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市民 しみん 社会 しゃかい (しみんしゃかい、英 えい : civil society 独 どく : bürgerliche Gesellschaft 仏 ふつ : société civile, société bourgeoise)または資本 しほん 主義 しゅぎ 社会 しゃかい (しほんしゅぎしゃかい)、近代 きんだい 社会 しゃかい (きんだいしゃかい)、ブルジョア 社会 しゃかい (ブルジョアしゃかい)とは、市民 しみん 階級 かいきゅう が封建 ほうけん 的 てき な身分 みぶん 制度 せいど や土地 とち 制度 せいど を打倒 だとう して実現 じつげん した、民主 みんしゅ 的 てき ・資本 しほん 主義 しゅぎ 的 てき 社会 しゃかい 。「市民 しみん 階級 かいきゅう 」「市民 しみん 革命 かくめい 」「市民 しみん 法 ほう 」「市民 しみん 的 てき 自由 じゆう 」等 とう と共 とも に、第 だい 二 に 次 じ 大戦 たいせん 後 ご から有力 ゆうりょく になった用語 ようご 。
この言葉 ことば は本来 ほんらい 、「市民 しみん 革命 かくめい (ブルジョア革命 かくめい ) によって成立 せいりつ した社会 しゃかい 」を意味 いみ する。資本 しほん 家 か や知識 ちしき 人 じん らの市民 しみん 階級 かいきゅう が絶対 ぜったい 君主 くんしゅ 制 せい ・封建 ほうけん 制 せい を打破 だは し、基本 きほん 的 てき 人権 じんけん を確保 かくほ したことで市民 しみん 社会 しゃかい は成立 せいりつ した。政治 せいじ 的 てき には民主 みんしゅ 主義 しゅぎ に、経済 けいざい 的 てき には資本 しほん 主義 しゅぎ に基 もと づく社会 しゃかい だとされる。
歴史 れきし 上 じょう の市民 しみん 社会 しゃかい [ 編集 へんしゅう ]
古代 こだい ギリシア ・ローマ における市民 しみん 共同 きょうどう 体 たい と、その伝統 でんとう 上 じょう にある市民 しみん 革命 かくめい 後 ご の近代 きんだい 市民 しみん 社会 しゃかい を指 さ すだけでなく、国家 こっか 権力 けんりょく から統制 とうせい を受 う けない「公共 こうきょう 空間 くうかん 」を指 さ す場合 ばあい もあり、マルクス主義 まるくすしゅぎ の立場 たちば からは、階級 かいきゅう 対立 たいりつ を前提 ぜんてい として有産 ゆうさん 階級 かいきゅう が支配 しはい する社会 しゃかい としてこの語 かたり が用 もち いられる。
また、20世紀 せいき 前半 ぜんはん の思想家 しそうか アントニオ・グラムシ によれば、既 すで にメディア・学校 がっこう ・教会 きょうかい など日常 にちじょう の至 いた る所 ところ に国家 こっか 権力 けんりょく は分散 ぶんさん して浸透 しんとう しており、このことが市民 しみん 社会 しゃかい を抑圧 よくあつ するとされる。そのため、これに対抗 たいこう しうる自発 じはつ 的 てき な市民 しみん 団体 だんたい の運動 うんどう をネットワーク化 か することで、「公共 こうきょう 性 せい 」・「公共 こうきょう 空間 くうかん 」を取 と り戻 もど そうとする動 うご きもみられる。
古代 こだい の市民 しみん 共同 きょうどう 体 たい と近代 きんだい 市民 しみん 社会 しゃかい [ 編集 へんしゅう ]
西洋 せいよう 古代 こだい における市民 しみん 共同 きょうどう 体 たい としては、古代 こだい アテネやローマが例 れい として挙 あ げられる。この時代 じだい の「市民 しみん 」とは、重 じゅう 装 そう 歩兵 ほへい としてポリス の防衛 ぼうえい にあたり市政 しせい に参加 さんか するような市民 しみん 権 けん 保有 ほゆう 者 しゃ ・自由 じゆう 民 みん を指 さ しており、決 けっ して都市 とし の全 ぜん 構成 こうせい 員 いん を指 さ していたわけではなかった。中世 ちゅうせい の身分 みぶん 制 せい 社会 しゃかい においては、各人 かくじん が権利 けんり において対等 たいとう であることはなく、こうした市民 しみん 共同 きょうどう 体 たい の伝統 でんとう は失 うしな われていた。
市民 しみん 共同 きょうどう 体 たい の復活 ふっかつ は、イギリス・フランスにおいては市民 しみん 革命 かくめい の成功 せいこう によって成 な される。イギリス革命 かくめい においては中世 ちゅうせい 以来 いらい の身分 みぶん 制 せい 議会 ぎかい が存続 そんぞく するなど過去 かこ の伝統 でんとう 社会 しゃかい も尊重 そんちょう されたが、フランス革命 かくめい ではアンシャン・レジーム を否定 ひてい し、旧来 きゅうらい の身分 みぶん 制 せい 社会 しゃかい を完全 かんぜん に解体 かいたい して人権 じんけん 宣言 せんげん を掲 かか げた。そのため、フランスのほうがより理念 りねん が純化 じゅんか した形 かたち で市民 しみん 社会 しゃかい をき上 ずきあ げた。すなわち、自由 じゆう かつ権利 けんり において対等 たいとう な市民 しみん の結合 けつごう という形態 けいたい により合致 がっち する。この新 あら たに形成 けいせい された市民 しみん 共同 きょうどう 体 たい が国家 こっか と結 むす びついて国民 こくみん 共同 きょうどう 体 たい が形成 けいせい された。
近代 きんだい 市民 しみん 社会 しゃかい においては、個人 こじん の自由 じゆう が保障 ほしょう されることが、その成立 せいりつ の要件 ようけん となる。すなわち、各 かく 個人 こじん (市民 しみん )が自 みずか らの政治 せいじ 的 てき 主張 しゅちょう ・宗教 しゅうきょう 的 てき 立場 たちば などを他 た から強制 きょうせい されないことや、各 かく 個人 こじん が自 みずか らの財産 ざいさん を自由 じゆう に処分 しょぶん でき(私有 しゆう 財産 ざいさん 制 せい )、商 しょう 活動 かつどう の自由 じゆう が保障 ほしょう (ギルド 廃止 はいし など)されていることなどが求 もと められる。イギリス・フランスでは市民 しみん 革命 かくめい を通 つう じて市民 しみん が政治 せいじ の主導 しゅどう 権 けん を握 にぎ ったため、これらのことを政府 せいふ が保障 ほしょう することになった。
冷戦 れいせん 以後 いご の動向 どうこう [ 編集 へんしゅう ]
ファシズム も、冷戦 れいせん 下 か における東欧 とうおう の共産党 きょうさんとう 政権 せいけん も、国家 こっか と党 とう が社会 しゃかい のあらゆる領域 りょういき にまで干渉 かんしょう して支配 しはい ・統制 とうせい するという点 てん では同様 どうよう であった。(どちらの体制 たいせい も国家 こっか が個人 こじん を否定 ひてい して、政治 せいじ ・経済 けいざい ・社会 しゃかい を完全 かんぜん に統制 とうせい 下 か におく全体 ぜんたい 主義 しゅぎ へと至 いた る可能 かのう 性 せい があった。)この点 てん で、上述 じょうじゅつ のグラムシの見解 けんかい は先見 せんけん 的 てき であったといえる。こうした状況 じょうきょう 下 か で市民 しみん 的 てき 自由 じゆう を確保 かくほ するためには、従来 じゅうらい の共産党 きょうさんとう ・労働 ろうどう 組合 くみあい を主体 しゅたい にした一極 いっきょく 型 がた の運動 うんどう ではなく、日常 にちじょう にまで官僚 かんりょう 制 せい やマスメディアを通 つう じて干渉 かんしょう をはかる国家 こっか 権力 けんりょく に対 たい して、市民 しみん の日常 にちじょう 生活 せいかつ にかかわる諸 しょ 団体 だんたい がネットワークを結 むす んで多 た 極 きょく 的 てき な抵抗 ていこう 運動 うんどう を展開 てんかい すべきだという考 かんが えが形成 けいせい されていった。とりわけ、共産党 きょうさんとう が市民 しみん を抑圧 よくあつ した東欧 とうおう において、1989年 ねん に共産党 きょうさんとう 独裁 どくさい 政権 せいけん があいついで崩壊 ほうかい した(東欧 とうおう 革命 かくめい )ことと、その際 さい に市民 しみん 諸 しょ 団体 だんたい が活躍 かつやく したことは、こうした議論 ぎろん を活性 かっせい 化 か させていった。またこうした市民 しみん 社会 しゃかい の復活 ふっかつ は、国境 こっきょう を越 こ えたネットワークとなり、その総称 そうしょう であるグローバル市民 しみん 社会 しゃかい (GCS)の概念 がいねん が注目 ちゅうもく されている[6] 。ユーゴスラビア空爆 くうばく などの人道的 じんどうてき 危機 きき に際 さい して、GCSは人道 じんどう 支援 しえん も行 おこな っているとカルド―(Mary Kaldor )は指摘 してき する。
参照 さんしょう 文献 ぶんけん [ 編集 へんしゅう ]
松村 まつむら , 明 あきら (2019年 ねん ). “デジタル大辞泉 だいじせん ”. 「市民 しみん 社会 しゃかい 」 . 2019年 ねん 3月 がつ 20日 はつか 閲覧 えつらん 。