首都しゅと圏けん地震じしん観測かんそく網もう

首都しゅと圏けん地震じしん観測かんそく網もう（しゅとけんじしんかんそくもう、英語えいご: Metropolitan Seismic Observation network、略称りゃくしょう：MeSO-net メソネット）は、2007年度ねんど（平成へいせい19）年度ねんどより、文部もんぶ科学かがく省しょうにより始はじめられた『首都しゅと直下ちょっか地震じしん防災ぼうさい・減げん災わざわい特別とくべつプロジェクト』^[1]により整備せいびされたボアホール型がたの地中ちちゅう地震じしん計けいによる中ちゅう感度かんど地震じしん観測かんそく網もう。観測かんそく点てんは南関東みなみかんとうの関東平野かんとうへいやを中心ちゅうしんに約やく400箇所かしょ^[2]（2009年ねん時点じてん）設置せっちされている。

高密度こうみつどの観測かんそく網もうを構築こうちくした事ことで、従来じゅうらいの観測かんそく網もうより精度せいどの高たかい震源しんげん分布ぶんぷを決定けっていすることが可能かのうとなり、更さらに建物たてものを破壊はかいする震動しんどう（強つよ震動しんどうの）予測よそくに必要ひつような地下ちか構造こうぞう（地震じしん波は速度そくど構造こうぞう）も明あきらかになった^[3]。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

高こう品位ひんいの観測かんそくデータを得えるためには、関東平野かんとうへいやでは堆積たいせき層そう下したの基盤きばんまで到達とうたつする3000m級きゅうの観測かんそく井いが望のぞまれるが、安価あんかに短みじかい工期こうきで観測かんそく網もうを整備せいびする為ために約やく20m程度ていどの地下ちかに地震じしん計けいが設置せっちされていて、地上ちじょう部ぶ装置そうちは停電ていでんでも約やく50時じ間あいだ稼働かどうできる。観測かんそく点てんの立地りっちは主おもに公立こうりつの教育きょういく機関きかん、公園こうえん、公立こうりつ図書館としょかんなどが多おおく選定せんていされている。

観測かんそく井いが浅あさいため、生活せいかつノイズ（人間にんげんの経済けいざい活動かつどうに伴ともなう震動しんどう）や気象きしょう現象げんしょうに伴ともなうノイズ^[4]による観測かんそくデータの S/N比ひの低下ていかが懸念けねんされたが、様々さまざまな手法しゅほうを駆使くししノイズを低減ていげんしたデータが得えられている。また、ボアホール観測かんそく施設しせつを建設けんせつする技術ぎじゅつは民間みんかん主ぬしの技術ぎじゅつ体たいであるために年月としつきの経過けいかにより技術ぎじゅつの伝承でんしょうが途絶とだえてしまわないよう配慮はいりょする必要ひつようがあるが、構造こうぞうを実現じつげんするための工法こうほう、機器ききの型式けいしきなどを文書ぶんしょ記録きろくとして残のこしている。

観測かんそくデータの解像度かいぞうどを上あげるために観測かんそく点てんは気象庁きしょうちょうや防災ぼうさい科学かがく技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょの高こう感度かんど地震じしん観測かんそく網もう（Hi-net）よりも高密度こうみつどで配置はいちされている。また、免めん震ふるえ機能きのうと自家じか発電はつでん装置そうちを備そなえたデータセンターは東京大学とうきょうだいがく地震じしん研究所けんきゅうじょ内ない^[5]におかれ観測かんそくデータは関係かんけい機関きかんに配信はいしんされている。

データ伝送でんそう[編集へんしゅう]

GPSを利用りようした高こう精度せいどの時刻じこくを利用りようし、観測かんそく点てん毎ごとにデータに正確せいかくなタイムスタンプが付与ふよされている^[6]。MeSO-net のデータ伝送でんそうはインターネット回線かいせんを使用しようしているが、従来じゅうらいのWINシステムの伝送でんそう方式ほうしきでは回線かいせんの混雑こんざつ時じや受信じゅしん側がわ過か負荷ふか時じにデータ欠落けつらくが生しょうじる事ことがあったが、当とうシステムでは新あらたに自律じりつ協調きょうちょう型がたデータ伝送でんそうプロトコル(Autonomous Cooperative data Transer Protocol:ACT Protocol)が開発かいはつされ、「データ伝送でんそうが滞とどこおった際さいは送信そうしん量りょうを減へらす」「正常せいじょう伝送でんそうされたとの応答おうとうが無なかった場合ばあいはデータを再送さいそう」等とうの処理しょりを行おこない、運用うんよう開始かいしから2009年ねん10月がつ時点じてんまででデータ伝送でんそうの欠落けつらくを生しょうじなていない^[6]。なお、このACT Protocolのソースコードはオープンソースとして公開こうかいされている^[6]。