クリミア・コンゴ出血しゅっけつ熱ねつ

クリミア・コンゴ出血しゅっけつ熱ねつ
別称べっしょう	Crimean-Congo hemorrhagic fever
概要がいよう
診療しんりょう科か	感染かんせん症しょう
症状しょうじょう	発熱はつねつ、頭痛ずつう、筋肉きんにく痛つう、関節かんせつ痛つう、結膜炎けつまくえん、嘔吐おうと、下痢げりなど
原因げんいん	クリミア・コンゴ出血しゅっけつ熱ねつウイルス
合併症がっぺいしょう	出血しゅっけつ傾向けいこう（消化しょうか管かん出血しゅっけつなど）、肝かん機能きのう障害しょうがい
治療ちりょう	リバビリンの投与とうよ 輸液による全身ぜんしん状態じょうたいの改善かいぜんなど
予よ後ご	不ふ顕あらわ性せい感染かんせんが多おおいが、一度いちど発症はっしょうしてしまうと致死ちし率りつ20%以上いじょう。
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう

クリミア・コンゴ出血しゅっけつ熱ねつ（クリミア・コンゴしゅっけつねつ、Crimean-Congo hemorrhagic fever (CCHF)）はブニヤウイルス目めフェニュイウイルス科かに属ぞくするクリミア・コンゴ出血しゅっけつ熱ねつウイルス（Crimean-Congo hemorrhagic fever orthonairovirus）による感染かんせん症しょうである。

ウイルス性せい出血しゅっけつ熱ねつの一ひとつ。

概要がいよう

自然しぜん宿主しゅくしゅであるダニ

クリミア・コンゴ出血しゅっけつ熱ねつウイルスは、ダニ間あいだおよびダニとヒツジやヤギなどの動物どうぶつとの間あいだで生活せいかつ環たまきを形成けいせいしている。このウイルスに感染かんせんしたダニに咬かまれたり、感染かんせん動物どうぶつの組織そしきや血液けつえきに接触せっしょくしたりすることでヒトに感染かんせんする。また、動物どうぶつからヒトへの感染かんせんだけでなく、罹患りかん者しゃの血液けつえきや体液たいえきに触ふれることにより、ヒト-ヒト間あいだでの感染かんせんも起おこる。日本にっぽんでは、感染かんせん症しょう法ほうで一類いちるい感染かんせん症しょうに指定していされている。

発生はっせい地域ちいき

患者かんじゃ発生はっせい地域ちいきは宿主しゅくしゅとなるダニの分布ぶんぷに一致いっちし、アフリカ大陸たいりく、東ひがしヨーロッパ、中近東ちゅうきんとう、中央ちゅうおうアジア諸国しょこく、南部なんぶアジアである。存在そんざいが知しられるようになったきっかけは、クリミア地方ちほうの旧きゅうソビエト連邦れんぽう軍ぐん兵士へいしの間あいだで、1944年ねん-1945年ねんにかけて出血しゅっけつを伴ともなう急性きゅうせい熱性ねっせい疾患しっかんが発生はっせいしたことによる。その後ご、1956年ねんにコンゴ地方ちほう（中部ちゅうぶアフリカ）で分離ぶんりされたウイルスと同一どういつであることが確認かくにんされ、病名びょうめいに両りょう地域ちいきの名前なまえがつけられることとなった。

ウイルス性せい出血しゅっけつ熱ねつのくくりでは、エボラ出血熱えぼらしゅっけつねつやマールブルグ病びょうと比くらべ致死ちし率りつは低ひくいものの、流行りゅうこうの規模きぼが大おおきいのが特徴とくちょうである。

症状しょうじょう

出血しゅっけつ症状しょうじょうを起おこしているクリミア・コンゴ出血しゅっけつ熱ねつ患者かんじゃ

潜伏期せんぷくき間あいだは2 - 10日とおか（資料しりょうによっては3 - 6日にち）。潜伏期せんぷくきの後のち、突然とつぜんの40℃以上いじょうの高熱こうねつ、頭痛ずつう、筋肉きんにく・関節かんせつ痛つう、上うえ腹部ふくぶ痛つうが出現しゅつげんする。歯肉はにくからの出血しゅっけつ、鼻血はなぢ、結膜炎けつまくえん、徐じょ脈みゃく、下痢げりなどの症状しょうじょうが現あらわれることもある。

発病はつびょう後ご3 - 5日にちで出血しゅっけつ傾向けいこうが出現しゅつげんする。皮膚ひふに大だい規模きぼな紫斑しはんができる他ほか、消化しょうか管かん出血しゅっけつ（吐血とけつ、下しも血ち・血便けつべん）、血尿けつにょう、子宮しきゅう出血しゅっけつがみられる。本ほん疾患しっかんはエボラ出血熱えぼらしゅっけつねつなど他たのウイルス性せい出血しゅっけつ熱ねつと比くらべても、最もっとも出血しゅっけつ症状しょうじょうが顕著けんちょと言いわれる。また、重度じゅうどの肝かん機能きのう障害しょうがいを伴ともなう。

感染かんせんしても無む症状しょうじょう（不ふ顕あらわ性せい感染かんせん）のことも多おおいが、発病はつびょうした場合ばあいの致死ちし率りつは20%以上いじょうとなる。

牛うし、めん羊ひつじなどの家畜かちくでは感染かんせんしても無む症状しょうじょうである。

診断しんだんと治療ちりょう

検査けんさ所見しょけんでは、末梢まっしょう血ち血液けつえき検査けんさにおいて血小板けっしょうばん・白血球はっけっきゅう（特とくにリンパ球だま）の減少げんしょう、尿にょう検査けんさにおいて血尿けつにょう・蛋白たんぱく尿にょうがみられる。ウイルス抗原こうげん・抗体こうたいの検出けんしゅつにより確定かくてい診断しんだんされる。治療ちりょうは、患者かんじゃの隔離かくり、輸液・電解でんかい質しつ補正ほせい、輸血ゆけつなどの対症療法たいしょうりょうほうのほか抗こうウイルス剤ざい（リバビリン）の投与とうよ、2次じ感染かんせんの予防よぼうとして抗生こうせい物質ぶっしつの投与とうよが行おこなわれる。

関連かんれん項目こうもく

• 重症じゅうしょう熱性ねっせい血小板けっしょうばん減少げんしょう症候群しょうこうぐん（SFTS） - クリミア・コンゴ出血しゅっけつ熱ねつと同様どうように、ブニヤウイルス目めのウイルスが引ひき起おこす感染かんせん症しょう。ダニが媒介ばいかいする、出血しゅっけつ症状しょうじょうがみられるなど共通きょうつう点てんがある。日本にっぽんを含ふくめた東ひがしアジアで流行りゅうこうしている。

外部がいぶリンク

• 海外かいがい渡航とこう者しゃのための感染かんせん症しょう情報じょうほう