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メートル時間じかん

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キロびょうから転送てんそう

メートル時間じかん(メートルじかん、metric time)とは、時間じかん間隔かんかく計測けいそくトル法とるほうかんがかた適用てきようし、びょうのみ時間じかん基本きほん単位たんいとして、それにSI接頭せっとうをつけた分量ぶんりょう倍量ばいりょう単位たんい(ミリびょう、キロびょう、メガびょうなど)で表現ひょうげんしようとするものである。

時刻じこく表現ひょうげんじゅう進化しんかしようとするじゅう進化しんか時間じかんとはことなるが、しばしば混同こんどうされる。

歴史れきし[編集へんしゅう]

びょう」(second)はじゅう進化しんかトル法とるほう一部いちぶではあるが、その定義ていぎ名前なまえろく十進法じっしんほう由来ゆらいする。シュメールじんバビロニアじんは、1あいだを60分割ぶんかつしてminute(ぶん)、ぶんを60分割ぶんかつしてsecond(びょう)、びょうを60分割ぶんかつしてthirdを定義ていぎした。"minute"というかたりラテン語らてんごpars minuta primaだい1の小片しょうへん、first small part)に由来ゆらいし、"second"はpars minuta secundaだい2の小片しょうへん、second small part)に由来ゆらいする。

1795ねんにフランスで最初さいしょ導入どうにゅうされたときトル法とるほうには、なが面積めんせき体積たいせきいぬいりょうえきりょう)・重量じゅうりょう質量しつりょう)および通貨つうか単位たんいふくまれていたが、時間じかん単位たんいふくまれていなかった。その2ねんまえの1793ねんからフランスで時刻じこく表現ひょうげんじゅう進化しんか時間じかん導入どうにゅうされていたが、これにはトル法とるほうのような接頭せっとう基本きほん単位たんいまえにつける方法ほうほう採用さいようされなかった。

1874ねん、イギリスのジェームズ・クラーク・マクスウェルエリフ・トムソンが、電磁気でんじきがく単位たんい定義ていぎするためにトル法とるほうびょうわせたCGS単位たんいけい紹介しょうかいし、1832ねんカール・フリードリヒ・ガウスがそれを推薦すいせんした。

平均へいきん太陽たいようの1/86400と定義ていぎされていたこよみひょうびょうは、1954ねんだい10かい国際こくさい度量衡どりょうこう総会そうかい採択さいたくされた国際こくさい単位たんいけい(SI)の当初とうしょからの基本きほん単位たんいの1つとなった。SIにおけるびょう定義ていぎは、のちセシウム原子げんし時計とけいもとづく普遍ふへんてきなもの[1]変更へんこうされた。

過去かこ単位たんい[編集へんしゅう]

メートル時間じかん基本きほん単位たんいとして、過去かこ様々さまざま提案ていあんがあった。

1794ねん3がつ28にちトル法とるほう制定せいていする委員いいんかい委員いいんちょうであったジョゼフ=ルイ・ラグランジュは、委員いいんかいへの報告ほうこくしょなかdéci-jourデシ)とcenti-jourセンチ)という単位たんい提唱ていしょうした[2]。これは、1にちの1/10、1/100を時間じかん単位たんいとするものである。しかし、その提案ていあんは、面識めんしきれの欠如けつじょから、れられることはなかった。

1にちの10まんぶんの1(0.864びょう)を「じゅう進化しんかびょう (decimal second)」とする提案ていあんもある。しかし、「びょう」のいかなるさい検討けんとうも、既存きそん単位たんいとの競合きょうごうこす。たとえば、ラグランジュが提唱ていしょうした、1にちの100ぶんの1と定義ていぎされる「センチ」は、漢字かんじ文化ぶんかけんせんねん以上いじょうもちいられてきたこくおなじである。

19世紀せいき、フランスのJoseph de Rey-Pailhadeが、センチとし、1 = 10 decicé = 100 centicé = 1000 millicé[3] = 10000 dimicés[4][5]とする単位たんい提唱ていしょうした。

1897ねんフランス経度けいどきょくフランス語ふらんすごばん数学すうがくしゃアンリ・ポアンカレ幹事かんじとする「じゅう進化しんか時間じかん委員いいんかい」(Commission de décimalisation du temps)が設置せっちされた。委員いいんかいは「」を基本きほん単位たんいとすることを提案ていあんしたが、れられず、結局けっきょく断念だんねんされた[6]

スウォッチ・インターネットタイムは、1000ぶんの1にちを「ビート」とするものであるが、国際こくさい単位たんいけいSI接頭せっとうもちいられない。

意味いみ[編集へんしゅう]

「メートル時間じかん」という言葉ことばじゅう進化しんか時間じかん同義どうぎとしてもちいられることがある。メートル時間じかん時間じかん間隔かんかく計測けいそくもちいるのにたいし、じゅう進化しんか時間じかん時刻じこく表現ひょうげんかんするものである。

通常つうじょう時刻じこく表現ひょうげんには24あいだせいまたは12あいだせいもちいられる。この時刻じこく表現ひょうげんは、現在げんざいではではなくトル法とるほう(SI)のびょう基本きほん単位たんいとしている。提案ていあんされているじゅう進化しんか時間じかん基準きじゅんとしている。SI併用へいよう単位たんいであり、そのようなじゅう進化しんか時間じかんしん意味いみで「トル法とるほう」されたもの(メートル時間じかん)とはえない。

フランスでかつてもちいられていたじゅう進化しんか時間じかんはしばしば「メートル時間じかん」とばれる。これは、トル法とるほう導入どうにゅうどう時期じき使つかわれていたことと、どちらも十進法じっしんほうもとづいていることによる。実際じっさい最初さいしょトル法とるほう単位たんい接頭せっとうさだめた1795ねん4がつ7にち法令ほうれいでは、接頭せっとうもちいていないじゅう進化しんかされた「」「ぶん」「びょう」とばれる時間じかん単位たんい使用しよう停止ていししている。

コンピュータでの利用りよう[編集へんしゅう]

コンピュータのシステム時刻じこくでは、メートル時間じかんひろ使用しようされている。UNIX時間じかんは、1970ねん1がつ1にち午前ごぜん00ふん0びょう世界せかい協定きょうてい)からの経過けいかびょうすうとしてあらわされる。マイクロソフトのFILETIME構造こうぞうたいは、1601ねん1がつ1にちからの100ナノびょう単位たんい経過けいか時間じかんあらわ[7]VAX/VMS修正しゅうせいユリウスが0となる1858ねん11月17にちからの100ナノびょう単位たんいでの経過けいか時間じかんRISC OSは1900ねん1がつ1にちからのセンチびょう(10ミリびょう単位たんいでの経過けいか時間じかん使用しようしている。

これらのシステムのいずれも、うるうびょうでは不連続ふれんぞくとなり、正確せいかく線形せんけいではない。

びょう分割ぶんかつ[編集へんしゅう]

SI接頭せっとうをつけたびょう倍量ばいりょう単位たんいはあまりもちいられないが、とく科学かがく技術ぎじゅつ分野ぶんやで、びょう分量ぶんりょう単位たんいはよくもちいられている。ミリびょう、マイクロびょう、ナノびょうなどであるが、センチびょうはあまりもちいられない。

問題もんだい[編集へんしゅう]

SI接頭せっとうだけをもちいて時間じかん表現ひょうげんする場合ばあいに、おおきな問題もんだいがある。国際こくさい単位たんいけいでは倍量ばいりょう分量ぶんりょうそれぞれにSI接頭せっとうさだめている。最初さいしょの3つは10ばいごとであり、びょう適用てきようすると以下いかのようになる。

倍数ばいすう 単位たんい びょう ぶん
101 デカびょう(das) 10 0.166
102 ヘクトびょう(hs) 100 1.666
103 キロびょう(ks) 1 000 16.666

しかし、それ以降いこう接頭せっとうは1000ばいごとである。そのため、16.7ぶんが11.6にち、11.6にちつぎが31.7ねん間隔かんかく非常ひじょうひらいてしまい、人間にんげん活動かつどう計測けいそくには実用じつようてきである。

倍数ばいすう 単位たんい びょう ぶん 時間じかん とし
106 メガびょう(Ms) 1 000 000 16 666.666 277.777 11.574 0.032
109 ギガびょう(Gs) 1 000 000 000 16 666 666.666 277 777.777 11 574.074 31.688

これを実用じつようてきなものにするには、10の4じょう・5じょうばい接頭せっとう導入どうにゅうする必要ひつようがある。過去かこには、10の4じょうばいあらわす「ミリア」という接頭せっとうがあったが、1960ねんにSIが採択さいたくされたときにミリアは採用さいようされなかった。10の5じょうばいあらわ接頭せっとう過去かこにも存在そんざいしないが、105びょうやく27.8あいだと、1にちながさ(24あいだ)にちかになっている。

倍数ばいすう 単位たんい びょう ぶん 時間じかん
104 ミリアびょう(mys) 10 000 166.6 2.777 0.116
105 - 100 000 1 666.6 27.77 1.157

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ セシウム133原子げんし基底きてい状態じょうたいの2つのちょう微細びさいじゅんあいだ遷移せんい対応たいおうする電磁波でんじは(radiation)の9192631770周期しゅうき相当そうとうする時間じかん
  2. ^ Procès-verbaux du Comité d'instruction publique de la Convention nationale by James Guillaume
  3. ^ Histoire d'heure - Fractionnement du temps Archived 2015ねん5がつ22にち, at the Wayback Machine.
  4. ^ AJB, Volume 9, 1907
  5. ^ Report of the Sixth International Geographical Congress: Held in London, 1895
  6. ^ Einstein's Clocks, Poincare's Maps: empires of time By Peter Louis Galison
  7. ^ FILETIME構造こうぞうたい(MSDN)

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]