コーカソイド

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ヨーロッパけいから転送てんそう
ハクスリーによる人種じんしゅ区分くぶん (1870ねん)
ネグロイド人種じんしゅコーカソイド人種じんしゅ オーストラロイド人種じんしゅモンゴロイド人種じんしゅ
Meyers Konversations-Lexikon (1885–1890)
人種じんしゅ分布ぶんぷ地図ちず
コーカソイド:
ネグロイド:
Uncertain:
モンゴロイド:

コーカソイド(Caucasoid, Caucasian)とは、身体しんたいてき特徴とくちょうもとづく歴史れきしてき人種じんしゅ分類ぶんるい概念がいねんひとつである。これに分類ぶんるいされる人々ひとびと主要しゅよう居住きょじゅうヨーロッパきたアフリカ西にしアジア北部ほくぶ)、中央ちゅうおうアジアインド北部ほくぶ)である(歴史れきしてき混血こんけつふくむ)。

元来がんらいは、コーカソイドとは、カスピ海かすぴかい黒海こっかいはさまれたところに位置いちする「コーカサス」(カフカース地方ちほう)に「…のような」を意味いみする接尾せつびの「 -oid」 をつけた造語ぞうごで、「コーカサス出自しゅつじ人種じんしゅ」という意味いみである。

由来ゆらい[編集へんしゅう]

元々もともとドイツ哲学てつがくしゃクリストフ・マイナース提唱ていしょうした用語ようごであった。その影響えいきょうけたドイツの医師いしヨハン・フリードリヒ・ブルーメンバッハ生物せいぶつがくうえ理論りろんとして五大ごだい人種じんしゅせつとなえ、ヨーロッパに人々ひとびとを「コーカシア」と定義ていぎした。ジョルジュ・キュヴィエはヨーロッパじんアラブじんをコーカソイドに分類ぶんるいし、その高弟こうていアンドレ・デュメリルもコーカソイドをアラブ・ヨーロッパじんとした[1]

人類じんるいがく成立せいりつしたヨーロッパはキリスト教きりすときょうけんであり、ユダヤキリスト教きりすときょう由来ゆらいする価値かちかんおもんじられていた。ヨーロッパのキリスト教徒きりすときょうとにとって、『創世そうせい』のノアの方舟はこぶねアララトさんにたどりいたノア息子むすこたちは現在げんざい人類じんるい始祖しそであった。人類じんるいがくちちとされるブルーメンバッハをはじめとするヨーロッパじん学者がくしゃたちは、アララトやまのあるコーカサスに関心かんしんいていた[2]。また、『旧約きゅうやく聖書せいしょ』の創世そうせい1〜6しょうでは、しろいろひかりひるにんぜんあらわし、くろいろやみよるししあくあらわしていた[2]

定義ていぎとその変遷へんせん[編集へんしゅう]

コーカソイドとはヨーロッパじんキリスト教きりすときょうてき価値かちかんもとづいて自己じこ定義ていぎするために創出そうしゅつされた概念がいねんである。 戦後せんごしばらくまでの人類じんるいがく科学かがくてき根拠こんきょとぼしい、偏見へんけん先入観せんにゅうかんちた内容ないようであることがおおく、人種じんしゅ差別さべつてき思想しそう多分たぶんふくんでいた。事実じじつ提唱ていしょうしゃであるブルーメンバッハもさまざまな人間にんげん集団しゅうだんなかで「コーカサス出身しゅっしん」の「しろはだ人々ひとびと」がもっとうつくしい、人間にんげん集団しゅうだんの「基本形きほんけい」で、の4つの人類じんるい集団しゅうだんはそれから「退化たいか」したものだとかんがえていた[3]。つまり最初さいしょ時点じてん白人はくじん至上しじょう主義しゅぎてきかんがえが基盤きばん存在そんざいしていたのである。その人類じんるい学者がくしゃによって(白人はくじん優越ゆうえつしているという原則げんそくうえで)コーカソイドをさらに細分さいぶんしての分類ぶんるいこころみられた。ウィリアム・Z・リプリーによる北方ほっぽう人種じんしゅ地中海ちちゅうかい人種じんしゅアルプス人種じんしゅさん分類ぶんるいなどが有名ゆうめいであるほかひがしヨーロッパ人種じんしゅディナール人種じんしゅという分類ぶんるい存在そんざいする。

初期しょき人類じんるいがく人種じんしゅ判別はんべつ外見がいけんちがい(とくはだいろ)による判断はんだんという、かなり原始げんしてき考察こうさつたよりとしていた。また上述じょうじゅつされているとおキリスト教きりすときょうへの信仰しんこうしんふか関与かんよしている概念がいねんであり、風貌ふうぼうてき似通にかよっていてもユダヤきょうイスラム教いすらむきょうといった異教徒いきょうとである場合ばあい意図いとてき範囲はんいから除外じょがいされた。

人種じんしゅ分類ぶんるいはその性質せいしつじょう優生ゆうせいがくなどの差別さべつてき思想しそうむすきやすく、実際じっさいクー・クラックス・クランナチスのような勢力せいりょく遠因えんいんとなった。そのため、現在げんざい生物せいぶつがくにおける人種じんしゅかんする研究けんきゅうは、現生げんなま人類じんるい一種いっしゅいち亜種あしゅであるという前提ぜんていうえ慎重しんちょうおこなわれている。あくまで人種じんしゅとは現生げんなま人類じんるい遺伝いでんてき多様たようせい地域ちいきてき個体こたいぐんてきかたよりにぎず、人種じんしゅ相互そうご明瞭めいりょう境界きょうかいはないとする。

なお、近年きんねん国際こくさいてき学会がっかいでは、人種じんしゅ分類ぶんるいとしてのコーカソイドという名称めいしょうから、地域ちいき集団しゅうだんひとつとしての「西にしユーラシアじん」という名称めいしょう一般いっぱんてきになりつつある(くわしくは人種じんしゅ参照さんしょう)。それは後述こうじゅつのように、コーカソイドにははだいろ人々ひとびともいるためである。「コーカソイド」は、日本語にほんごちゅうでの用法ようほう白人はくじん白色はくしょく人種じんしゅのヨーロッパふう表現ひょうげんとして認識にんしきされることがおおい。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

セント・アンドルーズ大学だいがく発表はっぴょうした金髪きんぱつ分布ぶんぷ(2006ねん)。黄色おうしょくは80%以上いじょうあかるいだいだいいろは50%~79%、うす黄土おうどしょくは20%~49%、黄土おうどしょくは1%~20%の地域ちいきしている。その(こげちゃしょく)の部分ぶぶんは0%、つまりまった金髪きんぱつ存在そんざいしないとされる。
Felix von Luschan によるはだいろのカラーチャート
かく地域ちいきにおける先住民せんじゅうみん肌色はだいろフェリックス・ルスチャン
金髪きんぱつ碧眼へきがんのコーカソイドの女性じょせい

モンゴロイドネグロイドにもえるが、コーカソイドもまた非常ひじょうひろ範囲はんい分布ぶんぷしているため、人種じんしゅてき特徴とくちょう一概いちがいえない。

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  • まぶたじゅう割合わりあいが98%である。そのため平均へいきんてきにモンゴロイドよりもかおなかめる面積めんせきおおきい(おおきい)[4]
  • 虹彩こうさいいろ多種たしゅ多様たようもっとくら茶色ちゃいろからもっとあかるい青色あおいろまで幅広はばひろ存在そんざいする。

はな[編集へんしゅう]

  • はなかお中央ちゅうおうにありたて方向ほうこうおおきいがよこ方向ほうこうにはせまい。このため、モンゴロイドとくら平均へいきんてき正面しょうめんからときかおめるはな面積めんせきせまくなる(はなはばせまい)[5]
  • おでこ(眉間みけん上部じょうぶ)より立体りったいてきはながっているもの存在そんざいする。そのため目元めもとがくぼんでえる。

頭部とうぶ[編集へんしゅう]

  • 個体こたいおおきい。
  • 正面しょうめんからときおおきさはちいさい(いわゆる小顔こがお)[5]
  • 前額ぜんがく突出とっしゅつしている。
  • 類人猿るいじんえんにみられる眼窩がんかじょう隆起りゅうき名残なごりであるまゆじょうゆみがっておりかげがかかってくぼんでいるようにえる、いわゆる「りがふかい」。
  • 頭髪とうはついろ多種たしゅ多様たよう。メラニン色素しきそ形成けいせい年齢ねんれいによってわるが、もっとあかるい金髪きんぱつ赤毛あかげからくら黒髪くろかみまで存在そんざいする。またかみ虹彩こうさいあかるさはかならずしも関連かんれんしない[6]
  • 毛髪もうはつまるくてほそい。そのためウェーブ(天然てんねんパーマ・クセ)がおおく、人種じんしゅくら白人はくじん男性だんせい禿げやすい。

皮膚ひふ[編集へんしゅう]

  • 体毛たいもうひげおおいといった、ホモ・サピエンス原型げんけいであるネグロイドよりかけはなれた遺伝いでんてき特徴とくちょうつ。
  • はだいろは「白人はくじん」の名称めいしょう由来ゆらいひとつではあるが、うす褐色かっしょく褐色かっしょく個体こたいさい多数たすう形成けいせいする。
    • もともと人類じんるい皮膚ひふしょくかったのにもかかわらず(熱帯ねったいまれた人類じんるい毛皮けがわのかわりに紫外線しがいせんから身体しんたい保護ほごするためにメラニン色素しきそ沈着ちんちゃくした)、白人はくじんがなぜうす皮膚ひふしょくをしているのかについては諸説しょせつあるが、分子ぶんし人類じんるいがくもの尾本おもと恵一けいいちせつによれば、コーカソイドの祖先そせん集団しゅうだんやくいちまんせんねんまえこうこおりにインドから北西ほくせいかったが、当時とうじ気候きこう氷河ひょうがける水分すいぶん蒸発じょうはつによりくもぞらおおく、太陽光たいようこうせんよわかった。そのため過剰かじょう紫外線しがいせんからからだ保護ほごするメラニン色素しきそあつそう不要ふようになった。一方いっぽう紫外線しがいせんびることがすくないと人類じんるいビタミンD不足ふそくおちいるため、紫外線しがいせんすくない環境かんきょうでは、メラニン色素しきそ産出さんしゅつにあずかる遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんいによって皮膚ひふしょくうすくなった個体こたい集団しゅうだん有利ゆうりとなった。にもあるようにヨーロッパにおける淡色たんしょく頭髪とうはつ出現しゅつげん頻度ひんどもっとたか地域ちいきスウェーデンフィンランドなどの北欧ほくおう地域ちいきである[7]
  • アポクリンせんおおく、体臭たいしゅうつよい。

体格たいかく[編集へんしゅう]

  • かた位置いちむねよりうしろにあるために、だいむねすじ前方ぜんぽう突出とっしゅつしているようにえる。
  • 体格たいかく個体こたいおおきい。
  • これも地域ちいきによってがあるが、おおむねモンゴロイドけいぞくするしょ民族みんぞく平均へいきん身長しんちょうよりもたかく、世界せかい平均へいきん身長しんちょう上位じょうい30すべ欧米おうべいまっている[8]。しかし、中世ちゅうせい東欧とうおうじん平均へいきん身長しんちょうは150cm程度ていどひくい、北部ほくぶがコーカソイドであるインド平均へいきん身長しんちょうひくく、欧米おうべいゆたかな栄養えいよう状態じょうたいなど後天的こうてんてき要素ようそおおきいともいわれる(ただ、きたインドの中部ちゅうぶ南部なんぶ住民じゅうみん小柄こがらだが、これらの地域ちいきのインドじんドラヴィダじんなどと混血こんけつしている。インド半島はんとうちゅう南部なんぶのドラヴィダけいおお地域ちいきからとおく、人種じんしゅ民族みんぞくとの混血こんけつ度合どあいがひくいインド・パキスタン北部ほくぶパンジャブじんなどは比較的ひかくてき長身ちょうしんである)。

分布ぶんぷ歴史れきし[編集へんしゅう]

アフリカ大陸たいりく誕生たんじょうした現生げんなま人類じんるいは、アラビア半島はんとう経由けいゆユーラシア大陸たいりく進出しんしゅつし、大陸たいりく全域ぜんいき居住きょじゅう地域ちいき拡大かくだいする。このうちコーカソイドはユーラシア大陸たいりくのイラン付近ふきんから中東ちゅうとう、ヨーロッパに移動いどうしていた人々ひとびと末裔まつえいである。クロマニョンじんはコーカソイドの直接ちょくせつ祖先そせんかんがえられる。

15世紀せいき以降いこうとくにヨーロッパけいコーカソイドが征服せいふくへの入植にゅうしょくによりおおきく居住きょじゅう地域ちいき拡大かくだいし、世界せかいてき拡散かくさんした。

遺伝いでんてき傾向けいこう[編集へんしゅう]

白人はくじん(コーカソイド)とアジアじん(モンゴロイド)が混血こんけつした場合ばあいかお外見がいけん形質けいしつ)は白人はくじん(コーカソイド)の特徴とくちょう優性ゆうせいして遺伝いでんする[5]。しかし、みなみアジアけい遺伝子いでんしざるとみなみアジアてき要素ようそつよ優先ゆうせんてきにでやすい。

遺伝子いでんし[編集へんしゅう]

Y染色せんしょくたいハプログループの拡散かくさん人種じんしゅ

コーカソイドはアフリカのちイラン付近ふきんから中東ちゅうとうヨーロッパいたる「西にしルート」をとった集団しゅうだんである。コーカソイド人種じんしゅ特徴とくちょうづけるY染色せんしょくたいハプログループとしてGIJRなどがげられる[9]

伝統でんとうてき下位かい分類ぶんるい[編集へんしゅう]

人種じんしゅとのかかわり[編集へんしゅう]

モンゴル帝国ていこく西進せいしんおよびムガル帝国ていこく南進なんしんによって、ひがしヨーロッパやロシアおよび中央ちゅうおうアジアみなみアジア一部いちぶがモンゴロイドの支配しはいかれた。そのさい征服せいふくされた地域ちいきでは、顕著けんちょではないものの混血こんけつみとめられる。ロシアはなんひゃくねんものあいだテュルクけい国家こっか(トゥラン人種じんしゅ)やモンゴルによって征服せいふくされたため混血こんけつおおかった。ただし、それらのモンゴロイドは遊牧民ゆうぼくみんぞくであるため土着どちゃく農耕のうこうみんより人口じんこうすくなく、さほど混血こんけつ影響えいきょうたかくないともされる。

なお、ここでは中世ちゅうせい以前いぜんにおけるコーカソイドと人種じんしゅとの混血こんけつについてのみ記述きじゅつし、だい航海こうかい時代じだい以降いこうのヨーロッパじん移動いどうともなってしょうじた混血こんけつについてはここでは割愛かつあいする。

きたアフリカ[編集へんしゅう]

アフリカじんネグロイド分類ぶんるいされるが、北東ほくとうアフリカはサハラ砂漠さはらさばく以南いなん西南せいなんアフリカ(ブラックアフリカ)とはことなった遺伝子いでんしてき特徴とくちょうっている。スーダン南部なんぶひろがるだい湿地しっちたいボトルネック効果こうか中世ちゅうせい以降いこうのアラブじんによる入植にゅうしょくのためで、きたアフリカの先住民せんじゅうみんであるベルベルじん(北部ほくぶハム人種じんしゅ)はコーカソイドけいぞくすとされる[12][13]。ただし、ベルベルじんなどきたアフリカの民族みんぞくにはネグロイドけいY染色せんしょくたいハプログループE1b1bこう頻度ひんどでみられるなど、のコーカソイドとことなる特徴とくちょうもあり、ネグロイドとの混血こんけつ示唆しさされる。

さらにエチオピア主要しゅよう民族みんぞくであるソマリぞくエチオピア人種じんしゅ)も、ふるくからベルベルけいとネグロイドけい混血こんけつ構成こうせいされている。

東欧とうおう[編集へんしゅう]

東欧とうおうではハンガリーじんマジャールじん)がモンゴロイド黄色おうしょく人種じんしゅ)であるフンぞく子孫しそんであるというせつ存在そんざいする。また、ハンガリーは、モンゴロイドけいウラル語族ごぞくぞくし、おなじくモンゴロイドけいのテュルクけい民族みんぞくとの混血こんけつおおいとされる。ただ、ハンガリーという国名こくめいについてはフンぞくとの関連かんれん連想れんそうさせるが、「ハンガリー」の語源ごげんについては諸説しょせつあるものの、「フンぞく」とのあいだ特別とくべつ因果いんが関係かんけいはないとかんがえられている。フンぞく離散りさん集合しゅうごうかえ部族ぶぞく連合体れんごうたいであり、全員ぜんいんかならずしもモンゴロイドけいとはえないとする見方みかたもある。ただ、フンぞく首長しゅちょうアッティラ会見かいけんしたローマがわ使節しせつローマカトリック教会きょうかい僧侶そうりょ)による報告ほうこくしょでは、「アッティラとかれ将兵しょうへいたちのちいさくて、ひげがうすく、かつ身長しんちょうひくく、どう長短ちょうたんあしである」としるされていて、ヨーロッパじんはじめてたモンゴロイドがかい容貌ようぼうえたことと、タタールじんという言葉ことばが、当時とうじキリスト教きりすときょうでいう「地獄じごくのタルタロス」を連想れんそうさせて、当時とうじのヨーロッパじん震撼しんかんし、恐怖きょうふしん一層いっそうつのらせたことが、いまつたえられた。それは、近代きんだいのヨーロッパをはじめとする白人はくじん社会しゃかいにおける黄禍こうかろんつながっている。また、ブルガリアブルガリアじんは、モンゴロイドにぞくするテュルクけい民族みんぞくであるブルガールじんくとされる。

北欧ほくおう[編集へんしゅう]

フィンランドじんフィンじんイングリアじん)やエストニアじんサーミじんカレリアじんリーヴじんヴェプスじんもハンガリー同様どうようにモンゴロイド起源きげんせつとなえられ、実際じっさい父系ふけい遺伝子いでんし北東ほくとうアジアからひがしアジア北部ほくぶ起源きげんつモンゴロイドけいハプログループNちゅう頻度ひんどてい頻度ひんどられる[14][15]が、現在げんざいにおいてはハンガリーじん(マジャールじん同様どうように、コーカソイドに区分くぶんされている。これは故郷こきょうから西進せいしんするにつれ現地げんちのコーカソイドといちじるしく混合こんごうしたため、もともと濃厚のうこうであったモンゴロイドの特徴とくちょううしなったためとかんがえられる。

みなみアジア[編集へんしゅう]

上記じょうきのムガル帝国ていこくによる混血こんけつふくまれる。インドにおいては南部なんぶスリランカシンハラじんタミルじんなど)では、オーストラロイドである先住民せんじゅうみんドラヴィダじんが、東部とうぶではモンゴロイドムンダじんが、北部ほくぶカシミール地方ちほうでもチベットじんがコーカソイドのインド・アーリアじんとの混血こんけつふるくからあった。そのため世界せかいでもめずらしいさん人種じんしゅ混血こんけつ地域ちいきとなっている。また、ネパール西部せいぶタルーじんなども該当がいとうする。モルディブでもインドネシア・マレー人種じんしゅインドシナ人種じんしゅモンゴロイドけい)とオーストラロイドの混血こんけつ人種じんしゅ)とドラヴィダじんアラブけいなどがインド・アーリアじん混血こんけつしている[16]

きたアジア(シベリア)[編集へんしゅう]

きたアジアシベリア)においてもウラル語族ごぞくのうちフィン・ウゴルけい民族みんぞくだい部分ぶぶんがモンゴロイドとコーカソイドとふるくから混血こんけつしている(サモエードけい一部いちぶふくむ)。さらにテュルクけい民族みんぞくタタールしょぞくロシアけいなどひがしスラヴけいしょぞくとの混血こんけつふるくからあり、西にしくほどテュルクけいのコーカソイド種族しゅぞくおおい(モンゴルけい民族みんぞくツングースけい民族みんぞく一部いちぶふくむ)[16]

中央ちゅうおうアジア[編集へんしゅう]

中央ちゅうおうアジア新疆しんきょうウイグル自治じちふくむ)においてのトルキスタン分布ぶんぷするテュルクけい民族みんぞくモンゴロイドをベースにコーカソイドとの混血こんけつふるくからあった(タジクじんふくむ)[16]

西にしアジア(西南せいなんアジア)[編集へんしゅう]

西にしアジア西南せいなんアジア)では、トルコトルコじんアゼルバイジャンアゼルバイジャンじんなどが該当がいとうし、こちらも現在げんざいではテュルクけいのコーカソイド種族しゅぞく分類ぶんるいされる[16]

ひがしアジア(北東ほくとうアジア)[編集へんしゅう]

ひがしアジア北東ほくとうアジア)の北海道ほっかいどう樺太からふと千島ちしま列島れっとうアイヌは、かつては白色はくしょく人種じんしゅ分類ぶんるいされることもあったが、大和やまと民族みんぞく琉球りゅうきゅう民族みんぞくもっとちかモンゴロイドとされた。

さらに、遣唐使けんとうしによって鑑真がんじん弟子でしイランけいペルシアけい)にぞくするソグドじんられる如宝などがわたりして、鑑真がんじん随伴ずいはんして日本にっぽん帰化きかしたことからソグドけい一部いちぶ日本人にっぽんじん同化どうかしたともされる[16]。『ぞく日本にっぽん』には「なみ斯人」のひそかかげ日本にっぽん叙位じょいけた記録きろくがあり、木簡もっかん存在そんざい確認かくにんされた官吏かんりやぶ斯清どうはペルシアじんであるというせつがある。

また、モンゴルじんチベットじんなどは古来こらいよりコーカソイドけい民族みんぞく隣接りんせつしているため、コーカソイドけい遺伝子いでんしすう確認かくにんされている。

東南とうなんアジア[編集へんしゅう]

ミャンマー南部なんぶモンゴロイドしんモンゴロイドとインドシナ人種じんしゅ混血こんけつ人種じんしゅ)であるミャンマーじんビルマじん)はベンガルじん(インド・アーリアけい)の一派いっぱロヒンギャじんと、タイ南部なんぶカンボジアおよびシンガポールマレーシアブルネイインドネシアなどに分布ぶんぷするインドネシア・マレー人種じんしゅ一部いちぶでもインド・アーリアじんとの混血こんけつがあった。さらに、フィリピンでもスペイン王国おうこく統治とうち時代じだいスペインじんとインドネシア・マレー人種じんしゅ一部いちぶとの混血こんけつがあった(メスチーソ参照さんしょう[16]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 杉本すぎもと淑夫としお白色はくしょく人種じんしゅろんとアラブじん - フランス植民しょくみん主義しゅぎのまなざし」(『白人はくじんとはなにか? - ホワイトネス・スタディーズ入門にゅうもん所収しょしゅう
  2. ^ a b 文化ぶんか人類じんるい学者がくしゃ竹沢たけざわ泰子やすこは、自著じちょ人種じんしゅ概念がいねん普遍ふへんせいう』でヨーロッパじん自分じぶんたちをうつくしいしろはだひととみなしたのは、しろいろたいするこのような価値かちかんもとづいているのではないかと指摘してきしている。
  3. ^ 竹沢たけざわ泰子やすこ人種じんしゅ概念がいねん普遍ふへんせいう』
  4. ^ アジアじん白人はくじん角膜かくまくトポグラフィの比較ひかく
  5. ^ a b c 石原いしはら房雄ふさお 1954.
  6. ^ Frost, Peter (2006). “Why Do Europeans Have So Many Hair and Eye Colors?”. url: http://cogweb.ucla.edu/ep/Frost_06.html (citirano 2.4. 2007). http://www.sscnet.ucla.edu/comm/steen/cogweb/ep/Frost_06.html. 
  7. ^ 尾本おもと恵市けいいち, 遺伝いでんがく普及ふきゅうかい, 遺伝いでんがく普及ふきゅうかい編集へんしゅう委員いいんかい分子ぶんし人類じんるいがく日本人にっぽんじん起源きげんはなぼう〈ポピュラーサイエンス〉、1996ねん、82-83ぺーじISBN 478538638X国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:000002506828 
  8. ^ 世界せかい平均へいきん身長しんちょう www.kurabe.net/average_height のアーカイブ
  9. ^ 崎谷さきやみつる『DNA・考古こうこ言語げんご学際がくさい研究けんきゅうしめしん日本にっぽん列島れっとう』(つとむまこと出版しゅっぱん 2009ねん
  10. ^ Interview Dr. Eduard Egarter-Vigl, Head of Conservation and Assistant to research projects of the Archaeological Museum in Bozen. From the Docu-Movie: "Ötzi, ein Archäologiekrimi" [Ötzi, a Archaeology Crime] by Christine Sprachmann. TV-Broadcast by 3sat 10 August 2011 and br-alpha 13 September 2011.
  11. ^ R1 populations spread genes for light skin, blond hair and red hair
  12. ^ Carleton S. Coon, The Living Races of Man, New York: Alfred A Knopf, 1965, p.115
  13. ^ Luigi Luca Cavalli-Sforza, Genes, Peoples and Languages, Penguin, 2001, p.122
  14. ^ Siiri Rootsi, Lev A Zhivotovsky, Marian Baldovič, Manfred Kayser, Ildus A Kutuev, Rita Khusainova, Marina A Bermisheva, Marina Gubina, Sardana A Fedorova, Anne-Mai Ilumäe, Elza K Khusnutdinova, Mikhail I Voevoda, Ludmila P Osipova, Mark Stoneking, Alice A Lin, Vladimir Ferak, Jüri Parik, Toomas Kivisild, Peter A Underhill & Richard Villems (2007). “A counter-clockwise northern route of the Y-chromosome haplogroup N from Southeast Asia towards Europe”. European Journal of Human Genetics (Nature Publishing Group) 15 (2): 204-211. doi:10.1038/sj.ejhg.5201748. https://doi.org/10.1038/sj.ejhg.5201748. 
  15. ^ Rootsi S, Magri C, Kivisild T, Benuzzi G, Help H, Bermisheva M, Kutuev I, Barać L, Pericić M, Balanovsky O, Pshenichnov A, Dion D, Grobei M, Zhivotovsky LA, Battaglia V, Achilli A, Al-Zahery N, Parik J, King R, Cinnioğlu C, Khusnutdinova E, Rudan P, Balanovska E, Scheffrahn W, Simonescu M, Brehm A, Goncalves R, Rosa A, Moisan JP, Chaventre A, Ferak V, Füredi S, Oefner PJ, Shen P, Beckman L, Mikerezi I, Terzić R, Primorac D, Cambon-Thomsen A, Krumina A, Torroni A, Underhill PA, Santachiara-Benerecetti AS, Villems R, Semino O (2004). “Phylogeography of Y-chromosome haplogroup I reveals distinct domains of prehistoric gene flow in Europe”. The American Journal of Human Genetics (Elsevier) 75 (1): 128-137. doi:10.1086/422196. PMC 1181996. PMID 15162323. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15162323/. 
  16. ^ a b c d e f C・S・クーン、S・M・ガーン、J・B・バードセルちょ人種じんしゅ』(須田すだ昭義あきよしこうげんこころざしぜいともやく、みすず書房しょぼう、1957(現代げんだい科学かがく叢書そうしょ))より。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]


外部がいぶリンク[編集へんしゅう]