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きょう言葉ことば

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きょう言葉ことば
はなされるくに 日本の旗 日本にっぽん
地域ちいき 京都府の旗 京都きょうと山城やましろこくいき
言語げんご系統けいとう
言語げんごコード
ISO 639-3
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きょう言葉ことば(きょうことば、きょうことばとも表記ひょうき)とは、京都きょうともちいられる日本語にほんご方言ほうげんである。京都きょうと(きょうとご)、京都きょうとべん(きょうとべん)、ふるくはきょうだん(きょうだん)ともう。近畿きんき方言ほうげん一種いっしゅであり、大阪おおさかべんとともにその中核ちゅうかくをなす。ここでは京都きょうと中心ちゅうしんに、きゅう山城やましろこく方言ほうげんげる。山城やましろ以外いがい京都きょうとうち方言ほうげんについては丹波たんば方言ほうげん舞鶴まいづるべん丹後たんごべん参照さんしょう

歴史れきし

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京都きょうと平安京へいあんきょう建設けんせつされた平安へいあん時代じだいから1000ねん以上いじょうにわたって日本にっぽんがあった地域ちいきであり、江戸えど時代じだいまできょう言葉ことばたか威信いしんち、現代げんだい共通きょうつう母体ぼたいである東京とうきょう方言ほうげんふくめ、日本にっぽん各地かくち方言ほうげん影響えいきょうあたえた。現在げんざい京都きょうとでは自分じぶんたち言葉ことばつよ自負じふしんがあり、きょう言葉ことばは「なまり」ではなく、共通きょうつうとは「たんことなっているというだけ」と認識にんしきされている[1]京都きょうと出身しゅっしん日本語にほんご学者がくしゃ楳垣も、きょう言葉ことば研究けんきゅうするにあたって「我々われわれ気持きもちからえば、きょう言葉ことば方言ほうげんといってしまってはなんとなくものらぬので、国語こくご伝統でんとう保存ほぞんといったほこらかな気持きもちからおおいに努力どりょくしたいとおもう」とべている[2]

京都きょうと伝統でんとうおもんじる保守ほしゅてきまちとされるが、ふるくからの大都市だいとしきょう言葉ことば変化へんかつづけており、平安へいあん時代じだい以来いらい古語こごはあまりのこっていない。明治維新めいじいしん前後ぜんごにもおおきな変化へんかがあったとされ、代表だいひょうてききょう言葉ことば「どす」「やす」「はる」も幕末ばくまつから明治めいじ初期しょきまれた言葉ことばかんがえられ、楳垣は「きょう言葉ことば優雅ゆうがせい一段いちだんとこのたかめられたものらしい」とべている[3]

現在げんざい共通きょうつう関西かんさい共通きょうつう大阪おおさかべん)がすすみ、きょう言葉ことばらしいきょう言葉ことばもちいるのは昭和中しょうわなか以前いぜんまれた世代せだい花街はなまち芸妓げいぎ社会しゃかいなどにかぎられている。1993ねん平成へいせい5ねん)から1994ねん平成へいせい6ねん)にかけての方言ほうげん調査ちょうさでは、「どす」にかんして80さいだいでは「使用しようする」と回答かいとうした割合わりあいが49.2%なのにたいし、10代では「いたこともない」が54.0%であった[4]。楳垣は1950ねん昭和しょうわ25ねん)の時点じてん以下いかのようにのこしている。

きょう言葉ことば--優美ゆうびなあでやかなあのきょう言葉ことば--というものは、もう京都きょうとにもなくなろうとしている。その最後さいご保存ほぞんであった祇園ぎおんあたりにさえその傾向けいこうえそめている。
中略ちゅうりゃく
京都きょうともやはり近代きんだい都市としひとつで、終戦しゅうせん社会しゃかい混乱こんらん洗礼せんれいけて変貌へんぼうげているのである。しかもまた一方いっぽうにおいては標準ひょうじゅんなみが、京都きょうとにもせて、アクセントだけをのこして、語彙ごい語法ごほうめんでは非常ひじょう変化へんかおこっている。ふる言葉ことばなどは、これらの変化へんかこうしてのこ余地よちはほとんどない。よほど根強ねづよいものだけが、まだのこっているにぎない。 — 楳垣、『国語こくごがくだい4輯 26ページ

イメージ

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きょう言葉ことばには「優雅ゆうが」「女性じょせいてき」といったイメージがあり、2019ねんれい元年がんねん)に「方言ほうげんがかわいい『都道府県とどうふけん』ランキング」で京都きょうとが2になる[5]など、21世紀せいきになってもそのイメージは依然いぜん根強ねづよい。一方いっぽうで、楳垣は「我々われわれ京都きょうとじんかられば、正直しょうじきって、京都きょうと一般いっぱんすこ理想りそうされてかんがえられているようなもする。」「京都きょうとといえばいちいちくさまでみやびやかであるとかんがえるひとおおい。きょう言葉ことば魅力みりょくあるいはそんなところからうまれてるのかもれない。」とべている[6]。ゆったりしたやさしい雰囲気ふんいき言葉ことばというイメージについて、「げい舞妓まいこさんのはなすことばからの連想れんそうによってできたイメージであろう」「一般いっぱん市民しみん日常にちじょう会話かいわにおけるはなしことばは、かなりテンポのはやい、またけっしてやわらかいとはえないどちらかといえば語調ごちょうのきついものである」と指摘してきする研究けんきゅうしゃもいる[1]

区分くぶん

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日本語にほんご学者がくしゃ奥村おくむら三雄みつお山城やましろ方言ほうげん以下いかのように区分くぶんしている(区分くぶん基準きじゅんとされた方言ほうげん特徴とくちょうおよびぐん名称めいしょう範囲はんいおおむ1962ねん当時とうじのもの)[7]

  • 京都きょうと市内しない戦後せんご編入へんにゅうされたきゅう郡部ぐんぶのぞく) - 進行しんこう「-てる」。おわり助詞じょし「ぜ」「で」の使用しようすくない。いわゆるきょう言葉ことば(「どす」「おす」「やす」など)を使用しよう
  • その - 進行しんこう「-たる」あり。おわり助詞じょし「ぜ」「で」あり。京都きょうと市内しないくらべてあらい。

奥村おくむらは、丹後たんご丹波たんばあいだくらべて丹波たんば山城やましろあいだ方言ほうげんはそれほどいちじるしくなく、くち丹波たんば北桑田きたくわだぐんとく京北けいほく広河原ひろかわら)はきょう言葉ことばてき傾向けいこうがかなりおおいとした[7]。楳垣によれば、きょう言葉ことば影響えいきょうくち丹波たんばだけでなく福井ふくいけん若狭わかさ滋賀しがけん三重みえけん北部ほくぶきた伊勢いせ伊賀いが)にもおよび、奈良ならけん北部ほくぶも「年配ねんぱい人達ひとたちきょう言葉ことばちかく、わかひとほど大阪おおさかべんてきになるなかあいだ地域ちいき」だという[8]。また山本やまもと俊治しゅんじによれば、大阪おおさかうちでも、三島みしま地区ちく北河内きたがわち淀川よどがわ沿いや能勢のせまちきゅう歌垣うたがきむら方言ほうげんには京都きょうと影響えいきょうられるという[9]

京都きょうと中心ちゅうしんきょう言葉ことば位相いそうめんで、京都きょうと御所ごしょはなされた公家くげ言葉ことば御所ごせ言葉ことば)と市中しちゅうはなされるまちことば町方まちかたことば)におおきくけられる。前者ぜんしゃ室町むろまち時代ときよ初期しょき女官にょかんはな言葉ことば起源きげんで、宮中きゅうちゅう宮家みやけ公家くげ使つかわれ、明治めいじ以降いこう一部いちぶあま門跡もんぜき継承けいしょうされている。後者こうしゃ話者わしゃ職業しょくぎょう地域ちいきによってさらにこまかく分類ぶんるいすることができ、そのれいとして井之口いのくち有一ゆういち堀井ほりいれい以知以下いかの4つをげている[10]

このほか、はち大原おおはら大原女おはらめ参照さんしょう)・北白川きたしらかわ高雄たかおかつら大枝おえだなど[11]郊外こうがい農村のうそん特有とくゆう方言ほうげんもあった。

発音はつおん

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音韻おんいん体系たいけい共通きょうつうとほとんどわりないが、子音しいんよわく、母音ぼいんなが丁寧ていねい発音はつおんする傾向けいこうがあり、京都きょうとじん朗読ろうどくするとおな音節おんせつすうでも東京とうきょうじんのほとんど2ばい時間じかんついやすという[12]

母音ぼいん

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れん母音ぼいんアイ・オイ・ウイの変化へんかは、「わたい→わて(女性じょせい一人称いちにんしょう)」や「さかい→さけ(接続せつぞく助詞じょし)」など若干じゃっかんかたりでアイ→エがられるのみで[13]、「くろい→くれー」「わるい→わりー」などがこる関東かんとう丹後たんごとは対照たいしょうてきである。なお「える→けーる」「える→めーる」などイエ→エーの変化へんかもあるが[14]逆行ぎゃっこう同化どうかによるものである。

母音ぼいん長短ちょうたん意識いしき多少たしょう曖昧あいまいという特徴とくちょうがある。「学校がっこう→がっこ」「山椒さんしょう→さんしょ」「先生せんせい→せんせ」のようにちょう母音ぼいんみじか発音はつおんする傾向けいこうがあり、とくにオだんおんおお[13]短音たんおんおも語尾ごびこるが、「御幸みゆきまち→ごこまち」のようにかたりちゅう短音たんおんするれいもある[14]。1はく名詞めいしは「→かー」「→のー」のようにばして発音はつおんするが、付属ふぞくともな場合ばあい下降かこうがたのアクセントのかたり長音ちょうおんしにくい[13]。「露地ろじ→ろーじ」「去年きょねん→きょーねん」のように2はく・3はく名詞めいし長音ちょうおんすることもあるが、1はく名詞めいし場合ばあいちがって特定とくていかたりかぎられる[13]

その母音ぼいん変化へんかれい以下いかのとおり[14]

  • イ→エ:しらみ→しらめ、にんじん→ねんじん
  • エ→イ:前垂まえだれ→まいだれ、羽二重はぶたえ→はぶたい
  • ウ→オ:うさぎ→おさぎ、たぬき→たのき、室町むろまち→もろまち

子音しいん

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「さかい・さけ(接続せつぞく助詞じょし)→はかい・はけ」「しつこい→ひつこい」「みません→みまへん」「それから→ほれから」など[s][ʃ][h][ç]変化へんかおおく、若干じゃっかんではあるが「ひと→しと」のように[ç][ʃ]れいもある[13][z][d][r]混同こんどう[d][z]はほとんどない)は山城やましろでもこることがあり、とく南山城みなみやましろ地方ちほうで「ただいま→たらいま」「めでたい→めれたい」のような[d][r]混同こんどうおお[13][z][d][r]混同こんどうはかつて京都きょうと市内しない老人ろうじん学童がくどうあいだでもおおく、したまわらぬ言葉ことばづかいとして教育きょういくじょう問題もんだいされ、1942ねん昭和しょうわ17ねん)に「京都きょうと児童じどう対象たいしょうとせるヨミカタ方言ほうげん訛音かおん矯正きょうせい資料しりょう」が作成さくせいされるほどであった[15]

その子音しいん変化へんかれい以下いかのとおり[14]

  • [s][ʃ]さけ→しゃけ
  • [m][b]せみ→せび

その

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による→しんにょる」「おみやはん→おんみゃはん」「年寄としより→とっしょり」「日曜にちよう→にっちょー」など、イだんおん・ウだんおんにヤぎょうおんつづ場合ばあいに、撥音はつおん促音そくおんともなってヤぎょうおん拗音ようおんすることがある。イだん・ウだんおん鼻音びおん(ナぎょう・マゆき)の場合ばあい撥音はつおん、それ以外いがいのイだん・ウだんおん場合ばあい促音そくおん挿入そうにゅうされることがおお[16]

アクセント

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きょう言葉ことばのアクセントは典型てんけいてき京阪けいはんしきアクセントであり、京阪神けいはんしんでほぼ共通きょうつうするが一部いちぶ表現ひょうげんことなる(以下いかはそのれい[17])。京都きょうとのなかでも地域ちいき世代せだいがあり、たとえば「粘土ねんど」「金曜日きんようび」を京都きょうときゅう市内しないでは「ねど」「きんよーび」と発音はつおんし、伏見ふしみ南山城みなみやましろ地方ちほうでは「んど」「きんよーび」と発音はつおんする[14]。また京都きょうと南部なんぶでは「-ました」が大阪おおさか神戸こうべおな発音はつおんになる[14]

京都きょうと 大阪おおさか 神戸こうべ 備考びこう
-ました しょくました した
無声むせいで「ました」となるひともいる)
京都きょうとでもていおこりしき動詞どうし中心ちゅうしん大阪おおさか神戸こうべおな発音はつおんになることがある。
-はった しょくはった はっ
伝統でんとうてき神戸こうべべんでは「はる」をもちいない)
かがみ がみ かが
がみ
かが 神戸こうべもっとふる発音はつおんたもっており、幕末ばくまつ以前いぜん京都きょうとでも「かがみ」であった。
2000年代ねんだい若年じゃくねんそうでは地域ちいきわず「がみ」または「かみ」がおおい。

文法ぶんぽう

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とく注記ちゅうきしないかぎり、昭和しょうわ20-30年代ねんだい記録きろく中心ちゅうしん記述きじゅつする。

動詞どうし

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動詞どうし活用かつようには共通きょうつうおなじくだん活用かつよううえいちだん活用かつようしたいちだん活用かつようぎょう変格活用へんかくかつよう(カへん)・ぎょう変格活用へんかくかつようサ変さへん)があるが、サ変さへんうえだんうえいちだん傾向けいこうられる[18]基本きほんとなる活用かつようがた以下いかのとおり[19]

未然みぜん 連用れんよう 終止しゅうし 連体れんたい 仮定かてい 命令めいれい
だん[20]く) いか-
いこ-[21]
いき- いく いく (いきゃ)
(いったら)
いけ
したいちだんる) で- で- でる でる (でりゃ)
(でたら)
でー
うえいちだんる) き- き- きる きる (きりゃ)
(きたら)
きー
へんる) き-
こ-
き- くる くる (くりゃ)
(きたら)
きー
こい
サ変さへん(する) し-
せ-
し- する する (すりゃ)
(したら)
しー
せー
  • ぎょう現代げんだい仮名遣かなづかいではアぎょう・ワゆきだん動詞どうしに「-た」「-て」が後続こうぞくするさいウ音便うおんびんこるが、2音節おんせつ以外いがい短音たんおんすることがおお[22]。またサぎょうだん動詞どうしイ音便いおんびんが「す」にかぎってこる[22]
    • れい:こーたらえーがな(ったらいいだろう)[22]
    • れい:なんぼはろ(ー)たんや(いくらはらったんだい)[22]
    • れいかささいていく(かさしてく)[22]
  • 活用かつようひょう命令めいれいがたくわえて、連用形れんようけいもちいた「-なさい」に相当そうとうするかる命令めいれい表現ひょうげんがある。女性じょせいそうではうしろに「よし」をけることがあるが、楳垣によると大正たいしょう末期まっき川東かわひがし鴨川かもがわよりも東側ひがしがわ地域ちいき)からひろまった表現ひょうげんで、もと山科やましなあたりの言葉ことばだったかもしれないと推測すいそくしている[23]。また女性じょせいそうでは、共通きょうつうの「-てごらん」に相当そうとうする「-とおみ」という命令めいれい表現ひょうげんもある(「-て」が変化へんかしたもの)。
    • れいはしり(はしりなさい)
    • れい:はよきよし(はやきなさい)[23]
    • れいとおみ(てごらん)
  • 継続けいぞくには共通きょうつうおなじく「あめってる」のように「-てる」を使つかうが、「っとる」のような「-とる」も使つかう(男性だんせいてき[24]南山城みなみやましろ地方ちほうでは「ったる」のように「-たる」を継続けいぞく使つかうところがおおいほか、宇治田原うじたわらまち笠置かさぎまちなどでは「りよる」のように「-よる」を使つか[24]京都きょうとなどでは「-たる」は結果けっかあらわし(楳垣は、短音たんおんにならず「-たある」とうとしている[25])、「-よる」は動作どうさぬしへのかるい卑蔑をあらわす(男性だんせいてき[24]。この軽蔑けいべつてきな「-よる」は「いてよる」のように「て」をかいして使つかうこともある[26]
    • れい:あいついつでもわるいことしよる[24]宇治田原うじたわら笠置かさぎなどでは「わるいことをしている」、京都きょうとなどでは「わるいことをしやがる」という意味いみ
  • 否定ひていには助動詞じょどうし-ん」「-へん」を使つかう。「-へん」はだん動詞どうしでは「かへん」のようにアだん後続こうぞくし、そのでは連用形れんようけいに「や」をかいして後続こうぞくするが、「や」をかいさずに語幹ごかん長音ちょうおんさせるなどして後続こうぞくするかたちもある(以下いかのとおり)[27]うえいちだん・カへんサ変さへん動詞どうしあらわれる「-ひん」は比較的ひかくてきあたらしいかたちで、楳垣は1949ねんに「近来きんらい学童がくどうあいだからミーヒン・キーヒン・シーヒンというかたちあらわれ、おい々と勢力せいりょくつゝある」と記録きろくしている[27]大阪おおさかではだん動詞どうしで「けへん」のように「エだん+へん」とうことがあり、「エだん+へん」が不可能ふかのうあらわ京都きょうととはコミュニケーションギャップがしょうじやすいとされるが、山城やましろにも通常つうじょう否定ひていで「エだん+へん」というかたち使つか地域ちいき存在そんざいする(大阪おおさかちか地域ちいき京都きょうと山間さんかん各地かくち[28]
    • したいちだんない):でやへん、でーへん
    • うえいちだんない):みやへん、みーへん(まれ)、みーひん
    • へんない):きやへん、きーへん(まれ)、きーひん
    • サ変さへん(しない):しやへん、せーへん、しーひん
  • 意志いし勧誘かんゆうには、だん動詞どうしでは未然みぜんがた(オだん)をばし、一段いちだん動詞どうしでは未然みぜんがたに「-よー」をけるが、みじかうことがおお[29]サ変さへん動詞どうしは「しょ(ー)」、カ変動へんどうは「こ(ー)」になるてん共通きょうつうとはことなる[30]したしみをふくんだ命令めいれいあらわすことがある[30]。なお、共通きょうつうでは「こう」が「くだろう」と同様どうよう推量すいりょうあらわすことがあるが、きょう言葉ことばでは推量すいりょうは「くやろ」のように「終止しゅうしがた+やろ」でのみあらわ[30]
    • れい:もっとはよーこーともたんやけど(もっとはやようとおもったんだが)[30]
    • れい:とっととしょー(さっさとしなさい)[30]
  • 可能かのう表現ひょうげん共通きょうつうおなじく助動詞じょどうし「-れる」「-られる」を使つか[31]だん動詞どうしにおいて、大阪おおさかでは「ける」「かれへん」のように肯定こうていがたのみ可能かのう動詞どうし移行いこうしているが、京都きょうとでは「ける」「けへん」のように肯定こうていがた否定ひていがたともに可能かのう動詞どうし移行いこうしている[32]不可能ふかのうあらわ場合ばあい、「よー 未然みぜん+ん」といういいかたもある。
    • れい:よーはしらん

敬語けいご

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ながらく御所ごしょ存在そんざい宮中きゅうちゅう御所ごせ言葉ことば庶民しょみん言葉ことばにも影響えいきょうあたえたこと、ふるくからの都市とし社会しゃかい封建ほうけんてき社会しゃかい階層かいそうすすんだことなどから、敬語けいご非常ひじょう発達はったつしている。とく女性じょせいそう顕著けんちょであり、女性じょせいそうでは敬語けいごかぎらずつね丁寧ていねい言葉ことばづかいがこのまれ、「う」よりも「べる」、「うまい」よりも「おいしい」をもちいようとつとめたり、日常にちじょう生活せいかつ名詞めいしにも「おまめさん」のようにさかんに敬称けいしょうをつけたりする[33]

  • -はる京都きょうととその周辺しゅうへんもっと代表だいひょうてき敬語けいごで、「なさる」が「なはる」を変化へんかしたものとされる[34]だん動詞どうしでは「かはる」のようにアだん後続こうぞくし、そのでは「でやはる(る)」「きやはる(る)」「しやはる(する)」のように連用形れんようけいに「や」をかいして後続こうぞくする[35]。「はる」はだん活用かつようであるが、命令めいれいがたはない[34](楳垣は男性だんせいしたしい間柄あいだがらで「そうしやはれ(そうしなさい)」のようにうこともあると記録きろくしている)[35]。「-はる」は京都きょうと以外いがい関西かんさい各地かくちでも使つかわれるが、大阪おおさか比較ひかくした場合ばあい、「かはる(京都きょうと)」「きはる(大阪おおさか)」という形式けいしきじょうちがいのほか、京都きょうとほう日常にちじょう会話かいわでの「-はる」の使用しようりつが(とく会話かいわ話題わだい登場とうじょうする第三者だいさんしゃたいして)たかく、大阪おおさかでは明確めいかく尊敬そんけいとして使つかわれるのにたいし、京都きょうとでは身内みうち目下もっか動物どうぶつなどにもしたしみをめて使つかわれ、ききてたいする丁寧ていねい美化びかねるとされる[36]たとえば1990年代ねんだい調査ちょうさで、「父親ちちおや」「あかぼう」を話題わだいにするさいに「-はる」を使つか割合わりあいは、大阪おおさかでは男女だんじょとも2わり程度ていどだったのにたいし、京都きょうとでは父親ちちおやに「-はる」を使つかもの女性じょせい9わり男性だんせい6わりあかぼうに「-はる」を使つかもの女性じょせい8わり男性だんせいでも4わりにのぼった[36]
    • れいってはるわ(ってきたられるよ)
  • なはる:「する」の尊敬そんけい。「-なはれ」「-な(は)い」のかたち様々さまざま動詞どうし命令めいれい表現ひょうげんにも使つかうが、「-なはれ」は大阪おおさかてきないいかた京都きょうとではほとんど使つかわない[35]
    • れい:あんさんがなはったんどすか(あなたがなさったのですか)[35]
    • れい:はよーおいなはい(はやくいらっしゃい)[35]
    • れい:あてにもおくない(わたしにもください)[35]
  • 連用形れんようけい+やす:「はる」よりも敬意けいいたか敬語けいご表現ひょうげん。「おきやさへん」(おきにならない)のように活用かつようさせて使つかうのは京都きょうととその周辺しゅうへんかぎられるが、命令めいれい表現ひょうげんとしては山城やましろくち丹波たんば一帯いったい使つかわれ、「おやすみやす」「おいでやす」「ごめんやす」など「やす」を使つかった挨拶あいさつかたりはさらに広範囲こうはんい使つか[34]相手あいてへの確認かくにんのための強調きょうちょうとして、「やっしゃ」とも。
    • れい:ちょっともおいでやさしまへん(すこしもおでになりません)[35]
    • れい:またおいでやしとーくれやす(またおしください)[35]
    • れい:さっさとおしやっしゃ(はやくしなさいよ)[35]
  • -といやす:「ておいやす」の変形へんけい
    • れい:しといやした(していらっしゃいました)
  • 連用形れんようけい+るかならずしも丁寧ていねいとはかぎらず、ごくしたしい感情かんじょうめた表現ひょうげん。楳垣によると、江戸えど末期まっきから、音便おんびん使つかわない「きて」「きた」のようないいかたに「お」をかんして使つかうようになり、そこから「おぎょうきる」のような終止しゅうしがたぎゃくなりされたものだという[37]。「お+連用形れんようけい」のうしろに助詞じょし「な(いな)」をけて禁止きんしあらわしたり、否定ひてい助動詞じょどうし「-ん」+助詞じょし「か」「かい」「かいな」などをけて勧誘かんゆう命令めいれいあらわしたり、否定ひてい助動詞じょどうし「-ん」+助詞じょし「と」をけて条件じょうけんあらわしたりもする[37]以上いじょうのうち、禁止きんし勧誘かんゆう命令めいれい表現ひょうげん場合ばあいは「お」を省略しょうりゃくすることができる[37]
    • れい:それをおきて、えらいおいかりたそうや(それをいて、ひどくおこったそうだ)[37]
    • れい:あんまりあわてておしるさかい(あまりにあわててするものだから)[37]
    • れい:あんなとこいおきな(あんなところくな)[37]
    • れい:もっとはよおあるきんか(もっとはやくおあるきなさい)[37]
    • れい:ゆっくりおいんとからへんがな(ゆっくりおいでないとからないじゃないか)[37]
  • おす:「ある」の丁寧ていねいで、大阪おおさかの「おま(す)」に相当そうとう形容詞けいようしうしろにもつく。
    • れいだれもおへん(だれもいません)
    • れい:おいしおすなぁ(美味おいしいですねぇ)
  • どす断定だんてい丁寧ていねいで、京都きょうと中心ちゅうしんくち丹波たんばから山城やましろ広範囲こうはんい使つか[38]。「で+おす」が変化へんかしたものとされる[39]。「どす」の活用かつよう共通きょうつうの「です」にるが、「でしょー」にたるいいかたは「どしょー」ではなく「どっしゃろ(どすやろ)」[38]。「ことどす→こっとす」「へんのどす→へんのす」「どすのや→どんにゃ」のように前後ぜんごかたりによって発音はつおんわったり「ど」が省略しょうりゃくされたりすることもある[40]否定ひていがたは「やおへん」と[40]。「江戸えどべらぼうにきょうどすえ」ということわざがあるようにきょう言葉ことば代表だいひょうする表現ひょうげんだが、現在げんざいでは高齢こうれいそう芸妓げいぎなどかぎられた場面ばめんでしかかれない。
    • れい:どこどしたいな(何処どこでしたかね)[39]
    • れい:なんどすいな(なにですかね)[39]
    • れい:これどっしゃろ(これでしょう)[39]
    • れい:えらいすまんこっとした[40]大層たいそうまないことでした)
    • れい:とれへんのっしゃろか[40]れないんでしょうか)
    • れい:だれどんにゃ[40]だれなんですか)
    • れい:どーす[40](どうです)

形容詞けいようし

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  • 連用形れんようけいは「なごーなる(ながくなる)」「おしゅーなる(しくなる)」「あつーなる(あつくなる)」「おもーなる(おもくなる)」のようにウ音便うおんびんこるが、語幹ごかんがイのもの(シク活用かつよう)は「おしーなる」のように終止しゅうしがたおながた傾向けいこうがある(とくに「て」がつづとき[41]。「ない」がつづときは、シク活用かつよう以外いがいでも連用形れんようけい終止しゅうしがたおながたになることがあり、楳垣は1949ねん時点じてんで「学童がくどう用語ようご近来きんらい目立めだってた」と指摘してきしている[41]連用形れんようけい短音たんおんすることがあり、とく短音たんおんした連用形れんようけいかえして意味いみ強調きょうちょうする用法ようほう畳語じょうご)はきょう言葉ことば特徴とくちょうである[41]。「はよーにたのんどいた」(はやくにたのんでおいた)のように連用形れんようけいに「に」をつづけることもあるが、大阪おおさかちがってシク活用かつようでは「に」をつづけない[41]奥村おくむらは、伏見ふしみ山城やましろ南西なんせいでは多少たしょうられると指摘してきしている[42])。
    • れい:あほらし(ー)てものえん(馬鹿ばからしくてものえない)[41]
    • れい:ちょっともあまいない(ちっともあまくない)[41]
    • れい:なごなごなった(ながながくなった)[41]
    • れい:くわしくわしうた(くわしくくわしくった)[41]
    • れい:はよーにたのんどいた(はやくにたのんでおいた)[41]
    • れい:うつくしーに掃除そうじする(うつくしく掃除そうじする)(伏見ふしみ山城やましろ南西なんせいのいいかた[42]
  • 感嘆かんたんぶんでは終止しゅうしがた語尾ごび省略しょうりゃくされ(語幹ごかん用法ようほう)、シク活用かつようでは感嘆かんたんぶん以外いがいでも省略しょうりゃくこることがある[41]
    • れい:あーたかやの!(ああたかいこと!)[41]
    • れい:あーしんきくさ!(ああじれったい!)[41]
    • れい:こんでもよろし(なくてもよろしい)[41]
  • 仮定かていがたは「ければ→ながけりゃ/けら」のように「ば」を融合ゆうごうさせるが、通常つうじょうながかったら」「ながいんなら」「ながいんやったら」のようないいかた代用だいようする[41]
  • 推量すいりょうに「ながかろう」のようなかたちはほとんど使つかわず、動詞どうし同様どうよう、「ながいやろ」のように「終止しゅうしがた+やろ」であらわ[43]

形容動詞けいようどうし断定だんてい

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  • 形容動詞けいようどうし語尾ごびおよび断定だんてい助動詞じょどうしには「」を使つか[42]否定ひていがたは「しずかやない」のような「やない」であるが、「ない」といういいかたけて「しずかやらへん」のようなかたちをよく使つか[42]仮定かていがたには「やったら」を使つかうが、「なら」もある程度ていど使つか[42]。「えろーしずかなやな(大層たいそうしずかなんだね)」のように、形容動詞けいようどうし連体れんたいがた「な」にさらに「や」をつづけることがある[44]

助詞じょし

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  • かく助詞じょし「を」「が」とかかり助詞じょし「は」がよく省略しょうりゃくされる[45]。「が」の省略しょうりゃくは「を」ほどおおくなく(とく主語しゅご無生物むせいぶつ場合ばあい)、「が」の省略しょうりゃくこるさいには、主語しゅご長音ちょうおんべつ助詞じょし「のん」がともなうことがおお[46]
    • れいほんんだりいたり[45]
    • れいえてる[46]
    • れいあかいのんきや[46]
    • れい上手じょうずやけど下手へた[45]
  • しか」の用法ようほう共通きょうつうよりもひろく、「より以外いがいは」という意味いみのほかにも、「よりも」という意味いみ[46]や「のほうが」という意味いみ[45]でも使つかう。「しか」は「ほか」とも[46]
    • れい:うちしかってへん(わたししかっていない)[46]共通きょうつうでも用法ようほう
    • れい:うちしかあんたのほうがえらい(わたしよりあなたのほうがえらい)[46]共通きょうつうではわない用法ようほう
    • れい:あいつしか上手じょうずや(あいつのほう上手じょうずだ)[45]共通きょうつうではわない用法ようほう
  • 原因げんいん理由りゆう接続せつぞく助詞じょしに「さかい」「よって」「」があり、「さかい」は「はかい」「さけ」「はけ」と変化へんかさせることもおおいが[45]、「はかい」「はけ」は「さけ」ほどおおくなく、とく南山城みなみやましろなどではあまりられない[46]。「さかい/はかい/さけ/はけ」「よって」はうしろに「に」をけてうこともある[46]
    • れい:いまくさかいっててや(いまくからっていてね)[45]
    • れい:じきくよってっててや(すぐくからっていてね)[45]
  • 確定かくてい逆接ぎゃくせつ接続せつぞく助詞じょしに「けど」を使つかうが、きゅう愛宕あたごぐん南山城みなみやましろ一部いちぶでは「けんど」と[46]仮定かてい逆接ぎゃくせつには「かて」を使つかうが、京都きょうととその周辺しゅうへんでは「」もかなりられる(共通きょうつうのように「って」とはわない)[46]。「かて」は「でさえ」「でも」を意味いみするかかり助詞じょしでもある[45]
    • れいしかられたかて/しかられたて、かまへん(しかられてもかまわない)[46]
    • れいかなんだて、えーやろ(かなくたっていいだろう)[45]
    • れいわんかて、かってる(わなくともかっている)[45]
    • れい:なごーかてみじこーかておもいのままや(ながくでもみじかくでもおもいのままだ)[45]
    • れい:あてかてできるえ(わたしでも出来できるよ)[45]
    • れい:いまからかておそない(いまからでもおそくない)[45]
  • ふく助詞じょし「なりと」を「なと」とりゃくして共通きょうつうの「でも」の意味いみ使つか[45]並列へいれつ助詞じょしに「やら」を使つかうほか[46]不定ふていふく助詞じょし「やら」を「」とりゃくすことがおお[45]。また、共通きょうつうの「か」にたる不定ふていふく助詞じょしには「」を使つか[46]
    • れいはしりなとしたらえーのに(はしりでもすればいいのに)[45]
    • れいみずなともかい(みずでももうかな)[45]
    • れい:なんなといたいことうてー(なにでもいたいことをっていろ)[45]
    • れいうまやらうしやらがおる(うまうしがいる)[46]
    • れい:ほんまやうそからへん(本当ほんとうやらうそやらからない)[45]
    • れい:だれぞどこぞでうてた(だれかがどこかでっていた)[45]
    • れい:なんぞあるやろ(なにかあるだろう)[45]
  • 疑問ぎもんおわり助詞じょしには一般いっぱんてきに「」を使つかい、ぞんざいな表現ひょうげんとして「」も使つかう(なお、くち丹波たんばでは「け」はやや丁寧ていねい表現ひょうげんとされる)[46]南山城みなみやましろ地方ちほうなどでは目下もっかたいする疑問ぎもん表現ひょうげんに「」(かならず「や」でアクセントががる)も使つか[46]
  • 告知こくちおわり助詞じょし「ぜ」「ぞ」は「」「」とうことがおおく、「ぞ/ど」よりも「ぜ/で」のほうがやや丁寧ていねいとされるが、山城やましろ各地かくちくらべて京都きょうと市内しないではいずれも使用しようすくない[46]。また他人たにん疑問ぎもん決定けってい反駁はんばくするおわり助詞じょしとして「がな」がある[45]。そのやん(か)」も使つかわれるようになったが、「〜なんだよ、それでね」という意味いみで「やんかー」を使つかさいに、京都きょうと大阪おおさかでいいかたちがいがしょうじている[16]京都きょうとでは「ねん+やんかー」を「ねんかー」、「てん+やんかー」を「てんかー」と変化へんかさせる)。
    • れい昨日きのう梅田うめだってんかー(昨日きのう梅田うめだったんだよ、それでね)(大阪おおさかでは「昨日きのう梅田うめだってんやんかー」になる)[16]
  • 共通きょうつうの「よ」にたるおわり助詞じょしに「」と「」を使つか[46]。「わ」には「わ」のように「わ」でがる場合ばあいと「くわ」のように「わ」をたか発音はつおんする場合ばあいがあり、前者ぜんしゃ山城やましろだけでなく丹波たんばなどでもひろられるものの、後者こうしゃ山城やましろかぎられ、より丁寧ていねいやわらかい[46]
  • あいだとう助詞じょしとしては「なー」をもっともよく使つかい、やや丁寧ていねい場面ばめんでは「ねー」を使つか[46]京都きょうととその周辺しゅうへん女性じょせいそうでは、相手あいて関心かんしんつよこうとするさいに「なー」を「なーへー」と[46]。「なー」「ねー」は「なー、かあちゃん」のように自立じりつとしても使つか[46]

会話かいわじゅつ

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婉曲えんきょく

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依頼いらい辞退じたいあらわときには、直接的ちょくせつてきないいかたけ、婉曲えんきょくてき断定だんていてきないいまわしをこのむ。たとえば、「○○をください」とたのさいに「○○おくれやさしまへんやろか」(○○をくださりはしませんでしょうか)のように否定ひてい疑問ぎもん表現ひょうげんしたり、釣銭つりせんりないことを店員てんいんつたえるさいに「りません」などではなく「ちょっとらんようにおもいますが」のように間接かんせつてき表現ひょうげんしたりする[47]辞退じたいするときも「おおきに」「かんがえときまっさ」などと曖昧あいまい表現ひょうげんをすることによって、すすめてきた相手あいてうやまった表現ひょうげんをする。また、「主人しゅじんかなければからない」などと他人たにん主体しゅたいさせ、丁重ていちょうことわ方法ほうほうもちいられる。一方いっぽうで、言葉ことば使つかってイケズ(意地悪いじわる)をすることもあり、たとえば「おうちえー着物きものきたはりますな、きれーどすな」(おたくいい着物きものておられますね、綺麗きれいですね)とわれても、綺麗きれいめているのは着物きもののことであり、そのひとについてっているとはかぎらないので安易あんいよろこんではいけないという[48]

京都きょうと婉曲えんきょく表現ひょうげんかたうえでよくげられるのが「京都きょうと他人たにんいえ訪問ほうもんしたさい、そのいえひとにぶぶけ(茶漬ちゃづけのこと)をすすめられたら、それはあん帰宅きたくうながしている」という風習ふうしゅうであり、上方かみがた落語らくご演目えんもくきょう茶漬ちゃづ」やきたもりひろし小説しょうせつぶぶ伝説でんせつなぞ』など、これを主題しゅだいにした作品さくひんまでつくられるほどである。くわしくは茶漬ちゃづけ#茶漬ちゃづけにまつわる儀礼ぎれい参照さんしょう。こうした直接的ちょくせつてき表現ひょうげんきら風土ふうどによる表現ひょうげんは、きょう言葉ことばほぐさないひとからはコミュニケーションりにくいとおもわれている。

語彙ごい

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きょう言葉ことば独特どくとく表現ひょうげん語彙ごい以下いかのようなものがある(近畿きんき共通きょうつうするものもふくむ)。「駄々だだをこねる」を「ダダコ」と表現ひょうげんするなど、べつ品詞ひんしから名詞めいしつくすパターンがおおい。また、女房にょうぼう言葉ことば由来ゆらいする、名詞めいしおも生活せいかつかんするもの)に敬称けいしょう「お」や「さん」をつける表現ひょうげんがある。またオノマトペ多用たようし、リズムかん構成こうせいする一因いちいんとなっている。

名詞めいし

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  • あめさん - あめ女性じょせい。「お」はけない。[49]
  • おあげさ - 油揚あぶらあ[49]
  • た - カマボコ[50][49]
  • おーさん - 托鉢たくはつそう。「おーのぼーさん」または「おーやはん」ともう。「ほう」ととなえるこえが「おー」にこえることから。[49]
  • おかちょー - 蚊帳かや[50][49]
  • ぼ - カボチャ大聖寺だいしょうじ門跡もんぜきでは「かぼ」ともう。[50][49]
  • どさん - かまど(かまど)。かまどの神様かみさま[49]
  • な - 背中せなか幼児ようじ女性じょせい[49]
  • おしじ、むさき - 醤油じょうゆ。「むらさき」はとく飲食いんしょくてんなどで使つかう。[50][49]
  • ちゃやの ばんとー - テントウムシ。戦前せんぜんによく使つかわれた。[49]
  • っさん - 和尚おしょう。「おじさん」はおっさん[49]
  • む - あたま御所ごしょ言葉ことばだが、一般いっぱんでも児童じどう婦人ふじん使つかう。[49]
  • おねもじ - ネギ
  • おばんざ - 普段ふだんのおかず。[49]
  • およな - 夜食やしょく[50][49]
  • およね - べい[50]
  • かにここ - 赤子あかごはつ便びんまたは臨終りんじゅうひと便びん。ぎりぎり、やっとこさという意味いみ副詞ふくしでもある。平成へいせいもと年度ねんど時点じてんで、60だい京都きょうと市民しみんでもからないとこたえるひとおおくなっていた。[49]
  • 東上とうじょう - 東京とうきょうくこと。東京とうきょう行幸ぎょうこう以前いぜんは、東京とうきょうくことを「東下ひがししも」、東京とうきょうふく京都きょうと以外いがい地方ちほうくことを「下向げこう」とった。京都きょうとることは「上京じょうきょう」。

形容詞けいようし形容動詞けいようどうし

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  • ーとな - 地味じみ上品じょうひん質素しっそ。「はんなり」と対照たいしょうてき言葉ことば[49]
  • ざんない - だらしない。くだらない。ものおくさいに「えらいざんないもんどすけど、お使つかいやしとくれやす」のように謙遜けんそんしてう。[49]

副詞ふくし

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  • ばんと - あいにく。おりあしく。宇治うじ城陽じょうよう南山城みなみやましろでは「えんばと」「えんがと」ともう。京北けいほくでは「ちょうど」という意味いみ使つかう。[49]
  • んなり、はん - 陽気ようき上品じょうひんあかるさ。あかるくて物柔ものやわらか。「はな」に状態じょうたいあらわ接尾せつび「り」をけ、撥音はつおんしたもの。「はんなりした」というかたちでよく使つかう。[49]
  • まっ - とろんとした口当くちあたり。重厚じゅうこうかんじのひと形容けいようするさいにも使つかう。[49]

慣用かんよう表現ひょうげん

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  • いけのはたのき - いけはし芋茎ずいき。「いけず」のシャレ言葉ことばおんなあそびで意地悪いじわるされたときに「いーけのはーたのずいき」と茶化ちゃかしていいかえす。[49]
  • いよっ、まっ、おわい - まぁおり。西陣にしじんにおいて、信用しんようしているなかいにたいして問屋とんやける言葉ことば[49]
  • いりまへんか - ようではありませんか。白川しらかわおんなはなあるさいに「はな、いりまへんかー」とっていたほか、一般いっぱん商家しょうかでも使用しよう[49]
  • おいです、おこしす - いらっしゃい。「ーおこ」ともう。「おこしやす」のほう丁寧ていねいで、最上級さいじょうきゅう丁寧ていねいでは「おこしやしとくれやす」。[49]
  • おーに - ありがとう。あま門跡もんぜきでは「おーきに」を使つかわず、「ありがとー」を食事しょくじ前後ぜんご挨拶あいさつへの返事へんじなどに使つかう。[49]
  • おきばりす - 頑張がんばってください。祇園ぎおん花街はなまちでは女将おかみが「そろそろ旦那だんなをおりなさい」と芸子げいこさいに「ろそろ おきばりす」とう。[49]
  • おくたぶれさんした - 仕事しごとえてかえさい祇園ぎおん花街はなまち挨拶あいさつ現在げんざいは「おつかれさんどした」とう。[49]
  • おく べっぴん - 表面ひょうめんてきには優雅ゆうがだが、うら意味いみがあるというきょう言葉ことば特性とくせいをいいあらわした言葉ことば[49]
  • おこーさんどす - 年末ねんまつ正月しょうがつ準備じゅんびいそがしくなるとき挨拶あいさつ大晦日おおみそかには「ご繁昌はんじょうなにより」という意味いみ使つかう。現在げんざい祇園ぎおん花街はなまちで12月13にち事始ことはじめの(12月13にち)に芸妓げいぎうが、以前いぜん室町むろまち商家しょうかでも使つかった。[49]
  • ずかに - 食事しょくじひとすすめるさいに「ごゆっくり」という意味いみめて使つかう。また、ひとおくさいに「何事なにごともないように」という意味いみめて使つかう。[49]
  • おせんすにな - 縁談えんだんがほぼまとまること。結納ゆいのうまえ扇子せんす交換こうかんをするしきたりがある。[49]
  • おやかっさん(どした) - お邪魔じゃましました。辞去じきょ挨拶あいさつ[49]
  • おやすみす - おやすみなさい。[49]
  • かんにん - ごめんね。女性じょせい。「かんにして」「かにんして」「かにしてや」「かんにしとくりゃっしゃ」ともう。祇園ぎおんでは「かんにんどっせ」を多用たよう[49]
  • ごめんす - ごめんなさい。ごめんください。ちょっとすみません。とく丁寧ていねいうと「ごめんやしておくれやす」。[49]
  • どこいきどす - どこかへかける近所きんじょひとたいしてける挨拶あいさつ。「どこいきや」ともう。けられたほうは「ちょっとそこまで」や「ちょっと」などとかえす。[49]
  • どなたさんも おさどす - おさき失礼しつれいいたします。医院いいん待合室まちあいしつなどで、自分じぶんばんんでかえさいっているひとける挨拶あいさつ[49]
  • なかなか - いえいえ。かるくいなすとき言葉ことば[49]
  • はしじかどすけど - おくまねくほどではないきゃく応対おうたいするさい玄関げんかんのかまちや縁先えんさきで「端近はしぢかなところですが」とって座布団ざぶとんすすめる。[49]
  • はばかりさん - ご苦労くろうさん。すこ世話ぜわになったときう。[49]

例文れいぶん

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  • 設定せっていしたぶん近畿きんき各地かくち方言ほうげんやくしてまとめた『近畿きんき方言ほうげん総合そうごうてき研究けんきゅう』の「近畿きんき方言ほうげん文例ぶんれいしょう」から、きゅう山城やましろこく範囲はんい方言ほうげん抜粋ばっすいする[51]。なお、みやすさのため、カタカナ表記ひょうきをひらがな表記ひょうきあらためた。
    • おまえら ろくまでに きなければ いけないよ。
    • よくごらん これとそれと どちらが ながい。
      • 京都きょうと:よーみてみ/みとーみ こえとそえと どっちが ながい。
      • 宇治田原うじたわら:よーみてみー こいつとそいつと どっちゃ ながい。
      • 中和ちゅうわたば:よーみなはれ こいつとそいつと どっちゃが ながい。
    • 去年きょねんかれなかったけれど 今年ことし是非ぜひ くつもりだ。
      • 京都きょうと:きょねんわ いけへなんだけど ことしわ どしても いくつもりや。
      • 宇治田原うじたわら:きょねんわ いけへんだけど ことしわ きっと いくつもりや。
      • 中和ちゅうわたば:きょねんわ いかれへなんだけど ことしわ きっと いくつもりや。
    • このみかんは いから てよう。とても べられるものか。
      • 京都きょうと:このみかん すいさかい すてよ。どしても たべられへん。
      • 宇治田原うじたわら:このみかんわ すいさかい すてよ。とても たべられるもんかい。
      • 中和ちゅうわたば:こんなみかん すいよって ほかそ。めったに たべられるもんか。
  • 1964ねん京都きょうと市内しない記録きろくされた当時とうじ20だい女性じょせい2にん会話かいわ[52]。なお、みやすさのため、マ字まじ表記ひょうき漢字かんじひらがな表記ひょうきあらためたほか、誤記ごきとう一部いちぶ修正しゅうせいした。
    実際じっさい音声おんせい
    • A:だいいち あんた 今日きょう なーんで ものっすご ながいこと ってたんえ
      だいいち あなた 今日きょう なぜ。ものすごく ながいこと ってたのよ。
    • B:どこで
      どこで。
    • A:ホテルの うえで あの ロビーで
      ホテルうえで。あの ロビーで
    • B:いや あの 電話でんわ したんや ほんで うちー 5きっちりに
      いや あの 電話でんわを したのよ それで わたし 5きっかりに。
    • A:おかしーな おかしーな
      おかしいな おかしいな。
    • B:ほな つうじひんかったんや
      じゃあ つうじなかったんだ。
    • A: ものすご 混線こんせん してたやろ
      ものすごく 混線こんせん してたでしょ。
    • B:あー そうやー
      ああ そうだ。
    • A:なんでやろ あれ
      なぜだろう あれ。
    • B:らん あそこ 電話でんわだい はろーたはらへんの ちゃうんかて ゆーてんえ おーきーし
      からない。あそこ 電話でんわだいはらっておられないん じゃないのかって ったのよ おおきいし。
    • A:そーや っても っても あんた きーひんし もー わすれてるし もー よっぽど 電話でんわ しよかなー おもえたんやけど もー ちょっと ってみよ おもえたら さはったん
      そうだ。っても っても あなたが ないから。もう わすれてるから。もう よっぽど 電話でんわ しようかなあと おもったんだけど もう ちょっと ってみようと おもったら されたの。
    • B:あー そーか あたし あれ にへんめ? あんたの 電話でんわ いたん ふん
      ああ そうか。わたし。あれ 度目どめ? あなたが 電話でんわいたのは。うん。
    • A:ほんま わたし されんの 大嫌だいきらいや
      本当ほんとうわたしされるのが 大嫌だいきらいだ。
    • B:かんにんえ
      ごめんね。
    • A:かっこわるいやろ
      格好かっこうわるいでしょ。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b 佐藤さとうへん(2009)、210-217ぺーじ
  2. ^ 楳垣(1949), 26ぺーじ
  3. ^ 楳垣(1950)、32-34ぺーじ
  4. ^ きしこう信介しんすけ井上いのうえ文子ふみこ京都きょうと方言ほうげん動態どうたい』1997ねん近畿きんき方言ほうげん研究けんきゅうかい
  5. ^ 方言ほうげんがかわいい「都道府県とどうふけん」ランキング、gooランキング、2019ねん12月12にち更新こうしん、2020ねん5がつ20日はつか閲覧えつらん
  6. ^ 楳垣(1949), 4-5ぺーじ
  7. ^ a b c 奥村おくむら(1962), 262-267ぺーじ
  8. ^ 楳垣へん(1962), 14ぺーじ
  9. ^ 楳垣へん(1962), 428ぺーじ
  10. ^ 井之口いのくち堀井ほりい(1992), 289-290ぺーじ
  11. ^ 井之口いのくち堀井ほりい(1992), 290ぺーじ
  12. ^ 楳垣へん(1962), 17-18ぺーじ
  13. ^ a b c d e f 奥村おくむら(1962), 269-273ぺーじ
  14. ^ a b c d e f 井之口いのくち堀井ほりい(1992), 302-306ぺーじ
  15. ^ 楳垣(1949), 131-137ぺーじ
  16. ^ a b c 松丸まつまる(2018)
  17. ^ 中井なかいみゆきいにしえ京阪けいはんけいアクセント辞典じてん』、2002ねんつとむまこと出版しゅっぱん、52ぺーじ
  18. ^ 奥村おくむら(1962), 275-276ぺーじ
  19. ^ 楳垣(1949), 168ぺーじ出典しゅってんではだん活用かつようだけ語幹ごかん省略しょうりゃくしてあらわしているが、ここでは活用かつようがたわせてだん活用かつようにも語幹ごかんおぎなった。
  20. ^ 出典しゅってん歴史れきしてき仮名遣かなづかいの関係かんけいから「よんだん」としている。
  21. ^ 出典しゅってん歴史れきしてき仮名遣かなづかいで「くだりか(う)」としているが、引用いんようにあたって現代げんだい仮名遣かなづかいにあらためた。
  22. ^ a b c d e 楳垣(1949),170-171ぺーじ
  23. ^ a b 楳垣(1950), 34ぺーじ
  24. ^ a b c d 奥村おくむら(1962), 288-289ぺーじ
  25. ^ 楳垣(1949), 177ぺーじ
  26. ^ 楳垣(1949), 179ぺーじ
  27. ^ a b 楳垣(1949), 185-187ぺーじ
  28. ^ 奥村おくむら(1962), 283ぺーじ
  29. ^ 奥村おくむら(1962), 285ぺーじ
  30. ^ a b c d e 楳垣(1949), 183-185ぺーじ
  31. ^ 奥村おくむら(1962), 280ぺーじ
  32. ^ 真田さなだ監修かんしゅう(2018), 150-152
  33. ^ 楳垣(1950), 28-29ぺーじ
  34. ^ a b c 奥村おくむら(1962), 280-283ぺーじ
  35. ^ a b c d e f g h i 楳垣(1949), 191-194ぺーじ
  36. ^ a b きしこう信介しんすけ京阪けいはん方言ほうげんにおける親愛しんあい表現ひょうげん構造こうぞう枠組わくぐ」『日本語にほんご科学かがく』、国立こくりつ国語こくご研究所けんきゅうじょ、1998ねん 
  37. ^ a b c d e f g h 楳垣(1949), 171-175ぺーじ
  38. ^ a b 奥村おくむら(1962), 287ぺーじ
  39. ^ a b c d 楳垣(1949), 190ぺーじ
  40. ^ a b c d e f 楳垣(1950), 32ぺーじ
  41. ^ a b c d e f g h i j k l m n 楳垣(1949), 151-165ぺーじ
  42. ^ a b c d e 奥村おくむら(1962), 277-279ぺーじ
  43. ^ 奥村おくむら(1962), 286ぺーじ
  44. ^ 楳垣(1949), 166ぺーじ
  45. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 楳垣(1949)
  46. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 奥村おくむら(1962), 289-297ぺーじ
  47. ^ 井之口いのくち堀井ほりい(1992), 296ぺーじ
  48. ^ 井之口いのくち堀井ほりい(1992), 297ぺーじ
  49. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an 堀井ほりい井之口いのくち(1992)
  50. ^ a b c d e f さつ埜和おとこ大阪おおさかべん「ほんまもん」講座こうざ』2006ねん新潮社しんちょうしゃ、p122
  51. ^ 楳垣へん(1962), 584-587ぺーじ
  52. ^ 国立こくりつ国語こくご研究所けんきゅうじょ上村うえむら幸雄ゆきお徳川とくがわそうけん)「京都きょうと方言ほうげん」『方言ほうげん録音ろくおん資料しりょうシリーズ』だい11かん国立こくりつ国語こくご研究所けんきゅうじょはなしことば研究けんきゅうしつ、1969ねん 

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 楳垣きょう言葉ことばこうきり書院しょいん、1949ねんきゅうきゅう仮名かめい表記ひょうきであるが、引用いんようとうするさい表記ひょうき一部いちぶえた。
  • 楳垣京都きょうと方言ほうげん」『国語こくごがくだい4輯26-38ぺーじ国語こくご学会がっかい、1950ねん
  • 楳垣へん近畿きんき方言ほうげん総合そうごうてき研究けんきゅう三省堂さんせいどう、1962ねん
  • 寿ことぶきたけし章子あきこらしのきょうことば』朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1979ねん
  • 木村きむらきょうづくりきょうことばの生活せいかつ教育きょういく出版しゅっぱんセンター、1983ねん
  • 井之口いのくち有一ゆういち堀井ほりいれい以知『きょうことば辞典じてん東京とうきょうどう出版しゅっぱん、1992ねんISBN 4-490-10305-0
  • 加納かのうすすむきょうことば玉手箱たまてばこ』ユニプラン、1993ねんISBN 4-89704-017-5
  • 大淵おおふち幸治こうじ丁寧ていねいなほど、おそろしい「きょうことば」の人間にんげん関係かんけいがく祥伝社しょうでんしゃ、2000ねんISBN 4-396-61116-1
  • 佐藤さとう亮一りょういちへん都道府県とどうふけんべつ全国ぜんこく方言ほうげん辞典じてん CDき』三省堂さんせいどう、2009ねん
    • 寺島てらしま浩子ひろこ古川ふるかわゆう京都きょうと
  • 真田さなだ信治しんじ監修かんしゅう関西かんさいべん事典じてん』ひつじ書房しょぼう、2018ねん
    • 松丸まつまるしんだい京都きょうと方言ほうげん概説がいせつ」54-64ぺーじ

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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