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コモンクライテリア

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

コモンクライテリア(Common Criteria, 略称りゃくしょう CC)とは、コンピュータセキュリティのための国際こくさい規格きかくであり、 ISO/IEC 15408 である。 IT 製品せいひん情報じょうほうシステムにたいして、情報じょうほうセキュリティ評価ひょうか認証にんしょうするための評価ひょうか基準きじゅんさだめている。

正式せいしき名称めいしょうは "Common Criteria for Information Technology Security Evaluation"(情報じょうほう技術ぎじゅつセキュリティ評価ひょうかのためのコモンクライテリア)である。 ISO/IEC 15408 の規格きかくめいは "Evaluation criteria for IT security", JIS X 5070 としての名称めいしょうは「情報じょうほう技術ぎじゅつセキュリティの評価ひょうか基準きじゅん」である。 2019ねん3がつ時点じてんにおいては「バージョン3.1 リリース5(2017ねん4がつ)」が最新さいしんばんである。

日本にっぽんではコモンクライテリアまたは CCばれるほか、情報じょうほう技術ぎじゅつセキュリティ評価ひょうか基準きじゅんITセキュリティ評価ひょうか基準きじゅんひろ一般いっぱんてきにはセキュリティ評価ひょうか基準きじゅんなどとばれる。

現在げんざいでは独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん情報処理じょうほうしょり推進すいしん機構きこうが、日本にっぽんの「ITセキュリティ評価ひょうかおよ認証にんしょう制度せいど(JISEC:Japan Information Technology Security Evaluation and Certification Scheme)」[1]における認証にんしょう機関きかん運営うんえいしている。

概要がいよう

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CC は 現在げんざい世界せかい20 かこく以上いじょう政府せいふ調達ちょうたつ基準きじゅんとされており、日本にっぽんにおいても、政府せいふにおけるIT製品せいひん・システムの調達ちょうたつかんして CC 評価ひょうか認証にんしょう取得しゅとくされた製品せいひん利用りよう推進すいしんされている。 [2][3]

また、CCRA加盟かめいこくのうちのいちこくにおいていちCC評価ひょうか認証にんしょうければ、くににも通用つうようする。 情報じょうほうシステムや情報じょうほう機器ききが、ことなる国々くにぐになんもセキュリティ認証にんしょう取得しゅとくする必要ひつようをなくすために、欧州おうしゅうITSEC 標準ひょうじゅん米国べいこく TCSEC 標準ひょうじゅん後継こうけいとして、ISO の国際こくさい規格きかく (IS, International Standard) となることを目指めざして開発かいはつされた。

CC はのセキュリティ標準ひょうじゅんべい FIPS 140 ひとし)とはことなり、たさなければならないセキュリティ要件ようけんのリストそのものを規定きていするのではなく、セキュリティ評価ひょうか枠組わくぐみ(フレームワーク)を提供ていきょうしている。 この枠組わくぐみのなかで、利用りようしゃはセキュリティ要件ようけん要求ようきゅう仕様しよう)を指定していでき、開発かいはつしゃ製品せいひんのセキュリティ属性ぞくせいについて主張しゅちょうでき、そして、評価ひょうかしゃはそのセキュリティ主張しゅちょう製品せいひん本当ほんとうたしているかどうかを検査けんさできるようになっている。 すなわち CC は、コンピュータセキュリティ製品せいひん要求ようきゅう仕様しようしめし、開発かいはつし、評価ひょうかするというプロセスが厳密げんみつ方式ほうしきおこなわれたという保証ほしょう提供ていきょうするものである。

CC は以下いかの3さつ構成こうせいされる。

  • パート1: 概説がいせつ一般いっぱんモデル (Introduction and general model)
  • パート2: セキュリティ機能きのう要件ようけん (Security functional requirements)
  • パート3: セキュリティ保証ほしょう要件ようけん (Security assurance requirements)

CC によるセキュリティ評価ひょうかは、ITSEC (およびその前身ぜんしんであるドイツ BSI 標準ひょうじゅんの ITS)同様どうよう対象たいしょうシステムのセキュリティ機能きのうせいと、信頼しんらいせい品質ひんしつ保証ほしょう)の両面りょうめんから実施じっしされる。 後者こうしゃにおいては、使用しようされている手法しゅほう実効じっこうせいや、実装じっそう正確せいかくせい検証けんしょうされねばならない。 必要ひつよう信頼しんらいせい度合どあい、すなわちセキュリティ評価ひょうかひろさとふかさは、通常つうじょう、EAL (下記かき参照さんしょう)として指定していされる。

CC にもとづく評価ひょうかは、一般いっぱんにはとてもたかくつき、それなりに時間じかんもかかる。 評価ひょうか認定にんていけた評価ひょうか機関きかんによって実施じっしされ、評価ひょうか結果けっかたいする認証にんしょうは、CCRA (後述こうじゅつ加盟かめい各国かっこく認証にんしょう機関きかん日本にっぽんIPA運営うんえいのJISEC とう)だけからけることができる。 評価ひょうか機関きかんは、厳格げんかくさだめられた手続てつづきにのっとって認定にんていされ、定期ていきてき更新こうしんけなければならない。

最新さいしん規格きかく文書ぶんしょ

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主要しゅよう概念がいねん

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コモンクライテリアでは、以下いかのように主要しゅよう概念がいねん数多かずおお定義ていぎされている:

プロテクションプロファイル (PP, Protection Profile)
セキュリティ要件ようけん要求ようきゅう仕様しよう)を特定とくていする文書ぶんしょ通常つうじょう利用りようしゃ(または利用りようしゃ団体だんたい)が、自分じぶん要求ようきゅう仕様しよう文書ぶんしょしたもの。実質じっしつてきに、セキュリティデバイスの分類ぶんるい規定きていしている(たとえば、デジタル署名しょめいようスマートカード)。
セキュリティターゲット (ST, Security Target)
ある特定とくてい製品せいひんのセキュリティ性能せいのう特定とくていする文書ぶんしょであり、製品せいひん評価ひょうか認証にんしょうするための基礎きそになる。通常つうじょう製品せいひん開発かいはつしゃ作成さくせいする。ST は(ひと以上いじょうの) PP に適合てきごうしていることを主張しゅちょうしてもよく、評価ひょうかさいは PP 適合てきごう主張しゅちょうたされているかどうかも検査けんさされる。
評価ひょうか対象たいしょう (TOE, Target Of Evaluation)
簡単かんたんえば、ST にセキュリティ主張しゅちょう記述きじゅつされた製品せいひんのことである。
セキュリティ機能きのう要件ようけん (SFR, Security Functional Requirements)
製品せいひん提供ていきょうする個々ここのセキュリティ機能きのう規定きていする条文じょうぶん。セキュリティ機能きのう標準ひょうじゅんカタログとして CC は SFR のリストを規定きていしており、利用りようしゃが PP をくときや、開発かいはつしゃが ST をくときに、必要ひつようなものをえらんで PP や ST に記載きさいする。れいとして、特別とくべつ役割やくわりをもつ利用りようしゃ管理かんりしゃなど)を認証にんしょうする方法ほうほう規定きていする SFR がある。 CC は ST にふくまれるべき SFR を規定きていしないが、ある機能きのうたとえば、役割やくわりしたがってアクセス制限せいげんする)が正常せいじょう動作どうさするために不可欠ふかけつほか機能きのうたとえば、かく個人こじん役割やくわり識別しきべつする)を、依存いぞんせいとして規定きていしている。
セキュリティ保証ほしょう要件ようけん (SAR, Security Assurance Requirements)
セキュリティ機能きのうせい主張しゅちょう製品せいひん準拠じゅんきょしていることを保証ほしょうするために、製品せいひん開発かいはつあいだにとられる施策しさく規定きていする条文じょうぶんたとえば、ぜんソースコードが変更へんこう管理かんりシステムで保持ほじされていることを要求ようきゅうする、十分じゅうぶん機能きのうテストがおこなわれる (perform) ことを要求ようきゅうする、など。うえの SFR 同様どうよう、CC は SAR のカタログを規定きていし、必要ひつようなものをえらんで PP や ST に記載きさいする。
評価ひょうか保証ほしょうレベル (EAL, Evaluation Assurance Level)
製品せいひん開発かいはつ過程かてい全般ぜんぱんをカバーする保証ほしょう要件ようけんのパッケージであり、7段階だんかい厳格げんかくさに対応たいおうする。 EAL1 はもっと基本きほんてき(したがって実施じっしするのも評価ひょうかけるのもやすあがり)であり、EAL7 はもっときびしい(もっと高価こうか)。通常つうじょう、ST や PP の著者ちょしゃ保証ほしょう要件ようけんひとひとえらぶことはせず、 EAL をひとえらび、必要ひつようであればよりこうレベルの保証ほしょう要件ようけんをいくつか追加ついかする。よりたかい EAL がかならずしも「よりいセキュリティ」を含意がんいするとはかぎらず、主張しゅちょうしている TOE セキュリティ保証ほしょうがより広範こうはん検証けんしょうされたことを意味いみするにぎない。

いままでのところ、PP のだい部分ぶぶん、そして評価ひょうかされた ST/認証にんしょう製品せいひんだい部分ぶぶんは、IT システムの構成こうせい要素ようそ(ファイアウォール、オペレーティングシステム、スマートカードなど)のためのものであった。 CC は IT 調達ちょうたつ要件ようけんとして指定していされることがある。 相互そうご運用うんよう、システム管理かんり利用りようしゃ教育きょういくとうかんしては、標準ひょうじゅん規格きかくが CC とう製品せいひん標準ひょうじゅんおぎなう。 たとえば ISO/IEC 27001きゅう BS 7799-2)や ISO/IEC 27002きゅう ISO/IEC 17799, BS 7799-1)またはドイツの IT-Grundschutzhandbuch である。

TOE ない暗号あんごうけい実装じっそうかんする詳細しょうさいは、CC の適用てきよう領域りょういきがいである。 わりにべい政府せいふ標準ひょうじゅん FIPS 140 などが暗号あんごうモジュールの仕様しよう規定きていし、使用しようする暗号あんごうアルゴリズムの仕様しようについては様々さまざま標準ひょうじゅんがある。

セキュリティ機能きのう要件ようけん

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CC の機能きのう要件ようけんは、機能きのう分野ぶんやべつ分類ぶんるいされており、セキュリティアーキテクチャの基本きほんてき機能きのう表現ひょうげんしたものとなっている。 前身ぜんしんとなった TCSEC などとことなり、セキュリティ強度きょうどべつ分類ぶんるいではない。 主要しゅよう機能きのう要件ようけんクラスは、FAU(セキュリティ監査かんさ)、FCO通信つうしん)、FCS暗号あんごうサポート)、FDP利用りようしゃデータ保護ほご)、FIA識別しきべつ認証にんしょう)、FMT(セキュリティ管理かんり)、FPR(プライバシー)、FPT(TOEセキュリティ機能きのう保護ほご)、FRU資源しげん利用りよう)、FTA(TOEアクセス)、および FTP高信頼こうしんらいパス/チャネル)である。

ファイアウォールICカード無線むせんLANなど、セキュリティ製品せいひん種類しゅるいによって、典型てんけいてきなセキュリティ機能きのう範囲はんいさだめた「プロテクションプロファイル」 (PP) がつくられ、必要ひつよう一連いちれん機能きのう要件ようけん記述きじゅつされる。

セキュリティ保証ほしょう要件ようけん

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CC は、評価ひょうか結果けっか信頼しんらいせい担保たんぽするためのすうおおくのセキュリティ保証ほしょう要件ようけん規定きていしている。 保証ほしょう要件ようけんは PP 評価ひょうかようAPE クラス)、ST 評価ひょうかようASE クラス)、TOE 評価ひょうかよう(それ以外いがいだい部分ぶぶん)、および追加ついか枠組わくぐようよっつに大別たいべつされる。

3.0, 3.1 はんの TOE 保証ほしょう要件ようけんADV (開発かいはつ)、AGD (ガイダンス文書ぶんしょ)、ALC (ライフサイクルサポート)、ATE (テスト) および AVA (脆弱ぜいじゃくせい評定ひょうじょう) の 5 クラスにだい分類ぶんるいされ、ちゅう分類ぶんるいでは 20 ファミリーとなる。 2.x ばんでは分類ぶんるい方法ほうほう一部いちぶことなり、ACM (構成こうせい管理かんり) および、ADO (配付はいふ運用うんよう) をくわえた 7 クラス 26 ファミリーである。

必要ひつようなセキュリティ保証ほしょう要件ようけん個別こべつ指定していするのは煩雑はんざつであるばかりでなく、その正当せいとうせい検証けんしょうするのも大変たいへんである。 そこで、標準ひょうじゅんてきなセキュリティ保証ほしょう要件ようけんくみがいくつか定義ていぎされており、保証ほしょうパッケージとばれる。 なかでももっと重要じゅうようなのが7段階だんかいEAL(Evaluation Assurance Level, 評価ひょうか保証ほしょうレベル)であり、CC において定義ていぎされている。

CC EAL ITSEC E 意味いみ TCSEC
EAL1 E0-E1 機能きのうテスト D-C1
EAL2 E1 構造こうぞうテスト C1
EAL3 E2 方式ほうしきてきテスト、およびチェック C2
EAL4 E3 方式ほうしきてき設計せっけい、テスト、およびレビュー B1
EAL5 E4 じゅん形式けいしきてき設計せっけいおよびテスト B2
EAL6 E5 じゅん形式けいしきてき検証けんしょう設計せっけいおよびテスト B3
EAL7 E6 形式けいしきてき検証けんしょう設計せっけいおよびテスト A

統合とうごう TOE

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追加ついか枠組わくぐみを実現じつげんする保証ほしょう要件ようけんクラスとしては、3.0, 3.1 はんには ACO (統合とうごう) クラスがある。 これは統合とうごう TOE (Composed TOE) すなわち TOE 評価ひょうか評価ひょうか認証にんしょう他社たしゃ製品せいひん依存いぞんする場合ばあい評価ひょうか枠組わくぐみのために導入どうにゅうされた。

保証ほしょう継続けいぞく

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評価ひょうか認証にんしょう製品せいひんをバージョンアップするさい軽微けいび変更へんこうならかならずしもさい評価ひょうか差分さぶん評価ひょうか)せずに、同等どうとう保証ほしょう維持いじされていることを判定はんていできれば効率こうりつがよい。

そのための枠組わくぐみを意図いとした保証ほしょう要件ようけんとして、CC 2.1 はんには、AMA (保証ほしょう維持いじ) クラスがあった。 ところが、効果こうかてき保証ほしょう維持いじ計画けいかくを、初版しょはん認証にんしょう取得しゅとくまえに TOE 開発かいはつしゃ策定さくていするのは現実げんじつてきでなく、評価ひょうか方法ほうほう確立かくりつされていなかったので 2.2 はん廃止はいしされた。

わりに、保証ほしょう継続けいぞくガイドライン (ACG) とばれる手続てつづ方法ほうほう保証ほしょう要件ようけんではない)が CC および CEM とは別枠べつわく導入どうにゅうされ、相互そうご承認しょうにんふくめて実際じっさい運用うんようされている。

共通きょうつう評価ひょうか方法ほうほう (CEM)

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共通きょうつう評価ひょうか基準きじゅんであるコモンクライテリアにくわえ、スポンサー組織そしきおよび委員いいんかいによって、評価ひょうか結果けっか理解りかい可能かのうかつ比較ひかく可能かのうにするための評価ひょうか方法ほうほう開発かいはつされた。 正式せいしき名称めいしょうは Common Methodology for Information Technology Security Evaluation(情報じょうほうセキュリティ評価ひょうかのための共通きょうつう方法ほうほう)だが、共通きょうつう評価ひょうか方法ほうほう (Common Evaluation Methodology) の頭文字かしらもじって CEMばれる。 これは、評価ひょうか機関きかんが CC 評価ひょうかおこなうための最低限さいていげんのアクションを記述きじゅつしている。

CEM 2.3 はんが ISO/IEC 18045 となっている。 2.3 はんまでの CEM は EAL1 から EAL4 までの評価ひょうか対応たいおうしている。 3.0 および 3.1 はんでは ADV, ATE, AVA のかくクラスは EAL5 まで、のクラスはぜんコンポーネントの評価ひょうか対応たいおうしている。

歴史れきし

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起源きげん

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CC はみっつないしよっつの標準ひょうじゅん起源きげんとする。 だい1はべい国防総省こくぼうそうしょうTCSEC (Trusted Computer System Evaluation Criteria), 通称つうしょうオレンジブック」である。 1983ねん制定せいていされ、1986ねんから NSA国防こくぼう関係かんけいのシステムを中心ちゅうしん評価ひょうか認証にんしょうおこなっている。

だい2はヨーロッパの ITSEC (Information Technology Security Evaluation Criteria) である。 国内こくないにセキュリティ評価ひょうか認証にんしょう制度せいどをもつフランスドイツおよびイギリスに、オランダくわえた4かこく開発かいはつし、1991ねん欧州おうしゅう委員いいんかいから刊行かんこうされ、地域ちいきオーストラリアなど)でも採用さいようされた。 TCSEC の概念がいねんもとにしながら、より柔軟じゅうなん枠組わくぐみをもち、民生みんせいひんから政府せいふ専用せんよう製品せいひんまで幅広はばひろ評価ひょうか認証にんしょうおこなわれた。 国家こっかあいだでの相互そうご承認しょうにん機能きのう主張しゅちょう保証ほしょう要件ようけん分離ぶんり、そして評価ひょうか基準きじゅん ITSEC にくわ評価ひょうか方法ほうほうマニュアル ITSEM の標準ひょうじゅんなど、いくつかのてんで CC の枠組わくぐみの基礎きそとなっている。

だい3はカナダの CTCPEC (Canadian Trusted Computer Product Evaluation Criteria) であり、上記じょうきりょう標準ひょうじゅん参考さんこうに、各々おのおののアプローチをわせ、1993ねん公表こうひょうされた。

だい4をげるならば、1993ねん米国べいこく起草きそうされた FC (Federal Criteria for Information Technology Security) だが、この取組とりくみは早々そうそうに CC へと方向ほうこう転換てんかんされた。 FC は、元々もともと軍需ぐんじゅようの TCSEC を、民需みんじゅにも使つかいやすいよう ITSEC の内容ないようれた改訂かいていばんとして構想こうそうされた。 政府せいふ高度こうど機密きみつけセキュリティを担当たんとうし TCSEC を運用うんようする NSA と、それ以外いがい政府せいふ一般いっぱんよう民間みんかんよう)のセキュリティを担当たんとうする NISTとも1992ねんから FC 開発かいはつみ、ともに CC 開発かいはつ参画さんかくした。

統一とういつ

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CC は、これら既存きそん標準ひょうじゅん規格きかく統一とういつすることによって誕生たんじょうした。 これにより、防衛ぼうえい機関きかん情報じょうほう機関きかんけにコンピュータ製品せいひん販売はんばいする会社かいしゃは、製品せいひんセキュリティ標準ひょうじゅん適合てきごうせい評価ひょうかを、ひとつの標準ひょうじゅんについてだけ評価ひょうかければむようになった。 この統一とういつ国際こくさい規格きかくへのみちのりには、じつに 9ねん歳月さいげつようしている。

ISO は1990ねんに、各国かっこくがセキュリティ評価ひょうか結果けっか相互そうご承認しょうにんでき、国際こくさい IT 市場いちば通用つうようするような、汎用はんようかつ国際こくさい標準ひょうじゅんのセキュリティ評価ひょうか基準きじゅん開発かいはつ決定けっていした。 この作業さぎょう同年どうねん ISO/IEC JTC 1/SC 27/WG 3 が開始かいししたが、作業さぎょうりょう膨大ぼうだいであることにくわえ、国際こくさいあいだ調整ちょうせい難航なんこうし、遅々ちちとしてはかどらなかった。

1993ねん6がつに、上記じょうき TCSEC, ITSEC, CTCPEC および FC の開発かいはつたった6かこく7組織そしきは、共通きょうつう評価ひょうか基準きじゅん共同きょうどう開発かいはつし ISO 規格きかくすることを合意ごういした。 この活動かつどうは CC プロジェクトと名付なづけられ、各々おのおの評価ひょうか基準きじゅん統一とういつし、成果せいかを ISO に提供ていきょうすることを目的もくてきとした。

CC プロジェクトはかく組織そしき代表だいひょうしゃからなる編集へんしゅう委員いいんかい (CC Editorial Board, CCEB) を結成けっせいして作業さぎょう開始かいしし、上記じょうき WG3 にたい規格きかくあん提案ていあんした。 WG3 がわでは反発はんぱつもあったが、運用うんよう実績じっせきのある既存きそんかく標準ひょうじゅんとはべつ標準ひょうじゅんつくることの不安ふあんもあり、結局けっきょく WG3 がわのエディターを CCEB に参画さんかくさせることを条件じょうけんに CC 採用さいようめた。 これによって CCEB と WG3 の連携れんけい確立かくりつし、CCEB から WG3 に原案げんあん提供ていきょうはじめた。 両者りょうしゃ調整ちょうせい1996ねん1がつに CC 1.0 はん完成かんせいし、4がつには ISO が CD (委員いいんかい原案げんあん)として採用さいよう配布はいふ承認しょうにんするにいたった。

国際こくさい規格きかく

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CC プロジェクトは 1.0 はんでトライアルユース(試行しこう評価ひょうか)をなんおこない、評価ひょうか基準きじゅん文書ぶんしょのパブリックレビュー(公開こうかい審査しんさ)を広範囲こうはんい実施じっしした。 試行しこう評価ひょうか公開こうかい審査しんさ、および ISO からのフィードバックをもとに CC のだい規模きぼ改訂かいていおこなわれた。 改訂かいてい作業さぎょう並行へいこうして共通きょうつう評価ひょうか手法しゅほう (CEM) の開発かいはつ、およびセキュリティ評価ひょうか認証にんしょう結果けっか各国かっこく相互そうご承認しょうにんする枠組わくぐみの検討けんとうすすめられた。

1997ねん10月に CC 2.0 “ベータ”ばんが WG3 に提出ていしゅつされ、だい2はん CD として承認しょうにんされた。 CC プロジェクトは WG3 のコメントと ISO 加盟かめい各国かっこくの CD 投票とうひょうコメントにもとづき CC 2.0 はん仕上しあげ、1998ねん5月に FCD(最終さいしゅう草案そうあん)となった。 FCD 投票とうひょうによって FDIS(最終さいしゅう規格きかくあん決定けっていした1998ねん10がつ、カナダ、フランス、ドイツ、イギリスおよび米国べいこく相互そうご承認しょうにん協定きょうてい (MRA) に署名しょめいした。

FCD 投票とうひょうコメントにもとづきほろ修正しゅうせいされた FDIS が国際こくさい投票とうひょう1999ねん6がつに IS (国際こくさい規格きかく)として承認しょうにんされ ISO/IEC 15408:1999 となった。 CC プロジェクトはそのほろ修正しゅうせいれ、使つかいやすく体裁ていさいととのえた評価ひょうか基準きじゅん文書ぶんしょ (CC) を発行はっこうし、あわせて共通きょうつう評価ひょうか方法ほうほう (CEM) 初版しょはん発行はっこうした。 この CC 文書ぶんしょが、IS と実質じっしつてきどういち内容ないようどういち効力こうりょくをもつ 1999ねん8がつの CC 2.1 はんである。

2.1 はんへの指摘してき問合といあわせであきらかになった問題もんだいてんは CC プロジェクトないもうけられた委員いいんかい (CCIMB) で検討けんとうされ、CC または CEM の修正しゅうせいようする各々おのおの指摘してきたいしては、問題もんだい箇所かしょかたしるした「解釈かいしゃく」 (Interpretation) と補足ほそく書面しょめん発行はっこうされた。 2004ねん1がつしん規格きかくあんとして、発行はっこう解釈かいしゃく反映はんえいした CC と CEM の 2.2 はん発行はっこうされた。 2005ねん8がつにはその解釈かいしゃく反映はんえいしたあらたな IS として CC 2.3 はん (ISO/IEC 15408:2005) および CEM 2.3 はん (ISO/IEC 18045:2005) が発行はっこうされた。

CC バージョン 3 にいたるまで

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IS げた CC バージョン 2.x けいだい2はんけい)はよくられたセキュリティ評価ひょうか基準きじゅんだったが、解釈かいしゃく発行はっこうによるほろ修正しゅうせいではまないような根深ねぶか問題もんだいがいくつか指摘してきされた。 用語ようご概念がいねん定義ていぎ齟齬そご循環じゅんかんがある、評価ひょうか作業さぎょう無駄むだ重複じゅうふくがある、抽象ちゅうしょうおおきくことなる機能きのう要件ようけん混在こんざいしている、保証ほしょう要件ようけんとして内容ないよう評価ひょうかすべきセキュリティ側面そくめん機能きのう要件ようけんとして形式けいしきしか評価ひょうかされない、などである。 そのため、ふたただい規模きぼ改訂かいてい機運きうんたかまり、バージョン 2 のメンテナンス(2.3 はんの IS )と並行へいこうしてバージョン 3 の開発かいはつおこなわれた。

バージョン 3(だい3はん)で計画けいかくされた変更へんこうてんのうち、まず PP と ST の改革かいかく先行せんこうして試行しこう評価ひょうかすることとなり、CC と CEM の 2.2 はんたいして PP と ST の仕様しよう保証ほしょう要件ようけん評価ひょうか方法ほうほう抜本ばっぽん改訂かいていと、それらとの整合せいごう必要ひつよう最小限さいしょうげん変更へんこう機能きのう仕様しよう機能きのう強度きょうどなど)だけをほどこした 2.4 はん2004ねん3がつ発行はっこうされた。 2.4 はんは 2.3 はんよりはや発行はっこうされ、パート 2 がない(2.2 はんをそのまま使つかう)風変ふうがわりなテストばんであった。

CC と CEM の 3.0 はん2005ねん6がつ発行はっこうされ、公開こうかい審査しんさ試行しこう評価ひょうかおこなわれた。 そのなかあきらかになった問題もんだいてん修正しゅうせいした 3.1 はん2006ねん9月に発行はっこうされた。

3.0 はんではセキュリティ機能きのう要件ようけん保証ほしょう要件ようけん大幅おおはば再編さいへんされた。 ところが、とく機能きのう要件ようけん既存きそんの PP の移植いしょく困難こんなんほど抜本ばっぽん改訂かいていであったので、問題もんだいとなった。 そのため 3.1 はん機能きのう要件ようけんは 2.3 はんちかいものにもどされた。

CCRA: コモンクライテリア承認しょうにんアレンジメント

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コモンクライテリア承認しょうにんアレンジメント (CCRA, Common Criteria Recognition Arrangement) は条約じょうやくじゅんずる国際こくさい協定きょうていである。[4] CCRA のかく加盟かめいこくは、加盟かめいこくでなされた CC 規格きかく評価ひょうか相互そうご承認しょうにんすることになっている。 最初さいしょ1998ねんに MRA(Mutual Recognition Arrangement, 相互そうご承認しょうにんアレンジメント)というで、カナダ、フランス、ドイツ、英国えいこくおよび米国べいこく署名しょめいし、オーストラリアおよびニュージーランドが1999ねんに、さらにフィンランド、ギリシア、イスラエル、イタリア、オランダ、ノルウェーおよびスペインが2000ねん参加さんかした。2003ねんからは日本にっぽん参加さんか。 その MRA は CCRA に改名かいめいされ、加盟かめいこくつづけている。

現在げんざいのところ、最高さいこう EAL4 (障害しょうがい修正しゅうせい ALC_FLR の追加ついかふくむ)までの範囲はんいで、 CCRA ない国際こくさいてき相互そうご認証にんしょうおこなわれている。 よりたかい EAL については、非常ひじょうっているので、国境こっきょうえて承認しょうにんする義務ぎむはなく、一部いちぶくににおいて国内こくない限定げんてい評価ひょうか認証にんしょうおこなわれている。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 田渕たぶち治樹はるき (1999ねん). 国際こくさいセキュリティ標準ひょうじゅん ISO 15408のすべて. 日経にっけいBPしゃ. ISBN 4-8222-2254-3 
  • 内山うちやま政人まさと (2000ねん). ISO15408情報じょうほうセキュリティ入門にゅうもん. 東京電機大学とうきょうでんきだいがく出版しゅっぱんきょく. ISBN 4-501-53150-9 
  • 田渕たぶち治樹はるき (2001ねん). 国際こくさいセキュリティ標準ひょうじゅんISO/IEC15408入門にゅうもん. ム社むしゃ. ISBN 4-274-94643-6 
  • 宇賀うがむら直紀なおき (2006ねん). ISO15408セキュリティ実践じっせん解説かいせつ : 政府せいふ調達ちょうたつ統一とういつ基準きじゅん. ソフトリサーチセンター. ISBN 4-88373-236-3 

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ITセキュリティ評価ひょうかおよ認証にんしょう制度せいど(JISEC) - IPA 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん情報処理じょうほうしょり推進すいしん機構きこう
  2. ^ 政府せいふ機関きかん情報じょうほうセキュリティ対策たいさくのための統一とういつ管理かんり基準きじゅん(1.5.1.1 情報じょうほうシステムのセキュリティ要件ようけんおよび1.5.2.2 機器ききとう購入こうにゅう) - 2011ねん4がつ 内閣ないかく官房かんぼう情報じょうほうセキュリティセンター
  3. ^ IT セキュリティ評価ひょうかおよ認証にんしょう制度せいどとうもとづく認証にんしょう取得しゅとく製品せいひん分野ぶんやリスト - 2011ねん4がつ 経済けいざい産業さんぎょうしょう
  4. ^ 国際こくさい承認しょうにんアレンジメント(CCRA) - IPA 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん情報処理じょうほうしょり推進すいしん機構きこう

外部がいぶリンク

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関連かんれん項目こうもく

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