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A440は、中央ハのすぐ上のイである一点イを周波数440Hzとすることであり、一般的な調律の際の音高(ピッチ)の標準である。A=440Hzとも表記する。
A=440Hzが標準となる以前は、多くの国や団体で、オーストリア政府が1885年に勧告したA=435Hzを使用していた。これは1860年代からフランスの標準であったものでもある[1]。
ヨハン・シャイブラーは音高を測定するトノメーターの開発の後、1834年にA=440Hzを標準とすることを推奨した[2]、そしてそれは同じ年にドイツ自然史協会に承認された[3]。アメリカの音楽産業界では1926年にA=440Hzを非公式の標準とし、楽器製造で使用された。1936年に米国規格協会(ASA)は、中央ハの上のイ(一点イ)を440Hzに調律するよう勧告した[4][5]。1939年にロンドンで行われたISAによる国際会議でA=440Hzが採択された[4]。この標準が1955年に国際標準化機構(ISO)にISO 16として採用された(1975年に再確認)[6]。現在ではA440は音響器材の較正や楽器の調律の標準として用いられている。
科学的ピッチ表記法(英語版)ではA4と表記される。これは、A440が属するオクターブが、標準的な88鍵のピアノで4番目のC(ハ)から始まるからである。MIDIでは69である。
A=440Hzがコンサートピッチ(英語版)として、イギリス[7]やアメリカ合衆国では広く使用されている。大陸ヨーロッパでは440Hzから444Hzの間で幅がある[7][8]。古楽の演奏では、A=440Hzとは異なる基準ピッチが用いられることが多い。現在バロック音楽の演奏にあたっては、A=440Hzより半音低いA=415Hzが最も一般的に用いられている[9]。古楽器#古楽器の調律も参照。
ラジオなどの時報では、440Hzの予告音の後に880Hzの音で正時を知らせる。
- ^ Karp, Theodore (1983). Dictionary of Music. Northwestern University Press. p. 406. ISBN 9780810106598. https://books.google.co.jp/books?id=G3bHp9WXRQAC&pg=PA406&redir_esc=y&hl=ja
- ^ Robert Thomas Beyer (1999). Sounds of our times: two hundred years of acoustics. Springer. p. 32. ISBN 978-0-387-98435-3. https://books.google.com/books?id=kebDOljfX7oC&pg=PA32&dq=Johann+Scheibler&ei=kNDjStanBJi-lASUwoH3Cw#v=onepage&q=Johann%20Scheibler&f=false
- ^ Helmholtz, Hermann von (1863). Die Lehre von den Tonempfindungen als physiologische Grundlage für die Theorie der Musik, p.29. J. Vieweg.
- ^ a b NBS Technical News Bulletin, pp. 120-121, August 1957
- ^ George Martin (2008). The Opera Companion. Hal Leonard Corporation. ISBN 978-1-57467-168-1. https://books.google.co.jp/books?id=MjTLYqOoi3kC&pg=PA92&dq=440-cps+1936&redir_esc=y&hl=ja#PPA92,M1
- ^ ISO 16:1975 Acoustics -- Standard tuning frequency (Standard musical pitch). International Organization for Standardization. (1975). http://www.iso.org/iso/iso_catalogue/catalogue_tc/catalogue_detail.htm?csnumber=3601
- ^ a b Franz Nistl, Table of European orchestra tunes, part 2
- ^ Franz Nistl, Table of orchestra tunes
- ^ Oxford Composer Companion JS Bach, page 369–372. Oxford University Press, 1999