうを持もつ佐原さはら盛時せいじ（義よし連れんの孫まご）の預あずかりとなっている事実じじつから、盛時せいじが宝たから治おさむ合戦かっせん以前いぜんより会津あいづ郡ぐん耶麻やま郡ぐん加納かのう庄しょうを領りょうしていたことへの傍証ぼうしょうとなる。また宝たから治おさむ合戦かっせん（1247年ねん）の時点じてんで、盛時せいじの異母いぼ兄けいが会津あいづの北田きただや藤倉ふじくらを名字みょうじ地ちとする北田きただ広ひろ盛もり・藤倉ふじくら盛義もりよしの名なが『吾妻あづま鏡きょう』にみえるから、佐原さはら氏しが宝たから治おさむ合戦かっせん以前いぜんから会津あいづを所領しょりょうとしていたことは明あきらかである。

文治ぶんじ2年ねん（1186年ねん）、北条ほうじょう時政ときまさの後任こうにんの紀伊きい国こく総そう追おい捕と使つかいとなった。このとき、自身じしんは鎌倉かまくらに留とまり、任地にんちには代官だいかんとして少しょう刑部おさかべ真清まきよを派遣はけんした。

文治ぶんじ5年ねん（1189年ねん）の北条ほうじょう時じ房ぼうの元服げんぷくの際さい、頼朝よりともの命いのちにより烏帽子えぼし親おやとなる。建たて久ひさ元年がんねん（1190年ねん）の頼朝よりとも上洛じょうらくに従したがい、左衛門尉さえもんのじょうに任にんぜられる。関東かんとう御領ごりょう遠江とおとうみ国こく笠原かさはら荘そうの惣そう地頭じとう兼けん預あずか所ところも務つとめた。

建たて久ひさ7年ねん（1196年ねん）11月から建たて仁ひとし3年ねん（1203年ねん）5月がつまで和泉いずみ国こくの守護しゅごを務つとめた。義ぎ連れんを同国どうこく守護しゅごに補任ほにんしたことを示しめす建けん久ひさ7年ねん（1196年ねん）11月7日にち付づけの書状しょじょうが残のこっている（『鎌倉かまくら遺文いぶん』）。

没年ぼつねんには諸説しょせつあり、「異本いほん塔寺とうでら長ちょう帳ちょう」では建けん久ひさ3年ねん（1192年ねん）4月がつ15日にちに75歳さいで死去しきょ、「葦あし名めい系図けいず」では建たて仁ひとし3年ねん（1203年ねん）5月がつ17日にちに78歳さいで死去しきょ、「葦あし名家めいか由緒ゆいしょ考證こうしょう」では承うけたまわ久ひさし3年ねん（1221年ねん）4月がつ15日にちに82歳さいで死去しきょとある。『大阪おおさか府ふ史し』では建たて仁ひとし3年ねん（1203年ねん）死去しきょとしている。

1973年ねん1月がつ10日とおか、義よし連れんの墓はかと伝つたわる「伝でん佐たすく原義げんぎ連れん廟所びょうしょ」が横須賀よこすか市しの重要じゅうよう文化財ぶんかざいに指定していされた。

画像がぞう集しゅう

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  伝でん佐たすく原義げんぎ連れん廟所びょうしょ（満願寺まんがんじ裏山うらやま観音堂かんのんどう右手みぎて、横須賀よこすか市し岩戸いわと1₋4₋9）
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  満願寺まんがんじ入口いりくち（諸仏しょぶつと佐原さわら十郎義連墓説明板、京浜急行けいひんきゅうこう北きた久里浜くりはま駅えき）
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  佐原さはら城址じょうし（聖徳せいとく院いん側がわ、京急けいきゅうバス佐原さわら三さん丁目ちょうめ近ちかく）　

参考さんこう文献ぶんけん

• 大阪おおさか府ふ史し編集へんしゅう専門せんもん委員いいん会かい 編へん『大阪おおさか府ふ史し』 第だい三さん巻かん《中世ちゅうせい編へん 1》、大阪おおさか府ふ、1979年ねん11月20日にち。NDLJP:9574408。 (要よう登録とうろく)
• 和歌山わかやま県けん史し編へんさん委員いいん会かい 編へん『和歌山わかやま県けん史し』《中世ちゅうせい》和歌山わかやま県けん、1994年ねん3月がつ25日にち。NDLJP:9576730。 (要よう登録とうろく)

外部がいぶリンク

• 伝でん佐たすく原義げんぎ連れん廟所びょうしょ（でんさはらよしつらびょうしょ） - 横須賀よこすか市し
• 佐原さはら・葦あし名めい時代じだい - 会津あいづの歴史れきし（一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじん 会津若松あいづわかまつ観光かんこうビューロー）