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ヘチマ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヘチマ
ヘチマの
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
もん : 被子植物ひししょくぶつもん Magnoliophyta
つな : そう子葉しよう植物しょくぶつつな Magnoliopsida
: ウリ Cucurbitales
: ウリ Cucurbitaceae
ぞく : ヘチマぞく Luffa
たね : ヘチマ L. aegyptiaca
学名がくめい
Luffa aegyptiaca Mill. (1768)[1]
シノニム
和名わみょう
ヘチマ
英名えいめい
Luffa, Loofah, Loofa

ヘチマ糸瓜へちま天糸瓜へちま学名がくめい: Luffa aegyptiaca)は、インド原産げんさんウリいちねんくさ。また、その果実かじつのこと。日本にっぽんには室町むろまち時代じだい中国ちゅうごくから渡来とらいした。別名べつめいイトウリ[3]トウリ[3]

名前なまえ由来ゆらい

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本来ほんらい名前なまえ果実かじつから繊維せんいられることからいた糸瓜へちま(いとうり)で、かんめい中国ちゅうごく植物しょくぶつめい)で絲瓜へちま(しか)と[3][4]わか食用しょくようにする鹿児島かごしまでは「いとうり」とよばれてしたしまれている[5]

和名わみょうヘチマ由来ゆらいは、一説いっせつにはイトウリがのちちぢまって「とうり(とふり)」と転訛てんかし、「と」は『いろはうた』で「へ」と「ち」のあいだにあることから「へちあいだ」ので「へちま」とばれるようになったとされている[6][7]いまでも「糸瓜へちま」といて「へちま」とくんじる。沖縄おきなわでは「ナーベーラー」とよばれるが[5][8]、これは果実かじつ繊維せんいなべあらい(なべあらい)にもちいたことに由来ゆらいするという。

なお、中国ちゅうごくから渡来とらいしたくろ胡麻ごま通称つうしょうくろしばあさ(hei zhima) がヘチマとこえること、沖縄おきなわにはゆでた糸瓜へちまくろしばあさ(ヘチマ)をかけたナーベーラー田楽でんがくという料理りょうりがあることなどから、呼称こしょうちがいではないかというせつ[9]もある。

また、たいびょうせいへちま品種ひんしゅに「浜名はまな」、「天竜てんりゅう」、「浜北はまきた」、「あきは」など、静岡しずおかけん西部せいぶ地名ちめいにちなんだ名称めいしょうがつけられているのは、どうけん浜松はままつ出身しゅっしん織田おだ利三郎としさぶろう明治めいじ時代じだい輸出ゆしゅつ振興しんこうのためヘチマの生産せいさんりょくげる改良かいりょう尽力じんりょくしたことによる[10]

分布ぶんぷ栽培さいばい

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インド東南とうなんアジア[11]原産げんさんといわれる熱帯ねったいアジア原産げんさんつるせい一年生植物いちねんせいしょくぶつ[3][12]。インドや中国ちゅうごく原産げんさん中枢ちゅうすうとみられ、中南米ちゅうなんべい東南とうなんアジア、韓国かんこく台湾たいわんなど熱帯ねったいから亜熱帯あねったいにかけてひろ分布ぶんぷしている[11]現在げんざい各地かくち栽培さいばいされている[12]日本にっぽんはいってきたのは、中国ちゅうごく経由けいゆして1600年代ねんだい推定すいていされており、『識篇』(1630ねん)に記載きさいられる[11]。また江戸えど時代じだい貝原かいばら篤信あつのぶいた『さい』(1714ねん)や、薩摩さつまはん農事のうじ指導しどうしょである『成形せいけい図説ずせつ』(1804ねん)にはかたについての記述きじゅつがあり、ヘチマがふるくから食用しょくようにされていたことがわかる[11]

明治めいじ中期ちゅうき浜松はままつ市内しない雑貨ざっかてんいとなんでいた織田おだ利三郎としさぶろう貿易ぼうえきしょう助言じょげん農産物のうさんぶつ輸出ゆしゅつをつけ、前田まえだ正名まさな指導しどうのもと、日本にっぽん輸出ゆしゅつ農産物のうさんぶつであったヘチマ、落花生らっかせいショウガなど特殊とくしゅ農産物のうさんぶつ生産せいさん向上こうじょうはげんで静岡しずおか県内けんない生産せいさんがく劇的げきてきやし、とくにヘチマは1900ねんまで8まんえんだったものを1917ねんには4、5せんまんえんげた[13][14]パリ万国博覧会ばんこくはくらんかい (1900ねん)では日本にっぽんさんヘチマの宣伝せんでんのため、ヘチマでつくったゾウ展示てんじしたほか、1907ねんに「静岡しずおかけん生姜しょうが糸瓜へちま蕃椒とうがらし落花生らっかせい同業どうぎょう組合くみあい」を設立せつりつ、1909ねんシアトル博覧はくらんかいや1910ねんにちえい博覧はくらんかいなど、おおくの国内外こくないがい博覧はくらんかい出品しゅっぴんし、受賞じゅしょう多数たすう獲得かくとくした[10][13]

形態けいたい生態せいたい

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ヘチマのはな

ウリのつるせいいち年生ねんせい草本そうほん[15]種子しゅしから発芽はつがすると、濃緑こみどりしょく子葉しよう展開てんかいする[16]くきながびて5 - 8メートル (m) にたっし、で5つりょう多数たすうふしがあり、分岐ぶんきしたきひげのものにからみつきながら生長せいちょうする[3][12][15]。ふつうしんづる[ちゅう 1]の5 - 10せつあたりから3 - 6ほんづる[ちゅう 2]発生はっせいし、15せつ以上いじょうまごづる、ひまごづるが発生はっせいする[15]きひげは細長ほそながく、先端せんたん分岐ぶんきする[15]濃緑こみどりしょくで、なが葉柄ようへいがついて互生ごせいし、縦横じゅうおう20 - 30センチメートル (cm) のおおきさにたっし、てのひらじょうに3 - 7にふかきれする[15]先端せんたんはとがるが、しも波状はじょうけて3 - 6かくとなる[15]

雌雄しゆうどうかぶ雌雄しゆうはな[12][15]花期かきなつ(7 - 9がつ)で、雌花めばな雄花おばなかれており、直径ちょっけい8センチメートル (cm) 内外ないがい黄色きいろい5きれしたはなかせる[12]雄花おばな総状そうじょう花序かじょにつき、15 - 20 cmのながはながらに15前後ぜんこうはなしょうじて、したからおおよそ1にちに1はな開花かいかする[15]雌花めばな独立どくりつしてつき、基部きぶ棒状ぼうじょう子房しぼうがある[12][15]子房しぼうは3しつはなばしらは1ほんで、柱頭ちゅうとうが3きれまたは2きれする[15]虫媒花ちゅうばいかで、早朝そうちょうから開花かいかはじまり、生育せいいく初期しょき雄花おばなおおく、中期ちゅうき雄花おばな雌花めばながつき、後期こうきになると雄花おばな増加ぞうかするちゃくはな習性しゅうせいっている[15]自家じか和合わごうせいどういちかぶ受粉じゅふん可能かのうである。雌花めばな受粉じゅふんすると、子房しぼう発達はったつして果実かじつとなる[15]。1かぶみのらせることができる果実かじつすう関係かんけいから、開花かいかまでにいたらず、つぼみちてしまう雌花めばなおお[15]染色せんしょくたいかずは 2 n=96[11]

はてまごづる、ひまごづるにおお[15]果実かじつ円筒えんとうがた細長ほそながく、おおきなキュウリのようなかたちをしている[3]果実かじつすこしわんきょくすることもあり、ながさは通常つうじょう40 - 60 cm程度ていどであるが、ちょうはてしゅは1 - 2 mにたっするものもある[15]果皮かひ緑色みどりいろで、ほそじょうまだらがあり、成熟せいじゅくするとはてめんあさみぞ網状もうじょうまだらしょうじる[15]果肉かにくあつく、内外ないがい2つの部分ぶぶんからなり、未熟みじゅくはて外皮がいひあつく、成熟せいじゅくすると内皮ないひ発育はついく肥大ひだいして、果肉かにくない網目あみめじょう繊維せんい発達はったつする[15]果実かじつ成熟せいじゅく次第しだい乾燥かんそうし、種子しゅし周囲しゅうい繊維せんいささえられた空洞くうどうとなる。そのころになると果実かじつ先端せんたんぶたのようにはずれ、果実かじつふうれるたびに、ここから遠心えんしんりょく種子しゅしされてす。原産地げんさんち野生やせい植物しょくぶつであったときには、こうして一種いっしゅ投石とうせきのような機構きこう種子しゅし散布さんぷはかっていたとかんがえられる。

果実かじつ1つのなかには、種子しゅしが150 - 200つぶふくまれる[15]。ヘチマの種子しゅしは、ながさ14 - 15ミリメートル (mm) 、はば8 mmほどの偏平へんぺいちょうたまごがた[15]スイカ種子しゅしのようにくろくてひらべったい。種子しゅし発芽はつが年限ねんげんは、通常つうじょう2 - 3ねんである[15]

栽培さいばい

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夏場なつばに、まどにわ日陰ひかげつくるためにえられている[3]強健きょうけんつくりやすい植物しょくぶつで、肥沃ひよく土地とちであれば栽培さいばい容易よういである[12]高温こうおん多湿たしつこの性質せいしつで、生育せいいく適温てきおんは25 - 30生育せいいく最低さいてい気温きおんは10生育せいいく最高さいこう気温きおんは35程度ていどで、果菜かさいるいなかでも高温こうおん部類ぶるいはい[15]土地とち適応てきおうせいはかなりひろいほうであるが、適度てきど湿度しつどのある肥沃ひよくすな壌土じょうどてきしており、湿地しっち乾燥かんそう栽培さいばいてきしない[15]土壌どじょう酸度さんど適応てきおうはばひろいが、pH 5.0 以下いかでは生育せいいくおと[15]連作れんさくける[12]

強靱きょうじん栽培さいばい容易よういであるが、栽培さいばいする土壌どじょう病虫害びょうちゅうがい対策たいさくのため消毒しょうどく必要ひつようで、石灰せっかいいて、排水はいすいをよくするためにけする位置いちうねをつくる[18]発芽はつが温度おんどたかいので、25 - 28たねいて発芽はつがさせ、子葉しよう展開てんかいしたら育苗いくびょうのためはちげして20 - 30管理かんりする[18]。タネはかなりおおきいので、覆土ふくどは1 - 2 cmぐらいにする。晩霜ばんそう心配しんぱいがないころ、草丈くさたけ40 - 50 cmになったなえを、株間かぶま[ちゅう 3]は3 mほどあけて定植ていしょくする[18]。つるがびてきたら、たかさ2 - 4 mぐらいの支柱しちゅうたなてたりネットをってつるを誘引ゆういん[ちゅう 4]してやり、その誘引ゆういんせいえだおこなわない[15]かぶもときわらをおこなって乾燥かんそう防止ぼうしはかったり、乾燥かんそうにはみずやりも必要ひつようになる[19]。ヘチマをとるほか、緑陰りょくいんとしての人気にんきたかまっている。

病虫害びょうちゅうがいおおきな被害ひがい見舞みまわれることはまれであるが、病害びょうがいとしては、モザイク病もざいくびょう[ちゅう 5]斑点はんてんびょうしりくさやまいつるわりびょうべとやまいたんびょうにかかることがある[19]害虫がいちゅうネコブセンチュウるいがあるほか、ワタアブラムシワタヘリクロノメイガウリハムシタネバエハダニキボシマルトビムシなどがある[19]

一般いっぱんには普通ふつう栽培さいばいおこなわれておりさくがた分化ぶんかはあまりられないが、ビニールハウスによる早期そうき出荷しゅっかのための促成そくせい栽培さいばいと、輪作りんさく間作かんさくによるはん促成そくせい栽培さいばい一部いちぶおこなわれている[15]

東南とうなんアジアや中国ちゅうごく台湾たいわんでは、未熟みじゅくはて年中ねんじゅう青果せいかとして市場いちば出荷しゅっかよう自給じきゅうように、じゅくはて繊維せんいよう利用りようするため栽培さいばいしている[11]日本にっぽんにおける栽培さいばい中心ちゅうしんは、鹿児島かごしまけん沖縄おきなわけん宮崎みやざきけんなどのみなみ九州きゅうしゅうと、静岡しずおかけんである[15]昭和しょうわ40年代ねんだいごろまで栽培さいばい面積めんせきは300ヘクタール (ha) ほどあり、そのだい部分ぶぶん静岡しずおかけんにおける繊維せんい採取さいしゅよう栽培さいばいであったが、工場こうじょう製品せいひん需要じゅよううばわれていちじるしく減少げんしょうした[11]

栽培さいばい品種ひんしゅ

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  • 食用しょくようしゅ
    果実かじつ成熟せいじゅくするとながさ1 m、直径ちょっけい9 cmていどになる。果皮かひはなめらかで、首部しゅぶがややほそく、どうがややふとい。青果せいかよう栽培さいばいされており、収穫しゅうかくする果実かじつながさ50 cm、直径ちょっけい5 cmくらいのようはてで、果肉かにくはやわらかく、特有とくゆうかおりと甘味あまみこのまれる。産地さんちでは、果実かじつ上下じょうげふとさがわらず、ながさがみじかくてがりがない系統けいとう選抜せんばつつづけている[21]
  • だるま達磨だるま
    静岡しずおかけん繊維せんいようとして輸出ゆしゅつけに栽培さいばいされているもので、「だいだるま」「改良かいりょうだるま」「たいびょうだるま」「鶴首かくしゅ」ほかすう品種ひんしゅある。「だいだるま」はながさ30 cmほどのたんはてで、繊維せんい緻密ちみつである[21]。「改良かいりょうだるま」は、だいだるまと鶴首かくしゅ雑種ざっしゅから育成いくせいされた品種ひんしゅで、くびほそちょうはて繊維せんい緻密ちみつであるが、現在げんざいもちいられない[21]。「たいびょうだるま」は、「改良かいりょうだるま」のなかからつるびょうつよ系統けいとう選抜せんばつしたものである[21]。「鶴首かくしゅ」は、果実かじつなかふとしながさ70 - 90 cmになり、くびからどうにかけてほそく、繊維せんい緻密ちみつである[21]。また、静岡しずおかけんではたいびょうせい収量しゅうりょうすぐれた育種いくしゅ目的もくてきに、「改良かいりょうだるま」からの選抜せんばつで「北浜きたはま」「浜名はまな」が育成いくせいされ、天竜てんりゅう浜北はまきた雑種ざっしゅ後代こうだいから「あきは」が育成いくせいされている[21]
  • ちょうへちま
    別名べつめいきゅうしゃくへちま」ともよばれる中国ちゅうごく品種ひんしゅで、果実かじつながさ1 - 2 m、直径ちょっけい6 - 9 cmと非常ひじょう細長ほそなが[21]観賞かんしょうよう繊維せんいよう栽培さいばいされる[21]

利用りよう

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わか果実かじつやわらかく食用しょくように、成熟せいじゅくした果実かじつつよ繊維せんいせい網状もうじょう組織そしき発達はったつするので、たわしくつそこきなどにもちいられる[12]。また、つるのくちから「へちますい」を採取さいしゅして、鎮咳、利尿りにょうやく化粧水けしょうすいもちいられる[15]

食用しょくよう

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ナーベラー・ンブシー

なつからあきにかけて、開花かいか10にち前後ぜんこう繊維せんいのやわらかいわか果実かじつ食用しょくようとされており[22]食材しょくざいとしてのしゅんは6 - 8がつとされる[5]繊維せんい発達はったつわか果実かじつには独特どくとく風味ふうみがあり、かたかわいて果肉かにく加熱かねつするとナスのようなとろりとしたしょくかんがある[8]あじ淡泊たんぱくで、ウリ特有とくゆうかおりとほのかな甘味あまみがある[22]

ヘチマにふくまれる栄養素えいようそは、100グラム (g) あたりの熱量ねつりょうが16キロカロリー (kcal) ほどで、ビタミンCビタミンKβべーた-カロテンミネラル豊富ほうふふくまれている[5]やく95パーセントは水分すいぶんであるが、この水分すいぶんなかにミネラルがふくまれており、無駄むだなく摂取せっしゅするためには煮汁にじるごとべる料理りょうりいている[5]。なお、ヘチマの一部いちぶかぶにおいてククルビタシン非常ひじょうおおさんせいするものがじって流通りゅうつうすることがあり[23]自家じか栽培さいばいしたものなどを苦味にがみ我慢がまんしてべたことによる食中毒しょくちゅうどく事例じれい嘔吐おうと下痢げりとう)もある[23]。そのため、ゴーヤーニガウリツルレイシ)にくらべて苦味にがみつよいものには注意ちゅういする必要ひつようがある[23]

日本にっぽんでは、みなみ九州きゅうしゅう南西諸島なんせいしょとう汁物しるもの煮物にものいたぶつものてんぷらなどにもちいる[8][22]沖縄おきなわでは味噌みそあじである「ナーベラー・ンブシー」としてべるのが代表だいひょうてき[5]シチューカレーなどの洋風ようふう料理りょうりにももちいられる。みなみ九州きゅうしゅうでは、煮物にものものなどにしたり[5]味噌汁みそしるにすることがおお[24]台湾たいわんでは小籠こごめつつみとしても使用しようする。

なお、天保てんぽう年間ねんかん初版しょはん刊行かんこうされた『漬物つけものしお嘉言かげん』では粕漬かすづけ糸瓜へちま粕漬かすづけ)が紹介しょうかいされている[25]

へちますい

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あき完熟かんじゅくしたころ地上ちじょう30 - 60 cmほどのところづるくき)をり、がわくちをビン容器ようきんで、口元くちもと綿めんせんふさいでしばらくくと、からげられたみずがビン容器ようきまり、この液体えきたいのことをへちますい(へちますい)という[3][12]まわりにみず十分じゅうぶんあたえておくと、数日すうじつで500 - 2000 ccほどのえきれる[3][12]化粧水けしょうすいとしてもちいるほか、民間みんかんやくとしてはやくぐすりとしてもちいられる。含有がんゆう成分せいぶんは、ヘチマサポニン硝酸しょうさんカリウムペクチンタンパク質たんぱくしつとうぶんなどである[3]。カリウムイオンによる緩和かんわ皮膚ひふ軟化なんか作用さようと、わずかなりょうのサポニンによる浄化じょうか作用さようがあり、またカリウムのアルカリ性あるかりせいとサポニンにより去痰きょたん作用さようがあるといわれる[3]正岡子規まさおかしきたんいち糸瓜へちまみずわず」はこのせきめの効能こうのうかかわるものである。

化粧水けしょうすいとして保存ほぞんするときは、煮沸しゃふつしてましたヘチマすい500 ccにたいし、グリセリン100 ccと日本にっぽん薬局方やっきょくほうアルコール100 - 300 ccをくわえて濾過ろかし、香料こうりょう適量てきりょうくわえられる[3][4][12]

やくとしてはせきむくみ利尿りにょうくとされ、るとあせもひびあかぎれ肌荒はだあにきび日焼ひや手当てあにもくとされる[12]。そのままでは防腐ぼうふざいはいっていないためくさりやすいので煮沸しゃふつ濾過ろかをして冷蔵庫れいぞうこにしまい、使つかときだけりだすと長持ながもちする。民間みんかん療法りょうほうでは、たんり、せきめにヘチマすい600 ccほどを半量はんりょうになるまでとろ煮詰につめ、食間しょっかんに3かいけて服用ふくようするか、ヘチマすいうがいする用法ようほうられている[3]にんへの服用ふくよう禁忌きんきとされる[4]

へちまタワシ

晩秋ばんしゅう茶色ちゃいろくなった果実かじつを、みずにさらして軟部組織そしき腐敗ふはいさせてのぞき、繊維せんいだけにして、たわしつくる。果実かじつ先端せんたんしべのあるほう)を地面じめんなどにかるたたきつけて、ぶたのようになっている部分ぶぶんひらいてのぞいてみずにさらす。ほかにも、完熟かんじゅくして乾燥かんそうした果実かじつかわいて中身なかみたね方法ほうほうのほか、中身なかみかしてつくったり、酵素こうそざい使つかって中身なかみかす方法ほうほうつくることができる。産地さんちには、江戸えど時代じだいから静岡しずおかけん浜松はままつ袋井ふくろいがある。

また、繊維せんい加工かこうして装飾そうしょくようくつなかようなどにもちいる[15]静岡しずおかけんは、イギリス、西にしドイツ、フランス、アメリカなどじゅうすうカ国かこく輸出ゆしゅつしてきた経緯けいいがあるが、化学かがく製品せいひんされて栽培さいばい減少げんしょうした[15]

学習がくしゅう教材きょうざい

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1ねん発芽はつが開花かいか受粉じゅふん結果けっか枯死こしし、雄花おばな雌花めばなによって他家たけ受粉じゅふんすることから、日本にっぽんでは小学校しょうがっこう理科りか教材きょうざいとして使用しようされる。

きんえんしゅ

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トカドヘチマ
トカドヘチマじゅうかく糸瓜へちま学名がくめい: Luffa acutangula (L.) Roxb.[26])の果実かじつには表面ひょうめんのしわと10ほんのとてもかた稜角りょうかくがあり[11]、そこから名前なまえけられた。日本にっぽんでの経済けいざい栽培さいばいはないが、インドや中国ちゅうごくなどでは野菜やさいとしての用途ようとしゅたる栽培さいばい目的もくてきである[11]。トカドヘチマのくきにはナッツけい独特どくとく臭気しゅうきがある。タワシをつく場合ばあいは、完熟かんじゅく乾燥かんそうすると果実かじつかた加工かこうむずかしくなるので、ややみどりがかった状態じょうたいてきしている。繊維せんい採取さいしゅよう種類しゅるいより幾分いくぶん果実かじつちいさく、ながさ30 cm、直径ちょっけい9 cm程度ていどたんはてである[11]ちいさい果実かじつであれば原型げんけいかしたままタワシにすることができる。染色せんしょくたいすう 2 n=26[11]
トゲヘチマ英語えいごばん

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ つるせい植物しょくぶつで、はじめの発芽はつがからびてしゅえだとなるくきのこと[17]
  2. ^ しんづるののつけからたわきびたえだとなるつるせいくきのこと[17]
  3. ^ 野菜やさいなどの作物さくもつはたけ栽培さいばいするとき、適正てきせい収穫しゅうかくるためにようするかぶかぶとのあいだのこと[17]
  4. ^ 支柱しちゅうてたとき、支柱しちゅうくきやつるをむすびつけてかぶたおれないようにすること[17]
  5. ^ 緑色みどりいろ濃淡のうたんモザイクじょうになってまだら模様もようはいり、表面ひょうめん凹凸おうとつになってちぢれる、アブラムシ媒介ばいかいするウイルスせい病気びょうき[20]

出典しゅってん

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  1. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Luffa aegyptiaca Mill. ヘチマ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2022ねん10がつ25にち閲覧えつらん
  2. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Luffa cylindrica M.Roem. ヘチマ(シノニム)”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2022ねん10がつ25にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 田中たなか孝治こうじ 1995, p. 110.
  4. ^ a b c 貝津かいづこうこう 1995, p. 169.
  5. ^ a b c d e f g 主婦しゅふ友社ともしゃへん 2011, p. 245.
  6. ^ 田中たなか孝治こうじ 1996, p. 110.
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  12. ^ a b c d e f g h i j k l m 馬場ばばあつし 1996, p. 101.
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  16. ^ 主婦しゅふ友社ともしゃへん 2004, p. 296.
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  18. ^ a b c 農文協のうぶんきょうへん 2004, p. 298.
  19. ^ a b c 農文協のうぶんきょうへん 2004, p. 299.
  20. ^ 主婦しゅふ友社ともしゃへん 2011, p. 巻末かんまつとじみ.
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  26. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Luffa acutangula (L.) Roxb. トカドヘチマ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2022ねん10がつ25にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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