陪審ばいしんせい

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陪審ばいしんせい(ばいしんせい、えい: jury trial, trial by jury)とは、陪審ばいしんいん判決はんけつ事実じじつ認定にんていおこな合法ごうほうてき手続てつづきのことである。これは、裁判官さいばんかんまたは裁判官さいばんかんだんがすべての決定けっていくだすベンチ・トライアル (bench trial)とはことなる。

陪審ばいしんいん裁判さいばんは、おおくのコモン・ロー司法しほう制度せいどにおいて、重大じゅうだい刑事けいじ事件じけんのかなりの部分ぶぶんもちいられているが、すべてではない。アジアのコモン・ロー地域ちいきシンガポールパキスタンインドマレーシアなど)では、陪審ばいしんいん偏見へんけんちやすいという理由りゆう陪審ばいしんいん裁判さいばん廃止はいししているくにおおい。また、おおくの大陸たいりくほうくにでは、刑事けいじ事件じけんについては、陪審ばいしんいん裁判さいばんいんほう制度せいどまれている。米国べいこくのみが、刑事けいじ事件じけん以外いがい様々さまざま事件じけん陪審ばいしんいん裁判さいばん日常にちじょうてき利用りようしている。のコモン・ロー法域ほういきでは、民事みんじ事件じけん全体ぜんたいなかでごく一部いちぶ事件じけんイングランドウェールズにおける悪質あくしつ起訴きそあやまった投獄とうごく訴訟そしょうなど)でのみ陪審ばいしん裁判さいばん採用さいようしているが、世界せかいほか地域ちいきでは、民事みんじ陪審ばいしん裁判さいばんはほとんどおこなわれていない。しかし、一部いちぶ大陸たいりくほう地域ちいきでは仲裁ちゅうさいパネルが設置せっちされており、法的ほうてき訓練くんれんけていないメンバーが、仲裁ちゅうさいパネルのメンバーの専門せんもん分野ぶんや関連かんれんする特定とくてい主題しゅだい分野ぶんや事件じけん決定けっていしている。

陪審ばいしん裁判さいばんは、大陸たいりくほう制度せいどではなくコモン・ロー制度せいどなか発展はってんしてきたものであり、たとえ特定とくてい事件じけん実際じっさいにはベンチ・トライアルが想定そうていされていたとしても、米国べいこく民事みんじ訴訟そしょう規則きそく刑事けいじ訴訟そしょう規則きそく性質せいしつおおきな影響えいきょうあたえてきた。一般いっぱんてきに、適切てきせつ要求ようきゅうされれば陪審ばいしんいん裁判さいばんけることができるため、事実じじつ認定にんていふくすうかい審理しんりではなく1かい裁判さいばん集中しゅうちゅうし、裁判さいばん判決はんけつたいする上訴じょうそ審査しんさ大幅おおはば制限せいげんされている。コモン・ロー制度せいどたないくにでは、陪審ばいしん裁判さいばん重要じゅうようせいははるかにひくい。

概要がいよう[編集へんしゅう]

構成こうせい[編集へんしゅう]

陪審ばいしんには、刑事けいじ事件じけん被疑ひぎしゃ起訴きそするかかを陪審ばいしんいん決定けっていするだい陪審ばいしん(だいばいしん、えい:grand jury、起訴きそ陪審ばいしん)と、陪審ばいしんいん刑事けいじ訴訟そしょう民事みんじ訴訟そしょう審理しんり参加さんかするしょう陪審ばいしん(しょうばいしん、えい:petit jury、審理しんり陪審ばいしん)がある。これらの名称めいしょうは、伝統でんとうてきだい陪審ばいしんは23にんしょう陪審ばいしんは12にん構成こうせいされていることによる。一般いっぱん陪審ばいしんという場合ばあいしょう陪審ばいしんのことをす。

陪審ばいしんいん一般いっぱん市民しみんから無作為むさくいえらばれ、刑事けいじ事件じけん民事みんじ事件じけん審理しんりったのち陪審ばいしんいんのみで評議ひょうぎおこない、結論けつろんである評決ひょうけつくだす。同様どうよう一般いっぱん市民しみん裁判さいばん参加さんかする制度せいどとしてさんしんせいや、日本にっぽん実施じっしされている裁判さいばんいん制度せいどがあるが、陪審ばいしんせい裁判官さいばんかん評議ひょうぎくわわらず、陪審ばいしんいんのみで事実じじつ認定にんていほう適用てきようおこなてんでこれらとことなる。

陪審ばいしんせいイギリスふるくから発展はってんし、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくひとしがれたものである。

アメリカでは連邦れんぽう各州かくしゅう憲法けんぽう刑事けいじ陪審ばいしんおよ民事みんじ陪審ばいしん保障ほしょうされており、としに9まんけん以上いじょう陪審ばいしん審理しんりおこなわれている。イギリスでも刑事けいじ陪審ばいしんおこなわれているが、民事みんじ陪審ばいしんはほとんどおこなわれていない。そのオーストラリアカナダ韓国かんこくデンマークニュージーランドロシアとう陪審ばいしんせいおこなわれている。

日本にっぽんでも戦前せんぜん1928ねん昭和しょうわ3ねん)から刑事けいじ陪審ばいしん実施じっしされたが、1943ねん昭和しょうわ18ねん)に施行しこう停止ていしされたまま現在げんざいいたっている。

審理しんり手続てつづき[編集へんしゅう]

現在げんざい陪審ばいしんせい実施じっしされているおもくにであるアメリカ(連邦れんぽう各州かくしゅうおよびイギリス(イングランドウェールズ)における一般いっぱんてき陪審ばいしん審理しんり手続てつづきは、以下いかのとおりである[1]

陪審ばいしんいんかずは、伝統でんとうてきには12にんであるが、法域ほういきくにしゅう[ちゅう 1]によって、これよりすくない人数にんずうとしているところもある。陪審ばいしんいんは、一般いっぱん市民しみんなかから無作為むさくい選任せんにんされ、宣誓せんせいのち法廷ほうていなかもうけられた陪審ばいしんいんせき着席ちゃくせきして審理しんり対審たいしん[ちゅう 2])にう。

ネバダしゅうにある裁判所さいばんしょ陪審ばいしんいんせき通常つうじょう陪審ばいしんいんせき左右さゆうどちらかの壁際かべぎわにあり、法廷ほうてい中央ちゅうおうもうけられているのはめずらしい。

陪審ばいしんいん参加さんかする審理しんりにおいては、裁判官さいばんかん法廷ほうてい主催しゅさいして訴訟そしょう指揮しき異議いぎ裁定さいていなど)をおこない、陪審ばいしんいん偏見へんけんあたえられたり、不適切ふてきせつ証拠しょうこ法廷ほうていまれたりすることをふせぐ。そして、裁判官さいばんかんは、審理しんりわった段階だんかいで、陪審ばいしんいんに、どのようなほう適用てきようされるべきかという詳細しょうさい説示せつじ (えい:instruction, charge) をおこなう。陪審ばいしんは、法廷ほうてい提出ていしゅつされた証拠しょうこと、裁判官さいばんかん説示せつじまえ、事実じじつ認定にんていとその事実じじつたいするほう適用てきよう双方そうほうについて密室みっしつ評議ひょうぎしたうえで、評決ひょうけつ (えい:verdict) を答申とうしんする[ちゅう 3]民事みんじ陪審ばいしんでは、たとえば被告ひこく責任せきにん有無うむだけでなく損害そんがい賠償ばいしょうがくについても評決ひょうけつ答申とうしんする。刑事けいじ事件じけんでは、陪審ばいしん有罪ゆうざい無罪むざい答申とうしんし、有罪ゆうざい場合ばあい量刑りょうけいについては裁判官さいばんかん決定けっていするのが原則げんそくである。評決ひょうけつは、伝統でんとうてき全員ぜんいん一致いっちであることが必要ひつようであるが、現在げんざいでは、法域ほういきによって特別とくべつ多数決たすうけつ(11たい1や10たい2など)をみとめるところもある。陪審ばいしんいん意見いけんかれ、全員ぜんいん一致いっち特別とくべつ多数決たすうけつ条件じょうけんたさない場合ばあい評決ひょうけつ不能ふのう英語えいごばん (えい:hung jury) となり、あらたな陪審ばいしん選任せんにんから裁判さいばんをすべてやりなお必要ひつようがある法域ほういきおおい。

評決ひょうけつ場合ばあい裁判官さいばんかんは、その評決ひょうけつしたがって判決はんけつくだす。ただし、陪審ばいしんいん判断はんだん証拠しょうこ無視むししたいちじるしく不適切ふてきせつなものであると判断はんだんしたときに、裁判官さいばんかんが、陪審ばいしんいん判断はんだんによらず判決はんけつくだすことができる場合ばあいがある(後述こうじゅつ#アメリカの民事みんじ陪審ばいしんにおける「法律ほうりつ問題もんだいとしての判決はんけつ」など)。

類似るいじ制度せいど[編集へんしゅう]

くわしくはかく項目こうもく参照さんしょう

さんしんせい[編集へんしゅう]

陪審ばいしんいんだけが事実じじつ認定にんていおこな陪審ばいしんせいことなり、職業しょくぎょう裁判官さいばんかん民間みんかんじんさんしんいん)がともに審理しんり評議ひょうぎおこな制度せいどのこと。おもにヨーロッパの大陸たいりく諸国しょこく採用さいようされている。まいりしんいんは、事件じけんごとにえらばれる陪審ばいしんいんことなり、任期にんきせいである[2]

裁判さいばんいん制度せいど[編集へんしゅう]

日本にっぽん2009ねん平成へいせい21ねん)5がつ21にちから施行しこうされた裁判さいばんいん制度せいどは、原則げんそくとして一般いっぱん市民しみんからえらばれた裁判さいばんいん6めい職業しょくぎょう裁判官さいばんかん3めいによる合議ごうぎたいにより、一定いってい重大じゅうだい刑事けいじ事件じけん審理しんりおこない、事実じじつ認定にんていおよ量刑りょうけい判断はんだんするものであり、さんしんせいちか制度せいどである。ただし、裁判さいばんいん事件じけんごとにえらばれるてんではまいりしんせいことなる[3]

歴史れきし[編集へんしゅう]

イングランドにおける生成せいせい発展はってん[編集へんしゅう]

イングランドおうヘンリー2せい在位ざいい1154ねん-1189ねん)。今日きょう陪審ばいしんせい原型げんけいとなる制度せいどもうけた。

陪審ばいしん起源きげんは、すくなくとも9世紀せいき初頭しょとうフランク王国おうこくで、国王こくおう権利けんり確認かくにんするために地域ちいき重要じゅうようもの証言しょうげんさせた制度せいど (Frankish Inquest) にさかのぼることができる[4]カール大帝たいてい息子むすこルートヴィヒ1せいが、829ねんに、国王こくおう権利けんりについて判断はんだんするさい、その地方ちほうもっとすぐれた、もっと信頼しんらいできる人物じんぶつ12にん宣誓せんせいうえ陳述ちんじゅつさせるという制度せいどもうけた[5]。この制度せいどノルマン・コンクエスト(11世紀せいき)をイングランドつたえられたとされる[6]。なお、こうして大陸たいりくからもたらされた制度せいどとはべつに、997ねんころアングロ・サクソンおうエゼルレッド2せいが、12にん騎士きしに、きよしぶつたいして「いかなる無実むじつもの訴追そついすることなく、いかなる有罪ゆうざいものかくすことはない」との宣誓せんせいをさせることとした法律ほうりつにも、陪審ばいしんひとつの起源きげんさかのぼることができるというせつがある[7]

いずれにしても、現代げんだい陪審ばいしんせい形成けいせいについては、12世紀せいきのイングランドおうヘンリー2せいもうけた制度せいどと、1215ねんマグナ・カルタおおきく寄与きよしたというてんおおくの歴史れきし一致いっちしている[7]。ヘンリー2せいは、司法しほう制度せいどたいする国王こくおう支配しはいおよぼすために陪審ばいしん利用りようしたとわれる[8]。ヘンリー2せいは、土地とち相続そうぞくあらそいを解決かいけつするためにアサイズ (assize) という訴訟そしょう類型るいけいもうけた。そこでは、自由じゆうかつ法律ほうりつじょう資格しかくのある男性だんせい12にんあつめられ、宣誓せんせいしただれしん所有しょゆうしゃないし相続そうぞくじんであるかについてみずからの知識ちしきべた。これは今日きょう民事みんじ陪審ばいしん原型げんけいといえる。ヘンリー2せいは、刑事けいじ裁判さいばんでも、1166ねんのクラレンドンみことのりれいにおいて、だい陪審ばいしんたる訴追そつい陪審ばいしん創設そうせつし、法律ほうりつじょう資格しかくのあるおとこたちに、宣誓せんせいした犯罪はんざいについてうたがわしい人物じんぶつだれらないか報告ほうこくさせた。当時とうじ、こうして訴追そついされたもの神明しんめい裁判さいばんにかけられていた[9]

マグナ・カルタ署名しょめいするジョンおう在位ざいい1199ねん-1216ねん)。

1215ねんマグナ・カルタでは、同輩どうはいから陪審ばいしん判決はんけつによるのでなければ処罰しょばつされないという権利けんり宣言せんげんされた(39じょう)。これは、貴族きぞく王権おうけん制限せいげんするためにジョンおうみとめさせたものであった[10][11]おなねんだい4ラテランこう会議かいぎで、教皇きょうこうインノケンティウス3せいが、聖職せいしょくしゃ神明しんめい裁判さいばんへの参加さんかきんじたことにより、神明しんめい裁判さいばんおこなうことがむずかしくなったこともあって、それにわるものとして陪審ばいしんによる審理しんりひろがっていった[12]

そのころの陪審ばいしん役割やくわりは、まだ、証人しょうにんとしてみずからの知識ちしきべるというものであった。証拠しょうこもとづいて事実じじつ認定にんていおこなうという現代げんだいてき役割やくわりになうようになったのは、14世紀せいきないし15世紀せいきになってからである。もっとも、そのも、17世紀せいきころまでは、陪審ばいしんいん法廷ほうていあらわれた証拠しょうこのほかに個人こじんてき知識ちしきもとづいて評決ひょうけつくだすことができ、そのてん中立ちゅうりつせいつよ要求ようきゅうされていなかった[13]

また、初期しょき陪審ばいしんせいにおいては、陪審ばいしんいんが、有罪ゆうざい評決ひょうけつ答申とうしんするまで監禁かんきんされるということもおこなわれていた。ほししつ裁判所さいばんしょでは、有罪ゆうざい評決ひょうけつすことをこばんだ陪審ばいしんいんたいし、土地とち財産ざいさん没収ぼっしゅうして処罰しょばつしたことがられている。このような伝統でんとうからの転換てんかんてんとなったのが、1670ねんのブシェル事件じけん (Bushel's Case) であった。クエーカーであったウィリアム・ペンとウィリアム・ミードが集会しゅうかい煽動せんどうざい訴追そついされたさい有罪ゆうざい評決ひょうけつすことをこばんだ12にん陪審ばいしんいんは、ものみずあたえられずに2ばん監禁かんきんされ、それでも無罪むざい評決ひょうけつ撤回てっかいしなかったため、罰金ばっきんおさめるまでのあいだ懲役ちょうえきけいしょせられた。ブシェルをはじめとする4にん陪審ばいしんいん罰金ばっきんおさめることを拒否きょひし、ヘイビアス・コーパスうったえを提起ていきしたところ、高等法院こうとうほういん王座おうざ首席しゅせき判事はんじは、陪審ばいしん事実じじつ認定にんていについてほかからの干渉かんしょうけないという画期的かっきてき判断はんだんをしてブシェルらを釈放しゃくほうした[14]

こうして、17世紀せいきころには、陪審ばいしん被告人ひこくにんにとって、苛酷かこく刑罰けいばつからの防護ぼうごかべという重要じゅうよう位置付いちづけをあたえられるようになった。ふるくからのイングランドの刑罰けいばつは、重罪じゅうざい事件じけん有罪ゆうざいになればほとんどが死刑しけいしょせられていたが、中世ちゅうせいから18世紀せいきにかけての裁判さいばん記録きろくには、陪審ばいしんいんおおくの重罪じゅうざい事件じけん被告人ひこくにん無罪むざいとしたり、烙印らくいん鞭打むちう程度ていどむ、よりかるつみとしたりしたことがしるされている[15]

アメリカにおける継受けいじゅ[編集へんしゅう]

アメリカも、植民しょくみん時代じだいからイギリスの陪審ばいしんせい継受けいじゅし、13くにともに憲法けんぽう陪審ばいしんせい保障ほしょうしていた[16]。アメリカ植民しょくみんでは、陪審ばいしんせいは、当初とうしょ重要じゅうよう地位ちいめていたわけではないが、18世紀せいきなかばにイギリスの支配しはいたいする批判ひはんたかまってくるにつれて、本国ほんごく圧制あっせい抵抗ていこうする手段しゅだんとしての役割やくわりたすようになった。植民しょくみんにおいては、イギリス国王こくおう任命にんめいした検察官けんさつかん訴追そついおこない、国王こくおう任命にんめいした裁判官さいばんかん裁判さいばん主宰しゅさいしていたなか陪審ばいしんだけがおな植民しょくみんじんから構成こうせいされていたからである[17]1735ねんには、ニューヨーク植民しょくみん総督そうとくたいする批判ひはんてき記事きじにより文書ぶんしょ煽動せんどうざい起訴きそされた新聞しんぶん出版しゅっぱん業者ぎょうしゃジョン・ピーター・ゼンガーに、事実じじつ関係かんけいあらそいがなかったにもかかわらず、ニューヨーク陪審ばいしん無罪むざい評決ひょうけつくだした。また、イギリスは、植民しょくみん貿易ぼうえき支配しはいするため、植民しょくみん出入でいりする商品しょうひんはイギリスの船舶せんぱくはこばなければならないなどとする航海こうかい条例じょうれいもとづく取締とりしまりをおこなったが、陪審ばいしんはしばしば無罪むざい評決ひょうけつした。これにたいし、イギリスは陪審ばいしん審理しんりもちいない特別とくべつ裁判所さいばんしょ設置せっちしたが、これにたいする不満ふまんも、アメリカ独立どくりつ戦争せんそうかうひとつの要因よういんとなった。アメリカ独立どくりつ宣言せんげんでも、イギリス国王こくおうが「おおくの事件じけんで、陪審ばいしんによる審理しんり利益りえきうばったこと」を非難ひなんしている[18]

ロサンゼルスにおける最初さいしょ女性じょせい陪審ばいしん(1911ねん)。

1788ねん発効はっこうしたアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽうでは、刑事けいじ陪審ばいしん保障ほしょうされた(3じょう2せつ3こう)。このとき民事みんじ陪審ばいしん保障ほしょうはいらなかったのは、陪審ばいしん地元じもと訴訟そしょう当事とうじしゃ有利ゆうり判断はんだんしがちであるということが懸念けねんされたためであるが、民事みんじ陪審ばいしん保障ほしょうたいするしゅう要求ようきゅうつよく、1791ねん憲法けんぽう修正しゅうせい条項じょうこう権利けんり章典しょうてん)で刑事けいじ陪審ばいしんおよ民事みんじ陪審ばいしん権利けんり保障ほしょうされた(修正しゅうせい6じょう7じょう)。同時どうじに、だい陪審ばいしん保障ほしょうされた(修正しゅうせい5じょう[19]

当初とうしょは、陪審ばいしんいんになることができるのは十分じゅうぶん資力しりょくのある白人はくじん男性だんせいかぎられていたが、1868ねん憲法けんぽう修正しゅうせい14じょう批准ひじゅんされたのち連邦れんぽう最高裁さいこうさい陪審ばいしんいん資格しかく白人はくじん男性だんせいかぎ州法しゅうほう修正しゅうせい14じょう平等びょうどう保護ほご条項じょうこう違反いはんするとして、人種じんしゅによる差別さべつ禁止きんしした[20]。ただ、そのも、陪審ばいしんいん選任せんにん過程かてい黒人こくじん排除はいじょされるという実態じったい根強ねづよのこった。女性じょせいも、1920ねん選挙せんきょけん付与ふよされたものの、男性だんせい平等びょうどう条件じょうけん陪審ばいしんいんつとめることができるようになったのは1975ねんになってからであった[21]

議論ぎろん[編集へんしゅう]

意義いぎ[編集へんしゅう]

訪米ほうべいちゅう陪審ばいしんせい観察かんさつしたフランスのトクヴィルは、「陪審ばいしんは、人民じんみん統治とうちおこなわせるためのもっと力強ちからづよ方法ほうほうであるとともに、人民じんみん統治とうちすることをおしえるためのもっと効果こうかてき方法ほうほうでもある」とべた[22]

陪審ばいしんせいには、以下いかのような意義いぎがあるとかんがえられている。

市民しみん常識じょうしき価値かちかん反映はんえい
たとえば、民事みんじ事件じけんにおける被告ひこく責任せきにん有無うむ損害そんがい賠償ばいしょうがくについての判断はんだん刑事けいじ事件じけんにおける「正当せいとう防衛ぼうえい」や「合理ごうりてきうたがい」といったほう概念がいねん適用てきようさいして、陪審ばいしん社会しゃかい感覚かんかくしめすことができると指摘してきされている[23]
権力けんりょく体制たいせいたいする抑制よくせい機能きのう
前述ぜんじゅつのとおり、歴史れきしてきに、陪審ばいしんせい権力けんりょく濫用らんようたいする防護ぼうごかべとしての位置付いちづけがあたえられてきた。
アメリカの連邦れんぽう最高裁さいこうさいも、後述こうじゅつ判決はんけつ(ダンカン判決はんけつ)のなかで、刑事けいじ陪審ばいしん意義いぎについて、「被告人ひこくにんに、同輩どうはいによって構成こうせいされる陪審ばいしんによる審理しんりける権利けんりあたえることは、被告人ひこくにんに、不正ふせいな、あるいは熱心ねっしんすぎる検察官けんさつかんや、(検察官けんさつかんに)迎合げいごうてきな、あるいはかたよった、あるいは常識じょうしきはずれの裁判官さいばんかんたいする貴重きちょう防護ぼうごかべあたえることとなる」と説明せつめいしている[24]
後述こうじゅつ#陪審ばいしんによるほう無視むしも、このような役割やくわりもっと顕著けんちょれいとして位置付いちづける見方みかたがある[25]
参加さんかがた民主みんしゅ主義しゅぎ
アメリカでは、陪審ばいしんせい民主みんしゅ主義しゅぎ実現じつげんにとって重要じゅうようであるとかんがえられている。アレクシ・ド・トクヴィルは、著書ちょしょアメリカのデモクラシー』で、陪審ばいしんせい人民じんみんによる統治とうち確立かくりつするための重要じゅうよう方法ほうほう位置付いちづけている[26]
市民しみんたいする教育きょういくてき効果こうか
陪審ばいしんせいは、参加さんかした市民しみんたい司法しほう制度せいどについてまな機会きかいあたえるだけでなく、陪審ばいしん審理しんり題材だいざいとしたテレビ番組ばんぐみ映画えいがなどをとおして、一般いっぱん市民しみん司法しほう制度せいどへの理解りかいひろめる効果こうかがあると指摘してきされている[27]
裁判さいばん迅速じんそく
陪審ばいしんせい副次的ふくじてき効果こうかとして、集中しゅうちゅう審理しんりにより短期間たんきかん結論けつろんすことになり、裁判さいばん長期ちょうきけられるという利点りてんがある。

批判ひはん[編集へんしゅう]

一方いっぽう陪審ばいしんせいたいしては、陪審ばいしん事実じじつ認定にんてい能力のうりょくほう適用てきよう能力のうりょくたいする疑問ぎもんや、陪審ばいしんせいにかかるコストのめんから、つぎのような批判ひはんがある[28]

陪審ばいしんいん偏見へんけん
陪審ばいしん審理しんりは、陪審ばいしんいん感情かんじょう偏見へんけん左右さゆうされやすく、地域ちいき感情かんじょう歴史れきしてき経緯けいいなどのてんで「よそもの」、「きらわれしゃ」が不利ふりになることも否定ひていできないとの批判ひはんがある[ちゅう 4]
このような批判ひはんたいし、とく無意識むいしき潜在せんざいてき偏見へんけんについては、一概いちがい裁判官さいばんかんよりも陪審ばいしんほう偏見へんけんにさらされやすいとはいえないとの指摘してきもされている[29]
なお、1966ねん発表はっぴょうされただい規模きぼ調査ちょうさでは、裁判官さいばんかんたいし、陪審ばいしん判断はんだんについて自分じぶんであればどのように判断はんだんしたかを回答かいとうしてもらったところ、裁判官さいばんかん陪審ばいしん判断はんだん一致いっちするりつは、刑事けいじ民事みんじ事件じけんともに75%をえていた。意見いけんかれる場合ばあいには、刑事けいじ事件じけんでは陪審ばいしんほう無罪むざいかたむ傾向けいこうられたが、民事みんじ事件じけんでは有意ゆうい傾向けいこうられなかった。この結果けっかについては、意見いけんかれるのは事実じじつ認定にんていむずかしく裁判官さいばんかんでも判断はんだん微妙びみょう事件じけんではないか、また陪審ばいしんほうが「合理ごうりてきうたがいをえる証明しょうめい」についてたか要求ようきゅうをしているからではないかといった指摘してきがされている[30]
ほう適用てきよう能力のうりょくたいする疑問ぎもん
法律ほうりつ適用てきようてはめ)は、法律ほうりつこそがもっと訓練くんれんけている分野ぶんやであるにもかかわらず、それを陪審ばいしんいんまかせてしまうことには問題もんだいがあるとの指摘してきがある。たとえば、不法ふほう行為こうい領域りょういきでは、過失かしつ有無うむ判断はんだんたって、事故じこ防止ぼうしするための費用ひようと、防止ぼうしさくによってられる便益べんえき事故じこによって発生はっせい損失そんしつや、事故じこ発生はっせいするかくりつ)とを比較ひかくすべきであるにもかかわらず、陪審ばいしんいんはそれを理解りかいできず、個人こじんたい企業きぎょう不法ふほう行為こうい訴訟そしょうでは、原告げんこく被害ひがい被告ひこく富裕ふゆうさにうごかされて、陪審ばいしんいんはあらゆる原告げんこく被害ひがい補償ほしょうしてあげようとしてしまうと批判ひはんされている[31]
裁判さいばんのパフォーマンス
弁護士べんごしは、陪審ばいしんいん同情どうじょういたり心証しんしょうくしたりするために、しばしば劇的げきてき弁論べんろんおこなうため、弁護士べんごしのパフォーマンスではないかとの批判ひはんもされている[32]
もっとも、パフォーマンスといってもかならずしもテレビドラマや映画えいがのような派手はでいとおなじものではなく、論理ろんりてきかつ理解りかいしやすいかたち弁論べんろんたてて、陪審ばいしんいん説得せっとくする技術ぎじゅつ重視じゅうしされているのではないかとの指摘してきもされている[33]
また、実証じっしょうてき研究けんきゅうもとづくと、陪審ばいしん判断はんだん弁護士べんごし巧拙こうせつによって左右さゆうされたとかんがえられるのはおおくとも0.25%程度ていどであるとの指摘してきがされている[34]
陪審ばいしん審理しんりにかかるコスト
陪審ばいしんいんたいして支払しはらわれる日当にっとう交通こうつう[ちゅう 5]だけでなく、陪審ばいしんいん召喚しょうかん選任せんにん手続てつづきから審理しんり評決ひょうけついたるまでの過程かていすくなからずコストがかかる。評決ひょうけつ不能ふのうなどでさい審理しんりおこなわなければならない場合ばあいには、当事とうじしゃ負担ふたんおおきい。
また、陪審ばいしんいんがわでも、仕事しごと学業がくぎょう影響えいきょうるというデメリットがある。

アメリカでは、陪審ばいしんせいたいする様々さまざま批判ひはんがあるが、陪審ばいしんせいへのアメリカ市民しみん信頼しんらいは、弁護士べんごし裁判官さいばんかん連邦れんぽう議会ぎかい連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょたいする信頼しんらいよりもたかく、陪審ばいしんせい廃止はいしろんつよくない[35]

イギリスでは、自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎまもしゅ市民しみん常識じょうしき反映はんえいといった陪審ばいしんせい意義いぎ擁護ようごする意見いけんがある一方いっぽうで、民衆みんしゅう多大ただい負担ふたんしながら「熟練じゅくれんした」犯罪はんざいしゃらに制度せいどをうまく利用りようする機会きかいあたえるだけの、こうコストで時代遅じだいおくれのものになっているとか、陪審ばいしんせい自体じたいはよいとしても複雑ふくざつ事件じけんやデリケートな事件じけんにはかないといった批判ひはんつよく、費用ひよう時間じかん観点かんてんから、20世紀せいきつうじて陪審ばいしん適用てきよう範囲はんいおよ権限けんげんおおきく縮小しゅくしょうされた[36]

ほう無視むし[編集へんしゅう]

陪審ばいしん事実じじつ認定にんていほう適用てきようおこなさい、その前提ぜんていとなるほう裁判官さいばんかん説示せつじしたがうこととされている[37][ちゅう 6]。しかし、陪審ばいしん評決ひょうけつは、結論けつろんのみをしめし、そこにいた理由りゆうしめさない一般いっぱん評決ひょうけつ原則げんそくであるため(ただし#アメリカの民事みんじ陪審ばいしんでは個別こべつ評決ひょうけつもある)、陪審ばいしん故意こいほう無視むしした評決ひょうけつくだすことが事実じじつじょう可能かのうである。これを陪審ばいしんによるほう無視むしほう無効むこうともやくす。jury nullification)という。典型てんけいてきなのが、被告人ひこくにん有罪ゆうざい立証りっしょうする証拠しょうこ十分じゅうぶんあるにもかかわらず、その行為こうい処罰しょばつするほう自体じたい正義せいぎはんすると陪審ばいしんかんがえた場合ばあいに、無罪むざい評決ひょうけつすような場合ばあいである。たとえば、前記ぜんきのジョン・ピーター・ゼンガー事件じけん禁酒きんしゅほう時代じだいにアルコール規制きせいほう違反いはん訴追そついされた被告人ひこくにん無罪むざい評決ひょうけつおおされたれい黒人こくじん公民こうみんけん運動うんどう関係かんけいしゃたいする殺害さつがいとう訴追そついされた白人はくじん至上しじょう主義しゅぎしゃに、全員ぜんいん白人はくじん陪審ばいしん無罪むざい評決ひょうけつしたれいなどがげられている[38]

陪審ばいしんによるほう無視むしは、民事みんじ刑事けいじいずれでもこりるが、とく刑事けいじ事件じけん陪審ばいしん十分じゅうぶん証拠しょうこにもかかわらず無罪むざい評決ひょうけつくだした場合ばあいえいべいほうではじゅう危険きけん禁止きんし[ちゅう 7]により検察官けんさつかん上訴じょうそゆるされないので、上級じょうきゅうしんほう適用てきようあやまりを理由りゆうさい審理しんりめいじるなどして訂正ていせいする手段しゅだんがない[39]

陪審ばいしんによるほう無視むしについては、法律ほうりつ問題もんだいへの陪審ばいしんによる不当ふとう介入かいにゅうであり、当然とうぜんゆるされないという否定ひていてき見方みかたと、民間みんかんじん価値かちかん反映はんえいすることもほう健全けんぜん発展はってん改革かいかくにとって意味いみがあるという肯定こうていてき見方みかたがある[40]なかには、陪審ばいしんには悪法あくほう無視むしする権限けんげんがあるとして、積極せっきょくてきにこれをびかける団体だんたいもある[ちゅう 8]

アメリカの連邦れんぽう最高裁さいこうさい判決はんけつには、「陪審ばいしんは、過酷かこくほう執行しっこうすることを拒否きょひすることにより、より高次こうじ正義せいぎあたえることもできる」という、陪審ばいしんによるほう無視むし想定そうていした表現ひょうげんもある[41]一方いっぽう連邦れんぽう控訴こうそ裁判所さいばんしょ判決はんけつには、「陪審ばいしんによるほう無視むしは、説示せつじされたほう適用てきようするという陪審ばいしんいん宣誓せんせい違反いはんするものである」として、ほう支配しはい観点かんてんから、陪審ばいしんによるほう無視むしのぞましくなく、陪審ばいしんいん証拠しょうこ有無うむにかかわらず無罪むざいとしようとしていることがかった場合ばあいには裁判官さいばんかんはその陪審ばいしんいん解任かいにんできるとの判断はんだんしめしたものがある[42][43]すくなくとも、陪審ばいしんほう無視むしすることができるということを、裁判官さいばんかん説示せつじさいべるのは適当てきとうであるというかんがかた一般いっぱんてきである[44]

報道ほうどう[編集へんしゅう]

陪審ばいしんいん個人こじん知識ちしきをもとに裁判さいばんおこなっていたふるくの陪審ばいしんとはことなり、現代げんだい陪審ばいしん法廷ほうていあらわれた証拠しょうこのみによって判断はんだんしなければならず、中立ちゅうりつ公平こうへいせいつよ要求ようきゅうされる。しかし、審理しんり(トライアル)まえ審理しんりちゅう報道ほうどうによって将来しょうらい陪審ばいしんいんまた現在げんざい陪審ばいしんいん偏見へんけんあたえられると公平こうへい審理しんりさまたげられるので、報道ほうどうによる陪審ばいしんへの影響えいきょうをいかにふせぐかが問題もんだいとなる。

イギリス(イングランド、ウェールズ)では、評決ひょうけつくだされるまでのあいだ事件じけんかんする報道ほうどうきびしく制限せいげんすることにより、陪審ばいしんへの影響えいきょう防止ぼうしはかっている[45]。すなわち、制定せいていほうコモン・ローにより、マスメディア事件じけん報道ほうどうたいし、おも罰金ばっきん場合ばあいによっては拘禁こうきん)などの制裁せいさいともなつよ規制きせいしている。審理しんりまえには、関係かんけいしゃ名前なまえ予備よび審問しんもん日時にちじ場所ばしょのような最低限さいていげん情報じょうほうしか報道ほうどうしてはならない。予備よび審問しんもんとう一般いっぱん公開こうかいされているものの、その内容ないようひろつたえることは規則きそくによってきんじられている。審理しんりはじまったのちも、報道ほうどう手続てつづき正確せいかくつたえるものでなければならず、現在げんざいまた将来しょうらい手続てつづき(まだ審理しんりはじまっていない別件べっけん手続てつづきふくむ)にがいおよぼすようなものであってはならない。これらに違反いはんした場合ばあい法廷ほうてい侮辱ぶじょくざいによる処罰しょばつ対象たいしょうとなり(実際じっさいじょう処罰しょばつされるのは審理しんり深刻しんこく影響えいきょうあたえる実質じっしつてき危険きけんがある場合ばあいかぎられている)、時々ときどき法廷ほうてい侮辱ぶじょくざいによる処罰しょばつおこなわれるれいがある。スコットランド、アイルランドもおおむ同様どうよう規制きせいいており、オーストラリア、ニュージーランド、カナダでは、これよりゆるやかな規制きせいをしている[46]

これにたいし、アメリカでは、報道ほうどう自由じゆう憲法けんぽう修正しゅうせい1じょう)の観点かんてんから、マスメディアにたいする報道ほうどう規制きせいには、きびしい憲法けんぽうじょう制約せいやくせられている。もちろん、アメリカでもマスメディアによる陪審ばいしんいんへの影響えいきょう問題もんだいとなり、連邦れんぽう最高裁さいこうさいは、関係かんけいしゃから事件じけんかんする様々さまざま情報じょうほうマスメディアながされた事案じあんで、被告人ひこくにん公平こうへい審理しんりけるというデュー・プロセス権利けんり侵害しんがいされていると判断はんだんし、裁判官さいばんかん適切てきせつ措置そちるべきであったとした[47]。しかし、連邦れんぽう最高裁さいこうさいは、1976ねんのネブラスカプレス事件じけん判決はんけつで、マスメディアにたいする報道ほうどう禁止きんし表現ひょうげんたいする事前じぜん規制きせいであることから、厳格げんかく審査しんさ基準きじゅん合憲ごうけんせい審査しんさされるとしている[48]。したがって、このような報道ほうどう禁止きんし憲法けんぽうじょうゆるされることはほとんどかんがえられないとされる[49]。また、被告人ひこくにん前科ぜんかや、まだ証拠しょうこ能力のうりょくみとめられていない被告人ひこくにん自白じはくなどを報道ほうどうすることに刑事けいじばつ事後じご規制きせいも、厳格げんかく審査しんさ基準きじゅん審査しんさされる[49]。さらに、報道ほうどうによる将来しょうらい陪審ばいしんいんたいする影響えいきょうふせぐために予備よび審問しんもんひとしのトライアルぜん手続てつづき非公開ひこうかいにすることも、かぎられた場合ばあいにしかみとめられない。予備よび審問しんもん手続てつづきへのアクセスには憲法けんぽう修正しゅうせい1じょう権利けんりおよぶためである[50]

したがって、アメリカでは、報道ほうどうによる偏見へんけん流布るふふせぐための方法ほうほうとしては、弁護士べんごし検察官けんさつかんのマスメディアにたいする発言はつげん制限せいげんする法曹ほうそう倫理りんり規定きていおおきな役割やくわりたしている。ほとんどのしゅうでは、アメリカ法律ほうりつ協会きょうかい (ABA) が作成さくせいした法曹ほうそう倫理りんり模範もはん規定きていみっつのバージョンのいずれかを採用さいようしている。これは、記者きしゃ会見かいけんやインタビューなど、弁護士べんごし法廷ほうていがいでのメディアにたいする発言はつげん規制きせいするものであり、これに違反いはんすると懲戒ちょうかい処分しょぶんけることとなる。連邦れんぽう司法省しほうしょうでも、検察官けんさつかんふく職員しょくいん対象たいしょう同様どうようのルールをさだめている[51]

また、偏見へんけんおよぼすような報道ほうどうがされた場合ばあいに、陪審ばいしん偏見へんけんまないため、つぎのような手段しゅだん用意よういされている。

法廷ほうてい変更へんこう
報道ほうどうによる影響えいきょうけていない地域ちいき事件じけん移送いそうするもの。もっとも、ちいさいしゅうなどでは報道ほうどう影響えいきょうしゅう全体ぜんたいひろまってしまい意味いみがない場合ばあいもある[52]
陪審ばいしんいん候補者こうほしゃだん変更へんこう
一部いちぶしゅうでは、法廷ほうていはそのままで、陪審ばいしんいん候補者こうほしゃだん地域ちいきからえらぶことができる制度せいどもうけられているところもある[53]
延期えんき続行ぞっこう
報道ほうどう影響えいきょう一時いちじてきで、一定いってい期間きかんない収束しゅうそくするとおもわれる場合ばあいには、訴訟そしょう手続てつづき延期えんき続行ぞっこうすることもあり[54]
陪審ばいしんいん選任せんにん過程かていにおける審査しんさ
陪審ばいしんいん選任せんにん過程かていにおける予備よび尋問じんもんと、それにもとづく忌避きひ手続てつづきは、報道ほうどうによる影響えいきょう公平こうへい裁判さいばんができない陪審ばいしんいん候補者こうほしゃのぞくための重要じゅうよう役割やくわりたしている[55]
陪審ばいしんいん報道ほうどうとうへの接触せっしょく禁止きんし
陪審ばいしんいんは、選任せんにんされたのちは、評決ひょうけついたるまで、事件じけんかんする報道ほうどう見聞みききしないようもとめられる[56]
陪審ばいしんいん隔離かくり
評議ひょうぎが1にち終了しゅうりょうしない場合ばあい報道ほうどう過熱かねつしているような一部いちぶ刑事けいじ事件じけんでは、陪審ばいしんいん隔離かくりされ、ホテルへの宿泊しゅくはく他者たしゃとの接触せっしょく禁止きんしめいじられることもある。事実じじつ審理しんり(トライアル)の期間きかんちゅうつうじて隔離かくりされることはほとんどないが、評議ひょうぎちゅう隔離かくりされることは場合ばあいによってありる。なお、O・J・シンプソン事件じけんでは陪審ばいしんは8かげつはんあいだ隔離かくりされたが、これはきわめて例外れいがいてき場合ばあいである[57]

評議ひょうぎ秘密ひみつ[編集へんしゅう]

アメリカでは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい1じょうにより、審理しんりまえ報道ほうどう自由じゆうおこなわれるのと同様どうよう審理しんり陪審ばいしんいん評議ひょうぎ内容ないようはなすのも自由じゆうであり、評議ひょうぎ体験たいけんだんをタブロイド出版しゅっぱんしゃテレビ局てれびきょくなどにものさえいる。このため、注目ちゅうもくあつめる事件じけんなどでは、内幕うちまくばなしろうという思惑おもわくによって陪審ばいしんいん行動こうどうがゆがめられてしまったり、記者きしゃ陪審ばいしんいんらに強引ごういん取材しゅざいをしたりするという問題もんだいもある。一部いちぶ裁判所さいばんしょでは、例外れいがいてきに、報道ほうどう機関きかんたいし、陪審ばいしんいんからの取材しゅざい内容ないようについての規制きせいすこともあるが、陪審ばいしんいん自身じしんたいする規制きせいすことはほとんどおこなわれない[58]

一方いっぽうイングランドウェールズきたアイルランドカナダでは、陪審ばいしんいん評議ひょうぎ内容ないようあきらかにすることは禁止きんしされている。イングランド・ウェールズでは1981ねん法廷ほうてい侮辱ぶじょくざいほう8じょうにより評議ひょうぎ内容ないようをききだしたりらしたりする行為こういばっする明文めいぶん規定きていもうけたが、これにたいしては陪審ばいしんせいについての学術がくじゅつてき研究けんきゅうさまたげになっているとのこえもある。オーストラリアでは、報道ほうどう機関きかん審理しんり終了しゅうりょう陪審ばいしんいん接近せっきんする行為こうい法廷ほうてい侮辱ぶじょくざい処罰しょばつされるが、陪審ばいしんいん個人こじん自分じぶんから無償むしょうはなしをすることはゆるされている。ニュージーランドでも、判例はんれいほうにより、報道ほうどう機関きかん陪審ばいしんいんにインタビューをする行為こうい法廷ほうてい侮辱ぶじょくざい処罰しょばつされる[59]

えいべいほうあたえた影響えいきょう[編集へんしゅう]

陪審ばいしんせいは、イギリスにおいてコモン・ローえいべいほう)とともに長年ながねん発展はってんしてきたことから、陪審ばいしんせいがコモン・ローにあたえた影響えいきょうおおきい。おも手続てつづきめんでは、つぎのようなてん指摘してきされている[60]

  • 陪審ばいしんいんにもかるように、ほう極端きょくたんむずかしくなることがふせがれた。
  • 陪審ばいしんいん負担ふたん軽減けいげんのため、集中しゅうちゅう審理しんりおこなわれるようになった。
  • 後述こうじゅつのサマリ・ジャッジメントのように、陪審ばいしん審理しんり必要ひつようおこなわないために争点そうてんしぼ手続てつづき発達はったつした。
  • 集中しゅうちゅう審理しんりにおける不意打ふいうちを防止ぼうしするため、証拠しょうこ開示かいじ(ディスカバリー)の手続てつづき発達はったつした。
  • 陪審ばいしんいんうったえかけるため、法廷ほうていにおける尋問じんもんとう技術ぎじゅつ発達はったつした。
  • 伝聞でんぶん証拠しょうこ禁止きんし原則げんそくのように、陪審ばいしんいん判断はんだんあやまらないための証拠しょうこほう発達はったつした。

また、契約けいやくほう分野ぶんやでも、つぎのようなてん陪審ばいしんせい影響えいきょう指摘してきされている。

  • 一定いってい種類しゅるい契約けいやくには書面しょめん債務さいむしゃ署名しょめいがなければ裁判さいばんじょう救済きゅうさいあたえられないという詐欺さぎ防止ぼうしほうは、17世紀せいきのイギリスで、偽証ぎしょうによって陪審ばいしんをだます訴訟そしょう詐欺さぎふせぐために制定せいていされたとされる[61]
  • 契約けいやく内容ないようについては契約けいやくしょ内容ないようによって立証りっしょうすべきで、それ以外いがい証拠しょうこ口頭こうとう約束やくそくとう)は排除はいじょされるという 口頭こうとう証拠しょうこ排除はいじょ法則ほうそく は、契約けいやくから時間じかんってからの当事とうじしゃとく経済けいざいてき弱者じゃくしゃがわ)の供述きょうじゅつを、陪審ばいしん安易あんいれてしまいやすいため、それをふせぐために形成けいせいされたとのせつがある[62]

さらに、刑事けいじほう分野ぶんやでも、陪審ばいしん審理しんり面倒めんどうでコストがかかるものになったことが、司法しほう取引とりひき発達はったつしたひとつの要因よういんとしてげられることがある[63]

アメリカ[編集へんしゅう]

刑事けいじ陪審ばいしん[編集へんしゅう]

保障ほしょう[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、重罪じゅうざい訴追そついされたものは、陪審ばいしんによる審理しんりける憲法けんぽうじょう権利けんりゆうする。すなわち、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽうだい3じょうでは、「すべての犯罪はんざい審理しんり(トライアル)は陪審ばいしんによっておこなわれる。審理しんりはその犯罪はんざいおこなわれたしゅうおこなわれる。」と規定きていされており[64]、さらに修正しゅうせい6じょうでは「すべての犯罪はんざい訴追そついにおいて、被告人ひこくにんは、犯罪はんざいおこなわれたしゅうおよ地区ちく公平こうへい陪審ばいしんによる、迅速じんそくかつ公開こうかい審理しんりける権利けんりゆうする。」と規定きていしている[65]。これらの規定きていは、直接的ちょくせつてきには連邦れんぽう裁判所さいばんしょ適用てきようされるものだが、修正しゅうせい14じょう1せつ[66]デュー・プロセス適正てきせい手続てつづき)に陪審ばいしんせい保障ほしょうふくまれることによってしゅうにも適用てきようされるとするのが連邦れんぽう最高裁さいこうさい判例はんれいである(ダンカンたいルイジアナしゅう事件じけん[24])。

合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうじょうは、軽微けいび犯罪はんざいについては陪審ばいしん審理しんり権利けんりはないとされ(ダンカン判決はんけつ)、自由じゆうけい上限じょうげんが6かげつえるかかが基準きじゅんとされている[67]。すなわち、上限じょうげんが6かげつ以下いか自由じゆうけいたるつみ場合ばあいには、陪審ばいしん審理しんり合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうじょう要求ようきゅうされておらず、そのような事件じけんでは各州かくしゅう陪審ばいしん審理しんりゆるすかかを選択せんたくできる。

合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうとはべつに、ほとんどのしゅう憲法けんぽうでも、刑事けいじ陪審ばいしん権利けんり保障ほしょうしている。

なお、連邦れんぽう最高裁さいこうさいは、被告人ひこくにんは、有罪ゆうざい無罪むざいかのてんだけでなく、制定せいていほう量刑りょうけいガイドラインが原則げんそくてきもうけている上限じょうげんえて被告人ひこくにんけい加重かじゅうするための事実じじつについても、陪審ばいしん審理しんりける権利けんりゆうしていると判断はんだんした[68]

陪審ばいしん審理しんり放棄ほうき[編集へんしゅう]

アメリカの刑事けいじ事件じけんだい多数たすうは、陪審ばいしん評決ひょうけつではなく、司法しほう取引とりひきによって決着けっちゃくしている。すなわち、被告人ひこくにんがアレインメント(arraignment; 罪状ざいじょう認否にんぴ手続てつづき)で有罪ゆうざい答弁とうべん (plea of guilty) をするわりに、検察官けんさつかん起訴きそするつみかずらす、かるつみ起訴きそする、裁判所さいばんしょたいかるけいもとめるといった取引とりひきおこなわれる。被告人ひこくにん有罪ゆうざい答弁とうべんをした場合ばあいは、対審たいしん陪審ばいしんまた裁判官さいばんかんによる事実じじつ審理しんり)の権利けんり放棄ほうきされるため、裁判官さいばんかん量刑りょうけい判決はんけつくだすだけである。おおくのしゅうで、いちしん起訴きそされた重罪じゅうざい (felony) のうちトライアルにまれるのは10%らずである[69]#統計とうけいこう参照さんしょう)。また、トライアルがおこなわれる場合ばあいでも、被告人ひこくにん陪審ばいしん審理しんり放棄ほうきすると、裁判官さいばんかんによる審理しんり (bench trial) がおこなわれる。

ただし、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうじょう被告人ひこくにん陪審ばいしん審理しんり放棄ほうきできる(裁判官さいばんかんによる審理しんり要求ようきゅうできる)という無条件むじょうけん権利けんりあたえられておらず[70]連邦れんぽう裁判所さいばんしょでは検察けんさつがわ同意どうい裁判所さいばんしょ承認しょうにんがあった場合ばあいのみ、被告人ひこくにん陪審ばいしん審理しんり放棄ほうきできる[71]しゅうでも、陪審ばいしん審理しんり放棄ほうき無条件むじょうけんみとめているところはすくなく、裁判所さいばんしょしくは検察官けんさつかん同意どういまたはその両方りょうほう必要ひつようとしているところがおお[72]

陪審ばいしんいん人数にんずうおよ選任せんにん手続てつづき[編集へんしゅう]

陪審ばいしんいん人数にんずうは、連邦れんぽう裁判所さいばんしょでは原則げんそくとして12にんであるが、当事とうじしゃ双方そうほう合意ごういしたときはそれよりすくない構成こうせいとすることができる[73]しゅうによっては、12にんよりすくない人数にんずうとしているところもあり、また被告人ひこくにんに12にん未満みまん構成こうせい選択せんたくすることをみとめるしゅうもある[74]合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうじょう、6にんにまでらした構成こうせいゆるされるとされるが[75]重罪じゅうざい事件じけんで5にん構成こうせいとすることは被告人ひこくにん陪審ばいしん審理しんりける権利けんり侵害しんがいするもので、違憲いけんであるとされた[76]

陪審ばいしんいん候補者こうほしゃへの召喚しょうかんじょう
United State District Court Western Division Jury Summons June 2015

連邦れんぽう裁判所さいばんしょでは、陪審ばいしんいん選任せんにん方法ほうほう連邦れんぽう制定せいていほうによってさだめられている。まず、有権者ゆうけんしゃ名簿めいぼその名簿めいぼをもとに、陪審ばいしんいん抽選ちゅうせんもちいて陪審ばいしんいん候補者こうほしゃ作為さくい必要ひつようかずだけ抽出ちゅうしゅつされ、その候補者こうほしゃらには、陪審ばいしんいん資格しかくがあるかを判断はんだんするための書類しょるい (juror qualification form) がおくられる。(1) 18さい以上いじょうでその管轄かんかつ地域ちいきに1ねん以上いじょう居住きょじゅうしているアメリカ市民しみんではない場合ばあい、(2) 英語えいごきができない場合ばあい、(3) 英語えいごはなせない場合ばあい、(4) 精神せいしんてき身体しんたいてき疾患しっかんのため陪審ばいしんいん任務にんむおこなうことができない場合ばあい、(5) 係属けいぞくちゅう刑事けいじ事件じけんまた重罪じゅうざい前科ぜんかがある場合ばあい欠格けっかく事由じゆうとなり、裁判官さいばんかん欠格けっかく事由じゆう有無うむ判断はんだんする[77]欠格けっかく事由じゆうがないものは、辞退じたいみとめられる場合ばあいのぞき、ゆう資格しかくしゃとなり、そのなかから必要ひつよう時期じき陪審ばいしんいん候補者こうほしゃえらばれ、召喚しょうかんじょう (summons) がはつされる[78]おおくのしゅうでも同様どうよう手続てつづきをとっている[79]

こうしてあつめられた陪審ばいしんいん候補者こうほしゃだん (venire) のなかから陪審ばいしんいんえらさいには、裁判官さいばんかんまた当事とうじしゃ検察官けんさつかん弁護人べんごにん)から陪審ばいしんいん候補者こうほしゃたいする尋問じんもんおこなわれる[80]。これを予備よび尋問じんもんvoir dire:ヴワー・ディア)という。その結果けっかをもとに、かく当事とうじしゃは、陪審ばいしんいん候補者こうほしゃ偏見へんけんっているおそれがあるとして理由りゆう忌避きひ (challenge for cause) の申立もうしたてをすることができる。これには人数にんずう制限せいげんはないが、裁判官さいばんかん申立もうしたてに根拠こんきょありとみとめた場合ばあいかぎり、その陪審ばいしんいん候補者こうほしゃ除外じょがいされる[81]。また、かく当事とうじしゃは、一定いっていかずかぎ理由りゆうなし忌避きひ (peremptory challenge) をもとめることができる[82][ちゅう 9]しゅう裁判所さいばんしょでも、おおむね同様どうよう手続てつづきであるが、実際じっさい選任せんにん手続てつづきのありかたしゅうによってことなる[83]

評議ひょうぎおよ評決ひょうけつ[編集へんしゅう]

裁判官さいばんかんは、審理しんりわった段階だんかいで、陪審ばいしんたいする説示せつじおこなう。説示せつじなかでは、(1) 適用てきようすべき実体じったいほう、(2) どちらが立証りっしょう責任せきにんうかや、立証りっしょう責任せきにんたされるに必要ひつよう証拠しょうこ程度ていどなどの証拠しょうこほう原則げんそく、(3) 評決ひょうけつたっするための手続てつづきについて説明せつめいされる[84]。その陪審ばいしん法廷ほうていから評議ひょうぎしつ陪審ばいしんいんしつ)にがり、非公開ひこうかい評議ひょうぎおこなう。裁判官さいばんかん訴訟そしょう当事とうじしゃふくめ、陪審ばいしんいん以外いがいものだれ評議ひょうぎ内容ないよう見聞みききすることはできない。評議ひょうぎ複数ふくすうにわたることもある。その結果けっか評決ひょうけつたっした場合ばあいは、法廷ほうていもどり、陪審ばいしんいん長又ながまた書記官しょきかん評決ひょうけつげる[85]

連邦れんぽうおよ各州かくしゅう(6しゅうのぞく)では、陪審ばいしん有罪ゆうざいまた無罪むざい評決ひょうけつには全員ぜんいん一致いっち必要ひつようである。評決ひょうけつ成立せいりつしない場合ばあい評決ひょうけつ不能ふのう (hung jury) となり、再度さいどトライアルをやりなおさなければならない[86]合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうじょうは、12にん陪審ばいしんいんのうち10にん多数決たすうけつによる評決ひょうけつみとめる州法しゅうほう合憲ごうけんとされたが[87]、6にん構成こうせい場合ばあいには全員ぜんいん一致いっち評決ひょうけつでなければならず、5にん多数決たすうけつによる評決ひょうけつ違憲いけんであるとされた[88]

刑事けいじ事件じけんでは、個々ここ事実じじつについての認定にんていしめ個別こべつ評決ひょうけつ (special verdict) はどの法域ほういきでもおこなわれておらず、有罪ゆうざい無罪むざいかの結論けつろんしめ一般いっぱん評決ひょうけつ (general verdict) である[89]

陪審ばいしんから、評決ひょうけつたっすることができないとの報告ほうこくけた場合ばあい裁判官さいばんかんは、場合ばあいによってさい評議ひょうぎめいじたり再考さいこううなが追加ついか説示せつじをしたりすることもできるが、最終さいしゅうてきには評決ひょうけつ不能ふのう (hung jury) による審理しんり無効むこう (mistrial) となり、あらたな陪審ばいしん選任せんにんからのさい審理しんり (retrial) をおこなうこととなる[90]

評決ひょうけつ手続てつづき[編集へんしゅう]

陪審ばいしん有罪ゆうざい評決ひょうけつをした場合ばあい裁判官さいばんかん量刑りょうけいおこない、判決はんけつをいいわたす。陪審ばいしん有罪ゆうざいまた無罪むざい判断はんだんおこない、有罪ゆうざい場合ばあい量刑りょうけい裁判官さいばんかん判断はんだんするのが原則げんそくであるが、しゅうによっては、とく死刑しけい事件じけんなど一部いちぶ事件じけんで、陪審ばいしん死刑しけい適用てきよう当否とうひ刑期けいきについての意見いけんべることができるなど、陪審ばいしん判断はんだん量刑りょうけい決定けっていないし左右さゆうすることがある[91]

有罪ゆうざい評決ひょうけつ場合ばあい裁判官さいばんかん被告人ひこくにん申立もうしたてにもとづき、必要ひつよう票数ひょうすうたされているかを調しらべるため、個々ここ陪審ばいしんいんたい評決ひょうけつ賛同さんどうしているかかを確認かくにんすること (polling) が可能かのうである[92]

陪審ばいしん無罪むざい評決ひょうけつ裁判官さいばんかんくつがえすことはゆるされないが、陪審ばいしん有罪ゆうざい評決ひょうけつをした場合ばあいに、裁判官さいばんかん被告人ひこくにん申立もうしたてにもとづき無罪むざい判決はんけつ (judgment of acquittal) をくだすことはゆるされている[93][ちゅう 10]

民事みんじ陪審ばいしん[編集へんしゅう]

保障ほしょう[編集へんしゅう]

民事みんじ事件じけん陪審ばいしん審理しんりける権利けんりは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい7じょう保障ほしょうされている。すなわち、「コモン・ローうえ訴訟そしょうにおいて、訴額そがくが20ドルをえるときは、陪審ばいしんによる裁判さいばんける権利けんり維持いじ (preserve) されなければならない。陪審ばいしんによって認定にんていされた事実じじつは、コモン・ローの準則じゅんそくによるほか、合衆国がっしゅうこくのいずれの裁判所さいばんしょにおいてもさい審理しんりされることはない。」とさだめられている[94]

修正しゅうせい7じょうは、陪審ばいしん審理しんりける権利けんりあらたに創設そうせつするものではなく、1791ねん修正しゅうせい7じょうふく権利けんり章典しょうてん批准ひじゅんされたとし)の時点じてんのコモン・ローにおいて存在そんざいした陪審ばいしん審理しんりける権利けんり維持いじするものである。ここで、コモン・ローとは、アメリカがその時点じてんイギリスからいだほう制度せいど意味いみする。1791ねん当時とうじのイギリスでは、訴訟そしょうはコモン・ローの訴訟そしょうエクイティ衡平こうへいほう)の訴訟そしょうかれていた。コモン・ローの訴訟そしょうにおいては陪審ばいしん審理しんりける権利けんりみとめられていたが、エクイティの訴訟そしょうではみとめられていなかった。1938ねん制定せいていされた連邦れんぽう民事みんじ訴訟そしょう規則きそく2じょうは、「民事みんじ訴訟そしょうというひとつの訴訟そしょう形式けいしきのみがある」と規定きていしており[95]、コモン・ローの訴訟そしょうとエクイティの訴訟そしょう区別くべつがなくなったが、今日きょうでも、1791ねん当時とうじコモン・ローじょうのものであった訴訟そしょうには陪審ばいしん審理しんりける権利けんりみとめられ、おなじくエクイティじょうのものであった訴訟そしょうには陪審ばいしん審理しんりける権利けんりがない。もっとも、連邦れんぽう民事みんじ訴訟そしょう規則きそくによれば、裁判所さいばんしょ裁量さいりょう陪審ばいしんもちいることがゆるされている[96]

ある制定せいていほうもとづく訴訟そしょうがコモン・ローじょうのものかエクイティじょうのものかを判断はんだんするには、(1) まず、その訴訟そしょうと、18世紀せいき当時とうじ、コモン・ローとエクイティが一緒いっしょになるまえのイギリスの法廷ほうていこされていた訴訟そしょうとを比較ひかくして、どちらの類型るいけいとより類似るいじするかを判断はんだんする必要ひつようがある。(2) つぎに、もとめられている救済きゅうさい方法ほうほう審査しんさし、その性質せいしつじょうコモン・ローじょうのものであるかエクイティじょうのものであるかを判断はんだんする必要ひつようがある[97]救済きゅうさい方法ほうほうが、金銭きんせん賠償ばいしょうだけである場合ばあいには純粋じゅんすいにコモン・ローじょうのものであり、陪審ばいしん権利けんりみとめられる。差止さしとめ命令めいれい契約けいやく解除かいじょ特定とくてい履行りこうのような金銭きんせんてき救済きゅうさいはエクイティじょうのものであるから、陪審ばいしんではなく裁判官さいばんかん判断はんだんゆだねられる。連邦れんぽう最高裁さいこうさいは、エクイティとコモン・ロー双方そうほう請求せいきゅうがされているときは、コモン・ローじょう請求せいきゅうについて陪審ばいしん審理しんりける権利けんり存続そんぞくし、裁判官さいばんかんがエクイティじょう請求せいきゅうについて判断はんだんするまえにコモン・ローじょう請求せいきゅうについて陪審ばいしんによる判断はんだんけなければならないと判断はんだんした[98]

刑事けいじ陪審ばいしんことなり、修正しゅうせい14じょうのデュー・プロセス条項じょうこう内容ないようにはふくまれないとほぐされているため、民事みんじ事件じけん陪審ばいしん審理しんりける合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうじょう権利けんりは、しゅうにはおよばない。もっとも、コロラドしゅうのぞく49しゅうにおいて、しゅう憲法けんぽう民事みんじ陪審ばいしん権利けんり保障ほしょうされており、どうしゅうにおいても憲法けんぽうじょう保障ほしょうではないものの民事みんじ陪審ばいしん実施じっしされている[99]

陪審ばいしん審理しんり要求ようきゅう[編集へんしゅう]

連邦れんぽう裁判所さいばんしょ民事みんじ事件じけんでは、刑事けいじ陪審ばいしんことなり、いずれかの当事とうじしゃ要求ようきゅうがあった場合ばあいかぎ陪審ばいしん審理しんり (jury trial) がおこなわれる。一方いっぽう当事とうじしゃ陪審ばいしん審理しんり要求ようきゅうした場合ばあい相手方あいてがた陪審ばいしん審理しんりのぞまなくても拒否きょひできず陪審ばいしん審理しんり採用さいようされる。陪審ばいしん審理しんり要求ようきゅうするためには、最後さいごの訴答書面しょめん送達そうたつされてから10日とおか以内いない陪審ばいしん審理しんり要求ようきゅうするむね書面しょめん相手方あいてがた送達そうたつし、その相当そうとう期間きかんないにこれを裁判所さいばんしょ提出ていしゅつしなければならず、この手続てつづきおこなわない場合ばあい陪審ばいしん審理しんりける権利けんり放棄ほうきしたものとしてあつかわれる[100]。その場合ばあい裁判官さいばんかんによる審理しんり (bench trial) がおこなわれる。もっとも、事実じじつ審理しんり対審たいしんまえうったえが却下きゃっかされる場合ばあいがあるほか[ちゅう 11]裁判官さいばんかんは、当事とうじしゃ申立もうしたてにより、重要じゅうよう事実じじつについてのしんあらそいがないと判断はんだんする場合ばあいには、トライアルをおこなうまでもなく、サマリ・ジャッジメントという判決はんけついちしん手続てつづき終局しゅうきょくさせることができ[101]、これらの場合ばあい当然とうぜん陪審ばいしん審理しんりおこなわれない。またトライアルまえ和解わかい成立せいりつして事件じけん終局しゅうきょくすることもおお[102]#統計とうけいこう参照さんしょう)。

陪審ばいしんいん人数にんずうおよ選任せんにん手続てつづき[編集へんしゅう]

イギリス以来いらい伝統でんとうしたがい、アメリカの民事みんじ陪審ばいしんも、12にん陪審ばいしんいん構成こうせいされるのが原則げんそくである。しかし、連邦れんぽう裁判所さいばんしょにおける6にんせい民事みんじ陪審ばいしんも、憲法けんぽう修正しゅうせい7じょうには違反いはんしないとされた[103]連邦れんぽう地裁ちさいでは、トライアル開始かいし陪審ばいしんいん人数にんずうは、6めい以上いじょう12めい以下いか範囲はんい裁判所さいばんしょ必要ひつようかんがえる人数にんずうとされ、トライアルの途中とちゅう欠員けついん場合ばあい、6めい以上いじょうのこっていれば補充ほじゅうしなくても評決ひょうけつをすることができる。また、当事とうじしゃ合意ごういした場合ばあいは5めい以下いかになっても評決ひょうけつをすることができる[104]しゅう裁判所さいばんしょでも、場合ばあいによって、6めい(あるいは5めい以下いか)の陪審ばいしんみとめているところがおお[105]

民事みんじ陪審ばいしんにおける陪審ばいしんいん選任せんにん手続てつづきは、前述ぜんじゅつ刑事けいじ陪審ばいしんとおおむね同様どうようである。連邦れんぽう裁判所さいばんしょでは、理由りゆう忌避きひのほかに、かく当事とうじしゃは3めいずつの理由りゆうなし忌避きひ行使こうしすることができる[106]

評議ひょうぎおよ評決ひょうけつ[編集へんしゅう]

審理しんりわってからの説示せつじから評議ひょうぎへのながれは前述ぜんじゅつ刑事けいじ陪審ばいしん同様どうようである[107]

ただし、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ場合ばあい裁判官さいばんかんは、当事とうじしゃ申立もうしたてにもとづき、合理ごうりてき陪審ばいしんであれば相手方あいてがた有利ゆうり判断はんだんをするだけの証拠しょうこはないであろうと判断はんだんするときは、陪審ばいしん評議ひょうぎもとめるまえ法律ほうりつ問題もんだいとしての判決はんけつ (judgment as a matter of law) をくだしていちしん手続てつづき終局しゅうきょくさせることができる[108]

それ以外いがい場合ばあい裁判官さいばんかんは、陪審ばいしんたいして評議ひょうぎうえ評決ひょうけつ答申とうしんするようもとめるが、そのさいには、原告げんこく勝訴しょうそ被告ひこく勝訴しょうそか、また原告げんこく勝訴しょうそ場合ばあい救済きゅうさい内容ないよう賠償ばいしょうがくとう)についての結論けつろんだけを答申とうしんする一般いっぱん評決ひょうけつ (general verdict) をもとめるのが一般いっぱんてきである[109]。しかし、裁判所さいばんしょは、かくそうてんについての結論けつろんをそれぞれ答申とうしんする個別こべつ評決ひょうけつ (special verdict) をもとめることもできる[110]

陪審ばいしん評決ひょうけつ全員ぜんいん一致いっちであることがもとめられるのが普通ふつうであるが、連邦れんぽう裁判所さいばんしょでは、当事とうじしゃ合意ごういした場合ばあい全員ぜんいん一致いっちでなくても評決ひょうけつをすることができる[104]しゅう裁判所さいばんしょでも、場合ばあいによって、全員ぜんいん一致いっち要求ようきゅうしないところがおお[105]

評決ひょうけつ手続てつづき[編集へんしゅう]

裁判官さいばんかんは、評決ひょうけつしたがって判決はんけつくだすのが原則げんそくである。しかし、裁判官さいばんかんは、評決ひょうけつであっても、当事とうじしゃ再度さいど申立もうしたてにもとづき、合理ごうりてき陪審ばいしんであれば相手方あいてがた有利ゆうり判断はんだんをするだけの証拠しょうこはないであろうと判断はんだんする場合ばあいには、法律ほうりつ問題もんだいとしての判決はんけつによって、評決ひょうけつことなる結論けつろんくだすことができる[111]。また、法律ほうりつ問題もんだいとしての判決はんけつくださない場合ばあいでも、評決ひょうけつについて証拠しょうこうえあまりにも疑問ぎもんがあるときは、裁判官さいばんかんは、当事とうじしゃ申立もうしたまた職権しょっけんにより、さい審理しんり (new trial) をめいじることができる[112][ちゅう 12]前述ぜんじゅつのサマリ・ジャッジメントや、法律ほうりつ問題もんだいとしての判決はんけつは、裁判官さいばんかん陪審ばいしんをコントロールするための手段しゅだんとして重要じゅうよう意味いみつという意見いけんがある[113]

統計とうけい[編集へんしゅう]

アメリカの刑事けいじ事件じけんでは、おおくが司法しほう取引とりひき解決かいけつされ、またげられる事件じけんおおいため、対審たいしん陪審ばいしんまた裁判官さいばんかんによる事実じじつ審理しんり)がひらかれる割合わりあいはわずかである。また、民事みんじ事件じけんでも、事件じけんだい多数たすう和解わかいとうわるため、トライアルにいた事件じけんすくなく、そのなかでも陪審ばいしんによるトライアルがおこなわれるのは少数しょうすうである[114]

連邦れんぽう地方裁判所ちほうさいばんしょと、しゅう一般いっぱん管轄かんかつゆうする裁判所さいばんしょ地方裁判所ちほうさいばんしょ相当そうとう)における刑事けいじ民事みんじかくしん受件すうおよ陪審ばいしんトライアルの件数けんすうをそれぞれ合計ごうけいすると、つぎのようになっている(1999ねんのデータ)。

連邦れんぽうおよしゅう裁判所さいばんしょにおけるしん受件すう陪審ばいしんトライアル件数けんすう(1999ねん[115]
連邦れんぽう地裁ちさい しゅう一般いっぱん管轄かんかつ裁判所さいばんしょ
しん受件すう 陪審ばいしんトライアル しん受件すう 陪審ばいしんトライアル
刑事けいじ 59,923 3,268 4,924,710 54,625
民事みんじ 260,271 4,000 7,171,842 33,125
合計ごうけい 320,194 7,268 12,096,552 87,750

さらに、近年きんねん、トライアル(とく陪審ばいしんトライアル)の減少げんしょう指摘してきされている[114]連邦れんぽう地方裁判所ちほうさいばんしょにおけるトライアルの件数けんすうと、そのしん受件すうたいする割合わりあいつぎのようになっており、陪審ばいしんトライアルは件数けんすう割合わりあいともに減少げんしょう傾向けいこうにあることがうかがわれる[116]

連邦地裁におけるトライアルの件数と割合(刑事事件) 連邦地裁におけるトライアルの件数と割合(民事事件)

同様どうように、しゅう裁判所さいばんしょでも陪審ばいしんトライアルは減少げんしょう傾向けいこうにある。しゅう裁判所さいばんしょ対象たいしょうとした調査ちょうさによれば、刑事けいじ事件じけん(23しゅうのデータ)では、1976けんから2002ねんまでのあいだに、既済きさい件数けんすう急増きゅうぞうする一方いっぽう陪審ばいしん裁判官さいばんかんともにトライアル件数けんすう減少げんしょうし、うち重罪じゅうざい事件じけん(13しゅうのデータ)についてると、1976ねんには既済きさい件数けんすうたいするトライアルの件数けんすう割合わりあいやく9%(陪審ばいしん5.2%、裁判官さいばんかん3.7%)であったのにたいし、2002ねんにはやく3%(陪審ばいしん2.2%、裁判官さいばんかん1.0%)まで減少げんしょうしていた[117]民事みんじ事件じけん(22しゅうのデータ)でも、事件じけんすう増加ぞうかたいしトライアルは減少げんしょうし、うち一般いっぱん事件じけん(10しゅうのデータ)についてると、1992ねん既済きさい件数けんすうたいするトライアルの件数けんすう割合わりあいやく6%(陪審ばいしん1.8%、裁判官さいばんかん4.3%)であったのにたいし、2002ねんにはやく5.6%(陪審ばいしん1.3%、裁判官さいばんかん4.3%)となっている[118]

それでも、推計すいけいによれば、毎年まいとしやく500まんにんのアメリカじん陪審ばいしんいん候補者こうほしゃとして裁判所さいばんしょ出頭しゅっとうし、うちやく100まんにん陪審ばいしんいん選任せんにんされている。1999ねんおこなわれたアメリカじん1800にん対象たいしょうとした調査ちょうさでは、24%が陪審ばいしんいん経験けいけんしたことがあるとこたえた。べつの2004ねん調査ちょうさでは、47%が陪審ばいしんいん経験けいけんしたことがあるとこたえ、またおおくが陪審ばいしんせいについて肯定こうていてき見方みかたをしていることがかった[119]

イギリス[編集へんしゅう]

イングランドおよびウェールズ[編集へんしゅう]

イングランドおよウェールズは、陪審ばいしんせい発祥はっしょうであるにもかかわらず、アメリカとことなり陪審ばいしん裁判さいばんける権利けんり保障ほしょうした成文せいぶん憲法けんぽうがないこともあり、次第しだい時間じかん費用ひようがかかりすぎるというかんがえから、陪審ばいしん審理しんり制限せいげんされていった。とくに19世紀せいきから20世紀せいきにかけ、陪審ばいしん審理しんりおこなわれない治安ちあん判事はんじ裁判所さいばんしょ管轄かんかつできる事件じけん範囲はんい徐々じょじょ拡大かくだいするにつれ、実質じっしつてき陪審ばいしん審理しんり限定げんていされるようになったと指摘してきされている[120]

イングランドおよびウェールズでは、陪審ばいしんいんは18さいから75さいまでの有権者ゆうけんしゃ登録とうろくされた市民しみんから無作為むさくいえらばれる[121]

刑事けいじ陪審ばいしん[編集へんしゅう]

イギリスの陪審ばいしん(1861ねん

刑事けいじ事件じけんのうち、一定いってい重大じゅうだい事件じけんである正式せいしき起訴きそ犯罪はんざい (indictable-only offence) は治安ちあん判事はんじ裁判所さいばんしょにおける予備よび審問しんもんのちかなら国王こくおう裁判所さいばんしょおくられ、選択せんたくてき起訴きそ犯罪はんざい (offence triable either way) は治安ちあん判事はんじにより正式せいしき起訴きそ手続てつづき相当そうとう判断はんだんされた場合ばあい国王こくおう裁判所さいばんしょ送致そうちされる。治安ちあん判事はんじ略式りゃくしき起訴きそ手続てつづき相当そうとうとしてみずからの裁判所さいばんしょ裁判さいばんすることを決定けっていした場合ばあいでも、被告人ひこくにん国王こくおう裁判所さいばんしょにおける陪審ばいしん審理しんり選択せんたくする権利けんりがある。こうして国王こくおう裁判所さいばんしょおくられた事件じけんは、陪審ばいしんにより審理しんりされる[122]略式りゃくしき起訴きそ犯罪はんざい (summary offence) については、治安ちあん判事はんじ裁判さいばんおこない、陪審ばいしん審理しんりおこなわれない[123]

ただし、2003ねん刑事けいじ司法しほうほう (Criminal Justice Act 2003) により、国王こくおう裁判所さいばんしょでも陪審ばいしん審理しんりおこなわれないふたつの例外れいがいもうけられた。ひとつは重大じゅうだいまた複雑ふくざつ詐欺さぎ事件じけんについて、審理しんりにかかる期間きかん複雑ふくざつせいから陪審ばいしん審理しんり負担ふたんおおきいと判断はんだんした場合ばあいには、裁判官さいばんかん陪審ばいしんなしの審理しんりめいじることができるとするものである(ただし高等法院こうとうほういん首席しゅせき判事はんじ承認しょうにん必要ひつよう)。この規定きてい立法りっぽう過程かていおおきな論争ろんそうまねいたため、議会ぎかい両院りょういんみとめるまで施行しこうされないこととされており、2008ねん現在げんざい政府せいふ努力どりょくにもかかわらず、この規定きてい施行しこう目処めどっていない[124]

もうひとつは、陪審ばいしんたいする干渉かんしょう買収ばいしゅうたけしさこひとし)がうたがわれる事件じけんで、陪審ばいしんなしの審理しんりゆるすものである。これは、陪審ばいしんたいする干渉かんしょうについて「現実げんじつてきかつせまった危険きけん」をしめ証拠しょうこがあり、警察けいさつによる保護ほごをもってしても、干渉かんしょうおこなわれる十分じゅうぶん可能かのうせいがあり、かつ陪審ばいしんなしの審理しんり正義せいぎにかなう場合ばあいゆるされる[125]どう規定きていは2006ねん7がつ24にち施行しこうされ[126]最初さいしょ適用てきようされたのは2008ねん2がつであった[127]

このほか、2004ねんドメスティック・バイオレンス処罰しょばつおよ被害ひがいしゃほう (en) 17じょうから20じょうには、ドメスティック・バイオレンス訴追そついされた被告人ひこくにんについて、一部いちぶ訴因そいんだけをサンプルとして陪審ばいしん審理しんりし、有罪ゆうざい場合ばあいにはのこりの訴因そいん裁判官さいばんかんのみで審理しんりするという規定きていもうけられた。これらの規定きていは2007ねん1がつ8にち施行しこうされた[128]

また、被告人ひこくにん以前いぜんどういち犯罪はんざい裁判さいばん有罪ゆうざい判決はんけつまた無罪むざい判決はんけつけたことを理由りゆうとして一事いちじさい申立もうしたてをした場合ばあいも、裁判官さいばんかんはその問題もんだい陪審ばいしんなしで判断はんだんする[129]

現在げんざい刑事けいじ事件じけん事実じじつ審理しんり(トライアル)のだい多数たすう法曹ほうそう資格しかくのない治安ちあん判事はんじによりおこなわれており、陪審ばいしん審理しんりおこなわれるのは1%程度ていどにすぎない。1997ねん時点じてんで、やく186まんにん被告人ひこくにん治安ちあん判事はんじ裁判所さいばんしょ裁判さいばんけるのにたいし、国王こくおう裁判所さいばんしょ裁判さいばんけるのはやく9まん1300にん正式せいしき起訴きそ犯罪はんざいはその19%)で、そのうち無罪むざい答弁とうべんをして陪審ばいしん審理しんりけるのは67%である。陪審ばいしん審理しんりけたもののうち、無罪むざい評決ひょうけつけるのは40%である[130]

検死けんし陪審ばいしん[編集へんしゅう]

検死けんしかんは、(1) 刑務所けいむしょまた警察けいさつ留置とめおきじょうひと死亡しぼうした場合ばあい、(2) 警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこうさいひと死亡しぼうした場合ばあい、(3) 労働ろうどうにおける健康けんこう安全あんぜんとうかんする法律ほうりつ (en) にてはまる死亡しぼう場合ばあいまたは(4)にん死亡しぼう公衆こうしゅう健康けんこうしくは安全あんぜん影響えいきょうおよぼす場合ばあいには、死因しいん審問しんもんのため、陪審ばいしん召喚しょうかんしなければならない[131][132]

2004ねん、イングランド・ウェールズにおける死者ししゃ51まん4000にんのうち、2まん8300けんについて死因しいん審問しんもんおこなわれ、そのうち570けん陪審ばいしんによっておこなわれた[133]

民事みんじ陪審ばいしん[編集へんしゅう]

1846ねんまでは、イングランドおよびウェールズではすべてのコモン・ローうえ民事みんじ事件じけん陪審ばいしんによって審理しんりされていた。しかし、1846ねん法律ほうりつしゅう裁判所さいばんしょ (County Court) が新設しんせつされ、そこでは当事とうじしゃ希望きぼうした場合ばあいで、5ポンドをえる事件じけんかぎって陪審ばいしん審理しんりおこなわれることとされた。すると、しゅう裁判所さいばんしょ陪審ばいしん審理しんり要求ようきゅうする当事とうじしゃ実際じっさいにはすくなかった[134]。このあたらしい制度せいど成功せいこうをもってめられたことにくわえ、裁判官さいばんかん清廉せいれんさとほう制度せいど専門せんもん次第しだい認識にんしきされるようになったこともあって、1854ねんのコモン・ロー手続てつづきほう (Common Law Procedure Act) で、高等法院こうとうほういん王座おうざにおける訴訟そしょう当事とうじしゃ裁判官さいばんかん1めいのみの審理しんりえらべることとされたさいも、おおきな抵抗ていこうなくれられた[135][136]。そのの80年間ねんかんに、民事みんじ事件じけんにおける陪審ばいしん審理しんり利用りよう着実ちゃくじつっていった[137]1883ねんには、最高法院さいこうほういん規則きそくで、陪審ばいしんによる証拠しょうこ調しらべが不便ふべんであるなど一定いってい場合ばあいに、裁判官さいばんかん裁量さいりょうにより陪審ばいしん審理しんりおこなわないことがみとめられた[138]

1933ねん司法しほう運営うんえい雑則ざっそくほう[ちゅう 13]6じょうは、高等法院こうとうほういん王座おうざにおける陪審ばいしん審理しんり権利けんりつぎ事件じけんたいして保障ほしょうする一方いっぽう、その事件じけんについては、高等法院こうとうほういん王座おうざ審理しんりされるいかなる訴訟そしょうも、裁判所さいばんしょまた裁判官さいばんかん裁量さいりょうにより、陪審ばいしん審理しんりするか陪審ばいしんなしで審理しんりするかをめいじることができるとした。

この法律ほうりつ事実じじつじょう、イングランドおよびウェールズにおける民事みんじ陪審ばいしんわりをげるものであった。

1966ねん控訴こうそいん判決はんけつで、デニング裁判官さいばんかんは、人身じんしん傷害しょうがい事件じけん損害そんがい算定さんてい技術ぎじゅつてき専門せんもん知識ちしき経験けいけん必要ひつようであるため陪審ばいしん審理しんりにふさわしくないとの判断はんだんしめした[139]。その当時とうじすでに、当事とうじしゃ人身じんしん傷害しょうがい事件じけん陪審ばいしん審理しんりもとめることはほとんどなかったものの、民事みんじ事件じけんおおくをめる人身じんしん傷害しょうがい事件じけん陪審ばいしん審理しんり否定ひていされたことは、民事みんじ陪審ばいしん終焉しゅうえん決定的けっていてきにした[140]ロンドン地下鉄ちかてつ発生はっせいしたキングズ・クロスの火災かさい (en) についての1990ねん訴訟そしょうでは、訴訟そしょう当事とうじしゃ陪審ばいしん審理しんりもとめたが、事件じけん技術ぎじゅつてき性格せいかく理由りゆう拒否きょひされた[141]

1981ねん最高法院さいこうほういんほう (Supreme Court Act 1981) 69じょうは、1933ねんほう6じょうあらため、高等法院こうとうほういんにおける民事みんじ陪審ばいしん適用てきよう範囲はんいさらせばめた。すなわち、陪審ばいしん審理しんりおこなわなければならない事件じけんを、詐欺さぎ名誉めいよ毀損きそん悪意あくい訴追そつい誣告ぶこく不法ふほう監禁かんきん事件じけんかぎり、かつ、これらの事件じけんにおいても、トライアルに書面しょめん金銭きんせん計算けいさん科学かがくてき調査ちょうさ、あるいは現場げんば調査ちょうさ必要ひつようで、陪審ばいしんによりおこなうには不都合ふつごうであると裁判所さいばんしょかんがえる場合ばあいには、陪審ばいしん審理しんりおこなわないことができるとされた[142]

今日きょう、イングランドとウェールズにおける民事みんじ事件じけんのトライアルのうち、陪審ばいしんによるものは1%未満みまんであり、そのおおくが名誉めいよ毀損きそん事件じけんである[140]

陪審ばいしんいんかず評決ひょうけつ[編集へんしゅう]

イングランド・ウェールズにおける陪審ばいしんいんかず
裁判所さいばんしょ トライアル開始かいし 最少さいしょう人数にんずう 可能かのう多数決たすうけつ 根拠こんきょ
国王こくおう裁判所さいばんしょ 12 9 11-1, 10-2, 10-1, 9-1 Juries Act 1974, s.17
高等法院こうとうほういん 12 9 11-1, 10-2, 10-1, 9-1 Juries Act 1974, s.17
しゅう裁判所さいばんしょ 8 7 7-1 County Courts Act 1974, s.67; Juries Act 1974, s.17(2)
死因しいん審問しんもん 7 - 11 少数しょうすう意見いけんが2めい以内いない Coroners Act 1988, s.8(2)(a), s.12

なんらかの理由りゆう陪審ばいしんいん解任かいにんされた場合ばあいも、最少さいしょう人数にんずう陪審ばいしんいんのこっているかぎりトライアルを続行ぞっこうすることができる。裁判官さいばんかんは、陪審ばいしんたい全員ぜんいん一致いっち評決ひょうけつもとめるべきであり、なにがあっても、2あいだ10ふん経過けいかするまでは、多数決たすうけつ可能かのうであることをべてはならない。これはもともと2あいだであったが、陪審ばいしんに、評議ひょうぎしつがってからくための時間じかんあたえるために延長えんちょうされた[143]

スコットランド[編集へんしゅう]

スコットランドの最高法院さいこうほういん

スコットランド刑事けいじ事件じけんは、(1) 最高法院さいこうほういん (High Court of Justiciary)、(2) しゅう裁判所さいばんしょ (Sheriff Court) の正式せいしき手続てつづき (solemn procedure)、(3) おなじくしゅう裁判所さいばんしょ略式りゃくしき手続てつづき (summary procedure)、または (4) 簡易かんい裁判所さいばんしょ (District Court) のいずれかに起訴きそされ、審理しんりされる。このうち最高法院さいこうほういんしゅう裁判所さいばんしょ正式せいしき手続てつづきでは陪審ばいしん審理しんりおこなわれるが、ふたつでは裁判官さいばんかんによる審理しんりおこなわれる[144]殺人さつじんざい強姦ごうかんざい(そのごくかぎられた犯罪はんざい)は最高法院さいこうほういん専属せんぞくてき管轄かんかつがあるので、陪審ばいしん審理しんり保障ほしょうされている。その事件じけんは、検察官けんさつかん選択せんたくにより、最高法院さいこうほういん量刑りょうけい制限せいげんなし)、しゅう裁判所さいばんしょ正式せいしき手続てつづき選択せんたくできる量刑りょうけい上限じょうげん自由じゆうけい3ねん)、おなじくしゅう裁判所さいばんしょ略式りゃくしき手続てつづき量刑りょうけい上限じょうげんが3かげつまた簡易かんい裁判所さいばんしょ量刑りょうけい上限じょうげんが60にち)に起訴きそされる[145][ちゅう 14]被告人ひこくにんには正式せいしき手続てつづき略式りゃくしき手続てつづき選択せんたくけんはない[146]

スコットランドの刑事けいじ陪審ばいしんの、イングランドなど法域ほういきくらべた場合ばあい特殊とくしゅせいは、つぎの3てんにある[147]

  • 陪審ばいしんいん人数にんずうが15にんである。これは16世紀せいきまつまでに確立かくりつした伝統でんとうである[148]
  • 評決ひょうけつは、8たい7の単純たんじゅん多数決たすうけつおこなう。そのため、評決ひょうけつ不能ふのう (hung jury) はしょうじない。ただし、審理しんり途中とちゅう陪審ばいしんいん病気びょうきとうけた場合ばあい、12にん以上いじょうのこっていれば審理しんり続行ぞっこうすることができるが、その場合ばあいでも有罪ゆうざい評決ひょうけつ答申とうしんするためには8にん賛成さんせい必要ひつようであり、その賛成さんせいられなければ無罪むざい評決ひょうけつとなる[149]
  • 有罪ゆうざい (guilty)・無罪むざい (not guilty) の評決ひょうけつのほかに「証明しょうめいなし」(not proven) という特殊とくしゅ評決ひょうけつみとめられている。証明しょうめいなしは無罪むざい評決ひょうけつ効果こうかちがいはないが、「無罪むざい」が、被告人ひこくにんつみおかしていないということ(無実むじつ)を積極せっきょくてき宣言せんげんするものとかんがえられているのにたいし、「証明しょうめいなし」は被告人ひこくにん有罪ゆうざい結果けっかてき証明しょうめいされなかったということを意味いみするにすぎないとかんがえられており、証明しょうめいなしの評決ひょうけつはしばしばされている[150]

一方いっぽう、スコットランドの民事みんじ陪審ばいしんは、1815ねんイングランドから移入いにゅうされたもので、陪審ばいしんいん人数にんずう評決ひょうけつ必要ひつようかず評決ひょうけつ種類しゅるいなどはイングランドと同様どうようである[151]民事みんじ陪審ばいしんおこなわれるのは最高さいこう民事みんじ裁判所さいばんしょ (Court of Session) における一定いってい類型るいけい事件じけんかぎられ、当事とうじしゃ希望きぼうによる。対象たいしょうとなるのは、人身じんしん傷害しょうがいいたった場合ばあいふくむ)にたいする損害そんがい賠償ばいしょううったえ、名誉めいよ毀損きそんうったえ、過失かしつまたじゅん過失かしつ不法ふほう行為こういもとづくうったえ、(現在げんざい実際じっさいにはおこなわれていないが)一定いってい根拠こんきょもとづく減額げんがくうったえである(1988ねんほう11せつ)。陪審ばいしん審理しんり期日きじつ指定していされるのはとしに200けん程度ていどであり、そのうち実際じっさい期日きじつ実施じっしされるのはとしに50けん程度ていどである。陪審ばいしん審理しんり必要ひつよう事件じけんでは、エディンバラおよびロージアン(イーストウェストミッド)に居住きょじゅうするものなかから36にん陪審ばいしんいん候補者こうほしゃ召喚しょうかんされ、そのなかから12にん陪審ばいしんいんえらばれる。評決ひょうけつ全員ぜんいん一致いっちまた多数決たすうけつおこなわれる[152][153]

きたアイルランド[編集へんしゅう]

きたアイルランドでは、陪審ばいしん裁判さいばん役割やくわりはおおむねイングランド、ウェールズとおなじである[154]。もっとも、テロリストであるとされるもの犯行はんこうについては、1973ねんから、陪審ばいしん裁判さいばんではなく裁判官さいばんかんのみの裁判所さいばんしょ(ディプロック・コート、en)でおこなわれた。これはアイルランド独立どくりつ戦争せんそうあいだ陪審ばいしんたいする脅迫きょうはくおおおこなわれたことによる。安全あんぜんめん改善かいぜんともない、ディプロック・コートは2007ねん7がつ廃止はいしされることとなった[155]

そのくに[編集へんしゅう]

陪審ばいしんせいは、アメリカ・イギリス以外いがいにも、イギリスのきゅう植民しょくみんなどを中心ちゅうしんに、世界せかいおおくのくににある。2000ねん時点じてんで、つぎくに地域ちいき陪審ばいしんせいがあることが報告ほうこくされている。ただし、これらのなかには、とく民事みんじ陪審ばいしんについては、制度せいどないし規定きていとしてはあっても、実際じっさいにはまったく、あるいはほとんどもちいられていないくに地域ちいきもある(その場合ばあいみんけい符号ふごうに[ ]をす)[156]

以下いか各国かっこくにおける現行げんこう陪審ばいしんせいれいげる。

オーストラリア
オーストラリアには、イギリス植民しょくみん時代じだいの19世紀せいき陪審ばいしんせいがもたらされた。
オーストラリアの刑事けいじ事件じけんだい多数たすうめる、しゅうまた領域りょういき)の犯罪はんざいについては、正式せいしき起訴きそ犯罪はんざい (indictable offence) と略式りゃくしき起訴きそ犯罪はんざい (summary offence) にかれる。正式せいしき起訴きそ犯罪はんざいしゅう最上級さいじょうきゅう裁判所さいばんしょ最高裁判所さいこうさいばんしょまた中級ちゅうきゅう裁判所さいばんしょ地方裁判所ちほうさいばんしょぐん裁判所さいばんしょ)に正式せいしき起訴きそ国王こくおうによる起訴きそ)された場合ばあいは、12にん構成こうせいされる陪審ばいしん審理しんりける。ある犯罪はんざい正式せいしき起訴きそ犯罪はんざいであるか略式りゃくしき起訴きそ犯罪はんざいであるかは立法りっぽうによってめられるが(明示めいじてきさだめられていない場合ばあいは、通常つうじょうけい上限じょうげんが1ねん自由じゆうけいえる場合ばあい正式せいしき起訴きそ犯罪はんざいとなる)、正式せいしき起訴きそ犯罪はんざいであっても、事案じあん軽重けいちょう被疑ひぎしゃ希望きぼう検察官けんさつかん治安ちあん判事はんじ意見いけんとう考慮こうりょして、治安ちあん判事はんじ裁判所さいばんしょ略式りゃくしき起訴きそされることもある。この場合ばあい陪審ばいしん審理しんりおこなわれない。ニューサウスウェールズしゅうみなみオーストラリアしゅう西にしオーストラリアしゅうオーストラリア首都しゅと特別とくべつ地域ちいきでは、正式せいしき起訴きそされた被告人ひこくにんでも単独たんどく裁判官さいばんかんによる審理しんり選択せんたくすることができることとされている。近年きんねん略式りゃくしき起訴きそされる割合わりあい増加ぞうかしており、陪審ばいしん審理しんり減少げんしょうしつつある。
つぎに、連邦れんぽう犯罪はんざいたとえば禁止きんし薬物やくぶつ輸入ゆにゅうなど)については、1901ねん制定せいていされたオーストラリア連邦れんぽう憲法けんぽうにおいて、正式せいしき起訴きそされた場合ばあい陪審ばいしん審理しんり保障ほしょうされている。もっとも、どの犯罪はんざい正式せいしき起訴きそ犯罪はんざいとするかは連邦れんぽう議会ぎかい裁量さいりょうゆだねられており、どれほどおもつみであっても、略式りゃくしき起訴きそ犯罪はんざいとしたり、選択せんたくてき正式せいしき起訴きそ犯罪はんざいとして個々ここ事件じけんごとにめさせたりすることも可能かのうであると解釈かいしゃくされている。正式せいしき起訴きそがされた場合ばあいには、被告人ひこくにんには陪審ばいしん審理しんり放棄ほうきする権利けんりはないとするのが判例はんれいである[157]
カナダ
カナダでは、イギリスの植民しょくみん時代じだいの18世紀せいきなかばに陪審ばいしんせい導入どうにゅうされた。1892ねん制定せいていされた刑法けいほうてんにおいて、重大じゅうだい事件じけんについて陪審ばいしん審理しんりける権利けんり承認しょうにんされた[158]。1982ねん制定せいていされた成文せいぶん憲法けんぽう (Charter of Rights and Freedoms) でも、一定いってい重大じゅうだい犯罪はんざいについて陪審ばいしん審理しんり権利けんり保障ほしょうされた。ただし、おおくの選択せんたくてき正式せいしき起訴きそ犯罪はんざいについては、検察官けんさつかん (Crown attorney) が陪審ばいしん審理しんり回避かいひすることができ、陪審ばいしん審理しんりおこなわれない事件じけんえている[159]
韓国かんこく
韓国かんこくでは、2008ねんから、重大じゅうだい犯罪はんざいのうち被告人ひこくにん希望きぼうした事件じけん対象たいしょうに、陪審ばいしんせいさんしんせいわせた国民こくみん参与さんよ裁判さいばん制度せいど実施じっししている。陪審ばいしんいんのみで評議ひょうぎおこない、原則げんそくとして全員ぜんいん一致いっち評決ひょうけつおこなうが、意見いけんかれた場合ばあい裁判官さいばんかん協議きょうぎうえ多数決たすうけつ評決ひょうけつおこなてん裁判官さいばんかん陪審ばいしん評決ひょうけつことなる判決はんけつをいいわたすことができる(その場合ばあい判決はんけつしょ理由りゆう記載きさいする)てんなど、伝統でんとうてき陪審ばいしんせいとはことなる特徴とくちょうがある[160]
デンマーク
デンマークでは、陪審ばいしんせいさんしんせい併用へいようされており、重大じゅうだい事件じけん裁判官さいばんかん3めい陪審ばいしんいん12めい陪審ばいしんせい審理しんりされるのにたいし、けいつみ事件じけんのうち自白じはく事件じけん裁判官さいばんかん1めいで、否認ひにん事件じけん裁判官さいばんかん1めいさんしんいん2めいさんしんせい審理しんりおこなわれる[161]
ニュージーランド
ニュージーランドは、植民しょくみん時代じだい1841ねん立法りっぽうによってイギリスから陪審ばいしんせい継受けいじゅした[162]
現在げんざい、ニュージーランドでは、成文せいぶん憲法けんぽうではなくコモン・ロー慣習かんしゅう1990ねん権利けんり章典しょうてんほう (Bill of Rights Act) にもとづいて陪審ばいしんせいおこなわれている。最高さいこうけいが14ねん以上いじょう自由じゆうけいである犯罪はんざいについては陪審ばいしん審理しんり必要ひつようであり、最高さいこうけいが3かげつえる自由じゆうけい犯罪はんざいについては被告人ひこくにん陪審ばいしん審理しんりえら権利けんりあたえられている。ただし、警察官けいさつかんたいする暴行ぼうこうざいなど、一定いってい犯罪はんざいについては陪審ばいしん審理しんり除外じょがいされている。
民事みんじ事件じけんでは、上級じょうきゅう裁判所さいばんしょ (High Court) において、負債ふさい返済へんさい請求せいきゅう金銭きんせん賠償ばいしょう請求せいきゅうなど一定いってい事件じけんについて一方いっぽう当事とうじしゃ陪審ばいしん審理しんり要求ようきゅうすることができる。しかし、陪審ばいしん審理しんりける絶対ぜったいてき権利けんりがあるわけではなく、むずかしい法律ほうりつ問題もんだいふく場合ばあいか、書面しょめん計算けいさん関係かんけい証拠しょうこ調しらべが長引ながびいたり、科学かがくてき技術ぎじゅつてき・ビジネスてき専門せんもんてきむずかしい問題もんだいふくんでいたりして陪審ばいしんおこなうには不便ふべん場合ばあいには、裁判官さいばんかんのみの審理しんりめいじることができる。現在げんざいでは民事みんじ陪審ばいしんおこなわれるのはとしに1けんか2けん程度ていどである[163]
ノルウェー
ノルウェーでも、デンマークと同様どうよう陪審ばいしんせいさんしんせい併用へいようされている。1しん地方裁判所ちほうさいばんしょでは裁判官さいばんかんせいまたまいりしんせいおこなわれ、2しん高等こうとう裁判所さいばんしょでは、法定ほうていけいが6ねん以上いじょう否認ひにん事件じけん裁判官さいばんかん3めい陪審ばいしんいん10めい陪審ばいしんせいさばかれるが、それ以外いがい事件じけんまいりしんせいまた裁判官さいばんかんせいさばかれる[161]
ロシア
ロシアでは、1864ねんアレクサンドル2せいにより陪審ばいしんせい導入どうにゅうされたが1917ねん廃止はいしされ、人民じんみんさんしんせいおこなわれていた。1993ねん一部いちぶ地域ちいき陪審ばいしんせい復活ふっかつしたのち2003ねんぜん地区ちく拡大かくだいするとともに、さんしんせい廃止はいしされた[164]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽん陪審ばいしんせい紹介しょうかいされたのは幕末ばくまつから明治めいじ初年しょねんにかけてであり、当初とうしょ"jury"の訳語やくごとしては「立会たちあいノモノ」(福沢ふくさわ諭吉ゆきち西洋せいよう事情じじょう』1866ねん)、「だん」・「ちかい」(津田つだ真道まみち泰西たいせい国法こくほうろん』1868ねん)、「陪坐聴審」(柳河やなかわはるさんやくたまき啓蒙けいもう』1864ねん)、「陪審ばいしん(たちあひ)」(中村なかむら正直まさなお共和きょうわ政治せいじ』1873ねん)などがもちいられていた。ボアソナード刑法けいほう草案そうあんざいほう草案そうあんに「陪審ばいしん」をもちいたことなどから「陪審ばいしん(ばいしん)」が定着ていちゃくした[165]

明治めいじ憲法けんぽうでは陪審ばいしんせい採用さいようされなかったが、1928ねん昭和しょうわ3ねん)から1943ねん昭和しょうわ18ねん)までのあいだ後述こうじゅつのとおり陪審ばいしんほうした刑事けいじ事件じけん陪審ばいしんせいおこなわれた。1943ねん昭和しょうわ18ねん以来いらいどうほう施行しこう停止ていしされている。

また、戦後せんごアメリカ統治とうちであった沖縄おきなわけんでも、1963ねん昭和しょうわ38ねん)から1972ねん昭和しょうわ47ねん)までのあいだ、アメリカみん政府せいふ裁判所さいばんしょにおいて、陪審ばいしんせい実施じっしされていた。

昭和しょうわ初期しょき[編集へんしゅう]

東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょにあった陪審ばいしん法廷ほうてい

沿革えんかく[編集へんしゅう]

明治めいじ憲法けんぽう制定せいていたって日本にっぽん参照さんしょうしたプロイセン王国おうこくほうには陪審ばいしんせい規定きていがあり、当初とうしょ日本にっぽんでも陪審ばいしんせい憲法けんぽうでの明文化めいぶんか議論ぎろんされていたが、大久保おおくぼ利通としみち木戸きど孝允たかよし伊藤いとう博文ひろぶみらの海外かいがい使節しせつだんは、帰国きこく報告ほうこくしょ1871ねん)で、陪審ばいしんせい日本にっぽん実施じっしすることはむずかしく、かつ「不用ふよう」であるとした。結果けっかてきに、明治めいじ憲法けんぽうでは陪審ばいしんせい採用さいようされなかった[166]

1909ねん明治めいじ42ねん)のだい26かい帝国ていこく議会ぎかいにおいて、立憲りっけん政友せいゆうかい議員ぎいんから「陪審ばいしん制度せいど設立せつりつせきスル建議けんぎあん」が提出ていしゅつされ、衆議院しゅうぎいん通過つうかしたが、このときは陪審ばいしんせい成立せいりつなかった[167]

その大正たいしょうデモクラシー運動うんどう高揚こうようするなか1918ねん大正たいしょう7ねん)にはらたかし内閣ないかく成立せいりつすると、はら陪審ばいしん制度せいど導入どうにゅう着手ちゃくしゅし、司法省しほうしょうかれた陪審ばいしんほう調査ちょうさ委員いいんかいにおいて法案ほうあん起草きそうされた。しかし、美濃部みのべ達吉たつきち枢密院すうみついんは、裁判官さいばんかん資格しかくたないもの裁判さいばん関与かんよみとめる陪審ばいしんせい明治めいじ憲法けんぽう24じょう違反いはんするなどと主張しゅちょうして、陪審ばいしん評決ひょうけつ裁判官さいばんかん拘束こうそくしないこととするなどの大幅おおはば修正しゅうせいもとめた。結局けっきょく原内はらうちかくいだ高橋たかはし是清これきよ内閣ないかくがこれらの修正しゅうせい[168]1923ねん大正たいしょう12ねん)のだい46かい帝国ていこく議会ぎかいにおいて陪審ばいしんほう大正たいしょう12ねん4がつ18にち法律ほうりつだい50ごう以下いかじょうすうのみを記載きさいする。)が成立せいりつし、1928ねん昭和しょうわ3ねん)10がつ1にちから施行しこうされた。

この法令ほうれいによりはじめておこなわれた陪審ばいしん裁判さいばんは、1928ねん昭和しょうわ3ねん10月23にち大分おおいた地方裁判所ちほうさいばんしょひらかれた殺人さつじん未遂みすい事件じけんをめぐる裁判さいばんである[169]

対象たいしょう事件じけん[編集へんしゅう]

法定ほうていけい死刑しけいまた無期むき懲役ちょうえき無期むき禁錮きんこたる刑事けいじ事件じけんについては原則げんそくとして陪審ばいしん評議ひょうぎすこととされ(2じょう法定ほうてい陪審ばいしん事件じけん)、長期ちょうき3ねんえる有期ゆうき懲役ちょうえき禁錮きんこたる事件じけんで、地方裁判所ちほうさいばんしょ管轄かんかつぞくするものについては、被告人ひこくにん請求せいきゅうしたときには陪審ばいしん評議ひょうぎすこととされた(3じょう請求せいきゅう陪審ばいしん事件じけん)。この請求せいきゅう陪審ばいしんは、日本にっぽん独自どくじ制度せいどであった。

もっとも、被告人ひこくにん公判こうはんまた公判こうはん準備じゅんびにおいて公訴こうそ事実じじつみとめた場合ばあいは、陪審ばいしん評議ひょうぎすることはできないとされた(7じょう)。また、被告人ひこくにんは、法定ほうてい陪審ばいしん事件じけんであっても陪審ばいしん辞退じたいすることができ、請求せいきゅう陪審ばいしん事件じけんでいったん陪審ばいしん請求せいきゅうしたのちでも検察官けんさつかん陳述ちんじゅつまえであれば請求せいきゅうげることができた(6じょう)。

なお、法定ほうてい陪審ばいしん事件じけん請求せいきゅう陪審ばいしん事件じけん要件ようけん具備ぐびする場合ばあいでも、(1) 大審院だいしんいん特別とくべつ権限けんげんぞくするざい、(2) 皇室こうしつたいするつみ内乱ないらんかんするつみ外患がいかんかんするつみ国交こっこうかんするつみ騒擾そうじょうつみ、(3) 治安ちあん維持いじほうつみ、(4) 軍機ぐんき保護ほごほう陸軍りくぐん刑法けいほうまた海軍かいぐん刑法けいほうつみその軍機ぐんきかんおかしたつみ、(5) 法令ほうれいによっておこな公選こうせんかんおかしたつみについては、陪審ばいしん裁判さいばん対象たいしょうとしないこととされた(4じょう陪審ばいしん不適ふてき事件じけん)。

陪審ばいしんいん[編集へんしゅう]

陪審ばいしんいんは12にんで(29じょう)、陪審ばいしんいん資格しかくとしては、30さい以上いじょう男子だんしで、直接ちょくせつ国税こくぜい3えん以上いじょうおさめており、きができるなどの要件ようけんたしていることが必要ひつようであった(12じょう)。ほかに、つづき2年間ねんかん以上いじょう同一どういつ市町村しちょうそん住居じゅうきょすること。ただし、禁治産者きんちさんしゃじゅん禁治産者きんちさんしゃ破産はさんしゃ復権ふっけんないものろうしゃおししゃ盲者もうしゃ懲役ちょうえき、6ねん以上いじょう禁錮きんこきゅう刑法けいほう重罪じゅうざいけいまたはじゅう禁錮きんこしょせられたもの陪審ばいしんいんにはなれない。

陪審ばいしん裁判さいばん手続てつづき[編集へんしゅう]

陪審ばいしん事件じけんについては、公判こうはんまえ公判こうはん準備じゅんび期日きじつ手続てつづきおこなわれ(35じょう)、被告人ひこくにん尋問じんもんしたうえ(42じょう)、証人しょうにん尋問じんもんとう証拠しょうこ調しらべの決定けっていおこなわれた(43じょう)。この時点じてん被告人ひこくにん事実じじつ間違まちがいないむね陳述ちんじゅつすれば、陪審ばいしん中止ちゅうしされ、通常つうじょう審理しんり移行いこうした(51じょう、7じょう)。

公判こうはん期日きじつには陪審ばいしんいん候補者こうほしゃ名簿めいぼから抽選ちゅうせんえらばれた36にん陪審ばいしんいんした(27じょう、57じょう)。そのなかから検察官けんさつかん被告人ひこくにん理由りゆうなく忌避きひすることができ(64じょう、65じょう4こう)、忌避きひされなかったものなかから12にん陪審ばいしんいんとなった(67じょう)。

立命館大学りつめいかんだいがく末川すえかわ記念きねん会館かいかん移築いちくされてのこる、京都きょうと地方裁判所ちほうさいばんしょ陪審ばいしん法廷ほうてい

その公判こうはん手続てつづきおこなわれ、裁判さいばんちょうによる陪審ばいしんいん心得こころえ諭告ゆこく(ゆこく)、陪審ばいしんいん宣誓せんせい(69じょう)、検察官けんさつかんによる被告ひこく事件じけん陳述ちんじゅつ被告人ひこくにん尋問じんもん証拠しょうこ調しら論告ろんこく弁論べんろん(76じょう)、裁判さいばんちょう陪審ばいしんたいする説示せつじ犯罪はんざい構成こうせい事実じじつ有無うむについてのい(77じょう)と進行しんこうした。陪審ばいしんは、裁判さいばんちょうから「といしょ」をると、評議ひょうぎしつはいり(81じょう、82じょう)、評議ひょうぎうえ、「しかり」または「しからず」との答申とうしんをすることとされた(88じょう)。犯罪はんざい構成こうせい事実じじつ肯定こうていするには陪審ばいしんいん過半数かはんすう意見いけんによることが必要ひつようであった(91じょう)。評議ひょうぎわるまでは、裁判さいばんちょう許可きょかがなければ評議ひょうぎしつからたり他人たにんはなしをしたりすることができず、公判こうはん数日すうじつにまたがる場合ばあい裁判所さいばんしょ設置せっちされた陪審ばいしんいん宿舎しゅくしゃ宿泊しゅくはくしなければならなかった(83じょう、84じょう)。

裁判所さいばんしょは、陪審ばいしん有罪ゆうざい答申とうしん採択さいたくする場合ばあいには、情状じょうじょうかんする事実じじつ尋問じんもん証拠しょうこ調しら[ちゅう 15]だい2論告ろんこく弁論べんろん(96じょう)をうえ法令ほうれい適用てきようして有罪ゆうざい言渡いいわたしをし(97じょう2こう)、無罪むざい答申とうしん採択さいたくする場合ばあいには無罪むざい言渡いいわたしをする(どうじょう3こう)。しかし、裁判所さいばんしょは、陪審ばいしん答申とうしん不当ふとうみとめるときは、陪審ばいしん評議ひょうぎすること(陪審ばいしん更新こうしん)ができた(95じょう)。

陪審ばいしん答申とうしん採択さいたくして事実じじつ判断はんだんをした判決はんけつたいしては、控訴こうそをすることはできなかった(101じょう)。なお、大審院だいしんいんへの上告じょうこくはできた(102じょう)。

陪審ばいしんせい停止ていし[編集へんしゅう]

多額たがく陪審ばいしん費用ひよう被告人ひこくにん負担ふたんとされることがおおかったこと[170]陪審ばいしん選択せんたくした場合ばあい控訴こうそによって事実じじつ認定にんていあらそうことはできなかったことなどから、被告人ひこくにん法定ほうてい陪審ばいしん事件じけん陪審ばいしん辞退じたいしたり、請求せいきゅう陪審ばいしん事件じけんでいったん陪審ばいしん請求せいきゅうしても請求せいきゅうげるれいおおかった。裁判官さいばんかん陪審ばいしんいん答申とうしん拘束こうそくされないこと(陪審ばいしん更新こうしん)も、陪審ばいしんせい意義いぎ骨抜ほねぬきにするものであった。1928ねん昭和しょうわ3ねん)から1942ねん昭和しょうわ17ねん)までのあいだに、法定ほうてい陪審ばいしん事件じけん2まん5097けんのうち、実際じっさい陪審ばいしんされたのは448けん請求せいきゅう陪審ばいしん事件じけん請求せいきゅうがあった43けんのうち、実際じっさい陪審ばいしんされたのは12けんであった[171]。1941ねん昭和しょうわ16ねん)と1942ねん昭和しょうわ17ねん)には、陪審ばいしん審理しんりは1けんずつしかおこなわれなかった[172]

また、だい世界せかい大戦たいせん激化げきかするにつれ、市町村しちょうそんでは徴兵ちょうへい業務ぎょうむ負担ふたんおもくなり、陪審ばいしんいん名簿めいぼ作成さくせいむずかしくなってきたことから、市町村しちょうそんから陪審ばいしんせい停止ていし要望ようぼうされた[173]。こうして、1943ねん昭和しょうわ18ねん)4がつ1にち陪審ばいしんほう停止ていしせきスル法律ほうりつによって陪審ばいしんせい停止ていしされることになった。どうほう附則ふそく3こうにおいて「今次こんじ戦争せんそう終了しゅうりょうさい施行しこうスル」と規定きていしていたが、さい施行しこうされないまま今日きょういたっている。

この制度せいどによって484けん陪審ばいしんされ(うち24けん陪審ばいしん更新こうしんによるもので、実質じっしつ事件じけんすうは460けん)、うち81けん無罪むざい判決はんけつ[174]

復活ふっかつろん裁判さいばんいん制度せいど[編集へんしゅう]

終戦しゅうせん占領せんりょうぐん日本にっぽんにおける陪審ばいしんせい復活ふっかつつよくは主張しゅちょうせず[175]1947ねん昭和しょうわ22ねん)4がつ16にち公布こうふ裁判所さいばんしょほう同年どうねん5がつ3にち施行しこう)では、べつ法律ほうりつ刑事けいじ事件じけん陪審ばいしんせいもうけることをさまたげないと規定きていされるにとどまった(どうほう3じょう3こう)。

1999ねん平成へいせい11ねん)7がつ設置せっちされた司法しほう制度せいど改革かいかく審議しんぎかい国民こくみん司法しほう参加さんかげられることとなり、陪審ばいしんせいかんする議論ぎろんきゅう浮上ふじょうしたが、どう審議しんぎかい最終さいしゅう意見いけんしょで、職業しょくぎょう裁判官さいばんかん市民しみんとも評議ひょうぎ評決ひょうけつおこなう、さんしんせいちか裁判さいばんいん制度せいど採用さいようまった[176]

アメリカ統治とうちにあった沖縄おきなわけん[編集へんしゅう]

べい国民こくみん政府せいふ裁判所さいばんしょおこなわれた陪審ばいしんいん抽選ちゅうせん

当時とうじ沖縄おきなわけんでは、高等こうとう弁務べんむかんちょうとするアメリカみん政府せいふと、そのしたかれた琉球りゅうきゅう政府せいふがあった。1963ねん3月8にち、「アメリカみん政府せいふ刑事けいじ裁判所さいばんしょ」(1958ねん7がつ21にち布告ふこくだい8ごうおよび「刑法けいほうならびに訴訟そしょう手続てつづき法典ほうてん」(1955ねん3がつ16にち布令ふれいだい144ごう)が改正かいせいされ、アメリカみん政府せいふ裁判所さいばんしょにおける刑事けいじ裁判さいばんについて、だい陪審ばいしんしょう陪審ばいしん導入どうにゅうされた。また、1964ねん5月21にち、「アメリカみん政府せいふ民事みんじ裁判所さいばんしょ」(1958ねん7がつ21にち布告ふこくだい9ごう)が改正かいせいされ、アメリカみん政府せいふ裁判所さいばんしょにおける民事みんじ裁判さいばんについて陪審ばいしんせい導入どうにゅうされた。以後いご刑事けいじ民事みんじ陪審ばいしんせい1972ねん施政しせいけん返還へんかんまでおこなわれた[177]

これは、在住ざいじゅうのアメリカじんやアメリカじん弁護士べんごしからの陪審ばいしん裁判さいばんへの要求ようきゅうがあったためであるとされる。もっとも、純粋じゅんすいにアメリカじんだけが関与かんよする制度せいどではなく、(1) 陪審ばいしんいん資格しかくとしてはアメリカ国籍こくせき要求ようきゅうせず、たんに「さんがつあいだ琉球りゅうきゅう列島れっとうない居住きょじゅうしたもの」とされていたことから、琉球りゅうきゅう住民じゅうみんふく居住きょじゅうしゃすべてが陪審ばいしんいんとして参加さんかすることができた(ただし英語えいごきのできないもののぞかれた)。また、(2) 刑事けいじ民事みんじ事件じけんともに、当事とうじしゃがアメリカじん事件じけん限定げんていせず、「高等こうとう弁務べんむかん合衆国がっしゅうこく安全あんぜん財産ざいさんまたは利害りがい影響えいきょうおよぼすとみとめる(とくに)重大じゅうだい事件じけん」についてはアメリカみん政府せいふ裁判所さいばんしょ裁判さいばんけんおよんでいたことから、居住きょじゅうもの当事とうじしゃ事件じけん陪審ばいしんによる審理しんりけることができた[177]

制度せいど概要がいようつぎのとおりである[177]

だい陪審ばいしん
アメリカみん政府せいふ高等こうとう裁判所さいばんしょにおいて、重罪じゅうざい死刑しけいまたは1ねんえる懲役ちょうえきたるつみ)についてはだい陪審ばいしんによる正式せいしき起訴きそ(インダイトメント)をける権利けんり保障ほしょうされた。被疑ひぎしゃ権利けんり放棄ほうきした場合ばあいは、検察官けんさつかんによる簡易かんい起訴きそおこなわれた。だい陪審ばいしんは6めい以上いじょう9めい以下いか構成こうせいされた。
刑事けいじしょう陪審ばいしん
アメリカみん政府せいふ高等こうとう裁判所さいばんしょにおいて、微罪びざい以外いがいのすべての犯罪はんざいについてしょう陪審ばいしんによる裁判さいばんける権利けんり保障ほしょうされた。被告人ひこくにん罪状ざいじょう認否にんぴ手続てつづき無罪むざい答弁とうべんとうをした場合ばあい原則げんそくとして陪審ばいしん審理しんりおこなわれるが、被告人ひこくにん権利けんり放棄ほうきした場合ばあい裁判官さいばんかんによる審理しんりおこなわれた。刑事けいじ民事みんじともしょう陪審ばいしんは12めい構成こうせいされた(これにくわ予備よびいん選任せんにんされた)。
評決ひょうけつ有罪ゆうざいかの一般いっぱん評決ひょうけつであり、全員ぜんいん一致いっちであることをようした。無罪むざい評決ひょうけつたいしてはじゅう危険きけん禁止きんしから上訴じょうそできず、有罪ゆうざい評決ひょうけつたいしては、手続てつづきてき瑕疵かし法律ほうりつ違反いはんについての上訴じょうそゆるされていた。
民事みんじ陪審ばいしん
民事みんじ陪審ばいしんは、アメリカみん政府せいふ民事みんじ裁判所さいばんしょにおいておこなわれた。

この制度せいどにより1963ねんから1972ねんまでのあいだおこなわれた陪審ばいしん裁判さいばんは、刑事けいじ民事みんじわせておよそ10けん程度ていど推定すいていされている(このあいだぜん事件じけんすうは103けん刑事けいじ89けん民事みんじ14けん)であった)[177][ちゅう 16]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 法域ほういき (えい:jurisdiction) とは、ある法体ほうたいけいによって支配しはいされている領域りょういきをいい、単一たんいつ国家こっか場合ばあい国家こっか領域りょういき法域ほういき一致いっちするが、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく場合ばあい連邦れんぽう各州かくしゅうそれぞれが独立どくりつした法体ほうたいけい形成けいせいしているため、それぞれが法域ほういきたる。参照さんしょう浅香あさか (2000: 3)。
  2. ^ トライアル (trial) とは、刑事けいじ事件じけんおよ民事みんじ事件じけんにおいて、事実じじつ認定にんていおこな陪審ばいしんまた裁判官さいばんかんまえで、証人しょうにん尋問じんもんひとし証拠しょうこ調しらべをおこなうとともに、双方そうほう当事とうじしゃ弁論べんろんおこなえいべいほうじょう手続てつづきである。
  3. ^ 陪審ばいしん事実じじつ認定にんていだけでなく、認定にんていした事実じじつに、説示せつじされたほう適用てきようする作業さぎょうおこなう。浅香あさか (2000: 100)、丸山まるやま (1990: 9)。
  4. ^ そのような批判ひはんがされたれいとして、日本人にっぽんじん留学生りゅうがくせい射殺しゃさつ事件じけん刑事けいじ裁判さいばんで、日本人にっぽんじん留学生りゅうがくせい射殺しゃさつした男性だんせいに12にん全員ぜんいん一致いっち無罪むざい評決ひょうけつされた事例じれいがある。
  5. ^ アメリカの場合ばあい、ほとんどの法域ほういきで、陪審ばいしんいんには1にちすうじゅうドル程度ていど日当にっとう交通こうつう支払しはらわれる。浅香あさか (2000: 111)。連邦れんぽう裁判所さいばんしょ場合ばあい日当にっとうは1にち40ドル (28 U.S.C. §1871(b)(1))。
  6. ^ 例外れいがいとして、アメリカのしゅうのうち、インディアナしゅうメリーランドしゅうジョージアしゅうでは陪審ばいしんほう事実じじつ双方そうほうめるとの憲法けんぽう規定きていがあるが、いずれのしゅう判例はんれいもその規定きてい限定げんていてき解釈かいしゃくしており、陪審ばいしん恣意しいてき裁判官さいばんかん説示せつじはなれて法律ほうりつ判断はんだんおこなうことはみとめていない。Leipold, Anderew D. (1997). “Race-based Jury nullification: Rebuttal (Part A)”. John Marshall Law Review 30: 923. 
  7. ^ アメリカでは、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせい5じょう日本語にほんごやく/原文げんぶん)で保障ほしょうされている。
  8. ^ そのような活動かつどうおこなうアメリカの団体だんたいとして、FIJAられている。参照さんしょうFIJAウェブサイト
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  10. ^ 無罪むざい判決はんけつによる審理しんり終了しゅうりょう陪審ばいしん評決ひょうけつまえにも可能かのうである。Ibid. (591-592)。
  11. ^ たとえば、原告げんこく訴状そじょうに、もとめる救済きゅうさい内容ないよう基礎きそけるだけの主張しゅちょう記載きさいされていない場合ばあい被告ひこく申立もうしたてによってうったえは却下きゃっか (dismiss) される。連邦れんぽう民事みんじ訴訟そしょう規則きそくRule 12(b)(6)、浅香あさか (2000: 70)。
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  15. ^ 情状じょうじょうかんする事実じじつ尋問じんもん証拠しょうこ調しらべは、陪審ばいしん答申とうしんおこなうこととされていた(大審院だいしんいん昭和しょうわ4ねん10がつ19にち判決はんけつけいしゅう8かん537ぺーじ)。
  16. ^ なお、このうちの1けん普天間ふてんま事件じけん陪審ばいしんいんとして参加さんかした伊佐いさ千尋ちひろは、この裁判さいばん題材だいざいとしてノンフィクション『逆転ぎゃくてん』を執筆しっぴつした。そこでの実名じつめい使用しようプライバシーけん侵害しんがいとなるかかがのち訴訟そしょうあらそわれ(ノンフィクション「逆転ぎゃくてん事件じけん)、その最高裁さいこうさい判決はんけつはプライバシーにかんするリーディングケースとなった。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

おも複数ふくすう箇所かしょ引用いんようされているもの。冒頭ぼうとう太字ふとじ脚注きゃくちゅうにおける略記りゃっきしめし、当該とうがい略記りゃっきをもとに五十音ごじゅうおんじゅん・アルファベットじゅん整列せいれつした。その文献ぶんけんせい出版しゅっぱんねん発表はっぴょうねん)で引用いんようする。

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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]