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電磁でんじ調理ちょうり

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
IHクッキングヒーターから転送てんそう
電磁でんじ調理ちょうりあか部分ぶぶん動作どうさちゅうラジエントヒーター(RH)で、従来じゅうらい電気でんきコンロ効率こうりつ改善かいぜんしたもの。みぎ手前てまえひだりおく誘導ゆうどう加熱かねつ(IH)で、動作どうさちゅう発光はっこうすることはないが、通電つうでん状態じょうたいしめすために電気でんきコンロをして加熱かねつ周辺しゅうへんひか機能きのうたせたものもある)
卓上たくじょう電磁でんじ調理ちょうり

電磁でんじ調理ちょうり(でんじちょうりき)とは、内部ないぶ配置はいちされるコイルながれる電流でんりゅうにより、所定しょてい種類しゅるい金属きんぞくせい調理ちょうり器具きぐ自己じこ発熱はつねつさせる、加熱かねつのための器具きぐである。加熱かねつ原理げんり誘導ゆうどう加熱かねつ英語えいご: induction heatingIH)であり、IH調理ちょうりともばれる。ガス使用しようせず、電力でんりょくのみで動作どうさする。一般いっぱんてきには、コンロかたをしている調理ちょうり器具きぐう。IH炊飯すいはんなどの、おな加熱かねつ原理げんりもちいる機器ききふくめることもある。

IHクッキングヒーターった場合ばあいは、コンロがた調理ちょうり限定げんていして場合ばあいおおい。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

電磁でんじ調理ちょうりは、電気でんきコンロ同様どうよう電力でんりょくにより加熱かねつおこなう。燃焼ねんしょうともなわないため、室内しつない空気くうきよごさず、火事かじ対策たいさく簡略かんりゃくできる(=内装ないそう制限せいげん緩和かんわ)などのメリットがある。また、安定あんていした加熱かねつ管理かんり制御せいぎょ容易よういおこなえるため、スープなどの液体えきたい加熱かねつてきしている。その反面はんめんなべがまひとしをガラストップ(コイル)からとおざけてしまうと、誘導ゆうどう加熱かねつおよびなべがまとう温度おんど検出けんしゅつができず、加熱かねつ停止ていしさせてしまう機種きしゅおおい。また、フライパン使つかった場合ばあいに、調理ちょうりムラをしょうやすいといった欠点けってんがある。

なお、専用せんようステンレスせいポットもちいるにえよう小型こがた電磁でんじ調理ちょうりを、電磁でんじしきサーバー(デンジサーバー)といい、ホテルや旅館りょかんといった宿泊しゅくはく施設しせつなどでもちいられる。

ビルトインおよび据置すえおきがたIHクッキングヒーターには専用せんようてんぷらなべ付属ふぞくされており、もの料理りょうりをする場合ばあいかならず「もの」モードで付属ふぞくてんぷらなべもちいるよう指示しじされている(付属ふぞく以外いがいなべもちいると温度おんど調節ちょうせつ機能きのう過熱かねつ防止ぼうし装置そうちなどがただしく作動さどうせず、火災かさい事故じこ危険きけんがある)。

加熱かねつ原理げんり[編集へんしゅう]

電磁でんじ調理ちょうりでは、欧米おうべいてつ部品ぶひん中性ちゅうせい雰囲気ふんいき加熱かねつする手法しゅほうとして産業さんぎょう用途ようと日本にっぽんよりはや普及ふきゅうはじめた。インバータにより商用しょうよう電力でんりょくから変換へんかんしてすうじゅうkHz交流こうりゅう電流でんりゅうを、電磁でんじ調理ちょうりてんばん内部ないぶ近接きんせつして配置はいちされたコイル(通常つうじょう視認しにんできない)にながし、その電流でんりゅうおな周波数しゅうはすう交番こうばんする磁束じそく生成せいせいする。てんばんじょう適切てきせつ材質ざいしつ(あるしゅ金属きんぞくせいなべがまとう配置はいちすると、磁束じそくおよ領域りょういき位置いちするなべがまとうそこばん自己じこ発熱はつねつし、調理ちょうり可能かのうとなる。このねつは、磁束じそく時間じかん変化へんかにより、電磁でんじ誘導ゆうどう原理げんりによってさそえおこされたうず電流でんりゅう金属きんぞく電気でんき抵抗ていこうによりねつ変換へんかんされたジュールねつや、交番こうばんしている磁束じそくそこばん磁性じせいたいしょうじさせるねつヒステリシスそん)である。

なべがまそれ自体じたいねつはっする自己じこ発熱はつねつであるために、電磁でんじ調理ちょうりでは、投入とうにゅう電力でんりょくからみたねつ効率こうりつたかい。しかし、電気でんきエネルギーねつエネルギー変換へんかんするため、火力かりょく発電はつでんしょ発電はつでんされた電力でんりょくであれば、ねつエネルギーへのさい変換へんかんとなり、結果けっかとして、発電はつでんしょまでふくめた総合そうごうエネルギー効率こうりつは、使用しようする調理ちょうり機器ききくらべ、やく6%程度ていどひくくなる。

方式ほうしき調理ちょうり器具きぐ比較ひかくした場合ばあい特質とくしつ[編集へんしゅう]

安全あんぜんせい[編集へんしゅう]

火災かさい・やけど[編集へんしゅう]

住宅じゅうたく火災かさい原因げんいんのトップクラスはコンロによる火災かさいであり[1]たいしてIHはがないため、着衣ちゃくいとうがつく心配しんぱいがなく、えの心配しんぱいもない。

ただし、あやまった使用しようほうとうのために火災かさいはおきている。また、ガスコンロくらべ、作動さどうしていることが明確めいかくではなく、また、ガスコンロのガラストップ同様どうようてんいたとうには高温こうおんとなる領域りょういきもあるため、特有とくゆう注意ちゅうい必要ひつようである。調理ちょうり目的もくてきなべとう加熱かねつされることはもとより、そのなべとう下面かめん位置いちする(していた)てんばんにも、鍋底なべぞこなどからのねつつたわり、高温こうおんとなる。とくに、てんばん調理ちょうりしばら高温こうおんであり、その範囲はんい認識にんしきされにくいため、注意ちゅういようする。また、ねつける樹脂じゅしせい調味ちょうみりょうとうくと、けてくっついてしまう。

電磁でんじ調理ちょうりでは、てんばんは、磁束じそくとお必要ひつようがあることや、耐久たいきゅうせいなどの理由りゆうで、ガラスなど放熱ほうねつせいおと材質ざいしつ使用しようされることがおおい。そのため、おおくの器具きぐでは、使用しようしゃ注意ちゅういうなが対策たいさくがとられている。たとえば、なべとう位置いちに、高温こうおんである可能かのうせいしめ注意ちゅうい表示ひょうじ(「高温こうおん注意ちゅうい」など)がプリントされていたり、作動さどうちゅう温度おんどたかあいだランプ点灯てんとうまたは明滅めいめつにより、高温こうおんとなる位置いちなべとう位置いちとう目立めだつようにされている。なお、ガスコンロのてんばんにもガラスが採用さいようされており、バーナーをすためのあなひらいているためたい荷重かじゅうおなじガラスをもちいた電磁でんじ調理ちょうりよりおとる。さらに、電磁でんじ調理ちょうりでは、質量しつりょうちいさい(かるい)調理ちょうり器具きぐ使用しようするときに、鍋底なべぞこてんばんとのあいだ水気みずけによる横滑よこすべりに注意ちゅういする必要ひつようがある。テーブルうえにおいたわん自然しぜんすべ原理げんりおなじである。うっかり幼児ようじさわるとやけどをまねく。

使用しようちゅう本体ほんたい高温こうおんになることから、しゅ電源でんげんったあとも本体ほんたい内部ないぶ温度おんどげるため冷却れいきゃくファンがやく10分間ふんかんまわる。このため電源でんげんプラグは冷却れいきゃくファンが停止ていししたことを確認かくにんしてからかなければならない(いきなりプラグをいての強制きょうせい終了しゅうりょう機器きき故障こしょうのおそれあり)。電源でんげんっても冷却れいきゃくファンがまわっていない場合ばあい、そのまま使つかつづけるとやけどや火災かさいこしかねないので、ただちに使用しよう中止ちゅうし購入こうにゅうてん工事こうじてん点検てんけん修理しゅうり依頼いらいする。

換気かんき空調くうちょう[編集へんしゅう]

電磁でんじ調理ちょうり人体じんたい有害ゆうがい窒素ちっそ酸化さんかぶつ腐臭ふしゅうざい由来ゆらい硫黄いおう酸化さんかぶつやPM2.5も発生はっせいしない。室内しつない空気くうき汚染おせんふせぐために電磁でんじ調理ちょうり交換こうかんすることは非常ひじょう効果こうかてきである。屋内おくないにおける加熱かねつ器具きぐとしての電磁でんじ調理ちょうりは、電気でんき抵抗ていこうしきヒーターと同様どうよう燃焼ねんしょうガスをしょうじないため換気かんき最小限さいしょうげんさえられる利点りてんがある。さらに、電磁でんじ調理ちょうりでははいねつすくないため、冷房れいぼうのための空調くうちょうエネルギー消費しょうひ削減さくげんすることができる。

ガスコンロの場合ばあいは、原理げんりてき屋内おくない使用しようには換気かんき必要ひつようとなる。台所だいどころのコンロはタバコのふくりゅうけむりよりも有害ゆうがいになる場合ばあいがあるという研究けんきゅうもある[2]。ガスコンロでは、燃焼ねんしょうにより室内しつない酸素さんそ消費しょうひすること、燃焼ねんしょうにより水蒸気すいじょうき二酸化炭素にさんかたんそ窒素ちっそ酸化さんかぶつづけしゅうざい由来ゆらいする硫黄いおう酸化さんかぶつPM2.5由来ゆらいする臭気しゅうき不快ふかいかん発生はっせいすること、そして、不完全ふかんぜん燃焼ねんしょう防止ぼうしするためである。そして、換気かんきおこなうと、屋内おくない空調くうちょう冷気れいき暖気だんき排出はいしゅつされるため、換気かんきにより厨房ちゅうぼうまたは建物たてもののエネルギー消費しょうひ増大ぞうだいしかねない。

ただし、電磁でんじ調理ちょうりであっても、食材しょくざいはっしたもの(水蒸気すいじょうき油煙ゆえんなど)は排気はいき必要ひつようとなる。また、電磁でんじ調理ちょうり油分ゆぶん水蒸気すいじょうき広範囲こうはんい拡散かくさんして、周囲しゅういあぶら付着ふちゃくしやすい場合ばあいがある。これは、燃焼ねんしょうガスがしょうじない電磁でんじ調理ちょうりでは、調理ちょうり上昇じょうしょう気流きりゅうよわく、上昇じょうしょう気流きりゅう利用りようした換気かんきがしにくいこと関係かんけいしている。その場合ばあい排気はいきファン能力のうりょくたかめる対策たいさく必要ひつようとなることがある。もちろん、その能力のうりょく利用りようすれば、換気かんきにより排気はいき室外しつがいす)するには、きゅう(または吸気きゅうき 室内しつないれる)が必要ひつようとなり、上記じょうきメリットが期待きたいほどとならないことがある。ちなみに、ガスコンロでは燃焼ねんしょうガスのドラフト効果こうかもあり、排気はいき捕捉ほそくりつたかく(排気はいき油分ゆぶんなどが一緒いっしょになってすぐに換気扇かんきせんまでのぼっていく)周囲しゅういよごれにくい。

ハーバード大学だいがく医学いがく博士はかせウィン・アーマンドはガスコンロのIHまたは電気でんきコンロへの交換こうかん奨励しょうれいしている[3]

災害さいがい[編集へんしゅう]

燃焼ねんしょうしき火災かさい地震じしんなどのさい燃料ねんりょう漏洩ろうえいによる被害ひがい拡大かくだい災害さいがい予測よそくされる。これにたい商用しょうよう電源でんげん有事ゆうじさいにはただちに遮断しゃだんすることができ、かり遮断しゃだんできなくとも電磁でんじ調理ちょうり場合ばあい落下らっかぶつえる可能かのうせいひくく、災害さいがい発生はっせい安全あんぜんせいについて優位ゆういえる。

反面はんめんプロパンガスようのガスコンロが災害さいがい発生はっせい安全あんぜん確認かくにんされ次第しだいただちに復旧ふっきゅう可能かのうであるのにたいして、電磁でんじ調理ちょうりインフラストラクチャー破壊はかいによって商用しょうよう電力でんりょく遮断しゃだんされると、電圧でんあつとう発電はつでんでもないかぎ使用しようすることができず、給電きゅうでん設備せつび復旧ふっきゅうたなければならない。停電ていでん豪雪ごうせつ台風たいふうなどによっても発生はっせいするため、電磁でんじ調理ちょうり家庭かてい都市としガス地域ちいきでも停電ていでんきらって常用じょうようガステーブルを保有ほゆうする家庭かていもある。

電磁波でんじは[編集へんしゅう]

電磁でんじ調理ちょうり交番こうばん磁界じかい生成せいせいしているため、電磁波でんじは発生はっせいしている。てつなべ使用しようしているときより、オールメタルタイプでアルミやどうなべ使用しようしているときのほうが、交番こうばん磁界じかい周波数しゅうはすうたかい。一部いちぶペースメーカーがたじょほそどう(ICD)の誤作動ごさどうや、うでへの金属きんぞく装着そうちゃくへの加熱かねつ危険きけんせい指摘してきされているが、具体ぐたいてき立証りっしょうはされていない。なお、装着そうちゃくしゃたいしては、IH炊飯すいはん保温ほおんちゅう状態じょうたいふくめて、作動さどうちゅう部位ぶいちかづけない、身体しんたい異常いじょうしょうじた場合ばあい機器ききからはなれ、回復かいふくしない場合ばあい医師いし診察しんさつけるよう、注意ちゅうい喚起かんきがなされている[4]。なお、電磁波でんじは環境かんきょうは、Xせんなどの電離でんり放射線ほうしゃせん以外いがい特殊とくしゅ健康けんこう診断しんだん対象たいしょうではない。

清掃せいそうせい[編集へんしゅう]

電磁でんじ調理ちょうりではてんばんたいらであり、調理ちょうり掃除そうじ簡単かんたんである。このてんは、電磁でんじ調理ちょうりは、ラジエントヒーターともに、ガスコンロやシーズヒーター電熱でんねつせんおさめた金属きんぞくかん)とくらべ、格段かくだんすぐれている。なお、ガスコンロもガラストップコンロが主流しゅりゅうとなっているが、燃焼ねんしょうこうまわり(バーナー五徳ごとく)があるかぎり、このうずまらない。ただし、調理ちょうりあついうちは、やけどに注意ちゅういる。また、味噌みそケチャップをこぼしたまま放置ほうちしておくと、ねつ変質へんしつし、くろかたまりになってこびりつくおそれがある。また、はだかいため、あぶらりをふせ目的もくてきで、なべとうちかくにル紙るがみひとし使用しようすることも可能かのうで、実際じっさいにち用品ようひんてんやホームセンターなどでコゲ防止ぼうしようのシートが発売はつばいされていることがおおい。ただし、オールメタルタイプでは、市販しはんアルミせいのガードとうをコイルのちかくにくと、加熱かねつされる可能かのうせいがある。

電子でんし機器ききでもあるため、フィルターつまりの清掃せいそう必要ひつよう機種きしゅでは、おこたらずに内部ないぶ発生はっせいするねつがさないと、不具合ふぐあい原因げんいんとなる。

IHクッキングヒーターの製品せいひんでは、電気でんき抵抗ていこうしきヒーターグリル部分ぶぶんに、はずせないシーズヒーターが中間ちゅうかんたかさにしているものがおおい。清掃せいそう取扱とりあつかい説明せつめいしょ指示しじしたがわなければならない。

加熱かねつ調理ちょうり特徴とくちょう[編集へんしゅう]

電磁でんじ調理ちょうりでは、原理げんりじょう容易ようい出力しゅつりょく火力かりょく)を制御せいぎょすることができる。このため、概要がいようにて上述じょうじゅつしたように、電磁でんじ調理ちょうりでは、安定あんていした加熱かねつ管理かんり制御せいぎょ容易よういおこなえる。とろから、素早すばや湯沸ゆわかしできるハイパワーまで、出力しゅつりょく制御せいぎょはばひろい。

電磁でんじ調理ちょうりでは、加熱かねつ調理ちょうり器具きぐ底部ていぶのみでおこなわれるため、調理ちょうり器具きぐ底部ていぶ以外いがい部分ぶぶんあまあつくならない。このため、なべとうあつくなりにくい。その反面はんめんなべがまとうをガラストップ(コイル)からとおざけてしまうと、誘導ゆうどう加熱かねつおよびなべがまとう温度おんど検出けんしゅつができず加熱かねつ停止ていしさせてしまう機種きしゅおおい。このため、ガス器具きぐくらべてあおり調理ちょうりチャーハンなど)にかない。げると加熱かねつされないことと、ガラストップは衝撃しょうげきれる可能かのうせいがあるためである。なお、ガラストップは磨耗まもうにはつよいので、フライパンとうせたまま水平すいへいるよう推奨すいしょうされている。さらに、調理ちょうり器具きぐなべとう)の自己じこ発熱はつねつによる加熱かねつであり、加熱かねつされる領域りょういき調理ちょうり器具きぐそこいた輪状りんじょう(ドーナツじょう)に形成けいせいされ、場所ばしょによる加熱かねつのムラがしょうじやすい。このため、フライパンなど、伝導でんどうによるねつ伝達でんたつ利用りようする器具きぐもちいる場合ばあいには、調理ちょうりムラがしょうじやすい。また、フライパンなどでは部分ぶぶんてき過熱かねつによるそこばん変形へんけいしょうじやすい。

電磁でんじ調理ちょうりでは、ガスコンロやコイルがた電気でんきコンロのようにスルメや海苔のりをあぶることができない。もっとも、ガスコンロにおいてもなべ検知けんち機能きのう搭載とうさいされた機種きしゅではなべ検知けんち機能きのう解除かいじょしなくては同様どうよう調理ちょうり不可能ふかのうなものもある。同様どうように、電磁でんじ調理ちょうりは、もち干物ひものなどの調理ちょうりかない(ないしはせんもん器具きぐ別途べっと必要ひつようになる)。また、電磁でんじ調理ちょうりでは、ガスコンロのよう排気はいきねつ利用りようしてなべ全体ぜんたいつつむような加熱かねつはできない。ただし、ねつ伝導でんどうりつたかなべ使つかえば一般いっぱんてき家庭かていようガスコンロとの比較ひかく排気はいきねつ影響えいきょうない。

使用しよう可能かのう調理ちょうり器具きぐ[編集へんしゅう]

電磁でんじ調理ちょうりは、オールメタル対応たいおうタイプと通常つうじょうタイプがある。

基本きほんてきには、電磁でんじ調理ちょうりでは、それに対応たいおうした調理ちょうり器具きぐなべ・フライパン・やかんなど)が必要ひつようである。とくに、材質ざいしつてつてつ琺瑯ほうろうステンレスこうなど)、形状けいじょうそこたいら)、あつみ(にくあつでないとりやすい)などが重要じゅうようとなる。これは、電磁でんじ調理ちょうり原理げんりじょう金属きんぞく種類しゅるい加熱かねつ性能せいのう影響えいきょうすること、そして、調理ちょうり器具きぐ底部ていぶのみにエネルギーが集中しゅうちゅうするため、調理ちょうり器具きぐ部分ぶぶんてき過熱かねつしやすく、ねつ膨張ぼうちょうなどによる変形へんけいおこりやすいためである。

オールメタル対応たいおうタイプと通常つうじょうタイプの電磁でんじ調理ちょうり共通きょうつうして使つかえる調理ちょうり器具きぐは、てつなどの磁性じせいたい金属きんぞくそこにあるものと、一部いちぶ磁性じせいステンレスたんそうひんである。ものには専用せんようなべ付属ふぞくしていて、それ以外いがい使用しよう禁止きんしとしている機種きしゅもある。また、オールメタル対応たいおうタイプと通常つうじょうタイプの電磁でんじ調理ちょうりのいずれにも使つかえない調理ちょうり器具きぐは、しるべでんからだでないもの(陶器とうき土鍋どなべやガラスせいなど)、そこ平坦へいたんでなくたとえば球面きゅうめんじょうのもの(中華ちゅうかなべたかあしつきのなべなど)である。なお、電磁でんじ調理ちょうり対応たいおううたった土鍋どなべ市販しはんされている[5]

これは、そこ磁性じせいたい塗布とふしたり磁性じせい金属きんぞくばんんだりなどしているものであるが、ほとんどのメーカー使用しよう禁止きんしとしている。オールメタル対応たいおうタイプは、アルミニウムどうすべてのステンレスなど磁性じせい金属きんぞくせい使つかえるが、ねつ効率こうりつち、火力かりょくよわくなる。通常つうじょうタイプは、そうアルミのかるいフライパンとう使つかえない。ちなみに、オールメタルタイプは通常つうじょうタイプより高価こうかなため、なべとうえても通常つうじょうタイプのほう安上やすあがりだと、東京電力とうきょうでんりょく体験たいけんコーナーとうでは説明せつめいされている。

調理ちょうり器具きぐ選定せんていのためには、安全あんぜん装置そうちである温度おんどセンサーのタイプによってもちがいがてくる。ガスコンロとう場合ばあい鍋底なべぞこにバネの伸縮しんしゅく直接ちょくせつ接触せっしょくする温度おんどセンサーがもちいられるのにたいし、電磁でんじ調理ちょうり温度おんどセンサーはてんいたまれていて露出ろしゅつしておらず、その方式ほうしきに2種類しゅるいある。ひとつは、てんばん温度おんどによって調理ちょうり器具きぐ温度おんど目安めやすとする間接かんせつ接触せっしょくタイプであり、もうひとつは、赤外線せきがいせん鍋底なべぞこ温度おんどはか接触せっしょくタイプである。間接かんせつ接触せっしょくタイプの場合ばあいには、調理ちょうり器具きぐたいらなてんばん密着みっちゃくする鍋底なべぞこをもつことが安全あんぜん使用しようするじょう重要じゅうようである。これにたいし、接触せっしょくタイプでは、鍋底なべぞこ変形へんけいなどによりてんばんから多少たしょういていても問題もんだいとならないことがおおい。

ねつ効率こうりつ[編集へんしゅう]

電磁でんじ調理ちょうりによる加熱かねつねつ効率こうりつやく83%とたかく、損失そんしつすくない。これはなべとう自己じこ発熱はつねつさせる原理げんりじょうのものである。おな電力でんりょくによる加熱かねつ器具きぐである電気でんき抵抗ていこうしきヒーターは、電磁でんじ調理ちょうりくらべると空気くうき加熱かねつしてそれが損失そんしつとなるため、電磁でんじ調理ちょうりくらべてねつ効率こうりつおとる。なお、ガスコンロかんしては、日本にっぽんせいのものは、カセットガスをのぞき、経済けいざい産業さんぎょうしょう告示こくじしょうエネルギー目標もくひょうとしてねつ効率こうりつさだめられており、2006年度ねんど以降いこう通常つうじょうやく60% - 70%である[ちゅう 1]

ちなみに、これらのねつ効率こうりつは、加熱かねつ器具きぐ投入とうにゅうされた電力でんりょく(または燃料ねんりょう熱量ねつりょう)を基準きじゅんとしたものであり、エネルギー効率こうりつ観点かんてんではことなる結果けっかとなる。

騒音そうおん[編集へんしゅう]

音量おんりょうおおきい騒音そうおんはないが、コイルとうから発振はっしん周波数しゅうはすうしょうじるおと付属ふぞく電子でんし操作そうさおん不快ふかいおもものもいる。また、冷却れいきゃくファンのある機種きしゅもある。

日本にっぽん規制きせい規格きかくとう[編集へんしゅう]

高層こうそうビルや地下街ちかがいでは排気はいき火気かき管理かんりとく厳格げんかくである。

内装ないそう制限せいげん
建築けんちく基準きじゅんほうにより火気かきあつか部屋へやでは内装ないそう制限せいげん不燃材ふねんざいりょうやたれかべ設置せっち義務ぎむ)がさだまっている。また、消防しょうぼうほうおもかく自治体じちたい火災かさい予防よぼう条例じょうれい)にてめられているが、電磁でんじ調理ちょうりでは規制きせいたらないことがおお自由じゆうたか設計せっけいくだりなえる。れいとして、固定こていされたテーブルめんみ、てんばんデザインを同一どういつとするデザインや、しとした屋内おくないはりれた設計せっけいなどがある。ただ、加熱かねつされたフライパンや一部いちぶにラジエントヒーターがわさったものでは、可燃かねんぶつれると燃焼ねんしょうするため考慮こうりょする必要ひつようのこる。
調理ちょうり器具きぐ
IH調理ちょうり対応たいおうSGマーク(「IH」または「CH-IH」)きのもの推奨すいしょうされている。
電源でんげん
一般いっぱんてき商用しょうよう電源でんげんもちいる。ビルトインかたがたなど、台所だいどころ恒常こうじょうてき設置せっちしておくタイプのものはとくこう出力しゅつりょくなため、たんしょう200Vの専用せんよう電源でんげん配線はいせん必要ひつようとなる。業務ぎょうむようではさんそう200Vの専用せんよう電源でんげん必要ひつようとなる機種きしゅもある。
内線ないせん規程きてい
家庭かていようは、電気でんき消費しょうひ機器ききとう規制きせいである内線ないせん規程きていにより、最大さいだい出力しゅつりょく制限せいげん出力しゅつりょくがある。3くち+グリルを同時どうじ使用しようできない機種きしゅもあった。
電波でんぱほうによる規制きせい
電磁でんじ調理ちょうり電子でんしレンジ同様どうよう高周波こうしゅうは利用りよう設備せつび該当がいとうし、放送ほうそう無線むせん通信つうしん混信こんしんあたえるため、電波でんぱほうにより規制きせいされている。総務そうむ大臣だいじんによる型式けいしき指定してい、または、型式けいしき確認かくにんがなされた製品せいひんていかく出力しゅつりょく3kW以下いかかつ最大さいだいていかくの120%以下いか[6])は設置せっち許可きょか不要ふようだが、型式けいしき指定してい型式けいしき確認かくにん対象たいしょうとならない業務ぎょうむようだい出力しゅつりょくのものは、所轄しょかつ総合そうごう通信つうしんきょくにて設置せっち許可きょか必要ひつようである[7]
従来じゅうらいがたガステーブルより交換こうかんする場合ばあい規定きてい
従来じゅうらいがたガステーブルをIHクッキングヒーターにえる場合ばあい、「最寄もよりガス事業じぎょうしゃへの事前じぜん連絡れんらく」がガス事業じぎょうほう義務付ぎむづけられており、既存きそんガス工作こうさくぶつ配管はいかん・ボンベ・器具きぐ・メーターるい)の撤去てっきょかならず「ガス工事こうじ担任たんにんしゃ資格しかくゆうするひとガス主任しゅにん技術ぎじゅつしゃ)がおこなう」よう規定きてい資格しかくしゃがガス事業じぎょうしゃへの事前じぜん連絡れんらくなしにガス工作こうさくぶつ無断むだん撤去てっきょする行為こういは「ガスによる引火いんか爆発ばくはつ事故じこ」の危険きけんがあるため禁止きんしされている。

調理ちょうりひん食味しょくみ[編集へんしゅう]

調理ちょうり結果けっか料理りょうり食味しょくみにおいて、ガスコンロと比較ひかくしたときざかな野菜やさいいた竜田たつたはガスコンロがまさるとする研究けんきゅうがある[8]

なべ[編集へんしゅう]

IHはなべはなれると加熱かねつめるので、なべりができない(業務ぎょうむようでは対応たいおう機種きしゅあり)[9]

指摘してきされている問題もんだいてん[編集へんしゅう]

安全あんぜんせい[編集へんしゅう]

安全あんぜんせいについて、電磁でんじ調理ちょうり販売はんばい台数だいすう急増きゅうぞうするのにともな火災かさいなどの事故じこ頻発ひんぱつしており、そのしゅ原因げんいんは「消費しょうひしゃあやま使用しよう」と経済けいざい産業さんぎょうしょう調査ちょうさ結果けっかているため、同省どうしょうはその対策たいさく強化きょうかすすめる方針ほうしんめ「ガス調理ちょうり長年ながねん啓発けいはつ改良かいりょうかさねてきた。IH調理ちょうりもメーカーだけではなく、電力でんりょく会社かいしゃ啓発けいはつ製品せいひん改良かいりょうすすめていくべきだ」と表明ひょうめいしている[10]

宣伝せんでん文句もんく[編集へんしゅう]

電磁でんじ調理ちょうりは、安全あんぜんでエネルギー効率こうりつ簡単かんたん使つかえるということを「宣伝せんでん文句もんく」として販売はんばいされているが、これらの「宣伝せんでん文句もんく」がかならずしも現実げんじつそくしているわけではないという主張しゅちょう一部いちぶ消費しょうひしゃ団体だんたいからなされている。2006ねん現在げんざい、そのメリット・デメリットについてメーカーや電力でんりょく会社かいしゃなど利害りがい関係かんけいしゃくに民間みんかん研究けんきゅうしゃ反対はんたい立場たちばである団体だんたい専門せんもん機関きかんなどで研究けんきゅうおこなわれている。

日本にっぽん国内こくないのIH調理ちょうりメーカー[編集へんしゅう]

現在げんざい生産せいさんちゅう

国内こくないシステムキッチンメーカー各社かくしゃクリナップLIXILTOTOタカラスタンダードトクラスハウステック)や電力でんりょく会社かいしゃけい小売こうり事業じぎょうしゃキューヘンなど)へ供給きょうきゅうされる「ビルトイン(くみこみがた)IHクッキングヒーター」はパナソニック・日立ひたち三菱みつびし3しゃのいずれかとなっている(これら国内こくない大手おおて3しゃせいIHクッキングヒーターは東芝とうしばストアーシャープフレンドショップにも供給きょうきゅう)。

自社じしゃ生産せいさんより撤退てったい
  • シャープ(2013ねんかぎりで撤退てったい
  • 三洋電機さんようでんき(パナソニック完全かんぜん子会社こがいしゃともない「Panasonic」ブランドへ統合とうごう

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 過去かこには80%を達成たっせいしたリンナイうちえんしきバーナー「エコマックス」があったが、ねつセンサーのけがむずかしかったため、現在げんざい販売はんばいされていない。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 住宅じゅうたく火災かさい最多さいたは「コンロ」、使つかれているのに火事かじになるワケは? - ウェザーニュース
  2. ^ ガスコンロのほのおからはつがんせい物質ぶっしつ!?ガスコンロのピンチか!? | 根上ねあがり建築けんちく設計せっけいとつくる、三河みかわらしをゆたかにするいえ
  3. ^ MD, Wynne Armand (2021ねん8がつ13にち). “Air pollution: How to reduce harm to your health” (英語えいご). Harvard Health. 2021ねん11月18にち閲覧えつらん
  4. ^ ペースメーカ、ICD(植込うえこがたじょほそどう)をご使用しようのみなさま こんなときにはご注意ちゅういを!” (PDF). 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん不整脈ふせいみゃくデバイス工業こうぎょうかい (2011ねん6がつ). 2016ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
  5. ^ 業務ぎょうむよう厨房ちゅうぼうけIH中華ちゅうかレンジの開発かいはつについて「中華ちゅうかなべれる機器ききてい価格かかく実現じつげん 2010ねん9がつ8にち 中部電力ちゅうぶでんりょく株式会社かぶしきがいしゃ
  6. ^ 電波でんぱほう施行しこう規則きそくだい46じょうの7。
  7. ^ 高周波こうしゅうは利用りよう設備せつび概要がいよう総務そうむしょう電波でんぱ利用りようホームページ
  8. ^ 福永ふくなが淑子としこ, 瀬尾せお弘子ひろこ, 前田まえだ文子ふみこ、「調理ちょうりしゃ心理しんり状態じょうたい調理ちょうり成果せいかおよぼすガスとIHコンロの影響えいきょう比較ひかく」 『日本にっぽん調理ちょうり学会がっかい』 Vol.47 (2014) No.6 p.326-332, doi:10.11402/cookeryscience.47.326
  9. ^ IHクッキングヒーターのただしい使つかかたとは?さえておきたいポイントを解説かいせつ | KAI LIFE 〜らしに貝印かいじるしのWEBメディア〜
  10. ^ 使つかわないのに火事かじ!? IH調理ちょうり事故じこ続発ぞくはつ対策たいさく強化きょうか”. msn産経さんけいニュース (2009ねん6がつ3にち). 2009ねん6がつ5にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2013ねん10がつ20日はつか閲覧えつらん

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