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ナマズ

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ナマズ
様々さまざまなナマズ魚類ぎょるい
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
つな : しんひれつな Neopterygii
上目うわめ : ほね鰾上 Ostariophysi
: ナマズ Siluriformes
下位かい分類ぶんるい
本文ほんぶん参照さんしょう

ナマズ学名がくめいSiluriformes英語えいごCatfish)は、硬骨魚こうこつぎょるい分類ぶんるいぐんひとつ。35446ぞく構成こうせいされ、ナマズギバチなどそこせい生活せいかつをする淡水魚たんすいぎょ中心ちゅうしんに、およそ2,867しゅ所属しょぞくする。おおきくて扁平へんぺい頭部とうぶと、感覚かんかく器官きかんとして発達はったつしたくちヒゲ特徴とくちょうとし、食用しょくようぎょあるいは観賞かんしょうぎょとして世界せかいおおくの地域ちいき利用りようされている。

本稿ほんこうでは分類ぶんるいぐんとしてのナマズ構成こうせいNelson (2006)分類ぶんるい体系たいけいもとづく)、およびナマズるい全般ぜんぱん特徴とくちょうについて記述きじゅつする。日本にっぽん分布ぶんぷするナマズ魚類ぎょるいの1しゅ、ナマズ(ニホンナマズ、Silurus asotus)およびナマズに関連かんれんする文化ぶんかについては、ナマズ項目こうもく参照さんしょうのこと。一般いっぱんてき和名わみょうのない分類ぶんるいめいについては、めい上野うえの & 坂本さかもと (2005, pp. 58–59)、たねめい江島えじま (2008)によるカタカナ表記ひょうきをそれぞれ参考さんこうとした。

概要がいよう

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ナマズには2006ねん時点じてんで2,800をえるたね記載きさいされ、魚類ぎょるいなかではスズキやく1まんしゅ)、コイやく3,200しゅ)にいで3番目ばんめおおきな一群いちぐんとなっている。現生げんなま魚類ぎょるい2まん8000しゅのおよそ1わり淡水たんすいさんしゅ(1まん2400しゅ)にかぎればその2わりがナマズ仲間なかまめられる[1]ながれのゆるやかな河川かせん湖沼こしょうから洞窟どうくつ山岳さんがく地帯ちたい急流きゅうりゅうにいたるまで、世界中せかいじゅうのあらゆるりくすい幅広はばひろ分布ぶんぷするとともに、河口かこう水域すいいきおよび沿岸えんがん付近ふきんらす海産かいさんしゅふくまれる。1994ねん時点じてんやく2,400しゅ[2]から10ねんあまりのあいだに、あらたに400しゅ以上いじょう新種しんしゅ記載きさいされるなど、分類ぶんるい拡大かくだい傾向けいこうつづいている。地球ちきゅうじょう存在そんざいするすべてのみずのうち、0.01%にもたないこれらのりく水域すいいきにおいて獲得かくとくされたナマズ生物せいぶつ多様たようせいかすことは、生物せいぶつ全体ぜんたい進化しんか生態せいたいけいちを理解りかいするがかりにもなるとかんがえられている[3]

一般いっぱんてきなナマズるい共通きょうつうする形態けいたいがくてき特徴とくちょうは、ひらたくつぶれたおおきな頭部とうぶ幅広はばひろくち、そして感覚かんかく器官きかんとして発達はったつしたながくちヒゲである。世界せかいおおくの地域ちいきにおいて、古来こらいより重要じゅうよう漁業ぎょぎょう資源しげんとして利用りようされた歴史れきしをもち、養殖ようしょくさかんにおこなわれている。近年きんねんではなか大型おおがたしゅ趣味しゅみやスポーツとしての対象たいしょうになるほか、コリドラスシノドンティスプレコなど観賞かんしょうぎょとしてしたしまれる種類しゅるい非常ひじょうおおく、世界せかい各地かくち水族館すいぞくかんおよび個人こじんアクアリウム飼育しいくされている。このように人間にんげんとのかかわりをふかめる一方いっぽうで、移植いしょくされた外来がいらいナマズが固有こゆう生態せいたいけい影響えいきょうおよぼすなどの問題もんだい近年きんねん各地かくち発生はっせいしている。

分布ぶんぷ

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世界せかい

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南極大陸なんきょくたいりくからの化石かせきたねふくめれば、ナマズ仲間なかま地球ちきゅうじょうぜん大陸たいりく分布ぶんぷしている。所属しょぞくする2,800しゅあまりのナマズのうち、半数はんすう以上いじょうやく1,700しゅ南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりく分布ぶんぷする。アフリカみなみアジア東南とうなんアジア熱帯ねったいいき生息せいそくする種類しゅるいおおく、ヨーロッパひがしアジアオーストラリアにはごくすくない。ハマギギゴンズイの2にはおよそ120しゅ海水かいすいぎょふくまれるが、そのおおくは水域すいいき、ときには淡水たんすいにも進出しんしゅつする。の33はすべて淡水魚たんすいぎょのグループである(汽水域すいいき進出しんしゅつする種類しゅるいふくむ)。2006ねん時点じてんすくなくとも200しゅ記載きさいしゅられており、さらにおおくの発見はっけんしゅ存在そんざいすることも確実視かくじつしされている[1]

日本にっぽん

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イワトコナマズ (Silurus lithophilus)。琵琶湖びわこ余呉湖よごこのみに分布ぶんぷする日本にっぽん固有こゆうしゅ

日本にっぽんでは在来ざいらいのナマズ魚類ぎょるい全国ぜんこく各地かくち沖縄おきなわ海産かいさんしゅのみ)に分布ぶんぷするものの、そのかずは511しゅのみときわめてすくない[4]淡水たんすいさんしゅとしてはナマズナマズぞくの4しゅナマズイワトコナマズビワコオオナマズタニガワナマズ)、ギギの4しゅギギネコギギギバチアリアケギバチ)、およびアカザアカザられるのみである。このうちイワトコナマズ・ビワコオオナマズ・タニガワナマズ ・ギギの4しゅ・アカザは日本にっぽん固有こゆうしゅであり、ぜんしゃ琵琶湖びわこ水系すいけいのみに分布ぶんぷし、タニガワナマズは東海とうかい地方ちほう分布ぶんぷする。たねとしてのナマズ (S. asotus) の分布ぶんぷはかつて西日本にしにほんかぎられていたが、江戸えど時代じだい以降いこう東日本ひがしにっぽん北海道ほっかいどうにも移植いしょくされ、現在げんざいでは沖縄おきなわのぞ日本にっぽん全国ぜんこく生息せいそくしている。

日本にっぽんさんナマズるいはいずれも水質すいしつ環境かんきょう悪化あっかともなすうらしているとみられ、ネコギギ・ギバチ・アリアケギバチ・アカザの4しゅは、環境省かんきょうしょうレッドリストにおいて絶滅ぜつめつ危惧きぐしゅ、またはじゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐしゅ指定していされている。海産かいさんしゅとしては、ゴンズイ・ハマギギの3しゅゴンズイミナミゴンズイおよびハマギギ)が、本州ほんしゅうから沖縄おきなわにかけての沿岸えんがんいき分布ぶんぷしている。ゴンズイはスクーバダイビングなどでも頻繁ひんぱん観察かんさつされる普通ふつうしゅであるが、ハマギギは東シナ海ひがししなかいからインド洋いんどよう分布ぶんぷ中心ちゅうしんで、日本にっぽん近海きんかいではごくまれにしかれない[5]

移入いにゅうしゅ

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ウォーキングキャットフィッシュ Clarias batrachus (ヒレナマズ)。世界せかい各地かくち帰化きかし、生態せいたいけいへの影響えいきょう懸念けねんされるナマズ。日本にっぽんではきんえんClarias fuscus沖縄おきなわ石垣島いしがきじま定着ていちゃくしている

養殖ようしょく目的もくてき移入いにゅうされた食用しょくようナマズや、飼育しいく放棄ほうきされた外来がいらい観賞かんしょうようナマズが自然しぜんかい定着ていちゃくし、問題もんだいとなっているれい世界せかい各地かくちられる。淡水たんすいさんナマズ(とくなか大型おおがたしゅ)のおおくは生息せいそく環境かんきょうにおける食物しょくもつ連鎖れんさ上位じょうい位置いちすることがおおく、在来ざいらい水生すいせい生物せいぶつ根絶ねだやしにするなど生態せいたいけいへの悪影響あくえいきょう懸念けねんされる。ヒレナマズウォーキングキャットフィッシュ(クラリアス・バトラクス、Clarias batrachus)は、本来ほんらい東南とうなんアジアに分布ぶんぷする熱帯ねったいせいのナマズであるが、現在げんざいではアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく南部なんぶハワイなど、世界せかいおおくの地域ちいき帰化きかしている。ほんしゅ空気くうき呼吸こきゅう可能かのうで、陸上りくじょう移動いどうする性質せいしつがあるため容易ようい分布ぶんぷひろげやすく、国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごう (IUCN) が指定していする「世界せかい侵略しんりゃくてき外来がいらいしゅワースト100」のひとつに選定せんていされている[6]

外国がいこくさんナマズの定着ていちゃく日本にっぽんでも問題もんだいとなっている。1981ねん霞ヶ浦かすみがうら食用しょくよう目的もくてき導入どうにゅうされたきたアメリカ原産げんさんチャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ、Ictalurus punctatus)は、1994ねん以降いこう急激きゅうげきかずやしている。ほんしゅ体長たいちょう1 mをえる大型おおがた捕食ほしょくぎょ天敵てんてきはおらず、外来がいらい生物せいぶつほうにおける特定とくてい外来がいらい生物せいぶつとして規制きせい対象たいしょうとなっている[7]。また、ヨーロッパオオナマズ(ナマズちゅう最大さいだいしゅ)・ウォーキングキャットフィッシュの定着ていちゃく懸念けねんされるほか、マダラロリカリアすで沖縄おきなわへの定着ていちゃく確認かくにんされている。いずれも在来ざいらい魚類ぎょるいとの競合きょうごう心配しんぱいされ、これら3しゅ環境省かんきょうしょう指定していする要注意ようちゅうい外来がいらい生物せいぶつリストに掲載けいさいされている[8]

形態けいたいがくてき特徴とくちょう

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外部がいぶ形態けいたい

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チャネルキャットフィッシュ Ictalurus punctatus (アメリカナマズ)。くちヒゲはナマズ魚類ぎょるい重要じゅうよう特徴とくちょうである。このれいでは、はなに1つい上顎じょうがくに1ついしもあごに2ついけい4ついのヒゲをそなえている(しもあごの1ほんうしなわれている)
ヨーロッパオオナマズSilurus glanis (ナマズ)。ほんしゅはナマズなか最大さいだいしゅ

ナマズるいからだ表面ひょうめんにはうろこがなく、一般いっぱんなめらかである。からだ粘液ねんえきおおわれぬるぬるしていることがおおいが、ロリカリアうえとドラスうえ一部いちぶではかたほねばんかわらのようにれつしている。からだ全体ぜんたいてき左右さゆうひらべったい(がわひらた)が、頭部とうぶ上下じょうげ圧迫あっぱくされたようにひらたく(たてひらた)、ナマズ魚類ぎょるい外見がいけん特徴付とくちょうづけている。

はな上顎じょうがくしもあごなど頭部とうぶ最大さいだい4ついのヒゲをもつことが、ナマズ魚類ぎょるいおおきな特徴とくちょうである。くちヒゲにはあじつぼみなど感覚かんかく器官きかん発達はったつし、移動いどうおよびえささがすときにはヒゲを最大限さいだいげん活用かつようしている。夜間やかん活動かつどうするものや、視界しかい不良ふりょうにごった水域すいいき種類しゅるいでは退化たいかてきちいさいことがおおく、くちヒゲに依存いぞんする度合どあいがおおきい。ヘテロプネウステス・ヒレナマズ空気くうき呼吸こきゅうのための特殊とくしゅ器官きかんうええら器官きかん)をもち、みずそとでもある程度ていど生存せいぞん可能かのうとなっている。

ナマズちゅう最大さいだいさかなは、ナマズヨーロッパオオナマズSilurus glanis)である。ほんしゅおおくは体長たいちょう1.7mほどで条件じょうけんければ体長たいちょう2mを最大さいだいでは2.78mたっする報告ほうこくがある。

パンガシウスメコンオオナマズなど)・ピメロドゥス(ピライーバなど)の仲間なかま非常ひじょうおおきくなるが、全体ぜんたいればこれらは例外れいがいであり、ほとんどの種類しゅるい体長たいちょう12 cm程度ていど小型こがたさかなである。スコロプラクスには体長たいちょう2 cm程度ていど成熟せいじゅくするちょう小型こがたしゅ所属しょぞくしている[9]。2005ねんのナショナルジオグラフィックニュースにおいて2.7mのメコンオオナマズが漁獲ぎょかくされた報告ほうこくがある。

魚類ぎょるい重要じゅうよう分類ぶんるい形質けいしつであるひれにも、ナマズるいならではの特徴とくちょうがみられる。ほとんどのナマズは、背鰭せびれむねひれ先頭せんとうに1ほんの「とげ」(いわゆるとげじょうとはことなる)をもっている。このとげはしばしば強靭きょうじんするどく、種類しゅるいによっては毒腺どくせんそなえる場合ばあいもあるなど、外敵がいてきたいする強力きょうりょく防御ぼうぎょ手段しゅだんとなっている。背鰭せびれとげまえにはさらにちいさなとげじょう構造こうぞうがあり、このしょうとげ使つかってながとげ機械きかいてき固定こていすることができる。つよとげてた状態じょうたい固定こていされると、捕食ほしょくしゃむことは容易よういではない。

ほとんどのナマズるいあぶらひれ(あぶらびれ)をもつ[10]あぶらひれ背鰭せびれ後方こうほう尾鰭おびれちかくに位置いちする肉質にくしつひれで、サケカラシンなど複数ふくすうのグループにみられる。あぶらひれひれじょうくのが普通ふつうであるが、サカサナマズ一部いちぶ種類しゅるいあぶらひれにもひれじょうをもつ。淡水魚たんすいぎょいちぐんとしてナマズ双璧そうへきすコイ仲間なかまにはあぶらひれはなく、両者りょうしゃ重要じゅうよう鑑別かんべつてんひとつとなっている。ナマズるい尾鰭おびれしゅひれじょうは18ほん以下いかで、おおくのたねでは17ほんであるが、アスプレド(10ほん以下いか)などさらにすくない場合ばあいもある。尾鰭おびれ骨格こっかくは6つの分割ぶんかつされた下尾しもおほねをもつものから、完全かんぜん癒合ゆごうした種類しゅるいまでさまざまで、以下いか分類ぶんるい形質けいしつとして利用りようされる。

内部ないぶ形態けいたい

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ナマズはコイやカラシンなどとともにほね鰾上ばれるグループにぞくし、この仲間なかま共通きょうつうする特徴とくちょうとしてウェーベル器官きかん(ウェーバー器官きかんとも)をもつ[10]。この器官きかん脊椎せきついこつから変化へんかした4つのほねへんによって構成こうせいされ、内耳ないじぶくろ連絡れんらくし、のうおとつたえる役目やくめたしている。夜行やこうせいちいさなしかもたないナマズるいにとっては、くちヒゲとなら重要じゅうよう感覚かんかく器官きかんである。ぶくろ形態けいたい球形きゅうけい楕円だえんがたで、底部ていぶにじっとしてあまり遊泳ゆうえいしない生活せいかつ様式ようしき反映はんえいしてかやや退化たいかてきであり、カプセルじょう変形へんけいした椎骨ついこつによって完全かんぜんつつまれる種類しゅるいもある。

頭部とうぶたいらになっていることは、骨格こっかくうえ特徴とくちょうにも影響えいきょうあたえている。上顎じょうがくがなく、上顎じょうがく骨格こっかくそのものが全般ぜんぱんてき退化たいかしていることが顕著けんちょ特徴とくちょうで、ほとんどのでは主上しゅじょう顎骨がっこつほねへんしている。このほねへんした主上しゅじょう顎骨がっこつは、くちヒゲをうごかすための筋肉きんにく基点きてんとなっている。頭部とうぶえら構成こうせいするほねなかで、しもえらぶたこつ接続せつぞくこつもとしたこつく。ちゅう翼状よくじょうこつ退化たいかてきで、ぜんえらぶたこつあいだえらぶたこつ比較的ひかくてきちいさい。また、頭頂とうちょうこつこうがわ頭骨とうこつおおくの場合ばあい不明瞭ふめいりょうで、それぞれ上後うえご頭骨とうこつうえなずらえ鎖骨さこつ癒合ゆごうしているものとみられる。翼状よくじょうこつ口蓋こうがいこつすきこつをもつ。椎骨ついこつかずは15〜100以上いじょうによってさまざまである。ほねるい魚類ぎょるいとはことなり、したこつ個体こたい発生はっせい初期しょきけん癒合ゆごうし、特殊とくしゅほねおこなう。

生態せいたい

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2,800しゅちょうおよぶナマズ魚類ぎょるいはコイならもっと繁栄はんえいした淡水魚たんすいぎょ一群いちぐんであり、その生態せいたいきわめて多様たようせいんでいる。ナマズるい基本きほんてきそこせいせい活発かっぱつおよまわることはすくなく、水底みなそこうようにゆっくりとおよぐものがおおい。おおくは夜行やこうせいで、くちヒゲを活発かっぱつうごかして周囲しゅういさぐりながら移動いどうする。ロリカリアなどながれのはや渓流けいりゅう分布ぶんぷするではくち吸盤きゅうばんじょう変化へんかしていることがあり、いわなどにくことで激流げきりゅうをやりごす。

毒性どくせい

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ギギの1しゅ Mystus plani
本科ほんか魚類ぎょるいおおくはむねひれ使つかって威嚇いかくおん

ナマズさかなには体内たいないどくふくむもの、あるいは毒腺どくせんつうじて体外たいがい毒液どくえき分泌ぶんぴつする種類しゅるいられる。毒液どくえき背鰭せびれむねひれおおくの場合ばあい後者こうしゃ)のとげから分泌ぶんぴつされる。ほとんどのどくナマズるいにとってこれらのとげ防衛ぼうえい手段しゅだんであり、積極せっきょくてき攻撃こうげきおこなうことはすくない。インド分布ぶんぷするレッドキャット(Heteropneustes fossiles、ヘテロプネウステス)など一部いちぶ種類しゅるいかぎり、どくとげ使つかってさかな人間にんげんおそ習性しゅうせいをもつことがられる。日本にっぽん沿岸えんがんにも分布ぶんぷする海産かいさんしゅゴンズイPlotosus lineatus、ゴンズイ)がもつどく強力きょうりょくで、された場合ばあいいたることもある。

発音はつおん

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ドラスやギギなどのナマズるいには、むねひれとげぶくろ振動しんどう利用りようしておとすことができる種類しゅるいがある。日本にっぽんふくめたひがしアジアに分布ぶんぷするギギ(Pelteobagrus nudiceps)は、むねひれとげ使つかって威嚇いかくおん和名わみょう由来ゆらいとなっている。これらのナマズるい漁獲ぎょかくされたさいにも発音はつおんすることから、外敵がいてきへの警告けいこく役割やくわりをもつものとみられるが、仲間なかま同士どうし伝達でんたつ手段しゅだんとしてもちいられているかどうかは不明ふめいである。

発電はつでん

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デンキナマズ発電はつでんおこな魚類ぎょるいとしてられている。とくデンキナマズ最大さいだいで400ボルトをえる電圧でんあつすことが可能かのうで、これは魚類ぎょるいとしてはデンキウナギ(600ボルトにたっする)にいでたか発電はつでんりょくである。デンキナマズかぎらずナマズ魚類ぎょるいおおくには、からだひょうとく頭部とうぶがわ)に電場でんじょうかん受容じゅようがあり、水中すいちゅうでの電場でんじょう変化へんか敏感びんかん反応はんのうしているとかんがえられている[4]。ナマズるい電気でんき受容じゅようは、軟骨なんこつ魚類ぎょるいがもつロレンチーニ器官きかんびんがた形状けいじょうをしているが、どう有無うむなど細胞さいぼうレベルでの微細びさい形態けいたいちがいがある[11]夜行やこうせい種類しゅるいおおいナマズるいにとっては、くちヒゲやウェーベル器官きかんなら重要じゅうよう感覚かんかくとして機能きのうするとみられる。

繁殖はんしょく

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サカサナマズの1しゅ Synodontis multipuntatus。タンガニーカ固有こゆうほんしゅは、のシクリッドるい受精卵じゅせいらんあづけるたくたまご習性しゅうせいをもつ

ナマズ魚類ぎょるい繁殖はんしょく様式ようしきぐんによってさまざまな形態けいたいをとる。ほとんどのナマズるい魚類ぎょるい一般いっぱんてき体外たいがい受精じゅせいによる繁殖はんしょくおこなうが、アウケーニプテルス仲間なかまゆう交接こうせつをもち、交尾こうびによる体内たいない受精じゅせいをする。コリドラス一部いちぶではめす精子せいしみ、腸管ちょうかん経由けいゆして体内たいない受精じゅせいさせるという特異とくい繁殖はんしょく様式ようしきられる[12][10]おやぎょたまご稚魚ちぎょ保護ほごする習性しゅうせいをもつ種類しゅるいおおく、水底みなそこすなをクレーターじょうったつくるもの、カッリクテュスなど水面すいめんあわつくるものなどがある。また、海産かいさんのハマギギ仲間なかまゆうたまごくちなかにくわえて保護ほごする、いわゆるマウスブルーダーとしての子育こそだてをおこなう。

アフリカのタンガニーカ生息せいそくするサカサナマズの1しゅSynodontis multipunctatus)は、シクリッドスズキ)などのマウスブルーダーにたまごあづ稚魚ちぎょそだてさせるたくたまごおこなう、きわめてめずらしい習性しゅうせいをもつ魚類ぎょるいである。あづけられたナマズの稚魚ちぎょは、宿主しゅくしゅであるシクリッドのたまごよりもはや孵化ふか成長せいちょうし、最終さいしゅうてきには稚魚ちぎょくしてしまう。このように宿主しゅくしゅにとって利益りえきのないカッコウかたたくたまごおこな魚類ぎょるいは、ほんしゅ以外いがいにはられていない[12]

マラウィむギギのカンパンゴ(Bagrus meridionalis)は、孵化ふかめすおや多量たりょう受精卵じゅせいらんみ、稚魚ちぎょべさせる習性しゅうせいがある。S. multipunctatusれいとはぎゃくに、カンパンゴのにはおおくのシクリッドるい稚魚ちぎょあづけにやってくる。

漁業ぎょぎょう

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水揚みずあげされたナマズの一種いっしゅ養殖ようしょくナマズの生産せいさんりょうは2000ねん以降いこう、アジア・アフリカ地域ちいき中心ちゅうしん急速きゅうそくびている

ナマズ魚類ぎょるい世界せかい各地かくちふるくから食用しょくようぎょとして利用りようされた歴史れきしをもつ[13]漁獲ぎょかく対象たいしょうとされるのはアメリカナマズきたアメリカ)、ナマズ・パンガシウス(アジア)、およびヒレナマズ(アジア・アフリカ)に所属しょぞくするなか大型おおがたしゅおおく、これらの淡水たんすいさんしゅ養殖ようしょくかく地域ちいきさかんにおこなわれている[14]

国際こくさい連合れんごう食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかん(FAO)の統計とうけい[15]によれば、1950年代ねんだいには10まんトンあまりであった世界せかいのナマズ魚類ぎょるいそう漁獲ぎょかくりょう年々ねんねん増加ぞうかし、1990年代ねんだい後半こうはんには100まんトンをえた。2000年代ねんだい以降いこう増加ぞうかいきおいはおとろえず、2000ねんに120まんトンだった世界せかいそう漁獲ぎょかくりょうは、2006ねん時点じてんばい以上いじょうの260まんトンにたっしている。地域ちいきべつるとアジア・アフリカ地域ちいきでのびが顕著けんちょで、とくにアジアでは2000〜2006ねんにかけてやく3ばい増加ぞうか(60まんトン→180まんトン)を記録きろくしている。おな期間きかんにおいて、南北なんぼくアメリカでは40まんトンだい、ヨーロッパでは1まんトンだいおおきな変動へんどうもなく推移すいいしており、近年きんねんのアジア地域ちいきびが突出とっしゅつしていることがわかる。

2006ねんそう漁獲ぎょかくりょう260まんトンのうち、養殖ようしょくナマズが180まんトンをめる。アジア・アフリカりょう地域ちいきでの漁獲ぎょかくりょう増大ぞうだいもまた、内水うすいめんでの養殖ようしょくぎょう発達はったつによってささえられている。アジアにおける淡水たんすいナマズるい養殖ようしょくによる水揚みずあげは、1990ねん・2000ねん・2006ねんかく時点じてんでそれぞれ7まん5せんトン・24まんトン・145まんトンと、いちじるしい上昇じょうしょうしめしている。アフリカでは2000ねん時点じてんで7せんトンじゃくであった漁獲ぎょかくりょうが、2006ねんには8まんトンと10ばい以上いじょう増加ぞうかした。生産せいさんがくめんでも同様どうよう成長せいちょうがみられており、アジア地域ちいきでは2006ねんに16おくドル(2000ねん時点じてんで3おくドル)にたっしている。

海産かいさんのナマズるいとしてはハマギギ漁獲ぎょかくりょう比較的ひかくてきおおく、アジア地域ちいきでの水揚みずあげは1990年代ねんだい以降いこう、ほぼ継続けいぞくして20まんトンだいとなっている。もうひとつのうみ棲ナマズのグループであるゴンズイは、どう地域ちいき同年代どうねんだいで1〜3せんトンの漁獲ぎょかくりょうとどまっている。

化石かせき記録きろく

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最古さいこのナマズ魚類ぎょるい化石かせきは、はく亜紀あき後期こうき(〜6500まんねんまえ)の地層ちそうから発見はっけんされている。化石かせきしゅオーストラリア大陸たいりくのぞく6大陸たいりくからつかっており、南極大陸なんきょくたいりくからははじめしんからややしん(5,500〜2400まんねんまえ)にかけての地層ちそうから報告ほうこくがある。ボリビアマーストリヒトはく亜紀あき最後さいご)からあかつきしん(7,100〜5500まんねんまえ)にかけての地層ちそうから出土しゅつどした3ぞくAndinichthysIncaichthysHoffstetterichthys)は絶滅ぜつめつ Andinichthyidae としてまとめられているが、現生げんなまの35との関係かんけいはよくわかっていない。一方いっぽうきたアメリカさんはじめしん化石かせきしゅ(1ぞく2しゅ)は Hypsidoridae として記載きさいされ、現生げんなまのケートプシスうえとロリカリアうえ中間ちゅうかん位置付いちづけられるグループであるとかんがえられている。このほか、帰属きぞく未定みてい絶滅ぜつめつぞくがいくつかられている。

日本にっぽんにおいては、琵琶湖びわこそうぐん現在げんざい三重みえけん上野盆地うえのぼんち付近ふきん)の3〜400まんねんまえ地層ちそうから、ナマズ魚類ぎょるい化石かせきつかっている[16]。これよりはる以前いぜん香川かがわけん讃岐さぬきそうぐんにおける中新ちゅうしん地層ちそうやく1500まんねんまえ)からは、世界せかい最古さいこのナマズ魚類ぎょるい化石かせき発見はっけんされている[17]。この化石かせきしゅにみられる骨格こっかくじょう特徴とくちょう現生げんなまのいずれのたねにも該当がいとうせず、ナマズ共通きょうつう祖先そせんにあたるグループにふくまれる可能かのうせいがある。

最古さいこ化石かせきみなみアメリカで出土しゅつどしていること、原始げんしてき特徴とくちょうのこすディプロミュステースやケートプシス仲間なかまみなみアメリカに分布ぶんぷしていることなどから、ナマズ起源きげん南米なんべいとみなされることがおお[4]。ナマズ姉妹しまいぐんであるデンキウナギみなみアメリカのみに生息せいそくすることも、南米なんべい起源きげんせつ有力ゆうりょく証拠しょうことらえられている。ぜん大陸たいりくへのナマズるい拡散かくさんには、大陸たいりく移動いどう関与かんよしているとみられるものの、起源きげんおよび多様たようたね獲得かくとくするにいた過程かていについては、いまだ統一とういつ見解けんかいられていない。

分類ぶんるい

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ナマズ分類ぶんるい近年きんねんおおきく変遷へんせんかさねているが、本稿ほんこうではNelson (2006)において採用さいようされた11うえ35446ぞく2,867しゅ絶滅ぜつめつぐんのぞく)の分類ぶんるい体系たいけいもとづいて記述きじゅつする。2005ねんにはあらたなとして Lacantuniidae 設置せっち提案ていあんされているが[18]ほん分類ぶんるいでの採用さいよう見送みおくられている。ナマズおなこつ鰾上ネズミギス・コイ・カラシン・デンキウナギきんえんで、とくにデンキウナギとはきわめてちかく、たがいに姉妹しまいぐん関係かんけいにある。このため両者りょうしゃひとつの「ナマズ」にまとめ、ナマズるいとデンキウナギるいをそれぞれとしてあつか体系たいけいもある。

ナマズたん系統けいとうせい、および各科かっか系統けいとう順位じゅんいかんする研究けんきゅう大幅おおはば進展しんてんせているものの、下位かい分類ぶんるいぐん区別くべつするための鑑別かんべつてんかならずしも明瞭めいりょうではないなど、解決かいけつ問題もんだい多数たすうのこされている。各科かっかのナマズるいにはそれぞれ進化しんか過程かていあらたに獲得かくとくした形質けいしつ共有きょうゆう派生はせい形質けいしつ)と、てき退化たいかしたとおもわれる形質けいしつとが複雑ふくざつみだれており、現在げんざい分類ぶんるいはあくまでも暫定ざんていてきなものにぎない。近年きんねんアメリカ国立こくりつ科学かがく財団ざいだん (NSF) によるプロジェクトとして、ナマズぜんたね詳細しょうさい目録もくろく作成さくせい (All Catfish Species Inventory, ACSI) が開始かいしされ、分類ぶんるい体系たいけい確立かくりつけての努力どりょくすすめられている[1][3]

ディプロミュステースうえ

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ディプロミュステースうえ Diplomystoidea は12ぞく6しゅからなる。ナマズもっと原始げんしてき特徴とくちょうのこ[10]のすべてのナマズるい起源きげんとなった一群いちぐんかんがえられている。

ディプロミュステース

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ディプロミュステース Diplomystidae は2ぞく6しゅチリアルゼンチンなどみなみアメリカ南部なんぶ分布ぶんぷする[10]。よく発達はったつした上顎じょうがくそなえるとともに、しゅひれじょう18ほん尾鰭おびれをもち、これは現生げんなまのナマズ魚類ぎょるいとしてはただ一本いっぽんのみにられる特徴とくちょうである。みみせき形態けいたいにも特徴とくちょうがある。ヒゲは上顎じょうがくに1ついのみある。皮膚ひふちいさな突起とっきおおわれ、ほねばんはもたない。背鰭せびれむねひれとげがあり、あぶらひれをもつ。

  • Diplomystes ぞく
  • Olivaichthys ぞく

ケートプシスうえ

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ケートプシスうえ Cetopsoidea は17ぞく23しゅからなり、すべてみなみアメリカに分布ぶんぷする。

ケートプシス

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ケートプシス Cetopsidae は27ぞく23しゅふくむ。かつて独立どくりつとして存在そんざいしたヘロゲネスは、本科ほんかとしてふくまれた。ヒゲはりょうあごけい3たいあるが、発達はったつわるみじかいものがおおい。からだなめらかでほねばんはない。しりひれ基底きていながく、背鰭せびれむねひれにはとげがない。

ケートプシスのナマズるい一般いっぱんさかなしょくせいで、大型おおがたぎょ集団しゅうだんおそうなど攻撃こうげきてき性質せいしつをもつ種類しゅるいおおく、トリコミュクテールス一部いちぶとともにカンディル総称そうしょうされている。

  • ケートプシス Cetopsinae 6ぞく19しゅあぶらひれく。ぶくろ縮小しゅくしょうしており、ほねつつまれるように存在そんざいする[10]背鰭せびれからだ前半ぜんはん部分ぶぶん位置いちする。
    • Bathycetopsis ぞく
    • Cetopsis ぞく
    • Denticetopsis ぞく
    • Hemicetopsis ぞく
    • Paracetopsis ぞく
    • Pseudocetopsis ぞく
  • ヘロゲネス Helogeneinae 1ぞく4しゅ枯葉かれは擬態ぎたいした茶褐色ちゃかっしょくからだしょくをもち、ながれのゆるやかな河川かせん生息せいそくする。ちいさなあぶらひれをもつことがある[10]尾鰭おびれしゅひれじょうは15または16ほんすくない。
    • Helogenes ぞく

Hypsidoroidea うえ

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Hypsidoroidea うえ化石かせきしゅのみをふく絶滅ぜつめつぐんであり、11ぞく2しゅ構成こうせいされる。よく発達はったつした上顎じょうがくをもつなど、ディプロミュステース共通きょうつうした特徴とくちょうゆうする。

Hypsidoridae

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Hypsidoridae は1ぞく2しゅからなる絶滅ぜつめつである。アメリカのワイオミングしゅうおよびオレゴンしゅうから、はじめしん中期ちゅうき化石かせきられている。上顎じょうがく発達はったつし、をもつ。尾鰭おびれしゅひれじょうは17ほん

  • Hypsidoris ぞく

ロリカリアうえ

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ロリカリアうえ Loricarioidea は7156ぞく構成こうせいされ、ナマズ全体ぜんたいさんぶんいち以上いじょう、1,187しゅふくまれるおおきなグループである。アンピリウスのみアフリカに、6みなみアメリカを中心ちゅうしん分布ぶんぷし、プレココリドラスなど観賞かんしょうよう小型こがた熱帯魚ねったいぎょ多数たすう所属しょぞくしている。

アンピリウス

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アンピリウス Amphiliidae は312ぞく66しゅふくむ。アフリカ大陸たいりく熱帯ねったい地方ちほうひろ分布ぶんぷする。こう標高ひょうこう渓流けいりゅういきではとく一般いっぱんてき小型こがたしゅで、ほとんどの種類しゅるいかわ急流きゅうりゅうさからいいわのぼることができる。ヒゲは3ついで、はなにはない。背鰭せびれしりひれ基底きていみじかい。ひれにはとげがなく、あぶらひれをもつ。

  • Amphiliinae 2ぞく26しゅからだ比較的ひかくてきみじかく、ほねばんはない。くちはやや下向したむきにつく。
    • Amphilius ぞく
    • Paramphilius ぞく
  • Leptoglaninae 5ぞく16しゅながした上顎じょうがく特徴とくちょう
    • Leptoglanis ぞく
    • Zaireichthys ぞく
    • 3ぞく
  • Doumeinae 5ぞく24しゅからだ細長ほそながく、からだ発達はったつしたほねばんによっておおわれる。くち下向したむき。
    • Doumea ぞく
    • Phractura ぞく
    • 3ぞく

トリコミュクテールス

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カンディルの1しゅ Vandellia cirrhosa

トリコミュクテールス Trichomycteridae は841ぞく201しゅ構成こうせいされる。中央ちゅうおうアメリカ一部いちぶコスタリカパナマ)からみなみアメリカ全域ぜんいき分布ぶんぷする。からだなめらかで細長ほそながい。ヒゲははな上顎じょうがくにあり、しもあごにはないことがおおい。あぶらひれはもたない種類しゅるいおおく、一部いちぶにははらひれくものもいる[10]えらぶたこつにトゲをもつ[10]

Vandelliinae Stegophilinae のナマズるいはその特異とくい生態せいたいから、英語えいごで「parasitic catfish寄生きせいせいナマズ)」と総称そうしょうされることがある。Vandelliinae には吸血きゅうけつせい種類しゅるいふくまれ、魚類ぎょるい動物どうぶつ皮膚ひふいてい、えらあなから体内たいない侵入しんにゅうすることもある。ブラジル分布ぶんぷする Vandellia ぞく仲間なかま一般いっぱんカンディルばれる)はとく危険きけん魚類ぎょるいとしてられ、人間にんげん尿道にょうどう侵入しんにゅう深刻しんこく被害ひがいあたえたれい報告ほうこくされている[1]Stegophilinae 魚類ぎょるいさかな粘膜ねんまくうろこおもえさとする。

  • Copionodontinae 2ぞく4しゅ。ブラジル北東ほくとう分布ぶんぷあぶらひれがよく発達はったつし、背鰭せびれ基部きぶからだ前半ぜんはんにある。
  • Trichogeninae 1ぞく1しゅ。ブラジル南東なんとう生息せいそくし、しりひれ基底きていながい。
  • Trichomycterinae 8ぞく139しゅ生息せいそくいき幅広はばひろく、河口かこう付近ふきんから標高ひょうこう4,500 mの高地こうちにまでおよび、急流きゅうりゅうなか種類しゅるいもいる。性質せいしつ一般いっぱん温和おんわで、カンディルるいのような攻撃こうげきせいはもたない。ほんたん系統けいとうせい否定ひていされた一群いちぐんで、さい検討けんとう必要ひつようせい指摘してきされている[1]
  • Vandelliinae 4ぞく9しゅ吸血きゅうけつせいなど特異とくい生態せいたいをもつ種類しゅるいふくむ。
  • Stegophilinae 12ぞく26しゅ魚類ぎょるいおそい、粘膜ねんまくなどをべる種類しゅるいがある。
  • Tridentinae 4ぞく7しゅしりひれ基底きてい比較的ひかくてきながい。
  • Glanapteryginae 4ぞく9しゅ尾鰭おびれしゅひれじょうは11ほん以下いかすくない。はらひれとその骨格こっかくをもたない種類しゅるいおおく、2しゅのぞ背鰭せびれく。下尾しもおほね完全かんぜん癒合ゆごうする。からだ透明とうめいで、すなもぐって生活せいかつする。
  • Sarcoglanidinae 6ぞく6しゅアマゾン川あまぞんがわ流域りゅういき分布ぶんぷする。られた標本ひょうほんすうきわめてすくなく、詳細しょうさいがほとんどられていない一群いちぐんである。

ネーマトゲニュス

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ネーマトゲニュス Nematogenyidae は1ぞく1しゅ。チリ中央ちゅうおう生息せいそくし、トリコミュクテールス姉妹しまいぐん関係かんけいにあるとみられている。からだなめらかで細長ほそながい。ヒゲは3たいあり、りょうあごはな存在そんざいする。あぶらひれをもたず、えらぶたこつのトゲもない[10]背鰭せびれからだ中央ちゅうおうはらひれかいわせに位置いちする。

  • ネーマトゲニュスぞく Nematogenys

カッリクテュス

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フラッグテール・ポートホールキャットDianema urostriata (カッリクテュス)。尾鰭おびれしま模様もよう特徴とくちょう種類しゅるい
コリドラス・セミアクィルスCorydoras semiaquilus (コリドラス)。2れつならんだかわらじょうほねばんが、カッリクテュスのナマズるい特徴とくちょうである
コリドラス・ステルバイ Corydoras sterbai (コリドラス)。コリドラスの仲間なかましゅによってことなる多彩たさい斑紋はんもんをもつ
コリドラスの1しゅ Scleromystax barbatus。ペア(うえゆう

カッリクテュス Callichthyidae は28ぞく177しゅふくみ、パナマおよびみなみアメリカに分布ぶんぷする。カリクティス表記ひょうきされることもある。

頭部とうぶ骨格こっかく非常ひじょう頑健がんけんであるほか、からだ表面ひょうめんが2れつならんだほねばんおおわれることがおおきな特徴とくちょうである。ほねばん規則正きそくただしくかわらじょうならび、側線そくせんじょうたがいにかさなる。ぶくろ小型こがたし、ほねつつまれる。くちちいさくはらがわについており、よく発達はったつした1 - 2ついのヒゲをもつ。背鰭せびれむねひれとげ強靭きょうじんで、あぶらひれにもとげがある。一部いちぶ種類しゅるいはある程度ていど空気くうき呼吸こきゅう可能かのうで、短距離たんきょりであれば地上ちじょう移動いどうすることもできる。

  • カッリクテュス Callichthyinae 5ぞく13しゅ。吻(口先くちさき)はひらたい。
    • Callichthys ぞく
    • Lepthoplosternum ぞく
    • 3ぞく
  • コリドラス Corydoradinae 3ぞく164しゅ。吻はまるみをびることがある。

スコロプラクス

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スコロプラクス Scoloplacidae は1ぞく4しゅみなみアメリカに分布ぶんぷする。1976ねんはじめて記載きさいされたあたらしい一群いちぐんで、体長たいちょう2 cm程度ていど成熟せいじゅくするちょう小型こがたしゅふく[10]からだ両側りょうがわに1れつずつ、腹部ふくぶ中央ちゅうおうに1れつ特殊とくしゅほねばんならぶ。あぶらひれ[10]尾鰭おびれしゅひれじょうすくなく、10 - 12ほん

  • スコロプラクスぞく Scoloplax

アストロブレプス

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アストロブレプス Astroblepidae は1ぞく54しゅからなる。パナマとみなみアメリカに分布ぶんぷする。山岳さんがく地帯ちたいきゅう流域りゅういきにおける生活せいかつ適応てきおうした一群いちぐんで、標高ひょうこう3,500 mまでの渓流けいりゅう生息せいそくし、たきのぼることさえある。ほぼすべてのたねくち円形えんけい吸盤きゅうばんをもち、いわなどにいて水流すいりゅうをやりごす。くちヒゲははな上顎じょうがくけい2たいある。背鰭せびれにはとげがあるが、固定こていすることはできない。

  • アストロブレプスぞく Astroblepus

ロリカリア

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ロイヤルプレコ Panaque nigrolineatus (ロリカリア)。本科ほんかながれのはや河川かせんでの生活せいかつ適応てきおうしており、吸盤きゅうばんじょうになったくちいわ
ロイヤルファロウェラ Sturisoma panamense (ロリカリア)。おおきな背鰭せびれむねひれ特徴とくちょう
ロリカリアの1しゅ Baryancistrus sp.
パイレーツプレコPterygoplichthys multiradiatus (ロリカリア

ロリカリア Loricariidae は692ぞく684しゅ構成こうせいされる。中央ちゅうおうアメリカ(コスタリカ・パナマ)からみなみアメリカにかけて分布ぶんぷする。標高ひょうこう3,000 mまでの高地こうちにも生息せいそくし、ながれのはげしい河川かせんへの適応てきおうみとめられる。アンシストルス・ヒポストムスぞくするナマズるいとくに「プレコ」と総称そうしょうされ、観賞かんしょうぎょとして人気にんきがある。ナマズなか最大さいだいであり、毎年まいとし新種しんしゅ報告ほうこくされるでもある。

からだほねばんおおわれ、くち下向したむきで吸盤きゅうばんじょうになっていることがおおい。くちヒゲは目立めだたない場合ばあいもある。あぶらひれ有無うむはまちまちで、とげをもつこともある。小型こがた観賞かんしょうようナマズとしてられるオトシンクルスぞく仲間なかまをはじめ植物しょくぶつしょくせい種類しゅるいおおく、ナマズるいとしてはなが腸管ちょうかんをもっている。

  • Lithogeneinae 1ぞく2しゅ。うち1しゅ Lithogenes valencia絶滅ぜつめつした可能かのうせいがある。以前いぜんはアストロブレプス所属しょぞくしていた。
    • Lithogenes ぞく
  • Neoplecostominae 1ぞく7しゅ。ブラジル南東なんとう分布ぶんぷする。
    • Neoplecostomus ぞく
  • Hypoptopomatinae 16ぞく79しゅ
  • ロリカリア Loricariinae 31ぞく209しゅ
  • アンシストルス Ancistrinae 27ぞく217しゅ
    • Ancistrus ぞく
    • 26ぞく
  • ヒポストムス Hypostominae 16ぞく169しゅ
    • Hypostomus ぞく
    • 15ぞく

シソルうえ

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シソルうえ Sisoroidea は541ぞく230しゅ構成こうせいされる。本上ほんかんはロリカリアうえ姉妹しまいぐん構成こうせいする。アスプレドのぞく4は、みなみアジア〜東南とうなんアジアに分布ぶんぷする。

アカザ

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アカザ Amblycipitidae は3ぞく26しゅふくむ。みなみアジア(インド・パキスタン)から、日本にっぽんふくひがしアジアの河川かせんおも渓流けいりゅういき)に分布ぶんぷする。アカザ (Liobagrus reini) は日本にっぽん固有こゆうしゅ

くちヒゲは4たい背鰭せびれあつ皮膚ひふによっておおわれ、基底きていみじかとげよわい。むねひれとげつよく、毒腺どくせん連続れんぞくする。あぶらひれ尾鰭おびれ連続れんぞくしている場合ばあいがある。側線そくせん発達はったつわるい。

  • アカザぞく Liobagrus
  • Amblyceps ぞく
  • Xiurenbagrus ぞく

アキュシス

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アキュシス Akysidae は24ぞく42しゅ構成こうせいされ、東南とうなんアジアに分布ぶんぷする。背鰭せびれとげつよい。かつて2はそれぞれ独立どくりつとして分類ぶんるいされていた。

  • アキュシス Akysinae 1ぞく24しゅで、ながれのはや河川かせん小型こがたのナマズるいである。くちヒゲは4たいあぶらひれをもち、むねひれとげつよい。ちいさく、えら開口かいこう比較的ひかくてきせまい。
    • Akysis ぞく
  • パラキュシス Parakysinae 3ぞく18しゅマレまれ半島はんとうスマトラ島すまとらとうボルネオとうなどに分布ぶんぷする。くちヒゲは4たいだが、しもあごちいさなヒゲが付属ふぞくすることがある。からだまるみをびた結節けっせつおおわれ、れつじょうならぶこともある。あぶらひれはない。非常ひじょうちいさい。
    • Acrochordonichthys ぞく
    • Breitensteinia ぞく
    • Parakysis ぞく

シソル

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シソル(ヒゲブトギギ) Sisoridae は217ぞく112しゅふくむ。西にしアジアから東南とうなんアジア、トルコからボルネオとうにかけて分布ぶんぷする。山岳さんがくきゅう流域りゅういき小型こがたしゅがほとんどであるが、体長たいちょう2 mにたっする大型おおがたしゅふくまれる。

くちヒゲはおおくの種類しゅるいで4たいあり、上顎じょうがくのヒゲはとくふとい。からだにはいろいろな形態けいたい突起とっきじょう構造こうぞうがある。あぶらひれをもつ。背鰭せびれ基底きていみじかく、とげ有無うむはさまざま。

  • Sisorinae 6ぞく23しゅ
    • Sisor ぞく
    • 5ぞく
  • Glyptosterninae 11ぞく89しゅ
    • Glyptosternon ぞく
    • 10ぞく

Erethistidae

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Erethistidae は26ぞく14しゅふくみ、みなみアジアに分布ぶんぷする。以前いぜんはシソルとされた一群いちぐん

  • Continae 1ぞくのみ。
    • Conta ぞく
  • Erethistinae 5ぞく
    • Erethistes ぞく
    • 4ぞく

アスプレド

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ロックバンジョー Bunocephalichthys verrucosus verrucosus (アスプレド)。いわのように不規則ふきそく隆起りゅうきした頭部とうぶ名前なまえ由来ゆらい

アスプレド Aspredinidae は312ぞく36しゅ構成こうせいされ、すべてみなみアメリカに分布ぶんぷする。頭部とうぶつよたてひらたし、楽器がっきバンジョー独特どくとく形態けいたいから、Banjo catfishという英語えいごめいをもつ。

からだうろこほねばんはないが、突起とっきれつしてならぶ。あぶらひれはない。えら開口かいこう退すさちぢみし、スリットじょうとなっている。背鰭せびれとげ固定こていできない。尾鰭おびれしゅひれじょうは10ほん以下いかすくない。盲目もうもくぎょ (Micromyzon akamai) をふくむ。

  • Bunocephalinae 3ぞく16しゅ
    • Bunocephalus ぞく
    • 2ぞく
  • アスプレド Aspredininae 4ぞく6しゅ
    • Aspredo ぞく
    • 3ぞく
  • Hoplomyzontinae 5ぞく14しゅ
    • Hoplomyzon ぞく
    • 4ぞく

プセウドピメロドゥスうえ

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プセウドピメロドゥスうえ Pseudopimelodoidea は15ぞく26しゅ構成こうせいされる。ロリカリアうえとシソルうえわせたグループと姉妹しまいぐんすとみられるものの、系統けいとうじょう位置いちづけにはなお明確めいかくてんのこ一群いちぐんである。

プセウドピメロドゥス

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プセウドピメロドゥス Pseudopimelodidae は5ぞく26しゅふくみ、みなみアメリカに分布ぶんぷする。くちおおきく、ヒゲはみじかい。褐色かっしょく斑紋はんもんをもち、観賞かんしょうぎょとして人気にんきのある種類しゅるいふくむ。かつてはピメロドゥス所属しょぞくしていた。

  • Microglanis ぞく
  • Pseudopimelodus ぞく
  • 3ぞく

ヘプタプテルスうえ

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ヘプタプテルスうえ Heptapteroidea は125ぞく175しゅ構成こうせいされる。プセウドピメロドゥスうえ同様どうよう本上ほんじょうのグループの系統けいとう関係かんけい曖昧あいまいてんおおい。

ヘプタプテルス

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ヘプタプテルス Heptapteridae は25ぞく175しゅふくみ、メキシコからみなみアメリカにかけて分布ぶんぷする。プセウドピメロドゥスおなじく、かつて所属しょぞくしたピメロドゥスから分離ぶんりされたグループである。

からだほねばんはなく、くちヒゲは3たいおおきなあぶらひれをもち、尾鰭おびれ二又ふたまたかれる。これらの特徴とくちょうはしばしばピメロドゥス共通きょうつうし、外部がいぶ形態けいたいのみで区別くべつすることは困難こんなんである場合ばあいおおい。多様たようせい理解りかいとくおくれているの1つであり、個々ここたね同定どうてい非常ひじょうむずかしく、およそ50しゅ記載きさいしゅ存在そんざいられている。

  • Heptapterus ぞく
  • 24ぞく

カモツワモノうえ

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カモツワモノうえ Cranoglanidoidea は11ぞく3しゅ構成こうせいされる。

カモツワモノ

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カモツワモノ[19] Cranoglanididae は1ぞく3しゅからなる。中国ちゅうごくベトナムなどアジア地域ちいき大河たいが生息せいそくする。おおきく、くちヒゲは4たいからだなめらかだが、頭部とうぶほねばんがある。背鰭せびれ基底きていみじかく、背鰭せびれむねひれとげをもつ。背鰭せびれ二又ふたまたかれる。すきこつく。

  • カモツワモノぞく Cranoglanis

アメリカナマズうえ

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アメリカナマズうえ Ictaluroidea は17ぞく46しゅ構成こうせいされる。

アメリカナマズ

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ブラック・ブルヘッドAmeiurus melas (アメリカナマズ)。きたアメリカに分布ぶんぷするナマズるいはほとんどが本科ほんか所属しょぞくし、食用しょくようしゅ観賞かんしょうぎょがともにふくまれる

アメリカナマズ Ictaluridae は7ぞく46しゅふくみ、うち1しゅ近年きんねん絶滅ぜつめつしゅみとめられた。きたアメリカ(カナダ南部なんぶからグアテマラ)を中心ちゅうしん分布ぶんぷする。ゆうまたはペアによる子育こそだてをおこな一群いちぐんで、水底みなそこにクレーターじょうつく習性しゅうせいがある。

からだなめらかでくちヒゲは4たい背鰭せびれむねひれにはとげがある。口蓋こうがいこつく。4しゅ盲目もうもくぎょふくむとともに、ふか井戸いどおよび関連かんれん水路すいろ生息せいそくする種類しゅるいられる。体長たいちょう1.6 mにおよ大型おおがたしゅがある。また、日本にっぽん特定とくてい外来がいらい生物せいぶつ指定していされているチャネルキャットフィッシュもここにふくまれる。

  • Noturus ぞく
  • Ictalurus ぞく
  • 5ぞく

ドラスうえ

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ドラスうえ Doradoidea は361ぞく345しゅ構成こうせいされる。

サカサナマズ

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シノドンティス・ニアサエ Synodontis njassae (サカサナマズ)。本科ほんかのナマズるいおおきなあぶらひれ特徴とくちょうとする

サカサナマズ Mochokidae は11ぞく179しゅふくみ、すべてアフリカに分布ぶんぷする。モコクスともばれる。際立きわだっておおきなあぶらひれ特徴とくちょうで、Mochokus ぞくのうち2しゅあぶらひれにもひれじょうをもつ。背鰭せびれむねひれとげ強靭きょうじんで、固定こてい可能かのうである。くちヒゲは3ついはなにはなく、しもあごのヒゲはこまかく枝分えだわかれする。たん系統けいとうせいたしかなものとかんがえられているいちぐんである。

シノドンティスぞくには観賞かんしょうよう飼育しいくされる種類しゅるい多数たすう所属しょぞくしている。腹部ふくぶうえけておよ習性しゅうせいをもつサカサナマズ (Synodontis nigriventris) がとくられるが、ほんしゅのようにつねさかさにおよ種類しゅるいはごく少数しょうすうである。

ドラス

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ホワイトライン・トーキングキャット Platydoras costatus (ドラス)。本科ほんかおおくがむねひれぶくろ使つかって発音はつおんする
アウケーニプテルスの1しゅ Entomocorus radiosus本科ほんかゆう交接こうせつをもち、めす交尾こうびによる体内たいない受精じゅせいをする

ドラス Doradidae は30ぞく72しゅふくみ、みなみアメリカとくブラジルペルーギアナ地方ちほう)に分布ぶんぷする。むねひれとげうごかすか、ぶくろ振動しんどうさせることによっておとすことが可能かのうで、英語えいごではtalking catfishとばれることもある。

からだには頑丈がんじょうほねばんれつし、ほとんどの種類しゅるいでは整列せいれつしたトゲをもっている。くちヒゲは3ついで、枝分えだわかれをもつ種類しゅるいもある。あぶらひれをもち、背鰭せびれむねひれにはとげがある。

  • Doras ぞく
  • 29ぞく

アウケーニプテルス

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アウケーニプテルス Auchenipteridae は220ぞく94しゅ構成こうせいされ、パナマおよびみなみアメリカのねつ帯域たいいき分布ぶんぷする。褐色かっしょくから黒色こくしょく地味じみからだしょくをした種類しゅるいおおく、いわ流木りゅうぼくかげひそ性質せいしつがある。

本科ほんかゆうしりひれ前方ぜんぽう交接こうせつをもち、ナマズとしては例外れいがいてきに、すべての種類しゅるい体内たいない受精じゅせいおこなう。たまご胎生たいせいではなく、交尾こうびしためす受精卵じゅせいらんむ。からだ一般いっぱんなめらかだが、頭部とうぶ皮膚ひふした埋没まいぼつしたほねばんをもつ。くちヒゲは3ついで、上顎じょうがくのものがもっとながい。背鰭せびれむねひれにはつよとげがある。あぶらひれちいさく、もたない場合ばあいもある。

  • Centromochlinae 4ぞく31しゅ
    • Centromochlus ぞく
    • 3ぞく
  • Auchenipterinae 16ぞく63しゅ。かつて独立どくりつとして存在そんざいしたアゲネイオスス Ageneiosidae (2ぞくやく12しゅ)は、ほんふくめられた。
    • Ageneiosus ぞく
    • Auchenipterus ぞく
    • 14ぞく

ナマズうえ

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ナマズうえ Siluroidea は745ぞく275しゅ構成こうせいされる。

ナマズ

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ビワコオオナマズ Silurus biwaensis (ナマズ)。琵琶湖びわこのみに生息せいそくする日本にっぽん固有こゆうしゅ
トランスルーセントグラスキャットフィッシュ Kryptopterus bicirrhis (ナマズ)。透明とうめいからだをもつ
デンキナマズ Malapterurus electricus (デンキナマズ)。発電はつでんぎょとして有名ゆうめい
ゴンズイ Plotosus lineatus (ゴンズイ)。本州ほんしゅう沿岸えんがん分布ぶんぷする海産かいさんのナマズるいで、わかさかなは「ゴンズイだま」とばれる塊状かいじょうれをつく
アフリカンクララ Clarias gariepinus (ヒレナマズ)。本科ほんか魚類ぎょるい空気くうき呼吸こきゅう可能かのう

ナマズ Siluridae は11ぞく97しゅふくみ、ヨーロッパからアジアにかけて広範こうはん分布ぶんぷいきをもつ。ユーラシア大陸たいりく代表だいひょうするナマズるいで、日本にっぽんにおける「ナマズ」のイメージを形作かたちづく一群いちぐんとなっている。体長たいちょう3 mをえるヨーロッパオオナマズ (Silurus glanis) はナマズ最大さいだいたねで、欧州おうしゅうでは重要じゅうよう漁業ぎょぎょう資源しげんである。日本にっぽんからはナマズ(またはニホンナマズ)、ビワコオオナマズイワトコナマズの3しゅられ、こうしゃ琵琶湖びわこ水系すいけいのみに分布ぶんぷする日本にっぽん固有こゆうしゅである。

くちヒゲは2つい、あるいは3ついで、通常つうじょう上顎じょうがくのヒゲがながびる。あぶらひれはない。背鰭せびれちいさく、とげ目立めだたない。Kryptopterus ぞく一部いちぶ背鰭せびれいている。しりひれ基底きてい非常ひじょうながい。結節けっせつじょう退すさちぢみした口蓋こうがいこつなどの特徴とくちょうから、本科ほんかたん系統けいとうせいおおむ支持しじされている。

デンキナマズ

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デンキナマズ Malapteruridae は2ぞく19しゅふくみ、ナイルがわなどアフリカのねつ帯域たいいき分布ぶんぷする。よく発達はったつした発電はつでん器官きかんをもつことが最大さいだい特徴とくちょうである。発電はつでん器官きかんからだ前半ぜんはん筋肉きんにく起源きげんとしている。くちヒゲは3たい背鰭せびれき、むねひれにはとげがない。あぶらひれからだ後方こうほう位置いちし、尾鰭おびれまるみをびる。ぶくろからだ後方こうほうながび、2あるいは3つのしょうしつかれる。

  • デンキナマズぞく Malapterurus
  • Paradoxoglanis ぞく

Auchenoglanididae

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Auchenoglanididae は6ぞく28しゅふくみ、アフリカに分布ぶんぷする。まえ鼻孔びこう上唇うわくちびるはらがわ位置いちする。尾鰭おびれまるみをびる。かつてはギギ所属しょぞくしていたが、現在げんざいはデンキナマズ姉妹しまいぐんとされることがおおくなった。

  • Auchenoglanis ぞく
  • 5ぞく

カカ

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カカ Chacidae は1ぞく3しゅからなり、インド東部とうぶからボルネオとうにかけて分布ぶんぷする。頭部とうぶおおきく、つよたてひらたひらべったくなっている。くちはし幅広はばひろく、カエルのような外見がいけんであることから英語えいごでは「frogmouth catfish」とばれる。

くちヒゲはちいさく2 - 3たい上顎じょうがくのヒゲをルアーのようにうごかし、えさをおびきせる習性しゅうせいがある。非常ひじょうちいさい。背鰭せびれむねひれとげをもつ。はらひれおおきく、あぶらひれ尾鰭おびれ連続れんぞくする。

  • カカぞく Chaca

ゴンズイ

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ゴンズイ Plotosidae は10ぞく35しゅふくみ、うち半数はんすうインド洋いんどようから西部せいぶ太平洋たいへいようにかけて分布ぶんぷする海水かいすいぎょで、オーストラリアニューギニアとう淡水魚たんすいぎょである。

からだ細長ほそながく、いわゆるウナギがたである。くちヒゲは4たいあぶらひれはない。しりひれ尾鰭おびれ連続れんぞくする。背鰭せびれ尾鰭おびれとつながっているようにえるが、これは尾鰭おびれ基底きてい背中せなかにまでび、背鰭せびれのすぐうしろまでたっしたものである[5]

  • ゴンズイぞく Plotosus
  • 9ぞく

ヒレナマズ

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ヒレナマズ Clariidae には14ぞく90しゅ所属しょぞくし、おおくはアフリカ、一部いちぶ種類しゅるいがアジアに分布ぶんぷする。くちヒゲは4たい背鰭せびれしりひれ基底きてい非常ひじょうながく、尾鰭おびれ連続れんぞくすることもある。むねひれはらひれをもたない種類しゅるいがある。

えら開口かいこうおおきく、えらから発達はったつした空気くうき呼吸こきゅうのための器官きかんをもつ。短距離たんきょりであれば陸上りくじょう移動いどうできる種類しゅるいがあり、なかでもウォーキングキャットフィッシュ (Clarias batrachus) は世界せかい各地かくち分布ぶんぷひろげた外来がいらいナマズとして問題もんだいとなっている。アフリカに一部いちぶぞくったあななかくぐ習性しゅうせいがあり、非常ひじょうちいさくむねひれはらひれくなどの適応てきおうがみられる。盲目もうもくぎょ数種類すうしゅるいられている。

ヘテロプネウステス

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ヘテロプネウステス Heteropneustidae は1ぞく3しゅからなり、パキスタンからタイにかけてのみなみ東南とうなんアジアに分布ぶんぷする。ヒレナマズとは姉妹しまいぐん関係かんけいにあり、どうとしてふくめられることもある。

からだ細長ほそながく、頭部とうぶたてひらたし、からだ左右さゆうひらたい。くちヒゲは4たいえらからからだ後方こうほうびるそら気嚢きのうがあり、はいのように空気くうき呼吸こきゅう機能きのうつかさどっている。背鰭せびれみじかとげき、あぶらひれはないことがおおい。むねひれとげするどく、毒腺どくせん連続れんぞくしている。性質せいしつあらく、縄張なわば侵入しんにゅうした人間にんげんおそうこともあるため、生息せいそく地域ちいきでは危険きけん魚類ぎょるいとして認識にんしきされている。

  • ヘテロプネウステスぞく Heteropneustes

ギギうえ

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ギギうえ Bagroidea は796ぞく551しゅ構成こうせいされる。ピメロドゥスみなみアメリカ)をのぞいた6はアフリカとアジアを中心ちゅうしん分布ぶんぷする。

Austroglanididae

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Austroglanididae は1ぞく3しゅからなり、アフリカ南部なんぶ生息せいそくする。くちヒゲは3ついで、はなにはない。背鰭せびれむねひれとげつよく、あぶらひれちいさい。以前いぜんはギギふくめられていた。

  • Austroglanis ぞく

Claroteidae

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Claroteidae は7ぞく59しゅ。アフリカに分布ぶんぷする。からだはやや細長ほそながく、くちヒゲは4たい背鰭せびれむねひれにはつよとげがある。あぶらひれをもち、アフリカンビッグマウスキャットClarotes laticeps)などClarotes ぞくあぶらひれにもひれじょうがある。Austroglanididae 同様どうよう、かつてはギギ所属しょぞくしていた。

  • Clarotes ぞく
  • 6ぞく

ハマギギ

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ハマギギ Ariidae には21ぞく150しゅ記載きさいされる。本科ほんかのナマズるい海産かいさんしゅがほとんどで、熱帯ねったいから温帯おんたいにかけてのあたたかいうみひろ分布ぶんぷするとともに、淡水たんすい・汽水域すいいき進出しんしゅつする種類しゅるい多数たすうふくまれる。くちヒゲはおおくの場合ばあい3つい、まれに2たいあぶらひれをもち、尾鰭おびれ二又ふたまたかれる。頭部とうぶ背鰭せびれちかくにほねばんをもつ種類しゅるいもいる。背鰭せびれむねひれとげをもつ。

本科ほんかはナマズなかでは数少かずすくない海産かいさんのグループである。そこせい生活せいかつおこなほか淡水たんすいさんナマズとはことなり、活発かっぱつおよまわるタイプのさかなおおい。繁殖はんしょく形態けいたいにも特徴とくちょうがあり、ほとんどの種類しゅるいゆうたまごくちなかまもマウスブルーダーである。

スキルベ

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スキルベ Schilbeidae は15ぞく56しゅ構成こうせいされ、アフリカとみなみアジアに分布ぶんぷする。はん透明とうめいからだをもつ種類しゅるいおおく、れをつく習性しゅうせいがある。本科ほんかのアルファベット表記ひょうきにはれがあり、「Schilbidae」 とかれる場合ばあいもしばしばある。

くちヒゲは4たい背鰭せびれ基底きていみじかく、ない場合ばあいもある。ほとんどの種類しゅるいあぶらひれをもつ。しりひれ基底きてい非常ひじょうながい。はらひれをもたない種類しゅるいもある。本科ほんかたん系統けいとうせいおおむたしかなものとかんがえられ、パンガシウスもっとちか関係かんけいにある一群いちぐんとみなされている。

  • Schilbe ぞく
  • 14ぞく

パンガシウス

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カイヤン Pangasius hypophthalmus (パンガシウス)。タイのチャオプラヤーがわでは普通ふつうにみられ、養殖ようしょくさかんな食用しょくようぎょ

パンガシウス Pangasiidae は3ぞく28しゅふくみ、パキスタンからボルネオとうにかけて、みなみアジアを中心ちゅうしん分布ぶんぷする。本科ほんかぞくするメコンオオナマズ植物しょくぶつしょくせい大型おおがたしゅで、体長たいちょう3 m体重たいじゅう300 kgにたっする場合ばあいもある。

からだがわひらたし、くちヒゲは2ついみじかい。あぶらひれちいさい。背鰭せびれからだまえほうにあり、とげをもつ。食用しょくようにされるなか大型おおがたしゅふくみ、活発かっぱつおよまわるものがおおい。

  • Pangasius ぞく
  • 2ぞく

ギギ

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ギギ Bagridae は18ぞく170しゅ構成こうせいされ、アフリカとアジアに分布ぶんぷする。からだなめらかで、くちヒゲは4たいありよく発達はったつしている。通常つうじょう背鰭せびれむねひれにはとげがある。あぶらひれおおきいこともちいさいこともあり、たねによってことなる。大型おおがた食用しょくようぎょから小型こがた観賞かんしょうぎょまで、さまざまに利用りようされている。

かつて独立どくりつとして存在そんざいしたオリュラは、背鰭せびれとげき、細長ほそながからだなが尾鰭おびれ特徴とくちょうのグループであるが、現在げんざいでは本科ほんかふくめられている。本科ほんかたん系統けいとうせいおよびとの類縁るいえん関係かんけいには不明瞭ふめいりょう部分ぶぶんおおい。

ピメロドゥス

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レッドテールキャットフィッシュ Phractocephalus hemioliopterus (ピメロドゥス)。アマゾン川あまぞんがわ分布ぶんぷする大型おおがたしゅで、ひとによくれる
セルフィンキャットPerrunichthys perruno (ピメロドゥス)。からだ網目あみめ模様もよう成長せいちょうにつれ不明瞭ふめいりょうになる

ピメロドゥス Pimelodidae は31ぞく85しゅふくむ。パナマからみなみアメリカにかけて分布ぶんぷし、食用しょくようとされるなか大型おおがたしゅ多数たすう所属しょぞくする。

からだなめらかでほねばんはなく、くちヒゲは3たい背鰭せびれむねひれとげ有無うむはさまざまで、あぶらひれはよく発達はったつする。分類ぶんるい体系たいけい構築こうちくはなお途上とじょうにあり、かつて独立どくりつであったヒュポプタルムス本科ほんかふくめられた一方いっぽうで、プセウドピメロドゥスおよびヘプタプテルスの仲間なかま本科ほんかから分離ぶんりされしんとなっている。

  • Pimelodus ぞく
  • 30ぞく

出典しゅってん脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e Nelson 2006.
  2. ^ 上野うえの & 坂本さかもと 2005, pp. 58–59.
  3. ^ a b All Catfish Species Inventory”. ACSI. 2008ねん10がつ24にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c かわ 2008, pp. 142–160, 「ナマズの世界せかい」(執筆しっぴつしゃ小早川こばやかわみどり)
  5. ^ a b 岡村おかむら & あまおか 1997, p. 95, 「ナマズ」(執筆しっぴつしゃ岸本きしもと浩和ひろかず
  6. ^ きの保彦やすひこ監修かんしゅう財団ざいだん法人ほうじん自然しぜん環境かんきょう研究けんきゅうセンター編著へんちょ)『決定けっていばん 日本にっぽん外来がいらい生物せいぶつ平凡社へいぼんしゃ、2008ねん4がつ21にちISBN 978-4-582-54241-7 
  7. ^ 特定とくてい外来がいらい生物せいぶつ解説かいせつ・チャネルキャットフィッシュ”. 環境省かんきょうしょう. 2009ねん10がつ20日はつか時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2008ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  8. ^ 要注意ようちゅうい外来がいらい生物せいぶつリスト・魚類ぎょるい”. 環境省かんきょうしょう. 2008ねん11月7にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2008ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  9. ^ 岩井いわい 2005, p. 31.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l 浦野うらの 1995.
  11. ^ 岩井いわい 2005, pp. 167–168.
  12. ^ a b かわ 2008, pp. 164–178, 「ナマズるい多様たよう繁殖はんしょく行動こうどう」(執筆しっぴつしゃ佐藤さとうあきら
  13. ^ 寺嶋てらしま & 萩生田はぎうだ 2014.
  14. ^ 寺嶋てらしま & 萩生田はぎうだ 2014, p. 215.
  15. ^ Fisheries and Aquaculture Department”. FAO. 2008ねん11月11にち閲覧えつらん
  16. ^ かわ 2008, pp. 34–46, 「縄文じょうもん時代じだい以降いこうのナマズの分布ぶんぷ変化へんか」(執筆しっぴつしゃ宮本みやもと真二しんじ
  17. ^ かわ 2008, pp. 161–163, 「ナマズ化石かせき」(執筆しっぴつしゃ渡辺わたなべ勝敏かつとし
  18. ^ Rodiles-Hernandez R, Hendrickson DA, Lundberg JG, Humphries JH (2005). “Lacantunia enigmatica (Teleostei: Siluriformes) a new and phylogenetically puzzling freshwater fish from Mesoamerica”. Zootaxa 1000: 1-24. 
  19. ^ 海南かいなんとう淡水魚たんすいぎょるい海南かいなん海軍かいぐん特務とくむ政務せいむきょく、1943ねん 

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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