(Translated by https://www.hiragana.jp/)
超長基線電波干渉法 - Wikipedia コンテンツにスキップ

ちょうちょう基線きせん電波でんぱ干渉かんしょうほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
VLBIを構成こうせいする電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょうぐん一部いちぶ(ポーランドPiwnice)

ちょうちょう基線きせん電波でんぱ干渉かんしょうほう(ちょうちょうきせんでんぱかんしょうほう、えい: Very Long Baseline InterferometryVLBI)は、電波でんぱ天文学てんもんがくにおける天文てんもん干渉かんしょうほう一種いっしゅである。はなれたアンテナ観測かんそくしたデータを、原子げんし時計とけいなどで計測けいそくしたタイミング情報じょうほうとセットにして磁気じきテープなどに保存ほぞんし、郵送ゆうそうなどにより1かしょ集約しゅうやくして相関そうかんさせることでぞう手法しゅほうである。

解像度かいぞうどは、アレイ構成こうせいするアンテナのうち、もっとはなれたふたつのあいだ距離きょり比例ひれいする。VLBIではこの距離きょりを、ケーブルでアンテナ同士どうし物理ぶつりてき接続せつぞくできないようなながさにまで拡大かくだいすることを可能かのうにする。おおきくへだたったアンテナによるVLBIでこう解像度かいぞうどぞうることができるのは、1950年代ねんだいロジャー・クリフトン・ジェニソン英語えいごばん開発かいはつしたclosure phaseかいぞう技術ぎじゅつによる。VLBIは通常つうじょうラジオ波長はちょういきもちいられるが、可視かしこう領域りょういきにも応用おうようされつつある。

概要がいよう

[編集へんしゅう]

もっともよくられているVLBIの用途ようとは、遠方えんぽう宇宙うちゅう電波でんぱげん撮影さつえい宇宙うちゅう追跡ついせき位置いち天文学てんもんがくなどである。ぎゃくに、クエーサーなど遠方えんぽう電波でんぱげんからくる電波でんぱの2つのアンテナにおける到着とうちゃく時間じかんおくれを観測かんそくすることで、基線きせんながさをミリメートル単位たんい測定そくていすることが可能かのうとなり、測量そくりょうプレート運動うんどう研究けんきゅう国際こくさいてき測地そくちけい構築こうちく地球ちきゅう回転かいてん計測けいそく世界せかいかんなどに応用おうようされている。

ヨーロッパアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく日本にっぽんにはVLBI観測かんそくもうがある。もっと感度かんどたかいVLBIもうヨーロッパVLBIネットワーク(EVN)である。アメリカにはちょうちょう基線きせんアレイ(VLBA)がある。このふたつをわせてグローバルVLBIとぶこともある。これらは後述こうじゅつするスペースVLBIもう一部いちぶでもあり、のいかなる天文てんもん観測かんそく装置そうちよりもたか解像度かいぞうどほこる。

現在げんざいでは観測かんそくデータとタイミング情報じょうほう高速こうそく回線かいせんつうじてやりりし、リアルタイムで相関そうかんさせることも可能かのうとなっている。ヨーロッパでは6つの望遠鏡ぼうえんきょうJoint Institute for VLBI in Europe(JIVE)と1Gbpsのひかり回線かいせん接続せつぞくされ、世界せかいではじめてこのあたらしい技術ぎじゅつe-VLBI)を成功せいこうさせた天文てんもん観測かんそく装置そうちとなった。

世界せかい天文てんもんねん2009開幕かいまくしき記念きねんイベントとして、世界せかい12かこく、17だい電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう利用りようしての、e-VLBIが、おひつじ方向ほうこうにあるブラックホールの観測かんそくおこない、その様子ようすがパリの開会かいかいしき会場かいじょう紹介しょうかいされた。

スペースVLBI

[編集へんしゅう]

スペースVLBI(SVLBI)は、アンテナのうちひとつかそれ以上いじょう人工じんこう衛星えいせいとして宇宙うちゅう空間くうかん設置せっちすることで、地球ちきゅう直径ちょっけいよりおおきな基線きせんをもつ干渉かんしょうけい構築こうちくする手法しゅほうである。これにより、解像度かいぞうど周波数しゅうはすうおな場合ばあい地上ちじょうのVLBIにくらべ3から10ばいになる。地上ちじょうのVLBIとちがい、SVLBIでは衛星えいせい位置いち精密せいみつ決定けっていする技術ぎじゅつドップラー効果こうかによる観測かんそく周波数しゅうはすうのシフトを補償ほしょうする技術ぎじゅつなど、おおくの技術ぎじゅつてき課題かだい存在そんざいするが、これらは解決かいけつされつつある。

SVLBIの構想こうそう自体じたいはVLBIの歴史れきしどう程度ていどふるいものであるが、具体ぐたいてき検討けんとうされはじめたのは1980年代ねんだいのことである。1986ねんから1988ねんにかけて、アメリカのTDRS日本にっぽんオーストラリア電波でんぱ天文台てんもんだいもちいて地球ちきゅうの2ばい程度ていど基線きせん干渉かんしょうけい構築こうちくする実験じっけん成功せいこうしたのがSVLBIのはつ成功せいこうれいである。ヨーロッパでは欧州おうしゅう宇宙うちゅう機関きかん(ESA)がアメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく(NASA)と共同きょうどうQUASATという計画けいかく推進すいしんしていたがホイヘンス・プローブとの優先ゆうせん競争きょうそう中止ちゅうしとなった。ロシアではラジオアストロンという計画けいかくすすめられ、ソ連それん崩壊ほうかい混乱こんらんなどのため計画けいかく延期えんき延期えんきかさねられたが、2011ねん無事ぶじのぼられた。アメリカではNASAジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ(JPL)とアメリカ国立こくりつ電波でんぱ天文台てんもんだい(NRAO)がARISEiARISEという計画けいかくてているが、Xせんミッションやガンマ線がんませんミッションが優先ゆうせんされているため実現じつげん目処めどっていない。

日本にっぽんでは宇宙うちゅう科学かがく研究所けんきゅうじょ(ISAS)と国立こくりつ天文台てんもんだい(NAOJ)がVSOP計画けいかく立案りつあんし、1997ねんの「はるかげにより実現じつげんした[1]。「はるか」は工学こうがく実験じっけん衛星えいせいであり、天文てんもん衛星えいせいとしてはかぎられた機能きのうしかたなかったが、実際じっさい天体てんたい観測かんそくおこなおおきな成果せいかをあげた。後続こうぞくとしてVSOP-2計画けいかく/ASTRO-G衛星えいせいについても開発かいはつが2007年度ねんど予算よさんとして国会こっかい承認しょうにんされた。しかし目標もくひょうとするアンテナの精度せいど達成たっせいすることができず、2011ねん11月30にち計画けいかく中止ちゅうし決定けっていされた。

日本にっぽんおもなVLBIアンテナ

[編集へんしゅう]
国土こくど地理ちりいんのVLBI観測かんそくきょく茨城いばらきけんつくば)2016ねん12がつまつ運用うんよう終了しゅうりょう

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]