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日本語にほんご方言ほうげんのアクセント

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曖昧あいまいアクセントから転送てんそう
日本語にほんご方言ほうげんのアクセント概観がいかん
  京阪けいはんしきおよびその亜種あしゅ
  東京とうきょうしき
  Nがた
  かた
  京阪けいはん-東京とうきょう 中間なかまがた
  東京とうきょう- 中間なかまがた

日本語にほんご方言ほうげんのアクセント(にほんごのほうげんのアクセント)では、日本語にほんごアクセント地域ちいきによるちがいや分布ぶんぷ、またアクセントの歴史れきしについて記述きじゅつする。

日本語にほんごおおくの方言ほうげんは、英語えいごのような強弱きょうじゃくアクセントではなく、高低こうていアクセントっており、単語たんごまたは文節ぶんせつごとに、おと高低こうてい配置はいちまっている。その配置はいち地域ちいきによる方言ほうげんがあり、代表だいひょうてきなものに東京とうきょうしきアクセント乙種おつしゅアクセント)と京阪けいはんしきアクセント甲種こうしゅアクセント)がある。京阪けいはんしきアクセントは近畿きんき中心ちゅうしんとした地域ちいき分布ぶんぷし、東京とうきょうしきアクセントはそれを東西とうざいからはさむように東日本ひがしにっぽん中国ちゅうごく地方ちほうなどひろ範囲はんい分布ぶんぷする。東京とうきょうしきアクセントではおとたか部分ぶぶんからひく部分ぶぶんがる位置いちがどこにあるかによってアクセントを区別くべつするが、京阪けいはんしきアクセントではがる位置いちだけでなく語頭ごとうたかいかひくいかも区別くべつする。また九州きゅうしゅう西南せいなんなどに分布ぶんぷするがたアクセントでは、アクセントが2種類しゅるい限定げんていされており、がる位置いち有意ゆういあじではないとかんがえられている。一部いちぶ方言ほうげんでは音韻おんいんてき有意ゆういあじなアクセントがなく、アクセントばれる[1][2]

アクセントは地域ちいきあいだ規則きそくてき対応たいおう関係かんけいがあり、このことから全国ぜんこくのアクセントは過去かこ同一どういつのアクセントが変化へんかしたものとかんがえられている。

日本語にほんごアクセントの体系たいけい表記ひょうき[編集へんしゅう]

ゆうアクセントのおおくの方言ほうげんでは、おとがる位置いちがどこにあるかが区別くべつされる。たとえば東京とうきょう方言ほうげんで「あめが」は「めが」と発音はつおんされ「あ」ののちがりがある(たか発音はつおんする部分ぶぶん太字ふとじあらわす。以下いかおなじ)。「あしが」は「あが」と発音はつおんされ「し」ののちがりがあり、「ふうが」は「かぜが」と発音はつおんされがりがない。がり直前ちょくぜんはくには、アクセントかくばれる、ピッチ変動へんどうをもたらす特徴とくちょうがあるとかんがえられる。東京とうきょう場合ばあい、アクセントかくはそのつぎはくげるはたらきがあるため、かくい、あらわ[3]東京とうきょう方言ほうげんの「あめ」はがたち、「あし」は○かたで、「ふう」は○○がた(アクセントかくなし)である。アクセントかくがあるかたゆうかくがた、ないかたかくがたぶ。

東京とうきょう場合ばあいおと上昇じょうしょう単語たんご固有こゆうのアクセントではない[3]東京とうきょう方言ほうげんでは、あいだ区切くぎらずひとまとまりに発音はつおんした部分ぶぶん(「」とぶ)の1はくと2はくあいだおと上昇じょうしょうがみられる(1はくにアクセントかくがある場合ばあいは、1はくまえ上昇じょうしょうがある)。この、ごとにあらわれる音調おんちょう音調おんちょう[3]。「こ、かぜが」「こ、あが」と区切くぎって発音はつおんすればそれぞれの最初さいしょ上昇じょうしょうあらわれるが、区切くぎらずに発音はつおんすれば「このかぜが」「このあしが」のように最初さいしょにしか上昇じょうしょうあらわれない。使つかった表記ひょうきは、アクセントだけを抽象ちゅうしょうしたものであり、「かぜが」「あが」のような表記ひょうきは、アクセントと音調おんちょう性質せいしつ同時どうじ表記ひょうきしたものである。発話はつわにおける実際じっさい発音はつおんでは、アクセントだけでなく、音調おんちょうや、焦点しょうてんとなるかたり最初さいしょあらわれる上昇じょうしょう(プロミネンス)、疑問ぎもんぶんでの文末ぶんまつ上昇じょうしょうイントネーション)がくわわって音調おんちょうまる。

○○がたと○かたのように、東京とうきょう方言ほうげんではかくがたと、最後さいごはくにアクセントかくがあるかたは、そのままのかたちでは発音はつおん区別くべつはつかない。たとえば、「はな」と「はな」はどちらも「は」でちがいはない。しかし、「が」などの助詞じょしけると、「はなが」(はなが)と「はが」(はなが)で区別くべつできる。「が」のような助詞じょし固有こゆうのアクセントをたず、自立じりつのアクセントに従属じゅうぞくする。以上いじょうのことから、以下いかでは音調おんちょうあらわすときに可能かのうかぎ助詞じょしきのかたちしめしている。

京阪けいはんしきアクセントなどでは、はくない下降かこうかれることがあり、この場合ばあいはく最初さいしょたか最後さいごひくい。たとえば京阪けいはんでは「あめ」には2はくはくない下降かこうがあるが、これを「あぇ」のように表記ひょうきする。

方言ほうげんあいだ対応たいおう関係かんけい[編集へんしゅう]

日本語にほんごのアクセントは地方ちほうによってことなっているが、無秩序むちつじょことなっているのではなく、規則きそくてき対応たいおう関係かんけいがある。たとえば「ふうが」「とりが」「うしが」を東京とうきょうで「ていこうだか」と発音はつおんし、京都きょうとで「こうだかだか」と発音はつおんする。「あしが」「いぬが」「つきが」を東京とうきょうで「てい高低こうてい」、京都きょうとで「高低こうていひく」と発音はつおんする。「あめが」「あきが」「こえが」を東京とうきょうで「高低こうていひく」、京都きょうとで「てい高低こうてい」と発音はつおんする。このような規則きそくてき対応たいおう関係かんけいは、東京とうきょう京都きょうとだけでなく全国ぜんこく方言ほうげんあいだにあり、このことは、全国ぜんこく方言ほうげんアクセントがひとつのアクセント体系たいけいからかれたことを意味いみする[4]体系たいけい存在そんざいしたと推定すいていされるアクセントがた区別くべつしたが単語たんご分類ぶんるいしたかくグループをるいかたりるい)とぶ。2はく名詞めいしにはだい1るいからだい5るいまでの5つのるいがあり、前述ぜんじゅつの「ふうとりうし」はだい1るい、「あしいぬがつ」はだい3るい、「あめあきこえ」はだい5るいである。文献ぶんけん資料しりょうのこ平安へいあん時代じだい京都きょうとのアクセントは、この5つのるい区別くべつし、それぞれのるい語彙ごいことなるアクセントがたっていた。現代げんだいしょ方言ほうげんのアクセントは、体系たいけい様々さまざま変化へんかをしてできたものとかんがえられ、各地かくちとも変化へんか過程かていではいくつかのるい統合とうごうしておながたになっている。現代げんだいしょ方言ほうげんのアクセントは、かくるいがそのでどのようなわせで統合とうごうしているか、またかくるいがどういうかたになっているかによって比較ひかくすることができる。

各種かくしゅのアクセント[編集へんしゅう]

日本語にほんごのアクセント分布ぶんぷ

東京とうきょうしきアクセント[編集へんしゅう]

東京とうきょうしきアクセントが分布ぶんぷするのは、北海道ほっかいどう東北とうほく北部ほくぶ関東かんとう西部せいぶ甲信越こうしんえつ東海とうかい三重みえけんのぞく)、奈良ならけん南部なんぶ近畿きんき北西ほくせい中国ちゅうごく地方ちほう四国しこく西南せいなん九州きゅうしゅう北東ほくとうである。東京とうきょうしきアクセントは、おおきく内輪うちわ東京とうきょうしきちゅう東京とうきょうしき外輪がいりん東京とうきょうしきけられる[5](それぞれ内輪うちわしきちゅうしき外輪がいりんしきとも[6][7])。内輪うちわしき名古屋なごや岐阜ぎふ岡山おかやまきた近畿きんきなど京阪神けいはんしんちか地域ちいき分布ぶんぷし、その外側そとがわ西にし関東かんとう広島ひろしまなどにちゅうしき、さらに外側そとがわ長野ながのけん北信ほくしん新潟にいがたけん中越なかごえ大分おおいたなどに外輪がいりんしき分布ぶんぷする。東京とうきょう方言ほうげん場合ばあい、2はく名詞めいしだい1るいは「うしが」、だい2・3るいは「いが」、だい4・5るいは「とが」と発音はつおんする。これらはそれぞれ、抽象ちゅうしょうすると○○がた、○かたがたあらわされる。東京とうきょうしきアクセントでは、かく)がどこにあるかが弁別べんべつされる。東京とうきょうしきかくタイプの、かくるいのアクセントがたつぎのとおりである。

東京とうきょうしきアクセント
  かたりれい 内輪うちわ ちゅう 外輪がいりん
1はく名詞めいし だい1るい
だい2るい にち
だい3るい
2はく名詞めいし だい1るい うしふうとり ○○
だい2るい いしおと ○○
だい3るい あしいぬやま
だい4るい いとかさそら
だい5るい あめさるはる
2はく動詞どうし だい1るい く・ ○○
だい2るい る・

東京とうきょう方言ほうげん音調おんちょうは1はくと2はくあいだ上昇じょうしょうがあるが、地域ちいきによりのパターンもある。きた奥羽おうう方言ほうげんでは3はく以上いじょうかたりで「おと」「みずみ」のようにアクセントかく直前ちょくぜん上昇じょうしょうする[8]名古屋なごや岐阜ぎふでは「ともだち」のように2はく直後ちょくご上昇じょうしょうする[8]

上記じょうきほか東京とうきょうしきにはいくつかの変種へんしゅアクセントがある。北海道ほっかいどうおよびきた奥羽おうう方言ほうげん三陸さんりく沿岸えんがんのぞく)では2はく名詞めいしがたすくなく[9]秋田あきたけん[10]山形やまがたけん庄内しょうない最上もがみ地方ちほう[11]新潟にいがたけん阿賀野川あがのがわ以北いほく[12]などでは、2はく名詞めいしだい4・5るいのうち2はくこう母音ぼいん(a、e、o)をつもの(「あめ」など)は○かたで、せま母音ぼいん(i、u)をつもの(「はる」など)のみがたとなる傾向けいこうがある。岩手いわてけん南部なんぶ宮城みやぎけん北部ほくぶでは2はく名詞めいしだい1・2るいが○○がたなのは外輪がいりん東京とうきょうしきおなじだが、だい3・4・5るいが○かたで、がたがない[13]福岡ふくおかけん筑前ちくぜん地方ちほうではがたと○かたのみで○○がたがない[14]

島根しまねけん出雲いずも大社たいしゃまち付近ふきんでは、2はく名詞めいしだい4るいのほとんどは○かた(ただし2はくせま母音ぼいん[i、u]をふく場合ばあい助詞じょしきでは「まつ」のようにたか部分ぶぶん助詞じょしうつる)であるが、だい5るいのうち2はくせま母音ぼいんふく場合ばあいがたとなる傾向けいこうがある[15]部分ぶぶんてきだい4るいだい5るい区別くべつがあるようにもえるが、かけじょう区別くべつである可能かのうせいもある[16]

岡山おかやまけん備前びぜん日生ひなせまち寒河そうごは、2はく名詞めいしだい1るいが○○がただい2・4・5るいがただい3るいが○かたである。東京とうきょうしきちかいが、だい1るいと2るいと3るい区別くべつをもつてんめずらしい[17]。また新潟にいがたけん村上むらかみきゅう三面みづらむらおくさんめん山形やまがたけん鶴岡つるおかきゅう東田川ひがしたがわぐん大泉おおいずみむら大鳥おおとりも、同様どうよう類別るいべつ体系たいけい[18]

京阪けいはんしきおよび類似るいじしょアクセント[編集へんしゅう]

京阪けいはんしき[編集へんしゅう]

京阪けいはんしきアクセントは近畿大きんきだい部分ぶぶんから福井ふくいけん小浜おばま付近ふきんと、岐阜ぎふけん揖斐川いびがわまち四国しこく大半たいはん分布ぶんぷする。京阪けいはんしきアクセントは、かく位置いちだけでなく、語頭ごとう高低こうてい弁別べんべつする。語頭ごとうたかいものをこうおこりしきひくいものをていおこりしきい、こうおこりしきをH、ていおこりしきをLとあらわす。たとえば2はく名詞めいしにはH○○がたかぜが)、Hがたしが)、L○○がた(いと/いとが)、L○かた(あが)がある。こうおこりしきは、たかはじまりかくまで(かくければ文節ぶんせつまつまで)たいらに発音はつおんするので、たいらすすむしきともう。ていおこりしきは、ひくはじまり上昇じょうしょうするので、上昇じょうしょうしきとも[3]ていおこりしき近畿きんき中央ちゅうおうでは「かまり」(L○○○)のようにかくのある1はくのみたかく、かくがない場合ばあいは「うさ」「うさぎ」(L○○○)のように文節ぶんせつまつたかく、ただしつぎこうおこりしきかたりつづ場合ばあいは「うさぎがる」のように文節ぶんせつまつまでひく[19][20]一方いっぽう高知こうちなどでは「かまきり」「うさぎ」のように2はくからたかくなる[20][21]京阪けいはんしきでははくないでのおと下降かこうはくない下降かこう)がかれることがあり、近畿きんき中央ちゅうおうなどでは2はく名詞めいしだい5るい(L○)は助詞じょしけない単独たんどく発音はつおんでは「あぇ」のように2はくはくない下降かこうがある。類別るいべつ体系たいけいでは、京阪けいはんしきでは2はく名詞めいしだい4るいだい5るい区別くべつがあるところが東京とうきょうしきとのおおきなちがいである。

京阪けいはんしきアクセント
  かたりれい アクセントがた
1はく名詞めいし
[ちゅう 1]
だい1るい H○
だい2るい にち H
だい3るい L○
2はく名詞めいし だい1るい うしふうとり H○○
だい2るい いしおと H
だい3るい あしいぬやま H
だい4るい いとかさそら L○○
だい5るい あめさるはる L○
2はく動詞どうし だい1るい く・ H○○
だい2るい る・ L○○

和歌山わかやまけん那智勝浦なちかつうらまちや、三重みえけん度会わたらいぐん南部なんぶでは、こうおこりしきかたりの1はくひく発音はつおんされる。たとえば、主流しゅりゅう京阪けいはんしきで「かぜが」「さくらが」「あたまが」と発音はつおんするものを、「かぜが」「さくらが」「あまが」のように発音はつおんする。ただ、そのまえかくがたかたりがつくと、「このかぜが」「このさくらが」「このあたまが」のように語頭ごとうたかくなる。一方いっぽうていおこりしきかたり語頭ごとうひくいままであり、この地域ちいきのアクセントもこうおこりしきていおこりしき区別くべつする体系たいけいっている。[22]

三重みえけん熊野くまの[編集へんしゅう]

三重みえけん尾鷲おわせきゅう早田そうだむらから熊野くまの海岸かいがん御浜みはままち紀宝きほうまちにかけてのアクセントは、山口やまぐち幸洋ゆきひろによるとほぼ同質どうしつのアクセント(熊野くまのしき)で、2はく名詞めいしではだい1るいが○○がただい2・3るいがただい4るい上昇じょうしょうせいのない平板へいばん発音はつおんだい5るいは○かたである[23]。ただしだい2・3るいは、単独たんどくでは「し」だが助詞じょしきでは「あしが」となる傾向けいこうつよい。だい1るいは「かぜが」「かぜが」「かぜ」のすべてがありえ、しかしだい4るいとは区別くべつされる。一方いっぽうだい1・4るいともに「ぜが」「」のような音調おんちょうあらわれることもある[23]だい4るいにはめずらしい現象げんしょうがあり、まえかたりくと「このいと」と発音はつおんされ、このてんで「このうし」(このうし)となるだい1るいとはことなっている[24]

石川いしかわけん能登のと[編集へんしゅう]

石川いしかわけん能登のとのアクセントは地域ちいきによる変異へんいはげしいが、能登のと主流しゅりゅうのアクセントでは、2はく名詞めいしだい1るいは「か」「かぜが」のように発音はつおんされ、だい2・3るいは「い」「いが」となり、だい4るいは「うみ」「うみが」でひく平板へいばんだい5るい単独たんどくでは「あ」だが、助詞じょしくと「あめ」になる[25]。したがって能登のとでは、「ていこうだか」と「ていていこう」と「ていていてい」は区別くべつされる。ただし能登のとでは、2はく母音ぼいん広狭こうきょうによって発音はつおんちがいがある[26]金田一きんだいち春彦はるひこは、この能登のとのアクセントは京阪けいはんしきから東京とうきょうしき変化へんかする途中とちゅうのアクセントであるとかんがえた[26]

垂井たるいしき[編集へんしゅう]

京阪けいはんしきから、こうおこりしきていおこりしき区別くべつをなくしたようなアクセントが、近畿きんき周縁しゅうえん四国しこく山間さんかん北陸ほくりく一部いちぶ分布ぶんぷしている。これを垂井たるいしきアクセントと[27]

このうち、兵庫ひょうごけん赤穂あこう相生あいおいたつの和歌山わかやまけん新宮しんぐうきゅう本宮もとみやまちなどのアクセントをCがたアクセントとび、2はく名詞めいしだい5るいを「あめが」または「あが」とい、だい1るいだい4るい統合とうごうして「いとが」または「いとが」とい、だい2・3るいは「しが」となる。これらは、かくだけを弁別べんべつする東京とうきょうしきおな体系たいけいであり、だい1・4るいが○○がただい2・3るいがただい5るいが○かたである。

一方いっぽう岐阜ぎふけん垂井たるいまち福井ふくいけん大野おおの勝山かちやま京都きょうと福知山ふくちやま兵庫ひょうごけん丹波たんばなどではだい5るいがたになっている。これらの地域ちいきではだい1・4るいが○○がただい2・3・5るいがたであり、Bがたアクセントとばれる[28][29]富山とやまけんのアクセントでは、Bがたアクセントから、さらに母音ぼいん広狭こうきょうおうじて変化へんかきている。だい2・3・5るいのうち、2はくこう母音ぼいんのものは○かたで、2はくせま母音ぼいんのものだけがたでとどまっており、表面ひょうめんじょうはかなり東京とうきょうしきちかいアクセントになっている[30][31]

東京とうきょうしき垂井たるいしきBがた、Cがた接触せっしょく地域ちいき一部いちぶ具体ぐたいてきには兵庫ひょうごけん赤穂あこう福浦ふくうら佐用さようまち末包すえかね奈良ならけん五條ごじょう大塔だいとうまち阪本さかもと天川あまかわむら中谷なかたに岐阜ぎふけん海津かいづ南濃なんのうまちさかい松山まつやまなどでは、2はく名詞めいしだい1るいのみ○○がたで、だい2・3・4・5るいがたである[28][29]。これはAがたアクセントとばれ、垂井たるいしき分類ぶんるいされることもあるが、だい4るいだい1るいとはべつになっている。

讃岐さぬきしき[編集へんしゅう]

香川かがわけん徳島とくしまけん北西ほくせい愛媛えひめけん東部とうぶには、讃岐さぬきしきアクセントが分布ぶんぷする[32]讃岐さぬきしき京阪けいはんしきるものの、2はく名詞めいしだい3るいだい1るい統合とうごうしているてんことなる。観音寺かんおんじなどの香川かがわけん西部せいぶでは、京阪けいはんしきこうおこりたいらすすむしきていおこり上昇じょうしょうしきではなく、下降かこうしきていせっしき対立たいりつがある[3]下降かこうしきを !、ていせっしきを & であらわすと、2はく名詞めいしだい1・3るいが!○○がただい2るいが!がただい4るいが&○○がただい5るいが&○かたである。下降かこうしきでは、2はくと3はくあいだ(2はくでは1はくと2はくあいだ)に小幅こはば下降かこうがある。そのためだい1・3るいは「いぬが」にちかいが「が」がややひくくなる。だい2るいは「しが」。ていせっしきでは、だい4るい「いとが」は平板へいばん音調おんちょうあるいは最初さいしょひくく2はくからすこたかくなるが、かならずしも最初さいしょひくいとはかぎらず、たか平板へいばん音調おんちょう場合ばあいもある。ただ、そのまえかたりけると「このいと」のようにかならひくくなる[6]だい5るいは「あが」[33][34]

讃岐さぬきしき内部ないぶ様々さまざま変異へんいがあり複雑ふくざつ分布ぶんぷをしている。高松たかまつなどの香川かがわけん東部とうぶでは2はく名詞めいしだい1・3るいは「いぬが」であり、だい2るいのうち「おと」など2はくこう母音ぼいん(a, e, o)のものは「おぉが」(2はくはくない下降かこう)となる[34]塩飽しわく本島ほんとう粟島あわしま愛媛えひめけん四国しこく中央ちゅうおう川之江かわのえ徳島とくしまけんきゅう山城やましろまち徳島とくしまけんきゅう一宇いちうむらでは、2はく名詞めいしだい2るいがただい4るいは○○がただが、だい1・3・5るいが○かたになる[35][36][37]。また徳島とくしまけん三好みよし出合であいでは、だい1・2・3るいがただい4るいが○○がただい5るいが○かたである[38][36]

真鍋島まなべしましき[編集へんしゅう]

岡山おかやまけん真鍋島まなべしまのアクセントでは、2はく名詞めいしは、だい1・5るいが「か」、だい4るいが「い」、だい2るいが「ぃ」(2はくはくない下降かこうあり)、だい3るいが「いぬがたとなっている[5]香川かがわけん佐柳島さなぎじまのアクセントもこれにるが、複雑ふくざつ体系たいけいっており、かた種類しゅるい全国ぜんこくもっとおお[5]

伊吹島いぶきじま[編集へんしゅう]

香川かがわけん伊吹島いぶきじまでは、全国ぜんこく唯一ゆいいつ、2はく名詞めいしの5つのるいすべ区別くべつしている。金田一きんだいち春彦はるひこによればだい1るいかぜ」、だい2るいわ」、だい3るいやまぁ」、だい4るい「か」、だい5るい「あぇ」である[5]上野うえの善道ぜんどうによれば、たいらすすむしき H、下降かこうしき !、上昇じょうしょうしき L の対立たいりつがあり、だい1るいはH○○がただい2るいはHがただい3るいは!○○がただい4るいはL○○がただい5るいはL○かたである[6]

石川いしかわけん加賀かが福井ふくいけん今庄いまじょう[編集へんしゅう]

石川いしかわけんきゅう白峰しらみねむらのアクセントでは、下降かこうしき ! とたいらすすむしき(あるいは下降かこうしき。ここでは無印むじるしとする)の対立たいりつがある[6]白峰しらみね下降かこうしき音調おんちょうは、2はくもっとたかく、3はく以降いこうゆるやかに下降かこうしていく。ただし助詞じょしかない2はくでは1はくがややたかく2はくにはちいさなはくない下降かこうかれる[39]。2はく名詞めいしだい1るいが!○○がただい2・3るいがただい4・5るいが○○がたである(だい5るいにはがたかたりじる[40][6]。3はくでは室町むろまち時代じだい京都きょうとアクセントでH○○○がただったものが!○○○がたに、H○がたが○がたに、H○○が○○に、L○○○がたとL○がた統合とうごうして○○○がたになっている[39][5]

加賀かが地方ちほう平野へいやでは、これが母音ぼいん広狭こうきょうおうじて変化へんかしている。たとえば加賀かが大聖寺だいしょうじでは、2はく名詞めいしだい1・2・3るいのうち、2はくせま母音ぼいん(i、u)をつものはがたで、2はくこう母音ぼいん(a、e、o)をつものは○かたである[41]一方いっぽう金沢かなざわ昭和しょうわまれ)では、だい1・2・3るいのうち、2はくゆうごえ子音しいんかつせま母音ぼいんのもの(いぬなど)ががたで、2はく無声むせい子音しいんまたはこう母音ぼいんのもの(いけやまなど)は○かたである。ただし、金沢かなざわ明治めいじまれを中心ちゅうしんだい正中せいちゅうごろまでにまれた世代せだいでは、だい1るいはすべて○かたで、だい2・3るいとは区別くべつされる[42][40]だい2・3るいだい部分ぶぶんが○かたになるので、やや東京とうきょうしきちか[5]。なお金沢かなざわにおける○かたなどの語末ごまつかくのあるかた最終さいしゅうはくはくない下降かこうがある[42]金沢かなざわでもだい4・5るいは○○がたである(だい5るいには○かたがたかたりこんじる)[40][41]

福井ふくいけんきゅう今庄いまじょうまちでは2はく名詞めいしだい1・2・3るいがただい4・5るいが○○がただい5るい半数はんすうがた)になっている[29][43]福井ふくい東部とうぶ美山みやままち芦見川あしみがわ流域りゅういき吉山よしやま籠谷かごたに西中にしちゅう)にも、だい1・2・3るいがただい4るい○○がただい5るいはまとまりなし)で○かたいアクセントがある[44]

佐渡さどとう今須います八幡浜やわたはま[編集へんしゅう]

新潟にいがたけん佐渡さどとうのうち、北端ほくたん南西なんせいでは2はく名詞めいしだい1・5るいが○かただい2・3るいがただい4るいが○○がたである。佐渡さど中央ちゅうおうでは、だい1・4・5るい統合とうごうして○○がただい2・3るいがたである[28][5]

岐阜ぎふけん関ケ原せきがはらまち今須います[29]や、愛媛えひめけん八幡浜やわたはまのアクセントでも、だい1・4・5るいが○○がただい2・3るいがたである。3はくると、室町むろまち時代じだい京都きょうとアクセントでH○○○がたさくら)、L○○○がた(うさぎ)、L○がた(いちご)だったものが統合とうごうして○○○がたになり、室町むろまち時代じだい京都きょうとでH○がたあたま)だったものは○がた、H○○がたいのち)だったものは○○がたになっている[5]

三重みえけん尾鷲おわせ紀北きほく[編集へんしゅう]

三重みえけん紀北きほくまちのアクセント(長島ながしましき)では、2はく名詞めいしは、だい1るいが○○(がりなし)、だい2・3るい○、だい4・5るいが○という体系たいけいっている[23]。また同種どうしゅのアクセントが奈良ならけん下北山しもきたやまむら池原いけはらにもある[23]

尾鷲おわせ中心ちゅうしん九鬼くきのアクセント(尾鷲おわせしき)は紀北きほくまちのものにちかいが、複雑ふくざつ体系たいけいっており、研究けんきゅうしゃによって解釈かいしゃくかれる。だい1るいは○○がただい2・3るいがたである。だい1るいは「う」、「うっしゃ」(うしが)のように発音はつおんされる(この地域ちいき方言ほうげんとして助詞じょしまえかたり融合ゆうごうして発音はつおんされる)。だい4・5るいは、単独たんどくでは「いと」と発音はつおんされるものの、○○がたの「この」がまえると、「こいと」のようにひく発音はつおんされる。また、だい4・5るいのちかたりは「いときる」のようにひく発音はつおんされる。ただし、だい4・5るいのち助詞じょしひくくならず、「あんみゃふる」(あめる)のように助詞じょしのちひく発音はつおんされる。金田一きんだいち春彦はるひこはこれを、だい4・5るいには語頭ごとう直前ちょくぜんがりがあるため「こいと」のようになり、また2はく直後ちょくごにもがりがあるため「いときる」のようになると解釈かいしゃくした[22]

奈良ならけん下北山しもきたやまむら大瀬おおせおとえだ(いずれもダム建設けんせつのため現存げんそんせず)と、三重みえけん尾鷲おわせ古江ふるえのアクセントでは、2はく名詞めいしだい1るいが○○がただい2・3・4・5るいが○かたである[23]

かく方言ほうげん比較ひかくひょう[編集へんしゅう]

2はく名詞めいしのアクセント
るい かたりれい 京阪けいはんしき 垂井たるいしき
Cがた
垂井たるいしき
Bがた
垂井たるいしき
Aがた
伊吹島いぶきじま
[ちゅう 2]
西にし讃岐さぬき 粟島あわしま
川之江かわのえ
など
徳島とくしまけん
出合であい
石川いしかわけん
白峰しらみね
福井ふくいけん
今庄いまじょう
佐渡さわたりりょうはし 佐渡さど中央ちゅうおう
今須います
八幡浜やわたはま
三重みえけん
長島ながしましき
三重みえけん
古江ふるえ
岡山おかやまけん
寒河そうご
内輪うちわ
ちゅう
東京とうきょうしき
だい1るい うしふう H○○ ○○ ○○ ○○ H○○ !○○ !○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○
だい2るい いしおと H H !
だい3るい あしやま H !○○ !○○
だい4るい いとそら L○○ ○○ ○○ L○○ &○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○
だい5るい あめさる L○ L○ &○ ○○ ○○ ○○

がり弁別べんべつするアクセント[編集へんしゅう]

日本語にほんごおおくの方言ほうげんでは、おとがり位置いち区別くべつするが、がり位置いち区別くべつする方言ほうげんもある。

奈良田ならだのアクセント[編集へんしゅう]

山梨やまなしけん早川はやかわまち奈良田ならだがその代表だいひょうで、奈良田ならだのアクセントではかく弁別べんべつする。かくは、そのつぎおとげるはたらきをつ。かく位置いちは、周辺しゅうへんなか東京とうきょうしきアクセントのかく位置いちとほぼおなじで、しかしかく種類しゅるいちがうため高低こうていはまったくちがってくる。かく場合ばあいは「ぜが」(ふうが)のように1はくたかくなる。このように、1はくかくがある場合ばあいのぞいて1はくたかくなるが、これはアクセントの弁別べんべつてき特徴とくちょうではない。ゆうかく場合ばあいかくのちたか部分ぶぶんは、原則げんそくとして1はくである。がたの「さる」は「さが」、○かたの「やま」は「」と発音はつおんされる。3はくになると、○○○がたくらが)、○○がた(かとが)、○がたが)、○○かたがみ)のようになる[45]

埼玉さいたまけん東部とうぶにもたアクセントがあり、「埼玉さいたま特殊とくしゅアクセント」とばれるが、かた区別くべつ曖昧あいまいである。(後述こうじゅつ

青森あおもりなどののぼかくアクセント[編集へんしゅう]

おなじくおとがり区別くべつするアクセントで、のぼかく弁別べんべつするものがある。のぼかくは、その音節おんせつはくがるというものである。のぼかくによるアクセント体系たいけいは、青森あおもりけん青森あおもり弘前ひろさき岩手いわてけん雫石しずくいしまちから報告ほうこくされている[45][46][47]。これらの方言ほうげんでは、単語たんごのいいきりのかたちでは東京とうきょうしきアクセントとおな音調おんちょうであるため東京とうきょうしきアクセントに分類ぶんるいされていたが、文中ぶんちゅうでの接続せつぞくかたちから、がり弁別べんべつしているのではないことがあきらかになった。たとえば弘前ひろさきでは、「さる」はいいきりのかたちでは「る。」であるが、ぶんがつながっていく場合ばあいでは「さるも…」となる。「やま」のいきりでは「や。」(ただし2はくはくない下降かこうがある)だが、接続せつぞくかたちでは「やまも…」となる。弘前ひろさきのアクセントで弁別べんべつされるのはがりであり、がるのはいいきるときの最後さいごひとまえまっている。「さる」はがた、「やま」は○かたであり、のぼかくのあるところからたかくなる。3はくでは、○○がたでは「きつねも…」、○がたは「うさぎも…」、○○かたでは「おとこも…」のようになる[45]

岩手いわてけん宮古みやふるのぼかくアクセントだが、一語いちご高音こうおんやまが2かいあらわれる場合ばあいがある。かくが3はく以降いこうにある場合ばあいは「さ」(○○がた)、「たなぁ」(○○○かた)のように、語頭ごとうからかくの2はくまえまでたかく、かく直前ちょくぜんひくく、かくふたたたかくなったのち下降かこうする(語末ごまつかくがある場合ばあいはくない下降かこうあらわれる)。かくが1・2はく場合ばあい高音こうおんいちしょだけで、「くじら」(○○がた)は「高中たかなかてい」、「風呂敷ふろしき」(○○○がた)は「てい高中たかなかてい」となるなど、かくのち下降かこうゆるやかである。かく場合ばあいは「み」、「」、「」、「さか」、「にわ」、「にわと」のように、文節ぶんせつながさにおうじて下降かこう上昇じょうしょう位置いちうごき、「こう高低こうていだか」の音調おんちょうあらわれる。かく場合ばあいあらわれる「こう高低こうていだか」が宮古みやこ方言ほうげんにおける基本きほん音調おんちょうかんがえられ、ゆうかく場合ばあいかくよりまえ部分ぶぶん音調おんちょうとして「こう高低こうてい」があらわれる[48]

Nがたアクセント[編集へんしゅう]

以下いか解説かいせつする、さんがたアクセント、がたアクセント、いちがたアクセントを総称そうしょうして、Nがた(エヌけい)アクセントとぶ。Nがたアクセントとは、アクセントの対立たいりつすう一定いっていすう以下いかおおくの場合ばあいは3以下いか)に限定げんていされているアクセント体系たいけいし、対立たいりつすうおうじてさんがたがたいちがた[49]

九州きゅうしゅう西南せいなんしき[編集へんしゅう]

九州きゅうしゅう西南せいなんには、はくすうえてもアクセントのかたが2種類しゅるいしかないアクセントがある。このようなものをがたアクセントとび、後述こうじゅつさんこくしきアクセントもそうである。九州きゅうしゅうがたアクセントは九州きゅうしゅう西南せいなんしきアクセントともばれる[50]単語たんごはAがたとBがたのどちらかにぞくしており、1はく名詞めいしではだい1・2るいがAがただい3るいがBがたぞくし、2はく名詞めいしではだい1・2るいがAがただい3・4・5るいがBがたぞくす。二型にがたアクセントでは単語たんご単独たんどく助詞じょしきではたか部分ぶぶん位置いちことなり、助詞じょしきのときはその助詞じょしきのかたちおなながさの名詞めいしおな音調おんちょうになる。この現象げんしょうを「系列けいれつ」と[49]。たとえば長崎ながさきけん南部なんぶでは、Aがたは「ぜ」「かぜが」「からだ」「からだが」「かまぼこ」のように、2はく文節ぶんせつでは1はくたかく、3はく以上いじょう文節ぶんせつでは2はくまでをたか発音はつおんし、Bがたは「か」「かさ」「から」「からす」「かみな」のように最終さいしゅうはくたか発音はつおんする[51][52]。また鹿児島かごしまけんだい部分ぶぶんでは、Aがたは「ぜ」「かが」「さら」「さくが」のように文節ぶんせつ最終さいしゅう音節おんせつの1つまえ音節おんせつたか発音はつおんされ、Bがたは「か」「かさ」「あた」「あたま」のように最終さいしゅう音節おんせつたか発音はつおんする[52][53]鹿児島かごしまけん枕崎まくらざきでは高低こうてい様相ようそうがかなりちがい、Aがたは「か」「」、Bがたは「さ」「かが」(ただし最終さいしゅうはくまえ下降かこうはばちいさい)のように[49]種子島たねがしま北部ほくぶ枕崎まくらざきのアクセントに[5]

隠岐おきのアクセント[編集へんしゅう]

島根しまねけん隠岐諸島おきしょとうのアクセントは、せま範囲はんいはげしい地域ちいきがある。おおきくけても知夫ともお西ノ島にしのしま中ノ島なかのしま島後どうご南部なんぶ島後どうご北部ほくぶ都万つま五箇ごか中村なかむら)の3つにけられ、それぞれも集落しゅうらくによるちがいがある。下表かひょうはそれぞれの代表だいひょう地点ちてんとして知夫ともお別府べっぷ五箇ごかのアクセントをしめしたもので、/で区切くぎられた左側ひだりがわ助詞じょしけない単独たんどくがた右側みぎがわ助詞じょしけたかたちである(たとえば知夫ちぶでの「いけ」は「け」「いけが」)[54]知夫ちぶ以外いがいでははくすうえてもアクセントのかた種類しゅるいは3種類しゅるいのみで、さんがたアクセントである。知夫ちぶでは2種類しゅるいのみで、がたアクセントである[5]隠岐おきでも九州きゅうしゅう西南せいなんしきおなじく、系列けいれつ現象げんしょうがみられる[49]

隠岐おきのアクセント
2はく名詞めいし かたりれい 知夫ともお 別府べっぷ 五箇ごか
だい1るい ふうくち ていこう/ちゅうてい-こう ていこう/ていこう-ひく ていこう/ちゅうてい-こう
だい2るいだい3るい おとやま 高低こうてい/高高たかだか-ひく 高低こうてい/高高たかだか-ひく 高低こうてい/ていこう-ひく
だい4るいだい5るい そらあめ ていこう/ちゅうてい-こう ていこう/ていこう-こう ちゅうてい/ちゅうてい-ひく

福井ふくいみねきた[編集へんしゅう]

福井ふくいけんみねきた平野へいやには、坂井さかい三国みくにまちあわら永平寺えいへいじまち松岡まつおかなどに、さんこくしきばれるがたアクセントがある[55][56][57]。2はく名詞めいしでは、だい1・4・5るいを「ぜ」「かが」、だい2・3るいを「い」「いしが」のように発音はつおんする[5]。これはがり有無うむのみが区別くべつされており、だい1・4・5るいがりあり、だい2・3るいがりなし、という体系たいけいである。はくすうえても、2はくからたか最後さいごはく直前ちょくぜん下降かこうするゆう下降かこうがたと、最後さいごまで下降かこうしない下降かこうがたの2種類しゅるいかたからなる[13][57]。ただしかた区別くべつはあいまいで、調査ちょうさ方法ほうほうによって、アクセントとされる福井ふくい市内しないでもさんこくしきアクセントがあらわれることもあれば、三国みくにまちでの調査ちょうさ全員ぜんいんアクセントとされたこともあり[13][55]山口やまぐち幸洋ゆきひろ調査ちょうさでアクセントの区別くべつあらわれたとしても方言ほうげんとしての自然しぜん姿すがたアクセントではないかと指摘してきしている[13]

最近さいきん調査ちょうさでは、みねきた沿岸えんがんで、多種たしゅさんがたアクセントが発見はっけんされている。あわらには3種類しゅるいさんがたアクセントをふく多様たようなアクセント体系たいけい複雑ふくざつ分布ぶんぷしており[57]福井ふくい沿岸えんがんには4しゅさんがたアクセントがあり[44]坂井さかい三国みくにまち安島やすじま越前えちぜんまちくりや小樟ここのぎさんがたアクセントである[58][59]。これらはいずれもかた区別くべつ明瞭めいりょうである。地区ちくにより音調おんちょうちがいがあるものの、かくかた所属しょぞく語彙ごい共通きょうつうしており、2はく名詞めいしはおおむねだい1るいだい2・3るいだい4・5るい区別くべつされている[58][59][44]

いちがたアクセント[編集へんしゅう]

宮崎みやざきけん都城みやこのじょう鹿児島かごしまけんきゅう志布志しぶしまちのアクセントでは、すべての単語たんご文節ぶんせつにおいて、最終さいしゅう音節おんせつたか発音はつおんする。たとえば、「き」(が、が)、「あ」(あめあめ)、「あめ」(あめが、あめが)、「おと」(おとこ)、「おとこ」(おとこも)など[21]すべてのかたりのアクセントがおなじであり、このようなアクセントをいちがたアクセントとぶ。いちがたアクセントでは、アクセントによって単語たんご弁別べんべつする機能きのうはないが、文節ぶんせつのまとまりをしめ機能きのうをもつ[21]

曖昧あいまいアクセント[編集へんしゅう]

かた区別くべつ曖昧あいまいなアクセントを総称そうしょうして曖昧あいまいアクセントと[60]話者わしゃのアクセントが一定いっていせず、おな複数ふくすうかた発音はつおんする傾向けいこうがある。アクセント体系たいけい崩壊ほうかいしてアクセントに変化へんかする途中とちゅうであるとするせつと、ぎゃくアクセント話者わしゃがアクセントを獲得かくとくしようとする途中とちゅうのアクセントであるとするせつがある。

埼玉さいたま特殊とくしゅアクセント とう[編集へんしゅう]

埼玉さいたまけん東部とうぶには奈良田ならだ方言ほうげんのアクセントにたアクセントがあり、「埼玉さいたま特殊とくしゅアクセント」とばれる。おと高低こうていちゅう東京とうきょうしきとほとんどぎゃくになるが、ちゅう東京とうきょうしきアクセントとアクセントのなかあいだがたのアクセントとかんがえられる。埼玉さいたま特殊とくしゅアクセントのなかでも、地域ちいきによるちがいがおおきく、たとえば蓮田はすだでは「あめが」(あめが)、「いしが」(いしが)、「あが」(あきが)、加須かぞでは「あめが」(あめが)、「しが」(いしが)、「あきが」(あきが)のようなアクセントであり[61]かた区別くべつがあいまいである。戦前せんぜん東京とうきょう足立あだち葛飾かつしか江戸川えどがわ、(現在げんざいの)千葉ちばけん浦安うらやすにまで分布ぶんぷしていたが、戦後せんご東京とうきょうしきアクセントの範囲はんいひろがった[5]

栃木とちぎけん佐野さの群馬ぐんまけん館林たてばやし板倉いたくらまち付近ふきんにもちゅう東京とうきょうしきアクセントのあいだ曖昧あいまいアクセントが分布ぶんぷする。

また、外輪がいりん東京とうきょうしき変種へんしゅアクセントと、アクセントの分布ぶんぷいき境界きょうかい地帯ちたいにあたる、宮城みやぎけん北部ほくぶから山形やまがたけん北東ほくとうにかけても埼玉さいたま東部とうぶたアクセントが分布ぶんぷしている。2はく名詞めいしだい4・5るいのほとんどが「か調ちょうとなり、だい1・2るい無造作むぞうさ発音はつおんでは「ぜ」調ちょうとなるが、かた区別くべつ曖昧あいまいである[62]

アクセント[編集へんしゅう]

東北とうほく南部なんぶ関東かんとう北東ほくとう八丈島はちじょうじま静岡しずおかけん大井川おおいがわうえ流域りゅういき福井ふくいけんみねきた地方ちほう平野へいや九州きゅうしゅう中部ちゅうぶ宮崎みやざきけんなど)などでは、単語たんごのどこをたかくするというまりがい。これをアクセントと[21]

琉球りゅうきゅう方言ほうげんのアクセント[編集へんしゅう]

琉球りゅうきゅう方言ほうげんのアクセントは内部ないぶおおきいが、おおくはがたまたはさんがたのNがたアクセント体系たいけいゆうする[63]

琉球りゅうきゅう方言ほうげんでは、本土ほんど方言ほうげんとはことなったるい分裂ぶんれつ統合とうごうられる。2はく名詞めいしだい3・4・5るいは、琉球りゅうきゅう方言ほうげんではかくるい分裂ぶんれつして別々べつべつかたぞくしている。琉球りゅうきゅうかく方言ほうげん比較ひかくにより、琉球りゅうきゅう祖語そご琉球りゅうきゅう方言ほうげんすべての祖語そご)の2はく名詞めいしは、A系列けいれつだい1・2るい)、B系列けいれつだい3るいほとんどとだい4・5るいやく半数はんすう)、C系列けいれつだい3るい少数しょうすうだい4・5るいのこ半数はんすう)の3つの系列けいれつ区別くべつされていたと想定そうていされる[64]徳之島とくのしま沖永良部島おきのえらぶしま与那国島よなぐにじまなどでA/B/Cが区別くべつされるほか方言ほうげんにより一部いちぶ系列けいれつ統合とうごうして、A/BC、AB/C、AC/Bのように区別くべつされている[65][64]

金武かなたけ方言ほうげんの2はく名詞めいしのアクセント(おとがる位置いちを[であらわす)[66]
系列けいれつ るい かたり 語形ごけい
A系列けいれつ だい1るい ふう kaʒi
だい2るい おと ʔutu
B系列けいれつ だい3るい やま jaːma[ː
だい4るい いた ʔiːta[ː
だい5るい あめ ʔaːmi[ː
C系列けいれつ だい3るい はま haː[ma
だい4るい なか naː[ka
だい5るい さる saː[ru

アクセントの類型るいけい[編集へんしゅう]

方言ほうげんアクセントの種類しゅるい[67]
かた

ゆう


弁別べんべつ特徴とくちょう
(アクセント
かく声調せいちょう
下位かい分類ぶんるい
名称めいしょう
かた区別くべつ かたかず 地域ちいき 人口じんこう
ゆう
かた




おお
かた




かくあり・
声調せいちょうなし
のぼかく
アクセント
のぼかく
位置いち
nはくにつき
n+1
東北とうほく北部ほくぶ 5%前後ぜんご
かく
アクセント
かく
位置いち
東北とうほく北部ほくぶじょ
く「東京とうきょうしきアク
セント」地域ちいき
60%以上いじょう
かくあり・
声調せいちょうあり
かく+声調せいちょう
アクセント
かく
位置いちと、
開始かいし音調おんちょう
1はくは3しゅ
2はくは4しゅ
3はく以上いじょう
nはくにつき
2n-1
京阪けいはんしきアク
セント」地域ちいき
20%つよし
N
かた




かくなし・
声調せいちょうあり
2がたアクセント 全体ぜんたい
ピッチパ
ターン
2 九州きゅうしゅう西南せいなん
琉球りゅうきゅう
5%前後ぜんご
3がたアクセント 3 島根しまねけん隠岐おき
琉球りゅうきゅう
1がたアクセント 1 宮崎みやざきけん都城みやこのじょう
小林こばやし
鹿児島かごしまけんしむらぬの
しむら曽於そお
10%つよし

かた





かた




不定ふてい かたアクセント なし 不定ふてい 東北とうほく南部なんぶせき
東北とうほく九州きゅうしゅう
中部ちゅうぶ

どのるいがどのアクセントがたぞくすか、という対応たいおうはなれて、かく方言ほうげんでどのようなアクセントの弁別べんべつ体系たいけいっているのかをる。

東京とうきょうしきアクセントや京阪けいはんしきアクセントでは、はくすうえるとそれだけアクセントのかた種類しゅるいえる。たとえば東京とうきょうでは、2はくには○○、○、○の3種類しゅるい、3はくには○○○、○○、○○、○○の4種類しゅるいのアクセントがある。つまりnはくにはn+1種類しゅるいのアクセントのかたがある。このような、はくすうえるにしたがってアクセントのかたえるものを、かたアクセントと[3]

一方いっぽう九州きゅうしゅう西南せいなんしきなどのがたアクセントでは、はくすうえてもかた区別くべつは2種類しゅるいである。また、島根しまねけん隠岐諸島おきしょとう知夫ちぶのぞく)では、はくすうえてもかた種類しゅるいは3種類しゅるいまでである[68]。このような、はくすうえてもかた区別くべつ一定いっていすう以上いじょうえないものを、Nがたアクセントと[3]

東京とうきょうしきアクセントではかく位置いちのみが有意ゆういあじであり、「位置いちのアクセント(狭義きょうぎのアクセント)」とみなされる。一方いっぽう京阪けいはんしきアクセントやNがたアクセントにみられる音調おんちょうを、かたり声調せいちょう(トーン)とみなすせつもある。かたり声調せいちょう(トーン)とは、かくかたり文節ぶんせつはどのパターンをつか、が有意ゆういあじなものである(中国ちゅうごくのような音節おんせつごとの声調せいちょうとはことなる)[53]かたり声調せいちょうは、単語たんご文節ぶんせつ全体ぜんたいにかかる音調おんちょうパターンであり、その方言ほうげんにおいてどのパターンがあるかがまっている。たとえば鹿児島かごしま方言ほうげんでは、最後さいごから2音節おんせつたか最後さいご下降かこうするAがたと、最後さいごの1音節おんせつたかいBがたの2種類しゅるいかたり声調せいちょうっている[ちゅう 3]京阪けいはんしきアクセントは、このかたり声調せいちょう位置いちアクセントの両方りょうほうち、こうおこりしきていおこりしきの2つのかたり声調せいちょう(トーン)と、かく位置いちわさったものである。

複合語ふくごうごアクセント規則きそく[編集へんしゅう]

複合語ふくごうごのアクセントは、その構成こうせい要素ようそのアクセントそのままではない。複合語ふくごうごのアクセントは、しょ方言ほうげんにおいて一定いってい生成せいせい規則きそく存在そんざいする。複合語ふくごうごが2つの形態素けいたいそから場合ばあいたとえば「みかんはたけ」の場合ばあい、1つ形態素けいたいそ(みかん)を「前部ぜんぶ要素ようそ」、2つ形態素けいたいそはたけ)を「後部こうぶ要素ようそ」とぶ。複合語ふくごうごのアクセント規則きそくには、前部ぜんぶ要素ようそ後部こうぶ要素ようそそれぞれのアクセントや、それぞれのながさ(はくすう)がかかわる。

たとえば東京とうきょう方言ほうげんでは、ふく合名ごうめい後部こうぶ要素ようそが3はく場合ばあい後部こうぶ要素ようそ単独たんどくがたのアクセント(以下いかたんに「後部こうぶ要素ようそのアクセント」とう)が○がた(2がた)なら複合語ふくごうご語末ごまつから2はくにアクセントかくかれる(これを「-2がた」と表現ひょうげんする。以下いかおなじ。れい:「たご」→「ゆでたご」、「うわ」→「ひだりうわ」)。それ以外いがい後部こうぶ要素ようそなら複合語ふくごうご語末ごまつから3はくにアクセントかくかれる(-3がたれい:「さかな」(かく)→「やきかな」、「ちか」→「ばかから」)[69]。ただしわか世代せだいでは、後部こうぶ要素ようそが○がたであっても複合語ふくごうごが-3がたとなる(れい:「ゆでまご」)ので、後部こうぶ要素ようそのアクセントにかかわらず、後部こうぶ要素ようそが3はくなら複合語ふくごうごは-3がたとなる[69]一方いっぽう後部こうぶ要素ようそが5はく場合ばあい後部こうぶ要素ようそのアクセントかく位置いちがそのまま複合語ふくごうご反映はんえいされる(れい:「さいばんしょ」→「ちほうさいばんしょ」、「ハーモニカ」(かく)→「でんしハーモニカ」(かく))[70]後部こうぶ要素ようそが2はく場合ばあい後部こうぶ要素ようそが「ふね」「そら」なら-2がた、「むし」「かわ」なら-3がた、「やま(やま)[ちゅう 4]」「いろ」ならかくというように、どの後部こうぶ要素ようそであるかにより個別こべつ複合語ふくごうごのアクセントがまる[70]東京とうきょうでは前部ぜんぶ要素ようそふく合名ごうめいのアクセントに関与かんよしない。東京とうきょうのような、後部こうぶ要素ようそによってふく合名ごうめいのアクセントがまる方言ほうげんは、広島ひろしま岡山おかやま名古屋なごやといった内輪うちわ東京とうきょうしきちゅう東京とうきょうしき方言ほうげんがあり、いずれも後部こうぶ要素ようそながさが3はく場合ばあいふく合名ごうめいは-3がた原則げんそくである[69]

京阪けいはんしきアクセントの京都きょうと方言ほうげんでは、ふく合名ごうめいしきこうおこりしき/ていおこりしき)は前部ぜんぶ要素ようそしきによりまり、アクセントかく位置いち後部こうぶ要素ようそによってまる。前部ぜんぶ要素ようそこうおこりしきならば複合語ふくごうごこうおこりしき前部ぜんぶ要素ようそていおこりしきならば複合語ふくごうごていおこりしきであるのを原則げんそくとし、これを「しき保存ほぞん」の法則ほうそく[69]。ただし前部ぜんぶ要素ようそながさがみじかい(2はく以下いか場合ばあいは、例外れいがいてき前部ぜんぶ要素ようそていおこりしき複合語ふくごうごこうおこりしきとなる場合ばあいおおく、よく使つかかたりわる意味いみかたりではぎゃく前部ぜんぶ要素ようそこうおこりしき複合語ふくごうごていおこりしきとなる場合ばあいがある[71]後部こうぶ要素ようそながさが3はく場合ばあい複合語ふくごうごほとんどが-3がたである(れい:「えいご」(こうおこりかく)→「えいごじてん」(こうおこり-3がた)、「こく」(ていおこりかく)→「こくごてん」(ていおこり-3がた)、「かん」(こうおこり1がた)→「みかんばたけ」(こうおこり-3がた)、「やさ」(ていおこりかく)→「やさいたけ」(ていおこり-3がた))[72][69]したがって、後部こうぶ要素ようそが3はく場合ばあいふく合名ごうめいのアクセントかく位置いちだけをると、東京とうきょうわか世代せだい京都きょうととで原則げんそくとしておなじになる[69]後部こうぶ要素ようそが2はく場合ばあいも-3がたおおいが、後部こうぶ要素ようそが「さる」ならば-2がた、「しま(じま)」ならばかくというような個別こべつ例外れいがいがある[72]

おな京阪けいはんしきアクセントでも、和歌山わかやま方言ほうげん徳島とくしまけん阿南あなん方言ほうげんなど、周辺しゅうへん方言ほうげんでは、後部こうぶ要素ようそが-2がたであるH○がたまたはL○がた場合ばあいには、複合語ふくごうごでも-2がたとなる(和歌山わかやまれい:「し」+「あたま」→「いしあたま」。「はぇ」+「あたま」→「はげあま」、「かん」+「はけ」→「みかんばたけ」、「やさ」+「はけ」→「やさいばけ」)[69]

歴史れきしてきには、京都きょうと方言ほうげんの5はくふく合名ごうめい研究けんきゅうによれば、平安へいあん時代じだいにもしき保存ほぞん法則ほうそくっており、後部こうぶ要素ようそが3はく場合ばあい前部ぜんぶ要素ようそこうおこりしきなら「高高たかだかこう高低こうていがたていおこりしきなら「ていていてい高低こうていがたとなる、-2がた基本きほんであった[73]南北なんぼくあさ時代じだいにアクセント体系たいけい変化へんかきた(後述こうじゅつ)ために、ていおこりしき基本きほんてき複合語ふくごうごかたである「ていていてい高低こうていがたが「こう高低こうていていてい」(こうおこり2)がた変化へんかし、しき保存ほぞん法則ほうそくくずれた。その、もうひとつの基本きほんてきかたである「高高たかだかこう高低こうてい」(こうおこり4)がたこうおこり2がた統合とうごうされる傾向けいこうられ、現代げんだい京都きょうとのようなしき保存ほぞんや-3がた基本きほんとする規則きそく移行いこうしたのは近世きんせい以降いこう比較的ひかくてき最近さいきんのことだとかんがえられる[74]

九州きゅうしゅう西南せいなんしき鹿児島かごしま方言ほうげん場合ばあい複合語ふくごうごのアクセント規則きそく後部こうぶ要素ようそ関与かんよせず、前部ぜんぶ要素ようそがAがたなら複合語ふくごうごふくあい動詞どうし活用かつようがたふくむ)もAがた前部ぜんぶ要素ようそがBがたなら複合語ふくごうごもBがたである[69]。このように、前部ぜんぶ要素ようそによって複合語ふくごうごのアクセントがまる方言ほうげんは、九州きゅうしゅう西南せいなん琉球りゅうきゅう方言ほうげんにもひろ分布ぶんぷしている[69][70]

島根しまねけん松江まつえ方言ほうげんでも、前部ぜんぶ要素ようそふく合名ごうめいのアクセントをめる。前部ぜんぶ要素ようそかくならふく合名ごうめいかくとなる(れい:「ちゃ」(かく)→「茶畑ちゃばた」(かく))。前部ぜんぶ要素ようそゆうかく場合ばあいふく合名ごうめいゆうかくで、後部こうぶ要素ようそながさが3はくなら-3がたとなる(れい:「し」→「のしくろ」、「い」→「いもくろ」)。後部こうぶ要素ようそながさが2はくなら-2がたとなる(れい:「ら」→「わらご」、「は」→「はなご」。「とり」(かく)→「とりかご」(かく))[70]

のぼかく岩手いわてけん雫石しずくいしまち方言ほうげんでは、後部こうぶ要素ようそながさが3はく場合ばあい前部ぜんぶ要素ようそかくならふく合名ごうめいかく前部ぜんぶ要素ようそゆうかくならふく合名ごうめいゆうかくで、後者こうしゃ場合ばあいのアクセントかく位置いちは、後部こうぶ要素ようそのアクセントと音節おんせつ構造こうぞうによってまる[69]

歴史れきし[編集へんしゅう]

京都きょうとアクセントの変遷へんせん[編集へんしゅう]

京都きょうとアクセントの変遷へんせん[75]
  かたりれい 名義めいぎしょうしき
平安へいあん後期こうき
忘記しき
室町むろまち
現代げんだい
1はく
名詞めいし
だい1るい こうこう)〜高高たかだかこう
だい2るい めいにち くだてい)〜高低こうていてい)※
だい3るい ていこう)〜ていていこう
2はく
名詞めいし
だい1るい ふうとり 高高たかだかこう
だい2るい いしおと 高低こうていてい)※
だい3るい いぬやま ていていこう 高低こうていてい
だい4るい いとそら ていこうこう ていていこう
だい5るい さるあめ ていくだてい)※
3はく
名詞めいし
だい1るい かたちさかな こうだかだかこう
だい2るい 小豆あずきおんな こう高低こうていてい)※ 高低こうていひくてい
だい3るい ちから二十歳はたち 高低こうていひくてい)※
だい4るい あたまおとこ ていていていこう こう高低こうていてい 高低こうていひくてい
だい5るい 朝日あさひいのち ていていこうこう 高低こうていひくてい
だい6るい すずめうさぎ ていこうだかこう ていていていこう
だい7るい くすりかぶと てい高低こうていてい)※
2はく
動詞どうし
だい1るい く・ 高高たかだか
だい2るい る・ ていこう
3はく
動詞どうし
だい1るい がる・ける こうだかだか
だい2るい うごく・きる ていていこう 高低こうていひく こうだかだか
ていていこう[ちゅう 5]
3はく
形容詞けいようし
だい1るい あかい・くら 高高たかだかくだ こう高低こうてい 高低こうていひく
だい2るい しろい・たか ていていくだ 高低こうていひく

日本語にほんごのアクセントの歴史れきしについては、京都きょうとのアクセントの記録きろく平安へいあん時代じだいからのこっており、いま京阪けいはんしきアクセントになるまでにどのような変化へんかをしてきたかがあきらかになっている。代表だいひょうてき資料しりょうに、平安へいあん時代じだい後期こうき辞書じしょ類聚るいじゅう名義めいぎしょう』(るいじゅみょうぎしょう)や、室町むろまち時代じだいのアクセントをしるした『忘記』(ぶもうき)[ちゅう 6]がある。類聚るいじゅう名義めいぎしょうでは、文字もじ周囲しゅういこえてんという、中国ちゅうごく四声しせいあらわてんけられている。こえてん文字もじ左上ひだりうえされていれば上声じょうせい左下ひだりしたされていれば平声ひょうしょうみぎじょうされていれば去声きょしょうひだり中位ちゅういのややがった場所ばしょされていればけい平声ひょうしょう東声とうせい)をあらわす。上声じょうせいたか音調おんちょう平声ひょうしょうひく音調おんちょう去声きょしょう上昇じょうしょう調ちょう東声とうせい下降かこう調ちょうであったと推定すいていされている[76][77]こえてんからあきらかになった平安へいあん時代じだい京都きょうとアクセントは、現代げんだいよりもかた種類しゅるいおおく、複雑ふくざつなものだった。京都きょうとのアクセントは、南北なんぼくあさ時代じだいおおきな変化へんかをしており、それよりまえ時代じだいのアクセントを名義めいぎしょうしきアクセント、それよりのち室町むろまち時代じだいのアクセントを忘記しきアクセントとぶ。かくるいの、名義めいぎしょうしきアクセントから忘記しきアクセント、現代げんだい京都きょうとアクセントまでの変遷へんせんひょうのようになっている(「くだ」ははくない下降かこう、「のぼり」ははくない上昇じょうしょう。カッコない助詞じょし。ただし※をったるいについては、平安へいあん時代じだいにはむしろ、助詞じょしたか発音はつおんされることがおおかったとかんがえられる。平安へいあん時代じだい動詞どうし形容詞けいようし連体れんたいがたのアクセントをしめす)。平安へいあん時代じだいには、ひょうしめしたアクセントがたほかにも、ごく少数しょうすうかたりかたとして、のぼり(「」など)、のぼりだか(「へび(へみ)」など)、のぼりてい(「ずね(はぎ)」など)があったが、鎌倉かまくら時代じだいはいるまでにのぼりはじまるかたこうはじまるかた変化へんかした[78][79]

南北なんぼくあさ時代じだい変化へんかでは、以下いかとおり、語頭ごとうに「てい」が2はく以上いじょうつづかたり変化へんかこり、最後さいごの「てい」だけをのこしてそれよりまえの「てい」が「こう」に変化へんかした。[80]

名義めいぎしょうしきから忘記しきへの変化へんか
  • ていてい高低こうてい(2はく名詞めいしだい3るい
  • ていていていこう高低こうてい(3はく名詞めいしだい4るい
  • ていていこう高低こうていひく(3はく名詞めいしだい5るい、2はく名詞めいしだい3るい+1はく助詞じょし、3はく動詞どうしだい2るい
  • ていていくだ高低こうていひく(3はく形容詞けいようしだい2るい

この変化へんかにより忘記しきでは1はくひくければ2はくかならたかくなったが、その変化へんかがり後退こうたいし、現代げんだい京都きょうとではひくはく連続れんぞくするようになっている。

方言ほうげん比較ひかくによるアクセントの推定すいてい[編集へんしゅう]

現代げんだい方言ほうげん比較ひかくからその共通きょうつう祖先そせん祖語そご)に想定そうていされているアクセントの区別くべつるいう。琉球りゅうきゅうのぞく、現代げんだい方言ほうげん比較ひかくから再建さいけんされるるいは、だい部分ぶぶんにおいて名義めいぎしょうしきアクセントにられるアクセントの区別くべつ一致いっちするとかんがえられている。京都きょうとでは南北なんぼくあさ変化へんかによってるい統合とうごうした。るい統合とうごうを・で、区別くべつを/で表示ひょうじすると、2はく名詞めいしではだい1/2・3/4/5るいという区別くべつをするようになり、3はく名詞めいしではだい1/2・4/5/6/7るいという区別くべつ体系たいけいになった(3はく名詞めいしだい3るい所属しょぞくすくなく規則きそくてき対応たいおうしないため比較ひかくもちいられない)。たとえば2はく名詞めいしでは「ていてい」だっただい3るいが「高低こうてい」になってだい2るい統合とうごうした。アクセントの変化へんかにおいては、一度いちど統合とうごうしてしまったるいは、その区別くべつふたた獲得かくとくすることはできない。「おとがついぬいしあし 」などの語彙ごいおなじアクセントになってしまったら、このうち「いしおと」が「高低こうてい」で「つきいぬあし」が「ていてい」だったという区別くべつ復元ふくげんするのは不可能ふかのうである。ところが、外輪がいりん東京とうきょうしきアクセントでは、2はく名詞めいしだい1・2/3/4・5るいというるい区別くべつをしており、3はく名詞めいしではだい1・2/4/5/6・7るい大分おおいた場合ばあい)となっている。外輪がいりん東京とうきょうしきでは、京阪けいはんしきではうしなわれた2はく名詞めいしだい2・3るいや3はく名詞めいしだい2・4るい区別くべつがあり、しかも外輪がいりん東京とうきょうしき東北とうほく地方ちほう大分おおいたけんなど日本にっぽんはなれた地域ちいき散在さんざいしている。また、讃岐さぬきしきアクセントでは、2はく名詞めいしだい1・3/2/4/5るいという区別くべつ体系たいけいである。こうした事実じじつから、比較ひかく言語げんごがく手法しゅほうもちいることにより、すべてのるい区別くべつするアクセントをアクセントとして想定そうていし、これが各地かくち別々べつべつ変化へんかるい統合とうごうこして現代げんだい方言ほうげんのアクセントができたとかんがえることができる。

祖語そご想定そうていされるるいがそれぞれどういったアクセントのかたっていたか、また、それがどう変化へんかして現代げんだい方言ほうげん多様たよう方言ほうげんアクセントが成立せいりつしたかをめぐっては、様々さまざませつされているが、ひろれられているものはまだない。

金田一きんだいち春彦はるひこせつ[編集へんしゅう]

京阪けいはんしき[ちゅう 7]からちゅう東京とうきょうしきへの変化へんか金田かねだ一説いっせつ
  かたりれい 京阪けいはんしき 中間なかまがた 東京とうきょうしき
1はく
名詞めいし
だい1るい こが
だい2るい めいにち
だい3るい てが
2はく
名詞めいし
だい1るい ふうとり かぜが ぜが
だい2・3るい いしやま しが
だい4るい いとそら いと いとが とが
だい5るい さるあめ さる るが
3はく
名詞めいし
だい1るい かたちさかな かたちが たちが
だい2・4るい 小豆あずきとう あずきが ずき
だい3・5るい ちからいのち からが らが
だい7るい かぶと便たよ とが かぶ ぶとが
2はく
動詞どうし
だい1るい く・ いく
だい2るい る・ ある
3はく
動詞どうし
だい1るい がる・ける あがる がる
だい2るい うごく・きる ごく
3はく
形容詞けいようし
だい1るい あかい・くら あか かい
だい2るい しろい・たか ろい
3はくいちだん動詞どうしだい2るい+て きて・けて おき きて
3はく形容詞けいようしだい2るい連用形れんようけい しろく・たか しろ ろく

方言ほうげんアクセントの成立せいりつについてのせつひろられているものに、金田一きんだいち春彦はるひこせつがある。金田一きんだいちは、名義めいぎしょうしきアクセントをアクセントとみなし、京阪けいはんしきアクセントが変化へんかして東京とうきょうしきアクセントをしょうじたとした。金田一きんだいち推論すいろんした、京阪けいはんしき江戸えど時代じだい京都きょうと現代げんだい和歌山わかやまアクセント)から東京とうきょうしきへの変化へんかつぎのようなものである[26][81]

  1. まず、たか部分ぶぶんが1はくうしろにずれた(やま後退こうたい)。(れいだかだかていこう高低こうていていこうていこうていていこうだかだかていこうだかこう高低こうていていこうだか高低こうていひくてい高低こうていていていこうていていていてい高低こうていていていこう
  2. つぎに、語頭ごとうひくはくつづかたりは、語頭ごとうたかくなった(語頭ごとう隆起りゅうき)。(れいていてい高低こうていていていてい高低こうていていていていこう高低こうていだか高低こうていひく

金田一きんだいちは、これらの変化へんかきやすい変化へんかであり、日本にっぽん複数ふくすう地域ちいきおなじような変化へんかをして、東京とうきょうしきしょうじたとかんがえた。内輪うちわちゅう東京とうきょうしきはこの変化へんか説明せつめいでき、ほとんどのるい品詞ひんし同様どうようかんがえると京阪けいはんしきから東京とうきょうしきへの変化へんかみちびける(ただし、3はく名詞めいしだい6るいだけは例外れいがいで、京阪けいはんしき「うさ」にたい東京とうきょうしき「うさぎ」であり、上記じょうき法則ほうそくみちびけない)[5]

外輪がいりん東京とうきょうしきアクセントは、忘記しき以降いこう京阪けいはんしきとはるい統合とうごう仕方しかたちがうため、忘記しきからの変化へんかではなく、名義めいぎしょうしきからの変化へんかかんがえた。外輪がいりん東京とうきょうしき地域ちいきでは、まず名義めいぎしょうしきこうおこりしきかたりすべかくがたになった(しが>いしが京都きょうと南北なんぼくあさこった変化へんか(いぬぬが)がき、その内輪うちわちゅう東京とうきょうしきおなじようにやま後退こうたい語頭ごとう隆起りゅうき変化へんかこして東京とうきょうしきになった。また、ちゅう東京とうきょうしき内輪うちわ東京とうきょうしきちがいをみると、内輪うちわ東京とうきょうしき地域ちいきでは、1はく名詞めいしだい2るいかたが)である。これは、「あが>なが」の変化へんかをしたのち短音たんおんきて「が」になったとかんがえた。ぎゃくちゅう東京とうきょうしき地域ちいきでは、さき短音たんおんきて「あが>が」となったのち、アクセント変化へんかきて「な」になったとした。まただん活用かつよう動詞どうしに「て」のついたかたちは、京阪けいはんしきの「んで」にたいちゅう東京とうきょうしきで「とんで」になっている。これは、ちゅう東京とうきょうしき地域ちいきでは「んで」が「とん・で」とけられ2はくあつかいだったため、「んで」からたか部分ぶぶん後退こうたいすると「で」に高音こうおんうつることになったためとかんがえた。以上いじょう金田一きんだいちの、京阪けいはんしきから東京とうきょうしきまれたとする推論すいろんである[5]。なお、石川いしかわけん能登半島のとはんとうのアクセントは、2はく名詞めいしだい1るい「かぜが」、だい2・3るい「いが」、だい4るい「いとが」、だい5るい「さる」というアクセントだが、金田一きんだいちはこれを、京阪けいはんしきからやま後退こうたいだけが東京とうきょうしきアクセントになりかけているアクセントだとかんがえた。

金田一きんだいち方言ほうげんのアクセントについてもその成立せいりつ過程かてい推論すいろんしている。讃岐さぬきしきアクセントは、名義めいぎしょうしき直接ちょくせつ変化へんかしたもので、忘記しきアクセントをていないとかんがえられる。名義めいぎしょうしきから、語頭ごとうひくはくつづかたり変化へんかこり、ていてい高高たかだか(2はく名詞めいしだい3るい)、ていていていこうだかだか(3はく名詞めいしだい4るい)、ていていこうこうだかだか(3はく名詞めいしだい5るい、2はく名詞めいしだい3るい+1はく助詞じょし)の変化へんかこって讃岐さぬきしきができたとかんがえた。垂井たるいしきアクセントについては、京阪けいはんしきこうおこりしきていおこりしき区別くべつうしなってできたとかんがえた[5]

分岐ぶんき時期じき[編集へんしゅう]

内輪うちわちゅう東京とうきょうしき忘記しき以降いこう京阪けいはんしきから変化へんかしたとっても、それは京阪けいはんしきからの分岐ぶんき時期じき室町むろまち時代じだい以降いこうであったことを意味いみするわけではない。東京とうきょうしきアクセントが京阪けいはんしきから分岐ぶんきしたのはもっとふる可能かのうせいがあり、分岐ぶんき忘記しきちかいアクセントを東京とうきょうしきになっただろうということである。「く(う)・まず・もし」などのアクセントは、京阪けいはんしき東京とうきょうしきともに「高低こうてい」で一致いっちする。これらのアクセントは、平安へいあん時代じだい京都きょうとでは「のぼりてい」だったが、鎌倉かまくら時代じだいには京都きょうとで「高低こうてい」になった。もしこの変化へんかきたのち京阪けいはんしきから東京とうきょうしき分岐ぶんきしたなら東京とうきょうしきではこれらは「ていこう」になるはずであり、東京とうきょうしき鎌倉かまくら時代じだいよりまえ京阪けいはんしきから分岐ぶんきしたとかんがえられる[82]

また、奥村おくむら三雄みつおは、ふるくからある日常にちじょうてき使つか漢語かんごが、現代げんだい方言ほうげん和語わごおな対応たいおう関係かんけいむすぶことを指摘してきしている。つまり、2はく名詞めいしだい1るい相当そうとうする「きゃくきゅうてきとく…」が京阪けいはんしきでH○○がた東京とうきょうしきで○○がた九州きゅうしゅう西南せいなんしきでAがたであり、だい3るい相当そうとうする「ねつにくきくどく…」が京阪けいはんしきでHがた東京とうきょうしきで○かた九州きゅうしゅう西南せいなんしきでBがたぞくす。このことから奥村おくむらは、これらのしょアクセントが分岐ぶんきした時期じきを、漢語かんごはな言葉ことばなか浸透しんとうして以降いこう、つまり平安へいあん時代じだい以降いこうとした[82]

このほか、室町むろまち時代じだい能楽のうがく金春こんぱるぜんおおとりの「もうはしわたしちんしょう」に、「いぬ」のアクセントが坂東ばんどう筑紫つくしで「い」、四国しこくで「いぬ」だとあり、現代げんだい方言ほうげん一致いっちしている(四国しこくの「いぬ」は讃岐さぬきしき一致いっちする)。

祖語そごに「下降かこうしき」やアクセントかく再建さいけんするせつ[編集へんしゅう]

本土ほんど日本にっぽん祖語そごのアクセント(上野うえのせつ[6]
1はく名詞めいし 2はく名詞めいし 3はく名詞めいし
るい かたりれい かた るい かたりれい かた るい かたりれい かた
1 !○(こう 1a ふう !○○(高中たかなか 1a さかな !○○○(だかだかちゅう
2 !くだ 1b みぞ !○こうくだ 1b ところ !○○高高たかだかくだ
3 _○(てい 2 おと !○(高低こうてい 2 小豆あずき !○○(高中たかなかてい
4 _のぼり 3 やま _○○(ていてい 3 ちから !○○(高低こうていひく
5 _昇降しょうこう 4 そら _○ていこう 4 あたま _○○○(ていていてい
  5 あめ _○ていくだ 5a いのち _○○ていていこう
6 胡麻ごま _○(のぼりだか 5b 朝日あさひ _○○ていていくだ
7 ずね _○(のぼりてい 6 うさぎ _○○(ていこうだか
  7a かぶと _○○(てい高低こうてい
7b くすり _○ていこうくだ
8 翡翠かわせみ _○○(のぼりだかだか
9 _○○(のぼりていてい

名義めいぎしょうしきこうおこりしきかくがりがない)のもの(2はく名詞めいしだい1るい、3はく名詞めいしだい1るいなど)が、九州きゅうしゅう西南せいなんしき石川いしかわけん加賀かが地方ちほう島根しまねけん隠岐諸島おきしょとうなどではゆうかくがりあり)になっている。このことから上野うえの善道ぜんどうは、アクセントのこうおこりしきは、現代げんだい京阪けいはんしきのようなたいらすすむしきではなく、香川かがわけん観音寺かんおんじのような下降かこうしき音調おんちょうっていたと推定すいていしている[6]たとえば3はく名詞めいしだい1るいなら「こうだかちゅう」のような小幅こはば下降かこうがあったとする。アクセントのこうおこりしき下降かこうしき想定そうていすることで、九州きゅうしゅう西南せいなん加賀かが地方ちほうなどで、下降かこうしきがり変化へんかしたという自然しぜん推定すいてい可能かのうだとしている。金田かねだ一説いっせつでは外輪がいりん東京とうきょうしき変化へんかして九州きゅうしゅう西南せいなんしき成立せいりつしたとしているが、上野うえの木部きべ暢子ようこは、九州きゅうしゅう西南せいなんしきにおけるAがた・Bがた区別くべつ名義めいぎしょうしきこうおこりていおこり対応たいおうしていることから、体系たいけいから直接ちょくせつこうおこり→Aがたていおこり→Bがた変化へんかこしたと推定すいていしている[83][49]。また加賀かが地方ちほう白峰しらみねのアクセントは、上野うえのせつでは2はく名詞めいしだい1るい下降かこうしき音調おんちょうたもったままほとんど変化へんかせず(白峰しらみね以外いがい加賀かが地方ちほうでは○かた変化へんか)、だい3るい京阪けいはんしきおなじくていてい高低こうてい変化へんかこし、だい5るいひくこうていこうという変化へんかをしたと推定すいていしている[6]

服部はっとり四郎しろうは3はく名詞めいしだい7るいを、東京とうきょうしきアクセントで○○がたになる「かぶと」などのグループと、かくがたになる「くすり」などのグループにけた[84]上野うえのはこれをいだほか、讃岐さぬきしきアクセントで3はく名詞めいしだい5るい○○がた(「朝日あさひ」など)と!○○○がた(「あぶら」など)にかれることからだい5るいも2つのるいけた[6]上野うえの日本語にほんご本土ほんど方言ほうげん)の祖語そご下降かこうしき(!)とていすすむしき(_)、のぼかく)とかく)を体系たいけいだったとしている(みぎじょうひょう参照さんしょう)[6]

木部きべ暢子ようこは、アクセントの変化へんかについてはこうおこりしきていおこりしき、アクセントかくからなるアクセント体系たいけいがどう変化へんかしたかを検討けんとうする必要ひつようがあるとした。木部きべは、名義めいぎしょうしきアクセントはこうおこりしきていおこりしきかく)とかく)のわせだったと推定すいていしたうえで、大分おおいた方言ほうげん外輪がいりん東京とうきょうしきにおけるかく位置いち名義めいぎしょうしきかく位置いち一致いっちすることから、名義めいぎしょうしきかくかく変化へんかして大分おおいた方言ほうげん成立せいりつしたとかんがえた[85]。また、東北とうほく北部ほくぶのアクセントについて、金田一きんだいち外輪がいりん東京とうきょうしき変化へんかしたものとし、2はく名詞めいしだい4・5るいで2はくこう母音ぼいん場合ばあい○→○変化へんかきたとかんがえた[5]が、木部きべは、名義めいぎしょうしきかくのぼかく変化へんかし、せま母音ぼいんはく独立どくりつせいよわかったためかくひとまえはくへずれたとしている[85]

一方いっぽう早田そうだあきらようは、名義めいぎしょうしきアクセントのていおこりしきを2しゅけ、3はく名詞めいしだい4・5・7るいはアクセント(がり)がないかぎひくたいらな音調おんちょうつづかたり声調せいちょうだい6るいひくはじまりすぐに上昇じょうしょうするかたり声調せいちょうつものとし、がり位置いち基底きていにおいて指定していされていなかったとした。早田そうだは、2はく名詞めいしだい4・5るいにアクセントじょう独立どくりつせいひく助詞じょしである「の」がいた場合ばあい、どちらも「の」がひくくなる(すなわちていこう-てい)となることから、だい4・5るいおなじL○かたち、だい5るいだい2音節おんせつがややながめに発音はつおんされたためにだい2音節おんせつ下降かこう調ちょうあらわれたとした[77]

琉球りゅうきゅうとの比較ひかく[編集へんしゅう]

琉球りゅうきゅうにおけるB系列けいれつとC系列けいれつ区別くべつについて、服部はっとり四郎しろうは、きた琉球りゅうきゅう方言ほうげんおおくの地域ちいきで2音節おんせつ名詞めいしのC系列けいれつかたりだい1音節おんせつながくなっていることから、C系列けいれつ祖語そごにおいて語頭ごとうちょう母音ぼいんっていたものであるとした[86]一方いっぽう児玉こだまのぞむは、B系列けいれつとC系列けいれつ区別くべつにち琉祖におけるかたり声調せいちょう区別くべつ対応たいおうするものとかんがえ、2はく名詞めいしだい4・5るいのうちB系列けいれつが「ていこうがた、C系列けいれつが「のぼりだかがたであったとしている[7]

京阪けいはんしき東京とうきょうしき成立せいりつ過程かていをめぐるほかせつ[編集へんしゅう]

京阪けいはんしき(名義めいぎしょうしき)が変化へんかして東京とうきょうしきになったとするせつたいしては、東京とうきょうしき分布ぶんぷするはなれた地域ちいきふくすうかいおな変化へんかおな順番じゅんばんこったと想定そうていしているてんを、複数ふくすう研究けんきゅうしゃ問題もんだいしている[87][88][89]

S.ロバート・ラムゼイは、平安へいあん時代じだい文献ぶんけんしるされたこえてん定説ていせつとはぎゃく解釈かいしゃくし、上声じょうせいひく音調おんちょう平声ひょうしょうたか音調おんちょうあらわしていたとかんがえた。すなわち、2はく名詞めいし1るいていていてい)、2るいていこうてい)、3るい高高たかだかてい)、4・5るい高低こうていてい)というアクセントがたをもち、これらの下降かこう位置いち保存ほぞんされた体系たいけい東京とうきょうしきで、近畿きんき付近ふきん方言ほうげんでは平安へいあん時代じだいよりものち下降かこう位置いちまえ移動いどうし、現代げんだい京阪けいはんしき成立せいりつしたとした[90][91]。ラムゼイがこう推定すいていするのは、京阪けいはんしき分布ぶんぷ地域ちいきかこむように東京とうきょうしき分布ぶんぷすることを方言ほうげんしゅうけんろん解釈かいしゃくしたからである。方言ほうげんしゅうけんろんとは、語彙ごいなどが中央ちゅうおうから地方ちほう次々つぎつぎ伝播でんぱし、中央ちゅうおうからはなれるほどふるいものを保持ほじするという見方みかたである。

金田かねだ一説いっせつもラムゼイせつも、全国ぜんこく方言ほうげんアクセントを平安へいあん時代じだい京都きょうとアクセントから変化へんかしたものとするてんではおなじだが、服部はっとり四郎しろう金田一きんだいちよりもはや発表はっぴょうした論文ろんぶんで、前述ぜんじゅつのように3はく名詞めいし平安へいあん時代じだい京都きょうとにない対立たいりつ東京とうきょうしきにあることを指摘してきし、祖語そごのアクセントは名義めいぎしょうしきよりもふるいもので、これが別々べつべつ変化へんかこして名義めいぎしょうしき京阪けいはんしき)と東京とうきょうしきとへ変化へんかしたとした[84]

金田一きんだいちらのせつ応用おうようされている比較ひかく言語げんごがく手法しゅほうは、それぞれの方言ほうげん方言ほうげんから影響えいきょうけたりじりあったりせず自律じりつてき変化へんかすることを前提ぜんていにしている。一方いっぽう山口やまぐち幸洋ゆきひろは、言語げんご地理ちりがく手法しゅほうもちい、中央ちゅうおうから外側そとがわかって順番じゅんばん京阪けいはんしき垂井たるいしき内輪うちわ東京とうきょうしきちゅう東京とうきょうしき外輪がいりん東京とうきょうしきがたアクセントが分布ぶんぷするのを方言ほうげんしゅうけんろん解釈かいしゃくしている[92]金田一きんだいちは、地方ちほうでは教育きょういくおくれや地域ちいきとの交渉こうしょうすくなさからアクセントの変化へんかすすみやすかったとかんがえた[26]が、山口やまぐちぎゃくに、地方ちほうでは中央ちゅうおうのアクセントを習得しゅうとくしようとつとめただろうとしている。ただし山口やまぐちせつ中央ちゅうおう京阪けいはんしき一番いちばんあたらしいというものではない。山口やまぐちは、元々もともと中央ちゅうおう京阪けいはんしき地方ちほうアクセントがあり、アクセントのひと中央ちゅうおうアクセントを習得しゅうとくしようとしたものの完全かんぜんにはできず、変換へんかん作用さようによってがたアクセントがまれ、その中央ちゅうおうちか地域ちいきではさらにアクセントがた区別くべつ獲得かくとく東京とうきょうしき垂井たるいしき変化へんかしたとかんがえた[92]

アクセント古形こけいせつについて検討けんとうした高山たかやま倫明みちあきは、アクセントはあたらしく発生はっせいしたものだと結論けつろんけている。その論拠ろんきょとして、各地かくちアクセント方言ほうげんあいだ偶然ぐうぜんではかんがえられない有縁うえんせいみとめられるわけではないことや、九州きゅうしゅう東京とうきょうしきアクセントとニがたアクセントの分布ぶんぷいきはさまれてアクセントが分布ぶんぷすることをげている[93]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ おおくの地域ちいきでは1はく名詞めいし長音ちょうおんし、2はく名詞めいしとなる傾向けいこうがある。
  2. ^ 上野うえの善道ぜんどうによる。
  3. ^ ただし鹿児島かごしまアクセントを位置いちのアクセントで解釈かいしゃくするせつもある。
  4. ^ 「さん」と場合ばあいは-3がた
  5. ^ だん活用かつよう動詞どうしこうだかだか一段いちだん活用かつよう動詞どうしていていこう
  6. ^ 真言宗しんごんしゅう論議ろんぎもちいる語句ごく発音はつおんしるされている。17世紀せいきしょだが、しるされたアクセントは室町むろまち時代じだいのものを反映はんえいしている。
  7. ^ 江戸えど時代じだい京都きょうと、または現代げんだい和歌山わかやまけん徳島とくしまけん南部なんぶのアクセント。近畿きんき中央ちゅうおうでは幕末ばくまつ以降いこう用言ようげんのアクセントが変化へんかしているためこのとおりではない。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]