松平まつだいら清きよし宗むね

凡例はんれい 松平まつだいら清きよし宗むね
松平まつだいら清きよし宗像むなかた（天てん桂かつら院いん蔵くら）
時代じだい	戦国せんごく時代じだい - 江戸えど時代じだい初期しょき
生誕せいたん	天文てんもん7年ねん（1538年ねん）
死没しぼつ	慶長けいちょう10年ねん11月10日にち（1605年ねん12月19日にち）
別名べつめい	通称つうしょう：與次郎よじろう、玄蕃げんば允まこと
戒名かいみょう	龍りゅう興きょう院いん華はな翁おう全ちょん栄さかえ
墓所はかしょ	全ぜん栄さかえ寺てら→天てん桂かつら院いん
主君しゅくん	徳川とくがわ家康いえやす
氏族しぞく	竹谷たけたに松平まつへい家か
父母ちちはは	父ちち：松平まつだいら清きよし善ぜん、母はは：松まつ平家ひらか広ひろ娘むすめ
兄弟きょうだい	清せい宗はじめ、石川いしかわ家か成なり正室せいしつ、女子じょし
妻つま	正室せいしつ：松平まつだいら好こう景けい娘むすめ
子こ	家いえ清きよし、清せい定じょう、久野くの与次郎よじろう（久野くの宗はじめ能のうの子こ）正室せいしつ、鳥居とりい康かん忠ただし（鳥居とりい元忠もとただの子こ）正室せいしつ、岡おか部長ぶちょう盛もり正室せいしつ

松平まつだいら 清きよし宗むね（まつだいら きよむね）は、戦国せんごく時代じだいから江戸えど時代じだい初期しょきにかけての武将ぶしょう。徳川とくがわ氏しの家臣かしん。松平まつだいら清きよし善ぜんの子こ。通称つうしょうは與次郎よじろう、玄蕃げんば允まこと。竹谷たけたに松平まつへい家か5代だい当主とうしゅ。

生涯しょうがい

徳川とくがわ家康いえやすに仕つかえる。永えい禄ろく5年ねん（1562年ねん）、今川いまがわ氏しから離反りはんする家康いえやすに同調どうちょうして、上ノ郷かみのごう城じょう攻略こうりゃく戦せんに参戦さんせんしたとされるが、父ちち・清せい善よしの事績じせきに隠かくれて働はたらきが見みられない。永えい禄ろく6年ねん（1563年ねん）、三河みかわ一向いっこう一揆いっき鎮圧ちんあつ戦せんに参戦さんせんし、その武功ぶこうから陽ひの目めを見みる。上ノ郷かみのごう城じょう攻略こうりゃく戦せん以降いこうに家督かとくを譲ゆずられたか。永えい禄ろく7年ねん（1564年ねん）、家康いえやすによる三河みかわ東部とうぶの拠点きょてん・吉田よしだ城しろ攻略こうりゃく戦せんに参戦さんせん。龍りゅう拈ひね寺口てらぐちでの戦闘せんとうでは2ヶ所かしょに被ひ傷きずするも、首級しゅきゅう5つを挙あげる。

永えい禄ろく11年ねん（1568年ねん）12月、家康いえやすが遠江とおとうみ国こく侵攻しんこうに参さん陣じん。

当時とうじの三河みかわ軍団ぐんだん編成へんせいとしては、西にしの中核ちゅうかく・岡崎おかざき城しろに対たいし東ひがしの中核ちゅうかくが吉田よしだ城じょうであり、城代じょうだい・酒井さかい忠次ただつぐの指示しじを仰あおぐ東ひがし三河そうご衆しゅの中なかに竹谷たけたに松平まつへい家かも組くみ込こまれていた。そのため、遠江とおとうみ征服せいふく戦せんにおける家康いえやすの本隊ほんたいは浜名湖はまなこ東岸とうがんの曳馬ひくま城じょう奪取だっしゅを第だい1目標もくひょうとしたのに対たいし、酒井さかい忠次ただつぐら東ひがし三河そうご衆しゅは浜名湖はまなこ西岸せいがんの早期そうき制圧せいあつが第だい1目標もくひょうであった。

元もと亀かめ元年がんねん（1570年ねん）6月29日にち、姉川あねがわの戦たたかいに参戦さんせん。

天正てんしょう3年ねん（1575年ねん）5月21日にち、長篠ながしのの戦たたかいには酒井さかい忠次ただつぐの奇襲きしゅう隊たいとして参戦さんせん。天正てんしょう10年ねん（1582年ねん）、家康いえやすの駿河するが国こく併呑へいどん後ごには興国寺こうこくじ城じょうに2,000貫かんで配はいされ、与力よりき50人にんも付ふされる。ただし、小牧こまき・長久手ながくての戦たたかいには嫡子ちゃくし・家いえ清きよともども参戦さんせんせず、興国寺こうこくじ城じょうに留とどまって相模さがみ国こくの後こう北条ほうじょう氏しに備そなえていた。

天正てんしょう18年ねん（1590年ねん）、小田原おだわら征伐せいばつに参さん陣じん。この時ときの徳川とくがわ勢ぜいの陣立じんだてとしては、家康いえやす本陣ほんじんの前まえに「全備ぜんび」。「全備ぜんび」の前まえに「二にの先手せんて」、さらに前まえが「一いちの先手せんて」。清せい宗はじめの竹谷たけたに（もしくは興国寺こうこくじ）衆しゅうは「二にの先手せんて」7組くみの中なかに組くみ込こまれ、7組くみの最さい左翼さよくを務つとめた。

天正てんしょう19年ねん（1591年ねん）、戦勝せんしょうに伴ともなう徳川とくがわ家かの関東かんとうへの国替くにがえに伴ともない、清せい宗はじめは武蔵むさし国こく児玉こだま郡ぐん八幡山はちまんやま1万まん石せきの領主りょうしゅとなる（厳密げんみつには八幡山はちまんやま藩はんの藩政はんせいを嫡男ちゃくなんである家いえ清きよしの代かわりに行いっていた）。居城きょじょうは雉岡城じょうといわれ、8～9月がつ頃ごろの入にゅう封ふうらしい。まず、入にゅう封ふう後ごの施策しさくとしては、「本年ほんねん中ちゅうに領内りょうないへ転住てんじゅうしてきた住民じゅうみんへは、来年らいねんの諸税しょぜい免除めんじょ」を約やくして領民りょうみんの増加ぞうかを図はかったという。また、嫡子ちゃくし・家いえ清きよしへの家督かとく禅譲ぜんじょうは、この八幡山はちまんやま領有りょうゆう時じで入にゅう封ふう後ご、間あいだも無なくしてからといわれる。

関ヶ原せきがはらの戦たたかい後こうは家いえ清きよしの転てん封ふう先さきである三河みかわ吉田よしだ城じょうで余生よせいを送おくっていたが、慶長けいちょう10年ねん（1605年ねん）に死去しきょ。一説いっせつに68歳さいと伝つたわる。戒名かいみょうは龍りゅう興きょう院いん華はな翁おう全ぜん栄さかえ。吉田よしだ城下じょうかには菩提寺ぼだいじ・全ぜん栄さかえ寺てらが創建そうけんされ、そこに葬ほうむられた。(現在げんざいは天てん桂かつら院いんに墓碑ぼひがある)

子こは家いえ清きよしの他ほかに、清せい定じょうがいた。嫡子ちゃくし・家いえ清きよし、孫まごの忠清ただきよに家康いえやす父子ふしの偏へん諱いみなを許ゆるされているのは、清せい宗はじめが家康いえやすを積極せっきょく的てきに支持しじし、数々かずかずの武勲ぶくんを挙あげてきたことに因よるものと考かんがえられている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 菊地きくち浩之ひろゆき (2020). 『徳川とくがわ家臣かしん団だんの系図けいず』. 角川かどかわ新書しんしょ