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ヒール (プロレス)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

プロレスにおけるヒールHeel)は、プロレス興行こうぎょうギミックうえ悪役あくやくつとめて、観客かんきゃく視聴しちょうしゃおこらせる立場たちばプロレスラーのこと[1][2][3]悪役あくやく悪玉あくだまあく党派とうはなどともばれる。昨今さっこんではヒールかベビーフェイスかの区別くべつがつきつらもの存在そんざいする[4]。ヒールの対義語たいぎごとしては、善玉ぜんだま正統せいとう意味いみするベビーフェイス(Babyface)が存在そんざいする[5][4]擬似ぎじてきなモノだが、現実げんじつ区別くべつがつかないひとによって、ヒールやくがリングがい犯罪はんざい被害ひがいいやがらせ誹謗ひぼう中傷ちゅうしょう死傷ししょうにあうことがある[2][6][7]メキシコにおけるルチャリブレではヒールのことを「ルード」、ベビーフェイスを「リンピオ」あるいは「テクニコ」とぶ(いずれも男性だんせいがた女性じょせいではルードはルーダとばれる)。

通常つうじょう、ヒールは反則はんそく多用たようしたラフファイト展開てんかいする。金的きんてきへの攻撃こうげき凶器きょうき使用しようといった反則はんそくはもちろん、レフェリーへの暴行ぼうこう挑発ちょうはつ行為こうい観客かんきゃくせきでの場外じょうがい乱闘らんとうては他者たしゃ試合しあいへの乱入らんにゅうなどもおこなう(ただし、なにおこなうかは選手せんしゅごと様々さまざまである。ヒールは、元々もともとはアメリカのプロレス業界ぎょうかいもちいられていたスラングである。日本にっぽんでは元々もともと悪玉あくだま」「善玉ぜんだま」という日本語にほんご表現ひょうげんもちいられていたが、現在げんざいでは日本にっぽんのプロレス業界ぎょうかいでも一般いっぱんてき単語たんごになっており、プロレス以外いがいのスポーツや一般いっぱん社会しゃかい創作そうさくぶつなかでも、敵役かたきやくてきなイメージの人物じんぶつをヒールとぶことがある。

歴史れきし[編集へんしゅう]

外国がいこくじんヒールのいちれいマイクアピールおこなイラン出身しゅっしんアイアン・シーク
反逆はんぎゃくしゃヒールのいちれいストーン・コールド・スティーブ・オースチン

1920年代ねんだいアメリカ都市とし隆盛りゅうせいしたレスリング・ショーにおいて「正義まさよしたいあく」という、勧善懲悪かんぜんちょうあくてきアングル興行こうぎょうげるうえ必要ひつようかんがえられたため、「ベビーフェイス」と同時どうじに「ヒール」が発祥はっしょうした。

基本きほんてきにはどのくにでも自国じこくレスラーがベビーフェイス、外国がいこくじんレスラーがヒールというのが通例つうれいであった。アメリカでは人種じんしゅもとづく差別さべつ偏見へんけん根強ねづよ存在そんざいし、おおくの場合ばあいだい世界せかい大戦たいせん敵国てきこくじんだった日本にっぽんけいグレート東郷とうごうハロルド坂田さかたミスター・モトなど)やドイツけいギミックではあるがハンス・シュミットフリッツ・フォン・エリックワルドー・フォン・エリックなど)、あるいはきゅう共産きょうさんけんスラブけいイワン・コロフクリス・マルコフニコライ・ボルコフなど)や文化ぶんか異教徒いきょうと象徴しょうちょうするアラブけいザ・シークスカンドル・アクバジェネラル・アドナンなど)、正体しょうたい不明ふめい覆面ふくめんレスラーザ・デストロイヤージ・アサシンズザ・スポイラーなど)といった、わかりやすいヒールが主流しゅりゅうであった。ジャイアント馬場ばばもアメリカ修行しゅぎょう時代じだいにはヒールとして活動かつどうしている。

日本にっぽんでも力道山りきどうざん時代じだいには、外国がいこくじん=ヒールという図式ずしきのもと、アメリカじん悪役あくやく日本人にっぽんじんである力道山りきどうざん[8]たおすのが定番ていばんながれだった。だい世界せかい大戦たいせん戦勝せんしょうこくであるアメリカの大柄おおがらなレスラーを、敗戦はいせん日本にっぽん降伏ごうぶく)で意気いき消沈しょうちんした日本にっぽん小柄こがら力道山りきどうざんたおすという展開てんかい当時とうじ日本にっぽんのファンは熱狂ねっきょうした。

しかし1970年代ねんだいはいると、日本にっぽんのプロレスかいではアメリカじんドリー・ファンク・ジュニアテリー・ファンク兄弟きょうだいがベビーフェイスとして人気にんき[9]スタン・ハンセンブルーザー・ブロディなどは本来ほんらいはヒールてき役回やくまわりでありながら、そのつよさで日本人にっぽんじんベビーフェイス以上いじょう人気にんきた。ぎゃく上田うえだすけ極悪ごくあく同盟どうめい日本人にっぽんじんでありながら日本にっぽん国内こくないでもヒールであった。アメリカでも、1980年代ねんだいすえ冷戦れいせん終結しゅうけつは、ロシアじんギミックのニキタ・コロフがベビーフェイスとして活躍かつやくしている。

1983ねんロード・ウォリアーズNWA世界せかいタッグチーム王座おうざ獲得かくとくした以降いこう単純たんじゅん勧善懲悪かんぜんちょうあく時代じだいわり、1990年代ねんだいにはストーン・コールド・スティーブ・オースチンジ・アンダーテイカー、またnWoD-ジェネレーションX代表だいひょうされるような、かっこいいヒール(=アンチヒーロー)が人気にんきはくした。日本にっぽんではちょう正洋まさひろ鈴木すずきみのるしもこぶしごう藤田ふじた和之かずゆきジェイ・ホワイトKENTAEVILSHO中嶋なかじま勝彦かつひこ石森いしもりふとしこぶしおうまたノーフィアーラス・カチョーラス・オリエンタレス同様どうよう人気にんきている。

さまざまなヒール[編集へんしゅう]

ヒールにはいくつかの類型るいけい存在そんざいする。

狂人きょうじんヒール
ギミックうえ正常せいじょうとはおもえないような凶暴きょうぼう行動こうどうラフファイトでベビーフェイスを攻撃こうげきし、観客かんきゃく反感はんかんうことを主眼しゅがんとしたヒール。
昭和しょうわ活躍かつやくしたアブドーラ・ザ・ブッチャータイガー・ジェット・シンザ・シークブルート・バーナードマッドドッグ・バションキラー・カール・コックスモンゴリアン・ストンパーマーク・ルーインキング・イヤウケアなどのほかWWE所属しょぞくしていたブライアン・ピルマンネイルズサイコ・シッドウェイロン・マーシーハイデンライクランディ・オートン日本にっぽんでは極悪ごくあく同盟どうめいVOODOO-MURDERSしん日本にっぽんプロレス飯塚いいづか高史たかしなどがこれにあたる。
モンスターヒール
常人じょうじんばなれした巨大きょだい体格たいかくかし、その巨躯きょくとパワーにものをわせた怪物かいぶつてきなファイトとパフォーマンスで観客かんきゃく恐怖きょうふしんあおてるヒール。
スカイ・ハイ・リーグレート・アントニオザ・コンビクトオックス・ベーカービッグ・ジョン・スタッドブルーザー・ブロディキングコング・バンディワンマン・ギャングバンバン・ビガロビッグバン・ベイダージャイアント・ゴンザレスヨコズナディーゼルクルガンビッグ・ダディVビッグ・ショーブロック・レスナーウマガジーン・スニツキーグレート・カリブラウン・ストローマン女子じょしではモンスター・リッパーアメージング・コングなどが代表だいひょうてき。アメリカ修業しゅうぎょう時代じだいジャイアント馬場ばば(ババ・ザ・ジャイアント)、しん日本にっぽんプロレス参戦さんせんおよびWWF時代じだい末期まっきアンドレ・ザ・ジャイアントどうタイプ。
怪奇かいきヒール
怪奇かいきヒールのいちれいはかじんギミックのジ・アンダーテイカー
上記じょうき狂人きょうじんヒールやモンスターヒールとも共通きょうつうした部分ぶぶんがあるが、より不気味ぶきみなギミックや風貌ふうぼうちょうつねてき神秘しんぴてき演出えんしゅつなどで観客かんきゃく恐怖きょうふしんあたえるヒール。
キラー・コワルスキーブル・カリージョージ・スティールケビン・サリバンジェイク "ザ・スネーク" ロバーツジ・アンダーテイカーケインフライアー・ファーガソンハクシマンカインドケビン・ソーンザ・フィーンドなど。ザ・グレート・カブキカマラエイドリアン・ストリートミッシング・リンクケンドー・ナガサキパパ・シャンゴゴールダストブギーマンといったミステリアスなペイントレスラーや、パンピロ・フィルポジプシー・ジョーワイルド・サモアンズキラー・カーンなどの蛮族ばんぞくをギミックとしたレスラーもふくまれる。
ふるくは末端まったん肥大ひだいしょうわずらっていたフレンチ・エンジェル英語えいごばんをはじめ、くるびょう発症はっしょうしていたカシモド[10]全身ぜんしんスカル・マーフィーなど、身体しんたいてき欠陥けっかんをセールスポイントとした怪奇かいき存在そんざいした。ザ・マミーミイラおとこ)、ザ・ウルフマンおおかみおとこ)、ギャングレル吸血鬼きゅうけつき)など伝説でんせつじょう怪物かいぶつをモチーフとする場合ばあいもあり、カール・モファットジェイソン・ボーヒーズマイク・カーシュナーレザーフェイスダグ・ギルバートフレディ・クルーガーふんしたように、ホラー映画えいがのキャラクターをそのままギミックとしたレスラーもいる。
エゴイストヒール
エゴイストヒールのいちれい派手はでなコスチュームにつつ尊大そんだい態度たいどリック・フレアー
ギミックじょう、エゴイスト(利己りこ主義しゅぎしゃ)として尊大そんだい振舞ふるまうヒール。自身じしん経歴けいれき出自しゅつじ容貌ようぼう肉体美にくたいびなどをはなにかけ、自身じしん誇大こだい表現ひょうげん自己じこ賛美さんびしたマイクパフォーマンスおこなって観客かんきゃくあおる(観客かんきゃく見下みくだしたような発言はつげんおおく、それにたいしてベビーフェイスがわが「みんなをバカにするな」とつかみかかったところで試合しあい開始かいしのゴングがるというパターンが定番ていばん)。
ふるくはゴージャス・ジョージバディ・ロジャース、その影響えいきょうにあったニック・ボックウィンクルリック・フレアー筋肉きんにくマンけいスーパースター・ビリー・グラハムリック・ルード色悪いろあくけい"ザ・モデル" リック・マーテルショーン・マイケルズ、エリートや上流じょうりゅう階級かいきゅうをギミックとした "ザ・ミリオンダラー・マン" テッド・デビアスミスター・パーフェクトロード・スティーブン・リーガル(ウィリアム・リーガル)ハンター・ハースト・ヘルムスリージェフ・ジャレットカート・アングルクリス・ジェリコエッジアルベルト・デル・リオなど。日本にっぽんでは1994ねんヒールターンしてからのちょう正洋まさひろSMASH参戦さんせん以降いこうはなめいDRAGON GATEBlood Generationなど。
バカヒール(ヘタレヒール)
エゴイストヒールにちかく、またエゴイストヒールとキャラクターをねることもすくなくないが、馬鹿ばかげた発言はつげん大人おとなげのないパフォーマンス、もしくはパフォーマンス失敗しっぱい敗戦はいせんでの身体しんたいったはじざらなどで観客かんきゃくからわらわれることをもとめられるなどのちがいがある。試合しあいでは漁夫ぎょふやすい立場たちばであるが、アングルの展開てんかい次第しだい正統せいとうレスリングの技術ぎじゅつ発揮はっきしたりなど、単純たんじゅんにバカや滑稽こっけいさだけではおさまりきらないキャラクターせいまで要求ようきゅうされることもおおく、あるしゅ才能さいのう要求ようきゅうされる役回やくまわりである。
アメリカではミスター・マクマホン&シェイン・マクマホン親子おやこエリック・ビショフホンキー・トンク・マンザ・マウンティーリポマンJBLクリスチャンサンティーノ・マレラドルフ・ジグラーヒース・スレイター日本にっぽんでは冬木ふゆき弘道ひろみちアン・ジョー司令しれい長官ちょうかん"brother"YASSHIヘイトFMWのブリーフブラザーズ(金村かなむらキンタロー&ミスター雁之助がんのすけ)、マシーン軍団ぐんだん魔界まかい倶楽部くらぶZAPなどが代表だいひょうかく
外国がいこくじんヒール
外国がいこくじん選手せんしゅがこれに該当がいとう日本にっぽんでは、ふるくは力道山りきどうざん時代じだいシャープ兄弟きょうだい以降いこう外国がいこくじん=ヒールという図式ずしきはプロレスにおけるもっとも根本こんぽんてきなアングルである(ただし、昭和しょうわ日本にっぽんでもビル・ロビンソンミル・マスカラスザ・ファンクスのように外国がいこくじんベビーフェイスも存在そんざいした)。アメリカにおいては、異教徒いきょうととしてのアラブけい文化ぶんか民族みんぞくとしての東洋とうようけい冷戦れいせん時代じだいにおけるスラブけいだい世界せかい大戦たいせん以来いらいのドイツけい、アメリカにノーとえるフランスけいがヒールとなることがおおい。なお、メキシコではかつての日本にっぽん同様どうよう、アメリカのレスラーはヒールになる場合ばあいおおい。
昭和しょうわアブドーラ・ザ・ブッチャースタン・ハンセンのように、ヒールのポジションでありながらベビーフェイスてき支持しじあつめた外国がいこくじん選手せんしゅ存在そんざいする。
外敵がいてきヒール
たんによそものというだけで、反則はんそく攻撃こうげきなどヒールらしいいをするとはかぎらないが、団体だんたいこうそうにおける団体だんたい選手せんしゅがこれに該当がいとうする。団体だんたい国際こくさいプロレス消滅しょうめつであるが、1980年代ねんだい前半ぜんはんしん日本にっぽんプロレスで活躍かつやくした国際こくさい軍団ぐんだん、1980年代ねんだい中期ちゅうき全日本ぜんにほん活躍かつやくしたジャパンプロレスなどが代表だいひょうれいUSWA時代じだいジェリー・ローラーのように、所属しょぞく団体だんたいではクリーンファイトをひろげているが、団体だんたい参戦さんせんにはラフプレイにてんじるレスラーもいる(日本にっぽんしししんサンダー・ライガーはその反対はんたいに、新日本しんにほんでヒールをえんじていた一方いっぽう団体だんたいではベビーフェイスとなったことがある)。
反逆はんぎゃくしゃヒール
団体だんたいのエースや首脳しゅのうじん(フロント)の動向どうこう反発はんぱつして敵対てきたいする立場たちばのキャラクターをつとめる。世代せだいこうそうなどをからめる場合ばあいもある。
かつてのしん日本にっぽんプロレスの維新いしんぐんはん選手せんしゅかい同盟どうめい(のちの平成へいせい維震ぐん)、nWoジャパンTEAM 2000C.T.Uロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンUNITED EMPIREなど。ストーン・コールド・スティーブ・オースチンちゅう邑真輔内藤ないとう哲也てつや鷹木たかぎしんさとる吉岡よしおかおこり中嶋なかじま勝彦かつひこ石森いしもりふとしKENTAこぶしおうジェイク・リーウィル・オスプレイ などのように、アンチヒーローとして支持しじあつめ、ベビーフェイスにてんじる場合ばあいもある。また、一時期いちじき高木たかぎ三四郎さんしろうのように団体だんたい牽引けんいんする立場たちば人物じんぶつ反旗はんきひるがえすケースもまれられる。
武闘ぶとうヒール
レスラーのキャラクターや位置いちではなく、ファイトスタイルにもとづいた分類ぶんるいで、ラフファイトや反則はんそくわざ場外じょうがい乱闘らんとう過激かげき危険きけんわざといった技術ぎじゅつ行為こうい積極せっきょくてきれてたたかうレスラーのこと。ハウスショーてきアングルがすくない団体だんたいおお存在そんざいする傾向けいこうがある。
1990年代ねんだい全日本ぜんにほんプロレスにおける川田かわた利明としあきふち正信まさのぶなどがこれに該当がいとうした。また、ちょう正洋まさひろがヒール転向てんこうした当初とうしょも「武闘ぶとう」としょうしていた。
極悪ごくあくマネージャー
悪徳あくとくマネージャーともばれる。ヒールの専属せんぞくマネージャーとしてマイクパフォーマンス代行だいこうするほか、リングサイドに陣取じんど試合しあいちゅうにベビーフェイスのあしって転倒てんとうさせる、凶器きょうきをリングない投入とうにゅうする、レフェリーの注意ちゅういきつけて反則はんそく行為こうい助長じょちょうさせる、勝負しょうぶどころでレフェリーのカウントを妨害ぼうがいするなど、観客かんきゃく憎悪ぞうおあお行為こういはたらく。大抵たいてい場合ばあいベビーフェイスのレスラーに制裁せいさいけたり、味方みかたのヒールに手渡てわたした凶器きょうき誤爆ごばくなどによって失神しっしんするなどして、ひかしつもどされるというのがお約束やくそくとなっており、上記じょうきのバカヒール(ヘタレヒール)にもちかい。
アメリカではフレッド・ブラッシーグラン・ウィザードルー・アルバーノボビー・ヒーナンJ・J・ディロンゲーリー・ハートジミー・ハートポール・エラリングジム・コルネットポール・E・デンジャラスリーカーネル・ロバート・パーカースリックポール・ベアラーハービー・ウィップルマンアルマンド・エストラーダなどのほか、ずるかしこさや姑息こそくさの象徴しょうちょうとしてか、トージョー・ヤマモトミスター・フジヒロ・マツダヤマグチ・サンサニー・オノオなど、日系にっけいじん日本人にっぽんじんえんじる場合ばあいすくなくない。日本にっぽんマットではミスターめずらし将軍しょうぐんKYワカマツ星野ほしの勘太郎かんたろうビクター・キニョネスマネージャー・ポリスなど。
極悪ごくあくレフェリー
ヒールのレスラーに買収ばいしゅうされた、もしくは結託けったくしたというギミックで、反則はんそく行為こういりをするなど、試合しあいちゅうにヒールに有利ゆうりなレフェリングをおこなう。だい一番いちばん試合しあいでも同様どうよう行為こういはたらくが、ほとんどの場合ばあい試合しあいちゅうのアクシデントでリングがいちたり失神しっしんしたりするなどして、サブレフェリー(正式せいしきなレフェリー)と交代こうたいして中立ちゅうりつなレフェリングがおこなわれ、ベビーフェイスが勝利しょうりするパターンがアングルの基本きほんせんである。
テディ・ロングニック・パトリックチャールズ・ロビンソン阿部あべ四郎しろう伊藤いとうつよし玉岡たまおか金太きんたテッド・タナベなどが代表だいひょう。なお、ブッチャーやシンの試合しあいさばジョー樋口ひぐちミスター高橋たかはしのように、ヒールという立場たちばではないが試合しあいげるために「凶器きょうきづかないふり」をしていたレフェリーも存在そんざいする。かれらはヒールとなされることはないものの、「レフェリーどこてんだ!」というるい野次やじびることがあった。
極悪ごくあく経営けいえいしゃ・フロント
団体だんたい経営けいえいしゃ上級じょうきゅう社員しゃいん顧問こもん弁護士べんごし、GMなど、会社かいしゃ選手せんしゅ運営うんえい管理かんりする立場たちばものが、その権力けんりょく濫用らんようしてベビーフェイスの選手せんしゅくるしめるヒール・キャラクターとして前面ぜんめんてくる場合ばあいがある。マクマホン・ファミリー(ビンスシェインステファニートリプルH)、ポール・ヘイマンエリック・ビショフセオドア・ロングジョン・ロウリネイティスなど。ベビーフェイスのレスラーやファンを愚弄ぐろうした高慢こうまん言動げんどう展開てんかいするなどエゴイストヒールにちか要素ようそるが、基本きほんてきにはレスラーではなく試合しあいにはない。試合しあい対戦たいせん相手あいてやルールを、ベビーフェイスにきわめて不利ふり設定せっていしたり、無理むり難題なんだいけたりなど、通常つうじょうはリングがいたかみの見物けんぶつをしながら悪徳あくとく行為こういおかすのがおもである。しかし、アングルの展開てんかい次第しだいでは試合しあいされたり、トリプルHのようにレスラー経験けいけんしゃ場合ばあいみずか率先そっせんして試合しあい乱入らんにゅうしたりすることもある。
悪徳あくとく解説かいせつしゃ
本来ほんらい中立ちゅうりつであるはずのコメンテーターが、実況じっきょうにおいてヒールを露骨ろこつ絶賛ぜっさんする反面はんめん、ベビーフェイスの人気にんき選手せんしゅ侮辱ぶじょくするような解説かいせつおこなって視聴しちょうしゃ憎悪ぞうおあおる。ジェシー・ベンチュラボビー・ヒーナンジョニー・バリアントテッド・デビアスジェリー・ローラーラリー・ズビスコJBLサイラス・ザ・ヴァイラスなど。行為こういてきには悪徳あくとくマネージャーちかく、マネージャーを兼任けんにんしている場合ばあいもある。

ヒールターン[編集へんしゅう]

かつてベビーフェイスだったレスラーが、ヒールに転向てんこうすることをヒールターンぶ。これは興行こうぎょう自体じたいマンネリ化まんねりかするのをけるためであったり、レスラー自身じしんのベビーフェイスでの人気にんきこんひとつであったり、かげりがえてきた場合ばあいや、若手わかてレスラーのキャラクターづくりのためにおこなわれる。

またレスラーが新人しんじん若手わかて中堅ちゅうけんてトップレスラーへとのぼめてゆく過程かていにおいては、リングじょうのパフォーマンスで観客かんきゃく心理しんりをコントロールするスキルと演技えんぎりょくにつける必要ひつようがあり、その実践じっせん訓練くんれんとしてヒール修行しゅぎょう必須ひっすで、いわばトップレスラーを目指めざすにあたってえるべき関門かんもんの1つともいえる。実際じっさい、ヒールレスラーのパフォーマンスにあこがれてプロレスりしたものめずらしくはなく、みずか志願しがんしてヒールターンする場合ばあい、あるいは最初さいしょからヒールとしてデビューするケースもある。

ヒールにターンする場合ばあい観客かんきゃく理解りかいしやすいように、のベビーフェイスレスラーを襲撃しゅうげきする、リングじょう仲間割なかまわれをこす、コスチュームや髪型かみがたえるなどの派手はでなパフォーマンスをおこなうのが常道じょうどうである。他方たほうで、団体だんたいがエース候補こうほとしてそだてている若手わかて選手せんしゅがある突然とつぜんヒールターンして狂人きょうじんやエゴイストのよういをするのは、長期ちょうきてきなキャラクターイメージや販売はんばい戦略せんりゃくかんがえた場合ばあいにはさすがにマイナスとなりかねないため、その場合ばあいには「わかさゆえにフロントに反逆はんぎゃくし、世代せだい闘争とうそうかかげてげんエースというおおきなかべ歯向はむかう」などという筋書すじがきで、そのアングルにおけるキャラクターの位置いちはヒールでありつつも、リングじょうでの成長せいちょう物語ものがたりてき要素ようそからめて単純たんじゅん悪役あくやくぞうとしまないようにアングルが構成こうせいされるのが基本きほんである。

演出えんしゅつじょう、ヒールターンは選手せんしゅみずか行動こうどうこした場合ばあいと、ヒール軍団ぐんだんによる勧誘かんゆうといった場合ばあいがよくられるが、本来ほんらい団体だんたい経営けいえいじんやプロモーターの判断はんだんによってめられている。そのため選手せんしゅによっては不本意ふほんいながらヒールに転向てんこうしているケースや、それまでベビーフェースもしくはスター選手せんしゅであった選手せんしゅが1ねん以上いじょう長期ちょうき欠場けつじょうし、後遺症こういしょうなやまされ以前いぜんのファイトが出来できなくなった(もしくは以前いぜんかんもどすまで)場合ばあい[11]にもヒールターンがおこなわれることもある。同様どうように、一度いちど引退いんたいした選手せんしゅ現役げんえき復帰ふっきするさい試合しあい感覚かんかくもどすまでのあいだ[12]にもヒールターンがおこなわれることもある。

これらの事情じじょうから、ヒールキャラクターには不向ふむきな性格せいかくものがヒールをえんじているケースもすくなくない。まれにデビューまえ新人しんじんをヒールとしてすために架空かくうのプロフィール(もと不良ふりょう暴走ぼうそうぞく出身しゅっしんなど)で紹介しょうかいし、デビューせんでラフファイトの試合しあいおこなわせていたこともあったが、いつわりのプロフィールに嫌気いやけがさしたり、基本きほんてき試合しあいはこびができないといった事態じたいにより、試合しあいちゅう負傷ふしょうしてしまい、短期間たんきかん引退いんたい余儀よぎなくされてしまった選手せんしゅもいる。

ヒール軍団ぐんだん[編集へんしゅう]

ECW出身しゅっしん選手せんしゅ結成けっせいされたWWEのヒール軍団ぐんだんECWオリジナルズ」は典型てんけいてき外敵がいてきヒールでもあった。

ヒールによって構成こうせいされるチームは、アングルの一種いっしゅである団体だんたいこうそう演出えんしゅつするじょう不可欠ふかけつ存在そんざいである。プロレスなかには絶大ぜつだい人気にんきほこったヒール軍団ぐんだんすくなくない。また、ひとつの団体だんたい複数ふくすうのヒール軍団ぐんだん存在そんざいすることもあり、その場合ばあいはヒール同士どうしこうそう頻繁ひんぱんこる。

海外かいがい[編集へんしゅう]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽんのヒール[編集へんしゅう]

以下いかは、日本にっぽんマットにおいてヒールとして活動かつどうした日本人にっぽんじん選手せんしゅ

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 武藤むとう「あえてうけど“ヒール・はな”でいてほしかった」 – 東京とうきょうスポーツ新聞しんぶんしゃ”. ひがしスポWeb. 2022ねん2がつ18にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c テラハでヒールをえんじてもつうじない 木村きむらはなさんがかたった不安ふあん正体しょうたい”. FRIDAYデジタル. 2022ねん2がつ18にち閲覧えつらん。 “昨年さくねんの10がつはなは『1ヵ月かげつぐらいで番組ばんぐみをクビになるかもしれない』とくちにしていました。とくに、『プロレスだったら自分じぶんがヒール(悪役あくやく)としてってもおきゃくさんは〝エンターテイメント〟としてたのしんでくれるけど、恋愛れんあいリアリティ番組ばんぐみているひとたちはかならずしもそうじゃない』とはなしていたのが印象いんしょうのこっています。こうはなしたときには、彼女かのじょはまだそれほど中傷ちゅうしょうまとにはなっていなかったのですが、好意こういいていた共演きょうえんしゃのバスケットボール選手せんしゅがネットでたたかれているのをて、きずついていました。いつもはならしくないとはげましましたが、いまおもえばネットの評判ひょうばんをかなりにしていたようです”
  3. ^ a b 女子じょしレスラーたちよ木村きむらはなさんのくちをつぐむことなかれ 批判ひはんつよめ、なかがまっとうになってこそむくわれる【山崎やまざきあきらちょうコラム】:中日ちゅうにちスポーツ・東京とうきょう中日ちゅうにちスポーツ”. 中日ちゅうにちスポーツ・東京とうきょう中日ちゅうにちスポーツ. 2022ねん2がつ18にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d e f g なぜ、しん日本にっぽんプロレスはベビーフェイスとヒールの境界きょうかいせん曖昧あいまいになったのか(NJPW FUN) (2018ねん9がつ16にち)”. エキサイトニュース. 2022ねん2がつ18にち閲覧えつらん
  5. ^ a b プロレスラー内藤ないとう哲也てつやカラ回からまわりのひと」から「人気にんき沸騰ふっとう」にいたったワケ「リスクをかんがえなくなった瞬間しゅんかんながれがわった」”. GetNavi web ゲットナビ. 2022ねん2がつ18にち閲覧えつらん
  6. ^ a b 還暦かんれき現役げんえき女子じょしプロレスラーがかす熱狂ねっきょうこうそう舞台裏ぶたいうら。ダンプ松本まつもと『ザ・ヒール』”. プレスリリース・ニュースリリース配信はいしんシェアNo.1|PR TIMES. 2022ねん2がつ18にち閲覧えつらん。 “言葉ことばにできないようないじめをけたのちかならやさしい言葉ことばをかけてなぐさめてくれるのは、まって悪役あくやく、つまりヒールの先輩せんぱいだった。 紆余曲折うよきょくせつてヒールに転向てんこうしてからは、極悪ごくあく同盟どうめいひきいて、当時とうじ青天井あおてんじょう人気にんきほこった「クラッシュギャルズ」(長与ながよ千種ちぐさライオネス飛鳥らいおねすあすかのペア)と抗争こうそうひろげたダンプ。  クラッシュファンからの憎悪ぞうおはすさまじいもので、自宅じたく自家用車じかようしゃ実家じっかにまでその被害ひがいおよんだ。 «いのち危険きけんかんじたことはなんもある。大阪城おおさかじょうホール(85ねん8がつ)のかみりマッチで千種ちくさ丸坊主まるぼうずにしたときは、試合しあい極悪ごくあく同盟どうめいのバスを500~600にんのファンがかこんで車体しゃたいすりながら、「ダンプい!」と罵声ばせいびせてきた。あのときはさすがに「ころされる!」とおもった。試合しあいひかしつもどるときは、ファンをさえていた警備けいびいん顔面がんめんなぐられた。警備けいびいんが、だぞ。»”
  7. ^ a b c ダンプ松本まつもときらわれることばかりかんがえた」悪役あくやくレスラー時代じだい 実家じっかいし新車しんしゃにはきず壮絶そうぜついやがらせ被害ひがいも - スポニチ Sponichi Annex 芸能げいのう”. スポニチ Sponichi Annex. 2022ねん2がつ18にち閲覧えつらん。 “私生活しせいかつでのいやがらせ被害ひがいおおかったという。「千種ちくさだらけで、こういうふうになる(たおれる)と、つぎ実家じっかに)いしがボーンとげられてくる。くるまはじめてって、ピーってやられて(きずけられて)『ダンプね』ってかれちゃうんだよ?10えんだまで。バイクをうと、バイクもパンクさせられる。自転車じてんしゃると全部ぜんぶバラバラにされる」とけた。  悪役あくやくというイメージがきすぎたためのトラブルも告白こくはくした。「タクシーにると、せてくれないのよ、運転うんてんしゅが。『おめえ、竹刀しないってるんじゃねえだろうな?』とか、『うしろからなにかやってくるなよ?』というかんじ」。MCの「メイプルちょう合金ごうきん」カズレーザー(37)が「日本にっぽん全国ぜんこく味方みかたがいない」とおどろくと、ダンプは「いない。友達ともだちもいなかった。おかあさんが千種ちくさのファンで、いもうと飛鳥ひちょうのファンで。おこるのよ、(実家じっかに)かえると」とわらわせた。”
  8. ^ まれは朝鮮半島ちょうせんはんとうだが、誕生たんじょう時点じてんでは日本にっぽんりょうだったことから日本にっぽん国籍こくせきであり、また角界かくかいりしたさい長崎ながさきけん出身しゅっしんとされたため、当時とうじはほとんどその事実じじつられていなかった。
  9. ^ たいするヒールはザ・シークとアブドーラ・ザ・ブッチャーであった。
  10. ^ 来日らいにちぜん外国がいこくじんレスラー名鑑めいかん カシモド”. 昭和しょうわプロレス研究けんきゅうしつ. 2024ねん3がつ9にち閲覧えつらん
  11. ^ れいとしては全日本ぜんにほん女子じょしプロレス時代じだい北斗ほくとあきらやFMWのさと美和みわなど。北斗ほくと場合ばあいヒールターン実績じっせきこそ目覚めざましいものがあるが、試合しあい感覚かんかく完全かんぜんもどりきらなかったことがおおきく影響えいきょうし、その負傷ふしょうつづけにおそいWWWAシングルのベルトには引退いんたいするまで1とどかなかった。
  12. ^ FMWに復帰ふっきした工藤くどうめぐみやコンバット豊田とよだなど。その試合しあい感覚かんかくもどったあとにベビーフェースへと転向てんこうした。
  13. ^ 『THE WRESTLER BEST 1000』P321(1996ねん日本にっぽんスポーツ出版しゅっぱんしゃ
  14. ^ 甲斐かい毅彦たけひこ記者きしゃの「多事たじ放論ほうろん」 : 名著めいちょ悪役あくやくレスラーはわらう」をかえ”. weblog.hochi.co.jp. 報知新聞社ほうちしんぶんしゃ. 2022ねん2がつ18にち閲覧えつらん
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