五体ごたい投とう地ち

五体ごたい投とう地ち（ごたいとうち）とは、五体ごたいすなわち両手りょうて・両りょう膝ひざ・額がくを地面じめんに投なげ伏ふくして、仏ふつや高僧こうそうなどを礼拝れいはいすることである。仏教ぶっきょうにおいて最もっとも丁寧ていねいな礼拝れいはい方法ほうほうの一ひとつとされ、対象たいしょうへの絶対ぜったい的てきな帰依きえを表あらわす。挙きょ体たい投とう地ち、五輪ごりん投とう地ちともいう。日本にっぽんでは、主おもに下記かきの宗旨しゅうしで行おこなわれる礼拝れいはい方法ほうほう。

概要がいよう

古代こだいインドでは、尊者そんじゃの足下あしもとにひざまずき、頭あたまの先さきを地ちに付つけ、両手りょうてで相手あいての足あし先さきを手てに取とり額がくに接触せっしょくさせることが最高さいこうの敬礼けいれい方法ほうほうとされていた^[1]。仏教ぶっきょうにおいても仏ふつの両足りょうあしに頭あたまを付つけるが、これを仏ふつ足あし頂いただき礼れい（ぶっそくちょうらい）といい、両手りょうて両足りょうあしすべてを地ちに付つけて礼拝れいはいする。稽首（けしゅ、けいしゅ）、頭あたま面めん作さく礼れい、接せっ足あし作さく礼れいなどと呼よばれ、仏教ぶっきょうでは帰命きみょうと同義どうぎに用もちいる^[1]。

インドやチベットにおける仏教徒ぶっきょうとは、このように五体ごたい投とう地ちを行おこない、礼拝れいはいしながら少すこしずつ前まえに進すすんでいき、聖地せいちへ巡礼じゅんれいするスタイルが一般いっぱん的てきである^[2]。勤行ごんぎょうや修行しゅぎょうに入はいる僧侶そうりょや檀まゆみ信徒しんとが、本尊ほんぞんの前まえでこの五体ごたい投とう地ちで礼拝れいはいする。

なお、この回数かいすうは所作しょさによって異ことなるが、最もっとも一般いっぱんに知しられるのは、3回かいや12回かい、煩悩ぼんのうの数かずと同おなじといわれる108回かいの礼拝れいはいを行おこなうことである。

日本にっぽんの宗旨しゅうしにおける基本きほん的てきな方法ほうほう

礼拝れいはいする対象たいしょうを向むき起立きりつしたまま蓮華れんげ合掌がっしょうをする
合掌がっしょうしたまま一礼いちれいする
合掌がっしょうを続つづけたまま両りょう膝ひざをつく
合掌がっしょうを崩くずしながら手ての指ゆび同士どうしをつけたまま手てのひらを上うえへ向むけ両手りょうてを体からだと垂直すいちょく方向ほうこうに前まえへ出だす
額がくを地ちへ付つける
両手りょうてを耳みみの横よこの高たかさ程度ていどまで上あげた後のちに元もとに戻もどす
起立きりつして合掌がっしょうを行おこない直なおる

宗旨しゅうし別べつの方法ほうほう

高野山こうのやま真言宗しんごんしゅう
- 3. および 4. において、右みぎ膝ひざ・右みぎひじから、先さきに出だす。4. の手ての平ひらを突つき出だす際さい、両手りょうての親指おやゆびと人差ひとさし指ゆびの先さきをつなげ、輪わを作つくる。阿字あじ観かん瞑想めいそうを行おこなう前まえは、大日如来だいにちにょらいへの帰依きえを示しめすために三さん礼れいする。