出発 しゅっぱつ 物質 ぶっしつ :生命 せいめい の化学 かがく 的 てき 要素 ようそ
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人体 じんたい を構成 こうせい する主 おも な元素 げんそ を、質量 しつりょう 比 ひ で多 おお いものから少 すく ないものへと示 しめ す。
さまざまな種類 しゅるい の生物 せいぶつ 学 がく 的 てき な生命 せいめい には、約 やく 20種類 しゅるい の化学 かがく 元素 げんそ が不可欠 ふかけつ である。地球 ちきゅう 上 じょう の希少 きしょう 元素 げんそ の大半 たいはん (セレン とヨウ素 もと は除 のぞ く)は生命 せいめい に必要 ひつよう ではなく[39] 、アルミニウム やチタン など豊富 ほうふ に存在 そんざい する一般 いっぱん 的 てき な元素 げんそ の中 なか には、生命 せいめい に利用 りよう されないものもある。ほとんどの生物 せいぶつ は同 おな じような元素 げんそ を必要 ひつよう とするが、植物 しょくぶつ と動物 どうぶつ には若干 じゃっかん の違 ちが いがある。たとえば、海洋 かいよう 性 せい 藻類 そうるい は臭素 しゅうそ を利用 りよう するが、陸上 りくじょう の動物 どうぶつ や植物 しょくぶつ はまったく必要 ひつよう ないようである。また、ナトリウム はすべての動物 どうぶつ で必要 ひつよう であるが、植物 しょくぶつ には必須 ひっす ではない。逆 ぎゃく に、植物 しょくぶつ にはケイ素 けいそ とホウ素 ほうそ が必要 ひつよう だが、動物 どうぶつ には不要 ふよう か、あるいは極 ごく 微量 びりょう しか必要 ひつよう ない場合 ばあい がある。
ヒト を含 ふく む生体 せいたい 細胞 さいぼう の質量 しつりょう のほぼ99%を、炭素 たんそ 、水素 すいそ 、窒素 ちっそ 、酸素 さんそ 、カルシウム 、リン のわずか6元素 げんそ が占 し めている(完全 かんぜん な一覧 いちらん は人体 じんたい の構成 こうせい (英語 えいご 版 ばん ) を参照 さんしょう )。人体 じんたい の大 だい 部分 ぶぶん を構成 こうせい するこれら6種類 しゅるい の主要 しゅよう 元素 げんそ とは別 べつ に、ヒトはさらに18種類 しゅるい 以上 いじょう の元素 げんそ を少量 しょうりょう ずつ必要 ひつよう とする[40] 。
生化学 せいかがく における4種類 しゅるい の主要 しゅよう な分子 ぶんし (生体 せいたい 分子 ぶんし と呼 よ ばれる)は、炭水化物 たんすいかぶつ 、脂質 ししつ 、タンパク質 たんぱくしつ 、および核酸 かくさん である[41] 。多 おお くの生体 せいたい 分子 ぶんし はポリマー (重合 じゅうごう 体 たい )である。この文脈 ぶんみゃく ではモノマー (単 たん 量 りょう 体 からだ )は比較的 ひかくてき 小 ちい さな高分子 こうぶんし であり、それらが脱水 だっすい 合成 ごうせい と呼 よ ばれる過程 かてい で互 たが いに結合 けつごう し、生体 せいたい 高分子 こうぶんし と呼 よ ばれる大 おお きな高分子 こうぶんし を形成 けいせい している。また、さまざまな高分子 こうぶんし が集合 しゅうごう して、より大 おお きな複 ふく 合体 がったい を形成 けいせい することがあり、これは生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 活性 かっせい に必要 ひつよう とされることも多 おお い。
炭水化物 たんすいかぶつ は、主 おも にエネルギーの貯蔵 ちょぞう と構造 こうぞう の提供 ていきょう という機能 きのう を持 も っている。よく知 し られている糖類 とうるい であるグルコースは炭水化物 たんすいかぶつ の一 ひと つであるが、すべての炭水化物 たんすいかぶつ が糖類 とうるい というわけではない。炭水化物 たんすいかぶつ は、地球 ちきゅう 上 じょう に最 もっと も多 おお く存在 そんざい する生体 せいたい 分子 ぶんし であり、エネルギー貯蔵 ちょぞう 、遺伝 いでん 情報 じょうほう の保存 ほぞん 、細胞 さいぼう 間 あいだ の相互 そうご 作用 さよう (英語 えいご 版 ばん ) やコミュニケーション など、さまざまな役割 やくわり を果 は たしている。
単 たん 糖 とう は最 もっと も単純 たんじゅん な炭水化物 たんすいかぶつ で、炭素 たんそ 、水素 すいそ 、酸素 さんそ を通常 つうじょう は1:2:1の比率 ひりつ で含 ふく んでいる(一般 いっぱん 式 しき はCn H2n On 、n は少 すく なくとも3)。グルコース (C6 H12 O6 )は最 もっと も重要 じゅうよう な炭水化物 たんすいかぶつ であり、その他 た には甘 あま い果物 くだもの に含 ふく まれるフルクトース (C6 H12 O6 )や、DNA の構成 こうせい 要素 ようそ であるデオキシリボース (C5 H10 O4 )などがある[42] [注釈 ちゅうしゃく 1] 。単 たん 糖 とう には、非 ひ 環 たまき 式 しき (開 ひらき 鎖 くさり 型 がた )と環 たまき 式 しき の状態 じょうたい がある。開 ひらき 鎖 くさり 型 がた は、一方 いっぽう の端 はし のカルボニル基 もと と他方 たほう の端 はし のヒドロキシ基 もと の酸素 さんそ 原子 げんし により架橋 かきょう された炭素 たんそ 原子 げんし の環 たまき に変化 へんか したものである。この環状 かんじょう 分子 ぶんし は、直 ちょく 鎖 くさり 状 じょう がアルドース かケトース かによって、ヘミアセタール 基 もと かヘミケタール 基 もと を持 も つ[44] 。
これらの環状 かんじょう 分子 ぶんし は、通常 つうじょう 5個 こ または6個 こ の原子 げんし を含 ふく む環 たまき を持 も ち、それぞれフラノース およびピラノース と呼 よ ばれる。同様 どうよう の炭素 たんそ -酸素 さんそ 環 たまき を持 も つ最 もっと も単純 たんじゅん な化合 かごう 物 ぶつ であるフラン およびピラン (炭素 たんそ -炭素 たんそ 二 に 重 じゅう 結合 けつごう を持 も たない)に類似 るいじ していることから、その名 な が付 つ けられた。たとえば、アルドヘキソース のグルコースは、炭素 たんそ 1の水酸基 すいさんき と炭素 たんそ 4の酸素 さんそ の間 あいだ でヘミアセタール結合 けつごう を形成 けいせい し、グルコフラノースと呼 よ ばれる5員 いん 環 たまき の分子 ぶんし を作 つく ることができる。同様 どうよう の反応 はんのう は炭素 たんそ 1と炭素 たんそ 5の間 あいだ でも起 お こり、グルコピラノースと呼 よ ばれる6員 いん 環 たまき の分子 ぶんし ができる。7員 いん 環 たまき のヘプトース (en:英語 えいご 版 ばん ) はまれである。
2つの単 たん 糖 とう はグリコシド結合 けつごう またはエステル結合 けつごう で結合 けつごう し、脱水 だっすい 反応 はんのう によって水分 すいぶん 子 こ が放出 ほうしゅつ されて二 に 糖 とう になる。二 に 糖 とう のグリコシド結合 けつごう を切断 せつだん して2つの単 たん 糖 とう に分解 ぶんかい する逆 ぎゃく の反応 はんのう を加水 かすい 分解 ぶんかい という。最 もっと もよく知 し られた二 に 糖類 とうるい はスクロース (普通 ふつう の砂糖 さとう )で、グルコース 分子 ぶんし とフルクトース 分子 ぶんし が結合 けつごう したものである。もう一 ひと つの重要 じゅうよう な二 に 糖類 とうるい は、牛乳 ぎゅうにゅう に含 ふく まれるラクトース (乳糖 にゅうとう )で、これはグルコース分子 ぶんし とガラクトース 分子 ぶんし が結合 けつごう したものである。乳糖 にゅうとう はラクターゼ という酵素 こうそ によって加水 かすい 分解 ぶんかい され、この酵素 こうそ が欠乏 けつぼう すると乳糖 にゅうとう 不 ふ 耐 たい 症 しょう になる。
単 たん 糖 とう が数個 すうこ (3-6個 こ 程度 ていど )結合 けつごう したものをオリゴ糖 とう と呼 よ ぶ(オリゴは「少数 しょうすう 」の意味 いみ )。この分子 ぶんし は、マーカー (英語 えいご 版 ばん ) やシグナル として使 つか われるなど、さまざまな用途 ようと も持 も っている[45] 。単 たん 糖 とう が多数 たすう 結合 けつごう して多 た 糖 とう を形成 けいせい する。これらは、1本 ほん の長 なが い直 ちょく 鎖 くさり で結合 けつごう することもあれば、分岐 ぶんき した構造 こうぞう になることもある。最 もっと も一般 いっぱん 的 てき な多 た 糖 とう にはセルロース とグリコーゲン があり、どちらもグルコースモノマー の繰 く り返 かえ しから構成 こうせい されている。セルロースは植物 しょくぶつ の細胞 さいぼう 壁 かべ の重要 じゅうよう な構造 こうぞう 成分 せいぶん であり、グリコーゲンは動物 どうぶつ のエネルギー源 げん として貯蔵 ちょぞう されている。
糖 とう には還元 かんげん 末 まつ 端 はし または非 ひ 還元 かんげん 末 まつ 端 はし がある。炭水化物 たんすいかぶつ の還元 かんげん 末 まつ 端 はし は、開 ひらき 鎖 くさり アルデヒド (アルドース )またはケト体 たい (ケトース )と平衡 へいこう 状態 じょうたい にある炭素 たんそ 原子 げんし である。このような炭素 たんそ 原子 げんし でモノマーの結合 けつごう が起 お こると、ピラノース やフラノース 型 かた の遊離 ゆうり ヒドロキシ基 もと が他 た の糖 とう のOH側 がわ 鎖 くさり と交換 こうかん され、完全 かんぜん なアセタール が生成 せいせい される。これにより、アルデヒド型 がた やケト型 がた になることは抑止 よくし され、非 ひ 還元 かんげん 性 せい の修飾 しゅうしょく 残 ざん 基 もと となる。ラクトースでは、グルコース部分 ぶぶん は還元 かんげん 末 まつ 端 はし であり、ガラクトース部分 ぶぶん はグルコースのC4-OH基 もと と完全 かんぜん なアセタールを形成 けいせい する。サッカロース では、グルコースのアルデヒド炭素 たんそ (C1)とフルクトースのケト炭素 たんそ (C2)の間 あいだ で完全 かんぜん なアセタールが形成 けいせい されるため、還元 かんげん 末 まつ 端 はし は存在 そんざい しない。
一般 いっぱん 的 てき な脂質 ししつ の構造 こうぞう 。上段 じょうだん の2つはコレステロール とオレイン酸 さん [46] 。中央 ちゅうおう は、グリセロール骨格 こっかく にオレオイル 、ステアロイル 、パルミトイル 鎖 くさり が結合 けつごう したトリグリセリド 。下段 げだん は、一般 いっぱん 的 てき なリン脂質 ししつ であるホスファチジルコリン [47] 。
脂質 ししつ は、生体 せいたい 由来 ゆらい の比較的 ひかくてき 水 みず に溶 と けないまたは非 ひ 極性 きょくせい (英語 えいご 版 ばん ) の化合 かごう 物 ぶつ グループの総称 そうしょう である。この範 はん ちゅうには、ワックス 、脂肪酸 しぼうさん 、脂肪酸 しぼうさん 由来 ゆらい のリン脂質 ししつ 、スフィンゴ脂質 ししつ 、糖 とう 脂質 ししつ 、およびテルペノイド (レチノイド やステロイド など)などが含 ふく まれる。脂質 ししつ には、直 ちょく 鎖 くさり 状 じょう の脂肪 しぼう 族 ぞく 分子 ぶんし もあれば、環状 かんじょう 構造 こうぞう を持 も つものもある。また、芳香 ほうこう 族 ぞく (環状 かんじょう と平面 へいめん 状 じょう の構造 こうぞう を持 も つ)分子 ぶんし もあれば、非 ひ 芳香 ほうこう 族 ぞく 分子 ぶんし もある。脂質 ししつ には柔軟 じゅうなん なものもあれば、硬 かた いものもある。
脂質 ししつ は通常 つうじょう 、グリセロール が他 た の分子 ぶんし と結合 けつごう して作 つく られている。バルク脂質 ししつ の主要 しゅよう なグループであるトリグリセリド は、1分子 ぶんし のグリセロールと3つの脂肪酸 しぼうさん が含 ふく まれる。ここでいう脂肪酸 しぼうさん はモノマーとみなされ、飽和 ほうわ (炭素 たんそ 鎖 くさり に二 に 重 じゅう 結合 けつごう がない)または不 ふ 飽和 ほうわ (炭素 たんそ 鎖 くさり に一 ひと つ以上 いじょう の二 に 重 じゅう 結合 けつごう がある)のいずれかになる。
脂質 ししつ は通常 つうじょう 、非 ひ 極性 きょくせい の部分 ぶぶん と極性 きょくせい の部分 ぶぶん の両方 りょうほう を持 も っている。脂質 ししつ の主 おも な構造 こうぞう は非 ひ 極性 きょくせい 、つまり疎水 そすい 性 せい (水 みず をはじく)であり、水 みず のような極性 きょくせい 溶媒 ようばい とは混 ま ざりにくい。しかし、脂質 ししつ には極性 きょくせい または親水 しんすい 性 せい (水 みず になじむ)の部分 ぶぶん もあり、水 みず などの極性 きょくせい 溶媒 ようばい と結合 けつごう する傾向 けいこう がある。このため脂質 ししつ は、疎水 そすい 性 せい 部 ぶ と親水 しんすい 性 せい 部 ぶ の両方 りょうほう を持 も つ両親 りょうしん 媒 なかだち 性 せい 分子 ぶんし となっている。コレステロール を例 れい に取 と れば、極性 きょくせい 基 もと は単 たん なる-OH(ヒドロキシ基 もと またはアルコール)である。リン脂質 ししつ の場合 ばあい 、後述 こうじゅつ のように、より大 おお きくて極性 きょくせい の強 つよ い極性 きょくせい 基 もと を持 も つ。
脂質 ししつ は、私 わたし たちの毎日 まいにち の食生活 しょくせいかつ を支 ささ える重要 じゅうよう なものである。バター 、チーズ 、ギー など、料理 りょうり や食事 しょくじ に使 つか う油 あぶら や乳製品 にゅうせいひん のほとんどは脂肪 しぼう でできている。植物 しょくぶつ 油 ゆ には、さまざまな多 た 価 あたい 不 ふ 飽和 ほうわ 脂肪酸 しぼうさん (PUFA)が豊富 ほうふ に含 ふく まれている。脂質 ししつ を含 ふく む食品 しょくひん は、体内 たいない で消化 しょうか され、最終 さいしゅう 的 てき な産物 さんぶつ である脂肪酸 しぼうさん とグリセロールに分解 ぶんかい される。脂質 ししつ 、特 とく にリン脂質 ししつ は、非 ひ 経口 けいこう 輸液などの共 きょう 溶解 ようかい 剤 ざい として、あるいはリポソーム やトランスファソーム (英語 えいご 版 ばん ) などの薬物 やくぶつ 担体(英語 えいご 版 ばん ) として、さまざまな医薬品 いやくひん にも使用 しよう されている。
α あるふぁ -アミノ酸 あみのさん の一般 いっぱん 的 てき な構造 こうぞう 。左側 ひだりがわ がアミノ 基 もと 、右側 みぎがわ がカルボキシル 基 もと である。Rは側 がわ 鎖 くさり 基 もと でアミノ酸 あみのさん ごとに異 こと なる。
タンパク質 たんぱくしつ は、マクロバイオポリマーとも呼 よ ばれる非常 ひじょう に大 おお きな分子 ぶんし で、アミノ酸 あみのさん というモノマーから構成 こうせい されている。各 かく アミノ酸 あみのさん は、α あるふぁ 炭素 たんそ 原子 げんし にアミノ基 もと (–NH2 )、カルボン酸 さん 基 もと (–COOH、ただし生理学 せいりがく 的 てき 条件下 じょうけんか では–NH3 + や–COO− として存在 そんざい する)、単一 たんいつ の水素 すいそ 原子 げんし 、および固有 こゆう の側 がわ 鎖 くさり (一般 いっぱん に –R と表記 ひょうき される)が結合 けつごう したものである。この側 がわ 鎖 くさり 「R」によって、20種類 しゅるい の標準 ひょうじゅん 的 てき なアミノ酸 あみのさん がそれぞれ区別 くべつ される。この側 がわ 鎖 くさり 基 もと 「R」がアミノ酸 あみのさん に異 こと なる性質 せいしつ を与 あた え、タンパク質 たんぱくしつ の全体 ぜんたい の立体 りったい 構造 こうぞう に大 おお きな影響 えいきょう を与 あた える。たとえば神経 しんけい 伝達 でんたつ 物質 ぶっしつ として機能 きのう するグルタミン酸 ぐるたみんさん のように、単独 たんどく または修飾 しゅうしょく された形 かたち で機能 きのう を持 も つアミノ酸 あみのさん もある。アミノ酸 あみのさん は、脱水 だっすい 合成 ごうせい という過程 かてい でペプチド結合 けつごう を形成 けいせい し、互 たが いに結合 けつごう する。このとき、一方 いっぽう のアミノ酸 あみのさん のアミノ基 もと の窒素 ちっそ と、別 べつ のアミノ酸 あみのさん のカルボン酸 さん 基 もと の炭素 たんそ が結 むす びつき、水分 すいぶん 子 こ が放出 ほうしゅつ される。こうして作 つく られた分子 ぶんし をジペプチド と呼 よ び、短 みじか いアミノ酸 あみのさん の配列 はいれつ (通常 つうじょう は30個 こ 以下 いか )はペプチドまたはポリペプチド、より長 なが い鎖 くさり はタンパク質 たんぱくしつ と呼 よ ばれる。たとえば、血清 けっせい タンパク質 たんぱくしつ であるアルブミン は、585個 こ のアミノ酸 あみのさん 残 ざん 基 もと から構成 こうせい されている[48] 。
一般 いっぱん 的 てき なアミノ酸 あみのさん の構造 こうぞう 式 しき を、(1)中性 ちゅうせい 型 がた 、(2)生理 せいり 的 てき に存在 そんざい する状態 じょうたい 、(3)ジペプチドとして結合 けつごう した状態 じょうたい で示 しめ す。
ヘモグロビン の模 も 式 しき 図 ず 。赤 あか と青 あお のリボンはタンパク質 たんぱくしつ のグロビン 、緑 みどり の構造 こうぞう はヘム基 もと を表 あらわ す。
タンパク質 たんぱくしつ は、構造 こうぞう 的 てき な役割 やくわり と機能 きのう 的 てき な役割 やくわり の両方 りょうほう に関与 かんよ している。たとえば、アクチン とミオシン というタンパク質 たんぱくしつ は、骨格 こっかく 筋 すじ の収縮 しゅうしゅく を担 にな っている。多 おお くのタンパク質 たんぱくしつ が持 も つ特性 とくせい の1つは、特定 とくてい の分子 ぶんし または分子 ぶんし 群 ぐん に特異 とくい 的 てき に結合 けつごう する能力 のうりょく を持 も つことである。たとえば、抗体 こうたい は、特定 とくてい の1種類 しゅるい の分子 ぶんし に結合 けつごう するタンパク質 たんぱくしつ である。抗体 こうたい は、2本 ほん の重 じゅう 鎖 くさり と2本 ほん の軽 けい 鎖 くさり が、アミノ酸 あみのさん 間 あいだ のジスルフィド結合 けつごう によって結合 けつごう して構成 こうせい されている。抗体 こうたい は、N末端 まったん ドメインの違 ちが いにより、標的 ひょうてき 分子 ぶんし と特異 とくい 的 てき に結合 けつごう することができる[49] 。
酵素 こうそ 結合 けつごう 免疫 めんえき 吸着 きゅうちゃく 法 ほう (ELISA)は抗体 こうたい を利用 りよう した検査 けんさ 法 ほう で、現代 げんだい 医学 いがく でがさまざまな生体 せいたい 分子 ぶんし を検出 けんしゅつ するための最 もっと も高 こう 感度 かんど な方法 ほうほう の一 ひと つである。しかし、酵素 こうそ は最 もっと も重要 じゅうよう なタンパク質 たんぱくしつ であると考 かんが えられている。生 なま 細胞 さいぼう 内 ない でのほぼすべての反応 はんのう は、反応 はんのう の活性 かっせい 化 か エネルギーを低減 ていげん させるために酵素 こうそ が必要 ひつよう である。酵素 こうそ の分子 ぶんし は、基質 きしつ と呼 よ ばれる特定 とくてい の反応 はんのう 分子 ぶんし を識別 しきべつ し、それらの間 あいだ の反応 はんのう を触媒 しょくばい することができる[17] 。酵素 こうそ は反応 はんのう の活性 かっせい 化 か エネルギーを引 ひ き下 さ げることで、その反応 はんのう 速度 そくど を1011 倍 ばい 以上 いじょう に向上 こうじょう させ[17] 、通常 つうじょう 、自然 しぜん に起 お こるのに3,000年 ねん 以上 いじょう かかる反応 はんのう を、1秒 びょう 以内 いない に起 お こせる可能 かのう 性 せい がある[50] 。この過程 かてい で酵素 こうそ 自体 じたい が使 つか い果 は たされることはなく、新 あら たな一連 いちれん の基質 きしつ を用 もち いて同 おな じ反応 はんのう を触媒 しょくばい し続 つづ けることができる。さまざまな修飾 しゅうしょく 剤 ざい を用 もち いることで、酵素 こうそ の活性 かっせい を調節 ちょうせつ し、細胞 さいぼう の生化学 せいかがく 的 てき な制御 せいぎょ を行 おこな うことができる[17] 。
タンパク質 たんぱくしつ の構造 こうぞう は、慣例 かんれい で4段階 だんかい に分類 ぶんるい される。一 いち 次 じ 構造 こうぞう とは、たとえば「アラニン-グリシン-トリプトファン-セリン-グルタミン酸 ぐるたみんさん -アスパラギン-グリシン-リジン…」というように、アミノ酸 あみのさん が一 いち 列 れつ に並 なら んだ状態 じょうたい のことである。二 に 次 じ 構造 こうぞう は、局所 きょくしょ 的 てき な形態 けいたい に着目 ちゃくもく したもので、特定 とくてい のアミノ酸 あみのさん の組 く み合 あ わせが、α あるふぁ ヘリックス というらせん状 じょう に巻 ま きついたり、β べーた シート という板 いた 状 じょう に折 お り重 かさ なる傾向 けいこう がある。下 した の図 ず には、いくつかのα あるふぁ ヘリックスをもつヘモグロビン が示 しめ されている。三 さん 次 じ 構造 こうぞう とは、タンパク質 たんぱくしつ の全体 ぜんたい 的 てき な立体 りったい 形状 けいじょう を指 さ し、アミノ酸 あみのさん の配列 はいれつ によって決定 けってい される。実際 じっさい 、ヘモグロビン のα あるふぁ 鎖 くさり には146個 こ のアミノ酸 あみのさん 残 ざん 基 もと が含 ふく まれ、その6位 い のグルタミン酸 ぐるたみんさん 残 ざん 基 もと がバリン 残 ざん 基 もと に置換 ちかん された鎌 かま 状 じょう 赤血球 せっけっきゅう 症 しょう のように、配列 はいれつ の一 ひと つの変 か えると構造 こうぞう 全体 ぜんたい が変 か わることがある。四 よん 次 じ 構造 こうぞう は、4つのサブユニットを持 も つヘモグロビンのように、複数 ふくすう のペプチドサブユニットを持 も つタンパク質 たんぱくしつ の構造 こうぞう を扱 あつか っている。すべてのタンパク質 たんぱくしつ が複数 ふくすう のサブユニットを持 も つわけではない[51] 。
蛋白質 たんぱくしつ 構造 こうぞう データバンク からのタンパク質 たんぱくしつ 構造 こうぞう の例 れい 。
タンパク質 たんぱくしつ 群 ぐん のメンバーを示 しめ す(イソメラーゼ ドメイン のみを示 しめ す)。
摂取 せっしゅ されたタンパク質 たんぱくしつ は、通常 つうじょう 、小腸 しょうちょう で個々 ここ のアミノ酸 あみのさん やジペプチドに分解 ぶんかい され、体内 たいない に吸収 きゅうしゅう される。その後 ご 、再 ふたた び組 く み合 あ わされて新 あたら しいタンパク質 たんぱくしつ が作 つく られる。アミノ酸 あみのさん は、解 かい 糖 とう 、クエン酸 くえんさん 回路 かいろ 、ペントースリン酸 さん 経路 けいろ の中 なか 間 あいだ 生成 せいせい 物 ぶつ を使用 しよう して作 つく られる。ほとんどの細菌 さいきん や植物 しょくぶつ は、20種類 しゅるい すべてのアミノ酸 あみのさん を作 つく るのに必要 ひつよう な酵素 こうそ を持 も っている。しかし、ヒトをはじめとする哺乳類 ほにゅうるい は一部 いちぶ の酵素 こうそ を持 も たないため、イソロイシン 、ロイシン 、リシン 、メチオニン 、フェニルアラニン 、トレオニン 、トリプトファン 、バリン を作 つく ることができない。これらは食餌 しょくじ から摂取 せっしゅ しなければならないため必須 ひっす アミノ酸 あみのさん と呼 よ ばれる。哺乳類 ほにゅうるい は、アラニン 、アスパラギン 、アスパラギン酸 さん 、システイン 、グルタミン酸 ぐるたみんさん 、グルタミン 、グリシン 、プロリン 、セリン 、チロシン を合成 ごうせい することができ、これらは非 ひ 必須 ひっす アミノ酸 あみのさん と呼 よ ぶ。アルギニン やヒスチジン は作 つく ることができるが、成長 せいちょう 期 き の動物 どうぶつ には十分 じゅうぶん な量 りょう を産 さん 生 せい できないので、必須 ひっす アミノ酸 あみのさん とされることがある。
アミノ酸 あみのさん からアミノ基 もと を取 と り除 のぞ くと、α あるふぁ -ケト酸 さん という炭素 たんそ 骨格 こっかく が生成 せいせい する。トランスアミナーゼ (アミノ基 もと 転移 てんい 酵素 こうそ )と呼 よ ばれる酵素 こうそ は、あるアミノ酸 あみのさん (α あるふぁ -ケト酸 さん になる)から別 べつ のα あるふぁ -ケト酸 さん (アミノ酸 あみのさん になる)へ、アミノ基 もと を容易 ようい に転移 てんい させることができる。この過程 かてい はタンパク質 たんぱくしつ 生 せい 合成 ごうせい において重要 じゅうよう である。多 おお くの生化学 せいかがく 的 てき 経路 けいろ では、他 た の経路 けいろ からの中 なか 間 あいだ 体 たい がα あるふぁ -ケト酸 さん 骨格 こっかく に変換 へんかん された後 のち 、多 おお くの場合 ばあい 、このアミノ基 もと 転移 てんい によってアミノ基 もと が付加 ふか される。その後 ご 、アミノ酸 あみのさん が結合 けつごう してタンパク質 たんぱくしつ が形成 けいせい されることもある。
タンパク質 たんぱくしつ が分解 ぶんかい される際 さい にも、同様 どうよう の過程 かてい で行 おこな われる。最初 さいしょ にタンパク質 たんぱくしつ は加水 かすい 分解 ぶんかい され、個々 ここ のアミノ酸 あみのさん になる。血液 けつえき 中 ちゅう にアンモニウム イオン(NH4 + )として存在 そんざい する遊離 ゆうり アンモニア (NH3 )は、生物 せいぶつ にとって有毒 ゆうどく であるため、生物 せいぶつ の必要 ひつよう に応 おう じてさまざまな方法 ほうほう で排泄 はいせつ しなければならない。動物 どうぶつ では、その必要 ひつよう 性 せい に応 おう じて、さまざまな戦術 せんじゅつ が進化 しんか してきた。単細胞 たんさいぼう 生物 せいぶつ はアンモニアを環境 かんきょう 中 ちゅう に放出 ほうしゅつ する。同様 どうよう に、硬骨魚 こうこつぎょ 類 るい はアンモニアを水中 すいちゅう に放出 ほうしゅつ してすばやく希釈 きしゃく する。一般 いっぱん に、哺乳類 ほにゅうるい は尿素 にょうそ 回路 かいろ によってアンモニアを尿素 にょうそ に変換 へんかん する。
2つのタンパク質 たんぱくしつ が近 きん 縁 えん かどうか、換言 かんげん すれば相 あい 同性 どうせい があるかどうかを判断 はんだん するために、科学 かがく 者 しゃ は配列 はいれつ アラインメント や構造 こうぞう アラインメント(英語 えいご 版 ばん ) などの手法 しゅほう を使用 しよう する。これらのツールは、関連 かんれん する分子 ぶんし 間 あいだ の相 あい 同性 どうせい を特定 とくてい するのに役立 やくだ ち、タンパク質 たんぱくしつ 群 ぐん の進化 しんか パターンを形成 けいせい する以上 いじょう の意味 いみ を持 も っている。2つのタンパク質 たんぱくしつ の配列 はいれつ がどの程度 ていど 似 に ているかを調 しら べることにより、その構造 こうぞう 、さらには機能 きのう に関 かん する知識 ちしき を得 え ることができる。
デオキシリボ核酸 かくさん (DNA)の構造 こうぞう 。右 みぎ 上 じょう はモノマーが結合 けつごう している様子 ようす を示 しめ す。
核酸 かくさん は、細胞 さいぼう 核 かく に多 おお く存在 そんざい する生体 せいたい 高分子 こうぶんし 群 ぐん の総称 そうしょう であり、すべての生 い きた細胞 さいぼう やウイルスで遺伝 いでん 情報 じょうほう の源 みなもと として使用 しよう されている[2] 。核酸 かくさん は、ヌクレオチド と呼 よ ばれるモノマーから構成 こうせい された、複雑 ふくざつ で高分子 こうぶんし 量 りょう の生化学 せいかがく 高分子 こうぶんし である。各 かく ヌクレオチドは、含窒素 もと 複素 ふくそ 環 たまき 塩基 えんき (プリン またはピリミジン )、ペントース糖 とう 、およびリン酸 さん 基 もと の3つの成分 せいぶん から構成 こうせい されている[52] 。
一般 いっぱん 的 てき な核酸 かくさん の構成 こうせい 要素 ようそ 。ヌクレオシド一 いち リン酸 さん 、ヌクレオシド二 に リン酸 さん 、ヌクレオシド三 さん リン酸 さん は、少 すく なくとも一 ひと つのリン酸 さん 基 もと (赤色 あかいろ )を持 も つことから、ヌクレオチドと呼 よ ばれる化合 かごう 物 ぶつ である。(ヌクレオシド (黄色 おうしょく )はリン酸 さん 基 もと を持 も たない)
もっともよく知 し られている核酸 かくさん は、デオキシリボ核酸 かくさん (DNA)とリボ核酸 かくさん (RNA)の2種類 しゅるい である。これらの生体 せいたい 高分子 こうぶんし では、各 かく ヌクレオチドのリン酸 さん 基 もと と糖 とう が結合 けつごう して骨格 こっかく を形成 けいせい し、窒素 ちっそ 塩基 えんき の配列 はいれつ が遺伝 いでん 情報 じょうほう の保存 ほぞん を担 にな っている。一般 いっぱん 的 てき な窒素 ちっそ 塩基 えんき は、アデニン 、シトシン 、グアニン 、チミン 、ウラシル の5種類 しゅるい である。核酸 かくさん の鎖 くさり に含 ふく まれる核酸 かくさん 塩基 えんき は、水素 すいそ 結合 けつごう によって互 たが いに結合 けつごう し、ジッパーのように相補 そうほ 的 てき な窒素 ちっそ 塩基 えんき の対 たい を作 つく る。アデニンはチミンまたはウラシルと結合 けつごう し、チミンはアデニンとのみ、シトシンとグアニンとのみ結合 けつごう する。ことができる。アデニンとチミン、アデニンとウラシルはそれぞれ2つの水素 すいそ 結合 けつごう を形成 けいせい し、シトシンとグアニンの間 あいだ は3つの水素 すいそ 結合 けつごう を形成 けいせい する。
細胞 さいぼう の遺伝 いでん 物質 ぶっしつ としての役割 やくわり に加 くわ え、細胞 さいぼう 内 ない のセカンドメッセンジャー としての役割 やくわり を担 にな うことも多 おお い。また、すべての生物 せいぶつ に存在 そんざい する主要 しゅよう なエネルギー担体分子 ぶんし であるアデノシン三 さん リン酸 さん (ATP)の構成 こうせい 要素 ようそ でもある。RNAとDNAの窒素 ちっそ 塩基 えんき は異 こと なり、アデニン、シトシン、グアニンは両方 りょうほう に存在 そんざい し、チミンはDNAにのみ、ウラシルはRNAにのみ存在 そんざい する。
グルコースはほとんどの生命 せいめい 体 たい のエネルギー源 げん である。たとえば、多 た 糖 とう は酵素 こうそ によってモノマーに分解 ぶんかい される(グリコーゲンホスホリラーゼ は、多 た 糖 とう であるグリコーゲンからグルコース残 ざん 基 もと を切断 せつだん する)。ラクトース(乳糖 にゅうとう )やスクロース(ショ糖 とう )などの二 に 糖類 とうるい は、2つの単 たん 糖 とう に切断 せつだん される。
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代謝 たいしゃ 経路 けいろ は、
一連 いちれん の
中 なか 間 あいだ 代謝 たいしゃ 産物 さんぶつ を
経 へ て
グルコース を
ピルビン酸 さん に
変換 へんかん する。
各 かく 段階 だんかい で、
化学 かがく 修飾 しゅうしょく は
異 こと なる
酵素 こうそ によって
行 おこな われる。
段階 だんかい 1と3では
ATP が
消費 しょうひ され、
段階 だんかい 7と10ではATPが
生成 せいせい する。
段階 だんかい 6-10はグルコース1
分子 ぶんし につき2
回 かい 行 おこな われるので、ATPの
正味 しょうみ の
生成 せいせい につながる。
グルコースは主 おも に、解 かい 糖 とう という非常 ひじょう に重要 じゅうよう な10段階 だんかい の経路 けいろ によって代謝 たいしゃ され、その結果 けっか 、1分子 ぶんし のグルコースが2分子 ぶんし のピルビン酸 さん に分解 ぶんかい される。また、細胞 さいぼう のエネルギー通貨 つうか であるATP (アデノシン三 さん リン酸 さん )の正味 しょうみ 2分子 ぶんし が生成 せいせい され、2分 ふん 子分 こぶん のNAD+ (酸化 さんか 型 がた のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)をNADH(還元 かんげん 型 がた のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に変換 へんかん する還元 かんげん 当 とう 量 りょう も生成 せいせい される。これには酸素 さんそ を必要 ひつよう としない。酸素 さんそ がない場合 ばあい (あるいは細胞 さいぼう が酸素 さんそ を使 つか えない場合 ばあい )、ピルビン酸 さん を乳酸 にゅうさん (例 れい : ヒト)またはエタノール と二酸化炭素 にさんかたんそ (例 れい : 酵母 こうぼ )に変換 へんかん することでNADを回復 かいふく される。ガラクトースやフルクトースなどの他 ほか の単 たん 糖 とう も、解 かい 糖 とう 経路 けいろ の中 なか 間 あいだ 体 たい に変換 へんかん される[53] 。
ヒトのほとんどの細胞 さいぼう のように、十分 じゅうぶん な酸素 さんそ が存在 そんざい する好 こう 気性 きしょう 細胞 さいぼう (英語 えいご 版 ばん ) では、ピルビン酸 さん はさらに代謝 たいしゃ される。ピルビン酸 さん は不 ふ 可逆 かぎゃく 的 てき にアセチルCoA に変換 へんかん され、1個 いっこ の炭素 たんそ 原子 げんし が老廃 ろうはい 物 ぶつ の二酸化炭素 にさんかたんそ として排出 はいしゅつ され、別 べつ の還元 かんげん 当 とう 量 りょう としてNADH が生成 せいせい される。次 つぎ に、2分子 ぶんし のアセチルCoA(1分子 ぶんし のグルコースから)がクエン酸 くえんさん 回路 かいろ に入 はい り、2分子 ぶんし のATP、さらに6分子 ぶんし のNADH、2つの還元 かんげん 型 がた (ユビ )キノン(酵素 こうそ 結合 けつごう 補 ほ 因子 いんし としてFADH2 を経由 けいゆ )を生成 せいせい し、残 のこ りの炭素 たんそ 原子 げんし を二酸化炭素 にさんかたんそ として放出 ほうしゅつ する。生成 せいせい したNAD+ とキノール分子 ぶんし は、呼吸 こきゅう 鎖 くさり の酵素 こうそ 複 ふく 合体 がったい に供給 きょうきゅう され、電子 でんし 伝達 でんたつ 系 けい が電子 でんし を最終 さいしゅう 的 てき に酸素 さんそ に伝達 でんたつ し、放出 ほうしゅつ されたエネルギーを生体 せいたい 膜 まく (真 ま 核 かく 生物 せいぶつ ではミトコンドリア内 ない 膜 まく )を介 かい したプロトン 濃度 のうど 勾配 こうばい の形 かたち で保存 ほぞん する。こうして、酸素 さんそ は水 みず に還元 かんげん され、元 もと の電子 でんし 受容 じゅよう 体 たい であるNAD+ とキノンが再生 さいせい される。ヒトが酸素 さんそ を吸 す い、二酸化炭素 にさんかたんそ を吐 は き出 だ すのはこのためである。NADHとキノールの高 こう エネルギー状態 じょうたい から電子 でんし が移動 いどう することで放出 ほうしゅつ されたエネルギーは、最初 さいしょ にプロトン勾配 こうばい として蓄 たくわ えられ、ATPシンターゼ (合成 ごうせい 酵素 こうそ )によってATPに変換 へんかん される。これにより、さらに28分子 ぶんし のATPが生成 せいせい され(8つのNADHから24、2つのキノールから4つ)、分解 ぶんかい されたグルコース1分子 ぶんし あたり合計 ごうけい 32分子 ぶんし のATPが保存 ほぞん される(解 かい 糖 とう から2つ、クエン酸 くえんさん 回路 かいろ から2つ)[54] 。このように、酸素 さんそ を使 つか ってグルコースを完全 かんぜん に酸化 さんか することは、酸素 さんそ に依存 いぞん しない代謝 たいしゃ 機能 きのう よりもはるかに多 おお くのエネルギーを生物 せいぶつ に与 あた えることは明 あき らかで、これが、地球 ちきゅう の大気 たいき に大量 たいりょう の酸素 さんそ が蓄積 ちくせき された後 のち に複雑 ふくざつ な生命 せいめい が出現 しゅつげん した理由 りゆう であると考 かんが えられている。
脊椎動物 せきついどうぶつ では、骨格 こっかく 筋 すじ が激 はげ しく収縮 しゅうしゅく するとき(例 れい : 重量挙 じゅうりょうあ げや全力 ぜんりょく 疾走 しっそう のとき)、エネルギー需要 じゅよう に見合 みあ うだけの酸素 さんそ が供給 きょうきゅう されないため、グルコースを乳酸 にゅうさん に変換 へんかん するために嫌気 いやけ 性 せい 代謝 たいしゃ (英語 えいご 版 ばん ) に切 き り替 か わる。脂肪 しぼう やタンパク質 たんぱくしつ などの炭水化物 たんすいかぶつ 以外 いがい からのグルコースが組 く み合 あ わせ。これは、肝臓 かんぞう のグリコーゲン の貯蔵 ちょぞう が枯渇 こかつ したときにのみ起 お こる。この経路 けいろ は、ピルビン酸 さん からグルコースへの解 かい 糖 とう の根本 こんぽん 的 てき な逆転 ぎゃくてん であり、アミノ酸 あみのさん 、グリセロール、クレブス回路 かいろ (クエン酸 くえんさん 回路 かいろ ) のような多 おお くの供給 きょうきゅう 源 げん を使用 しよう することができる。大 だい 規模 きぼ なタンパク質 たんぱくしつ と脂肪 しぼう の異化 いか は、通常 つうじょう 、飢餓 きが やある種 しゅ の内分泌 ないぶんぴつ 疾患 しっかん に伴 ともな って起 お こる[55] 。肝臓 かんぞう は、糖 とう 新生 しんせい と呼 よ ばれる過程 かてい を通 つう じてグルコースを再 さい 生成 せいせい する。この過程 かてい は解 かい 糖 とう と全 まった く逆 ぎゃく ではなく、実際 じっさい には解 かい 糖 とう の3倍 ばい のエネルギーを必要 ひつよう とする(解 かい 糖 とう では2分子 ぶんし のATPが得 え られるのに対 たい し、6分子 ぶんし のATPが使用 しよう される)。上記 じょうき の反応 はんのう と同様 どうよう に、生成 せいせい されたグルコースは、エネルギーを必要 ひつよう とする組織 そしき で解 かい 糖 とう されたり、グリコーゲン(植物 しょくぶつ ではデンプン )として貯蔵 ちょぞう されたり、他 た の単 たん 糖 とう に変換 へんかん されたり、二 に 糖 とう またはオリゴ糖 とう に結合 けつごう されたりする。運動 うんどう 中 ちゅう の解 かい 糖 とう 、血 ち 流 りゅう を介 かい した乳酸 にゅうさん の肝臓 かんぞう への移動 いどう 、その後 ご の糖 とう 新生 しんせい 、そして血 ち 流 りゅう へのグルコースの放出 ほうしゅつ という経路 けいろ を組 く み合 あ わせたものをコリ回路 かいろ と呼 よ ぶ[56] 。
他 た の「分子 ぶんし スケール」生物 せいぶつ 科学 かがく との関係 かんけい
編集 へんしゅう
生化学 せいかがく 、遺伝 いでん 学 がく 、分子生物学 ぶんしせいぶつがく との関係 かんけい 図 ず 。
生化学 せいかがく の研究 けんきゅう 者 しゃ は、生化学 せいかがく に特有 とくゆう の技術 ぎじゅつ を使用 しよう するが、これらを遺伝 いでん 学 がく 、分子生物学 ぶんしせいぶつがく 、生物 せいぶつ 物理 ぶつり 学 がく の分野 ぶんや で開発 かいはつ された技術 ぎじゅつ や考 かんが え方 かた と組 く み合 あ わせることも多 おお くなっている。これらの分野 ぶんや の間 あいだ に明確 めいかく な境界 きょうかい 線 せん はない。生化学 せいかがく は分子 ぶんし の生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 活性 かっせい に必要 ひつよう な化学 かがく を研究 けんきゅう し、分子生物学 ぶんしせいぶつがく は分子 ぶんし の生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 活性 かっせい を研究 けんきゅう し、遺伝 いでん 学 がく はゲノム が担 にな う分子 ぶんし の遺伝 いでん 現象 げんしょう を研究 けんきゅう する学問 がくもん である。このことは、右 みぎ 上 じょう の図 ず に示 しめ すように、各 かく 分野 ぶんや の関係 かんけい を表 あらわ す一 ひと つの可能 かのう 性 せい である。
生化学 せいかがく (英 えい : biochemistry )は、生体 せいたい 内 うち で起 お こる化学 かがく 物質 ぶっしつ と生命 せいめい 現象 げんしょう を研究 けんきゅう する学問 がくもん である。生化学 せいかがく 者 しゃ は、生体 せいたい 分子 ぶんし の役割 やくわり 、機能 きのう 、および構造 こうぞう に重点 じゅうてん を置 お いている。生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 過程 かてい の背後 はいご にある化学 かがく の研究 けんきゅう や、生物 せいぶつ 学 がく 的 てき に活性 かっせい な分子 ぶんし の合成 ごうせい は、生化学 せいかがく の応用 おうよう である。生化学 せいかがく は、原子 げんし および分子 ぶんし のレベルでの生命 せいめい の研究 けんきゅう である。
遺伝 いでん 学 がく (英 えい : genetics )とは、生物 せいぶつ における遺伝 いでん 的 てき な差異 さい がもたらす影響 えいきょう を研究 けんきゅう する学問 がくもん である。多 おお くの場合 ばあい は、正常 せいじょう な構成 こうせい 要素 ようそ (例 れい : 1つの遺伝子 いでんし )の欠如 けつじょ から推測 すいそく することができる。変異 へんい 体 たい 、いわゆる野生 やせい 型 がた あるいは正常 せいじょう な表現 ひょうげん 型 がた と比較 ひかく して1つか複数 ふくすう の機能 きのう 的 てき 構成 こうせい 要素 ようそ を欠 か く生物 せいぶつ の研究 けんきゅう である。遺伝 いでん 的 てき 相互 そうご 作用 さよう (エピスタシス )は、このような「ノックアウト 」研究 けんきゅう の単純 たんじゅん な解釈 かいしゃく をしばしば混乱 こんらん させる。
分子生物学 ぶんしせいぶつがく (英 えい : molecular biology )は、分子 ぶんし の合成 ごうせい 、修飾 しゅうしょく 、機構 きこう 、および相互 そうご 作用 さよう に焦点 しょうてん を当 あ てた、生命 せいめい 現象 げんしょう の分子 ぶんし 基盤 きばん を研究 けんきゅう する学問 がくもん である。遺伝 いでん 物質 ぶっしつ がRNAに転写 てんしゃ され、さらにタンパク質 たんぱくしつ に翻訳 ほんやく されるという分子生物学 ぶんしせいぶつがく のセントラルドグマ は、単純 たんじゅん 化 か されすぎてはいるものの、この分野 ぶんや を理解 りかい するための良 よ い出発 しゅっぱつ 点 てん となる。この概念 がいねん は、RNA の新 あら たな役割 やくわり の出現 しゅつげん によって見直 みなお されている。
化学 かがく 生物 せいぶつ 学 がく (英 えい : chemical biology )は、小 しょう 分子 ぶんし に基 もと づく新 あたら しいツールを開発 かいはつ し、生体 せいたい 系 けい への影響 えいきょう を最小限 さいしょうげん に抑 おさ えながら、その機能 きのう に関 かん する詳細 しょうさい な情報 じょうほう を提供 ていきょう することを目指 めざ している。さらに、化学 かがく 生物 せいぶつ 学 がく では、生体 せいたい 分子 ぶんし と合成 ごうせい 装置 そうち との非 ひ 天然 てんねん ハイブリッドを作 つく り出 だ すために生体 せいたい システムを利用 りよう している(たとえば、遺伝子 いでんし 治療 ちりょう や薬剤 やくざい 分子 ぶんし を送達 そうたつ できる空 そら のウイルスキャプシド )。
生化学 せいかがく 実験 じっけん はIn vitro実験 じっけん とも呼 よ ばれるように生体 せいたい 細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 器官 きかん 内 ない で生 しょう じる生化学 せいかがく 反応 はんのう を、複雑 ふくざつ な代謝 たいしゃ 経路 けいろ や調節 ちょうせつ 機構 きこう から切 き り離 はな してまさに試験管 しけんかん のなかで再現 さいげん することで研究 けんきゅう が進展 しんてん してきた。21世紀 せいき に入 はい ると標識 ひょうしき 化 か 技術 ぎじゅつ や測定 そくてい 技術 ぎじゅつ の進歩 しんぽ で生 い きている細胞 さいぼう 内 ない で生化学 せいかがく 反応 はんのう を間接 かんせつ 的 てき に追跡 ついせき することも可能 かのう になってきたが、生体 せいたい 組織 そしき から目的 もくてき の成分 せいぶん を分離 ぶんり 精製 せいせい する実験 じっけん 技術 ぎじゅつ は生化学 せいかがく 研究 けんきゅう においては重要 じゅうよう な研究 けんきゅう 技術 ぎじゅつ である。
一般 いっぱん に消化 しょうか 酵素 こうそ やホルモン のように分泌 ぶんぴつ 型 がた の生体 せいたい 物質 ぶっしつ でない限 かぎ りは、酵素 こうそ や受容 じゅよう 体 たい を含 ふく めて目的 もくてき の生体 せいたい 物質 ぶっしつ は特定 とくてい の組織 そしき 細胞 さいぼう の特定 とくてい の細胞 さいぼう 小 しょう 器官 きかん にのみ発現 はつげん ・存在 そんざい している。したがって、生化学 せいかがく 実験 じっけん は標的 ひょうてき 組織 そしき を多数 たすう 採集 さいしゅう し、そこから目的 もくてき の生体 せいたい 物質 ぶっしつ を分離 ぶんり 精製 せいせい するところから始 はじ まる。
DNAのように細胞 さいぼう 破砕 はさい 後 ご に、エタノール沈澱 ちんでん するだけで捕 と 集 しゅう できるものもあるが多 おお くの場合 ばあい 、細胞 さいぼう 破砕 はさい 後 ご に密度 みつど 勾配 こうばい 法 ほう による遠心 えんしん 分離 ぶんり で目的 もくてき の細胞 さいぼう 内 ない 器官 きかん を密度 みつど により選択 せんたく し捕 ど 集 しゅう する。溶液 ようえき には塩化 えんか セシウム などが用 もち いられる。この状態 じょうたい では多 おお くの場合 ばあい 、酵素 こうそ や受容 じゅよう 体 たい は細胞 さいぼう 膜 まく に取 と り込 こ まれていたり、膜 まく の二 に 重層 じゅうそう に埋 う め込 こ まれているので、界面 かいめん 活性 かっせい 剤 ざい を使 つか って脂質 ししつ 膜 まく と分離 ぶんり 〈可 か 溶化〉する必要 ひつよう がある。
目的 もくてき の生体 せいたい 高分子 こうぶんし の精製 せいせい は古 ふる くは半 はん 透 とおる 膜 まく による透析 とうせき が行 おこな われたが、20世紀 せいき 後半 こうはん からはゲル濾過 ろか クロマトグラフィー やアフィニティークロマトグラフィー により目的 もくてき 物 ぶつ を精製 せいせい することが可能 かのう になった[57] [58] 。
代謝 たいしゃ による生体 せいたい 内 ない 物質 ぶっしつ の移動 いどう や変化 へんか の追跡 ついせき にはトレーサー 物質 ぶっしつ が利用 りよう される。古 ふる くから放射 ほうしゃ 性 せい あるいは非 ひ 放射 ほうしゃ 性 せい 同位 どうい 体 たい を組 く み込 こ んだ生体 せいたい 内 ない 物質 ぶっしつ が広 ひろ く利用 りよう された。しかし同位 どうい 体 たい 置換 ちかん した生体 せいたい 内 ない 物質 ぶっしつ を用意 ようい することは困難 こんなん をともない、放射 ほうしゃ 性 せい トレーサー の場合 ばあい はラジオアイソトープセンターなど専用 せんよう 実験 じっけん 施設 しせつ が必要 ひつよう な為 ため 、今日 きょう では抗体 こうたい 染色 せんしょく やELISA 法 ほう など同位 どうい 体 たい を使用 しよう しないトレーサーが広 ひろ く利用 りよう されている[59] 。また、微量 びりょう 機器 きき 分析 ぶんせき 技術 ぎじゅつ の進展 しんてん によりMALDI法 ほう などの質量 しつりょう 分析 ぶんせき でクロマトグラフィ・スポット(ピーク)から直接 ちょくせつ 、標的 ひょうてき 物質 ぶっしつ の同定 どうてい も可能 かのう である[60] 。
イオンチャネル の研究 けんきゅう においては、生体 せいたい 膜 まく にガラスの毛細管 もうさいかん を押 お し当 あ てることで、管内 かんない にイオンチャネルを閉 と じ籠 こ めて生化学 せいかがく 実験 じっけん を行 おこな うパッチクランプ の実験 じっけん 技術 ぎじゅつ によって上記 じょうき のように生体 せいたい 成分 せいぶん を分離 ぶんり せずに実験 じっけん を行 おこな う技法 ぎほう も開発 かいはつ された。
1990年代 ねんだい 以降 いこう には特定 とくてい の無機 むき イオンに反応 はんのう して蛍光 けいこう を発 はっ する標識 ひょうしき 色素 しきそ やルシフェラーゼ遺伝子 いでんし を応用 おうよう した形質 けいしつ 導入 どうにゅう によって、細胞 さいぼう 外 がい から蛍光 けいこう 顕微鏡 けんびきょう で発光 はっこう 現象 げんしょう を追跡 ついせき することで間接 かんせつ 的 てき に生化学 せいかがく 反応 はんのう をトレースすることも可能 かのう になってきている。
^ 果物 くだもの に含 ふく まれる糖分 とうぶん はフルクトース(果糖 かとう )だけではない。グルコース(ブドウ糖 ぶどうとう )とスクロース(ショ糖 とう )もさまざまな果物 くだもの に含 ふく まれており、時 とき にはフルクトースを上回 うわまわ ることもある。たとえば、デーツ (ナツメヤシの果実 かじつ )の可 か 食 しょく 部 ぶ の32%はグルコースで、フルクトースは24%、スクロースは8%である。しかし、モモ にはフルクトース(0.93%)やグルコース(1.47%)よりも多 おお くのスクロース(6.66%)が含 ふく まれている。[43]
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