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生化学 - Wikipedia

生化学せいかがく

生命せいめい現象げんしょう化学かがくてき研究けんきゅうする分野ぶんや
生化学せいかがくしゃから転送てんそう

生化学せいかがく(せいかがく、えい: biochemistry)または生物せいぶつ化学かがく(せいぶつかがく、えい: biological chemistry)は、生体せいたいないおよび生物せいぶつ関連かんれんする化学かがくてきプロセス研究けんきゅうする学問がくもんである[1]化学かがく生物せいぶつがく下位かい分野ぶんやである生化学せいかがくは、構造こうぞう生物せいぶつがく酵素こうそがく代謝たいしゃがくの3つの分野ぶんやけられる。20世紀せいき最後さいごすうじゅう年間ねんかんで、生化学せいかがくはこれらの分野ぶんやつうじて、生命せいめい現象げんしょう説明せつめいすることに成功せいこうした。生命せいめい科学かがくのほとんどの分野ぶんやは、生化学せいかがくてき方法ほうほうろん研究けんきゅうによって解明かいめいされ、発展はってんしてきた[2]生化学せいかがくは、きた細胞さいぼうちゅう細胞さいぼうあいだ生体せいたい分子ぶんしこる過程かてい化学かがくてき基盤きばん理解りかいすることに重点じゅうてんいており[3]、それにより組織そしき器官きかん、そして生物せいぶつ構造こうぞう機能きのうをよりふか理解りかいするのにつなげている[4]。また生化学せいかがくは、生物せいぶつ現象げんしょう分子ぶんし機構きこう研究けんきゅうする分子生物学ぶんしせいぶつがくとも密接みっせつ関係かんけいする[5]

生化学せいかがくは、タンパク質たんぱくしつ核酸かくさん炭水化物たんすいかぶつ脂質ししつなどの生体せいたい高分子こうぶんし構造こうぞう結合けつごう機能きのう、そして相互そうご作用さようおおきくかかわっている[6]。これらの分子ぶんしは、細胞さいぼう構造こうぞうつくり、生命せいめい機能きのうおおくの役割やくわりになっている[7]。また、細胞さいぼう化学かがくてき性質せいしつは、しょう分子ぶんしイオン反応はんのうにも依存いぞんしており、それには、みず金属きんぞくイオンなどの無機物むきぶつや、タンパク質たんぱくしつ合成ごうせいのためのアミノ酸あみのさんなどの有機物ゆうきぶつふくまれる[8]細胞さいぼうが、化学かがく反応はんのうによって環境かんきょうからエネルギーを機構きこうは、代謝たいしゃとしてられている。生化学せいかがくおも応用おうよう分野ぶんやは、医学いがく栄養えいようがく、そして農業のうぎょうである。医学いがくでは生化学せいかがくしゃ病気びょうき原因げんいん治療ちりょうほう[9]栄養えいようがくでは健康けんこう幸福こうふく維持いじする方法ほうほうや、栄養えいよう不足ふそく影響えいきょう研究けんきゅうしている[10]農業のうぎょうでは土壌どじょう肥料ひりょう研究けんきゅうし、作物さくもつ栽培さいばい貯蔵ちょぞう害虫がいちゅう制御せいぎょ改善かいぜん目標もくひょうとしている。生化学せいかがくは、プリオンなどの複雑ふくざつ対象たいしょう理解りかいするじょうでも重要じゅうようである[11]

 
1947ねんゲルティー・コリカール・コリは、RPMIでのコリ回路かいろ発見はっけんにより、共同きょうどうでノーベルしょう受賞じゅしょうした。

生化学せいかがくもっとひろ意味いみとらえると、生物せいぶつ構成こうせい要素ようそ組成そせい、それらがどのようにてられて生命せいめいつくられているかを研究けんきゅうする学問がくもんなすことができる。この意味いみで、生化学せいかがく起源きげん古代こだいギリシャまでさかのぼることができるが、特定とくてい科学かがく分野ぶんや英語えいごばんとしての生化学せいかがくは、19世紀せいきのいつか、あるいはもうすこまえはじまったといえる[12]生化学せいかがく正確せいかくはじまりは、焦点しょうてんてる側面そくめんによってことなる。18世紀せいき後半こうはんカール・ヴィルヘルム・シェーレ生物せいぶつから乳酸にゅうさん(1780ねん[13]クエン酸くえんさん(1784ねん[14]たんはなしたが、こうした有機ゆうき化合かごうぶつ生体せいたいからのみ抽出ちゅうしゅつしうるものとかんがえられていた[15]。1833ねんアンセルム・ペイアン最初さいしょ酵素こうそであるジアスターゼ現在げんざいアミラーゼ)を発見はっけんしたことを主張しゅちょうするひともいれば[16]、1897ねんエドゥアルト・ブフナー細胞さいぼう抽出ちゅうしゅつぶつアルコール発酵はっこう複雑ふくざつ生化学せいかがく過程かてい最初さいしょ証明しょうめいしたことをかんがえるひともいる[17][18][19]。また、ユストゥス・フォン・リービッヒが1842ねん発表はっぴょうした『Animal chemistry, or, Organic chemistry in its applications to physiology and pathology』という、代謝たいしゃ化学かがくてき理論りろん提示ていじした影響えいきょうりょくのある著作ちょさく[12]、それ以前いぜんの18世紀せいきアントワーヌ・ラヴォアジエによる発酵はっこう呼吸こきゅう研究けんきゅうげるひともいる[20][21]近代きんだい生化学せいかがく創始そうししゃばれ、生化学せいかがく複雑ふくざつそう解明かいめいするのに貢献こうけんしたおおくの先駆せんくしゃには、タンパク質たんぱくしつ化学かがくてき性質せいしつ研究けんきゅうしたエミール・フィッシャー[22]酵素こうそ生化学せいかがく動的どうてき性質せいしつ研究けんきゅうしたフレデリック・ホプキンズげられる[23]

生化学せいかがくえい: biochemistry)という言葉ことばは、生物せいぶつがく化学かがくわせに由来ゆらいする。1877ねんフェリクス・ホッペ=ザイラーが、『Zeitschrift für Physiologische Chemie』(現在げんざいBiological Chemistry)の創刊そうかんごう序文じょぶんで、生理せいり化学かがく(physiological chemistry)の同義語どうぎごとしてこの言葉ことばどく: biochemie)を使用しようし、この分野ぶんやとくした研究けんきゅう機関きかん設立せつりつ提唱ていしょうした[24][25]。しかし、この言葉ことばは1903ねんにドイツの化学かがくしゃカール・ノイベルグつくったとされることもおお[26][27][28]、またフランツ・ホフマイスター英語えいごばんつくったとするせつもある[29]

 
DNAの構造こうぞう (1D65​)[30]

かつては、生命せいめいやその材料ざいりょうには、生物せいぶつられるものとはことなる本質ほんしつてき性質せいしつ物質ぶっしつがあり、生命せいめい分子ぶんしつくせるのは生物せいぶつだけであるとひろしんじられていた(生命せいめい原理げんり英語えいごばんばれる)[31]。1828ねんフリードリヒ・ヴェーラーが、シアンさんカリウムと硫酸りゅうさんアンモニウムから尿素にょうそ合成ごうせいした論文ろんぶんは、生命せいめい原理げんりくつがえし、有機ゆうき化学かがく確立かくりつしたとする見方みかたもある[32][33]。しかし、かれによって生気せいきろんんだとヴェーラー合成ごうせい否定ひていするひともいて、論争ろんそうこした[34]。その生化学せいかがく進歩しんぽし、とくに20世紀せいきなか以降いこうクロマトグラフィーXせん回折かいせつじゅうへんこう干渉かんしょうほうNMR分光ぶんこうほう英語えいごばん放射ほうしゃせい同位どういたい標識ひょうしき放射ほうしゃせいトレーサー)電子でんし顕微鏡けんびきょう分子ぶんし動力どうりょくがくシミュレーションなどのあたらしい技術ぎじゅつ導入どうにゅうされた。これらの技術ぎじゅつにより、物質ぶっしつ精製せいせいしたり、かいとうクレブス回路かいろクエン酸くえんさん回路かいろのような、おおくの細胞さいぼうない分子ぶんし代謝たいしゃ経路けいろ発見はっけん詳細しょうさい解析かいせき可能かのうとなり、生化学せいかがく分子ぶんしレベルで理解りかいすることにつながった。

遺伝子いでんし発見はっけんと、細胞さいぼうないでの情報じょうほう伝達でんたつたすその役割やくわりは、生化学せいかがく歴史れきしにおけるもうひとつの重要じゅうよう出来事できごとである。1950年代ねんだいジェームズ・D・ワトソンフランシス・クリックロザリンド・フランクリンモーリス・ウィルキンスは、DNA構造こうぞう解明かいめいし、遺伝いでん情報じょうほう伝達でんたつとの関係かんけい示唆しさすることに貢献こうけんした[35]。1958ねんジョージ・ビードルエドワード・タータムは、菌類きんるいにおいて1つの遺伝子いでんしが1つの酵素こうそつくことをあきらかにし、ノーベルしょう受賞じゅしょうした[36]。1988ねんには、コリン・ピッチフォーク英語えいごばんDNA証拠しょうこ使つかって殺人さつじんざいはじめて有罪ゆうざい判決はんけつけ、法医学ほういがく発展はってんにつながった[37]最近さいきんでは、アンドリュー・ファイアークレイグ・キャメロン・メローが、遺伝子いでんし発現はつげん抑制よくせいするRNA干渉かんしょう(RNAi)の役割やくわり発見はっけんし、2006ねんのノーベルしょう共同きょうどう受賞じゅしょうした[38]

出発しゅっぱつ物質ぶっしつ生命せいめい化学かがくてき要素ようそ

編集へんしゅう
 
人体じんたい構成こうせいするおも元素げんそを、質量しつりょうおおいものからすくないものへとしめす。

さまざまな種類しゅるい生物せいぶつがくてき生命せいめいには、やく20種類しゅるい化学かがく元素げんそ不可欠ふかけつである。地球ちきゅうじょう希少きしょう元素げんそ大半たいはんセレンヨウもとのぞく)は生命せいめい必要ひつようではなく[39]アルミニウムチタンなど豊富ほうふ存在そんざいする一般いっぱんてき元素げんそなかには、生命せいめい利用りようされないものもある。ほとんどの生物せいぶつおなじような元素げんそ必要ひつようとするが、植物しょくぶつ動物どうぶつには若干じゃっかんちがいがある。たとえば、海洋かいようせい藻類そうるい臭素しゅうそ利用りようするが、陸上りくじょう動物どうぶつ植物しょくぶつはまったく必要ひつようないようである。また、ナトリウムはすべての動物どうぶつ必要ひつようであるが、植物しょくぶつには必須ひっすではない。ぎゃくに、植物しょくぶつにはケイ素けいそホウ素ほうそ必要ひつようだが、動物どうぶつには不要ふようか、あるいはごく微量びりょうしか必要ひつようない場合ばあいがある。

ヒトふく生体せいたい細胞さいぼう質量しつりょうのほぼ99%を、炭素たんそ水素すいそ窒素ちっそ酸素さんそカルシウムリンのわずか6元素げんそめている(完全かんぜん一覧いちらん人体じんたい構成こうせい英語えいごばん参照さんしょう)。人体じんたいだい部分ぶぶん構成こうせいするこれら6種類しゅるい主要しゅよう元素げんそとはべつに、ヒトはさらに18種類しゅるい以上いじょう元素げんそ少量しょうりょうずつ必要ひつようとする[40]

生体せいたい分子ぶんし

編集へんしゅう

生化学せいかがくにおける4種類しゅるい主要しゅよう分子ぶんし生体せいたい分子ぶんしばれる)は、炭水化物たんすいかぶつ脂質ししつタンパク質たんぱくしつ、および核酸かくさんである[41]おおくの生体せいたい分子ぶんしポリマー重合じゅうごうたい)である。この文脈ぶんみゃくではモノマーたんりょうからだ)は比較的ひかくてきちいさな高分子こうぶんしであり、それらが脱水だっすい合成ごうせいばれる過程かていたがいに結合けつごうし、生体せいたい高分子こうぶんしばれるおおきな高分子こうぶんし形成けいせいしている。また、さまざまな高分子こうぶんし集合しゅうごうして、よりおおきなふく合体がったい形成けいせいすることがあり、これは生物せいぶつがくてき活性かっせい必要ひつようとされることもおおい。

炭水化物たんすいかぶつ

編集へんしゅう
たんとうグルコース
とうスクロースグルコース+フルクトース)の1分子ぶんし
すうせんのグルコースが結合けつごうしたとうアミロース

炭水化物たんすいかぶつは、おもにエネルギーの貯蔵ちょぞう構造こうぞう提供ていきょうという機能きのうっている。よくられている糖類とうるいであるグルコースは炭水化物たんすいかぶつひとつであるが、すべての炭水化物たんすいかぶつ糖類とうるいというわけではない。炭水化物たんすいかぶつは、地球ちきゅうじょうもっとおお存在そんざいする生体せいたい分子ぶんしであり、エネルギー貯蔵ちょぞう遺伝いでん情報じょうほう保存ほぞん細胞さいぼうあいだ相互そうご作用さよう英語えいごばんコミュニケーションなど、さまざまな役割やくわりたしている。

たんとうもっと単純たんじゅん炭水化物たんすいかぶつで、炭素たんそ水素すいそ酸素さんそ通常つうじょうは1:2:1の比率ひりつふくんでいる(一般いっぱんしきCnH2nOnnすくなくとも3)。グルコース(C6H12O6)はもっと重要じゅうよう炭水化物たんすいかぶつであり、そのにはあま果物くだものふくまれるフルクトース(C6H12O6)や、DNA構成こうせい要素ようそであるデオキシリボース(C5H10O4)などがある[42][注釈ちゅうしゃく 1]たんとうには、たまきしきひらきくさりがた)とたまきしき状態じょうたいがある。ひらきくさりがたは、一方いっぽうはしカルボニルもと他方たほうはしヒドロキシもと酸素さんそ原子げんしにより架橋かきょうされた炭素たんそ原子げんしたまき変化へんかしたものである。この環状かんじょう分子ぶんしは、ちょくくさりじょうアルドースケトースかによって、ヘミアセタールもとヘミケタールもと[44]

これらの環状かんじょう分子ぶんしは、通常つうじょう5または6原子げんしふくたまきち、それぞれフラノースおよびピラノースばれる。同様どうよう炭素たんそ-酸素さんそたまきもっと単純たんじゅん化合かごうぶつであるフランおよびピラン炭素たんそ-炭素たんそじゅう結合けつごうたない)に類似るいじしていることから、そのけられた。たとえば、アルドヘキソースのグルコースは、炭素たんそ1の水酸基すいさんき炭素たんそ4の酸素さんそあいだでヘミアセタール結合けつごう形成けいせいし、グルコフラノースとばれる5いんたまき分子ぶんしつくることができる。同様どうよう反応はんのう炭素たんそ1と炭素たんそ5のあいだでもこり、グルコピラノースとばれる6いんたまき分子ぶんしができる。7いんたまきヘプトース (en:英語えいごばんはまれである。

2つのたんとうグリコシド結合けつごうまたはエステル結合けつごう結合けつごうし、脱水だっすい反応はんのうによって水分すいぶん放出ほうしゅつされてとうになる。とうのグリコシド結合けつごう切断せつだんして2つのたんとう分解ぶんかいするぎゃく反応はんのう加水かすい分解ぶんかいという。もっともよくられた糖類とうるいスクロース普通ふつう砂糖さとう)で、グルコース分子ぶんしフルクトース分子ぶんし結合けつごうしたものである。もうひとつの重要じゅうよう糖類とうるいは、牛乳ぎゅうにゅうふくまれるラクトース乳糖にゅうとう)で、これはグルコース分子ぶんしガラクトース分子ぶんし結合けつごうしたものである。乳糖にゅうとうラクターゼという酵素こうそによって加水かすい分解ぶんかいされ、この酵素こうそ欠乏けつぼうすると乳糖にゅうとうたいしょうになる。

たんとう数個すうこ(3-6程度ていど結合けつごうしたものをオリゴとうぶ(オリゴは「少数しょうすう」の意味いみ)。この分子ぶんしは、マーカー英語えいごばんシグナルとして使つかわれるなど、さまざまな用途ようとっている[45]たんとう多数たすう結合けつごうしてとう形成けいせいする。これらは、1ほんながちょくくさり結合けつごうすることもあれば、分岐ぶんきした構造こうぞうになることもある。もっと一般いっぱんてきとうにはセルロースグリコーゲンがあり、どちらもグルコースモノマーかえしから構成こうせいされている。セルロースは植物しょくぶつ細胞さいぼうかべ重要じゅうよう構造こうぞう成分せいぶんであり、グリコーゲンは動物どうぶつのエネルギーげんとして貯蔵ちょぞうされている。

とうには還元かんげんまつはしまたは還元かんげんまつはしがある。炭水化物たんすいかぶつ還元かんげんまつはしは、ひらきくさりアルデヒドアルドース)またはケトたいケトース)と平衡へいこう状態じょうたいにある炭素たんそ原子げんしである。このような炭素たんそ原子げんしでモノマーの結合けつごうこると、ピラノースフラノースかた遊離ゆうりヒドロキシもととうのOHがわくさり交換こうかんされ、完全かんぜんアセタール生成せいせいされる。これにより、アルデヒドがたやケトがたになることは抑止よくしされ、還元かんげんせい修飾しゅうしょくざんもととなる。ラクトースでは、グルコース部分ぶぶん還元かんげんまつはしであり、ガラクトース部分ぶぶんはグルコースのC4-OHもと完全かんぜんなアセタールを形成けいせいする。サッカロースでは、グルコースのアルデヒド炭素たんそ(C1)とフルクトースのケト炭素たんそ(C2)のあいだ完全かんぜんなアセタールが形成けいせいされるため、還元かんげんまつはし存在そんざいしない。

 
一般いっぱんてき脂質ししつ構造こうぞう上段じょうだんの2つはコレステロールオレインさん[46]中央ちゅうおうは、グリセロール骨格こっかくオレオイルステアロイルパルミトイルくさり結合けつごうしたトリグリセリド下段げだんは、一般いっぱんてきリン脂質ししつであるホスファチジルコリン[47]

脂質ししつは、生体せいたい由来ゆらい比較的ひかくてきみずけないまたは極性きょくせい英語えいごばん化合かごうぶつグループの総称そうしょうである。このはんちゅうには、ワックス脂肪酸しぼうさん脂肪酸しぼうさん由来ゆらいリン脂質ししつスフィンゴ脂質ししつとう脂質ししつ、およびテルペノイドレチノイドステロイドなど)などがふくまれる。脂質ししつには、ちょくくさりじょう脂肪しぼうぞく分子ぶんしもあれば、環状かんじょう構造こうぞうつものもある。また、芳香ほうこうぞく環状かんじょう平面へいめんじょう構造こうぞうつ)分子ぶんしもあれば、芳香ほうこうぞく分子ぶんしもある。脂質ししつには柔軟じゅうなんなものもあれば、かたいものもある。

脂質ししつ通常つうじょうグリセロール分子ぶんし結合けつごうしてつくられている。バルク脂質ししつ主要しゅようなグループであるトリグリセリドは、1分子ぶんしのグリセロールと3つの脂肪酸しぼうさんふくまれる。ここでいう脂肪酸しぼうさんはモノマーとみなされ、飽和ほうわ炭素たんそくさりじゅう結合けつごうがない)または飽和ほうわ炭素たんそくさりひと以上いじょうじゅう結合けつごうがある)のいずれかになる。

脂質ししつ通常つうじょう極性きょくせい部分ぶぶん極性きょくせい部分ぶぶん両方りょうほうっている。脂質ししつおも構造こうぞう極性きょくせい、つまり疎水そすいせいみずをはじく)であり、みずのような極性きょくせい溶媒ようばいとはざりにくい。しかし、脂質ししつには極性きょくせいまたは親水しんすいせいみずになじむ)の部分ぶぶんもあり、みずなどの極性きょくせい溶媒ようばい結合けつごうする傾向けいこうがある。このため脂質ししつは、疎水そすいせい親水しんすいせい両方りょうほう両親りょうしんなかだちせい分子ぶんしとなっている。コレステロールれいれば、極性きょくせいもとたんなる-OH(ヒドロキシもとまたはアルコール)である。リン脂質ししつ場合ばあい後述こうじゅつのように、よりおおきくて極性きょくせいつよ極性きょくせいもとつ。

脂質ししつは、わたしたちの毎日まいにち食生活しょくせいかつささえる重要じゅうようなものである。バターチーズギーなど、料理りょうり食事しょくじ使つかあぶら乳製品にゅうせいひんのほとんどは脂肪しぼうでできている。植物しょくぶつには、さまざまなあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん(PUFA)が豊富ほうふふくまれている。脂質ししつふく食品しょくひんは、体内たいない消化しょうかされ、最終さいしゅうてき産物さんぶつである脂肪酸しぼうさんとグリセロールに分解ぶんかいされる。脂質ししつとくにリン脂質ししつは、経口けいこう輸液などのきょう溶解ようかいざいとして、あるいはリポソームトランスファソーム英語えいごばんなどの薬物やくぶつ担体英語えいごばんとして、さまざまな医薬品いやくひんにも使用しようされている。

タンパク質たんぱくしつ

編集へんしゅう
 
αあるふぁ-アミノ酸あみのさん一般いっぱんてき構造こうぞう左側ひだりがわアミノもと右側みぎがわカルボキシルもとである。Rはがわくさりもとアミノ酸あみのさんごとにことなる。

タンパク質たんぱくしつは、マクロバイオポリマーともばれる非常ひじょうおおきな分子ぶんしで、アミノ酸あみのさんというモノマーから構成こうせいされている。かくアミノ酸あみのさんは、αあるふぁ炭素たんそ原子げんしにアミノもと(–NH2)、カルボンさんもと(–COOH、ただし生理学せいりがくてき条件下じょうけんかでは–NH3+や–COOとして存在そんざいする)、単一たんいつ水素すいそ原子げんし、および固有こゆうがわくさり一般いっぱんに –R と表記ひょうきされる)が結合けつごうしたものである。このがわくさり「R」によって、20種類しゅるい標準ひょうじゅんてきアミノ酸あみのさんがそれぞれ区別くべつされる。このがわくさりもと「R」がアミノ酸あみのさんことなる性質せいしつあたえ、タンパク質たんぱくしつ全体ぜんたい立体りったい構造こうぞうおおきな影響えいきょうあたえる。たとえば神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつとして機能きのうするグルタミン酸ぐるたみんさんのように、単独たんどくまたは修飾しゅうしょくされたかたち機能きのうアミノ酸あみのさんもある。アミノ酸あみのさんは、脱水だっすい合成ごうせいという過程かていペプチド結合けつごう形成けいせいし、たがいに結合けつごうする。このとき、一方いっぽうアミノ酸あみのさんのアミノもと窒素ちっそと、べつアミノ酸あみのさんのカルボンさんもと炭素たんそむすびつき、水分すいぶん放出ほうしゅつされる。こうしてつくられた分子ぶんしジペプチドび、みじかアミノ酸あみのさん配列はいれつ通常つうじょうは30以下いか)はペプチドまたはポリペプチド、よりながくさりタンパク質たんぱくしつばれる。たとえば、血清けっせいタンパク質たんぱくしつであるアルブミンは、585アミノ酸あみのさんざんもとから構成こうせいされている[48]

 
一般いっぱんてきアミノ酸あみのさん構造こうぞうしきを、(1)中性ちゅうせいがた、(2)生理せいりてき存在そんざいする状態じょうたい、(3)ジペプチドとして結合けつごうした状態じょうたいしめす。
 
ヘモグロビンしきあかあおのリボンはタンパク質たんぱくしつグロビンみどり構造こうぞうヘムもとあらわす。

タンパク質たんぱくしつは、構造こうぞうてき役割やくわり機能きのうてき役割やくわり両方りょうほう関与かんよしている。たとえば、アクチンミオシンというタンパク質たんぱくしつは、骨格こっかくすじ収縮しゅうしゅくになっている。おおくのタンパク質たんぱくしつ特性とくせいの1つは、特定とくてい分子ぶんしまたは分子ぶんしぐん特異とくいてき結合けつごうする能力のうりょくつことである。たとえば、抗体こうたいは、特定とくていの1種類しゅるい分子ぶんし結合けつごうするタンパク質たんぱくしつである。抗体こうたいは、2ほんじゅうくさりと2ほんけいくさりが、アミノ酸あみのさんあいだのジスルフィド結合けつごうによって結合けつごうして構成こうせいされている。抗体こうたいは、N末端まったんドメインのちがいにより、標的ひょうてき分子ぶんし特異とくいてき結合けつごうすることができる[49]

酵素こうそ結合けつごう免疫めんえき吸着きゅうちゃくほう(ELISA)は抗体こうたい利用りようした検査けんさほうで、現代げんだい医学いがくでがさまざまな生体せいたい分子ぶんし検出けんしゅつするためのもっとこう感度かんど方法ほうほうひとつである。しかし、酵素こうそもっと重要じゅうようタンパク質たんぱくしつであるとかんがえられている。なま細胞さいぼうないでのほぼすべての反応はんのうは、反応はんのう活性かっせいエネルギーを低減ていげんさせるために酵素こうそ必要ひつようである。酵素こうそ分子ぶんしは、基質きしつばれる特定とくてい反応はんのう分子ぶんし識別しきべつし、それらのあいだ反応はんのう触媒しょくばいすることができる[17]酵素こうそ反応はんのう活性かっせいエネルギーをげることで、その反応はんのう速度そくどを1011ばい以上いじょう向上こうじょうさせ[17]通常つうじょう自然しぜんこるのに3,000ねん以上いじょうかかる反応はんのうを、1びょう以内いないこせる可能かのうせいがある[50]。この過程かてい酵素こうそ自体じたい使つかたされることはなく、あらたな一連いちれん基質きしつもちいておな反応はんのう触媒しょくばいつづけることができる。さまざまな修飾しゅうしょくざいもちいることで、酵素こうそ活性かっせい調節ちょうせつし、細胞さいぼう生化学せいかがくてき制御せいぎょおこなうことができる[17]

タンパク質たんぱくしつ構造こうぞうは、慣例かんれいで4段階だんかい分類ぶんるいされる。いち構造こうぞうとは、たとえば「アラニン-グリシン-トリプトファン-セリン-グルタミン酸ぐるたみんさん-アスパラギン-グリシン-リジン…」というように、アミノ酸あみのさんいちれつならんだ状態じょうたいのことである。構造こうぞうは、局所きょくしょてき形態けいたい着目ちゃくもくしたもので、特定とくていアミノ酸あみのさんわせが、αあるふぁヘリックスというらせんじょうきついたり、βべーたシートといういたじょうかさなる傾向けいこうがある。したには、いくつかのαあるふぁヘリックスをもつヘモグロビンしめされている。さん構造こうぞうとは、タンパク質たんぱくしつ全体ぜんたいてき立体りったい形状けいじょうし、アミノ酸あみのさん配列はいれつによって決定けっていされる。実際じっさいヘモグロビンαあるふぁくさりには146アミノ酸あみのさんざんもとふくまれ、その6グルタミン酸ぐるたみんさんざんもとバリンざんもと置換ちかんされたかまじょう赤血球せっけっきゅうしょうのように、配列はいれつひとつのえると構造こうぞう全体ぜんたいわることがある。よん構造こうぞうは、4つのサブユニットをつヘモグロビンのように、複数ふくすうのペプチドサブユニットをタンパク質たんぱくしつ構造こうぞうあつかっている。すべてのタンパク質たんぱくしつ複数ふくすうのサブユニットをつわけではない[51]

 
蛋白質たんぱくしつ構造こうぞうデータバンクからのタンパク質たんぱくしつ構造こうぞうれい
 
タンパク質たんぱくしつぐんのメンバーをしめす(イソメラーゼ ドメインのみをしめす)。

摂取せっしゅされたタンパク質たんぱくしつは、通常つうじょう小腸しょうちょう個々ここアミノ酸あみのさんやジペプチドに分解ぶんかいされ、体内たいない吸収きゅうしゅうされる。そのふたたわされてあたらしいタンパク質たんぱくしつつくられる。アミノ酸あみのさんは、かいとうクエン酸くえんさん回路かいろペントースリンさん経路けいろなかあいだ生成せいせいぶつ使用しようしてつくられる。ほとんどの細菌さいきん植物しょくぶつは、20種類しゅるいすべてのアミノ酸あみのさんつくるのに必要ひつよう酵素こうそっている。しかし、ヒトをはじめとする哺乳類ほにゅうるい一部いちぶ酵素こうそたないため、イソロイシンロイシンリシンメチオニンフェニルアラニントレオニントリプトファンバリンつくることができない。これらは食餌しょくじから摂取せっしゅしなければならないため必須ひっすアミノ酸あみのさんばれる。哺乳類ほにゅうるいは、アラニンアスパラギンアスパラギンさんシステイングルタミン酸ぐるたみんさんグルタミングリシンプロリンセリンチロシン合成ごうせいすることができ、これらは必須ひっすアミノ酸あみのさんぶ。アルギニンヒスチジンつくることができるが、成長せいちょう動物どうぶつには十分じゅうぶんりょうさんせいできないので、必須ひっすアミノ酸あみのさんとされることがある。

アミノ酸あみのさんからアミノもとのぞくと、αあるふぁ-ケトさんという炭素たんそ骨格こっかく生成せいせいする。トランスアミナーゼ(アミノもと転移てんい酵素こうそ)とばれる酵素こうそは、あるアミノ酸あみのさんαあるふぁ-ケトさんになる)からべつαあるふぁ-ケトさんアミノ酸あみのさんになる)へ、アミノもと容易ようい転移てんいさせることができる。この過程かていタンパク質たんぱくしつせい合成ごうせいにおいて重要じゅうようである。おおくの生化学せいかがくてき経路けいろでは、経路けいろからのなかあいだたいαあるふぁ-ケトさん骨格こっかく変換へんかんされたのちおおくの場合ばあい、このアミノもと転移てんいによってアミノもと付加ふかされる。そのアミノ酸あみのさん結合けつごうしてタンパク質たんぱくしつ形成けいせいされることもある。

タンパク質たんぱくしつ分解ぶんかいされるさいにも、同様どうよう過程かていおこなわれる。最初さいしょタンパク質たんぱくしつ加水かすい分解ぶんかいされ、個々ここアミノ酸あみのさんになる。血液けつえきちゅうアンモニウムイオン(NH4+)として存在そんざいする遊離ゆうりアンモニア(NH3)は、生物せいぶつにとって有毒ゆうどくであるため、生物せいぶつ必要ひつようおうじてさまざまな方法ほうほう排泄はいせつしなければならない。動物どうぶつでは、その必要ひつようせいおうじて、さまざまな戦術せんじゅつ進化しんかしてきた。単細胞たんさいぼう生物せいぶつはアンモニアを環境かんきょうちゅう放出ほうしゅつする。同様どうように、硬骨魚こうこつぎょるいはアンモニアを水中すいちゅう放出ほうしゅつしてすばやく希釈きしゃくする。一般いっぱんに、哺乳類ほにゅうるい尿素にょうそ回路かいろによってアンモニアを尿素にょうそ変換へんかんする。

2つのタンパク質たんぱくしつきんえんかどうか、換言かんげんすればあい同性どうせいがあるかどうかを判断はんだんするために、科学かがくしゃ配列はいれつアラインメント構造こうぞうアラインメント英語えいごばんなどの手法しゅほう使用しようする。これらのツールは、関連かんれんする分子ぶんしあいだあい同性どうせい特定とくていするのに役立やくだち、タンパク質たんぱくしつぐん進化しんかパターンを形成けいせいする以上いじょう意味いみっている。2つのタンパク質たんぱくしつ配列はいれつがどの程度ていどているかを調しらべることにより、その構造こうぞう、さらには機能きのうかんする知識ちしきることができる。

核酸かくさん

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デオキシリボ核酸かくさん(DNA)の構造こうぞうみぎじょうはモノマーが結合けつごうしている様子ようすしめす。

核酸かくさんは、細胞さいぼうかくおお存在そんざいする生体せいたい高分子こうぶんしぐん総称そうしょうであり、すべてのきた細胞さいぼうやウイルスで遺伝いでん情報じょうほうみなもととして使用しようされている[2]核酸かくさんは、ヌクレオチドばれるモノマーから構成こうせいされた、複雑ふくざつ高分子こうぶんしりょう生化学せいかがく高分子こうぶんしである。かくヌクレオチドは、含窒もと複素ふくそたまき塩基えんきプリンまたはピリミジン)、ペントースとう、およびリンさんもとの3つの成分せいぶんから構成こうせいされている[52]

 
一般いっぱんてき核酸かくさん構成こうせい要素ようそ。ヌクレオシドいちリンさん、ヌクレオシドリンさん、ヌクレオシドさんリンさんは、すくなくともひとつのリンさんもと(赤色あかいろ)をつことから、ヌクレオチドとばれる化合かごうぶつである。(ヌクレオシド(黄色おうしょく)はリンさんもとたない)

もっともよくられている核酸かくさんは、デオキシリボ核酸かくさん(DNA)とリボ核酸かくさん(RNA)の2種類しゅるいである。これらの生体せいたい高分子こうぶんしでは、かくヌクレオチドのリンさんもととう結合けつごうして骨格こっかく形成けいせいし、窒素ちっそ塩基えんき配列はいれつ遺伝いでん情報じょうほう保存ほぞんになっている。一般いっぱんてき窒素ちっそ塩基えんきは、アデニンシトシングアニンチミンウラシルの5種類しゅるいである。核酸かくさんくさりふくまれる核酸かくさん塩基えんきは、水素すいそ結合けつごうによってたがいに結合けつごうし、ジッパーのように相補そうほてき窒素ちっそ塩基えんきたいつくる。アデニンはチミンまたはウラシルと結合けつごうし、チミンはアデニンとのみ、シトシンとグアニンとのみ結合けつごうする。ことができる。アデニンとチミン、アデニンとウラシルはそれぞれ2つの水素すいそ結合けつごう形成けいせいし、シトシンとグアニンのあいだは3つの水素すいそ結合けつごう形成けいせいする。

細胞さいぼう遺伝いでん物質ぶっしつとしての役割やくわりくわえ、細胞さいぼうないセカンドメッセンジャーとしての役割やくわりになうこともおおい。また、すべての生物せいぶつ存在そんざいする主要しゅようなエネルギー担体分子ぶんしであるアデノシンさんリンさん(ATP)の構成こうせい要素ようそでもある。RNAとDNAの窒素ちっそ塩基えんきことなり、アデニン、シトシン、グアニンは両方りょうほう存在そんざいし、チミンはDNAにのみ、ウラシルはRNAにのみ存在そんざいする。

代謝たいしゃ

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エネルギーげんとしての炭水化物たんすいかぶつ

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グルコースはほとんどの生命せいめいたいのエネルギーげんである。たとえば、とう酵素こうそによってモノマーに分解ぶんかいされる(グリコーゲンホスホリラーゼは、とうであるグリコーゲンからグルコースざんもと切断せつだんする)。ラクトース(乳糖にゅうとう)やスクロース(ショとう)などの糖類とうるいは、2つのたんとう切断せつだんされる。

かいとう嫌気いやけせい

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かいとう代謝たいしゃ経路けいろは、一連いちれんなかあいだ代謝たいしゃ産物さんぶつグルコースピルビンさん変換へんかんする。  かく段階だんかいで、化学かがく修飾しゅうしょくことなる酵素こうそによっておこなわれる。  段階だんかい1と3ではATP消費しょうひされ、  段階だんかい7と10ではATPが生成せいせいする。段階だんかい6-10はグルコース1分子ぶんしにつき2かいおこなわれるので、ATPの正味しょうみ生成せいせいにつながる。

グルコースはおもに、かいとうという非常ひじょう重要じゅうような10段階だんかい経路けいろによって代謝たいしゃされ、その結果けっか、1分子ぶんしのグルコースが2分子ぶんしピルビンさん分解ぶんかいされる。また、細胞さいぼうのエネルギー通貨つうかであるATP(アデノシンさんリンさん)の正味しょうみ2分子ぶんし生成せいせいされ、2ふん子分こぶんNAD+酸化さんかがたのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)をNADH(還元かんげんがたのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に変換へんかんする還元かんげんとうりょう生成せいせいされる。これには酸素さんそ必要ひつようとしない。酸素さんそがない場合ばあい(あるいは細胞さいぼう酸素さんそ使つかえない場合ばあい)、ピルビンさん乳酸にゅうさんれい: ヒト)またはエタノール二酸化炭素にさんかたんそれい: 酵母こうぼ)に変換へんかんすることでNADを回復かいふくされる。ガラクトースやフルクトースなどのほかたんとうも、かいとう経路けいろなかあいだたい変換へんかんされる[53]

こう気性きしょう

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ヒトのほとんどの細胞さいぼうのように、十分じゅうぶん酸素さんそ存在そんざいするこう気性きしょう細胞さいぼう英語えいごばんでは、ピルビンさんはさらに代謝たいしゃされる。ピルビンさん可逆かぎゃくてきアセチルCoA変換へんかんされ、1個いっこ炭素たんそ原子げんし老廃ろうはいぶつ二酸化炭素にさんかたんそとして排出はいしゅつされ、べつ還元かんげんとうりょうとしてNADH生成せいせいされる。つぎに、2分子ぶんしのアセチルCoA(1分子ぶんしのグルコースから)がクエン酸くえんさん回路かいろはいり、2分子ぶんしのATP、さらに6分子ぶんしのNADH、2つの還元かんげんがたユビ)キノン(酵素こうそ結合けつごう因子いんしとしてFADH2経由けいゆ)を生成せいせいし、のこりの炭素たんそ原子げんし二酸化炭素にさんかたんそとして放出ほうしゅつする。生成せいせいしたNAD+とキノール分子ぶんしは、呼吸こきゅうくさり酵素こうそふく合体がったい供給きょうきゅうされ、電子でんし伝達でんたつけい電子でんし最終さいしゅうてき酸素さんそ伝達でんたつし、放出ほうしゅつされたエネルギーを生体せいたいまくかく生物せいぶつではミトコンドリアないまく)をかいしたプロトン濃度のうど勾配こうばいかたち保存ほぞんする。こうして、酸素さんそみず還元かんげんされ、もと電子でんし受容じゅようたいであるNAD+とキノンが再生さいせいされる。ヒトが酸素さんそい、二酸化炭素にさんかたんそすのはこのためである。NADHとキノールのこうエネルギー状態じょうたいから電子でんし移動いどうすることで放出ほうしゅつされたエネルギーは、最初さいしょにプロトン勾配こうばいとしてたくわえられ、ATPシンターゼ合成ごうせい酵素こうそ)によってATPに変換へんかんされる。これにより、さらに28分子ぶんしのATPが生成せいせいされ(8つのNADHから24、2つのキノールから4つ)、分解ぶんかいされたグルコース1分子ぶんしあたり合計ごうけい32分子ぶんしのATPが保存ほぞんされる(かいとうから2つ、クエン酸くえんさん回路かいろから2つ)[54]。このように、酸素さんそ使つかってグルコースを完全かんぜん酸化さんかすることは、酸素さんそ依存いぞんしない代謝たいしゃ機能きのうよりもはるかにおおくのエネルギーを生物せいぶつあたえることはあきらかで、これが、地球ちきゅう大気たいき大量たいりょう酸素さんそ蓄積ちくせきされたのち複雑ふくざつ生命せいめい出現しゅつげんした理由りゆうであるとかんがえられている。

とう新生しんせい

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脊椎動物せきついどうぶつでは、骨格こっかくすじはげしく収縮しゅうしゅくするとき(れい: 重量挙じゅうりょうあげや全力ぜんりょく疾走しっそうのとき)、エネルギー需要じゅよう見合みあうだけの酸素さんそ供給きょうきゅうされないため、グルコースを乳酸にゅうさん変換へんかんするために嫌気いやけせい代謝たいしゃ英語えいごばんわる。脂肪しぼうタンパク質たんぱくしつなどの炭水化物たんすいかぶつ以外いがいからのグルコースがわせ。これは、肝臓かんぞうグリコーゲン貯蔵ちょぞう枯渇こかつしたときにのみこる。この経路けいろは、ピルビンさんからグルコースへのかいとう根本こんぽんてき逆転ぎゃくてんであり、アミノ酸あみのさん、グリセロール、クレブス回路かいろクエン酸くえんさん回路かいろのようなおおくの供給きょうきゅうげん使用しようすることができる。だい規模きぼタンパク質たんぱくしつ脂肪しぼう異化いかは、通常つうじょう飢餓きがやあるしゅ内分泌ないぶんぴつ疾患しっかんともなってこる[55]肝臓かんぞうは、とう新生しんせいばれる過程かていつうじてグルコースをさい生成せいせいする。この過程かていかいとうまったぎゃくではなく、実際じっさいにはかいとうの3ばいのエネルギーを必要ひつようとする(かいとうでは2分子ぶんしのATPがられるのにたいし、6分子ぶんしのATPが使用しようされる)。上記じょうき反応はんのう同様どうように、生成せいせいされたグルコースは、エネルギーを必要ひつようとする組織そしきかいとうされたり、グリコーゲン(植物しょくぶつではデンプン)として貯蔵ちょぞうされたり、たんとう変換へんかんされたり、とうまたはオリゴとう結合けつごうされたりする。運動うんどうちゅうかいとうりゅうかいした乳酸にゅうさん肝臓かんぞうへの移動いどう、そのとう新生しんせい、そしてりゅうへのグルコースの放出ほうしゅつという経路けいろわせたものをコリ回路かいろ[56]

の「分子ぶんしスケール」生物せいぶつ科学かがくとの関係かんけい

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生化学せいかがく遺伝いでんがく分子生物学ぶんしせいぶつがくとの関係かんけい

生化学せいかがく研究けんきゅうしゃは、生化学せいかがく特有とくゆう技術ぎじゅつ使用しようするが、これらを遺伝いでんがく分子生物学ぶんしせいぶつがく生物せいぶつ物理ぶつりがく分野ぶんや開発かいはつされた技術ぎじゅつかんがかたわせることもおおくなっている。これらの分野ぶんやあいだ明確めいかく境界きょうかいせんはない。生化学せいかがく分子ぶんし生物せいぶつがくてき活性かっせい必要ひつよう化学かがく研究けんきゅうし、分子生物学ぶんしせいぶつがく分子ぶんし生物せいぶつがくてき活性かっせい研究けんきゅうし、遺伝いでんがくゲノムにな分子ぶんし遺伝いでん現象げんしょう研究けんきゅうする学問がくもんである。このことは、みぎじょうしめすように、かく分野ぶんや関係かんけいあらわひとつの可能かのうせいである。

  • 生化学せいかがくえい: biochemistry)は、生体せいたいうちこる化学かがく物質ぶっしつ生命せいめい現象げんしょう研究けんきゅうする学問がくもんである。生化学せいかがくしゃは、生体せいたい分子ぶんし役割やくわり機能きのう、および構造こうぞう重点じゅうてんいている。生物せいぶつがくてき過程かてい背後はいごにある化学かがく研究けんきゅうや、生物せいぶつがくてき活性かっせい分子ぶんし合成ごうせいは、生化学せいかがく応用おうようである。生化学せいかがくは、原子げんしおよび分子ぶんしのレベルでの生命せいめい研究けんきゅうである。
  • 遺伝いでんがくえい: genetics)とは、生物せいぶつにおける遺伝いでんてき差異さいがもたらす影響えいきょう研究けんきゅうする学問がくもんである。おおくの場合ばあいは、正常せいじょう構成こうせい要素ようそれい: 1つの遺伝子いでんし)の欠如けつじょから推測すいそくすることができる。変異へんいたい、いわゆる野生やせいがたあるいは正常せいじょう表現ひょうげんがた比較ひかくして1つか複数ふくすう機能きのうてき構成こうせい要素ようそ生物せいぶつ研究けんきゅうである。遺伝いでんてき相互そうご作用さようエピスタシス)は、このような「ノックアウト研究けんきゅう単純たんじゅん解釈かいしゃくをしばしば混乱こんらんさせる。
  • 分子生物学ぶんしせいぶつがくえい: molecular biology)は、分子ぶんし合成ごうせい修飾しゅうしょく機構きこう、および相互そうご作用さよう焦点しょうてんてた、生命せいめい現象げんしょう分子ぶんし基盤きばん研究けんきゅうする学問がくもんである。遺伝いでん物質ぶっしつがRNAに転写てんしゃされ、さらにタンパク質たんぱくしつ翻訳ほんやくされるという分子生物学ぶんしせいぶつがくのセントラルドグマは、単純たんじゅんされすぎてはいるものの、この分野ぶんや理解りかいするための出発しゅっぱつてんとなる。この概念がいねんは、RNAあらたな役割やくわり出現しゅつげんによって見直みなおされている。
  • 化学かがく生物せいぶつがくえい: chemical biology)は、しょう分子ぶんしもとづくあたらしいツールを開発かいはつし、生体せいたいけいへの影響えいきょう最小限さいしょうげんおさえながら、その機能きのうかんする詳細しょうさい情報じょうほう提供ていきょうすることを目指めざしている。さらに、化学かがく生物せいぶつがくでは、生体せいたい分子ぶんし合成ごうせい装置そうちとの天然てんねんハイブリッドをつくすために生体せいたいシステムを利用りようしている(たとえば、遺伝子いでんし治療ちりょう薬剤やくざい分子ぶんし送達そうたつできるそらウイルスキャプシド)。

生化学せいかがく実験じっけん

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生化学せいかがく実験じっけんはIn vitro実験じっけんともばれるように生体せいたい細胞さいぼう細胞さいぼう器官きかんないしょうじる生化学せいかがく反応はんのうを、複雑ふくざつ代謝たいしゃ経路けいろ調節ちょうせつ機構きこうからはなしてまさに試験管しけんかんのなかで再現さいげんすることで研究けんきゅう進展しんてんしてきた。21世紀せいきはいると標識ひょうしき技術ぎじゅつ測定そくてい技術ぎじゅつ進歩しんぽきている細胞さいぼうない生化学せいかがく反応はんのう間接かんせつてき追跡ついせきすることも可能かのうになってきたが、生体せいたい組織そしきから目的もくてき成分せいぶん分離ぶんり精製せいせいする実験じっけん技術ぎじゅつ生化学せいかがく研究けんきゅうにおいては重要じゅうよう研究けんきゅう技術ぎじゅつである。

一般いっぱん消化しょうか酵素こうそホルモンのように分泌ぶんぴつがた生体せいたい物質ぶっしつでないかぎりは、酵素こうそ受容じゅようたいふくめて目的もくてき生体せいたい物質ぶっしつ特定とくてい組織そしき細胞さいぼう特定とくてい細胞さいぼうしょう器官きかんにのみ発現はつげん存在そんざいしている。したがって、生化学せいかがく実験じっけん標的ひょうてき組織そしき多数たすう採集さいしゅうし、そこから目的もくてき生体せいたい物質ぶっしつ分離ぶんり精製せいせいするところからはじまる。

DNAのように細胞さいぼう破砕はさいに、エタノール沈澱ちんでんするだけでしゅうできるものもあるがおおくの場合ばあい細胞さいぼう破砕はさい密度みつど勾配こうばいほうによる遠心えんしん分離ぶんり目的もくてき細胞さいぼうない器官きかん密度みつどにより選択せんたくしゅうする。溶液ようえきには塩化えんかセシウムなどがもちいられる。この状態じょうたいではおおくの場合ばあい酵素こうそ受容じゅようたい細胞さいぼうまくまれていたり、まく重層じゅうそうまれているので、界面かいめん活性かっせいざい使つかって脂質ししつまく分離ぶんり溶化〉する必要ひつようがある。

目的もくてき生体せいたい高分子こうぶんし精製せいせいふるくははんとおるまくによる透析とうせきおこなわれたが、20世紀せいき後半こうはんからはゲル濾過ろかクロマトグラフィーアフィニティークロマトグラフィーにより目的もくてきぶつ精製せいせいすることが可能かのうになった[57][58]

代謝たいしゃによる生体せいたいない物質ぶっしつ移動いどう変化へんか追跡ついせきにはトレーサー物質ぶっしつ利用りようされる。ふるくから放射ほうしゃせいあるいは放射ほうしゃせい同位どういたいんだ生体せいたいない物質ぶっしつひろ利用りようされた。しかし同位どういたい置換ちかんした生体せいたいない物質ぶっしつ用意よういすることは困難こんなんをともない、放射ほうしゃせいトレーサー場合ばあいはラジオアイソトープセンターなど専用せんよう実験じっけん施設しせつ必要ひつようため今日きょうでは抗体こうたい染色せんしょくELISAほうなど同位どういたい使用しようしないトレーサーがひろ利用りようされている[59]。また、微量びりょう機器きき分析ぶんせき技術ぎじゅつ進展しんてんによりMALDIほうなどの質量しつりょう分析ぶんせきでクロマトグラフィ・スポット(ピーク)から直接ちょくせつ標的ひょうてき物質ぶっしつ同定どうてい可能かのうである[60]

イオンチャネル研究けんきゅうにおいては、生体せいたいまくにガラスの毛細管もうさいかんてることで、管内かんないにイオンチャネルをめて生化学せいかがく実験じっけんおこなパッチクランプ実験じっけん技術ぎじゅつによって上記じょうきのように生体せいたい成分せいぶん分離ぶんりせずに実験じっけんおこな技法ぎほう開発かいはつされた。

1990年代ねんだい以降いこうには特定とくてい無機むきイオンに反応はんのうして蛍光けいこうはっする標識ひょうしき色素しきそやルシフェラーゼ遺伝子いでんし応用おうようした形質けいしつ導入どうにゅうによって、細胞さいぼうがいから蛍光けいこう顕微鏡けんびきょう発光はっこう現象げんしょう追跡ついせきすることで間接かんせつてき生化学せいかがく反応はんのうをトレースすることも可能かのうになってきている。

参考さんこう項目こうもく

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一覧いちらん

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参照さんしょう項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 果物くだものふくまれる糖分とうぶんはフルクトース(果糖かとう)だけではない。グルコース(ブドウ糖ぶどうとう)とスクロース(ショとう)もさまざまな果物くだものふくまれており、ときにはフルクトースを上回うわまわることもある。たとえば、デーツ(ナツメヤシの果実かじつ)のしょくの32%はグルコースで、フルクトースは24%、スクロースは8%である。しかし、モモにはフルクトース(0.93%)やグルコース(1.47%)よりもおおくのスクロース(6.66%)がふくまれている。[43]

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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推薦すいせん文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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