(Translated by https://www.hiragana.jp/)
月震 - Wikipedia コンテンツにスキップ

つきふるえ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
アポロ11ごう設置せっちしたつきふるえけい

つきふるえ(げっしん)とは、つきこる地震じしんのことである。

地球ちきゅうきるのがふるえ (earthquake) なので、研究けんきゅうしゃあいだ俗称ぞくしょうとしてmoonquakeという言葉ことばができ、それを日本語にほんごやくした呼称こしょうである。なお、earthquakeのearthは大地だいちという意味いみであり、「地球ちきゅう」という意味いみではない。

歴史れきし

[編集へんしゅう]

1969ねんアポロ11ごう月面げつめん地震じしんけい設置せっちしたことによって、つきにも地殻ちかく変動へんどうこっていることが発見はっけんされた。このときの地震じしんけい太陽たいよう電池でんち動力どうりょくげんとし、保温ほおんカバーとうかったため、1ヶ月かげつほど運用うんよう終了しゅうりょうしてしまった。

その月面げつめん着陸ちゃくりくしたアポロ12ごう14ごう15ごう16ごう地震じしんけい月面げつめんへと設置せっちしている。このときは保温ほおんカバーがけられ、長期間ちょうきかん観測かんそく可能かのうとなった(なお、アポロ17ごう地震じしんけいじゅんじた重力じゅうりょく測定そくてい装置そうち搭載とうさいしている)。

これらの地震じしんけいによる観測かんそく1977ねんまでおこなわれ、観測かんそく時間じかん通算つうさん8ねん10ヶ月かげつ、12558かい地震じしん記録きろくされた。これが現在げんざいのところがつふるえかんする観測かんそくデータのすべてである。

特徴とくちょう

[編集へんしゅう]

このように、かぎられた観測かんそくデータから判明はんめいしているつきふるえ特徴とくちょうには、つぎのようなてんがある。

まず、つきふるえれのピークにたっするまでの時間じかんながく、ときすうじゅうふんもかかることがある。れがおさまるまでの時間じかんながく、数時間すうじかんれがつづくこともある。

また、震動しんどう波形はけいても、あさはつがつふるえのぞけば実体じったい(Pなみ、Sなみ)、表面ひょうめん(レイリーなみ、ラブ)の区別くべつがはっきりせず、上下動じょうげどう東西とうざいどう南北なんぼくどうといったれの方向ほうこうべつ震動しんどう波形はけいても、3つの要素ようそ振幅しんぷくおおきくちがい、関連かんれんせいうすい。このことから、つき地殻ちかく地球ちきゅうのように明確めいかくそうかれておらずバラバラであるため、地震じしん散乱さんらんされてしまうこと、地震じしん減衰げんすい地球ちきゅうくらべてかなりすくないことなどがかった。

周波数しゅうはすうが1ヘルツ程度ていどなが周期しゅうきなみつよい。

また、最大さいだい規模きぼつきふるえでもエネルギー地球ちきゅう最大さいだい規模きぼ地震じしんの100まんぶんの1以下いかであり、マグニチュード4程度ていどである。

分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

これまでに記録きろくされたつきふるえおおきく5つに分類ぶんるいされているが、記録きろくされたつきふるえのうち半分はんぶん以上いじょうの7633かい分類ぶんるいされていない。

ふかはつがつふるえ
ふかさ800-1100キロメートルのところでこっていると推定すいていされているつきふるえマグニチュード1-2程度ていどちいさい。アポロ計画けいかく観測かんそくされた地震じしんのうち3145かいがこれに分類ぶんるいされている。いくつかのまった震源しんげん発生はっせいし、波形はけい特徴とくちょうがありそれによってグループけされている。グループはApolloの頭文字かしらもじをつけてA1、A2、…と名付なづけられており、109グループに分類ぶんるいされている。そのうちもっとも活発かっぱつなグループはA1である。震源しんげんはほとんどがつき表側おもてがわ地球ちきゅういているがわ)にある。その発生はっせい頻度ひんど規模きぼ変動へんどうつき公転こうてん周期しゅうきばかりどう周期しゅうきしたがっていることから地球ちきゅう太陽たいようからの潮汐ちょうせき原因げんいんこっているものとかんがえられている。
あさはつがつふるえ
ふかさ300キロメートルのところでこっていると推定すいていされているつきふるえでマグニチュード3-4程度ていどおおきい。アポロ計画けいかく観測かんそくされた地震じしんのうちでは28かい非常ひじょうすくない。発生はっせいすうすくないため不明ふめいてんおおい。最初さいしょのうちは高周波こうしゅうは地震動じしんどう (HFT: High-Frequency Telescismic) とばれていた。
隕石いんせき衝突しょうとつ
隕石いんせき衝突しょうとつともな地面じめん振動しんどう地震じしんけい感知かんちされたものである。アポロ計画けいかくでは179かい観測かんそくされている。その地震じしん規模きぼから月面げつめん衝突しょうとつしている隕石いんせき質量しつりょうは500グラムから50キログラム程度ていど推定すいていされている。
ねつがつふるえ
つき昼夜ちゅうや温度おんどおおきいために岩石がんせきねつ膨張ぼうちょうねつ収縮しゅうしゅくかえし、破壊はかいされるさい振動しんどう地震じしんけい感知かんちされたものである。上記じょうきつきふるえ発生はっせいすうにはカウントされていないが、実際じっさいには記録きろくされたつきふるえだい部分ぶぶんめる。地震じしんけいちかくの岩石がんせき原因げんいんとする局所きょくしょてき振動しんどうであるため、1つの地震じしんけいにしか記録きろくされずほかつきふるえ区別くべつできる。発生はっせいすう変動へんどうつきけの周期しゅうき同期どうきしており、また波形はけいつね類似るいじしている。
人工じんこうがつふるえ
アポロ計画けいかくさい爆薬ばくやく不要ふようになったロケットのブースター着陸ちゃくりくせん月面げつめん衝突しょうとつさせることによって、人工じんこうてきつきふるえこす実験じっけんが11かいおこなわれている。

地球ちきゅう地震じしん解析かいせきによって地球ちきゅう内部ないぶ構造こうぞうることができるのと同様どうように、つきふるえによってつき内部ないぶ構造こうぞうることが可能かのうである。 しかしアポロ計画けいかくられたデータはつき表側おもてがわでの観測かんそくかぎられており充分じゅうぶんではない。JAXALUNAR-A計画けいかくにおいてはつき裏側うらがわへも地震じしんけい搭載とうさいしたペネトレータ投下とうかすることを計画けいかくしており、このてん補完ほかんできるものと期待きたいされていたが、2007ねん1がつ計画けいかく見直みなおし・中止ちゅうしにともない先行さきゆきは不透明ふとうめいなものとなった。ただし、ペネトレータ自体じたい今後こんごなんらかの計画けいかく運用うんようされる見通みとおしである。

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]