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金融きんゆう政策せいさく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

金融きんゆう政策せいさく(きんゆうせいさく、えい: monetary policy)は、中央ちゅうおう銀行ぎんこうおこな金融きんゆうめんからの経済けいざい政策せいさくのこと。財政ざいせい政策せいさくとならぶ経済けいざい政策せいさくはしらである。

金融きんゆう政策せいさく経済けいざい持続じぞくてき拡大かくだいさせることが最終さいしゅうてき目的もくてきである。また、操作そうさ目標もくひょうとして金利きんりかマネーストック(マネーサプライ)、その結果けっかとしての為替かわせレートなどがげられる。

概要がいよう

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金融きんゆう政策せいさく目的もくてきとは、信用しんよう経済けいざい維持いじとマクロ経済けいざい安定あんていである[1]。マクロ経済けいざい安定あんていは、物価ぶっか安定あんてい雇用こよう維持いじふたつにわけられる[1]具体ぐたいてきには、一般いっぱん物価ぶっか適当てきとう上昇じょうしょうりつ調節ちょうせつしインフレ・デフレを解消かいしょうすることと、自発じはつてき失業しつぎょう自発じはつてき失業しつぎょう)をゼロにちかづけることである[2]金融きんゆう政策せいさく財政ざいせい政策せいさくとともに、消費しょうひ投資とうしなどのそう需要じゅようをコントロールするじょう重要じゅうよう役割やくわりになっている[3]

金融きんゆう政策せいさくとは、国内こくない信用しんよう中央ちゅうおう銀行ぎんこう裁量さいりょうによって拡大かくだいないし縮小しゅくしょうさせることであり、国内こくない信用しんよう拡大かくだいとは金融きんゆう緩和かんわであり、縮小しゅくしょうとは金融きんゆうめにほかならない[4]金融きんゆう政策せいさく具体ぐたいてき手段しゅだんには、公開こうかい市場いちば操作そうさ金利きんり操作そうさがある[4]

政策せいさく金利きんり上下じょうげによる金融きんゆう緩和かんわ金融きんゆう

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金融きんゆう緩和かんわ利下りさげ)によって、金融きんゆう緩和かんわ利子りしりつ低下ていか投資とうし消費しょうひ拡大かくだい→GDPの増大ぞうだい

といったメカニズムがはたら[5]。デフレ対策たいさくとしての金融きんゆう政策せいさく有効ゆうこうせいは、予想よそう実質じっしつ金利きんりをどれだけげるか(ケインズ効果こうか)と実質じっしつ金利きんり低下ていかによる投資とうし消費しょうひをどれだけ増加ぞうかさせるか(資産しさん効果こうか)というてんおおきく依存いぞんしている[6]きょうには金融きんゆう政策せいさく効果こうか低下ていかふせぐためには、中央ちゅうおう銀行ぎんこう早期そうきかつ十分じゅうぶん金利きんりげて、景気けいき悪化あっかさせないようにする必要ひつようがある[7]

具体ぐたいてき手法しゅほう

基準きじゅん割引わりびきりつおよび基準きじゅん貸付かしつけ利率りりつ変更へんこう公定歩合こうていぶあい操作そうさ
中央ちゅうおう銀行ぎんこう民間みんかん銀行ぎんこう資金しきんすときの利子りし金利きんり)である公定歩合こうていぶあい基準きじゅん割引わりびきりつおよび基準きじゅん貸付かしつけ利率りりつ)を変化へんかさせ、民間みんかん銀行ぎんこう中央ちゅうおう銀行ぎんこうから資金しきんりを調整ちょうせいする。金利きんり政策せいさく基本きほんてき金融きんゆう政策せいさくである。日本にっぽんでは従来じゅうらい公定歩合こうていぶあい操作そうさ目標もくひょうであったが、2014ねん現在げんざいでは銀行ぎんこうあいだ取引とりひき市場いちばへの介入かいにゅうによる短期たんき金利きんり担保たんぽコール翌日よくじつぶつ金利きんり)の操作そうさ主軸しゅじくとなっている(アメリカでは、フェデラル・ファンド金利きんり)。これにより、銀行ぎんこう調達ちょうたつコストを調節ちょうせつし、貸出かしだし金利きんり影響えいきょうあた経済けいざい情勢じょうせい調節ちょうせつする。インターバンク市場いちば活発かっぱつなときに影響えいきょうりょく発揮はっきする。利子りしりつ上昇じょうしょう低下ていか)は、産出さんしゅつりょう(GDP)の減少げんしょう増加ぞうか)をもたらす[8]
利子りしりつ上昇じょうしょう投資とうし減少げんしょう産出さんしゅつりょう(GDP)減少げんしょう消費しょうひ投資とうし減少げんしょう産出さんしゅつりょう(GDP)減少げんしょう[9]
利子りしりつ低下ていか投資とうし増加ぞうか産出さんしゅつりょう(GDP)増加ぞうか消費しょうひ投資とうし増加ぞうか産出さんしゅつりょう(GDP)増加ぞうか[9]
公開こうかい市場いちば操作そうさ
中央ちゅうおう銀行ぎんこう公開こうかい金融きんゆう市場いちばで、流通りゅうつうしている国債こくさいそのほかの債権さいけん売買ばいばいする[4]中央ちゅうおう銀行ぎんこうはまた民間みんかん商業しょうぎょう手形てがた売買ばいばいによっても国内こくない信用しんよう操作そうさできる[4]

なお、金融きんゆう政策せいさく発表はっぴょうまえ情報じょうほうれ、市場いちばうごいてしまうことをふせぐため、金融きんゆう政策せいさく決定けってい会合かいごう前後ぜんご時期じきに、会合かいごうのメンバーにたいして、金融きんゆう政策せいさくかんする発言はつげんきんじるブラックアウト・ルールたんにブラックアウトとも)がもうけられている(連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど(FRB)・日本銀行にっぽんぎんこう)。この発言はつげん禁止きんし期間きかんをブラックアウト期間きかんぶ。[10]

  • ブラックアウト期間きかんもっとながいのは米国べいこくだが[10]、2017ねん2がつにはさらに延長えんちょうされることが決定けっていした。ブラックアウト期間きかんは、かく会合かいごうまえしゅう土曜日どようび従来じゅうらい前週ぜんしゅう火曜日かようび)から開始かいしされ、たとえば連邦れんぽう公開こうかい市場いちば委員いいんかい(FOMC)が火曜かよう水曜すいようの2日間にちかんおこなわれる場合ばあい会合かいごう翌日よくじつ木曜もくよういっぱいまでけい13日間にちかんつづ[11]
  • 日本銀行にっぽんぎんこうにおいては、政策せいさく委員いいん会議かいぎごと規則きそくとうに、「金融きんゆう政策せいさくかんする対外たいがい発言はつげんについてのもうわせ」としてブラックアウト・ルールについて明記めいきされている[12][13]

分類ぶんるい

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金利きんりをゼロにまでげると、それ以上いじょう余地よちがなくなるため「伝統でんとうてき金融きんゆう政策せいさく」が必要ひつようとなる[14]伝統でんとうてき金融きんゆう政策せいさくは、伝統でんとうてき金融きんゆう政策せいさく区別くべつされているが、民間みんかんから資産しさん購入こうにゅう売却ばいきゃくすることによってマネーの供給きょうきゅう調整ちょうせいするということではわりはない[14]

伝統でんとうてき金融きんゆう政策せいさく

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  • 短期たんき名目めいもく金利きんりげ(金利きんり0%以上いじょう[15]
  • 長期ちょうき名目めいもく金利きんりげにかんするアナウスメント(時間じかんじく効果こうか[15]
  • 自国じこく通貨つうか減価げんか為替かわせレートげ)[15]

伝統でんとうてき金融きんゆう政策せいさく

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目標もくひょう

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中央ちゅうおう銀行ぎんこうによる金融きんゆう政策せいさく一言ひとことえば、市場いちばにどれだけ通貨つうか流通りゅうつうさせるかを実行じっこうするかにつきる[16]通貨つうか供給きょうきゅう(マネーストック)と物価ぶっか変動へんどう密接みっせつ関係かんけいしている[16]

金融きんゆう政策せいさく操作そうさ目標もくひょう大別たいべつして、金利きんりとマネーストックにけられる。このふたつを同時どうじ目標もくひょうにすることは通常つうじょう不可能ふかのうである。通常つうじょう循環じゅんかんてき政策せいさくにおいては、金利きんり水準すいじゅん目標もくひょうとなる。金利きんり引下ひきさげは国内こくない信用しんようおよび通貨つうか供給きょうきゅう拡大かくだいを、金利きんり引上ひきあげはその縮小しゅくしょう意味いみする[17]。しかし、過熱かねつあるいはひや気味ぎみ景気けいきたいして、まれにマネーストックが目標もくひょうとされる。

有名ゆうめい政策せいさくに、1970年代ねんだい後半こうはんポール・ボルカーもとFRB議長ぎちょう採用さいようしたしん金融きんゆう調節ちょうせつ方式ほうしきがある。これは、それまで金利きんり水準すいじゅん目標もくひょうにしてってきたインフレーション対策たいさく限界げんかいたっしたためおこなわれたもので、マネーストックを目標もくひょうとしている(増加ぞうか抑制よくせい目的もくてき)。この結果けっか金利きんりうえはなたれ急上昇きゅうじょうしょう。1980年代ねんだい初頭しょとうにまでいたる、高金利こうきんり時代じだいした。この政策せいさくにより、実質じっしつ金利きんりたかめることが出来でき、インフレーションは沈静ちんせいした。このように金利きんり目標もくひょうとしなくなることで金利きんり変動へんどうはげしくなる。

田中たなか秀臣ひでおみ安達あだち誠司せいじは「マネタリーベース供給きょうきゅうりょう十分じゅうぶん不十分ふじゅうぶんかは、単純たんじゅんりつ比較ひかくではわからない。十分じゅうぶん不十分ふじゅうぶんかは、その経済けいざい適正てきせいであるとおもわれる名目めいもく経済けいざい成長せいちょうりつをベースに算定さんていするのがのぞましい(れい:マッカラム・ルール[注釈ちゅうしゃく 1])」と指摘してきしている[19]

金融きんゆう政策せいさく目的もくてき物価ぶっか安定あんていつうじて安定あんていした経済けいざい成長せいちょうをもたらすことであるため、通常つうじょう金融きんゆう政策せいさくにおいて株価かぶか直接ちょくせつ対象たいしょうとはされないが、株価かぶか変動へんどう直接的ちょくせつてき間接かんせつてき影響えいきょうおよぼす場合ばあい結果けっかてき株価かぶか動向どうこう金融きんゆう政策せいさく行方ゆくえ左右さゆうすることもある(れい:ブラックマンデー[20]

経済けいざい学者がくしゃおう邦雄くにおは「物価ぶっかだけで経済けいざいるのはくない。なが安定あんていのぞましく、あまりこまかいうごきに反応はんのうすると、経済けいざい不安定ふあんてい要因よういんになる」と指摘してきしている[21]

経済けいざい学者がくしゃ伊藤いとうおさむは「物価ぶっか安定あんていしているのにバブルがふくらんだ結果けっか巨大きょだい災厄さいやくになった事例じれいがある。中央ちゅうおう銀行ぎんこう物価ぶっかだけではなく、資産しさん価格かかく暴騰ぼうとうなども注視ちゅうしし、総合そうごうてき予防よぼうてき政策せいさく運営うんえいしなければならないのではないか」と指摘してきしている[22]

経済けいざい学者がくしゃ伊藤いとう元重もとしげは「株式かぶしき不動産ふどうさんでのバブル経済けいざい結果けっかとしてきるバブル崩壊ほうかい防止ぼうしは、金融きんゆう政策せいさく金融きんゆう市場いちば運営うんえいにとって重要じゅうよう課題かだいである」と指摘してきしている[23]

ベン・バーナンキもとFRB議長ぎちょうは、中央ちゅうおう銀行ぎんこうは、株価かぶか住宅じゅうたく価格かかく変動へんどうなどが、生産せいさんだか・インフレに深刻しんこく影響えいきょうあたえるという明確めいかくかつ説得せっとくりょくのある証拠しょうこがないかぎり、その変動へんどう無視むしすべきであると主張しゅちょうしている[24]。バーナンキは、1930年代ねんだい世界せかい恐慌きょうこうのようなおおきな経済けいざいショックに直面ちょくめんした場合ばあいのぞき、金融きんゆう政策せいさく決定けっていさいして資産しさん価格かかく決定けってい要因よういんとなることはないとしている[24]

経済けいざい学者がくしゃ岩田いわた規久男きくおは「いちこく名目めいもく金利きんりは、そのくにのマクロ経済けいざい安定あんていをもたらすため、金融きんゆう政策せいさくによって誘導ゆうどうされるべきである。世界せかい金融きんゆう危機きき原因げんいんは、不適切ふてきせつレバレッジ比率ひりつによる金融きんゆうシステム政策せいさくにある」と指摘してきしている[25]岩田いわたは「金融きんゆうシステムの安定あんていには、包括ほうかつてき規制きせい監視かんし政策せいさく(マクロプルーデンシャル政策せいさく)をてるべきである」と指摘してきしている[26]

議論ぎろん

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金融きんゆう政策せいさくは、物価ぶっか変動へんどう抑制よくせい景気けいき改善かいぜんのために独立どくりつした政策せいさくつことがもとめられるが、経済けいざい構造こうぞうじょう制約せいやくける場合ばあいがある。金融きんゆう政策せいさく変更へんこう実体じったい経済けいざい影響えいきょうあたえるまで時間じかんてきおくれがしょうじるとかんがえられており、そのおくれは半年はんとし程度ていどであるとされている[27]

1960年代ねんだいミルトン・フリードマンは、財政ざいせい政策せいさくではなく金融きんゆう政策せいさく重要じゅうようせい指摘してきしており、金融きんゆう政策せいさく失敗しっぱい世界せかい恐慌きょうこう原因げんいんであるという学説がくせつとなえた[28]

池田いけだ信夫しのぶは「先進せんしんこくでは、景気けいき循環じゅんかん調整ちょうせい財政ざいせい政策せいさくではなく、金融きんゆう政策せいさくおこなうのが常識じょうしきである」と指摘してきしている[29]

経済けいざい学者がくしゃ野口のぐちあさひ田中たなか秀臣ひでおみは「金融きんゆう政策せいさくは、政治せいじてき資源しげん配分はいぶんじょうゆがみ、財政ざいせい赤字あかじさない。一方いっぽう金融きんゆう政策せいさくは、民間みんかん投資とうし調整ちょうせいの『おおきさ』が、事前じぜん予想よそうどおりのものとはかぎらないというてんである[30]」「金融きんゆう政策せいさくには、タイミング・規模きぼというてんでのむずかしさがある[31]」と指摘してきしている。野口のぐち田中たなかは「金融きんゆう政策せいさくは、そのスタンスに変更へんこうかぎり、持続じぞくてき効果こうかがある」と指摘してきしている[31]

経済けいざい学者がくしゃ原田はらだやすしは「金融きんゆう政策せいさく効果こうかおおきく持続じぞくてきであるというのは、財政ざいせい政策せいさくくらべてのものであり、永久えいきゅう効果こうかがあるというわけではない」と指摘してきしている[32]

田中たなか秀臣ひでおみは「金融きんゆう政策せいさくは、国民こくみん全体ぜんたい幅広はばひろ恩恵おんけいほどこされるため、裁量さいりょうけんてん政治せいじ官僚かんりょうとくにならないと指摘してきしている[33]田中たなかは「ただいちとくになるのは『為替かわせ介入かいにゅう』のみであるが、仕組しくみからって為替かわせ介入かいにゅう短期たんきてき効果こうかしかない。金融きんゆう政策せいさくわらないかぎ為替かわせレートはわらない。為替かわせ介入かいにゅう民間みんかん金融きんゆう機関きかん政府せいふ代理だいりとして実務じつむおこなうため、利益りえきるところはある」と指摘してきしている[34]

原田はらだやすしは「金融きんゆう政策せいさく実体じったい経済けいざい影響えいきょうあたえる経路けいろ銀行ぎんこう貸出かしだしだけではなく、為替かわせレートの低下ていか資産しさん価格かかく上昇じょうしょう、インフレ予想よそうによる実質じっしつ金利きんり低下ていかなどの経路けいろがある。また景気けいき回復かいふく初期しょき段階だんかいでは、企業きぎょうんだキャッシュフローがあるため、銀行ぎんこう貸出かしだしたよらず設備せつび投資とうし拡大かくだいさせることができる」[35]原田はらだやすし大和総研だいわそうけんは「金融きんゆう政策せいさく副作用ふくさようがあるとすれば、物価ぶっか上昇じょうしょう為替かわせレートの減価げんかである」と指摘してきしている[36]

佐藤さとうけんひろし日銀にちぎん審議しんぎ委員いいんは「マネタリーベースでかぶなどの資産しさん価格かかくうごかせても、物価ぶっかへの波及はきゅうには相応そうおうのタイムラグがある」と指摘してきしている[37]佐藤さとうは「物価ぶっか経済けいざい体温たいおんであり、中央ちゅうおう銀行ぎんこう直接ちょくせつ操作そうさ可能かのう変数へんすうではない」とべている[38]

経済けいざい学者がくしゃ北村きたむらこうしんは「マクロ経済けいざい政策せいさくとして必要ひつようなのは、独立どくりつした拡張かくちょうてき金融きんゆう政策せいさくではなく、実体じったい経済けいざい促進そくしんするための資金しきん確保かくほと、実体じったい経済けいざい活動かつどうなかでの資金しきん適切てきせつ配分はいぶんおこな金融きんゆう仲介ちゅうかいにある。それがうまく機能きのうしないと、特定とくてい資産しさん資金しきん集中しゅうちゅう資産しさんバブルがしょうじる」と指摘してきしている[39]

池田いけだ信夫しのぶは「バブルは資本しほん主義しゅぎ宿命しゅくめいであり、中央ちゅうおう銀行ぎんこうちからだけでふせぐことはできない。重要じゅうようなのは急激きゅうげきなバブルの崩壊ほうかいふせぐことである」と指摘してきしている[40]

マリネア・S・エクルズもとFRB議長ぎちょうは「金融きんゆう政策せいさく経済けいざい安定あんてい唯一ゆいいつ要因よういんとすると失望しつぼうすることになる。金融きんゆう行動こうどうのみで完全かんぜん経済けいざい安定あんてい可能かのうではない。もちろんインフレの昂進こうしんめるのに金融きんゆうめは可能かのうであるが、金融きんゆう行動こうどうによってきょうめることは非常ひじょう困難こんなんである」と主張しゅちょうしていた[41]

おう邦雄くにおは「だい規模きぼ金融きんゆう緩和かんわ問題もんだいてんは、緩和かんわ拡大かくだいしている期間きかんには表面ひょうめんしてこないことにあり。金融きんゆう政策せいさく転換てんかん必要ひつようになったとき出口でぐちでどうなったかで評価ひょうかする必要ひつようがある」と指摘してきしている[21]

アメリカでは、金融きんゆう政策せいさく物価ぶっかなど名目めいもく変数へんすう変化へんかさせても生産せいさん雇用こようなど実質じっしつ変数へんすう変化へんかさせられないとするしん古典こてんと、金融きんゆう政策せいさく名目めいもく変数へんすうだけではなくたん中期ちゅうきてき実質じっしつ変数へんすう変化へんかさせられるとするニュー・ケインジアン学派がくはがいる[42]

政治せいじ制度せいど

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中央ちゅうおう銀行ぎんこう貨幣かへい発行はっこうする権限けんげんつため、つね政府せいふとの距離きょり重要じゅうようとなってきた。もし中央ちゅうおう銀行ぎんこう十分じゅうぶん独立どくりつせいがないならば、政府せいふうがままに貨幣かへい発行はっこうする可能かのうせいがある。政府せいふは、支出ししゅつをよりやしたい欲求よっきゅうと、増税ぞうぜいへの抵抗ていこう忌避きひする性質せいしつがあるため貨幣かへい発行はっこう財源ざいげん通貨つうか発行はっこうえきシニョリッジ))としたい動機どうきがある。

貨幣かへい発行はっこうは、民間みんかん投資とうし増加ぞうかさせ、インフレーションを発生はっせいさせるが、潤沢じゅんたく貨幣かへい発行はっこうにより名目めいもく金利きんり上昇じょうしょうせず、実質じっしつ金利きんり低下ていかさせる。

無尽蔵むじんぞう貨幣かへい発行はっこう結果けっか民間みんかん投資とうし消費しょうひ増大ぞうだい歯止はどめがかからなくなり、そう供給きょうきゅうそう需要じゅようたせなくなるためハイパーインフレーション発生はっせいする。ハイパーインフレーションは貨幣かへいへの信用しんよう喪失そうしつであり、いちじるしい経済けいざいてき損失そんしつ発生はっせいする。このため中央ちゅうおう銀行ぎんこう政府せいふから独立どくりつしていなくてはならない。

経済けいざい学者がくしゃ岩田いわた規久男きくおは「歴史れきしてきれば、目標もくひょうなしに金融きんゆう政策せいさく中央ちゅうおう銀行ぎんこう完全かんぜん裁量さいりょうまかせることは失敗しっぱいもとである」と指摘してきしている[43]野口のぐちあさひは「中央ちゅうおう銀行ぎんこう金融きんゆう政策せいさくは、事実じじつじょう総裁そうさい景気けいき判断はんだんによっておこなわれる。金融きんゆうめや金融きんゆう緩和かんわおこなうタイミングを間違まちがえると、経済けいざいおもわぬ方向ほうこう暴走ぼうそうする」と指摘してきしている[44]

明治大学めいじだいがく国際こくさい総合そうごう研究所けんきゅうじょフェローの岡部おかべ直明なおあきは「金融きんゆう危機きき回避かいひおおきな役割やくわりになうのは、金融きんゆう政策せいさくである」と指摘してきしている[45]

経済けいざい学者がくしゃアンナ・シュウォーツは「金融きんゆう当局とうきょく政策せいさくてき間違まちがわなければ、本来ほんらい金融きんゆう危機きき短期たんきてき現象げんしょうである。公衆こうしゅう追加ついかてき通貨つうかへの需要じゅよう緩和かんわされれば、危機きき自然しぜん終息しゅうそくする」と指摘してきしている[46]

経済けいざい学者がくしゃジョセフ・E・スティグリッツは「金融きんゆう政策せいさくとはたんなるインフレ対策たいさくだけではない。インフレに過大かだい関心かんしんそそぐあまり、一部いちぶくに中央ちゅうおう銀行ぎんこうは、金融きんゆう市場いちばきている状況じょうきょう無頓着むとんじゃくになってしまった。資産しさんバブルが制約せいやくにふくらんでいくのを中央ちゅうおう銀行ぎんこう放置ほうちすることにより経済けいざい負担ふたんするコストにくらべれば、ゆるやかなインフレによるコストなど微々びびたるものにすぎない」と指摘してきしている[47]

原田はらだやすし大和総研だいわそうけんは「金融きんゆう政策せいさく財政ざいせい赤字あかじ拡大かくだいさせることなく、経済けいざいショックをやわらげる。ただし、財政ざいせい金融きんゆう政策せいさく原油げんゆ価格かかく高騰こうとうなどの供給きょうきゅうショックには対応たいおうできない」と指摘してきしている[48]

利子りしりつ弾力だんりょくせい

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一般いっぱんてきに、金融きんゆう政策せいさく利子りしりつ影響えいきょうおよぼし、金利きんり民間みんかん投資とうし設備せつび投資とうし)に影響えいきょうあたえることで実体じったい経済けいざい影響えいきょうおよぼす(民間みんかん投資とうしには広義こうぎでは家計かけい住宅じゅうたく投資とうしふくまれる)。

しかし、これには前提ぜんていがある。それは民間みんかん投資とうし利子りしりつ反応はんのうするということである。これが利子りしりつ弾力だんりょくせいであり、利子りしりつ変動へんどうたいして民間みんかん投資とうしがよく反応はんのうするほど弾力だんりょくせいたかいといえる。この弾力だんりょくせいいちじるしくひく場合ばあいは、金融きんゆう政策せいさく実体じったい経済けいざいのリンクがなくなっている状態じょうたいであり、金融きんゆう政策せいさく効力こうりょく低下ていかする。利子りしりつ弾力だんりょくせいたか状態じょうたいとは、「融資ゆうしさえけられれば投資とうししたい」とかんがえる企業きぎょう十分じゅうぶんりょう存在そんざいする状態じょうたいであり、投資とうし案件あんけん事欠ことかかないような状態じょうたいである。投資とうし案件あんけんがない状態じょうたいでは、いくら名目めいもく金利きんり低下ていかしても投資とうしなど発生はっせいしないため金融きんゆう政策せいさく無力むりょくする。

経済けいざい学者がくしゃ高橋たかはし洋一よういちは「マネタリーベースの拡大かくだい予想よそうインフレりつたかまると、実質じっしつ金利きんりがり、一定いっていのラグをともなって実物じつぶつ経済けいざい波及はきゅうし、のマクロの名目めいもくGDP成長せいちょうりつ失業しつぎょうりつ賃金ちんぎん上昇じょうしょうりつ、インフレりつまってくる。その過程かていで、為替かわせ副産物ふくさんぶつとしてまってくる」と指摘してきしている[49]。また高橋たかはしは「デフレから脱却だっきゃくするために一時いちじてき実質じっしつ金利きんりがマイナスとなるが、長期ちょうきてきにマイナスのままとはならない」と指摘してきしている[50]

エコノミストのはぜのき浩一こういちは「量的りょうてき緩和かんわによって経済けいざい活動かつどう活発かっぱつする経路けいろは、金利きんり低下ていかによる企業きぎょう設備せつび投資とうし家計かけい住宅じゅうたく投資とうし活発かっぱつだけではない。金融きんゆう緩和かんわおこなうと資産しさん価格かかく上昇じょうしょうするという経路けいろおおきな影響えいきょうあたえている。家計かけい消費しょうひは、毎年まいとし所得しょとくによって影響えいきょうされる部分ぶぶんおおきいが、かぶ預貯金よちょきんなどの金融きんゆう資産しさん不動産ふどうさんなどの実物じつぶつ資産しさんふくめて、保有ほゆう資産しさんがく増加ぞうかすると消費しょうひ支出ししゅつえるという資産しさん効果こうかがある」と指摘してきしている[51]

流動りゅうどうせいわな

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投機とうきてき貨幣かへい需要じゅよう無限むげんだいとなり流動りゅうどうせいわな発生はっせいしている状況じょうきょうでは、金融きんゆう政策せいさく無力むりょくする。金利きんりがゼロにちかづくと、利子りしりつ2%をさかいにして消費しょうひ投資とうしえなくなり、金融きんゆう政策せいさく完全かんぜん有効ゆうこうせいうしなう。ジョン・メイナード・ケインズはこれを流動りゅうどうせいわな(liquidity trap)と[52]自由じゆう市場いちばでは当時とうじのあらゆる金融きんゆう政策せいさく有効ゆうこうせいうしな状態じょうたいであるためゆるされないと断言だんげんした。

原田はらだやすしは「ゼロ金利きんりであっても、マネタリーベース拡大かくだいさせることで金融きんゆう政策せいさく実体じったい経済けいざい刺激しげきすることができる。量的りょうてき金融きんゆう緩和かんわ政策せいさく効果こうかがあったという分析ぶんせきもある」と指摘してきしている[35]原田はらだやすし大和総研だいわそうけんは「名目めいもく金利きんりひく場合ばあいでも、量的りょうてき金融きんゆう緩和かんわ政策せいさくおこなえば、金融きんゆうはどれだけでも緩和かんわすることができる」と指摘してきしている[53]

高橋たかはし洋一よういちは「名目めいもく金利きんりがゼロ近辺きんぺんになると名目めいもく金利きんり余地よちはなくなるが、実質じっしつ金利きんり予想よそうインフレりつたかまればマイナスにできる。実質じっしつ金利きんり余地よちがなくなるということはない」と指摘してきしている[54]

経済けいざい学者がくしゃおう邦雄くにおは「金融きんゆう政策せいさくができることのひとつに、期待きたいはたらきかけるというのがある」と指摘してきしている[55]岩田いわた規久男きくおは「金融きんゆう政策せいさく人々ひとびと予想よそう期待きたいはたらきかけることで有効ゆうこうせい発揮はっきする政策せいさくである」と指摘してきしている[56]ポール・クルーグマン(Paul Krugman)は日本にっぽん経済けいざいについて、流動りゅうどうせいわなちたにもかかわらず、市場いちば予想よそう上回うわまわだい規模きぼ金融きんゆう緩和かんわおこなうことでインフレ期待きたいつくらないから、すくいようがないと日本にっぽん経済けいざい病根びょうこん指摘してきした。

固定こてい相場そうばせい

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資本しほん移動いどう自由じゆう場合ばあい固定こてい相場そうばせいにおいて、中央ちゅうおう銀行ぎんこう相場そうば維持いじのための無限むげん介入かいにゅう必要ひつようである。このことが、独立どくりつした政策せいさくおこなうえおおきな制約せいやくとなる(国際こくさい金融きんゆうのトリレンマ)。たとえば、小国しょうこく中央ちゅうおう銀行ぎんこうが、いオペで金利きんりげてマネーストックをやし、景気けいきくしたいとかんがえたとする。しかし、為替かわせ相場そうば固定こていしている大国たいこく金利きんりよりげた場合ばあい自国じこくやしたマネーはざやをもとめる裁定さいてい取引とりひきにより流出りゅうしゅつすることになる。この流出りゅうしゅつは、中央ちゅうおう銀行ぎんこういオペで放出ほうしゅつした通貨つうかが、自国じこく通貨つうかりの取引とりひき殺到さっとうにより中央ちゅうおう銀行ぎんこうにすべてもどるまでつづく。結果けっか金利きんりまえおなじになり、景気けいき浮揚ふよう効果こうかたない。このため、固定こてい相場そうばせいにおいて小国しょうこく金利きんり操作そうさすることが事実じじつじょう不可能ふかのうになる。また、大国たいこくであったとしても、その大国たいこくとの取引とりひきにおいて上記じょうき制約せいやくがまったくいわけではない。

欧州おうしゅう連合れんごう経済けいざい通貨つうか統合とうごう事実じじつじょう複数ふくすうこくによる固定こてい相場そうばせい導入どうにゅう同義どうぎ)をおこなった結果けっか金融きんゆう政策せいさく担当たんとう各国かっこく中央ちゅうおう銀行ぎんこうではなく欧州おうしゅう中央ちゅうおう銀行ぎんこう(ECB)になったのは、このような背景はいけいがあるからである。

物価ぶっか失業しつぎょうりつのトレードオフ

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一般いっぱんには物価ぶっか上昇じょうしょうりつ失業しつぎょうりつ改善かいぜんトレードオフ関係かんけいがある。それは一時いちじてき短期たんきのトレードオフであり、予想よそうがいのインフレりつ上昇じょうしょうによりもたらされる[57]短期たんきトレードオフによる失業しつぎょうりつ回復かいふく充分じゅうぶんかごくわずかか、その水準すいじゅんにかかわらず、インフレりつ以前いぜんよりたかくなるが、長期ちょうきてき失業しつぎょうりつ自然しぜん失業しつぎょうりつへと[58]。つまり、自発じはつてき失業しつぎょうがある状態じょうたいでは失業しつぎょうりつとトレードオフの関係かんけいつが、自発じはつてき失業しつぎょうがない状態じょうたいでは失業しつぎょうりつとトレードオフのせきはがりたない[59]

物価ぶっか雇用こようのトレードオフとは、適切てきせつ雇用こよう水準すいじゅん維持いじしようとすると、ある程度ていどのインフレを許容きょようせざるをず、ぎゃく物価ぶっか安定あんてい維持いじしようとすると、適切てきせつ雇用こよう水準すいじゅんをあきらめなければならない関係かんけい意味いみする[60]

経済けいざい学者がくしゃスティーヴン・ランズバーグは、ロバート・ルーカスの理論りろんげ「マネーサプライのランダムな変動へんどうはインフレりつ雇用こようりつ双方そうほうをともに上昇じょうしょうさせる。そして、ランダムな変動へんどうではなく、政府せいふ政策せいさく一環いっかんとしてしょうじた場合ばあい、インフレりつ上昇じょうしょうするが雇用こよう変動へんどうしない」と指摘してきしている[61]

経済けいざい学者がくしゃ池尾いけお和人かずとは「経済けいざい学的がくてきには、物価ぶっか安定あんていつうじて雇用こよう最大さいだいはかるか、物価ぶっか安定あんてい犠牲ぎせいにして一時いちじてき雇用こよう最大さいだいはかるかしかできない。じゅう目的もくてきすのはくない」とべている[62]

原田はらだやすしは「金融きんゆう政策せいさく意味いみがあるのは物価ぶっかげるからではなく、生産せいさん雇用こよう拡大かくだいさせるからである」と指摘してきしている[32]

野口のぐちあさひ田中たなか秀臣ひでおみは「ケインズ時代じだいきる人々ひとびとにとって、雇用こよう物価ぶっか変動へんどうれなければならない『運命うんめい』ではない。政府せいふ中央ちゅうおう銀行ぎんこうがマクロ経済けいざい政策せいさくによってそう需要じゅよう適切てきせつ管理かんりすれば、適正てきせい失業しつぎょうりつ物価ぶっか上昇じょうしょう維持いじすることは可能かのうだからである」と指摘してきしている[63]

野口のぐち田中たなかは「こうコストの問題もんだい名目めいもく賃金ちんぎんではなく『実質じっしつ賃金ちんぎん』の上昇じょうしょうであり、実質じっしつ賃金ちんぎん上昇じょうしょうすれば、企業きぎょう雇用こよう縮小しゅくしょうさせるしかない。つまり、完全かんぜん雇用こようマクロ経済けいざいがくてき実現じつげんさせるためには、実質じっしつ賃金ちんぎん低下ていかさせるしかない。そのためには、名目めいもく賃金ちんぎん低下ていかさせるか、物価ぶっか水準すいじゅん上昇じょうしょうさせるかのどちらかが必要ひつようとなる」と指摘してきしている[64]

賃金ちんぎんとの関係かんけい

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リーマン・ショックきょうこう失業しつぎょうりつたいして米国べいこくFRBはだい規模きぼ量的りょうてき緩和かんわ対処たいしょしてきたが、ゆるやかな回復かいふく傾向けいこうにある経済けいざいにあってもパートタイム労働ろうどうしゃ割合わりあい増加ぞうか労働ろうどう参加さんかりつ低下ていかやターンオーバーの増加ぞうかなどがられる。これらが周期しゅうきてき要因よういんきているなら金融きんゆう政策せいさく対処たいしょできるが、いくらかの要因よういんには対処たいしょできないとする見解けんかいジャネット・イエレンをはじめ連邦れんぽう公開こうかい市場いちば委員いいんかい(FOMC)はしている[65]。またグローバル(あるいは企業きぎょう企業きぎょう収益しゅうえきのみを追求ついきゅうすること)によって労働ろうどうしゃ実質じっしつ賃金ちんぎん低下ていかするケースをFOMCが金融きんゆう政策せいさくではコントロールできないとかんがえており[65]、これによって賃金ちんぎん上昇じょうしょう阻害そがいがおこり労働ろうどう指標しひょう現実げんじつ労働ろうどう市場いちば反映はんえいしない可能かのうせいがある。これによってFOMCのメンバーが、利上りあげなど金融きんゆう政策せいさく出口でぐち政策せいさくかんがえるうえでの確定かくてい要素ようそとなってしまっている[65]

経済けいざい学者がくしゃ伊藤いとう隆敏たかとしは「雇用こよう賃金ちんぎん遅行ちこう指標しひょうなので時間じかんはかかる」と指摘してきしている[66]経済けいざい学者がくしゃ清水しみずあきらてんは「貨幣かへいりょう生産せいさん雇用こよう物価ぶっかあたえる影響えいきょうおおきさや時間じかんのずれのながさは、国民こくみん情報じょうほうとそれにもとづき形成けいせいされる期待きたい次第しだいである」と指摘してきしている[67]

原田はらだやすしは「金融きんゆう緩和かんわ目的もくてき雇用こようやすことであって賃金ちんぎんげることではない。もちろん、金融きんゆう緩和かんわ雇用こようえて、失業しつぎょうりつがっていけば、いずれ賃金ちんぎんがる。しかし、雇用こようびるまえ賃金ちんぎんげては、かえって雇用こようびをさまたげることになりかねない」と指摘してきしている[68]

高橋たかはし洋一よういちは「金融きんゆう緩和かんわによるデフレ脱却だっきゃく過程かていで、名目めいもく賃金ちんぎん上昇じょうしょうりつ一時いちじインフレりつおよばず、実質じっしつ賃金ちんぎん低下ていかする局面きょくめんもある。実質じっしつ賃金ちんぎんがらないことで、雇用こよう増加ぞうかしているかぎ問題もんだいはない。一時いちじてき実質じっしつ賃金ちんぎん低下ていかして、雇用こようすう増加ぞうかすることは、デフレ脱却だっきゃく局面きょくめんでは健全けんぜん姿すがたである。デフレを脱却だっきゃくしたら、実質じっしつ賃金ちんぎん上昇じょうしょうりつはプラスになる」と指摘してきしている[69]

経済けいざい学者がくしゃ飯田いいだ泰之やすゆきは「アベノミクス一本いっぽんは、けっして金持かねもちの味方みかた貧乏人びんぼうにんてきではない。所得しょとくかんしては中立ちゅうりつであり、むしろ格差かくさ是正ぜせいてき側面そくめんもある」と指摘してきしている[70]

経済けいざい学者がくしゃ松尾まつおただしは「金融きんゆう緩和かんわなしの賃上ちんあげは、実質じっしつ貨幣かへい供給きょうきゅうらすため金融きんゆうめとおな効果こうかをもたらすため、景気けいきげの圧力あつりょくとなる」と指摘してきしている[71]

金融きんゆう政策せいさく推移すいい

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1960-1970年代ねんだい前半ぜんはん主要しゅよう先進せんしんこくは、雇用こよう維持いじのために金融きんゆう緩和かんわ気味ぎみ運営うんえいした[1]。その結果けっか貨幣かへい供給きょうきゅうりょうマネタリーベース)の増加ぞうかりつ上昇じょうしょうし、インフレとなった[72]。1973ねんだいいちオイルショック契機けいきに、だいインフレとなり、主要しゅよう先進せんしんこく物価ぶっか安定あんてい優先ゆうせんするようになった[60]

1970-1980年代ねんだい中期ちゅうきまで、ドイツや日本にっぽん貨幣かへい供給きょうきゅうりょう安定あんていてき維持いじする金融きんゆう政策せいさくによって、比較的ひかくてき良好りょうこう成果せいかおさめた[73]

日本にっぽん

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1973-1974ねんだいいちオイルショック日銀にちぎん金融きんゆう政策せいさく転換てんかんし、貨幣かへい供給きょうきゅう増加ぞうかりつはじめ、インフレりつ低下ていかした[74]。1973ねん12月には公定歩合こうていぶあいは9%であったが、1975ねんから段階だんかいてきげ、1978ねん3がつには3.5%となった[75]

1986-1987ねんにかけてのえんだかきょう影響えいきょうで、日銀にちぎん公定歩合こうていぶあいを5にわたってげるなどてい金利きんり政策せいさく実施じっしした[76]

1989ねんからバブル景気けいき影響えいきょう日銀にちぎんは、5かいわたって金利きんり公定歩合こうていぶあい)を2.5%から6%にげた[77]

1991ねん7がつバブル崩壊ほうかい影響えいきょう公定歩合こうていぶあいは6%から5%にげられ以降いこう、2002ねん時点じてんで0.1%となった[78]

1990年代ねんだい後半こうはんから2000年代ねんだい前半ぜんはん日本にっぽんでは、景気けいき悪化あっか慢性まんせいてき需給じゅきゅうギャップからデフレーションつづいた。日銀にちぎん金融きんゆう緩和かんわおこない1999ねん3がつには短期たんき金利きんりはほぼ0%にまでにおさむにいたった(ゼロ金利きんり政策せいさく)が、これによってもデフレがまらなかった[注釈ちゅうしゃく 2]

2001ねん3がつ担保たんぽコール翌日よくじつぶつレートから日銀にちぎん当座とうざ預金よきん残高ざんだかへ、操作そうさ目標もくひょう変更へんこうされた[80]日銀にちぎん当座とうざ預金よきん残高ざんだか目標もくひょうとすることは、マネーストックの代表だいひょうてき指標しひょうであるマネーサプライなどのりょうびを直接ちょくせつ目標もくひょうとしたものではないが、日銀にちぎん当座とうざ預金よきんはマネタリーベースの一部いちぶであり、信用しんよう創造そうぞうによってマネーストックとのあいだには関係かんけいがあるため、マネーストックを目標もくひょうとしたものとえる。この政策せいさくは、特殊とくしゅ場合ばあいのぞけば金利きんりはマイナスにならないという制約せいやくがあるため、金利きんり目標もくひょうとした金融きんゆう緩和かんわ限界げんかいたっしたため採用さいようされた。

2001ねんから2006ねんにかけての5年間ねんかん日本銀行にっぽんぎんこう当座とうざ預金よきん残高ざんだか目標もくひょうにした量的りょうてき金融きんゆう緩和かんわ政策せいさくおこなわれた。

2006ねん3がつの、いざなみ景気けいきときに、量的りょうてき緩和かんわ政策せいさく解除かいじょされ、金利きんり目標もくひょうへシフトしたが短期たんき金利きんりひくめにおさえる政策せいさく継続けいぞくされた。

2008ねん10がつ8にちリーマン・ショック、アメリカの連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど(FRB)と欧州おうしゅう中央ちゅうおう銀行ぎんこう(ECB)などべいおうの6ちゅうぎんは、協調きょうちょう利下りさげにったと発表はっぴょうしたが、日銀にちぎん利下りさげせず、金融きんゆう調節ちょうせつめんでの改善かいぜん検討けんとうあきらかにした[81]

2010ねん10がつ5にち日本銀行にっぽんぎんこうは「包括ほうかつてき金融きんゆう緩和かんわ政策せいさく」を実施じっしし、担保たんぽコール翌日よくじつぶつ金利きんり誘導ゆうどう目標もくひょうを0.00~0.10%程度ていど設定せっていした[82][83]

2013ねん4がつ4にちの、アベノミクスとき日本銀行にっぽんぎんこうは「量的りょうてきしつてき金融きんゆう緩和かんわ」を導入どうにゅうし、金融きんゆう市場いちば調節ちょうせつ操作そうさ目標もくひょう担保たんぽコール翌日よくじつぶつ金利きんりからマネタリーベース変更へんこうした[82][84]

2016ねん1がつ29にち日本銀行にっぽんぎんこうは「マイナス金利きんり量的りょうてきしつてき金融きんゆう緩和かんわ」を導入どうにゅうし、日本銀行にっぽんぎんこう当座とうざ預金よきん金利きんりが-0.1%のマイナス金利きんりとなった。マイナス金利きんり政策せいさく開始かいしした。[82][85]

2016ねん7がつ金融きんゆう政策せいさく決定けってい会合かいごうで、日銀にちぎんは“しつりょう・マイナス金利きんり”の3次元じげんでの追加ついか緩和かんわ期待きたいした市場いちば裏切うらぎり、上場じょうじょう投信とうしん(ETF)の倍増ばいぞうじくとする追加ついか措置そち決定けっていした[86]。また、日銀にちぎんは9月の会合かいごう経済けいざい物価ぶっか情勢じょうせい、これまでの金融きんゆう政策せいさく効果こうか総括そうかつてき検証けんしょうすると表明ひょうめいした[87]

2016ねん9がつ21にち日本銀行にっぽんぎんこうは「長短ちょうたん金利きんり操作そうさ量的りょうてきしつてき金融きんゆう緩和かんわ」を導入どうにゅうし、イールドカーブ・コントロール(YCC)を導入どうにゅうし、10ねんぶつ日本にっぽん国債こくさい誘導ゆうどう目標もくひょうを-0.10%~0.10%程度ていどとした。[82][88]

2018ねん7がつ31にち日本銀行にっぽんぎんこうは「強力きょうりょく金融きんゆう緩和かんわ継続けいぞくのための枠組わくぐ強化きょうか」を発表はっぴょうし、10ねんぶつ日本にっぽん国債こくさい誘導ゆうどう目標もくひょうを-0.20%~0.20%程度ていどとし[89]長期ちょうき国債こくさいがく保有ほゆう残高ざんだか増加ぞうかがく年間ねんかんやく80ちょうえんをめどとすることとした[82][90]

2020ねん4がつ27にち日本銀行にっぽんぎんこうは「金融きんゆう緩和かんわ強化きょうかについて」を発表はっぴょうし、新型しんがたコロナウイルス対応たいおうのため、当面とうめん長期ちょうき国債こくさい短期たんき国債こくさいともに、さらに積極せっきょくてきかいれをおこなうこととした[82][91]

2021ねん3がつ19にち日本銀行にっぽんぎんこうは「より効果こうかてき持続じぞくてき金融きんゆう緩和かんわについて」を発表はっぴょうし、10ねんぶつ日本にっぽん国債こくさい誘導ゆうどう目標もくひょうを-0.25%~0.25%程度ていどとした[82][92]

2022ねん12月の金融きんゆう政策せいさく決定けってい会合かいごうで、日銀にちぎんだい規模きぼ緩和かんわ修正しゅうせいする方針ほうしん決定けっていした[93]。10ねんぶつ日本にっぽん国債こくさい長期ちょうき金利きんり)の変動へんどう許容きょようはばを、0.5%まで拡大かくだいし、事実じじつじょう利上りあげにった[93]。なお政府せいふがわ出席しゅっせきしゃからの要請ようせいにより、会合かいごう一時いちじ中断ちゅうだんしていたことがあきらかになっている[94]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 一定いってい名目めいもく成長せいちょうりつ達成たっせいさせるために、最適さいてきなマネタリー・ベースの増加ぞうかりつもとめるルール。経済けいざい学者がくしゃベネット・マッカラム考案こうあんした[18]
  2. ^ リチャード・ヴェルナーは、この事実じじつ利率りりつがりつづけている期間きかん景気けいき刺激しげきされなかったという意味いみで、景気けいき低迷ていめい利率りりつそこちで説明せつめいする流動りゅうどうせいわなろんたいする批判ひはん材料ざいりょうとなるとしている。[79]

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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David Beckworthによる解説かいせつ