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エウメネス - はかもなきこと

エウメネス

『エウメネス』を最初さいしょいたときは、アッリアノスの『アナバシス』しかんでなかった。 そのなかめい場面ばめんいて一本いっぽんにして、それ以外いがいはなかった。

連載れんさいものにしたのは、続編ぞくへんみたいというレビューがまれていたためでもあるし、 また、『エウメネス』がれるので、いちからいてみようかというになったのだ。

それで、アレクサンドロスの東征とうせい開始かいしからイッソスのたたかいまでをいてみようとして、これは一本いっぽんではれないってことがわかって、 ほんにわけた。 もともとしてたやつを『エウメネス1 ゲドロシア紀行きこう』とし、 つづいて『エウメネス2 グラニコスかわたたかい』、『エウメネス3 イッソスのたたかい』としたのだった。

『エウメネス4』と『エウメネス5』では、それまでとちがって、 アレクサンドロスの金魚きんぎょくそみたいな位置いちづけだったエウメネスを単独たんどく行動こうどうさせてみた。 わざとアレクサンドロスを登場とうじょうさせず、アレクサンドロスの三人称さんにんしょう視点してんとしてのエウメネスを独立どくりつさせて、 一人称いちにんしょう視点してんのエウメネスをくことにしたわけだ。 ついでにカッサンドロスやセレウコスなどの若者わかもの登場とうじょうさせてみた。

『エウメネス』シリーズはすべて一人称いちにんしょう視点してんかれているのだが、 いち箇所かしょだけ、イッソスのたたかいでダレイオスさんせい敗走はいそうするところだけ、 ダレイオスの一人称いちにんしょう視点してんいてある。 というか、エウメネスでもダレイオスでもない三人称さんにんしょう視点してんのようなかたになっている。 これは反則はんそくわざというか、統一とういつというか、文章ぶんしょう稚拙ちせつさともいうべきものなわけなんだけど、 個々ここ箇所かしょはエウメネスの回顧かいころくのようなかたちんでもらえればとおもう。 イッソスのたたかいののちでエウメネスが事実じじつ総合そうごうしたらダレイオスの心理しんりとはこんなふうなものだった。 それをエウメネスがかたった、ということにしてほしい。 ところどころ、「いまからおもえば」とエウメネスが箇所かしょがある。 この作品さくひん全体ぜんたいが、アレクサンドロス大王だいおうがバビュロンでんだ直後ちょくごくらいにエウメネスがおう追想ついそうしてかたったものなのだが、 没入ぼつにゅうかんすために、おおくは現在げんざいがたかたられているのだと了解りょうかいしてもらえるとありがたい。

古代こだいギリシャのことをきながら、いつのにか、結局けっきょく現代げんだい社会しゃかいのこと、わたし自身じしん思想しそうのことをいているのだけれども、 それはわたしいているフィクションなのだから仕方しかたあるまい。 なんならほかひとはほかのようにけばよいだけだ。

あとは、パールサのたたかい、ハグマターナ、バークトリシュのたたかいをえがくのみとなった。 たぶんこれらは『エウメネス6』『エウメネス7』というかたちくことになるはずだ。 そしてとき系列けいれつてきえば『エウメネス1』にもどる。

最後さいごはゲドロシアをけてスーサにいたるまでのアレクサンドロスの帰還きかんえがいて『エウメネス8』としたいとおもっている。 『エウメネス8』の主役しゅやくはカラノスというバラモンそうになる予定よていだ。 このひとはもともとてこないので、『エウメネス1』に追記ついきした。 『エウメネス1』だけで完結かんけつするにはらないキャラだが、 『エウメネス2』から『エウメネス7』までて『エウメネス1』にもどって、『エウメネス8』で完結かんけつするためには、必要ひつようなキャラだとかんがえている。 アレクサンドロスがぬところやそののディアドコイ戦争せんそうはない。

アレクサンドロスとはなにだったのか。 かれにはエパメイノンダス、フィリッポス2せいという先達せんだつがいた。 ペルシャ帝国ていこく瓦解がかいしかけ、そのコスモポリタニズムを新興しんこうのマケドニア王国おうこくいだ。 さらにかれ個人こじんてき資質ししつ特殊とくしゅ能力のうりょくとしてはダイモニアというものを仮定かていしている。 ダイモニアはソクラテスがっていたことで、アリストテレスもエウダイモニアなどとっている。 ダイモニアは守護神しゅごじんとか守護しゅごれいのようなものであるし、バラモン教ばらもんきょうてきえばおもねよりゆき耶識とでもなろうか。 無意識むいしきてき自我じがとでもいえばよかろうか。

『エウメネス5』ではたくさんのかみた。 ダゴン、イシュタル、ナブー、マルドゥク。 占星術せんせいじゅつ七曜しちようにもおお言及げんきゅうした。 ユダヤきょうにもちょっとれた。 『エウメネス3』ではフェニキアじんやエジプトじんかみはなした。 ペルシャじんかみアフラマヅダは当然とうぜんてくるし、 ギリシャじんかみはディオニュソスをはじめとしてこれまたたくさんてくる。

これだけたくさん神様かみさましたのはたんわたし趣味しゅみだからでもあるが、 わたしは、アレクサンドロスがパールサプラをいたのは、アレクサンドロス自身じしん意図いとしたのではなく、 バビュロニアじんとペルシャじんあいだ宗教しゅうきょうてき対立たいりつがあったからだとおもうからだ。 もちろんギリシャじんも、ギリシャに侵攻しんこうしたクセルクセスおうにはうらみがあった。 そのクセルクセスが完成かんせいさせたパールサプラを略奪りゃくだついたのはギリシャじん自身じしん復讐ふくしゅうであったかもしれないが、 しかし、バビュロンに入城にゅうじょうしたアレクサンドロスが為政者いせいしゃとして市民しみんらに最初さいしょ期待きたいされたのは、 ペルシャじんへの報復ほうふくだったとおもうのである。 つまりバビュロンへの無血むけつ入城にゅうじょうには、パールサ征服せいふくという交換こうかん条件じょうけんがあったのではないか。

ディオドロスの『歴史れきし叢書そうしょ』も最近さいきんになってとおしている。 概要がいようはアッリアノスと、ウィキペディア英語えいごばんなどめば十分じゅうぶんなのだが、 ディオドロスにしかいてないディテールなどがわり作品さくひん風味ふうみくわえてくれるので、 できるだけひろいたいとおもう。 ほかにもクセノフォン、トゥキュディデス、アテナイオスなどもんでいる。 森谷もりたに公俊きみとしほんはじめた。 しかしプルタルコスを参考さんこうにするつもりはない。

まともかく『エウメネス』シリーズは完成かんせいさせなくてはならない。 そのため『エウメネス1』はだいぶ加筆かひつ修正しゅうせいした。 『エウメネス2』にはアンフィポリスのたたかいを加筆かひつした。 完成かんせいさせるまでには、いやもしかすると完成かんせいさせたあとも、加筆かひつ修正しゅうせいつづくんじゃないかとおもう。

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