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きゅうななしき車載しゃさいじゅう機関きかんじゅう

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きゅうななしき車載しゃさいじゅう機関きかんじゅう
きゅうななしき車載しゃさいじゅう機関きかんじゅう
種類しゅるい じゅう機関きかんじゅう
製造せいぞうこく 大日本帝国の旗 大日本帝国だいにっぽんていこく
設計せっけい製造せいぞう 名古屋なごや陸軍りくぐん造兵ぞうへいしょう
年代ねんだい 1930年代ねんだい
仕様しよう
種別しゅべつ 車載しゃさいじゅう機関きかんじゅう
口径こうけい 7.7mm
銃身じゅうしんちょう 700mm
使用しよう弾薬だんやく きゅうしききゅうななしき普通ふつう実包じっぽう
装弾そうだんすう 20はつはこがた弾倉だんそう
全長ぜんちょう 1,145mm
重量じゅうりょう 12.5kg
銃口じゅうこう初速しょそく 735m/s
最大さいだい射程しゃてい 3,420m
有効ゆうこう射程しゃてい 540m
歴史れきし 
設計せっけいねん 1930年代ねんだい
製造せいぞう期間きかん 1938ねん-1944ねん
配備はいび期間きかん 1938ねん-1945ねん
配備はいびさき 大日本帝国だいにっぽんていこく陸軍りくぐん
関連かんれん戦争せんそう紛争ふんそう ノモンハン事件じけんだい東亜とうあ戦争せんそう
製造せいぞうすう やく18,000ちょう
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きゅうななしき車載しゃさいじゅう機関きかんじゅう(きゅうななしきしゃさいじゅうきかんじゅう)は、1930年代ねんだい開発かいはつ採用さいようされた大日本帝国だいにっぽんていこく陸軍りくぐん機関きかんじゅう車載しゃさいじゅう機関きかんじゅう)。

きゅうななしき車載しゃさい重機じゅうき
内部ないぶ構造こうぞうしめすために機関きかん銃身じゅうしん・ガスチューブの一部いちぶひらかれている。また防弾ぼうだん照準しょうじゅん眼鏡めがねはずされている。
きゅうななしきちゅう戦車せんしゃ車内しゃないにおけるきゅうななしき車載しゃさい重機じゅうき無線むせん通信つうしんしゅ)はじゅうしゅねる

従来じゅうらい帝国ていこく陸軍りくぐんにおいて戦車せんしゃ装甲車そうこうしゃ搭載とうさい車載しゃさい)するしょう火器かきとしては、じゅういちねんしきけい機関きかんじゅう車載しゃさいよう改良かいりょうしたきゅう一式いっしき車載しゃさいけい機関きかんじゅう開発かいはつ使用しようされていた。しかし、原型げんけいとなったじゅういちねんしきけいがそうであったように、じゅう自体じたい不具合ふぐあいおよび口径こうけい6.5mmでは威力いりょく不足ふそくであったため、改善かいぜんもとめられた。

開発かいはつ1931ねん昭和しょうわ6ねん)7がつからはじまった。さんねんしき機関きかんじゅうもとにした最初さいしょ試作しさくひん1934ねん昭和しょうわ9ねん)3がつ改良かいりょうされただい試作しさくひん同年どうねん11がつ完成かんせいした。しかし、部隊ぶたいにおける実用じつよう試験しけんでは不評ふひょうであったため、だいさん試作しさくひんとして中国ちゅうごく大陸たいりく鹵獲ろかくされたチェコスロバキアせいZB26けい機関きかんじゅう原型げんけいとする、試製しせいBごうけい機関きかんじゅう改造かいぞうした車載しゃさいがたかぶとごう」をつくげた。そして、はちきゅうしき旋回せんかい機関きかんじゅうじゅういちねんしきけいもとにした航空機こうくうき搭載とうさいがた)をもとにした車載しゃさいがたおつごう」との比較ひかく試験しけん結果けっか、「かぶとごう」が有望ゆうぼうとされ、改良かいりょうされただいよん試作しさくひん1937ねん昭和しょうわ12ねん)7がつ完成かんせいした。しかし、はこがた弾倉だんそうに、歩兵ほへい部隊ぶたいけであるきゅうしきじゅう機関きかんじゅう使用しよう弾薬だんやくはんおこりえんしきであったきゅうしき実包じっぽうもちいると作動さどう不良ふりょう発生はっせいしやすかった。そこで、試作しさくされていたしん規格きかくおこりえんしき薬莢やっきょうもちいたところ、快調かいちょう作動さどうしたため、1937ねん11月にはきゅうななしき車載しゃさいじゅう機関きかんじゅうとしてかり制式せいしき制定せいていよく1938ねん昭和しょうわ13ねん)2がつ制式せいしき制定せいていされた。おこりえんしき薬莢やっきょうもちいた新型しんがた弾薬だんやくも、きゅうななしき実包じっぽうとして制式せいしき制定せいていされている[1]

ほんじゅうには、銃身じゅうしんとガスチューブのまわりをおお着脱ちゃくだつ可能かのう防弾ぼうだんおもさ3.1kgの装甲そうこうカバー。銃身じゅうしんつつ)がけられている。じゅういちねんしきけい機関きかんじゅう同様どうようじゅう右側みぎがわへオフセットされた銃床じゅうしょうは、せま車内しゃないあつかいやすいようみじかくされ、前後ぜんごながさをほろ調整ちょうせいできるほか、基部きぶじくにして前方ぜんぽうへ180回転かいてんし、車内しゃないスペースをさらに節減せつげんすることができる。銃床じゅうしょう前方ぜんぽうけた状態じょうたいでも射撃しゃげき可能かのうである。ゆか形状けいじょうには2種類しゅるいあり、こう上端じょうたん面取めんとりされているのが前期ぜんきがた、とがっているのが後期こうきがたである。ふくバネの位置いちは、ZB26では固定こていしき銃床じゅうしょう内部ないぶ収納しゅうのうされていたのにたいし、ほんじゅうでは回転かいてんしき銃床じゅうしょう採用さいようした都合つごうじょう、ガスチューブ内部ないぶ変更へんこうされている。照準しょうじゅん眼鏡めがね倍率ばいりつが1.5ばい設定せっていされており、射手しゃしゅからじゅう左上ひだりうえ配置はいちされ、接眼せつがんには反動はんどう車体しゃたいれからまもるためにあつゴムせい緩衝かんしょうたまきけられた。射手しゃしゅからじゅうみぎじょうには照星しょうせいあきらもん配置はいちされ、照準しょうじゅん眼鏡めがね破損はそんや、車外しゃがい射撃しゃげきさいもちいられた。きゅうだんには20はつりのはこがた弾倉だんそう使用しようし、じゅう真上まうえから装着そうちゃくされた。この方式ほうしきは、一部いちぶせま車内しゃないでの弾倉だんそう交換こうかん不便ふべんだとの批判ひはんがあったが、最後さいごまで変更へんこうされることはかった[2]弾倉だんそういたさい挿入そうにゅうこうをふさぐため、手動しゅどう開閉かいへいできる保護ほごカバーがもうけられている。車内しゃないにて射撃しゃげきするさいにはそら薬莢やっきょう車内しゃない散乱さんらんすることを防止ぼうしするために、じゅうしたがわに「からけ」とばれるふくろ装着そうちゃくする。銃身じゅうしん交換こうかん方法ほうほうはZB26と同様どうようだが、じゅう左側ひだりがわめん照準しょうじゅん眼鏡めがねかれるため、これと干渉かんしょうしないよう、銃身じゅうしん固定こていレバーはZB26の左側ひだりがわめんから右側みぎがわめん変更へんこうされた。これにともない、銃身じゅうしんはずさい固定こていレバー回転かいてん方向ほうこうも、ZB26が射手しゃしゅから時計とけいまわりなのにたいしてはん時計とけいまわりとなっている。ガスブロックはZB26の銃身じゅうしん先端せんたん付近ふきんからやや後方こうほううつされ、ガスあな多段ただん調節ちょうせつできるガス規制きせいゆうする。槓桿はZB26の右側みぎがわめんから左側ひだりがわめん変更へんこうされ、じゅういちねんしきけいのものにいたじょうけをそなえる。

ほんじゅう装備そうびした車両しゃりょうには交換こうかんよう予備よび銃身じゅうしんふくバネ・整備せいび用具ようぐおさめたはこきゃくまれている。きゃく車体しゃたい砲塔ほうとうよりはずしたほんじゅうを、けい機関きかんじゅうとして地上ちじょう戦闘せんとう使用しようするさい装着そうちゃくする。また、砲塔ほうとう上部じょうぶ高射こうしゃ機関きかんじゅう対空たいくう機関きかんじゅう)がある場合ばあいほんじゅうじゅうせて対空たいくう対地たいち射撃しゃげきおこなうことができる。

ほんじゅう1930年代ねんだい後期こうき以降いこう帝国ていこく陸軍りくぐん主力しゅりょく車載しゃさい機関きかんじゅうとして、主力しゅりょく新鋭しんえい機甲きこう兵器へいきであるきゅうしきけい戦車せんしゃごうきゅうななしきちゅう戦車せんしゃ チハきゅうななしきけい装甲車そうこうしゃ テケなどに搭載とうさいされ、にちちゅう戦争せんそうささえ事変じへん)から太平洋戦争たいへいようせんそうだい東亜とうあ戦争せんそうだい世界せかい大戦たいせん終戦しゅうせんいたるまで使用しようされた。また、大戦たいせん後期こうき開発かいはつされたさんしきちゅう戦車せんしゃ チヌよんしきちゅう戦車せんしゃ チトしきちゅう戦車せんしゃ チリおよび、試製しせいしん砲戦ほうせんしゃかぶと) ホリなどもほんじゅう搭載とうさいないし搭載とうさい予定よていであった。

量産りょうさん名古屋なごや陸軍りくぐん造兵ぞうへいしょう陸軍りくぐん造兵ぞうへいしょう名古屋なごや工廠こうしょう)でおこなわれ、1944ねん昭和しょうわ19ねん)までにやく18,000ちょう生産せいさんされた。ほんじゅう後継こうけいとして、1939ねんよりベルトきゅうだんしきだんたい)の試製しせいじゅう機関きかんじゅうIがた/IIがた試製しせいよんしき車載しゃさいじゅう機関きかんじゅう開発かいはつ試作しさく試験しけんされているが、実用じつようまえ終戦しゅうせんむかえている。

登場とうじょう作品さくひん

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れい距離きょり射撃しゃげき88』
戦場せんじょうまんがシリーズいちへん日本にっぽんぐん戦車せんしゃへいが、たまたまほんじゅうはずして整備せいびちゅう戦車せんしゃ破壊はかいされて九死きゅうし一生いっしょう、その地上ちじょう戦闘せんとう使用しようされる。
バトルフィールドV
チャプター5「太平洋たいへいようたたかい」のだいきゅうしゅう追加ついか援護えんごへいよう武器ぶきとして使用しよう可能かのう。また、日本にっぽんぐん戦車せんしゃにも搭載とうさいされている。
enlisted
アップデートの太平洋たいへいよう戦線せんせん追加ついかともない、軍事ぐんじ行動こうどうレベル20の兵器へいきとして登場とうじょう標準ひょうじゅん眼鏡めがね装備そうびされている。
『ガールズ&パンツァー』
たん学園がくえん車輛しゃりょう、「きゅうななしきちゅう戦車せんしゃチハ」、「しん砲塔ほうとうチハ」と「きゅうしきけい戦車せんしゃ」に搭載とうさいされている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ただし、のち1940ねん昭和しょうわ15ねん)にはきゅうしきじゅう機関きかんじゅうきゅうななしき実包じっぽう規格きかく弾薬だんやく使用しようするようあらためられ、これにともな従来じゅうらいきゅうななしき実包じっぽう呼称こしょうされていた弾薬だんやくあらたにきゅうしき実包じっぽう名称めいしょう変更へんこうされた。したがって、この通達つうたつ以降いこうかんしてはきゅうしき重機じゅうきおな口径こうけい7.7mmのきゅうしき実包じっぽう使用しようするとってつかえない
  2. ^ また、その装弾そうだんすうからしばしば持続じぞく射撃しゃげき能力のうりょくひくいことへの批判ひはんがある。しかし、陸軍りくぐんでは車載しゃさい機関きかんじゅう自衛じえいよう火器かきとして認識にんしきしていたことや、そもそも機関きかんじゅう位置いちづけが弾幕だんまくによる制圧せいあつ射撃しゃげきむねとしていた他国たこくとはことなり、精密せいみつ射撃しゃげきのできる狙撃そげきじゅうてきなものだったことから、ほんじゅう持続じぞく射撃しゃげき能力のうりょくもとめられなかったとかんがえられる

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 松井まついふみまもる帝国ていこく陸軍りくぐんきゅうななしき車載しゃさい重機じゅうき
    サンデーアートしゃ『PANZER』1985ねん9がつごう No.133 p106~p108
  • 佐山さやま二郎じろう小銃しょうじゅう拳銃けんじゅう機関きかんじゅう入門にゅうもん
    光人みつひとしゃNF文庫ぶんこ(2000ねんかん

関連かんれん項目こうもく

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