エアバスA320
用途 ようと :旅客機 りょかくき
分類 ぶんるい :ナローボディ機 き (単 たん 通路 つうろ 機 き )
設計 せっけい 者 しゃ :エアバス
製造 せいぞう 者 しゃ :エアバス
運用 うんよう 者 しゃ (2018年 ねん 7月 がつ 現在 げんざい の運用 うんよう 数 すう 上位 じょうい 10位 い ) [ 1]
初 はつ 飛行 ひこう :1987年 ねん 2月 がつ 22日 にち
生産 せいさん 数 すう :8,525機 き (2018年 ねん 末 まつ 時点 じてん )
運用 うんよう 開始 かいし :1988年 ねん 4月 がつ 18日 にち
運用 うんよう 状 じょう 況 きょう :運用 うんよう 中 ちゅう
ユニットコスト :2018年 ねん 時点 じてん の平均 へいきん 価格 かかく 。仕様 しよう により実 じつ 価格 かかく は異 こと なる [ 3]
A318: 7,740万 まん USドル
A319: 9,230万 まん USドル
A320: 1億 おく 100万 まん USドル
A321: 1億 おく 1830万 まん USドル
A319neo: 1億 おく 150万 まん USドル
A320neo: 1億 おく 1,060万 まん USドル
A321neo: 1億 おく 2,950万 まん USドル
エアバスA320 (Airbus A320) は、欧州 おうしゅう のエアバス 社 しゃ が開発 かいはつ ・製造 せいぞう している単 たん 通路 つうろ の双発 そうはつ ジェット 旅客機 りょかくき である。
A320を基本 きほん 型 がた として、長 ちょう 胴 どう 型 がた のエアバスA321 および短 たん 胴 どう 型 がた のエアバスA319 とエアバスA318 が開発 かいはつ され、エアバスA320ファミリー を構成 こうせい している。A320ファミリーは二 に 世代 せだい に分 わ けることができ、従来 じゅうらい 型 がた はA320ceo ファミリー、エンジンを刷新 さっしん した第 だい 二 に 世代 せだい はA320neo ファミリーと呼 よ ばれる。A320ceoは1988年 ねん にエールフランス により、A320neoは2016年 ねん にルフトハンザ・ドイツ航空 こうくう によりそれぞれ初 はつ 就航 しゅうこう した。
A320は旅客機 りょかくき として世界 せかい で初 はじ めてデジタル式 しき フライ・バイ・ワイヤ 操縦 そうじゅう システムやサイドスティック を採用 さいよう し、エアバス機 き の新 しん 時代 じだい を切 き り開 ひら いた。米国 べいこく メーカーの単 たん 通路 つうろ 機 き と世界 せかい で競合 きょうごう しながらシェアを拡大 かくだい し、エアバスを二 に 大 だい 航空機 こうくうき メーカーの一角 いっかく に押 お し上 あ げた。
A320は低 てい 翼 つばさ 配置 はいち の主翼 しゅよく 下 か に左右 さゆう 1発 はつ ずつターボファンエンジン を装備 そうび し、尾翼 びよく は低 てい 翼 つばさ 配置 はいち 、降着 こうちゃく 装置 そうち は前輪 ぜんりん 配置 はいち である。全長 ぜんちょう は37.57メートル、全 ぜん 高 こう は11.76メートル、全幅 ぜんぷく は最大 さいだい で35.80メートルである。最大 さいだい 離陸 りりく 重量 じゅうりょう は66トンから77トンで最大 さいだい 巡航 じゅんこう 速度 そくど はマッハ 0.82である。
2018年 ねん 末 まつ までの総 そう 納入 のうにゅう 数 すう は、A320単体 たんたい で5,213機 き 、A320ファミリー全体 ぜんたい で8,525機 き である。2019年 ねん 10月 がつ 現在 げんざい 、A320ファミリーの関係 かんけい した機体 きたい 損失 そんしつ 事故 じこ および事件 じけん は、航空 こうくう 事故 じこ が30件 けん 、テロ等 とう の事件 じけん が7件 けん 、その他 た 駐 ちゅう 機 き 中 ちゅう の火災 かさい 等 とう によるものが7件 けん 発生 はっせい している。30件 けん の事故 じこ により951人 にん 、7件 けん の事件 じけん により441人 にん 、1件 けん のハイジャックにより犯人 はんにん が死亡 しぼう している。A320単体 たんたい では、航空 こうくう 事故 じこ は25件 けん 、テロ等 とう の事件 じけん が5件 けん 、その他 た 駐 ちゅう 機 き 中 ちゅう の火災 かさい 等 とう によるものが6件 けん である。11件 けん の事故 じこ により計 けい 816人 にん 、2件 けん の事件 じけん により計 けい 216人 にん 死亡 しぼう しているほか、ハイジャック1件 けん で犯人 はんにん 1人 にん が死亡 しぼう している。
以下 いか 、本 ほん 項 こう ではジェット旅客機 りょかくき については、一部 いちぶ 社名 しゃめい を省略 しょうりゃく して英数字 えいすうじ のみで表記 ひょうき する。例 たと えば「エアバスA300 」であれば「A300」、「ボーイング737 」であれば「737」、「ダグラスDC-9 」はDC-9とする。
米国 べいこく の航空機 こうくうき メーカーに対抗 たいこう するため、欧州 おうしゅう の航空機 こうくうき メーカーは1970年 ねん 12月に企業 きぎょう 連合 れんごう 「エアバス・インダストリー 」(以下 いか 、エアバス)を設立 せつりつ し、世界 せかい 初 はつ の双 そう 通路 つうろ (ワイドボディ )双発 そうはつ ジェット旅客機 りょかくき となるA300 を開発 かいはつ した。A300は1972年 ねん 10月 がつ に初 はつ 飛行 ひこう し、1974年 ねん 5月 がつ に路線 ろせん 就航 しゅうこう を開始 かいし した[ 6] 。続 つづ けて1980年代 ねんだい 前半 ぜんはん にかけてエアバスは、A300の発展 はってん 型 がた となるA310 やA300-600 を開発 かいはつ した。A310やA300-600は、いわゆるグラスコックピット を採用 さいよう するとともにシステムにコンピュータを導入 どうにゅう して自動 じどう 化 か することで、操縦 そうじゅう 士 し 2人 にん のみで運航 うんこう 可能 かのう なワイドボディ機 き の先駆 さきが けとなった。こうしてエアバスは一定 いってい の成功 せいこう を収 おさ めたものの、既 すで に米国 べいこく のボーイング やマクドネル・ダグラス は、単 たん 通路 つうろ 機 き (ナローボディ機 き )からワイドボディの長距離 ちょうきょり 機 き まで圧倒的 あっとうてき な製品 せいひん 群 ぐん を展開 てんかい していた。これまで双発 そうはつ ワイドボディ機 き という独自 どくじ 路線 ろせん で他社 たしゃ との競合 きょうごう を避 さ けてきたエアバスだが、旅客機 りょかくき メーカーとしての確固 かっこ たる地位 ちい を確立 かくりつ するためには、米国 べいこく メーカーが独占 どくせん する市場 いちば に参入 さんにゅう して積極 せっきょく 的 てき にシェアを獲得 かくとく する必要 ひつよう があった。
一方 いっぽう そのころ、単 たん 通路 つうろ 機 き 市場 いちば では150席 せき 級 きゅう の新型 しんがた 旅客機 りょかくき が求 もと められつつあった。727 や737-200 、DC-9 、BAC 1-11 、シュド・カラベル といった中 ちゅう 近距離 きんきょり 用 よう の中小 ちゅうしょう 型 がた 機 き を更新 こうしん する時期 じき に差 さ し掛 か かりつつあった。それに加 くわ えて航空 こうくう 旅客 りょかく 需要 じゅよう が順調 じゅんちょう に伸 の びており、150席 せき 級 きゅう の旅客機 りょかくき は今後 こんご 20年 ねん で3,000機 き の需要 じゅよう があると見込 みこ まれた。各国 かっこく の航空機 こうくうき メーカーはこの市場 いちば を狙 ねら って熱心 ねっしん に新型 しんがた 機 き の研究 けんきゅう を行 おこな った。欧州 おうしゅう のメーカー間 あいだ でも単独 たんどく あるいは共同 きょうどう 事業 じぎょう での開発 かいはつ 構想 こうそう が複数 ふくすう 立 た ち上 あ がった。また、米国 べいこく の航空機 こうくうき メーカーはエアバス・コンソーシアムの切 き り崩 くず しを図 はか り、欧州 おうしゅう の航空機 こうくうき メーカーに共同 きょうどう 開発 かいはつ を持 も ちかけた。
米国 べいこく メーカーによる切 き り崩 くず し戦術 せんじゅつ の効果 こうか は限定 げんてい 的 てき で、開発 かいはつ 構想 こうそう が実現 じつげん することはなかった。むしろ、米国 べいこく に対抗 たいこう する機会 きかい を逃 のが すまいと欧州 おうしゅう のメーカーは新 あら たな共同 きょうどう 開発 かいはつ プロジェクトを1977年 ねん に立 た ち上 あ げた。このプロジェクトは JET (Joint European Transport) と名付 なづ けられ、参加 さんか メンバーはアエロスパシアル 、MBB 、VFW-フォッカー (英語 えいご 版 ばん ) 、そしてブリティッシュ・エアロスペース (BAe) であった。JET計画 けいかく はエアバスと別 べつ のプロジェクトとして進行 しんこう していたが、参加 さんか メンバーの大半 たいはん はエアバス構成 こうせい メンバーであり、唯一 ゆいいつ エアバスに不参加 ふさんか だったBAe社 しゃ も1979年 ねん にエアバスに加盟 かめい した[ 16] 。これによりJET計画 けいかく はエアバス・コンソーシアムに継承 けいしょう され、単 たん 通路 つうろ (Single Aisle) を意味 いみ するSA計画 けいかく と名付 なづ けられた。SA計画 けいかく ではSA1からSA3まで3種類 しゅるい の機体 きたい 案 あん が作 つく られ、座席 ざせき 数 すう はそれぞれ125席 せき 、150席 せき 、180席 せき とされた。
航空 こうくう 会社 かいしゃ の反応 はんのう を踏 ふ まえ、エアバスは150席 せき 級 きゅう のSA2に注力 ちゅうりょく することとし、1981年 ねん 2月 がつ に機体 きたい 名 めい をA320と定 さだ めた。この頃 ころ 1979年 ねん の第 だい 二 に 次 じ 石油 せきゆ 危機 きき により燃料 ねんりょう 価格 かかく が高騰 こうとう し、航空 こうくう 会社 かいしゃ は燃費 ねんぴ 対策 たいさく に追 お われていた。米国 べいこく のデルタ航空 こうくう やユナイテッド航空 こうくう は、燃費 ねんぴ 性能 せいのう に優 すぐ れた150席 せき 級 きゅう 旅客機 りょかくき の要求 ようきゅう 仕様 しよう をそれぞれ策定 さくてい した。これらの要求 ようきゅう にまさに合致 がっち するようA320の仕様 しよう がまとまった[ 注釈 ちゅうしゃく 1] 。
エアバス参加 さんか 国 こく でもイギリスのブリティッシュ・エアウェイズ や西 にし ドイツのルフトハンザ航空 こうくう はA320に消極 しょうきょく 的 てき だった。ブリティッシュ・エアウェイズは保有 ほゆう 機 き の入 い れ替 か えが急務 きゅうむ となっており、これから開発 かいはつ するA320では間 ま に合 あ わないと判断 はんだん してボーイング機 き を発注 はっちゅう した。ルフトハンザは150席 せき 級 きゅう ナローボディ機 き よりも、長距離 ちょうきょり 路線 ろせん 向 む けワイドボディ機 き の開発 かいはつ を優先 ゆうせん するよう求 もと めた。一方 いっぽう で、エールフランス はA320計画 けいかく を歓迎 かんげい し、1981年 ねん 6月 がつ のパリ航空 こうくう ショー においてオプションを含 ふく め50機 き を発注 はっちゅう すると発表 はっぴょう した。フランス政府 せいふ もA320の開発 かいはつ 費 ひ の負担 ふたん を約束 やくそく した。
エールフランスが早々 そうそう に発注 はっちゅう を決 き め潜在 せんざい 需要 じゅよう も確実視 かくじつし されていたにもかかわらず、A320の正式 せいしき 開発 かいはつ が決定 けってい するまでここから3年 ねん を要 よう した。苦 くる しい財政 ざいせい 状況 じょうきょう にあった西 にし ドイツ政府 せいふ とイギリス政府 せいふ が開発 かいはつ 費 ひ 負担 ふたん に難色 なんしょく を示 しめ したためである。特 とく にイギリスの状況 じょうきょう は複雑 ふくざつ であった。航空機 こうくうき エンジンメーカーのロールス・ロイス (以下 いか R-R)が参画 さんかく しイギリス政府 せいふ も出資 しゅっし していた英 えい 日 にち 共同 きょうどう 開発 かいはつ エンジンの先行 さきゆ きが不透明 ふとうめい となり、新 あたら しい開発 かいはつ 計画 けいかく に転換 てんかん するための追加 ついか 出資 しゅっし を求 もと められていた。新 あら たな計画 けいかく は日本 にっぽん とイギリスを含 ふく む5か国 こく の国際 こくさい 共同 きょうどう 事業 じぎょう で、インターナショナル・エアロ・エンジンズ (IAE) 社 しゃ を設立 せつりつ しV2500 を開発 かいはつ するというものだった[ 25] 。V2500エンジンはA320の搭載 とうさい エンジンとして有望 ゆうぼう 視 し されており、エンジンを商業 しょうぎょう 的 てき に成功 せいこう させるためにイギリス政府 せいふ はA320へも出資 しゅっし を迫 せま られた。
やむをえずエアバスは日本 にっぽん やカナダにも参加 さんか を呼 よ びかけたが、日本 にっぽん は当時 とうじ ボーイングとの共同 きょうどう 開発 かいはつ 構想 こうそう があったため断 ことわ り、カナダも採算 さいさん が見合 みあ わないとしてギリギリのところで参加 さんか を見送 みおく った。このような状況 じょうきょう 下 か で、1984年 ねん の初 はじ めにフランスのミッテラン大統領 だいとうりょう 、イギリスのサッチャー首相 しゅしょう 、西 にし ドイツのコール首相 しゅしょう が会談 かいだん し、A320への直接 ちょくせつ ・間接 かんせつ の金融 きんゆう 支援 しえん を行 おこな うことが確認 かくにん された。それを受 う けて同年 どうねん 2月 がつ に西 にし ドイツ政府 せいふ は必要 ひつよう 経費 けいひ の90パーセントに相当 そうとう する15億 おく マルク(約 やく 1352億 おく 円 えん )の支出 ししゅつ を決定 けってい した。イギリス政府 せいふ も苦慮 くりょ の末 すえ 、エンジンと機体 きたい の双方 そうほう への出資 しゅっし を決 き めた。ただしA320については4億 おく 3,700万 まん ポンドの当初 とうしょ 要求 ようきゅう に対 たい して2億 おく 5,000万 まん ポンド(約 やく 875億 おく 円 えん )の出資 しゅっし とし、不足 ふそく 分 ぶん はBAe社 しゃ が自己 じこ 調達 ちょうたつ することとなった。
ようやく資金 しきん の目処 めど がついたことで1984年 ねん 3月 がつ 2日 にち 、エアバスはA320の正式 せいしき 開発 かいはつ ・製造 せいぞう を決定 けってい した。この時点 じてん までに、エールフランスに加 くわ えてエールアンテール 、ブリティッシュ・カレドニアン航空 こうくう 、アドリア航空 こうくう 、キプロス航空 こうくう の5社 しゃ からオプション含 ふく めて96機 き の受注 じゅちゅう を獲得 かくとく していた。
営業 えいぎょう 活動 かつどう と並行 へいこう して機体 きたい の設計 せっけい も進 すす められた。A320の操縦 そうじゅう システムには、旅客機 りょかくき として世界 せかい 初 はつ となるフライ・バイ・ワイヤ 技術 ぎじゅつ が本格 ほんかく 導入 どうにゅう された。フライ・バイ・ワイヤ方式 ほうしき では、パイロットの操縦 そうじゅう 操作 そうさ は電気 でんき 信号 しんごう に変換 へんかん されコンピュータに入力 にゅうりょく される。そしてコンピュータで計算 けいさん 処理 しょり された結果 けっか が電気 でんき 信号 しんごう として各 かく 操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん のアクチュエータに伝達 でんたつ される。これにより、従来 じゅうらい の操縦 そうじゅう 装置 そうち でコクピットから操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん までを繋 つな いでいたケーブル(索 さく )やロッド、プーリーといった機械 きかい 部品 ぶひん を削減 さくげん でき、機体 きたい 重量 じゅうりょう や整備 せいび 負荷 ふか を軽減 けいげん できる利点 りてん がある。
旅客機 りょかくき のような機体 きたい サイズで機械 きかい 式 しき の操縦 そうじゅう 装置 そうち を用 もち いる場合 ばあい 、操舵 そうだ 力 りょく を適切 てきせつ な範囲 はんい に収 おさ めるためには大型 おおがた の操縦 そうじゅう 輪 わ を正面 しょうめん に配置 はいち する方式 ほうしき が適 てき している。これに対 たい してフライ・バイ・ワイヤの場合 ばあい は、操縦 そうじゅう 入力 にゅうりょく を電気 でんき 信号 しんごう に変換 へんかん することから、操縦 そうじゅう 桿の形態 けいたい や配置 はいち の自由 じゆう 度 ど が高 たか くなる。そこでA320では操縦 そうじゅう 輪 わ に代 か わりサイドスティックが採用 さいよう された。サイドスティックは操縦 そうじゅう 室 しつ の左右 さゆう に配置 はいち され、機長 きちょう は左手 ひだりて で、副 ふく 操縦 そうじゅう 士 し は右手 みぎて で操作 そうさ することとなった。操縦 そうじゅう 室 しつ はいわゆるグラスコックピット 化 か され、計器 けいき 類 るい は6面 めん のCRT ディスプレイに集約 しゅうやく された。
フライ・バイ・ワイヤやサイドスティックの全面 ぜんめん 採用 さいよう はA320の商品 しょうひん 力 りょく 向上 こうじょう にとどまらず、エアバスにとって戦略 せんりゃく 上 じょう の重要 じゅうよう な意味 いみ を持 も っていた。エアバスは今後 こんご 開発 かいはつ する全 すべ ての旅客機 りょかくき にA320と同様 どうよう のシステムを搭載 とうさい し、小型 こがた 機 き から大型 おおがた 長距離 ちょうきょり 機 き に至 いた るまで操縦 そうじゅう 性 せい を共通 きょうつう 化 か する方針 ほうしん を立 た てていた。従来 じゅうらい の機械 きかい 式 しき の操縦 そうじゅう 系統 けいとう では、機種 きしゅ ごとに異 こと なる取 と り扱 あつか い特性 とくせい を統一 とういつ するのは困難 こんなん であった。そこでエアバスは、コンピュータ制御 せいぎょ の本格 ほんかく 的 てき なフライ・バイ・ワイヤ技術 ぎじゅつ を導入 どうにゅう することで、全 ぜん 機種 きしゅ の操縦 そうじゅう 操作 そうさ や操縦 そうじゅう 感覚 かんかく を揃 そろ えることにした。これにより、後 のち に開発 かいはつ されるA320ファミリー機 き (派生 はせい 型 がた )の操縦 そうじゅう 資格 しかく は共通 きょうつう 化 か され、さらに開発 かいはつ 構想 こうそう があったワイドボディ機 き のA340 やA330 への資格 しかく 移行 いこう 訓練 くんれん も短時間 たんじかん で済 す むと見込 みこ まれる。小型 こがた 機 き から大型 おおがた 機 き までをエアバス機 き で揃 そろ えれば航空 こうくう 会社 かいしゃ は運航 うんこう を大幅 おおはば に合理 ごうり 化 か できるようになるため、エアバスの強力 きょうりょく な強 つよ みとなる。そして、フライ・バイ・ワイヤなどの革新 かくしん 技術 ぎじゅつ を実用 じつよう 化 か する最初 さいしょ の機種 きしゅ として、A320は適 てき していた。短距離 たんきょり 機 き のA320は整備 せいび 拠点 きょてん の近郊 きんこう で運航 うんこう されることから、重大 じゅうだい な不具合 ふぐあい が見 み つかった場合 ばあい に対処 たいしょ しやすいとエアバスは考 かんが えたのである。
コックピットの設計 せっけい はフランスのアエロスパシアル社 しゃ が担当 たんとう した。同社 どうしゃ をはじめとするエアバス参加 さんか 企業 きぎょう は、これまでにコンコルド でアナログ式 しき フライ・バイ・ワイヤを実用 じつよう 化 か し、A310ではデジタルコンピュータの導入 どうにゅう を実現 じつげん しているほか、軍用 ぐんよう 機 き 開発 かいはつ でも経験 けいけん を蓄積 ちくせき していた。さらにアエロスパシアル社 しゃ はA320の開発 かいはつ が決 き まる前 まえ から、次世代 じせだい コックピットの研究 けんきゅう 開発 かいはつ に取 と り組 く んでいた。これらの経験 けいけん や研究 けんきゅう 成果 せいか がA320のシステム開発 かいはつ に活 い かされた。エアバスはA300の3号機 ごうき を試験 しけん 機 き として、フライ・バイ・ワイヤ操縦 そうじゅう システムの開発 かいはつ を行 おこ なった。サイドスティックについてもA300の試験 しけん 機 き に実装 じっそう され、航空 こうくう 会社 かいしゃ のパイロットも含 ふく む多 おお くの操縦 そうじゅう 士 し により延 の べ136時 じ 間 あいだ の飛行 ひこう 試験 しけん が行 おこな われた。これらの評価 ひょうか の結果 けっか 、問題 もんだい がないとの結論 けつろん が得 え られてA320への導入 どうにゅう が決定 けってい した。
正面 しょうめん からみたA320。胴体 どうたい 断面 だんめん の設計 せっけい はA320ファミリーで共通 きょうつう である。
A320の機体 きたい 構成 こうせい は典型 てんけい 的 てき な旅客機 りょかくき と同 おな じく、低 てい 翼 つばさ の主翼 しゅよく 下 か にターボファンエンジン を1発 はつ ずつ配置 はいち し、尾翼 びよく も通常 つうじょう 配置 はいち となった。A320の機体 きたい 構造 こうぞう は、A300およびA310の開発 かいはつ を通 つう じて得 え られたデータやノウハウを活用 かつよう して設計 せっけい された。そして、中 ちゅう 短距離 たんきょり の運航 うんこう に適 てき した構造 こうぞう 強度 きょうど とし、腐食 ふしょく 防止 ぼうし 、構造 こうぞう 品質 ひんしつ の長期 ちょうき 保証 ほしょう 、整備 せいび 性 せい の向上 こうじょう 、部品 ぶひん 点数 てんすう の削減 さくげん が図 はか られた。部材 ぶざい には改良 かいりょう 型 がた のアルミニウム合金 ごうきん やチタン合金 ごうきん が採用 さいよう されたほか、複 ふく 合 あい 材料 ざいりょう の使用 しよう 範囲 はんい も拡大 かくだい された。
主翼 しゅよく の設計 せっけい はイギリスのBAe社 しゃ が担当 たんとう した。A320の設計 せっけい 上 じょう の巡航 じゅんこう 速度 そくど は、A300やA310より若干 じゃっかん 低 ひく くマッハ 0.79から0.8に設定 せってい された。航続 こうぞく 距離 きょり は3,000海 うみ 里 さと (約 やく 5,556キロメートル)と設定 せってい され、このサイズの旅客機 りょかくき としては短 みじか くない値 ね だった。
ウイング・チップ・フェンス装備 そうび のA320-200を下面 かめん からみる。
主翼 しゅよく の厚 あつ みは空 そら 力 りょく 的 てき には薄 うす い方 ほう がよく、一方 いっぽう で翼 つばさ 内 ない 燃料 ねんりょう タンク容量 ようりょう と構造 こうぞう 強度 きょうど を十分 じゅうぶん 確保 かくほ するためには厚 あつ い方 ほう が良 よ い。エアバスがA300で実用 じつよう 化 か したリア・ローディング翼 つばさ 型 がた は様々 さまざま な利点 りてん があったものの、翼 つばさ の後方 こうほう が薄 うす いことから、A320の機体 きたい サイズではフラップ を取 と り付 つ ける空間 くうかん をいかに確保 かくほ するかが課題 かだい となった[ 42] 。これらの要求 ようきゅう を満 み たすよう、コンピュータによる三 さん 次元 じげん 解析 かいせき を活用 かつよう して主翼 しゅよく が設計 せっけい された。出来上 できあ がったA320の主翼 しゅよく は、翼 つばさ 厚 あつ 比 ひ [ 注釈 ちゅうしゃく 2] こそA310と近 ちか い値 ね だったものの、翼 つばさ 型 がた は大 おお きく異 こと なり後 ご 縁側 えんがわ の厚 あつ みが確保 かくほ された。主翼 しゅよく の平面 へいめん 形 がた は浅 あさ い後退 こうたい 角 かく と大 おお きなアスペクト比 ひ を持 も つこととなった。フラップはシンプルな1段 だん のファウラー・フラップとし、動 どう 翼 つばさ には複 ふく 合 あい 材料 ざいりょう を多用 たよう することで軽量 けいりょう 化 か が図 はか られた。
胴体 どうたい 断面 だんめん は2つの円 えん 構造 こうぞう を結合 けつごう した「ダブル・バブル構造 こうぞう 」とし、単 たん 通路 つうろ 機 き として最 もっと も太 ふと い胴体 どうたい 幅 はば とされた。これにより機体 きたい 重量 じゅうりょう が増 ふ えるものの、競合 きょうごう 機 き より余裕 よゆう のある客室 きゃくしつ と貨物 かもつ 室 しつ が実現 じつげん した。さらに貨物 かもつ 室 しつ の扉 とびら を大型 おおがた の外 そと 開 びら きとして航空 こうくう 貨物 かもつ コンテナを搭載 とうさい 可能 かのう にしたことで、貨物 かもつ 輸送 ゆそう の面 めん でも競合 きょうごう 機 き と差別 さべつ 化 か が図 はか られた。
主翼 しゅよく 端 はし のウイング・チップ・フェンスは抗力 こうりょく を減 へ らす効果 こうか がある。
A320の原型 げんけい 型 がた は最大 さいだい 離陸 りりく 重量 じゅうりょう が66トンで、乗客 じょうきゃく 164人 にん が搭乗 とうじょう した場合 ばあい の航続 こうぞく 距離 きょり は1,750海里 かいり (約 やく 3240キロメートル)という仕様 しよう であった。これに対 たい して、航空 こうくう 会社 かいしゃ はもう少 すこ し航続 こうぞく 距離 きょり を延 の ばすよう求 もと めた。そこで、最大 さいだい 離陸 りりく 重量 じゅうりょう を72トンに引 ひ きあげて主翼 しゅよく 中央 ちゅうおう 翼 つばさ 内 ない に燃料 ねんりょう タンクを追加 ついか するとともに主翼 しゅよく 端 はし にウイング・チップ・フェンス を装備 そうび して、航続 こうぞく 距離 きょり を3,200海里 かいり (約 やく 5,930キロメートル)に延長 えんちょう するタイプが計画 けいかく された。原型 げんけい 型 がた はA320-100、重量 じゅうりょう 増加 ぞうか 型 がた がA320-200と名付 なづ けられた。
エンジン選定 せんてい はA320の開発 かいはつ 初期 しょき における大 おお きな課題 かだい だった。当初 とうしょ は150席 せき 級 きゅう 旅客機 りょかくき に相応 ふさわ しいエンジンが存在 そんざい せず、CFMインターナショナル (以下 いか CFMI)社 しゃ のCFM56-2 エンジンをひとまず主 しゅ 候補 こうほ とし、そのほか開発 かいはつ 中 ちゅう のエンジン数 すう 種 しゅ が候補 こうほ に挙 あ げられた。その後 ご CFM56の改良 かいりょう 型 がた となるCFM56-4の開発 かいはつ が決定 けってい したことで、1983年 ねん に同 どう エンジンの採用 さいよう が決 き まった。先 さき に述 の べたIAE社 しゃ のV2500エンジンも1984年 ねん に開発 かいはつ が決定 けってい し、A320に採用 さいよう されることになった。ライバルとなるV2500が登場 とうじょう したことでCFMI社 しゃ はCFM56-4では性能 せいのう が不十分 ふじゅうぶん と判断 はんだん し、推力 すいりょく を増強 ぞうきょう したCFM56-5に改 あらた めた。これにより、A320の装備 そうび エンジンはCFM56-5とV2500の2種 しゅ からの選択 せんたく 式 しき となった。ボーイングやマクドネル・ダグラスの競合 きょうごう 機 き は、エンジンが1種類 しゅるい のみの設定 せってい であり、この機体 きたい サイズではエンジンを選択 せんたく できるのはA320のみであった。
これまでのエアバス機 き と同 おな じく参加 さんか 国 こく が一定 いってい の仕事 しごと を確保 かくほ できるように、A320の生産 せいさん でも国際 こくさい 分業 ぶんぎょう 体制 たいせい が採 と られた。A320の主要 しゅよう コンポーネントの生産 せいさん 分担 ぶんたん は表 ひょう 1とおりとなった。このほか、BAe社 しゃ の担当 たんとう する主翼 しゅよく 部品 ぶひん の一部 いちぶ はオーストラリアの企業 きぎょう が下請 したう けで受注 じゅちゅう した。生産 せいさん の拠点 きょてん となる最終 さいしゅう 組 ぐみ 立地 りっち については、エアバス参加 さんか 国 こく 間 あいだ で駆 か け引 ひ きがあったものの、結局 けっきょく は従来 じゅうらい 通 どお りフランスのトゥールーズ に決 き まった。ただし機体 きたい 内装 ないそう の組 く み付 づ けはドイツのハンブルク で行 おこな うこととなった。
表 ひょう 1: 2010年 ねん 頃 ごろ におけるA320の主要 しゅよう コンポーネントの生産 せいさん 分担 ぶんたん
国名 こくめい
企業 きぎょう 名 めい
生産 せいさん 分担 ぶんたん 部位 ぶい
フランス
アエロスパシアル
機首 きしゅ 部 ぶ および前部 ぜんぶ 胴体 どうたい (主翼 しゅよく 前 ぜん 縁 えん より前方 ぜんぽう )、中央 ちゅうおう 翼 つばさ 、エンジンパイロン、客室 きゃくしつ 扉 とびら 、
ドイツ†
MBB
中央 ちゅうおう および後部 こうぶ 胴体 どうたい 、テイルコーン、主翼 しゅよく フラップ、垂直 すいちょく 尾翼 びよく
イギリス
BAe
主翼 しゅよく 本体 ほんたい (エルロンとスポイラー含 ふく む)、主 しゅ 脚 あし フェアリング
スペイン
CASA (英語 えいご 版 ばん )
水平 すいへい 尾翼 びよく 、主 しゅ 脚 あし フェアリング
ベルギー
ベルエアバス
主翼 しゅよく 前 ぜん 縁 えん スラット
ベルーガ がA320の胴体 どうたい 前部 ぜんぶ を下 お ろしている様子 ようす 。ベルーガはスーパーグッピー輸送 ゆそう 機 き の後継 こうけい として開発 かいはつ され、欧州 おうしゅう の生産 せいさん 拠点 きょてん 間 あいだ を結 むす んでいる。
各国 かっこく の工場 こうじょう で生産 せいさん されたコンポーネントは、これまでのエアバス機 き 同様 どうよう にスーパーグッピー 輸送 ゆそう 機 き でトゥールーズまで空輸 くうゆ され組 く み立 た てられた[ 61] 。ただしA320では、トゥールーズでの作業 さぎょう が完了 かんりょう すると機体 きたい は飛行 ひこう 可能 かのう になり、初 はつ 飛行 ひこう を行 おこな い通常 つうじょう はそのままハンブルクに移動 いどう する。ハンブルクで内装 ないそう 作業 さぎょう を終 お えた機体 きたい は再 ふたた びトゥールーズに飛行 ひこう し、そこで顧客 こきゃく に引 ひ き渡 わた されるという流 なが れとなった。
A320の初号 しょごう 機 き はCFM56エンジン装備 そうび 型 がた のA320-100で、1986年 ねん 4月 がつ に最終 さいしゅう 組立 くみたて が開始 かいし された。翌年 よくねん 2月 がつ 14日 にち にロールアウト式典 しきてん が盛大 せいだい に執 と り行 おこな われ、その5日 にち 後 ご の1987年 ねん 2月 がつ 22日 にち に初 はつ 飛行 ひこう に成功 せいこう した。その後 ご 、型式 けいしき 証明 しょうめい 取得 しゅとく のために4機 き 体制 たいせい で試験 しけん 飛行 ひこう が行 おこな われた。
飛行 ひこう 制御 せいぎょ システムのソフトウェア開発 かいはつ においては、試験 しけん 飛行 ひこう の前 まえ に複数 ふくすう のシミュレータが用 もち いられ、そのためにコックピットおよび油圧 ゆあつ ・電源 でんげん 系統 けいとう を完全 かんぜん に再現 さいげん したシミュレータも開発 かいはつ された。そして最終 さいしゅう 的 てき に飛行 ひこう 試験 しけん によりソフトウェアやシステム全体 ぜんたい の検証 けんしょう が行 おこな われた。飛行 ひこう 試験 しけん においてコンピュータの内部 ないぶ パラメータを記録 きろく したり、試験 しけん のための条件 じょうけん 設定 せってい を行 おこな うため、専用 せんよう の試験 しけん システムも開発 かいはつ され用 もち いられた。また、電子 でんし 制御 せいぎょ 化 か されたことで心配 しんぱい された電磁 でんじ 干渉 かんしょう (EMI) の試験 しけん も行 おこな われ、エアバスによると軍用 ぐんよう 艦 かん の電波 でんぱ 妨害 ぼうがい を受 う けるような状況 じょうきょう にでもない限 かぎ りシステムに支障 ししょう がないことが確認 かくにん された。
これらの飛行 ひこう 試験 しけん を終 お えて1988年 ねん 2月 がつ 26日 にち 、A320のCFM56エンジン装備 そうび 型 がた に対 たい して、欧州 おうしゅう の合同 ごうどう 航空 こうくう 当局 とうきょく (Joint Aviation Authorities; JAA) から型式 けいしき 証明 しょうめい が交付 こうふ された。
エールフランスにより路線 ろせん 就航 しゅうこう したA320-100。A320-100の生産 せいさん は21機 き のみで、以降 いこう はA320-200となった。
1988年 ねん 3月 がつ 26日 にち 、A320の初 はつ 引 ひ き渡 わた しがエールフランスに対 たい して行 おこな われた[ 65] 。同年 どうねん 4月 がつ 18日 にち 、エールフランスはA320の商業 しょうぎょう 運航 うんこう を開始 かいし した。次 つぎ に予定 よてい されていた納入 のうにゅう 先 さき はブリティッシュ・カレドニアン航空 こうくう だったものの、A320の受領 じゅりょう 前 まえ に同社 どうしゃ はブリティッシュ・エアウェイズに吸収 きゅうしゅう 合併 がっぺい されることになった[ 67] [ 68] 。これによりブリティッシュ・カレドニアンの発注 はっちゅう 分 ぶん はブリティッシュ・エアウェイズに継承 けいしょう され、同社 どうしゃ は1988年 ねん 3月 がつ 31日 にち に最初 さいしょ の機体 きたい を受領 じゅりょう し、翌月 よくげつ に路線 ろせん 投入 とうにゅう した[ 67] 。これまで、ブリティッシュ・エアウェイズは、エアバス参加 さんか 国 こく のフラッグ・キャリア で唯一 ゆいいつ エアバス機 き を導入 どうにゅう していなかったが、こうしてエアバス運航 うんこう 者 しゃ に加 くわ わった。続 つづ いてエールアンテールへの納入 のうにゅう も始 はじ まった。競合 きょうごう 機 き よりも広 ひろ いA320の機内 きない は乗客 じょうきゃく に好評 こうひょう だった。
A320-100の納入 のうにゅう と並行 へいこう して重量 じゅうりょう 増加 ぞうか 型 がた のA320-200は、1988年 ねん 6月 がつ 27日 にち に初 はつ 飛行 ひこう している。CFM56エンジン装備 そうび 型 がた のA320-200は、1988年 ねん 11月9日 にち に型式 けいしき 証明 しょうめい を取得 しゅとく した。実際 じっさい の注文 ちゅうもん はA320-200に集中 しゅうちゅう し、A320-100の生産 せいさん は最初 さいしょ の21機 き のみで終 お わり、その後 ご は全 すべ てA320-200となった。これによりA320-200がA320の実質 じっしつ 的 てき な標準 ひょうじゅん モデルとなり、その後 ご も同 どう モデルに対 たい して改良 かいりょう が加 くわ えられることになる。またV2500装備 そうび 型 がた はA320-200のみの生産 せいさん となった。
A320の初号 しょごう 機 き は、最初 さいしょ の型式 けいしき 証明 しょうめい 取得 しゅとく 後 ご にエンジンをV2500に換 かわ 装 そう し、1988年 ねん 7月 がつ 28日 にち に同 どう エンジンでの初 はつ 飛行 ひこう を行 おこな いそのまま試験 しけん 飛行 ひこう に従事 じゅうじ した。1989年 ねん 4月 がつ 20日 はつか にV2500装備 そうび 型 がた もJAAの型式 けいしき 証明 しょうめい を取得 しゅとく した。V2500エンジン仕様 しよう の初 はつ 納入 のうにゅう はアドリア航空 こうくう に対 たい して行 おこな われ、間 あいだ を置 お かずしてキプロス航空 こうくう への納入 のうにゅう も開始 かいし された[ 71] 。同年 どうねん 6月 がつ までに両 りょう 航空 こうくう 会社 かいしゃ によって、V2500仕様 しよう のA320も路線 ろせん 就航 しゅうこう を開始 かいし した[ 71] 。
型式 けいしき 証明 しょうめい の取得 しゅとく 直前 ちょくぜん に細 こま かい修正 しゅうせい が重 かさ なったため、納入 のうにゅう 初期 しょき には機体 きたい 納期 のうき が遅延 ちえん したり保守 ほしゅ 部品 ぶひん の供給 きょうきゅう が遅 おく れたりといったトラブルも見 み られた。それでも最初 さいしょ の約 やく 3か月 げつ 間 あいだ の運航 うんこう 信頼 しんらい 度 ど は97パーセントを記録 きろく した。形式 けいしき 証明 しょうめい の取得 しゅとく 後 ご に、エアバスは細 こま かいものを含 ふく めて800件 けん の改良 かいりょう を行 おこな った。その中 なか で1件 けん のみ、強制 きょうせい 力 りょく のある耐 たい 空 そら 性 せい 改善 かいぜん 命令 めいれい に至 いた った。その内容 ないよう は飛行 ひこう システムの電源 でんげん 系統 けいとう に関 かん する問題 もんだい で、電源 でんげん 供給 きょうきゅう ユニットの交換 こうかん が行 おこな われた。そのほかにはCFM56エンジン装備 そうび 型 がた では離陸 りりく 時 じ に客室 きゃくしつ 前方 ぜんぽう で不快 ふかい な騒音 そうおん が響 ひび くことが問題 もんだい 視 し され、エアバスは対処 たいしょ に追 お われた。
1986年 ねん 4月 がつ のロールアウト時点 じてん において、A320には15社 しゃ から450機 き を超 こ える受注 じゅちゅう が集 あつ まっていた。そして同年 どうねん 10月 がつ には、ノ の ースウエスト航空 すうえすとこうくう から100機 き のA320を受注 じゅちゅう した。米国 べいこく の主要 しゅよう な航空 こうくう 会社 かいしゃ がエアバス機 き を大量 たいりょう 発注 はっちゅう したことに、米国 べいこく の航空機 こうくうき メーカーは衝撃 しょうげき を受 う けた。慌 あわ てたボーイングは金額 きんがく を空白 くうはく にした737の注 ちゅう 文書 ぶんしょ をノースウエスト社長 しゃちょう に送付 そうふ したとも言 い われるが、ノースウエストを翻意 ほんい させることはできなかった。
ただし、燃料 ねんりょう 価格 かかく は1980年代 ねんだい 初頭 しょとう の予測 よそく ほどは上昇 じょうしょう しなかったことから、A320の直接 ちょくせつ 運航 うんこう 費 ひ は期待 きたい したほど有利 ゆうり とはならず、機体 きたい 価格 かかく の安 やす い既存 きそん 機 き を選択 せんたく する航空 こうくう 会社 かいしゃ も多 おお かった。A320の仕様 しよう 策定 さくてい に影響 えいきょう を与 あた えたデルタ航空 こうくう はMD-80 を、ユナイテッド航空 こうくう は737を選択 せんたく していた。それでも1992年 ねん には、3年 ねん 越 ご しの交渉 こうしょう の末 すえ にユナイテッド航空 こうくう から大量 たいりょう 受注 じゅちゅう を獲得 かくとく し、エアバスは米国 べいこく 市場 いちば に本格 ほんかく 進出 しんしゅつ を果 は たした。
A320が北米 ほくべい で受 う け入 い れられたのは、機体 きたい そのものが魅力 みりょく 的 てき だったこともあるが、エアバスが戦略 せんりゃく 的 てき な価格 かかく を提示 ていじ したためだとの指摘 してき もある。提示 ていじ 価格 かかく はカタログ価格 かかく の4割引 わりびき とも言 い われ、エアバスに金融 きんゆう 支援 しえん していたイギリス政府 せいふ から苦情 くじょう が出 で るほどだった。しかしこれは単 たん なる安売 やすう りではなく、開発 かいはつ 計画 けいかく が進行 しんこう していた双 そう 通路 つうろ 機 き のA340やA330の商談 しょうだん に繋 つな げるためのエアバスの戦略 せんりゃく であった。
エアバスは1987年 ねん にはA320の派生 はせい 型 がた 開発 かいはつ の検討 けんとう に着手 ちゃくしゅ していた。A320を基準 きじゅん として胴体 どうたい を延長 えんちょう するタイプと短縮 たんしゅく するタイプが研究 けんきゅう された。すでにA340とA330の同時 どうじ 開発 かいはつ が始 はじ まっていたことから、A320の派生 はせい 型 がた 開発 かいはつ には最小限 さいしょうげん のエンジニアが投入 とうにゅう された。
A320に続 つづ いて開発 かいはつ された長 ちょう 胴 どう 型 がた のA321。
まず長 ちょう 胴 どう 型 がた の開発 かいはつ を進 すす めることになり、1988年 ねん 5月 がつ に正式 せいしき な受注 じゅちゅう 活動 かつどう を開始 かいし した[ 76] 。1989年 ねん 6月 がつ に航空機 こうくうき リース を手 て がけるインターナショナル・リース・ファイナンス (ILFC) が16機 き の発注 はっちゅう を決 き め、これが最初 さいしょ の受注 じゅちゅう となった。続 つづ いて同年 どうねん 9月 がつ 22日 にち にはルフトハンザドイツ航空 こうくう がオプションを含 ふく めて42機 き を発注 はっちゅう [ 78] したことで、11月24日 にち に長 ちょう 胴 どう 型 がた をA321と命名 めいめい して正式 せいしき 開発 かいはつ が決定 けってい した。
A321では胴体 どうたい が4.27メートル延長 えんちょう され、2クラス構成 こうせい の標準 ひょうじゅん 座席 ざせき 数 すう は185席 せき とされた。胴体 どうたい 延長 えんちょう と機体 きたい 重量 じゅうりょう の増加 ぞうか に伴 ともな い揚力 ようりょく を強化 きょうか するため、主翼 しゅよく のフラップ が新規 しんき 設計 せっけい され、ダブル・スロッテッド・フラップ(二 に 重 じゅう 隙間 すきま フラップ)に置 お き替 か えられた。エンジンはA320と同様 どうよう にCFMI社 しゃ のCFM56とIAE社 しゃ のV2500の選択 せんたく 式 しき となり、機体 きたい の大型 おおがた 化 か に合 あ わせて両 りょう エンジンとも推力 すいりょく 増強 ぞうきょう 型 がた が設定 せってい された。その他 た は、A320からの変更 へんこう 点 てん を最小 さいしょう にするよう設計 せっけい され、主翼 しゅよく の大半 たいはん 、尾 お 部 ぶ 、胴体 どうたい 断面 だんめん はA320と共通 きょうつう 化 か された。飛行 ひこう システムはA320のものを基本 きほん とし、空 そら 力 りょく 特性 とくせい に合 あ わせて若干 じゃっかん の修正 しゅうせい が加 くわ えられた。
A321の最終 さいしゅう 組 ぐみ 立地 りっち は、エアバス機 き として初 はじ めてフランスを離 はな れ、ドイツのハンブルクに決 き まった[ 85] [ 85] 。また、A321は各国 かっこく 政府 せいふ の資金 しきん 援助 えんじょ を受 う けずに開発 かいはつ された初 はつ のエアバス機 き となった。
A321の初 はつ 飛行 ひこう は1993年 ねん 3月 がつ 11日 にち に行 おこな われ、同年 どうねん 12月 がつ 17日 にち に最初 さいしょ の型式 けいしき 証明 しょうめい がJAAから交付 こうふ された。A321は翌年 よくねん 1月 がつ に顧客 こきゃく 引 ひ き渡 わた しが開始 かいし され、同年 どうねん 3月 がつ にルフトハンザ航空 こうくう とアリタリア航空 こうくう によって路線 ろせん 就航 しゅうこう を開始 かいし した[ 87] [ 88] 。続 つづ いてA321には貨物 かもつ コンテナ型 がた の燃料 ねんりょう タンクを増 ふえ 備することで航続力 こうぞくりょく を強化 きょうか した派生 はせい 型 がた が開発 かいはつ され、当初 とうしょ 仕様 しよう はA321-100、航続 こうぞく 距離 きょり 延長 えんちょう 型 がた はA321-200と名付 なづ けられた。
ファミリー3機 き 種目 しゅもく となった短 たん 胴 どう 型 がた のA319。
短 たん 胴 どう 型 がた についても並行 へいこう して研究 けんきゅう が進 すす み、1992年 ねん 5月 がつ 1日 にち にエアバスの取締役 とりしまりやく 会 かい で販売 はんばい 活動 かつどう を開始 かいし することが承認 しょうにん された[ 91] 。しかし、エアバスを構成 こうせい する各国 かっこく 政府 せいふ ・企業 きぎょう 間 あいだ で最終 さいしゅう 組 ぐみ 立地 りっち をどこにするか合意 ごうい に手間取 てまど り、正式 せいしき 開発 かいはつ の決定 けってい は1993年 ねん 6月 がつ 10日 とおか にずれ込 こ んだ。結局 けっきょく 、A319の最終 さいしゅう 組 ぐみ 立地 りっち はハンブルクとなり、A320の組立 くみたて 地 ち は引 ひ き続 つづ きトゥールーズとなった。
胴体 どうたい は3.73メートル短縮 たんしゅく され、標準 ひょうじゅん 座席 ざせき 数 すう は2クラス構成 こうせい で124席 せき とされた。胴体 どうたい 長 ちょう や収容 しゅうよう 力 りょく の減少 げんしょう に合 あ わせて、貨物 かもつ 扉 とびら や緊急 きんきゅう 脱出 だっしゅつ 口 こう の配置 はいち が変更 へんこう された。エンジンはCFM56とV2500から選択 せんたく でき、小型 こがた 化 か された機体 きたい に合 あ わせて両 りょう エンジンとも推力 すいりょく 抑制 よくせい 型 がた が設定 せってい された。そのほかの構造 こうぞう やシステムは、可能 かのう な限 かぎ りA320と共通 きょうつう 化 か された。
A319は1995年 ねん 8月 がつ 25日 にち に初 はつ 飛行 ひこう し、約 やく 650時 じ 間 あいだ の飛行 ひこう 試験 しけん を経 へ て1996年 ねん 4月 がつ 10日 とおか にJAAから最初 さいしょ の型式 けいしき 証明 しょうめい を取得 しゅとく した。A319の最初 さいしょ の引 ひ き渡 わた しは同月 どうげつ 中 ちゅう にスイス航空 こうくう に対 たい して行 おこな われ、翌 よく 5月 がつ に路線 ろせん 就航 しゅうこう を開始 かいし した[ 95] 。
1996年 ねん 6月 がつ のパリ航空 こうくう ショーにおいて、エアバスはA319をベースとしたビジネスジェット を開発 かいはつ すると発表 はっぴょう した。旅客機 りょかくき ベースの余裕 よゆう のある客室 きゃくしつ を活 い かして長距離 ちょうきょり ビジネス機 き 市場 いちば に進出 しんしゅつ することにしたのである。エアバスは、同社 どうしゃ のビジネスジェット機 じぇっとき を「エアバス・コーポレート・ジェット 」と名付 なづ け、A319ベースの機体 きたい はA319CJあるいはACJ319と呼 よ ばれた[ 97] 。ACJ319の初号 しょごう 機 き は1998年 ねん 11月12日 にち に初 はつ 飛行 ひこう し、翌年 よくねん 1月 がつ に顧客 こきゃく に初 はつ 引 ひ き渡 わた しされた。のちにACJはA320ファミリー全体 ぜんたい に展開 てんかい され、A320とA321をそれぞれベースにACJ320、ACJ321が開発 かいはつ されたほか、この後 のち 開発 かいはつ されるA318をベースとしたACJ318も登場 とうじょう した[ 98] 。
A319をさらに胴体 どうたい 短縮 たんしゅく して開発 かいはつ されたA318。
A319より小型 こがた の旅客機 りょかくき については、エアバスは当初 とうしょ は独自 どくじ 開発 かいはつ しない方針 ほうしん を立 た てていた。1990年代 ねんだい 前半 ぜんはん に、座席 ざせき 数 すう 100席 せき 程度 ていど の旅客機 りょかくき を国際 こくさい 共同 きょうどう 開発 かいはつ する構想 こうそう がいくつか立 た ち上 あ がり、その中 なか で欧州 おうしゅう とアジアの企業 きぎょう が共同 きょうどう で「エイジアン・エクスプレス」を開発 かいはつ する計画 けいかく がまとまった。この「エイジアン・エクスプレス」計画 けいかく にエアバスも参画 さんかく し、操縦 そうじゅう システムや操縦 そうじゅう 資格 しかく はA320と共通 きょうつう 化 か することとなった。しかしエイジアン・エクスプレスは機体 きたい を完全 かんぜん に新規 しんき 設計 せっけい する計画 けいかく であり、それに伴 ともな う事業 じぎょう リスクの高 たか さが表面 ひょうめん 化 か したことで事業 じぎょう として行 い き詰 づ まってしまった[ 102] 。結局 けっきょく エアバスはA319の胴体 どうたい をさらに短縮 たんしゅく して100席 せき 級 きゅう の旅客機 りょかくき を独自 どくじ 開発 かいはつ することにした。
新 あら たな短 たん 胴 どう 型 がた はA318と命名 めいめい され、1999年 ねん 4月 がつ 26日 にち に正式 せいしき に開発 かいはつ が決 き まった。A318はA319よりも2.39メートル胴体 どうたい が短縮 たんしゅく され、それに伴 ともな い方向 ほうこう 安定 あんてい 性 せい を維持 いじ するため垂直 すいちょく 尾翼 びよく が延長 えんちょう された。合 あ わせて貨物 かもつ 扉 とびら が小型 こがた 化 か され、貨物 かもつ コンテナは搭載 とうさい できなくなった。エンジンはCFM56の推力 すいりょく 抑制 よくせい 型 がた と、プラット・アンド・ホイットニー (P&W) 社 しゃ が新規 しんき 開発 かいはつ したPW6000 が設定 せってい された。
A318は2002年 ねん 1月 がつ 15日 にち に初 はつ 飛行 ひこう し、2003年 ねん 5月 がつ 23日 にち に最初 さいしょ の型式 けいしき 証明 しょうめい をJAAから取得 しゅとく した。同年 どうねん 7月 がつ にフロンティア航空 こうくう が初 はつ 受領 じゅりょう して路線 ろせん 就航 しゅうこう を開始 かいし した。
A380(奥 おく )とA320(手前 てまえ )。A320ファミリーとA380の開発 かいはつ により、エアバスは100席 せき 級 きゅう から500席 せき 超 ちょう 級 きゅう までの旅客機 りょかくき ラインナップを実現 じつげん した。
A320ファミリーの拡充 かくじゅう と並行 へいこう して双 そう 通路 つうろ 機 き のA340とA330も完成 かんせい し、1993年 ねん に航空 こうくう 会社 かいしゃ への引 ひ き渡 わた しが始 はじ まっていた。さらにエアバスは、2000年代 ねんだい 前半 ぜんはん にA340の第 だい 2世代 せだい となるA340-500/-600を完成 かんせい させたほか、客室 きゃくしつ を総 そう 2階 かい 建 だ てとした巨人 きょじん 機 き A380 を開発 かいはつ して2007年 ねん に路線 ろせん 就航 しゅうこう させた。A320以降 いこう に開発 かいはつ されたこれらの機種 きしゅ には、高 たか い共通 きょうつう 性 せい を持 も つフライ・バイ・ワイヤ・システムが実装 じっそう された。そして操作 そうさ 装置 そうち や表示 ひょうじ 装置 そうち の配置 はいち や表示 ひょうじ 、操作 そうさ 方法 ほうほう を可能 かのう な限 かぎ り同一 どういつ 化 か させ、基本 きほん 的 てき に同一 どういつ の操縦 そうじゅう 席 せき 仕様 しよう を実現 じつげん した。これによりA320ファミリー各 かく 機 き は同一 どういつ の乗務 じょうむ 資格 しかく となった。加 くわ えて相互 そうご 乗員 じょういん 資格 しかく (Cross Crew Qualification; CCQ) と呼 よ ばれる資格 しかく 制度 せいど がつくられたことで、エアバス機 き は100席 せき 級 きゅう のA318から500席 せき 超 ちょう 級 きゅう のA380まで、数日 すうじつ から2週間 しゅうかん 程度 ていど の短期間 たんきかん の訓練 くんれん で操縦 そうじゅう 資格 しかく の移行 いこう が可能 かのう となった。そして2007年 ねん までにはA300とA310の生産 せいさん が終了 しゅうりょう したことで、エアバスが生産 せいさん する旅客機 りょかくき は全 すべ てCCQの対象 たいしょう となった。
競合 きょうごう 機 き との競争 きょうそう とLCCへの広 ひろ がり[ 編集 へんしゅう ]
737-900(手前 てまえ )と並 なら んで飛行 ひこう するA320(奥 おく )。A320ファミリーと737シリーズは単 たん 通路 つうろ 機 き 市場 いちば で直接 ちょくせつ 対決 たいけつ している。
1990年代 ねんだい の後半 こうはん にかけて、米国 べいこく の航空機 こうくうき メーカーも相次 あいつ いで単 たん 通路 つうろ 機 き の次世代 じせだい 化 か を行 おこな いA320に対抗 たいこう した。マクドネル・ダグラスはMD-80 をベースにV2500エンジンを搭載 とうさい して近代 きんだい 化 か したMD-90 を開発 かいはつ した。ボーイングも737のエンジン更新 こうしん した737NG (Next Generation) を開発 かいはつ した。小型 こがた の単 たん 通路 つうろ 機 き は双 そう 通路 つうろ 機 き よりも利幅 りはば が小 ちい さいことから、ボーイングもマクドネル・ダグラスも完全 かんぜん 新規 しんき 開発 かいはつ をためらい、既存 きそん 機 き の改良 かいりょう の道 みち を選 えら んだ。これに対 たい してエアバスは、A330やA340とシステムを共通 きょうつう 化 か して開発 かいはつ 費 ひ を分散 ぶんさん させたことで、A320のような単 たん 通路 つうろ 機 き にも最 さい 新鋭 しんえい のシステムを実装 じっそう することに成功 せいこう した。
A320ファミリーの納入 のうにゅう 数 すう は、1991年 ねん と1992年 ねん に年間 ねんかん 100機 き を超 こ え、それ以降 いこう も毎年 まいとし 50機 き 以上 いじょう を記録 きろく した。そして1999年 ねん にはA320ファミリーの総 そう 納入 のうにゅう 数 すう が1,000機 き を超 こ え、4月 がつ 15日 にち に1,000号機 ごうき と1,001号機 ごうき の引 ひ き渡 わた しセレモニーが行 おこな われた[ 121] 。1999年 ねん 以降 いこう の毎年 まいとし の納入 のうにゅう 数 すう は、A320単体 たんたい で100機 き 、ファミリー全体 ぜんたい で200機 き を上回 うわまわ るようになった。
1990年代 ねんだい には、ノ の ースウエスト航空 すうえすとこうくう やユナイテッド航空 こうくう をはじめとして米国 べいこく の大手 おおて ・中堅 ちゅうけん 航空 こうくう 会社 かいしゃ が相次 あいつ いでA320ファミリーを導入 どうにゅう した。次第 しだい に米国 べいこく でもA320の乗務 じょうむ 資格 しかく を有 ゆう するパイロットやA320の整備 せいび 経験 けいけん を積 つ んだ整備 せいび 士 し が育 そだ ち、2000年代 ねんだい に入 はい る頃 ころ には、新興 しんこう のいわゆる格安 かくやす 航空 こうくう 会社 かいしゃ (LCC) でもA320ファミリーの運航 うんこう 体制 たいせい を整 ととの えパイロットや整備 せいび 士 し を確保 かくほ できる環境 かんきょう ができつつあった。また、A320は中古 ちゅうこ 機 き 市場 いちば でも人気 にんき があり、航空機 こうくうき リース を行 おこな う上 うえ で有利 ゆうり な機材 きざい となったことで、資金 しきん が限 かぎ られる新興 しんこう 航空 こうくう 会社 かいしゃ でもリースでA320を導入 どうにゅう しやすい状況 じょうきょう であった。このような状況 じょうきょう 下 か で、2000年 ねん 2月 がつ に運航 うんこう 開始 かいし した米国 べいこく のジェットブルー航空 こうくう は、A320を採用 さいよう し3年間 ねんかん で40機 き にまで運用 うんよう 数 すう を拡大 かくだい した。続 つづ いてフロンティア航空 こうくう も2001年 ねん にA319を導入 どうにゅう し、ファミリー機 き の採用 さいよう を拡大 かくだい していく。欧州 おうしゅう の格安 かくやす 航空 こうくう 会社 かいしゃ でもA320ファミリーが選 えら ばれるようになった。
A320(飛行 ひこう 中 ちゅう )とMD-80(地上 ちじょう )。2002年 ねん に、A320ファミリーとマクドネル・ダグラスの単 たん 通路 つうろ 機 き シリーズの運航 うんこう 数 すう が逆転 ぎゃくてん した。
この頃 ころ 、これまでコンソーシアム(共同 きょうどう 事業 じぎょう 体 たい )の形態 けいたい とっていたエアバス・インダストリーは、2001年 ねん 1月 がつ 1日 にち 付 づけ で統合 とうごう 企業 きぎょう に改 あらた められ社名 しゃめい も単 たん に「エアバス」となった。同年 どうねん 、A320単体 たんたい の累計 るいけい 納入 のうにゅう 数 すう が1,000機 き を超 こ えた。そして翌 よく 2002年 ねん には年間 ねんかん 納入 のうにゅう 数 すう でA320ファミリーは737シリーズを上回 うわまわ り、運航 うんこう 機 き 数 すう においては、A320ファミリーはマクドネル・ダグラスの単 たん 通路 つうろ 機 き シリーズ (DC-9 /MD-80 /MD-90 ) を抜 ぬ いた。2003年 ねん に、A320ファミリーの累計 るいけい 納入 のうにゅう 数 すう は2,000機 き に到達 とうたつ した。
エアバスは生産 せいさん 力 りょく の増強 ぞうきょう を図 はか りつつ中国 ちゅうごく 市場 いちば へも攻勢 こうせい をかけるため、欧州 おうしゅう 以外 いがい で初 はつ となる最終 さいしゅう 組立 くみたて 拠点 きょてん を中国 ちゅうごく の天津 てんしん に開設 かいせつ することを決 き めた[ 130] 。2005年 ねん 12月にエアバスと中国 ちゅうごく 政府 せいふ が工場 こうじょう 建設 けんせつ の覚書 おぼえがき を締結 ていけつ し[ 130] 、工場 こうじょう は2007年 ねん 5月 がつ に着工 ちゃっこう 、2008年 ねん 8月 がつ に稼働 かどう を開始 かいし して、9月に正式 せいしき オープンした[ 130] 。天津 てんしん 工場 こうじょう 製 せい の初号 しょごう 機 き は2009年 ねん 5月 がつ 18日 にち に初 はつ 飛行 ひこう し、同年 どうねん 6月 がつ 23日 にち に顧客 こきゃく へ納入 のうにゅう された。天津 てんしん で完成 かんせい した機体 きたい は、当初 とうしょ は中国 ちゅうごく の航空 こうくう 会社 かいしゃ 向 む けであったが、後 のち に一部 いちぶ アジアの航空 こうくう 会社 かいしゃ へも納入 のうにゅう されるようになった[ 130] 。
2009年 ねん 3月 がつ 時点 じてん で、A320ファミリー全体 ぜんたい の累計 るいけい 受注 じゅちゅう 数 すう は6,313機 き で、納入 のうにゅう 数 すう は3,764機 き であった。発注 はっちゅう 者 しゃ の地域 ちいき 別 べつ 内訳 うちわけ は北米 ほくべい が1,988機 き 、欧州 おうしゅう が1,763機 き 、アジアが1,595機 き であり、地域 ちいき 間 あいだ の大 おお きな偏 かたよ りがなく販売 はんばい された。
A320-200の登場 とうじょう 時 じ に72トンであった最大 さいだい 離陸 りりく 重量 じゅうりょう は、その後 ご 段階 だんかい 的 てき に引 ひ き上 あ げられ、73.5トンや77トン、78トンといった仕様 しよう が設定 せってい された。離陸 りりく 重量 じゅうりょう の増加 ぞうか 分 ぶん は燃料 ねんりょう 搭載 とうさい 量 りょう の増加 ぞうか にあてられ、それに伴 ともな い標準 ひょうじゅん 航続 こうぞく 距離 きょり が延長 えんちょう された。エンジンも改良 かいりょう が加 くわ えられ、燃費 ねんぴ や環境 かんきょう 性能 せいのう の向上 こうじょう が進 すす められた。計算 けいさん 流体 りゅうたい 力学 りきがく の技術 ぎじゅつ を用 もち いて空 そら 力 りょく 面 めん の改良 かいりょう も加 くわ えられ、翼 つばさ と胴体 どうたい をつなぐフェアリングやエンジン・パイロンの形状 けいじょう などが変更 へんこう された。飛行 ひこう システムも改良 かいりょう され、継続 けいぞく 降下 こうか 進入 しんにゅう (CDA) 方式 ほうしき [ 注釈 ちゅうしゃく 3] や広域 こういき 航法 こうほう に対応 たいおう する機能 きのう が追加 ついか され、より効率 こうりつ 的 てき な運航 うんこう の実現 じつげん が図 はか られている。客室 きゃくしつ についても頭上 ずじょう の手荷物 てにもつ 収容 しゅうよう スペースが改良 かいりょう され容積 ようせき 効率 こうりつ が改善 かいぜん されたほか、内装 ないそう の更新 こうしん により室内 しつない 空間 くうかん が拡大 かくだい された。客室 きゃくしつ の照明 しょうめい ・空調 くうちょう を管理 かんり したりメッセージ放送 ほうそう を行 おこな ったりする客室 きゃくしつ 乗務 じょうむ 員 いん 向 む けの業務 ぎょうむ システムも導入 どうにゅう された。
代替 だいたい 飛行場 ひこうじょう から離 はな れた経路 けいろ を飛行 ひこう 可能 かのう となるETOPS 要件 ようけん の適用 てきよう 範囲 はんい も順次 じゅんじ 拡大 かくだい され、2004年 ねん 3月 がつ に欧州 おうしゅう 航空 こうくう 安全 あんぜん 機関 きかん (以下 いか 、EASA)から、2006年 ねん 5月 がつ には米国 べいこく 連邦 れんぽう 航空局 こうくうきょく (以下 いか 、FAA)からA319、A320、A321に対 たい して180分 ぶん のETOPSが認 みと められた[ 135] 。続 つづ いて2006年 ねん 11月には、A318についてもEASAより180分 ぶん のETOPSが認 みと められた[ 135] 。
シャークレットを装備 そうび したA320。
その後 ご もさらなる燃費 ねんぴ 低減 ていげん を進 すす め、2009年 ねん 11月にはウイング・チップ・フェンスに替 か えて新 あたら しい翼 つばさ 端 はし 装置 そうち を採用 さいよう することが発表 はっぴょう された。この翼 つばさ 端 はし 装置 そうち は、主翼 しゅよく 端 はし が上方 かみがた に折 お り曲 ま げられて大型 おおがた のフィン状 じょう をしており「シャークレット」と名付 なづ けられた。エアバスは、飛行 ひこう 距離 きょり が2,000海里 かいり (3,704キロメートル)程度 ていど の場合 ばあい に、シャークレットを装備 そうび することで燃料 ねんりょう 消費 しょうひ を3.5パーセント低減 ていげん できるとした。
2010年 ねん から2011年 ねん にかけてシャークレットの開発 かいはつ や試作 しさく が進 すす められた。そしてA320の初号 しょごう 機 き にシャークレットが装着 そうちゃく され、2011年 ねん 11月30日 にち に飛行 ひこう 試験 しけん を開始 かいし した。シャークレット装備 そうび 仕様 しよう は、2012年 ねん 11月30日 にち にEASAから最初 さいしょ の型式 けいしき 証明 しょうめい を取得 しゅとく し、翌月 よくげつ 21日 にち にエアアジア に初 はつ 納入 のうにゅう された[ 140] 。シャークレットはA318を除 のぞ くA320ファミリー機 き に設定 せってい され、2014年 ねん の納入 のうにゅう 機 き からシャークレットが標準 ひょうじゅん 仕様 しよう となった。
A320の改良 かいりょう と並行 へいこう して、エアバスはA320の後継 こうけい 機 き をどうするか研究 けんきゅう を進 すす めていた。後継 こうけい 機 き の考 かんが え方 かた は大 おお きく分 わ けて2つあり、一方 いっぽう は完全 かんぜん な新 しん 設計 せっけい 機 き を開発 かいはつ する案 あん 、もう一方 いっぽう はA320に新 しん エンジンを搭載 とうさい し新 しん 世代 せだい 化 か を図 はか る案 あん であった。
新 しん 設計 せっけい する案 あん はNSR (New Short Range) と名付 なづ けられ、主翼 しゅよく や胴体 どうたい 構造 こうぞう への複 ふく 合 あい 材料 ざいりょう の採用 さいよう 、最新 さいしん の空 そら 力 りょく 設計 せっけい 、エンハンスト・ビジョン・システム といった最新 さいしん のアビオニクスの導入 どうにゅう などが検討 けんとう された[ 143] 。この頃 ころ 、A320や737のサイズの旅客機 りょかくき 向 む けに次世代 じせだい エンジンの研究 けんきゅう がいくつか進 すす んでいた。これらの次世代 じせだい エンジンは、オープンローター あるいは大 だい 直径 ちょっけい ファンを有 ゆう することから、新 あら たな機体 きたい 設計 せっけい を要 よう した。次世代 じせだい エンジンの実用 じつよう 化 か 時期 じき は早 はや くて2025年 ねん ごろと見積 みつ もられたが、これでは2010年代 ねんだい の就航 しゅうこう を目指 めざ していたNSR計画 けいかく には間 ま に合 あ わず、かといって既存 きそん エンジンでNSRを開発 かいはつ した場合 ばあい は次世代 じせだい エンジンの登場 とうじょう によりNSRがすぐに旧式 きゅうしき 化 か してしまうことが懸念 けねん された[ 145] 。
このような状況 じょうきょう で、エアバスは多額 たがく の開発 かいはつ 費 ひ を要 よう する新規 しんき 開発 かいはつ は行 おこな わず、A320を新 しん 世代 せだい 化 か 改良 かいりょう することを決 き めた。具体 ぐたい 的 てき にはA320の機体 きたい 設計 せっけい はそのまま活用 かつよう し、当時 とうじ 最新 さいしん の高 こう 効率 こうりつ エンジンに刷新 さっしん することとなった。エアバスはこの改良 かいりょう 型 がた をA320neoと名付 なづ け、2010年 ねん 12月1日 にち に正式 せいしき 開発 かいはつ の決定 けってい を発表 はっぴょう された。「neo」は「N ew E ngine O ption」(新 しん エンジン選択 せんたく 型 がた の意 い )の頭字 かしらじ 語 ご と「新 あたら しい」という意味 いみ のギリシア語 ご 「neo」をかけたものである。そしてneoの登場 とうじょう に伴 ともな い、従来 じゅうらい 型 がた のA320ファミリーはA320ceo(C urrent E ngine O ption; 現行 げんこう エンジン選択 せんたく 型 がた の意 い )と呼 よ ばれ区別 くべつ されることとなった。
A320と競合 きょうごう する737についても同様 どうよう の後継 こうけい 機 き 問題 もんだい を抱 かか えていた。ボーイングは新 しん 設計 せっけい の単 たん 通路 つうろ 機 き を研究 けんきゅう していたものの最終 さいしゅう 的 てき には既存 きそん 機 き の改良 かいりょう を選 えら び、2011年 ねん 8月 がつ 30日 にち に737MAX の開発 かいはつ を決定 けってい した[ 143] [ 147] 。こうして単 たん 通路 つうろ 機 き の市場 いちば 競争 きょうそう は新 あら たな段階 だんかい に入 はい ったが、9か月 げつ 先行 せんこう する形 かたち となったA320neoは、737MAXの発表 はっぴょう までにリース会社 かいしゃ を含 ふく む14社 しゃ から900機 き を超 こ える大量 たいりょう 受注 じゅちゅう を獲得 かくとく していた。
初 はつ 飛行 ひこう で撮影 さつえい されたA320neo。
PW1100G装備 そうび 型 がた のA320neo。エンジン直径 ちょっけい が大 おお きくなったが、地上 ちじょう とのクリアランスが確保 かくほ されており降着 こうちゃく 装置 そうち は従来 じゅうらい と同様 どうよう である。
A320neoは名前 なまえ の通 とお り装備 そうび エンジンが最新 さいしん のターボファンエンジンに一新 いっしん された。設定 せってい されたエンジンは、プラット・アンド・ホイットニー (P&W) 社 しゃ のピュアパワーPW1100G シリーズと、CFMI社 しゃ のLEAP-1A シリーズの2種類 しゅるい である。両 りょう エンジンとも直径 ちょっけい が大 おお きなファンを備 そな えてバイパス比 ひ [ 注釈 ちゅうしゃく 4] を上 あ げることで、燃費 ねんぴ 性能 せいのう の向上 こうじょう が図 はか られた。
PW1100Gは、ピュアパワーPW1000Gシリーズの中 なか の1タイプである。PW1100Gはファンの回転 かいてん 数 すう を最適 さいてき 化 か するため減速 げんそく 機 き を備 そな えておりギヤードターボファンエンジン とも呼 よ ばれる。これにより12:1という非常 ひじょう に高 たか いバイパス比 ひ [ 注釈 ちゅうしゃく 4] を実現 じつげん した。エアバスは、2008年 ねん 10月 がつ に開発 かいはつ 中 ちゅう のPW1000エンジンをエアバス社 しゃ 有 ゆう のA340-600に装備 そうび して飛行 ひこう 試験 しけん を行 おこな い、P&W社 しゃ の開発 かいはつ 作業 さぎょう を支援 しえん していた[ 152] 。この時点 じてん でエアバスはPW1000エンジンの導入 どうにゅう は未定 みてい だとしていたが、結果 けっか 的 てき にA320neoに採用 さいよう されることになった。
LEAP-1Aは、CFM56の後継 こうけい エンジンとして、2008年 ねん 7月 がつ に正式 せいしき 開発 かいはつ が開始 かいし された。こちらはファンの減速 げんそく 機 き を持 も たないものの、最新 さいしん の材料 ざいりょう 技術 ぎじゅつ や空 そら 力 りょく 設計 せっけい 技術 ぎじゅつ により、エンジンコア[ 注釈 ちゅうしゃく 5] を小型 こがた 化 か ・高 こう 効率 こうりつ 化 か したりファンを最適 さいてき 化 か したほか、システムにも改良 かいりょう を加 くわ えることで燃費 ねんぴ 性能 せいのう の向上 こうじょう が図 はか られた[ 154] 。
A320neoの両 りょう エンジンは、A320ceoのエンジンと比 くら べてファンの直径 ちょっけい が数 すう 十 じゅう センチメートルほど拡大 かくだい しているが、エアバスはカウリング下端 かたん と地面 じめん の間 あいだ には必要 ひつよう な距離 きょり が確保 かくほ できるとして、降着 こうちゃく 装置 そうち の延長 えんちょう などは行 おこな われなかった。限 かぎ られた期間 きかん で開発 かいはつ するため、新 しん エンジンのカウル の設計 せっけい には3次元 じげん モデルによるデジタル・モックアップが積極 せっきょく 的 てき に用 もち いられた[ 156] 。
エンジン以外 いがい の基本 きほん 的 てき な機体 きたい 設計 せっけい はA320ceoファミリーのものが踏襲 とうしゅう され、設計 せっけい の95パーセントが共通 きょうつう とされた[ 157] 。A320neoでは、主翼 しゅよく のシャークレットが標準 ひょうじゅん 装備 そうび となった。
エアバスはA320neoの開発 かいはつ と合 あ わせてA320ceoのさらなる改良 かいりょう も行 おこ なっていた。
neoとceoの双方 そうほう に適用 てきよう された改良 かいりょう として、スペースフレックス (Space-Flex) と名付 なづ けられた新 しん 客室 きゃくしつ レイアウトや、客室 きゃくしつ 照明 しょうめい の完全 かんぜん LED化 か 、コックピットへのヘッドアップディスプレイ (HUD) 導入 どうにゅう があげられる。スペースフレックスでは、機体 きたい 後部 こうぶ のギャレー とトイレのスペースを圧縮 あっしゅく することで、座席 ざせき 数 すう を6席 せき 増 ふ やすことが可能 かのう になった[ 159] 。ヘッドアップディスプレイは機長 きちょう 席 せき と副 ふく 操縦 そうじゅう 席 せき にそれぞれ装着 そうちゃく でき、新造 しんぞう 機 き にオプション設定 せってい されたほか、既存 きそん 機 き への装着 そうちゃく 改修 かいしゅう も可能 かのう とされた。
A320neoの初号 しょごう 機 き はPW1100Gエンジン装備 そうび 型 がた で、2014年 ねん 9月 がつ 25日 にち にトゥールーズで初 はつ 飛行 ひこう した[ 157] [ 160] 。翌 よく 2015年 ねん 5月 がつ 19日 にち には、LEAP-1A装備 そうび 型 がた も初 はつ 飛行 ひこう した[ 161] 。同年 どうねん 11月 がつ 24日 にち 、まずPW1100G仕様 しよう に対 たい してA320neoの最初 さいしょ となる型式 けいしき 証明 しょうめい がEASAとFAAより交付 こうふ された[ 162] 。
当初 とうしょ は2015年 ねん 中 ちゅう にカタール航空 こうくう が最初 さいしょ のA320neoを受領 じゅりょう する計画 けいかく であったが、PW1100Gエンジンの性能 せいのう 上 じょう の問題 もんだい により延期 えんき された[ 164] 。その結果 けっか 、翌年 よくねん 1月 がつ 20日 にち ルフトハンザ・ドイツ航空 こうくう に対 たい してA320neoの初 はつ 引 ひ き渡 わた しが行 おこな われた[ 165] 。ルフトハンザは1月 がつ のうちにドイツ国内線 こくないせん でA320neoの路線 ろせん 就航 しゅうこう を開始 かいし し、同年 どうねん 4月 がつ にはロンドンとフランクフルトを結 むす ぶ国際線 こくさいせん にも投入 とうにゅう した[ 166] [ 167] [ 168] 。
2016年 ねん 5月 がつ 31日 にち には、LEAP-1A装備 そうび 仕様 しよう についてもEASAとFAAから型式 けいしき 証明 しょうめい が交付 こうふ され、7月 がつ 19日 にち にトルコのペガサス航空 こうくう に対 たい して初 はつ 引 ひ き渡 わた しが行 おこな われた[ 164] [ 169] 。
PW1100Gの初期 しょき バージョンでは、エンジン始動 しどう に時間 じかん を要 よう する問題 もんだい があり、P&W社 しゃ は改良 かいりょう に追 お われた[ 171] 。それ以外 いがい にも、A320neoの運航 うんこう 開始 かいし 後 ご の初期 しょき にはPW1100GエンジンとLEAP-1Aエンジン共 ども にいくつかの問題 もんだい が見 み つかり、それぞれのメーカーによる改良 かいりょう や対策 たいさく が行 おこな われた。
全日本空輸 ぜんにほんくうゆ はPW1100G装備 そうび 型 がた のA321neoの納入 のうにゅう 初号 しょごう 機 き を受領 じゅりょう した[ 172] 。
2010年 ねん 12月のA320neo開発 かいはつ 決定 けってい 時 じ に、ファミリー機 き のA321とA319についてもneoを開発 かいはつ することが決 き まっていた。ファミリー最小 さいしょう のA318については、2003年 ねん から2010年 ねん までの累計 るいけい 納入 のうにゅう 数 すう が74機 き にとどまっており、将来 しょうらい 需要 じゅよう が見込 みこ めないとしてneoの開発 かいはつ は見送 みおく られた。A321とA319は共 とも にPW1100GエンジンとLEAP-1Aエンジンを装備 そうび 可能 かのう とされ、機体 きたい サイズに応 おう じて各 かく エンジンには推力 すいりょく 増強 ぞうきょう 型 がた と抑制 よくせい 型 がた が用意 ようい された。2015年 ねん 5月 がつ 19日 にち には、A320neoファミリーをベースとしたエアバス・コーポレート・ジェットの開発 かいはつ も決定 けってい し、ACJ320neoファミリーと名付 なづ けられた[ 175] [ 176] 。
A321neoの初号 しょごう 機 き はLEAP-1Aエンジン装備 そうび 型 がた で2016年 ねん 2月 がつ 9日 にち に初 はつ 飛行 ひこう した[ 177] [ 178] 。翌月 よくげつ にはPW1100Gを装備 そうび したA321neoも初 はつ 飛行 ひこう を行 おこ なった[ 168] [ 179] 。その後 ご A321neoは試験 しけん 飛行 ひこう を行 おこな い、2016年 ねん 12月15日 にち にPW1100G仕様 しよう 型 がた 、翌年 よくねん 3月 がつ 1日 にち にはLEAP-1A仕様 しよう 型 がた に対 たい してそれぞれ型式 けいしき 証明 しょうめい が交付 こうふ された[ 180] [ 181] 。2017年 ねん 4月 がつ 20日 はつか にLEAP-1A仕様 しよう のA321neoがヴァージン・アメリカ に対 たい して初 はつ 引 ひ き渡 わた しされ、同年 どうねん 9月 がつ 5日 にち にはPW1100Gエンジン装備 そうび 機 き も全日本空輸 ぜんにほんくうゆ に対 たい して初 はつ 納入 のうにゅう された[ 182] [ 183] [ 184] 。
長 ちょう 胴 どう 型 がた のA321はボーイング757 の後継 こうけい 機 き 市場 いちば にも進出 しんしゅつ しつつあったが、本格 ほんかく 的 てき に757を代替 だいたい するためには、航続力 こうぞくりょく の強化 きょうか が必要 ひつよう だった[ 185] [ 186] 。そこでエアバスは2015年 ねん 1月 がつ 13日 にち に、A321neoの航続 こうぞく 距離 きょり 延長 えんちょう 型 がた となるA321LR(L ong R ange、長距離 ちょうきょり の意味 いみ )の開発 かいはつ を決定 けってい した[ 187] [ 188] 。A321LRは2018年 ねん 1月 がつ 31日 にち に初 はつ 飛行 ひこう し、10月2日 にち に型式 けいしき 証明 しょうめい を取得 しゅとく 、11月14日 にち に初 はつ 引 ひ き渡 わた しがアルキア・イスラエル航空 こうくう に対 たい して行 おこな われた[ 189] [ 190] [ 191] 。2019年 ねん 6月 がつ 17日 にち には、A321の航続力 こうぞくりょく をさらに強化 きょうか したA321XLR (X tra L ong R ange) を開発 かいはつ するとエアバスが発表 はっぴょう した[ 188] 。A321XLRは、アメリカン航空 こうくう やカンタス航空 かんたすこうくう 、イベリア航空 こうくう やエアリンガス を傘下 さんか に持 も つインターナショナル・エアラインズ・グループ などから受注 じゅちゅう を獲得 かくとく し、2023年 ねん 納入 のうにゅう の計画 けいかく で開発 かいはつ が進 すす んでいる[ 192] [ 193] [ 188] 。
この間 あいだ にA319neoの初号 しょごう 機 き もLEAP-1Aエンジン仕様 しよう で製造 せいぞう され、2017年 ねん 3月 がつ 31日 にち に初 はつ 飛行 ひこう した[ 194] 。同様 どうよう に試験 しけん 飛行 ひこう を経 へ て、2018年 ねん 12月にLEAP-1A仕様 しよう のA319neoへの型式 けいしき 証明 しょうめい が交付 こうふ された[ 194] [ 195] 。その後 ご 、A319neoの初号 しょごう 機 き はエンジンをPW1100Gに換 かわ 装 そう し、2019年 ねん 4月 がつ 25日 にち に同 どう エンジンでの初 はつ 飛行 ひこう を行 おこ なった[ 194] [ 195] 。2019年 ねん 現在 げんざい においてPW1100G仕様 しよう のA319neoは、型式 けいしき 証明 しょうめい 取得 しゅとく に向 む けた試験 しけん 飛行 ひこう を行 おこ なっている[ 196] 。A319neoの納入 のうにゅう 初号 しょごう 機 き は2019年 ねん 7月 がつ 16日 にち に個人 こじん 客 きゃく に引 ひ き渡 わた された[ 197] 。
さらなる販売 はんばい の伸 の びと生産 せいさん 強化 きょうか [ 編集 へんしゅう ]
A320ファミリーの年間 ねんかん 納入 のうにゅう 数 すう は概 おおむ ね増加 ぞうか を続 つづ け、2006年 ねん には300機 き を上回 うわまわ り2009年 ねん には400機 き を超 こ えた。A320単体 たんたい の年間 ねんかん 納入 のうにゅう 数 すう も同様 どうよう で、2008年 ねん に200機 き を超 こ え2011年 ねん には300機 き を超 こ えた。A320ファミリーの累計 るいけい 納入 のうにゅう 数 すう は伸 の び続 つづ け、2012年 ねん 2月 がつ に5,000機 き 、2014年 ねん 3月 がつ には6,000機 き に達 たっ した[ 198] [ 199] 。
この間 あいだ 、A320ファミリー内 ない の需要 じゅよう の中心 ちゅうしん が大型 おおがた 機 き に移 うつ っている[ 200] 。A320、A321、A319が揃 そろ った1996年 ねん 以来 いらい 、A320、A319、A321の順 じゅん に納入 のうにゅう 数 すう が多 おお かったが、2000年代 ねんだい の後半 こうはん から徐々 じょじょ に売 う れ筋 すじ が大型 おおがた 化 か してきた[ 200] 。2006年 ねん のファミリー内 ない の納入 のうにゅう 数 すう シェアは、A321が10パーセント弱 じゃく でA320が43パーセント、A319が73パーセントであった[ 200] 。2010年 ねん を境 さかい にA319とA321の納入 のうにゅう 数 すう が逆転 ぎゃくてん し、2016年 ねん にはA321が44パーセント、A320が53パーセント、A319は3パーセントとなった[ 200] 。
A320neoファミリーの開発 かいはつ と並行 へいこう して段階 だんかい 的 てき に生産 せいさん 体制 たいせい が強化 きょうか されてきた[ 201] 。エアバスは、2012年 ねん 7月 がつ にA320ファミリーの最終 さいしゅう 組立 くみたて を米国 べいこく でも行 おこな うことを決 き め、アラバマ州 しゅう モビール に工場 こうじょう を建設 けんせつ した[ 202] 。アラバマ工場 こうじょう は2013年 ねん 4月 がつ に着工 ちゃっこう し、2015年 ねん 9月 がつ から本 ほん 稼働 かどう している[ 202] 。米国 べいこく 製 せい の初号 しょごう 機 き は2016年 ねん 3月 がつ に初 はつ 飛行 ひこう し、4月 がつ に顧客 こきゃく へ引 ひ き渡 わた された[ 202] [ 203] 。
2008年 ねん 2月 がつ 1日 にち にはA320ファミリー全体 ぜんたい での納入 のうにゅう 数 すう が8,000機 き に達 たっ し[ 204] 、2019年 ねん 10月 がつ 11日 にち には、A320"neo"ファミリーの納入 のうにゅう 数 すう が1,000機 き に達 たっ した[ 197] [ 205] 。
2019年 ねん 現在 げんざい 、A320の最終 さいしゅう 組立 くみたて が行 おこな われているのはフランスのトゥールーズ、ドイツのハンブルク、中国 ちゅうごく の天津 てんしん 、アメリカのモビールの4か所 しょ である。A319はハンブルク、天津 てんしん 、モビールの3か所 しょ 、A321はハンブルクとモビールの2か所 しょ で最終 さいしゅう 組 ぐみ 立 たた されている。A318については2015年 ねん を最後 さいご に生産 せいさん が途絶 とだ えている。
A320ファミリーは世代 せだい により、当初 とうしょ 型 がた のA320ceoファミリーと新 しん 世代 せだい エンジンに刷新 さっしん したA320neoファミリーに分 わ けられる。A320ceoファミリーは、基本 きほん 型 がた のA320、長 ちょう 胴 どう 型 がた のA321、短 たん 胴 どう 型 がた のA319とA318の4機種 きしゅ で構成 こうせい される。A320neoファミリーは、A319neo、A320neo、A321neoで構成 こうせい される。
以下 いか 本節 ほんぶし では、主 おも に基本 きほん 型 がた のA320について説明 せつめい する。ファミリー各 かく 機種 きしゅ については、個別 こべつ ページ(A321#機体 きたい 、A319#機体 きたい 、A318#機体 きたい )を参照 さんしょう のこと。A320neoについての詳細 しょうさい はA320neo も参照 さんしょう 。またコーポレートジェット仕様 しよう についてはエアバス・コーポレート・ジェット も参照 さんしょう されたい。
ウイング・チップ・フェンス仕様 しよう のA320を右側 みぎがわ 面 めん から見 み る。
シャークレット仕様 しよう のA320を右側 みぎがわ 面 めん から見 み る。
A320neoを同 おな じく右側 みぎがわ 面 めん から見 み る。
A320の機体 きたい 構成 こうせい は一般 いっぱん 的 てき な旅客機 りょかくき のものである。片 かた 持 も ち翼 つばさ の主翼 しゅよく を低 てい 翼 つばさ に配置 はいち した単葉 たんよう 機 き であり、左右 さゆう の主翼 しゅよく 下 か に1発 はつ ずつターボファンエンジン を備 そな える。尾翼 びよく は通常 つうじょう 配置 はいち で、垂直 すいちょく 尾翼 びよく と水平 すいへい 尾翼 びよく はともに胴体 どうたい 尾 お 部 ぶ に直接 ちょくせつ 取 と り付 つ けられている。降着 こうちゃく 装置 そうち は前輪 ぜんりん 式 しき 配置 はいち で機首 きしゅ 部 ぶ に前 ぜん 脚 あし 、左右 さゆう の主翼 しゅよく の付 つ け根 ね に主 しゅ 脚 あし がある。全長 ぜんちょう は37.57メートル、全 ぜん 高 こう は11.76メートル、全幅 ぜんぷく はウイング・チップ・フェンス装備 そうび 型 がた が34.10メートルでシャークレット装備 そうび 型 がた が35.80メートルである。
機体 きたい 構造 こうぞう の材料 ざいりょう は、アルミニウム合金 ごうきん やチタン合金 ごうきん といった金属 きんぞく が中心 ちゅうしん だが、構造 こうぞう 重量 じゅうりょう の15パーセントは複 ふく 合 あい 材料 ざいりょう が用 もち いられている。使用 しよう されている複 ふく 合 ごう 材 ざい は、炭素 たんそ 繊維 せんい 強化 きょうか プラスチック (CFRP)、アラミド繊維 せんい 強化 きょうか プラスチック (AFRP)、ガラス繊維 せんい 強化 きょうか プラスチック (GFRP) であり、AFRPとGFRPは二 に 次 じ 構造 こうぞう 部材 ぶざい 、CFRPは二 に 次 じ 構造 こうぞう 部材 ぶざい のほか主 しゅ 構造 こうぞう 材 ざい にも用 もち いられている[ 注釈 ちゅうしゃく 6] 。
主翼 しゅよく はテーパー がついた後退 こうたい 翼 つばさ で、翼 つばさ 面積 めんせき は122.6平方 へいほう メートルである。25パーセント翼 つばさ 弦 つる での後退 こうたい 角 かく は25度 ど 、アスペクト比 ひ [ 注釈 ちゅうしゃく 7]
は約 やく 9.5と、後退 こうたい 角 かく が浅 あさ く翼 つばさ 幅 はば の大 おお きい翼 つばさ である。翼 つばさ 厚 あつ 比 ひ [ 注釈 ちゅうしゃく 2] は10.8パーセントでA310と近 ちか い値 ね であるが、断面 だんめん 形状 けいじょう はかなり異 こと なりA320の翼 つばさ は後半 こうはん 部 ぶ が比較的 ひかくてき 厚 あつ い。主翼 しゅよく 構造 こうぞう は、胴体 どうたい と一体化 いったいか している中央 ちゅうおう 翼 つばさ 構造 こうぞう および左右 さゆう の片 かた 持 も ち翼 つばさ 構造 こうぞう から構成 こうせい される。左右 さゆう の主翼 しゅよく は箱 はこ 型 がた 応力 おうりょく 外皮 がいひ 構造 こうぞう (ボックス構造 こうぞう )であり、前 ぜん 桁 けた 、後 こう 桁 けた 、リブ(小骨 こぼね )、ストリンガ(縦 たて 通 どおり 材 ざい )、そして上下 じょうげ の外 そと 板 いた らで構成 こうせい される。中央 ちゅうおう 翼 つばさ 構造 こうぞう はトラス で補強 ほきょう されたボックス構造 こうぞう で、翼 つばさ にかかる揚力 ようりょく などを胴体 どうたい に伝 つた える働 はたら きを担 にな う。
主翼 しゅよく には高 こう 揚力 ようりょく 装置 そうち として前 ぜん 縁 えん にスラット、後 こう 縁 えん にファウラー・フラップを備 そな える。スラットは片 かた 翼 つばさ あたり6枚 まい で、ほぼ全幅 ぜんぷく にわたり配置 はいち されている。エンジン・パイロンの付 つ け根 ね を境 さかい にフラップは内 うち 翼 つばさ と外 そと 翼 つばさ に2分割 ぶんかつ されており、その外側 そとがわ に補助 ほじょ 翼 つばさ がある。主翼 しゅよく 上面 うわつら には片 かた 翼 つばさ あたり5枚 まい のスポイラー がある。スポイラーはロール操縦 そうじゅう にも用 もち いられる。動 どう 翼 つばさ には複 ふく 合 あい 材料 ざいりょう を多用 たよう することで軽量 けいりょう 化 か が図 はか られている。
翼 つばさ 端 はし 装置 そうち として誘導 ゆうどう 抵抗 ていこう を減 へ らす効果 こうか のあるウィング・チップ・フェンスまたはシャークレットを備 そな える。ウイング・チップ・フェンスは鏃状の整流 せいりゅう 板 ばん で、シャークレットはウイングレットのように翼 つばさ 端 はし を上 うえ に曲 ま げた形状 けいじょう を有 ゆう する。開発 かいはつ 当初 とうしょ はウイング・チップ・フェンスが標準 ひょうじゅん 装備 そうび であったが、のちにシャークレット仕様 しよう が開発 かいはつ され、A320neoではシャークレットが標準 ひょうじゅん 装備 そうび となった。また、既存 きそん の機体 きたい にシャークレットを後 こう 付 つ けすることも可能 かのう である[ 222] 。
主翼 しゅよく のボックス構造 こうぞう 内 ない は燃料 ねんりょう タンクである。タンクは左右 さゆう が各 かく 2分割 ぶんかつ され中央 ちゅうおう 1区画 くかく と合 あ わせて5区画 くかく に分 わ かれており、両 りょう 端 はし はサージタンク となっている。
A320の胴体 どうたい 断面 だんめん は直径 ちょっけい が異 こと なる2つの円 えん 構造 こうぞう を結合 けつごう した「ダブル・バブル構造 こうぞう 」である。断面 だんめん の外 そと 寸 すん は幅 はば 3.95メートル、高 たか さ4.14メートルである 。胴体 どうたい 長 ちょう は全長 ぜんちょう に等 ひと しく37.57メートルである。客室 きゃくしつ 部分 ぶぶん をできるだけ一定 いってい 幅 はば で保 たも ちつつ、尾 お 部 ぶ の平面 へいめん 形 がた のくびれを工夫 くふう するなどして抵抗 ていこう を低減 ていげん している。胴体 どうたい 構造 こうぞう はセミモノコック構造 こうぞう であり、フレーム(円周 えんしゅう 方向 ほうこう の構造 こうぞう 材 ざい )、ストリンガ(前後 ぜんご 方向 ほうこう に延 の びる縦 たて 通 どおり 材 ざい )、外 そと 板 ばん 、ビーム(左右 さゆう 方向 ほうこう の補強 ほきょう 部材 ぶざい )、圧力 あつりょく 隔壁 かくへき などで構成 こうせい される。胴体 どうたい 最下 さいか 端 はし から1.679メートル上 じょう にビーム 構造 こうぞう があり、客室 きゃくしつ の床 ゆか を支持 しじ する。胴体 どうたい は尾 お 部 ぶ を除 のぞ き与 あずか 圧 あつ 構造 こうぞう である 。
水平 すいへい 尾翼 びよく の翼 つばさ 幅 はば は12.45メートル、垂直 すいちょく 尾翼 びよく の高 たか さは5.87メートルである。水平 すいへい ・垂直 すいちょく 尾翼 びよく ともに前 ぜん 桁 けた と後 こう 桁 けた 、外 そと 板 ばん 、リブで構成 こうせい されたボックス構造 こうぞう であり、ほとんどは複 ふく 合 あい 材料 ざいりょう 製 せい である。
水平 すいへい 尾翼 びよく は水平 すいへい 安定 あんてい 板 ばん と昇降 しょうこう 舵 かじ で構成 こうせい される。水平 すいへい 尾翼 びよく は在来 ざいらい 機 き のような中央 ちゅうおう 翼 つばさ 構造 こうぞう は持 も たず、左右 さゆう の翼 つばさ が胴体 どうたい 内 ない で金具 かなぐ により結合 けつごう されている。この結合 けつごう 部 ぶ の前方 ぜんぽう にジャッキ・スクリューが取 と り付 つ けられており、水平 すいへい 安定 あんてい 板 ばん の角度 かくど を変 か えてトリム[ 注釈 ちゅうしゃく 8] を調整 ちょうせい できる。水平 すいへい 尾翼 びよく と胴体 どうたい との結合 けつごう は、後 こう 桁 けた に左右 さゆう 一 いち か所 しょ ずつ設 もう けられた金具 かなぐ とベアリングにより行 おこな われる。左右 さゆう の昇降 しょうこう 舵 かじ はアクチュエータを2か所 しょ ずつ備 そな え、左右 さゆう 独立 どくりつ して駆動 くどう される。
垂直 すいちょく 尾翼 びよく は垂直 すいちょく 安定 あんてい 板 ばん と方向 ほうこう 舵 かじ で構成 こうせい される。垂直 すいちょく 尾翼 びよく の最 さい 下部 かぶ で胴体 どうたい に結合 けつごう されている。方向 ほうこう 舵 かじ は水平 すいへい 安定 あんてい 板 ばん の後 のち 桁 けた にベアリングで結合 けつごう されており、アクチュエータにより駆動 くどう される。
A320の主翼 しゅよく の付 つ け根 ね 部分 ぶぶん 。主 しゅ 脚 あし 等 とう を格納 かくのう するため「バスタブ」状 じょう に底面 ていめん が張 は り出 だ している。
左右 さゆう の主 しゅ 脚 あし および前 ぜん 脚 あし はそれぞれ2輪 りん 式 しき である。前 ぜん 脚 あし ・主 しゅ 脚 あし とも引 ひ き込 こ み式 しき で、昇降 しょうこう は通常 つうじょう 時 じ は油圧 ゆあつ により行 おこな われ、非 ひ 常用 じょうよう の脚下 きゃっか げ機構 きこう のみ他 た 機種 きしゅ と同様 どうよう にケーブルが用 もち いられる。ホイールはアルミニウム合金 ごうきん 製 せい 、タイヤはラジアルタイヤ である。ブレーキは多 た 板 いた 式 しき のディスクブレーキ で、ディスクにはカーボンが用 もち いられる。ブレーキは油圧 ゆあつ で作動 さどう し、アンチスキッド や自動 じどう ブレーキシステムを備 そな える。前 ぜん 脚 あし は油圧 ゆあつ 駆動 くどう のステアリング機構 きこう を有 ゆう し、地上 ちじょう にいるときのみ旋回 せんかい が可能 かのう である。
A320のエンジンはA320ceoとA320neoで世代 せだい が分 わ けられ、いずれも高 こう バイパス比 ひ [ 注釈 ちゅうしゃく 4] のターボファンエンジンである。
A320ceoのエンジンは、CFMI社 しゃ のCFM56 とIAE社 しゃ のV2500 の選択 せんたく 式 しき である。CFM56エンジンはA320ファミリー全 すべ てに設定 せってい されており、V2500エンジンはA318を除 のぞ くA319、A320、A321に設定 せってい されている。ファミリー機 き の胴体 どうたい 長 ちょう (重量 じゅうりょう )に応 おう じて、推力 すいりょく 増強 ぞうきょう 型 がた と抑制 よくせい 型 がた が用意 ようい されている。
A320neoのエンジンは新 しん 世代 せだい 型 がた ターボファンエンジンとなり、CFMI社 しゃ のLEAP-1A あるいはP&W社 しゃ のPW1100G-JM から選択 せんたく できる。両 りょう エンジンはA320neoファミリー全 すべ てに設定 せってい され、やはり胴体 どうたい 長 ちょう に応 おう じて、推力 すいりょく 増強 ぞうきょう 型 がた と抑制 よくせい 型 がた が用意 ようい されている。
エンジンの制御 せいぎょ はデジタル式 しき の電子 でんし 制御 せいぎょ 装置 そうち (FADEC ) により行 おこな われる。FADECはエンジン版 ばん のフライ・バイ・ワイヤとも言 い えるもので、スラストレバー の入力 にゅうりょく と飛行 ひこう 状 じょう 況 きょう に応 おう じてコンピュータによりエンジン推力 すいりょく を自動 じどう 制御 せいぎょ する。
補助 ほじょ 動力 どうりょく 装置 そうち (APU) としてガスタービンエンジン を1基 き 備 そな えており、胴体 どうたい 尾 お 部 ぶ のテールコーン内 ない に搭載 とうさい されている。A320のAPUは、地上 ちじょう で主 しゅ エンジンの停止 ていし 中 ちゅう に電力 でんりょく や圧縮 あっしゅく 空気 くうき を供給 きょうきゅう するためのものであるが、非常時 ひじょうじ には空中 くうちゅう でも始動 しどう 可能 かのう である。
A320の特徴 とくちょう として、旅客機 りょかくき で初 はじ めてフライ・バイ・ワイヤ 技術 ぎじゅつ を全面 ぜんめん 的 てき に採用 さいよう したことが挙 あ げられる。エアバスはA320のフライ・バイ・ワイヤ・システムをEFCS (Electronic Flight Control System) と呼 よ んでいる。
A320のフライ・バイ・ワイヤ・システムでは、パイロットの操縦 そうじゅう 操作 そうさ は電気 でんき 信号 しんごう に変換 へんかん されデジタル・コンピュータに送 おく られる。コンピュータでは操縦 そうじゅう 入力 にゅうりょく と各種 かくしゅ センサなどの情報 じょうほう に基 もと づき計算 けいさん 処理 しょり が行 おこな われる。算出 さんしゅつ された指令 しれい 値 ち は電気 でんき 信号 しんごう として各 かく 操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん や降着 こうちゃく 装置 そうち のアクチュエータに伝達 でんたつ される。
エアバスはA320のシステムを開発 かいはつ するにあたり、馬車 ばしゃ を操 あやつ るように旅客機 りょかくき を操縦 そうじゅう できるようなシステムを目指 めざ した。馬車 ばしゃ の場合 ばあい 、御者 ぎょしゃ は馬 うま に指示 しじ を出 だ し、馬 うま は指示 しじ をもとに道路 どうろ 状況 じょうきょう に応 おう じて走 はし ることができる。御者 ぎょしゃ が馬 うま の一 いち 歩 ほ 一 いち 歩 ほ の足 あし 運 はこ びまで指示 しじ することはないし、明 あき らかな危険 きけん があれば、馬 うま は自分 じぶん の判断 はんだん で回避 かいひ することもできる。A320でも同 おな じように、パイロットの指示 しじ と状況 じょうきょう に応 おう じてシステムが動 どう 翼 つばさ を自動 じどう 制御 せいぎょ する。A320の飛行 ひこう 制御 せいぎょ システムには、パイロットの操縦 そうじゅう を補助 ほじょ する機能 きのう があるほか、機体 きたい や飛行 ひこう の安全 あんぜん を守 まも る保護 ほご 機能 きのう が組 く み込 こ まれている。そしてこのシステムは自動 じどう 飛行 ひこう 制御 せいぎょ システム (Automatic Flight Control System; AFCS) として、自動 じどう 操縦 そうじゅう 装置 そうち や自動 じどう 推力 すいりょく 制御 せいぎょ 装置 そうち 、および航法 こうほう などを担 にな う飛行 ひこう 管理 かんり 装置 そうち も統合 とうごう されている。
システムの設計 せっけい 思想 しそう を対比 たいひ して、機械 きかい 優先 ゆうせん のエアバスと人間 にんげん 中心 ちゅうしん のボーイングと言 い われることもある。一方 いっぽう で、機械 きかい が得意 とくい な部分 ぶぶん は機械 きかい に任 まか せるというのがエアバス機 き の考 かんが え方 かた であり、あくまで人間 にんげん が中心 ちゅうしん のシステムであるとの評価 ひょうか もある。システムを上手 じょうず に使 つか いこなすことが、A320をうまく飛 と ばす要諦 ようたい とも言 い われる。また、エアバスとボーイングは、相手 あいて の優 すぐ れた機能 きのう を互 たが いに取 と り入 い れてシステムの改善 かいぜん を重 かさ ねている。
A320のシステムにおいて、各種 かくしゅ 入力 にゅうりょく を受 う けて操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん を制御 せいぎょ するプログラムは「飛行 ひこう 制御 せいぎょ 則 そく 」と呼 よ ばれる。飛行 ひこう 制御 せいぎょ 則 そく は3種類 しゅるい 用意 ようい されており、それぞれノーマル(通常 つうじょう )、オルタネート(代替 だいたい )、ダイレクト(直接 ちょくせつ )と名付 なづ けられている。通常 つうじょう はノーマル制御 せいぎょ 則 そく で運航 うんこう され、システムの障害 しょうがい の程度 ていど に応 おう じてオルタネート制御 せいぎょ 則 そく やダイレクト制御 せいぎょ 則 そく へ切 き り替 か わる。ノーマル制御 せいぎょ 則 そく では飛行 ひこう 段階 だんかい に応 おう じたモードがあり、地上 ちじょう モードから飛行 ひこう モード、着陸 ちゃくりく モードと順 じゅん に切 き り替 か わり、最後 さいご に地上 ちじょう モードに戻 もど る。
ノーマル制御 せいぎょ 則 そく では保護 ほご 機能 きのう によって機体 きたい 姿勢 しせい や荷重 におも 、飛行 ひこう 速度 そくど などが許容 きょよう 範囲 はんい を超 こ えることがないよう機体 きたい が制御 せいぎょ される。例 たと えば機体 きたい が失速 しっそく 状態 じょうたい に近 ちか づくと、自動的 じどうてき にエンジンを最大 さいだい 推力 すいりょく とし、迎 むか え角 かく がそれ以上 いじょう 大 おお きくならないよう操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん が制御 せいぎょ される。また、ノーマル制御 せいぎょ 則 そく にはパイロットの操縦 そうじゅう を補助 ほじょ する機能 きのう があり、例 たと えばトリム[ 注釈 ちゅうしゃく 8] はシステムにより自動 じどう 調整 ちょうせい される。システムに2つの障害 しょうがい が発生 はっせい した場合 ばあい は、オルタネート制御 せいぎょ 則 そく に切 き り替 か わる。オルタネート制御 せいぎょ 則 そく では、操縦 そうじゅう 特性 とくせい はノーマル制御 せいぎょ 則 そく と変 か わらないが、一部 いちぶ の保護 ほご 機能 きのう が働 はたら かなくなるほか、乗員 じょういん は操縦 そうじゅう 機能 きのう が喪失 そうしつ しないよう対処 たいしょ する必要 ひつよう がある。システムに3つ以上 いじょう の障害 しょうがい が発生 はっせい した場合 ばあい は、ダイレクト制御 せいぎょ 則 そく に切 き り替 か わり、トリム調整 ちょうせい も乗員 じょういん が行 おこな う必要 ひつよう がある。
主 しゅ 操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん (昇降 しょうこう 舵 かじ ・補助 ほじょ 翼 つばさ ・方向 ほうこう 舵 かじ )を制御 せいぎょ するコンピュータは計 けい 7台 だい あり、その他 ほか にも二 に 次 じ 操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん (高揚 こうよう 力 りょく 装置 そうち 等 とう )を制御 せいぎょ したり自動 じどう 操縦 そうじゅう の処理 しょり を行 おこな ったりする各種 かくしゅ コンピュータを加 くわ えてシステム全体 ぜんたい が構成 こうせい される。コンピュータの異常 いじょう を検出 けんしゅつ するための相互 そうご 監視 かんし 機能 きのう も備 そな える。
A320の操縦 そうじゅう システムは、操縦 そうじゅう 不能 ふのう になるのは109 時間 じかん に1回 かい 以内 いない 、操縦 そうじゅう 性 せい の低下 ていか は105 時間 じかん に1回 かい 以内 いない という目標 もくひょう で設計 せっけい された。システムは信頼 しんらい 性 せい を高 たか めるため、複数 ふくすう のコンピュータにより冗長 じょうちょう 化 か が図 はか られており、さらに単純 たんじゅん な多重 たじゅう 化 か ではなく異種 いしゅ 冗長 じょうちょう の考 かんが え方 かた が取 と り入 い れられている。異種 いしゅ 冗長 じょうちょう とは同一 どういつ の欠陥 けっかん あるいは故障 こしょう によりシステム全体 ぜんたい が機能 きのう 喪失 そうしつ することを防 ふせ ぐための考 かんが え方 かた である。具体 ぐたい 的 てき には、多重 たじゅう 化 か に際 さい してメーカー、プロセッサ 、そしてプログラミング言語 げんご が異 こと なるコンピュータを組 く み合 あ わせたり、コンピュータ内部 ないぶ の命令 めいれい 部 ぶ と監視 かんし 部 ぶ を完全 かんぜん に独立 どくりつ させたりといった方策 ほうさく がとられている。電源 でんげん の分離 ぶんり や信号 しんごう 線 せん の分離 ぶんり 配置 はいち といった対策 たいさく もとられている。
油圧 ゆあつ 系統 けいとう は、独立 どくりつ した3つの系統 けいとう で構成 こうせい される。油圧 ゆあつ ポンプにより加圧 かあつ された油圧 ゆあつ は操縦 そうじゅう 系統 けいとう や降着 こうちゃく 装置 そうち 、ブレーキ、そしてエンジンの逆 ぎゃく 推力 すいりょく 装置 そうち に供給 きょうきゅう される。全 すべ ての操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん は油圧 ゆあつ により駆動 くどう される。各 かく 翼 つばさ 面 めん には複数 ふくすう のアクチュエータが備 そな わり冗長 じょうちょう 化 か されている。降着 こうちゃく 装置 そうち の出 だ し入 い れ、ブレーキ、ステアリングも油圧 ゆあつ 駆動 くどう である。
A320の電源 でんげん は、左右 さゆう のエンジンおよびAPUに備 そな わる発電 はつでん 機 き から供給 きょうきゅう される。駐 ちゅう 機 き 中 ちゅう には、地上 ちじょう 設備 せつび の外部 がいぶ 電源 でんげん を利用 りよう することも可能 かのう である。電源 でんげん 系 けい にはバッテリーが備 そな わっているほか、緊急 きんきゅう 時 じ には胴体 どうたい からラムエア・タービン を展開 てんかい して発電 はつでん および油圧 ゆあつ の加圧 かあつ を行 おこな うことができる。さらに、機体 きたい の全 ぜん 電源 でんげん が喪失 そうしつ した場合 ばあい に備 そな えて、水平 すいへい 尾翼 びよく と垂直 すいちょく 尾翼 びよく のトリム操作 そうさ には機械 きかい 式 しき の操縦 そうじゅう 系 けい も備 そな えているほか、降着 こうちゃく 装置 そうち も非常 ひじょう 用 よう にケーブル式 しき の脚下 きゃっか げ機構 きこう を有 ゆう する。機械 きかい 式 しき の操縦 そうじゅう 系統 けいとう が残 のこ っているのは、全 ぜん 電源 でんげん が喪失 そうしつ する確 かく 率 りつ が109 時間 じかん (約 やく 11万 まん 年 ねん )に1回 かい 以内 いない ということを検証 けんしょう することが現実 げんじつ 的 てき に困難 こんなん だったためとも言 い われる。
ターキッシュ エアラインズ のA320コックピット。正面 しょうめん に操縦 そうじゅう 棹 ざお がなく、脇 わき に操縦 そうじゅう 用 よう のサイドスティックがある。正面 しょうめん には書類 しょるい などが置 お けるテーブルが装備 そうび されている。
運航 うんこう に必要 ひつよう な操縦 そうじゅう 士 し は機長 きちょう と副 ふく 操縦 そうじゅう 士 し の2名 めい である。操縦 そうじゅう 室 しつ には機長 きちょう 席 せき と副 ふく 操縦 そうじゅう 席 せき に加 くわ えてオブザーバ席 せき が2席 せき ある。居住 きょじゅう 性 せい を重視 じゅうし した合理 ごうり 的 てき なデザインであり、ポルシェのデザイン部門 ぶもん が設計 せっけい に参画 さんかく したことでポルシェ・コックピットとも呼 よ ばれる。
A320のコックピット はいわゆるグラスコックピット 化 か されているほか、従来 じゅうらい 機 き のような操縦 そうじゅう 輪 わ はなくサイドスティックで操縦 そうじゅう を行 おこな う。
ディスプレイは左右 さゆう の操縦 そうじゅう 席 せき に各 かく 2枚 まい 、中央 ちゅうおう に2枚 まい の計 けい 6枚 まい あり、全 すべ てカラー表示 ひょうじ である。予備 よび の計器 けいき 以外 いがい の表示 ひょうじ は全 すべ てディスプレイに集約 しゅうやく されている。ディスプレイにはそれぞれ役割 やくわり が割 わ り当 あ てられているが互換 ごかん 性 せい があり切 き り替 か え可能 かのう である。ディスプレイが故障 こしょう した場合 ばあい には、 飛行 ひこう の継続 けいぞく に支障 ししょう ないように自動的 じどうてき に表示 ひょうじ レイアウトが切 き り替 か わる。ディスプレイには当初 とうしょ はブラウン管 ぶらうんかん が用 もち いられたが、技術 ぎじゅつ 革新 かくしん にともない液晶 えきしょう ディスプレイ に置 お き換 か えられた。2014年 ねん からはヘッドアップディスプレイ (HUD) の装備 そうび が追加 ついか され、新造 しんぞう 機 き にはオプション設定 せってい されているほか、既存 きそん 機 き への装着 そうちゃく も可能 かのう である。
サイドスティックはピッチ とロール の主 しゅ 操縦 そうじゅう に用 もち いられ、左 ひだり の機長 きちょう 席 せき には左側 ひだりがわ 、右 みぎ の副 ふく 操縦 そうじゅう 士 し 席 せき には右側 みぎがわ に配置 はいち されている。左右 さゆう のサイドスティックは機械 きかい 的 てき には連結 れんけつ されていない。通常 つうじょう はどちらか一方 いっぽう のサイドスティックで操縦 そうじゅう する。両方 りょうほう のサイドスティックを同時 どうじ に操作 そうさ した場合 ばあい は、それぞれの指令 しれい の算術 さんじゅつ 和 わ がシステムへの入力 にゅうりょく となるが、不慮 ふりょ の事態 じたい に備 そな えてもう一方 いっぽう のスティックの入力 にゅうりょく を無効 むこう にする機能 きのう も備 そな わる。オートパイロット 作動 さどう 中 ちゅう のサイドスティックは、従来 じゅうらい の操縦 そうじゅう 輪 わ のように自動的 じどうてき に動 うご くことはない。操縦 そうじゅう 輪 わ がなくなったことで各 かく 操縦 そうじゅう 席 せき の前面 ぜんめん には収納 しゅうのう 式 しき のテーブルが設置 せっち され、ログを書 か いたり食事 しょくじ をとったりできる。
コックピットや飛行 ひこう システムはA320ファミリーで共通 きょうつう 化 か されており、操縦 そうじゅう 資格 しかく も共通 きょうつう である。同時 どうじ にエアバスの相互 そうご 乗員 じょういん 資格 しかく (CCQ) の対象 たいしょう でもあることから、CCQ対象 たいしょう となるエアバス機 き との間 あいだ であれば、短時間 たんじかん の訓練 くんれん で他 た 機種 きしゅ の資格 しかく を取得 しゅとく することが可能 かのう である。
A320の胴体 どうたい は中央 ちゅうおう 付近 ふきん の床 ゆか 面 めん を境 さかい として上層 じょうそう に客室 きゃくしつ 、下層 かそう に貨物 かもつ 室 しつ が配置 はいち されている。エンジンまたはAPUのコンプレッサー による圧縮 あっしゅく 空気 くうき を利用 りよう して、客室 きゃくしつ の空調 くうちょう および与 あずか 圧 あつ が行 おこな われる。空調 くうちょう や与 あずか 圧 あつ の制御 せいぎょ および監 かん 視 し もコンピュータにより行 おこな われる。客室 きゃくしつ には緊急 きんきゅう 時 じ のための酸素 さんそ マスクが備 そな わり、酸素 さんそ 発生 はっせい 装置 そうち から化学 かがく 反応 はんのう により酸素 さんそ を生成 せいせい ・供給 きょうきゅう する。また、コックピットには乗客 じょうきゃく 用 よう と別 べつ に酸素 さんそ 供給 きょうきゅう 系統 けいとう がある。
操縦 そうじゅう 席 せき を除 のぞ いた客室 きゃくしつ 全長 ぜんちょう は27.5メートルで、客室 きゃくしつ の最大 さいだい 幅 はば は約 やく 3.6メートル、最大 さいだい 高 だか は約 やく 2.1メートルである。2クラス編成 へんせい での標準 ひょうじゅん 座席 ざせき 数 すう は、A320ceoが150席 せき 、A320neoが160席 せき から190席 せき となっている。最大 さいだい 定員 ていいん は通常 つうじょう 仕様 しよう で180席 せき であり、緊急 きんきゅう 脱出 だっしゅつ 口 こう のオプションによっては195席 せき まで拡張 かくちょう 可能 かのう である。客室 きゃくしつ には中央 ちゅうおう に1本 ほん の通路 つうろ があり、エコノミークラス の座席 ざせき 配置 はいち は通路 つうろ を挟 はさ んで3-3席 せき の6アブレスト 、上級 じょうきゅう クラスでは2-2席 せき の4アブレストである。座席 ざせき の頭上 ずじょう には、手荷物 てにもつ を収容 しゅうよう するオーバーヘッド・ストウェッジ・ビンが備 そな わる。単 たん 通路 つうろ 機 き としては胴体 どうたい 幅 はば が広 ひろ いことから、3列 れつ の座席 ざせき のうち中央 ちゅうおう 席 せき は両隣 りょうどなり の座席 ざせき よりも数 すう センチメートル広 ひろ くすることも可能 かのう である。また、短距離 たんきょり 路線 ろせん 向 む けに乗降 じょうこう 時間 じかん 短縮 たんしゅく を図 はか るため、座席 ざせき 幅 はば を詰 つ めて通路 つうろ 幅 はば を広 ひろ げた内装 ないそう 案 あん も用意 ようい されている。
客室 きゃくしつ の扉 とびら 配置 はいち は左右 さゆう 対称 たいしょう である。乗降 じょうこう 用 よう ドアとして客室 きゃくしつ の最 さい 前方 ぜんぽう と最後 さいご 方 かた にタイプIドアが1組 くみ ずつある。この扉 とびら は外 そと 開 びら きのプラグ式 しき で、非常 ひじょう 脱出 だっしゅつ 用 よう スライドを備 そな える。緊急 きんきゅう 脱出 だっしゅつ 口 こう として主翼 しゅよく 上 じょう に片側 かたがわ あたり2枚 まい のタイプIIIドアがある。この緊急 きんきゅう 脱出 だっしゅつ 口 こう に連動 れんどう して展開 てんかい される脱出 だっしゅつ 用 よう スライドは翼 つばさ 胴 どう フェアリング内 ない に備 そな わる。
LD-3-46W航空 こうくう 貨物 かもつ コンテナを取 と り扱 あつか っているA320。尾 お 部 ぶ の扉 とびら にはバルク貨物 かもつ 用 よう 設備 せつび も接続 せつぞく している。
床下 ゆかした の貨物 かもつ 室 しつ は主翼 しゅよく を挟 はさ んで前後 ぜんご 2区画 くかく に分 わ かれている。貨物 かもつ 室 しつ にはLD-3-46またはLD-3-46W航空 こうくう 貨物 かもつ コンテナを搭載 とうさい できる。LD-3-46/-46Wコンテナは、大型 おおがた 機 き 用 よう のLD-3コンテナと同 おな じ幅 はば で、単 たん 通路 つうろ 機 き 用 よう に高 たか さを低 ひく くしたものである。LD-3-46は、元 もと となったLD3コンテナと同 おな じ地上 ちじょう 機材 きざい で取 と り扱 あつか いでき、そのまま大型 おおがた 機 き へ搭載 とうさい することも可能 かのう である。LD-3-46Wの場合 ばあい は前方 ぜんぽう 貨物 かもつ 室 しつ に3個 こ 、後方 こうほう 貨物 かもつ 室 しつ に4個 こ まで収容 しゅうよう できる。コンテナの積 つ み下 お ろしの作業 さぎょう 負荷 ふか を軽減 けいげん するため、貨物 かもつ 室 しつ の床 ゆか を電動 でんどう でスライドさせるオプションも備 そな わる。後部 こうぶ 貨物 かもつ 室 しつ は、生物 せいぶつ を輸送 ゆそう できるように換気 かんき と暖房 だんぼう が可能 かのう である。また、後方 こうほう 貨物 かもつ 室 しつ の尾 お 部 ぶ 側 がわ は、ばら積 づ み貨物 かもつ の搭載 とうさい スペースに割 わ り当 あ てられている。
貨物 かもつ 室 しつ の扉 とびら は全 すべ て右舷 うげん にある。各 かく 貨物 かもつ 室 しつ にはLD-3-46コンテナに対応 たいおう した扉 とびら が1か所 しょ ずつ設 もう けられている。この扉 とびら はは外 そと 開 びら きで開口 かいこう 部 ぶ の高 たか さは1.24メートル、幅 はば は1.82メートルである。加 くわ えて、ばら積 づ み貨物 かもつ 用 よう として内 うち 開 ひら きの扉 とびら が最 さい 後部 こうぶ にある。
旅客 りょかく 転用 てんよう 改修 かいしゅう 貨物 かもつ 型 がた (P2F型 がた )[ 編集 へんしゅう ]
シンガポール大手 おおて MRO企業 きぎょう STエアロスペースとエアバスはA320とA321について旅客 りょかく 転用 てんよう 改修 かいしゅう 貨物 かもつ (p assenger to f reighter:P2F )型 がた の開発 かいはつ で合意 ごうい し、P2F型 かた 機 き の改修 かいしゅう 、販売 はんばい 、管理 かんり を行 おこな う企業 きぎょう をドイツのエアバス、STエアロスペース共同 きょうどう 出資 しゅっし の航空 こうくう 宇宙 うちゅう メーカーエルベ・フルークツォイクヴェルケ(Elbe Flugzeugwerke:EFW)へ委託 いたく することとし[ 279] 、従来 じゅうらい の床下 ゆかした (ロアーデッキ)貨物 かもつ 室 しつ に追加 ついか してメインデッキにA320で最大 さいだい 10個 こ 、A321で最大 さいだい 14個 こ の搭載 とうさい 補助 ほじょ 容器 ようき (ユニット・ロード・デバイス:Unit Load Device,:ULD (英語 えいご 版 ばん ) )を積載 せきさい 、貨物 かもつ を最大 さいだい A320で21.9t、A321で27.9t積載 せきさい 可能 かのう [ 280] で2020年 ねん 2月 がつ 25日 にち 、ヨーロッパ航空 こうくう 安全 あんぜん 庁 ちょう (EASA)から追加 ついか 型式 けいしき 証明 しょうめい (STC)を取得 しゅとく し[ 281] 、ボーイング757 貨物 かもつ 機 き などの入 い れ替 か え需要 じゅよう も含 ふく めCOVID-19によるeコマースなどの成長 せいちょう を取 と り込 こ む見通 みとお しを立 た て[ 282] カンタス・フレート (英語 えいご 版 ばん ) [ 283] やルフトハンザ・カーゴ [ 284] などが運用 うんよう している。
A320ファミリーと737シリーズの納入 のうにゅう 数 すう 比較 ひかく (1967-2018年 ねん )
2019年 ねん 現在 げんざい 、アメリカン航空 こうくう はA320ファミリーの運用 うんよう 数 すう 首位 しゅい の航空 こうくう 会社 かいしゃ である。
本節 ほんぶし では、A320ファミリー全体 ぜんたい とA320単体 たんたい の運用 うんよう 状 じょう 況 きょう について述 の べる。その他 た のファミリー機 き については、個別 こべつ ページ(A321#運用 うんよう 、A319#運用 うんよう 、A318#運用 うんよう )を参照 さんしょう のこと。
2018年 ねん 末 まつ の時点 じてん で、A320ファミリーの総 そう 受注 じゅちゅう 数 すう は14,581機 き で、納入 のうにゅう 済 ず みが8,525機 き 、受注 じゅちゅう 残 のこり が6,056機 き である。同 どう 時点 じてん において、A320ファミリー全体 ぜんたい で7,702機 き が運航 うんこう 中 ちゅう で、そのうちの7,097機 き がA320ceoファミリー、残 のこ る605機 き がA320neoファミリーである。
フライト・インターナショナル 誌 し の統計 とうけい によると、2018年 ねん 7月 がつ 時点 じてん で、A320ファミリー全体 ぜんたい として民間 みんかん 航空 こうくう 会社 かいしゃ 284社 しゃ で7,506機 き が運用 うんよう されている[ 1] 。地域 ちいき 別 べつ に見 み ると欧州 おうしゅう の100社 しゃ で2,325機 き 、アジア・太平洋 たいへいよう 地域 ちいき の94社 しゃ で2,744機 き 、南北 なんぼく アメリカの37社 しゃ で1,977機 き 、中東 ちゅうとう ・アフリカ地域 ちいき の53社 しゃ で460機 き が運用 うんよう されている[ 1] 。
A320ファミリー全体 ぜんたい の半数 はんすう 以上 いじょう の機体 きたい は、運用 うんよう 数 すう 上位 じょうい 1割 わり の会社 かいしゃ で運航 うんこう されている[ 1] 。アメリカン航空 こうくう が392機 き を運用 うんよう し、A320ファミリー最大 さいだい の運用 うんよう 者 しゃ である[ 1] 。次 つ いで中国 ちゅうごく 南方 なんぽう 航空 こうくう が261機 き 、中国 ちゅうごく 東方 とうほう 航空 こうくう が248機 き と続 つづ く[ 1] 。またイージージェット はグループ会社 かいしゃ で合計 ごうけい すると314機 き を運用 うんよう している[ 1] 。この他 ほか に運用 うんよう 数 すう が多 おお い会社 かいしゃ は、北米 ほくべい ではジェットブルー航空 こうくう (188機 き )、デルタ航空 こうくう (177機 き )、ユナイテッド航空 こうくう (165機 き )、欧州 おうしゅう ではルフトハンザ・ドイツ航空 こうくう (173機 き )、ブリティッシュ・エアウェイズ (135機 き )、アジアではインディゴ (162機 き )、中国 ちゅうごく 国際 こくさい 航空 こうくう (142機 き )があげられるほか、エアアジア グループでも合計 ごうけい で200機 き 超 ちょう の運用 うんよう がある[ 1] 。
A320単独 たんどく では、2018年 ねん 末 まつ の時点 じてん で総 そう 受注 じゅちゅう 数 すう が8,961機 き 、納入 のうにゅう 済 ず みが5,213機 き 、受注 じゅちゅう 残 のこり が3,748機 き である。運航 うんこう 中 ちゅう の機体 きたい は4,642機 き で、A320ceoが4,151機 き 、A320neoが491機 き である。
フライト・インターナショナル 誌 し の統計 とうけい によると、2018年 ねん 7月 がつ 時点 じてん でA320は航空 こうくう 会社 かいしゃ 240社 しゃ で4,155機 き が運用 うんよう されている[ 1] 。地域 ちいき 別 べつ の内訳 うちわけ はアジア・太平洋 たいへいよう 地域 ちいき の84社 しゃ で1,896機 き 、欧州 おうしゅう の78社 しゃ で1,235機 き 、南北 なんぼく アメリカの32社 しゃ で981機 き 、中東 ちゅうとう ・アフリカ地域 ちいき の47社 しゃ で369機 き となっている[ 1] 。
A320の運用 うんよう 数 すう 上位 じょうい 5位 い は、中国 ちゅうごく と北米 ほくべい の航空 こうくう 会社 かいしゃ で占 し められる[ 1] 。運用 うんよう 数 すう 首位 しゅい はインディゴで162機 き 、次 つ いで中国 ちゅうごく 東方 とうほう 航空 こうくう が151機 き 、ジェットブルー航空 こうくう が130機 き 、中国 ちゅうごく 南方 なんぽう 航空 こうくう が128機 き 、ユナイテッド航空 こうくう が98機 き と続 つづ く[ 1] 。欧州 おうしゅう で運用 うんよう 数 すう 首位 しゅい の会社 かいしゃ はブエリング航空 こうくう (98機 き )、次 つ いでイージージェット(92機 き )、ルフトハンザ航空 こうくう (80機 き )と続 つづ く[ 1] 。イージージェットやエアアジアはグループ全体 ぜんたい での運用 うんよう 数 すう は200機 き 近 ちか くにのぼるほか、ジェットスター航空 こうくう もグループ全体 ぜんたい では100機 き 超 ちょう を運用 うんよう している[ 1] 。
また、ビジネスジェット 版 はん のACJ320ファミリーは、ビジネス機 はた や政府 せいふ 専用 せんよう 機 き などとして運用 うんよう されている[ 286] [ 287] 。
日本 にっぽん の航空 こうくう 会社 かいしゃ による導入 どうにゅう [ 編集 へんしゅう ]
バニラエア のA320。同社 どうしゃ はエアアジア・ジャパンとして設立 せつりつ されA320を導入 どうにゅう したが、親会社 おやがいしゃ の提携 ていけい 解消 かいしょう によりバニラエアとなりその後 ご ピーチ・アビエーションに統合 とうごう された。
日本 にっぽん の航空 こうくう 会社 かいしゃ でA320を最初 さいしょ に採用 さいよう したのは全日本空輸 ぜんにほんくうゆ (ANA)である。同社 どうしゃ は日本 にっぽん の国内 こくない ロ ろ ーカル線 かるせん 向 む けに737の後継 こうけい 機 き としてA320を導入 どうにゅう し、1991年 ねん 3月 がつ から運航 うんこう を開始 かいし した。全日空 ぜんにっくう のA320は、後 のち に同社 どうしゃ 系列 けいれつ のエアーニッポン との共同 きょうどう 事業 じぎょう 機材 きざい として運用 うんよう された。続 つづ いて全日空 ぜんにっくう はA321も採用 さいよう し、1998年 ねん 4月 がつ から就航 しゅうこう させたものの、当時 とうじ は同社 どうしゃ の路線 ろせん 需要 じゅよう に合 あ わず2008年 ねん 2月 がつ に全 ぜん 機 き 退役 たいえき させた[ 172] 。
A320についても737に置 お き換 か える計画 けいかく を立 た てたものの、改 あらた めてA320の運航 うんこう 継続 けいぞく を決 き めた[ 291] 。また、2016年 ねん 12月には新 あら たにA320neoの運航 うんこう も開始 かいし し、日本 にっぽん 国内線 こくないせん や近距離 きんきょり 国際線 こくさいせん へ投入 とうにゅう した[ 292] [ 293] 。さらにA321も再 さい 導入 どうにゅう を決 き め、2016年 ねん 11月にA321ceo[ 294] 、そして2017年 ねん 9月 がつ にはA321neo[ 295] が就航 しゅうこう している。
2006年 ねん 3月 がつ に商業 しょうぎょう 運航 うんこう を開始 かいし したスターフライヤー は運航 うんこう 機材 きざい にA320を選定 せんてい した[ 296] 。当初 とうしょ はリース導入 どうにゅう だったが、後 のち に自社 じしゃ 購入 こうにゅう でもA320を導入 どうにゅう している[ 296] 。2012年 ねん 3月 がつ に就航 しゅうこう したピーチ・アビエーション や同年 どうねん 7月 がつ に就航 しゅうこう したジェットスター・ジャパン をはじめ、日本 にっぽん の格安 かくやす 航空 こうくう 会社 かいしゃ でもA320が採用 さいよう された[ 297] [ 298] [ 299] 。
A320(A320ceoとA320neo)の受注 じゅちゅう ・納入 のうにゅう 数 すう は下表 かひょう のとおりである。
表 ひょう 2: 年 とし ごとの受注 じゅちゅう ・納入 のうにゅう 数 すう (キャンセル分 ぶん は当初 とうしょ 発注 はっちゅう 年度 ねんど から減 げん じている)
年 とし
合計 ごうけい
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
受注 じゅちゅう 数 すう
16873
1014
TBC
TBC
TBC
412
614
539
CEO納入 のうにゅう 数 すう
8100
-
24
15
91
240
377
477
NEO納入 のうにゅう 数 すう
2698
516
459
431
551
386
181
68
年 とし
2015
2014
2013
2012
2011
受注 じゅちゅう 数 すう
522
992
590
455
1,030
納入 のうにゅう 数 すう
282
306
352
332
306
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
受注 じゅちゅう 数 すう
281
153
296
529
308
430
171
125
103
119
納入 のうにゅう 数 すう
297
221
209
194
164
121
101
119
116
119
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
受注 じゅちゅう 数 すう
128
155
175
98
124
22
42
13
59
14
納入 のうにゅう 数 すう
101
101
80
58
38
34
48
71
111
119
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
受注 じゅちゅう 数 すう
69
63
105
53
84
74
4
12
納入 のうにゅう 数 すう
58
58
16
0
0
0
0
0
アビエーション・セーフティー・ネットワーク (以下 いか 、ASN)の統計 とうけい によると、2019年 ねん 10月 がつ 現在 げんざい までにA320ファミリーが関係 かんけい する航空 こうくう 事故 じこ および事件 じけん は、153件 けん 発生 はっせい している[ 301] 。そのうち機体 きたい 損失 そんしつ に至 いた ったのは航空 こうくう 事故 じこ が30件 けん 、テロ等 とう の事件 じけん が7件 けん 、その他 た 駐 ちゅう 機 き 中 ちゅう の火災 かさい や自然 しぜん 災害 さいがい 等 とう によるものが7件 けん ある[ 302] [ 303] 。この中 なか で30件 けん の事故 じこ により951人 にん 、7件 けん の事件 じけん により441人 にん 、1件 けん のハイジャックにより1人 ひとり (犯人 はんにん )が死亡 しぼう している[ 304] 。
以下 いか 、本節 ほんぶし ではA320ceoおよびA320neoに関 かん する事件 じけん 事故 じこ について述 の べる。他 た のファミリー機 き については、各 かく 項目 こうもく を参照 さんしょう のこと。
ASNの統計 とうけい によると2019年 ねん 10月 がつ までに、A320ceoが関係 かんけい する航空 こうくう 事故 じこ および事件 じけん は93件 けん 発生 はっせい し、A320neoでの事故 じこ や事件 じけん は報告 ほうこく されていない[ 305] [ 306] 。そのうち機体 きたい 損失 そんしつ に至 いた ったのは航空 こうくう 事故 じこ が25件 けん 、テロ等 とう の事件 じけん が5件 けん 、その他 た 駐 ちゅう 機 き 中 ちゅう の火災 かさい 等 とう によるものが6件 けん ある[ 307] [ 306] 。11件 けん の事故 じこ により計 けい 816人 にん 、2件 けん の事件 じけん により計 けい 216人 にん 死亡 しぼう している[ 307] 。また、ハイジャックが1件 けん 発生 はっせい し犯人 はんにん 1人 にん が射殺 しゃさつ された[ 307] [ 304] 。
A320の最初 さいしょ の死亡 しぼう 事故 じこ は、1988年 ねん 6月 がつ 26日 にち に発生 はっせい したエールフランス296便 びん 事故 じこ である[ 307] 。デモンストレーションのため滑走 かっそう 路上 ろじょう を低空 ていくう 飛行 ひこう したA320が、滑走 かっそう 路 ろ の先 さき にあった樹木 じゅもく に接触 せっしょく してそのまま墜落 ついらく し、搭乗 とうじょう 者 しゃ 136人 にん のうち3人 にん が死亡 しぼう した[ 309] 。
この事故 じこ に続 つづ く2件 けん の死亡 しぼう 事故 じこ は、ヒューマンファクター に起因 きいん したが、そこにはA320の飛行 ひこう システムも関係 かんけい した。
1件 けん 目 め は1990年 ねん 2月 がつ 14日 にち に発生 はっせい したインディアン航空 こうくう 605便 びん 墜落 ついらく 事故 じこ で、インドのバンガロール空港 くうこう に着陸 ちゃくりく しようとしていたA320が、空港 くうこう 手前 てまえ に墜落 ついらく し搭乗 とうじょう 者 しゃ 148人 にん 中 ちゅう 92人 にん が死亡 しぼう した[ 313] 。事故 じこ 調査 ちょうさ の結果 けっか 、パイロットが降下 こうか 率 りつ を変更 へんこう しようとして誤 あやま って高度 こうど 設定 せってい ノブを操作 そうさ したと推測 すいそく された[ 313] 。その結果 けっか 、飛行 ひこう システムがエンジン推力 すいりょく を絞 しぼ り、降下 こうか 経路 けいろ と速度 そくど を維持 いじ できなくなったが、この事態 じたい に乗員 じょういん が気 き づくのが遅 おく れ、回復 かいふく 操作 そうさ が間 ま に合 あ わず墜落 ついらく した[ 313] 。
2件 けん 目 め は1992年 ねん 1月 がつ 20日 はつか に発生 はっせい したエールアンテール148便 びん 墜落 ついらく 事故 じこ であり、フランスのストラスブール国際 こくさい 空港 くうこう に着陸 ちゃくりく しようとしていたA320が、空港 くうこう 手前 てまえ の山 やま に墜落 ついらく し搭乗 とうじょう 者 しゃ 96人 にん 中 ちゅう 87人 にん が死亡 しぼう した[ 315] 。墜落 ついらく 前 まえ の事故 じこ 機 き は異常 いじょう に大 おお きな降下 こうか 率 りつ で降下 こうか していた。事故 じこ 調査 ちょうさ では異常 いじょう な降下 こうか に至 いた った原因 げんいん は確定 かくてい できなかったものの、降下 こうか 角 かく と降下 こうか 率 りつ のモード選択 せんたく をパイロットが取 と り違 ちが えた可能 かのう 性 せい が指摘 してき された[ 315] 。事故 じこ 後 ご にエアバスは誤認 ごにん を防 ふせ ぐように表示 ひょうじ を改善 かいぜん した[ 315] 。
A320で最 もっと も多 おお くの死者 ししゃ を伴 ともな った事故 じこ は、2007年 ねん 7月 がつ 17日 にち に発生 はっせい したTAM航空 こうくう 3054便 びん オーバーラン事故 じこ である[ 307] 。ブラジルのコンゴーニャス空港 くうこう に着陸 ちゃくりく したTAM航空 こうくう のA320が、滑走 かっそう 路 ろ を逸脱 いつだつ し、空港 くうこう 敷地 しきち 外 がい の建物 たてもの とガソリンスタンドに衝突 しょうとつ して炎上 えんじょう した[ 316] 。事故 じこ 機 き の搭乗 とうじょう 者 しゃ 187人 にん 全員 ぜんいん と地上 ちじょう で巻 ま き込 こ まれた12人 にん が死亡 しぼう した[ 316] 。事故 じこ 調査 ちょうさ の結果 けっか 、いくつかの要因 よういん が重 かさ なってパイロットが着陸 ちゃくりく 時 じ の操作 そうさ を誤 あやま ったと推定 すいてい された[ 316] 。
そのほかに100人 にん 以上 いじょう が死亡 しぼう した事故 じこ は、2000年 ねん のガルフ・エア072便 びん 墜落 ついらく 事故 じこ 、2006年 ねん のアルマヴィア967便 びん 墜落 ついらく 事故 じこ 、2014年 ねん のインドネシア・エアアジア8501便 びん 墜落 ついらく 事故 じこ がある。
2009年 ねん 1月 がつ 15日 にち にはUSエアウェイズ1549便 びん 不時着 ふじちゃく 水 すい 事故 じこ が発生 はっせい した[ 317] 。ニューヨークのラガーディア空港 くうこう を離陸 りりく したA320がバードストライク により両 りょう エンジンの推力 すいりょく を失 うしな ったものの、乗員 じょういん の迅速 じんそく で適切 てきせつ な対応 たいおう によりハドソン川 がわ へ不時 ふじ 着水 ちゃくすい した[ 317] [ 318] 。搭乗 とうじょう 者 しゃ 155人 にん 全員 ぜんいん が無事 ぶじ であったことから「ハドソン川 がわ の奇跡 きせき 」とも呼 よ ばれた[ 318] 。
2015年 ねん 3月 がつ 24日 にち に発生 はっせい したジャーマンウイングス9525便 びん 墜落 ついらく 事故 じこ は、副 ふく 操縦 そうじゅう 士 し の自殺 じさつ が原因 げんいん だと推定 すいてい されている[ 319] 。バルセロナ からデュッセルドルフ へ向 む かっていた事故 じこ 機 き は、副 ふく 操縦 そうじゅう 士 し の意図 いと 的 てき な操作 そうさ によりアルプス 山中 さんちゅう に墜落 ついらく し、搭乗 とうじょう 者 しゃ 全員 ぜんいん の150人 にん が死亡 しぼう した[ 319] 。
2020年 ねん 5月 がつ 22日 にち にパキスタン国際 こくさい 航空 こうくう 8303便 びん 墜落 ついらく 事故 じこ が発生 はっせい した。事故 じこ 機 き はジンナー国際 こくさい 空港 くうこう に着陸 ちゃくりく する際 さい ジンナー国際 こくさい 空港 くうこう 4km手前 てまえ の住宅 じゅうたく 街 がい に墜落 ついらく した。搭乗 とうじょう 者 しゃ 99人 にん 中 ちゅう 97人 にん と現場 げんば の住宅 じゅうたく 街 がい の住人 じゅうにん 1人 にん 合 あ わせて98人 にん が死亡 しぼう した。予備 よび 報告 ほうこく 書 しょ では、パイロットと管制 かんせい 官 かん の両方 りょうほう に問題 もんだい があったと述 の べられた[ 321] 。
表 ひょう 3: 各 かく モデルの主要 しゅよう 諸 しょ 元 もと
A320neo
A320ceo
A321ceo
A319ceo
A318
運航 うんこう 乗務 じょうむ 員数 いんずう
2名 めい
標準 ひょうじゅん 座席 ざせき 数 すう
160 - 190席 せき
150席 せき
185席 せき
124席 せき
107席 せき
最大 さいだい 座席 ざせき 数 すう
194席 せき
180席 せき
220席 せき
156席 せき
136席 せき
全長 ぜんちょう
37.57 m
44.51 m
33.84 m
31.45 m
全幅 ぜんぷく
34.10 m(シャークレット装備 そうび 機 き は35.80 m)
全 ぜん 高 こう
11.76 m
12.79 m
胴体 どうたい 幅 はば
3.95 m
胴体 どうたい 高 だか
4.14 m
最大 さいだい 離陸 りりく 重量 じゅうりょう (MTOW)
71.5 - 79.0 t
66.0 - 77.0 t
78.0 - 93.5 t
64.0 - 76.5 t
56.0 - 68.0 t
最大 さいだい 着陸 ちゃくりく 重量 じゅうりょう (MLW)
66.3 - 67.4 t
64.5 - 66.0 t
73.5 - 77.8 t
61.0 - 62.5 t
56.0 - 57.5 t
最大 さいだい 無 む 燃料 ねんりょう 重量 じゅうりょう (MZFW)
55.3 - 64.3 t
60.5 - 62.5 t
69.5 - 73.8 t
52.0 - 58.5 t
53.0 - 54.5 t
貨物 かもつ 室 しつ 有効 ゆうこう 容積 ようせき
37.42 m3
51.72 m3
27.66 m3
21.3 m3
エンジン (x2)
CFMI LEAP-1A または PW1100G-JM
CFMI CFM56 または IAE V2500
エンジン推力 すいりょく (x2)
106.80 - 130.29 kN
97.86 - 120.10 kN
133.30 - 142.34 kN
97.86 - 120.10 kN
96.08 – 105.87 kN
最大 さいだい 巡航 じゅんこう 速度 そくど
マッハ 0.82
航続 こうぞく 距離 きょり
6,400 km
6,200 km
5,950 km
3,750 km
5,950 km
^ しかし、デルタ航空 こうくう がA320を採用 さいよう するのは20年 ねん 以上 いじょう 先 さき になる[ 20] 。
^ a b 翼 つばさ の厚 あつ みを翼 つばさ 弦 つる 長 ちょう (翼 つばさ の前後 ぜんご の長 なが さ)で割 わ った値 ね 。空 そら 力 りょく 特性 とくせい 、強度 きょうど と重量 じゅうりょう 、翼 つばさ 内 ない の燃料 ねんりょう タンク容量 ようりょう などを踏 ふ まえて決定 けってい される。
^ 継続 けいぞく 降下 こうか 進入 しんにゅう や広域 こういき 航法 こうほう (エリア・ナビゲーション)は、燃料 ねんりょう 消費 しょうひ や騒音 そうおん の低減 ていげん に繋 つな がるとされる新 あたら しい運航 うんこう 方式 ほうしき である[ 132] [ 133] 。
^ a b c ターボファンエンジンでは、吸引 きゅういん された空気 くうき は、コアを通 とお り燃焼 ねんしょう ・噴出 ふんしゅつ されるものと、コアを通 とお らず排出 はいしゅつ される(バイパスされる)ものに分 わ けられる[ 153] 。コアをバイパスする空気 くうき 流量 りゅうりょう をコアを通 とお る空気 くうき 流量 りゅうりょう で割 わ った値 ね がバイパス比 ひ であり、一般 いっぱん にこの値 ね が大 おお きいほど推進 すいしん 効率 こうりつ が高 たか くなる[ 153] [ 350] 。詳細 しょうさい はターボファンエンジン を参照 さんしょう 。
^ コアとは、ターボファンエンジンのエンジン駆動 くどう 力 りょく を発生 はっせい させる内燃 ないねん 機関 きかん 部 ぶ のこと[ 153] 。詳細 しょうさい はターボファンエンジン を参照 さんしょう 。
^ 航空機 こうくうき の構造 こうぞう 部材 ぶざい は一 いち 次 じ 構造 こうぞう 部材 ぶざい (主 しゅ 構造 こうぞう 部材 ぶざい )と二 に 次 じ 構造 こうぞう 部材 ぶざい に分 わ かれている。一 いち 次 じ 構造 こうぞう 部材 ぶざい は飛行 ひこう 荷重 かじゅう ・地上 ちじょう 荷重 かじゅう ・与 あずか 圧 あつ 加重 かじゅう の伝達 でんたつ を主要 しゅよう に受持 うけも つ構造 こうぞう 部材 ぶざい であり[ 213] 、主翼 しゅよく の桁 けた 間 あいだ 構造 こうぞう の部材 ぶざい などが相当 そうとう し[ 214] 、構造 こうぞう 材 ざい の中 なか でも最 もっと も安全 あんぜん 上 じょう の信頼 しんらい 性 せい が要求 ようきゅう される[ 215] 。一方 いっぽう 、二 に 次 じ 構造 こうぞう 部材 ぶざい は、空 そら 力 りょく 機能 きのう を発揮 はっき し風圧 ふうあつ などの局部 きょくぶ 荷重 かじゅう を一 いち 次 じ 構造 こうぞう 部分 ぶぶん に伝 つた える主翼 しゅよく の前 ぜん 縁 えん および後 こう 縁 えん などが相当 そうとう する[ 214] 。
^ アスペクト比 ひ とは翼 つばさ 幅 はば の2乗 じょう を面積 めんせき で割 わ った値 ね で翼 つばさ の細長 ほそなが 比 ひ を示 しめ す値 ね である[ 217] 。アスペクト比 ひ が大 おお きい方 ほう が誘導 ゆうどう 抵抗 ていこう (揚力 ようりょく 発生 はっせい に伴 ともな う抵抗 ていこう )が小 ちい さくなり、効率 こうりつ 的 てき な飛行 ひこう に有利 ゆうり となる[ 217] 。
^ a b トリムとは、パイロットが操縦 そうじゅう 装置 そうち に力 ちから を加 くわ えることなく、そのままの姿勢 しせい で飛行 ひこう できるよう釣合 つりあ いをとること[ 226] 。
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エアバス A3xx 旅客機 りょかくき 生産 せいさん の年表 ねんぴょう (1970-現在 げんざい )
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A320neo
A330ceo
A330neo
A340
A380
A350 XWB
= 生産 せいさん 終了 しゅうりょう
= 生産 せいさん 中 ちゅう
= 開発 かいはつ 中 ちゅう